説明

液晶表示素子

【課題】画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行う。
【解決手段】第一基板1上に、各画素電極3が互いに隣り合う部分にそれぞれ対応させて、画素電極の形成面よりも第二基板2側に突出する絶縁層を設け、画素電極3を、所定の側の第一縁部3aを該第一縁部側の絶縁層16の下に入り込ませ、第一縁部3aとは反対側の第二縁部3bを該第二縁部側の絶縁層16の上に重ねて形成する。そして、画素電極3及び絶縁層16を覆って形成された第一配向膜17を、画素電極3の第一縁部3aから第二縁部3bに向かう方向にラビングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子として、薄膜トランジスタをスイッチング素子としたアクティブマトリックス型のものがある。このアクティブマトリックス液晶表示素子は、薄膜トランジスタを介してデータ信号を供給される画素電極が複数配列させて形成された第一基板と、前記各画素電極と対向する共通電極が形成された第二基板と、前記第一基板と第二基板との間に封入された液晶とにより構成されている。
【0003】
なお、前記第一基板には前記各画素電極を覆って前記第一配向膜が形成され、前記第二基板には前記対向電極を覆って第二配向膜が形成されおり、これらの配向膜はそれぞれ所定の方向にラビングされている。
【0004】
そして、液晶分子は、前記各基板に対して、前記第一配向膜及び第二配向膜のラビング方向の下流側(ラビングの終了端側)に向かってプレチルトした初期配向状態に配向している。
【0005】
前記液晶表示素子は、前記各画素電極へのデータ信号の供給により、前記各画素電極と共通電極との間に前記データ信号の電位に対応した強さの駆動電界を印加し、その駆動電界により液晶分子の配向状態を変化させて表示する。
【0006】
前記液晶表示素子においては、隣り合う画素電極間に、一方の画素電極の電位と他方の画素電極の電位との差に対応した強さの電界(以下、横電界という)が生じる。
【0007】
そのため、前記画素電極と共通電極との間に印加された駆動電界の向きが、前記横電界の影響により、画素電極の縁部付近に対応する領域において、基板の法線方向に対して斜めに傾いた方向に歪む。この横電界による駆動電界の歪み方向は、画素電極の一方の縁部側とその反対側の縁部側とで互いに逆向きである。
【0008】
そのため、画素電極の周縁部のうち、前記第一配向膜のラビング方向の上流側(ラビングの開始端側)に向いた縁部付近の領域の液晶分子が、前記駆動電界の向きの歪みにより、前記プレチルトの向きとは逆向きにチルトする方向に立ち上がり配向し、ディスクリネーションを発生する。
【0009】
このディスクリネーションによる表示不良は、前記第二基板に各画素電極間の領域に対向させて設ける遮光膜を、前記ディスクリネーションの発生領域を覆うように幅広に形成することにより目立たなくすることができる。しかし、前記遮光膜を幅広に形成したのでは、画素の開口率が低下してしまう。
【0010】
そこで、特許文献1に記載されているように、前記第一基板上の各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ、前記各画素電極の形成面よりも前記第二基板側に突出する絶縁層を設け、画素電極の前記第一配向膜のラビング方向に対して交差する縁部をそれぞれ前記絶縁層の上に重ねて形成した液晶表示素子が提案されている。
【0011】
この液晶表示素子は、画素電極の縁部と共通電極との間隔を小さくすることにより、隣り合う画素電極間に生じた横電界の影響による前記駆動電界の向きの歪みを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−156646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献1に記載された液晶表示素子は、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生してしまうことがある。
【0014】
この発明は、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、
薄膜トランジスタを介してデータ信号を供給される画素電極が複数配列させて形成された第一基板と、
前記各画素電極と対向する共通電極が形成された第二基板と、
前記第一基板と第二基板との間に封入された液晶とにより構成され、
前記画素電極と前記共通電極との間への電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて表示する液晶表示素子において、
前記第一基板上に、前記各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ対応させて、前記各画素電極の形成面よりも前記第二基板側に突出する絶縁層が設けられ、
前記各画素電極がそれぞれ、所定の側の第一縁部を該第一縁部側の前記絶縁層の下に入り込ませ、前記第一縁部とは反対側の第二縁部を該第二縁部側の前記絶縁層の上に重ねて形成され、
