説明

液晶装置の製造方法及び液晶装置の検査方法

【課題】例えば、ノーマリーブラック方式を表示方式として採用する液晶装置について、不具合が生じた保持容量を正確に破壊し、不良保持容量を含む画素部によって表示品位が低下することを抑制する。
【解決手段】不良保持容量(119A)を含む不良画素部(70A)は、走査線112A及びデータ線114Aの夫々に電気的に接続されており、不良保持容量(119A)を破壊する際に、走査線(112A)を介して不良画素部(70A)に供給された選択信号(SE)によって非導通状態から導通状態に切り替えられるTTF(30A)を介してデータ線(114A)及び不良保持容量(119A)が相互に電気的に接続された後、データ線(114A)を介して不良保持容量(119A)に電圧Vを印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プロジェクタのライトバルブとして用いられる液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法、及び、液晶装置の検査方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置では、液晶装置の動作時において、画像信号に応じた電位を画素電極に一定期間保持させることを目的として保持容量が設けられている。このような液晶装置では、画素スイッチング素子であるトランジスタの不具合を修復する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、液晶装置の表示方式の一例として、画素電極に画像信号が供給されていない状態即ち、画素部が非駆動である状態において、当該画素電極を含む画素部に黒表示を行わせるノーマリーブラック方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−52286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液晶装置では、保持容量に不具合が生じている場合、言い換えれば、一対の容量電極間の絶縁抵抗が低下していることに起因して、画像信号に応じた輝度で画素部に表示を行わせることが困難となる。特に、ノーマリーブラック方式を採用する液晶装置では、本来行われるべき輝度と異なる白表示或いは中間調表示がなされた画素部は、表示された画像のなかでは黒表示よりむしろ目立ってしまい、そのことが表示品位の低下を招く一因となるという問題点がある。
【0006】
また、レーザ光の照射によって不良保持容量を破壊するためには、レーザ光を精度良く不良保持容量に照射する必要が生じる。したがって、例えば、画素ピッチが微細化された液晶装置では、所定の保持容量に正確にレーザ光を照射することが困難になるという技術的問題点も生じる。
【0007】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、ノーマリーブラック方式を表示方式として採用する液晶装置について、不具合が生じた保持容量を正確に破壊し、不良保持容量を含む画素部によって表示品位が低下することを抑制可能な液晶装置の製造方法、及び、液晶装置の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液晶装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上の表示領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の夫々の交差に対応して各々設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極の夫々に電気的に接続された複数の保持容量とを備え、ノーマリーブラック方式で駆動される液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であって、前記複数の保持容量のうち不具合が生じている不良保持容量を特定する第1工程と、前記不良保持容量が電圧破壊されるように、前記不良保持容量が有する一対の容量電極間に電圧を印加する第2工程とを備える。
【0009】
本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、第1工程において、例えば、複数の保持容量の電気特性から直接的に不良保持容量を特定することもできるし、表示領域に画像を表示させることによって不良画素部を特定することによって間接的に不良保持容量を特定することも可能である。
【0010】
第2工程では、前記不良保持容量が電圧破壊されるように、より具体的には、例えば、一対の容量電極間を短絡させるように、前記不良保持容量が有する一対の容量電極間に電圧を印加する。したがって、本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、レーザ光を正確に不良保持容量に照射することなく、電圧を印加するという電気的な方法によって、不良保持容量を破壊できる。よって、本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、例えば、画素ピッチが微細化された液晶装置でも、不良保持容量を正確に破壊できる。
【0011】
したがって、本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、液晶装置の製造プロセスの段階で不良保持容量が形成された場合でも当該不良保持容量を正確に破壊できるため、液晶装置の動作時において、当該破壊された不良保持容量を含む画素部に、白表示或いは中間調表示より表示品位を低下させない黒表示を行わせることが可能になる。
【0012】
本発明に係る液晶装置の製造方法の一の態様では、前記不良保持容量を含む不良画素部は、前記複数の走査線に含まれる一の走査線と、前記複数のデータ線に含まれる一のデータ線との夫々に電気的に接続されており、前記第2工程において、前記一の走査線を介して前記不良画素部に供給された選択信号によって非導通状態から導通状態に切り替えられるスイッチング素子を介して前記一のデータ線及び前記不良保持容量が相互に電気的に接続された後、前記一のデータ線を介して前記不良保持容量に前記電圧を印加してもよい。
【0013】
この態様によれば、例えば、表示領域にマトリクス状に設けられた複数の画素部のうち不良保持容量を含む不良画素部のみに、不良保持容量を破壊するための電圧を印加することが可能である。
【0014】
この態様では、前記第1工程において、前記表示領域に画像を表示させた状態で前記不良画素部を特定し、前記不良画素部に含まれる保持容量を前記不良保持容量として特定してもよい。
【0015】
この態様によれば、液晶装置を動作させた状態で各画素部の輝度が画像信号に対応した輝度に設定されているか否かを画像から判別することによって、不良画素部を特定できるため、間接的に不良保持容量を特定できる。
【0016】
この態様では、前記不良画素部の不良モードは、白点欠陥又は中間調欠陥であってもよい。
【0017】
この態様によれば、黒表示より目立つ白表示又は中間調表示がなされる白欠陥又は中間調欠陥を特定することによって、間接的に不良保持容量を特定できる。
【0018】
