説明

液晶表示装置

【課題】耐応力性能の優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、バックライトユニット1と、液晶表示パネル2と、ケース3と、タッチパネル4とを備えている。バックライトユニット1は、光放出面S1を含む導光板11と、光源15と、これら導光板および光源を覆うと共に光放出面と対向した領域が開口したバックカバー17と、を有している。液晶表示パネル2は光放出面S1と対向して設けられている。ケース3は、液晶表示パネル2の周縁部およびバックカバー17の周壁17bを覆っている。タッチパネル4は、液晶表示パネル2と対向し、ケース3上に設けられている。バックカバー17は、光放出面S1を超えて突出するとともに液晶表示パネル2の側縁と対向し、ケース3を介してタッチパネル4を支持する複数の突出部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置、より詳しくは入力装置を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステム等に用いられる液晶表示装置は、データ入力機能が求められ通常、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの表示面側に設けられたタッチパネル等の入力装置と、を備えている。液晶表示パネルは、アレイ基板および対向基板をスペーサにより隙間をおいて対向配置し、これら2枚の基板間に液晶層を狭持している。これら2枚の基板の周縁部はシール材によって貼り合わされている。入力装置は対向基板の外側に設けられている。データを直接入力する際、タッチパネルの入力面を指等で押圧することにより入力する。
【0003】
さらに、液晶表示装置は入力表示用窓を有し、タッチパネルおよび液晶表示パネルを覆ったケースを備えている。このケースは、ケースの裏側から延出した位置決めリブを有している(例えば、特許文献1参照)。位置決めリブは、枠状であり、液晶表示パネルの周縁から外方に4〜5mm離れている。位置決めリブにより液晶表示パネルを配設する位置決めが可能となる。このため、入力表示用窓とタッチパネルの入力面とを対向させることができる。
【0004】
タッチパネルとケースとの間には第1緩衝材が介装されている。位置決めリブの側面と液晶表示パネルの側面との間には第2緩衝材が介装されている。このため、表示面方向に外部から衝撃があった場合でも、衝撃はケースを伝わり、位置決めリブで分散され、さらに第2緩衝材で緩和され液晶表示パネルに伝わる。表示面に対して垂直方向に外部から衝撃があった場合でも、衝撃は第1緩衝材で緩和され液晶表示パネルに伝わる。上記したことから、液晶表示装置は耐衝撃性を向上させている。
【特許文献1】特開2001−83887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入力面を押圧した場合、タッチパネルと重なった液晶表示パネルに応力が集中するため、液晶層の層厚が変化すること(液晶揺れ)や、アレイ基板および対向基板が接触することがある。これにより、アレイ基板および対向基板間の電気的短絡や、液晶層のギャップ不良に伴う表示不良が生じ、表示画像の見栄えが悪くなる。このため、入力面への押圧における耐応力性能の優れた液晶表示装置が求められる。
【0006】
さらに、液晶表示装置がアレイ基板の外側に設けられたバックライトユニットを有し、入力面が押圧された場合は、バックライトユニットの導光板が歪んでしまい、表示画像の見栄えが悪くなる。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、耐応力性能の優れた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る液晶表示装置は、光放出面を含む導光板と、前記導光板の側縁に対向配置された光源と、前記導光板および光源を覆うと共に前記光放出面と対向した領域が開口したバックカバーと、を有したバックライトユニットと、前記光放出面と対向して設けられたアレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に狭持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、前記対向基板の周縁部およびバックカバーの周壁を覆った枠状のケースと、前記対向基板と対向するとともに前記ケース上に設けられ、入力面を有した入力装置と、を備え、前記バックカバーは、前記光放出面を超えて突出するとともに前記液晶表示パネルの側縁と対向し、前記ケースを介して前記入力装置を支持する複数の突出部を有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、耐応力性能の優れた液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。