さらに、前記第一基板に前記各画素電極及び前記絶縁層を覆って形成された第一配向膜と前記第二基板に前記共通電極を覆って形成された第二配向膜のうちの前記第一配向膜が、前記画素電極の前記第一縁部から前記第二縁部に向かう方向にラビングされていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示素子において、前記画素電極の第二縁部の前記絶縁層上に重なった部分は、前記絶縁層の中心部よりも隣り合う画素電極側に張り出す幅に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の液晶表示素子において、前記第一基板上に、前記各画素電極の形成位置にそれぞれ対応させて前記薄膜トランジスタが形成されると共に、前記薄膜トランジスタに接続された走査信号線及びデータ信号線が設けられ、その上に形成された層間絶縁膜上に、前記各画素電極との間に補償容量を形成する容量電極が設けられ、前記容量電極を覆って形成されたオーバーコート絶縁膜の上に、前記絶縁層と前記各画素電極が形成され、前記各画素電極がそれぞれ、前記オーバーコート絶縁膜及び前記層間絶縁膜に設けられたコンタクト孔において前記画素電極に対応する前記薄膜トランジスタに接続されていることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の液晶表示素子において、前記絶縁層は、前記データ信号線と交差する方向に配列された各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の液晶表示素子において、前記容量電極は前記データ信号線上の部分を覆って形成され、前記絶縁層は前記容量電極上の部分に形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記請求項4に記載の液晶表示素子において、前記絶縁層は、前記走査信号線と交差する方向に配列された各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6の何れかに記載の液晶表示素子において、前記画素電極の前記第二縁部側に、前記オーバーコート絶縁膜を介して前記容量電極と対向する補償容量形成部が、前記絶縁層の下に入り込ませて形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の液晶表示素子において、前記画素電極の前記第一縁部及び前記補償容量形成部が、前記絶縁層の形成前に前記第一縁部側の絶縁層及び前記第二縁部側の絶縁層の下からその外側に張出す形状に形成された第一の透明導電膜からなり、前記第一縁部と前記補償容量形成部との間の部分及び前記第二縁部が、前記絶縁層の形成後に前記絶縁層及び前記第一の透明導電膜の張出し部に重ねて形成された第二の透明導電膜からなっていることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、前記請求項7に記載の液晶表示素子において、前記画素電極の前記第二縁部以外の部分が、前記絶縁層の形成前に形成された第一の透明導電膜からなり、前記第二縁部が、前記絶縁層の形成後に前記第二縁部側の絶縁層及び前記第一の透明導電膜の前記第二縁部側の部分に重ねて形成された第二の透明導電膜からなっていることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1から9の何れかに記載の液晶表示素子において、前記第二配向膜は、前記第一配向膜のラビング方向に対して逆方向にラビングされており、前記液晶は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶からなり、その液晶分子が、分子長軸を前記第一配向膜及び前記第二配向膜のラビング方向に揃えてホモジニアス配向していることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1から10の何れかに記載の液晶表示素子において、前記絶縁層は、前記画素電極の前記第二縁部以外の部分と前記共通電極との間の間隙の1/2以下の高さに形成されていることを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の発明は、前記請求項1から9の何れかに記載の液晶表示素子において、前記絶縁層は、前記画素電極の前記第二縁部以外の部分と前記共通電極との間の間隙よりも小さく、前記間隙の1/2を越える高さに形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明の液晶表示素子によれば、隣り合う画素電極にそれぞれ供給されたデータ信号の電位差が大きくても、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第一実施例を示す液晶表示素子の第一基板の一部分の配向膜を省略した平面図。
【図2】図1のII−II矢視線に沿う前記液晶表示素子の断面図。
【図3】第一実施例の液晶表示素子における絶縁層が形成された部分の拡大断面図。
【図4】第一実施例の液晶表示素子における無電界時の液晶分子配向の模式図。
【図5】第1実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式的図。
【図6】比較例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図。
【図7】この発明の第二実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図。
【図8】第二実施例の液晶表示素子における絶縁層が形成された部分の拡大断面図。
【図9】第二実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図。
【図10】この発明の第三実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図。
【図11】第三実施例の液晶表示素子における絶縁層が形成された部分の拡大断面図。
【図12】第三実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子の配向状態を模式的に示す図。
【図13】この発明の第四実施例を示す液晶表示素子の絶縁層が形成された部分の断面図。
【図14】この発明の第五実施例を示す液晶表示素子の絶縁層が形成された部分の断面図。
【図15】この発明の第六実施例を示す液晶表示素子の絶縁層が形成された部分の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第一実施例]
この発明の液晶表示素子は、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス液晶表示素子であり、図1及び図2のように、TFT4を介してデータ信号を供給される画素電極3が行方向(図1において左右方向)及び列方向(図1において上下方向)に複数配列させて形成された第一基板1と、前記各画素電極3と対向する共通電極20が形成された第二基板2と、前記第一基板1と第二基板2との間に封入された液晶22とにより構成されている。
【0030】
前記第一基板1と第二基板2はそれぞれガラス板等の透明板からなっており、これらの基板1,2は、所定の間隙を設けて対向配置され、前記各画素電極の配列領域を囲んで形成された枠状のシール材(図示せず)を介して接合されている。また、前記液晶22は、誘電異方性が正のネマティック液晶であり、前記第一基板1と第二基板2との間の間隙の前記シール材で囲まれた領域に封入されている。
【0031】
前記第一基板1の前記第二基板2と対向する面上には、前記各画素電極3の形成位置にそれぞれ対応させてTFT4が形成されると共に、前記TFT4に接続された走査信号線10及びデータ信号線11が設けられている。
【0032】
前記TFT4は、図1のように、前記第一基板1上に形成されたゲート電極5と、前記ゲート電極5を覆うゲート絶縁膜6と、前記ゲート絶縁膜6の上に前記ゲート電極5と対向させて形成された真正アモルファスシリコンからなる半導体薄膜7と、前記半導体薄膜7の上面の中央部に設けられたチャネル保護膜(図示せず)と、前記半導体薄膜7のチャネル領域を挟んで、その一方の側と他方の側との上にそれぞれn型アモルファスシリコンからなるコンタクト層(図示せず)を介して形成されたソース電極8及びドレイン電極9とからなっている。なお、前記ゲート絶縁膜6は透明膜からなっており、前記第一基板1上の略全体にわたって形成されている。
【0033】
前記走査信号線10は、前記第一基板1上に形成されている。この走査信号線10は、各行の画素電極3の一側の領域にそれぞれ行方向に延伸させて配線されており、対応する行の各TFT4のゲート電極5に接続されている。なお、この走査信号線10は、前記ゲート電極5と一体に形成されている。
【0034】
また、前記データ信号線11は、前記ゲート絶縁膜6の上に形成されている。このデータ信号線11は、各列の画素電極3の一側の領域にそれぞれ列方向に延伸させて配線されており、該データ信号線11から各列のTFT配置部に導出された分岐線11aを介して、対応する列の各TFT4のソース電極8に接続されている。なお、このデータ信号線11及び分岐線11aは、前記ソース電極8と一体に形成されている。
【0035】
さらに、前記第一基板1の前記各TFT4及び各データ信号線11が形成された面上には、これらを覆って透明な層間絶縁膜12が形成されており、この層間絶縁膜12の上に、前記各画素電極3との間に、前記画素電極3の電位の変動を補償するための補償容量Cs(図3参照)を形成する容量電極13が設けられている。
【0036】
前記容量電極13は、前記画素電極3の行毎に、行方向に配列する各画素電極3にそれぞれ対向させると共に、前記各画素電極3にそれぞれ対向する容量電極13,13同士を共通接続して形成されている。
【0037】
この実施例において、前記容量電極13は、前記画素電極3の周縁部のうちの前記TFT4との接続部を除く部分の略全域に対向する枠形状に形成されている。さらに、前記容量電極13の各辺部のうちの前記画素電極3の行方向に対して交差する辺部(以下、縦辺部という)13aは、同じ行の隣り合う容量電極13の縦辺部13aと一体に形成されている。すなわち、行方向に配列する各画素電極3にそれぞれ対向する各容量電極13,13は、前記縦辺部13aにおいて互いに接続されている。そして、前記各行の容量電極13は、前記各画素電極3の配列領域の外側において共通接続されている。
【0038】
前記各容量電極13の縦辺部13aは、この縦辺部13aの両側の縁部がそれぞれ行方向に配列する各画素電極3の互いに隣り合う側の縁部の両方にそれぞれ対向する幅に形成されている。すなわち、前記容量電極13の縦辺部13aは、前記データ信号線11上の部分を覆って形成されている。
【0039】
また、前記第一基板1上には、前記容量電極13を覆って形成された透明なオーバーコート絶縁膜14が設けられており、このオーバーコート絶縁膜14の上に、ITO膜等の透明導電膜からなる複数の画素電極3が形成されている。この各画素電極3はそれぞれ、前記オーバーコート絶縁膜14及び前記層間絶縁膜12に設けられたコンタクト孔15(図1参照)において前記画素電極3に対応するTFT4のドレイン電極9に接続されている。
【0040】