図1に示すように、液晶表示装置は、バックライトユニット1と、液晶表示パネル2と、ケース3と、入力装置としてのタッチパネル4と、を有している。
【0010】
図1および図2に示すように、バックライトユニット1は、光放出面S1を含む導光板11、この導光板11上に設けられたプリズムシート13、拡散フィルム14、光源15、反射板16、バックカバー17、およびフロントカバー18を有している。
光源15は導光板11の側縁に対向配置されている。反射板16は、光放出面S1と対向した領域が開口し、導光板11および光源15を覆っている。
【0011】
バックカバー17は、矩形状の底壁17aと、この底壁の周縁部に設けられた矩形枠状の周壁17bと、この周壁から突出した複数の突出部17cと、が一体になって構成されている。バックカバー17は、光放出面S1と対向した領域が開口し、導光板11、プリズムシート13、拡散フィルム14、光源15、および反射板16を覆っている。各突出部17cは、光放出面S1を超えて突出している。この実施の形態において、バックカバー17は、周壁17bの各辺に2つの突出部17cを有している。これらの突出部17cは、光放出面S1に垂直な方向に突出している。バックカバー17の底壁17aおよび周壁17bの厚みt1は0.2mmである。
【0012】
フロントカバー18は、矩形枠状の上壁18aと、この上壁の周縁部に設けられた矩形枠状の周壁18bと、が一体になって構成されている。フロントカバー18は、光放出面S1の周縁部を覆い、導光板11の側縁と対向しているとともにバックカバー17の周壁17bを覆っている。フロントカバー18は、上壁18aに設けられた複数の開口部18cを有している。この実施の形態において、フロントカバー18は、上壁18aの各辺に2つの開口部18cを有している。これらの開口部18cはそれぞれ突出部17cと対応している。そのため、上記複数の突出部17cは開口部18cをそれぞれ貫通して延びている。フロントカバー18の上壁18aおよび周壁18bの厚みt2は0.3mmである。この実施の形態において、上壁18aは光放出面S1の周縁部と接触している。
【0013】
図1および図3に示すように、液晶表示パネル2は、光放出面S1と対向して設けられたアレイ基板20と、対向基板30と、液晶層40と、を備えている。
アレイ基板20は、ガラス基板21と、このガラス基板上に形成された複数の画素電極22と、各画素電極を含みガラス基板上に成膜された配向膜23と、を有している。また、アレイ基板20は、ガラス基板21上に形成された図示しない各種配線やスイッチング素子としての薄膜トランジスタ等を有している。
【0014】
対向基板30は、ガラス基板31と、このガラス基板上に形成された共通電極32と、共通電極上に形成された配向膜33と、を有している。画素電極22および共通電極32は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電材料により形成されている。配向膜23および配向膜33には配向処理(ラビング)が施されている。
【0015】
アレイ基板20および対向基板30は、複数のスペーサ41により所定の隙間を置いて対向配置されている。アレイ基板20および対向基板30は、両基板の周縁部に配置されたシール材42により互いに接合されている。液晶層40は、アレイ基板20、対向基板30、およびシール材42の間に狭持されている。アレイ基板20の外面には第1偏光板50は配置され、対向基板30の外面には第2偏光板60が配置されている。この実施の形態において、第1偏光板50およびアレイ基板20の周縁部は、それぞれフロントカバー18の上壁18aと重なり、第1偏光板表面の周縁部は上壁18aと接触している。
【0016】
図1および図4に示すように、突出部17cは、液晶表示パネル2の側縁と対向している。突出部17cの先端は、対向基板30側の液晶表示パネル2の外面の水平面上とほぼ同等の位置まで延びている。ここでは、対向基板30側の液晶表示パネル2の外面は第2偏光板60の外面である。
【0017】
図1に示すように、ケース3は、矩形枠状の上壁3aと、この上壁の周縁部に設けられた矩形枠状の周壁3bと、が一体になって構成されている。ケース3は、対向基板30(第2偏光板60)の周縁部と、バックカバー17の周壁17bおよび突出部17cと、フロントカバー18の周壁18bと、を覆っている。この実施の形態において、上壁3aは第2偏光板60の周縁部と接触している。ケース3の上壁3aおよび周壁3bの厚みt3は0.2mmである。
【0018】
図1および図5に示すように、タッチパネル4は、抵抗感圧方式のデジタイザとして構成されている。タッチパネル4は、対向基板30と対向しているとともにケース3上に設けられている。タッチパネル4は、対向基板30と対向した第1基板71、この第1基板に所定の隙間を置いて対向配置された第2基板72と、を有している。第1基板71は、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第1シート73aを有している。第2基板72も、例えばポリエステルフィルムやガラスからなる第1シート73bを有している。