さらに、前記第一基板1上には、前記データ信号線11と交差する行方向に配列された各画素電極3が互いに隣り合う部分にそれぞれ対応させて、前記各画素電極3の形成面である前記オーバーコート絶縁膜14の膜面よりも前記第二基板2側に突出する帯形状の絶縁層16が設けられている。この絶縁層16は、前記容量電極13の縦辺部上の部分に、前記縦辺部と略同じ幅に形成されている。なお、この実施例では、前記絶縁層16を、各画素電極3の列方向の配列領域の全長にわたって連続した形状に形成しているが、この絶縁層16は、各画素電極3の行毎に、各画素電極3が互いに隣り合う部分の略全長にわたる長さに形成してもよい。
【0041】
そして、前記各画素電極3はそれぞれ、その周縁部のうちの所定の側の第一縁部3aを該第一縁部3a側の前記絶縁層16の下に入り込ませ、前記第一縁部3aとは反対側の第二縁部3bを該第二縁部3b側の前記絶縁層16の上に重ねて形成されている。
【0042】
なお、前記各画素電極3はそれぞれ、前記行方向と平行な二つの縦辺と前記列方向と平行な二つの横辺とを有する矩形形状に形成されている。そして、この実施例では、前記画素電極3の図において右側の縦辺に沿った第一縁部3aを該第一縁部3a側の前記絶縁層16の下に入り込ませ、図において左側の縦辺に沿った第二縁部3bを該第二縁部3b側の前記絶縁層16の上に重ねている。
【0043】
前記絶縁層16は、前記画素電極3の第二縁部3b以外の部分と第二基板2に形成された共通電極20との間の間隙の1/2以下の高さに形成されている。この実施例において、前記絶縁層16は、前記画素電極3の第二縁部3b以外の部分と共通電極20との間の間隙の1/3〜1/2の高さに形成されている。
【0044】
また、この実施例において、前記画素電極3の第一縁部3aの絶縁層16の下に入り込んだ部分と、第二縁部3bの絶縁層16上に重なった部分はそれぞれ、前記絶縁層16の幅の略1/4の幅に形成されている。
【0045】
さらに、前記画素電極3の前記第二縁部3b側には、前記オーバーコート絶縁膜14を介して前記容量電極13の縦辺部13aと対向する補償容量形成部3cが、前記絶縁層16の下に入り込ませて形成されている。この補償容量形成部3cの絶縁層16の下に入り込んだ部分は、前記第一縁部3aの絶縁層16の下に入り込んだ部分と略同じ幅に形成されている。
【0046】
なお、前記画素電極3の第一縁部3a及び補償容量形成部3cは、前記絶縁層16の形成前に、オーバーコート絶縁膜14の上に第一縁部3a側の絶縁層16及び第二縁部3b側の絶縁層16の下からその外側に張出す形状に形成された第一の透明導電膜からなっている。また、前記画素電極3の第一縁部3aと補償容量形成部3cとの間の部分及び第二縁部3bは、絶縁層16の形成後に前記絶縁層16及び前記第一の透明導電膜の張出し部に重ねて形成された第二の透明導電膜からなっている。
【0047】
そのため、第一縁部3a及び補償容量形成部3cを前記第一縁部3a側及び第二縁部3b側の絶縁層16,16の下に入り込ませ、前記第二縁部3bを前記第二縁部3b側の絶縁層16の上に重ねた画素電極3を形成することができる。
【0048】
そして、前記補償容量Csは、前記容量電極13と、前記画素電極3の第一縁部3aと列方向の両端の縁部及び補償容量形成部3cと、前記容量電極13と画素電極3との間の前記オーバーコート絶縁膜14からなる誘電層とにより形成されている。なお、前記容量電極13には、前記共通電極20に印加される共通電極信号と同じ信号が印加される。
【0049】
また、前記第一基板1上には、前記各画素電極3及び各絶縁層16を覆って、ポリイミド等からなる第一配向膜17が形成されている。この第一配向膜17は、前記画素電極3の第一縁部3aから第二縁部3bに向かう方向17rにラビングされている。なお、この実施例では、前記第一配向膜17を、前記画素電極3の第一縁部3a及び第二縁部3bに対して略直交する方向にラビングしている。
【0050】
一方、前記第二基板2の前記第一基板1と対向する面上には、行方向に配列した各画素電極3が互いに隣り合う部分及び列方向に配列した各画素電極3が互いに隣り合う部分に対応させて遮光膜18が形成されている。さらに、前記第二基板2上には、前記各画素電極3の列にそれぞれ対応させて、赤色フィルタ19Rと緑色フィルタ19Gと青色フィルタ19Bの三色のカラーフィルタがストライプ状に形成されている。
【0051】
前記共通電極20は、ITO膜等の透明導電膜からなっており、前記カラーフィルタ19R,19G、19Bの上に、前記各画素電極3の配列領域の全域に対応させて形成されている。
【0052】
また、前記第二基板2上には、前記共通電極20を覆って、ポリイミド等からなる第二配向膜21が形成されている。この第二配向膜21は、前記第一配向膜17のラビング方向17rに対して所定の方向21rにラビングされている。
【0053】
なお、この実施例の液晶表示素子は、非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子であり、前記第二配向膜21は、前記第一配向膜17のラビング方向17rとは逆向き方向21rにラビングされている。
【0054】
そして、前記第一基板1と第二基板2との間に封入された液晶22の分子22aは、図4のように、第一基板1に対して、前記第一配向膜17のラビング方向17rの下流側(ラビングの終了端側)に向かって5度程度の角度でプレチルトし、第二基板2に対して、前記第二配向膜21のラビング方向21rの下流側に向かって5度程度の角度でプレチルトした状態で、前記各配向膜17,21のラビング方向17r,21rに分子長軸を揃えてホモジニアス配向している。
【0055】
さらに、この液晶表示素子は、前記第一基板1の外面に配置された第一偏光板23と、前記第二基板2の外面に配置された第二偏光板24とを備えている。前記第一偏光板23は、その吸収軸(図示せず)を前記各配向膜17,21のラビング方向17r,21rに対して略45度の方向に向けて配置され、前記第二偏光板24は、その吸収軸(図示せず)を前記第一偏光板23の吸収軸に対して略直交させて配置されている。
【0056】
前記液晶表示素子は、前記各画素電極3の行(以下、画素行という)を1行単位で順次選択し、選択行の各画素電極3にそれぞれデータ信号を供給することにより、前記各画素電極3と共通電極20との間に前記データ信号の電位に対応した強さの駆動電界を印加し、その駆動電界により液晶分子22aの配向状態を変化させて表示する。
【0057】
すなわち、前記各走査信号線10には、その走査信号線10が対応する画素行の選択期間に前記TFT4をオンさせる電位になる波形の走査信号が印加される。また、前記各データ信号線11には、前記各画素行の選択期間毎に画像データの階調値に対応して電位が変化するデータ信号が印加される。一方、前記共通電極20には所定の共通信号が印加される。また、前記各行の容量電極13には、前記共通信号と同じ信号が印加される。
【0058】
前記各データ信号線11に印加されたデータ信号は、前記TFT4のオンにより、前記TFT4に接続された画素電極3に供給され、前記各画素電極3と共通電極20との間に前記データ信号の電位に対応した強さの駆動電界が印加される。
【0059】
なお、前記液晶表示素子は、前記画素電極3と共通電極20との間に印加された駆動電界の極性の偏りによる表示像の焼き付きや、液晶の電気分解による劣化を防ぐため、前記駆動電界の極性を所定の周期で反転させて駆動される。
【0060】
この極性反転駆動には、各画素行毎に駆動電界の極性を反転させる所謂ライン反転駆動と、行方向に配列した各画素毎に駆動電界の極性を反転させる所謂ドット反転駆動とがある。前記ライン反転駆動は、前記共通電極20に、前記各画素行の選択期間毎に極性が交互に反転する波形の共通信号を印加することにより行われる。また、前記ドット反転駆動は、前記各データ信号線11に、隣り合うデータ信号線11,11毎に極性を反転させたデータ信号を印加することにより行われる。
【0061】
この液晶表示素子は、上記のような構成であるため、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる。
【0062】
すなわち、図5は上記実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図、図6は比較例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図であり、何れも、行方向に沿った断面上における液晶分子配向を示している。
【0063】
なお、図5及び図6に示した液晶分子配向はそれぞれ、前記ドット反転駆動により、隣り合う画素電極3,3のうちの一方の画素電極3に、前記共通電極20に印加された共通信号の電位に対して+5Vのデータ信号を供給し、他方の画素電極3に、前記共通信号の電位に対して−5Vのデータ信号を供給したときの配向例である。
【0064】
前記比較例の液晶表示素子は、行方向に配列された各画素電極30,30が互いに隣り合う部分に対応させて絶縁層16を設け、前記各画素電極30を、その二つの縦辺に沿った第一縁部3aと第二縁部3bの両方を前記絶縁層16の上に重ねて形成したものである。また、この液晶表示素子は、前記各画素電極3を覆って形成された第一配向膜と、共通電極20を覆って形成された第二配向膜(何れも図示せず)を、上記実施例と同じ方向17r,21rにラビングし、液晶分子22aを、行方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向させたものである。
【0065】
この比較例の液晶表示素子は、画素電極3の縁部と共通電極20との間隔を小さくしているため、隣り合う画素電極3,3間に生じた横電界の影響による前記駆動電界の向きの歪みを軽減することができる。
【0066】
しかし、この液晶表示素子は、隣り合う画素電極3,3の縁部3a,3b同士が、前記絶縁層16上において隣接しているため、これらの画素電極3,3間に、各画素電極3,3にそれぞれ供給されたデータ信号の電位差に対応した強さの横電界が生じ、この横電界の影響により、前記駆動電界の向きが、画素電極3の縁部付近に対応する領域において、基板の法線方向に対して斜めに傾いた方向に歪む。この横電界による駆動電界の歪み方向は、画素電極3の一方の縁部側とその反対側の縁部側とで互いに逆向きである。
【0067】
なお、前記横電界は、行方向に配列した各画素電極間と、列方向に配列した各画素電極間との両方に生じ、これらの横電界の影響により、前記駆動電界の向きが、行方向と列方向の二つの方向において歪む。
【0068】
一方、液晶分子22aが初期配向状態におけるプレチルトの向きとは逆向きにチルトする方向に立ち上がり配向することによるディスクリネーションは、前記プレチルトの向きとは逆向き方向への駆動電界の歪みによって発生する。
【0069】
すなわち、液晶分子22aを行方向に分子長軸を揃えてホモジニアス配向させた液晶表示素子では、前記ディスクリネーションが、前記行方向への駆動電界の歪みによって発生する。
【0070】
前記比較例の液晶表示素子における行方向への駆動電界の歪みは、図6に等電位線Eで示したような、画素電極3の第一縁部3a側と第二縁部3b側とで略対称な歪みである。
【0071】