【0019】
第1シート73aおよび第2シート73b上には、ITO等の透明な導電材料により形成された矩形状の第1抵抗層74aおよび第2抵抗層74bがそれぞれ配設されている。図示しないが、第1抵抗層74aの対向する一対の辺には、電極75a、75bがそれぞれ設けられている。同じく、図示しないが、第1抵抗層74bの対向する一対の辺には、電極76a、76bがそれぞれ設けられている。
【0020】
第1基板71および第2基板72は、第1抵抗層74a、第2抵抗層74bが対面するように対向配置され、第1シート73aおよび第2シート73bの周縁部に配置されたシール材77により互いに接合されている。第1基板71および第2基板72は、スペーサ78により所定の隙間を置いて保持されている。スペーサは絶縁材料で構成されている。第1抵抗層74aおよび電極75a、75bと、第2抵抗層74bおよび電極76a、76bと、は絶縁状態に維持されている。
【0021】
タッチパネル4は、第1抵抗層74aおよび第2抵抗層74bと重なった第2基板72の外面に入力面S2を有している。データを入力する際は、入力面S2上を押圧することによりタッチパネル4に応力を加え、第1基板71および第2基板72間の隙間の幅を変化させて入力する。
ここで、上記突出部17cは、タッチパネル4と対向した個所のケース3、すなわち、上壁3aと対向し、接触している。このため、突出部17cは、上壁3aを支持しているとともにこの上壁を介してタッチパネル4を支持している。
【0022】
以上のように構成された、液晶表示装置によれば、バックカバー17は複数の突出部17cを有し、上壁3aを介してタッチパネル4を支持している。入力面S2(第2基板72)を押圧し、タッチパネル4に加わった応力は、液晶表示パネル2に集中することはなく、ケース3に分散される他、特にバックカバー17の複数の突出部17cに分散される。
【0023】
このため、タッチパネル4に加わる応力は、応力F1としてケース3およびバックカバー17に分散されるため、液晶表示パネル2に加わる応力F2を抑制することができる。液晶揺れや、アレイ基板20および対向基板30の接触を抑制することができるため、アレイ基板および対向基板間の電気的短絡や、液晶層40のギャップ不良に伴う表示不良を抑制でき、常時、良好な表示品位を保つことができる。
【0024】
また、液晶表示パネル2に加わる応力F2が抑制されることから、導光板11に加わる応力も抑制される。これにより、導光板11の変形(歪み)を抑制でき、常時、良好な表示品位を保つことができる。上記したことから、耐応力性能の優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0025】
さらに、ケース3の上壁3aおよび周壁3bと、バックカバー17の底壁17aおよび周壁17bと、フロントカバー18の上壁18aおよび周壁18bと、が上述したように薄型化された場合でも、耐応力性能の優れた液晶表示装置を得ることができる。このため、耐応力性能に優れているとともに、狭額縁化および薄型化が可能な液晶表示装置を得ることができる。
【0026】
バックカバー17は、周壁17bの各辺に突出部17cを有しているため、応力F1をバランスよく突出部に分散させることができ、耐応力性能の向上を図ることができる。また、突出部17cはフロントカバー18の開口部18cを貫通することから、バックカバー17とフロントカバーとを組み立てる際の位置合わせとしても使用することができる。
【0027】
上述した実施の形態では、バックカバー17は、周壁17bの各辺に2つの突出部17cを有しているため、各辺に1つの突出部を有している場合に比べ、さらなる耐応力性能の向上を図ることができる。また、各辺に2つの突出部17cを有していることにより、突出部は、バックカバー17とフロントカバー18とを組み立てる際の位置合わせとして使用できる他、バックカバーとフロントカバーとの接合不良によるガタつきを抑制することができる。上記したガタつきを抑制する効果は、バックカバー17が、周壁17bの各辺に2つ以上の突出部17cを有している場合に有効である。なお、フロントカバー18は、突出部17cに対応した分の開口部18cを有していることは言うまでもない。
【0028】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、バックカバー17は、周壁17bの各辺に少なくとも1つの突出部17cを有していれば良い。突出部17cの形状や突出方向は上述した実施の形態に限定されるものではない。バックカバー17の底壁17aおよび周壁17bの厚みが0.2mmないし0.3mm、フロントカバー18の上壁18aおよび周壁18bの厚みが0.2mmないし0.3mm、およびケース3の上壁3aおよび周壁3bの厚みが0.2mmないし0.3mmであれば、狭額縁化および薄型化を図ることができるとともに、耐応力性能に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置を示す断面図。