前記画素電極3の第一縁部3a側における駆動電界の歪み方向は、液晶分子22aの初期配向状態におけるプレチルトの向きであり、第二縁部3b側における駆動電界の歪み方向は、前記プレチルトの向きとは逆方向である。
【0072】
そのため、前記画素電極3の第二縁部3b付近以外の領域の液晶分子22aは前記プレチルトの向きと同じ正常なチルト方向に立ち上がり配向するが、前記第二縁部3b付近の領域の液晶分子22aが、前記プレチルトの向きとは逆向きにチルトする方向に立ち上がり配向し、ディスクリネーションを発生する。
【0073】
特に、前記ドット反転駆動では、隣り合う画素電極3,3の一方に供給されるデータ信号の極性と、他方の画素電極3に供給されるデータ信号の極性とが逆極性であるため、行方向に配列した各画素電極3,3間に強い横電界が生じ、前記駆動電界の行方向への歪みが大きくなり、前記ディスクリネーションが画素の開口領域内に発生する。
【0074】
液晶分子22aが前記プレチルトの向きと同じ正常なチルト方向に立ち上がり配向した順チルト配向領域とディスクリネーションの発生領域との境目は、ディスクリネーションラインと呼ばれている。前記比較例の液晶表示素子をドット反転駆動したときは、図6のような位置にディスクリネーションラインDLが形成される。
【0075】
一方、上記実施例の液晶表示素子は、各画素電極3が、その二つの縦辺に沿った縁部のうちの第一縁部3aを該第一縁部3a側の絶縁層16の下に入り込ませ、前記第一縁部とは反対側の第二縁部を該第二縁部側の絶縁層16の上に重ねて形成されているため、行方向に配列された各画素電極3,3間に生じる横電界は、画素電極3と共通電極20との間に印加された駆動電界に対して殆んど影響を及ぼさない。
【0076】
また、データ信号線11と画素電極3とは、層間絶縁膜12の上に前記データ信号線11上の部分を覆って形成された容量電極13により電気的にシールドされているため、前記データ信号線11と画素電極3の縁部との間に横電界が生じることは無い。
【0077】
さらに、上記実施例の液晶表示素子は、画素電極3と共通電極20との間に印加された駆動電界のうち、前記画素電極3の絶縁層16の下に入り込ませて形成された第一縁部3aに対応する領域の電界の強度が、前記絶縁層16での電圧降下によって低下する。それに対して、前記画素電極3の絶縁層16の上に形成された第二縁部3bに対応する領域の電界は、前記絶縁層16による電圧降下が無い高い電界である。
【0078】
そのため、前記駆動電界が、図5に等電位線Eで示したように、前記画素電極3の第一縁部3a側(電界強度が低下した側)において画素電極3の内側方向に歪み、第二縁部3b側において画素電極3の外側方向に歪む。
【0079】
すなわち、前記駆動電界の歪みは、前記比較例の駆動電界の歪みに対して、液晶分子22aの初期配向状態におけるプレチルトの向きとは逆方向へ歪む領域が前記隣り合う画素電極3の方向にずれたような歪みである。
【0080】
そして、ディスクリネーションは、液晶分子22aのプレチルトの向きとは逆方向へ駆動電界が歪んだ領域に発生する。そのため、上記実施例の液晶表示素子は、ディスクリネーションラインDLが、前記比較例の液晶表示素子よりも画素の外側方向に偏った位置に形成され、絶縁層16の中心からディスクリネーションラインDLまでの距離Lが前記比較例よりも短くなる。
【0081】
従って、上記実施例の液晶表示素子によれば、ドット反転駆動を行うときのように、行方向に配列した各画素電極3,3にそれぞれ供給されたデータ信号の電位差が大きくても、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる。
【0082】
なお、前記液晶表示素子の駆動は、ドット反転駆動に限らず、ライン反転駆動でもよい。このライン反転駆動の場合も、行方向に配列した各画素電極3,3にそれぞれ供給されたデータ信号の電位差により隣り合う画素電極3,3の縁部3a,3b間に横電界が生じる。そのため、前記横電界の影響により画素電極3と共通電極20との間に印加された駆動電界の向きが歪むが、上記実施例の液晶表示素子によれば、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる。
【0083】
また、上記実施例では、前記絶縁層16を、画素電極3の第二縁部3b以外の部分と共通電極20との間の間隙の1/2以下の高さに形成しているため、前記絶縁層16と第二基板2との間隙を充分に確保し、第一基板1と第二基板2との間の間隙への液晶22の注入を短時間で行うことができる。
【0084】
[第二実施例]
図7及び図8に示した第二実施例の液晶表示素子は、前記画素電極3の第二縁部3bの絶縁層16上に重なった部分を、前記絶縁層16の幅方向中心部よりも隣り合う画素電極3側に張り出す幅に形成したものであり、他の構成は上記第一実施例と同じである。
【0085】
なお、この実施例では、前記画素電極3の第二縁部3bを、その端縁が、隣り合う画素電極3の第一縁部3aの端縁上の位置に近接する幅に形成しているが、前記第二縁部3bは、前記隣り合う画素電極3上の部分に重ならない範囲で、任意の幅に形成してもよい。
【0086】
図9は前記第二実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図であり、行方向に沿った断面上における液晶分子配向を示している。なお、図9に示した液晶分子配向は、前記ドット反転駆動により、隣り合う画素電極3,3のうちの一方の画素電極3に、前記共通電極20に印加された共通信号の電位に対して+5Vのデータ信号を供給し、他方の画素電極3に、前記共通信号の電位に対して−5Vのデータ信号を供給したときの配向例である。