【図2】図1に示したバックカバーおよびフロントカバーを示す分解斜視図。
【図3】図1に示した液晶表示パネルを示す断面図。
【図4】図1に示した液晶表示パネル、バックカバー、およびフロントカバーを示す側面図。
【図5】図1に示したタッチパネルを示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
1…バックライトユニット、2…液晶表示パネル、3…ケース、3a…上壁、3b…周壁、4…タッチパネル、11…導光板、15…光源、17…バックカバー、17a…底壁、17b…周壁、17c…突出部、18…フロントカバー、18a…上壁、18b…周壁、18c…開口部、20…アレイ基板、30…対向基板、40…液晶層、S1…光放出面、S2…入力面、t1,t2,t3…厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光放出面を含む導光板と、前記導光板の側縁に対向配置された光源と、前記導光板および光源を覆うと共に前記光放出面と対向した領域が開口したバックカバーと、を有したバックライトユニットと、
前記光放出面と対向して設けられたアレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に狭持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
前記対向基板の周縁部およびバックカバーの周壁を覆った枠状のケースと、
前記対向基板と対向するとともに前記ケース上に設けられ、入力面を有した入力装置と、
を備え、
前記バックカバーは、前記光放出面を超えて突出するとともに前記液晶表示パネルの側縁と対向し、前記ケースを介して前記入力装置を支持する複数の突出部を有する液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記入力装置と対向した個所の前記ケースと対向している請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の突出部は、前記光放出面に垂直な方向に突出している請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライトユニットは、前記光放出面の周縁部を覆い、前記導光板の側縁と対向するとともに前記バックカバーの周壁を覆った枠状のフロントカバーをさらに備え、
前記複数の突出部は、前記フロントカバーをそれぞれ貫通して延びている請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックカバーは矩形状であり、
前記複数の突出部は、前記バックカバーの各辺に設けられた少なくとも1つの突出部を含む請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記バックカバーは矩形状であり、
前記複数の突出部は、前記バックカバーの各辺に設けられた2つ以上の突出部を含む請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックカバーの厚み、フロントカバーの厚み、およびケースの厚みは、それぞれ0.2mmないし0.3mmである請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
光放出面を含む導光板と、前記導光板の側縁に対向配置された光源と、前記導光板および光源を覆うと共に前記光放出面と対向した領域が開口したバックカバーと、を有したバックライトユニットと、
前記光放出面と対向して設けられたアレイ基板と、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、前記アレイ基板および対向基板間に狭持された液晶層と、を有した液晶表示パネルと、
前記対向基板の周縁部およびバックカバーの周壁を覆った枠状のケースと、
を備え、
前記バックカバーは、前記光放出面を超えて突出するとともに前記液晶表示パネルの側縁と対向し、前記ケースを支持する複数の突出部を有する液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−58637(P2006−58637A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240785(P2004−240785)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】