【0087】
この第二実施例の液晶表示素子は、上記のような構成であるため、前記ディスクリネーションラインDLが形成される位置を、上記第二実施例よりもさらに画素の外側方向に偏らせることができる。従って、第二基板2に形成する遮光膜19の幅を小さくし、開口率を向上させることができる。
【0088】
[第三実施例]
図10及び図11に示した第三実施例の液晶表示素子は、前記絶縁層16を、画素電極3の第二縁部3b以外の部分と共通電極20との間の間隙よりも小さく、前記間隙の1/2を越える高さに形成したものであり、他の構成は上記第一実施例と同じである。
【0089】
なお、この実施例において、前記絶縁層16は、画素電極3の第二縁部3b以外の部分と共通電極20との間の間隙の略3/4の高さに形成されている。また、前記画素電極3の絶縁層16の上に重ねられた第二縁部3bは、上記第一実施例と略同じ幅に形成されている。
【0090】
図12は前記第三実施例の液晶表示素子における電界印加時の液晶分子配向の模式図であり、行方向に沿った断面上における液晶分子配向を示している。なお、図12に示した液晶分子配向は、前記ドット反転駆動により、隣り合う画素電極3,3のうちの一方の画素電極3に、前記共通電極20に印加された共通信号の電位に対して+5Vのデータ信号を供給し、他方の画素電極3に、前記共通信号の電位に対して−5Vのデータ信号を供給したときの配向例である。
【0091】
この第三実施例の液晶表示素子は、上記のような構成であるため、前記ディスクリネーションラインDLが形成される位置を、上記第二実施例よりもさらに画素の外側方向に偏らせることができる。従って、第二基板2に形成する遮光膜19の幅を小さくし、開口率を向上させることができる。
【0092】
[第四実施例]
図13に示した第四実施例は、前記絶縁層16を上記第三実施例と同じ高さに形成すると共に、画素電極3の第二縁部3bの絶縁層16上に重なった部分を、上記第二実施例と同様に、前記絶縁層16の幅方向中心部よりも隣り合う画素電極3側に張り出す幅に形成したものであり、他の構成は上記第一実施例と同じである。この第四実施例によれば、上記第二実施例と第三実施例の相乗効果を得ることができる。
【0093】
[第五実施例]
図14に示した第五実施例は、画素電極3の第二縁部3b以外の部分を、前記絶縁層16の形成前に形成された第一の透明導電膜により形成し、前記第二縁部3bを、前記絶縁層16の形成後に前記第二縁部3b側の絶縁層16及び前記第一の透明導電膜の前記第二縁部3b側の部分に重ねて形成された第二の透明導電膜により形成したものである。
【0094】
この実施例によれば、第一縁部3a及び補償容量形成部3c前記第一縁部3a側及び第二縁部3b側の絶縁層16,16の下に入り込ませ、第二縁部3bを前記第二縁部3b側の絶縁層16の上に重ねた画素電極3を形成することができる。
【0095】
[第六実施例]
なお、上記各実施例では、画素電極3の第二縁部3b側に、オーバーコート絶縁膜14を介して容量電極13と対向する補償容量形成部3cを、絶縁層16の下に入り込ませて形成しているが、前記補償容量形成部3cは省略してもよい。
【0096】
図15に示した第六実施例は、前記補償容量形成部3cを省略し、補償容量Csのうちの画素電極3の第二縁部3b側の部分を、前記画素電極3の第二縁部3bと、容量電極13の縦辺部13aと、オーバーコート絶縁膜14と絶縁層16とからなる誘電層とにより形成したものである。
【0097】
[他の実施例]
なお、上記各実施例では、各画素電極3を覆って形成された第一配向膜17を、前記画素電極3の第一縁部3a及び第二縁部3bに対して略直交する方向にラビングしているが、前記第一配向膜17のラビング方向17rは、前記画素電極3の第一縁部3a及び第二縁部3bに対して斜めに交差する方向でもよい。
【0098】
また、この発明は、非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子に限らず、例えばTN型液晶表示素子にも適用することができる。
【0099】
さらに、上記各実施例では、絶縁層16を、データ信号線11と交差する行方向に配列された各画素電極3,3が互いに隣り合う部分に対応させて設けているが、前記絶縁層16を、走査信号線10と交差する列方向に配列された各画素電極3,3が互いに隣り合う部分に対応させて設け、各画素電極3をそれぞれ、所定の側の第一縁部を該第一縁部側の絶縁層16の下に入り込ませ、前記第一縁部とは反対側の第二縁部を該第二縁部側の絶縁層16の上に重ねて形成すると共に、第一配向膜17を前記第一縁部から前記第二縁部に向かう方向にラビングしてもよい。
【0100】
この構成の液晶表示素子によれば、各画素行毎に駆動電界の極性を反転させるライン反転駆動において、画素の開口領域内にディスクリネーションを発生させること無く良好な品質の表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0101】
1…第1基板、2…第2基板、3…画素電極、3a…第一縁部、3b…第二縁部、3c…補償容量形成部、14…TFT、10…走査信号線、11…データ信号線、12…層間絶縁膜、13…容量電極、13a…容量電極の縦辺部、Cs…補償容量、14…オーバーコート絶縁膜、15…コンタクト孔、16…絶縁層、17…第一配向膜、17r…ラビング方向、20…共通電極、21…第二配向膜、21r…ラビング方向、22…液晶、22a…液晶分子、DL…ディスクリネーションライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを介してデータ信号を供給される画素電極が複数配列させて形成された第一基板と、
前記各画素電極と対向する共通電極が形成された第二基板と、
前記第一基板と第二基板との間に封入された液晶とにより構成され、
前記画素電極と前記共通電極との間への電圧の印加により液晶分子の配向状態を変化させて表示する液晶表示素子において、
前記第一基板上に、前記各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ対応させて、前記各画素電極の形成面よりも前記第二基板側に突出する絶縁層が設けられ、
前記各画素電極がそれぞれ、所定の側の第一縁部を該第一縁部側の前記絶縁層の下に入り込ませ、前記第一縁部とは反対側の第二縁部を該第二縁部側の前記絶縁層の上に重ねて形成され、
さらに、前記第一基板に前記各画素電極及び前記絶縁層を覆って形成された第一配向膜と前記第二基板に前記共通電極を覆って形成された第二配向膜のうちの前記第一配向膜が、前記画素電極の前記第一縁部から前記第二縁部に向かう方向にラビングされていることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記画素電極の第二縁部の前記絶縁層上に重なった部分は、前記絶縁層の中心部よりも隣り合う画素電極側に張り出す幅に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記第一基板上に、前記各画素電極の形成位置にそれぞれ対応させて前記薄膜トランジスタが形成されると共に、前記薄膜トランジスタに接続された走査信号線及びデータ信号線が設けられ、
その上に形成された層間絶縁膜上に、前記各画素電極との間に補償容量を形成する容量電極が設けられ、
前記容量電極を覆って形成されたオーバーコート絶縁膜の上に、前記絶縁層と前記各画素電極が形成され、
前記各画素電極がそれぞれ、前記オーバーコート絶縁膜及び前記層間絶縁膜に設けられたコンタクト孔において前記画素電極に対応する前記薄膜トランジスタに接続されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
前記絶縁層は、前記データ信号線と交差する方向に配列された各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示素子。
【請求項5】
前記容量電極は前記データ信号線上の部分を覆って形成され、前記絶縁層は前記容量電極上の部分に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記走査信号線と交差する方向に配列された各画素電極が互いに隣り合う部分にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
【請求項7】
前記画素電極の前記第二縁部側に、前記オーバーコート絶縁膜を介して前記容量電極と対向する補償容量形成部が、前記絶縁層の下に入り込ませて形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の液晶表示素子。
【請求項8】
前記画素電極の前記第一縁部及び前記補償容量形成部が、前記絶縁層の形成前に前記第一縁部側の絶縁層及び前記第二縁部側の絶縁層の下からその外側に張出す形状に形成された第一の透明導電膜からなり、前記第一縁部と前記補償容量形成部との間の部分及び前記第二縁部が、前記絶縁層の形成後に前記絶縁層及び前記第一の透明導電膜の張出し部に重ねて形成された第二の透明導電膜からなっていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
【請求項9】
前記画素電極の前記第二縁部以外の部分が、前記絶縁層の形成前に形成された第一の透明導電膜からなり、前記第二縁部が、前記絶縁層の形成後に前記第二縁部側の絶縁層及び前記第一の透明導電膜の前記第二縁部側の部分に重ねて形成された第二の透明導電膜からなっていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
【請求項10】
前記第二配向膜は、前記第一配向膜のラビング方向に対して逆方向にラビングされており、前記液晶は、正の誘電異方性を有するネマティック液晶からなり、その液晶分子が、分子長軸を前記第一配向膜及び前記第二配向膜のラビング方向に揃えてホモジニアス配向していることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の液晶表示素子。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記画素電極の前記第二縁部以外の部分と前記共通電極との間の間隙の1/2以下の高さに形成されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の液晶表示素子。
【請求項12】
前記絶縁層は、前記画素電極の前記第二縁部以外の部分と前記共通電極との間の間隙よりも小さく、前記間隙の1/2を越える高さに形成されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−141487(P2011−141487A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3245(P2010−3245)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】