本発明に係る液晶装置の製造方法の他の態様では、前記第1工程及び前記第2工程のうち少なくとも前記第1工程は、前記基板上に前記不良保持容量が形成されたタイミングから、前記液晶装置が組み上がるタイミングまでの期間に実行され、該期間中に実行される第1工程では、前記複数の保持容量の夫々が有する一対の容量電極間の電気抵抗を測定することによって取得された抵抗値に基づいて、前記複数の保持容量のなかから前記不良保持容量を特定してもよい。
【0019】
この態様によれば、テスタ等の測定手段を用いて、液晶装置の製造プロセスの早い段階で不良保持容量を破壊しておくことができるため、液晶装置を組み上げた後に当該液晶装置に画像を表示させるまでもなく、不良保持容量の存在を一因とする表示品位を低下を抑制可能である。
【0020】
本発明に係る液晶装置の検査方法は、上記課題を解決するために、基板と、前記基板上の表示領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の夫々の交差に対応して各々設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極の夫々に電気的に接続された複数の保持容量とを備え、ノーマリーブラック方式で駆動される液晶装置を検査するための液晶装置の検査方法であって、前記複数の保持容量のうち不具合が生じている不良保持容量を特定する第1工程と、前記不良保持容量が電圧破壊されるように、前記不良保持容量が有する一対の容量電極間に電圧を印加する第2工程とを備える。
【0021】
本発明に係る液晶装置の検査方法によれば、上述の液晶装置の製造方法と同様に、液晶装置の製造プロセスの段階で不良保持容量が形成された場合でも当該不良保持容量に正確に破壊できるため、液晶装置の動作時において、当該破壊された不良保持容量を含む画素部に、白表示或いは中間調表示より表示品位を低下させない黒表示を行わせることが可能になる。
【0022】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の製造方法によって製造される液晶パネルの平面図である。
【図2】図1のII−II´断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の製造方法によって製造される液晶パネルを含む表示装置の電気的な構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係る液晶パネルの電気的構成を示したブロック図である。
【図5】本実施形態に係る液晶パネルにおける画素部の回路構成を示した回路図である。
【図6】本実施形態に係る液晶パネルの一部を構成するビットチェック回路の一部の電気的な構成を示した回路図である。
【図7】本実施形態に係る液晶装置の製造方法の主要な工程を順に示したフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る液晶パネルにおける画素部について、保持容量を破壊する際に当該保持容量に印加される電圧を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液晶装置の製造方法、及び液晶装置の検査方法の各実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る液晶装置の検査方法を含む液晶装置の製造方法の一実施形態を説明する。
【0025】
<1:液晶パネル>
<1−1:液晶パネルの全体構成>
先ず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る液晶装置の製造方法によって製造される液晶パネル100の全体構成を説明する。図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶パネル100の概略的な平面図であり、図2は、図1のII−II´断面図である。ここでは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを例に挙げている。
【0026】
図1及び図2において、液晶パネル100では、本発明の「基板」の一例であるTFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明の「表示領域」の一例である画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0027】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0028】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0029】
画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺のいずれかに沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。尚、走査線駆動回路104を、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿って設けるようにしてもよい。この場合、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿って設けられた複数の配線によって、二つの走査線駆動回路104は互いに接続されるようにする。
【0030】
尚、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、液晶パネル100の動作時において、電源回路700(図3参照。)から供給される電源VDD、及びVSS、並びに共通電位LCCOMによって駆動される。
【0031】
対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0032】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素電極9aが、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後に形成されており、その上に配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0033】
尚、図1及び図2には図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等に加えて、後述するように画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路が設けられている。
【0034】
<1−2:液晶装置の電気的な構成>
次に、図3乃至図6を参照しながら、液晶パネル100を含む表示装置500の電気的な構成を説明する。図3は、液晶パネルを含んで構成される表示装置500の全体構成を示すブロック図であり、図4は、液晶パネル100の電気的な構成を詳細に示したブロック図である。図5は、ビットチェック回路の一部の電気的な構成を示したブロック図である。
【0035】
図3に示すように、表示装置500は、液晶パネル100を備えると共に、外部回路として設けられた画像信号供給回路300、タイミング制御回路400、及び電源回路700を備えている。
【0036】
タイミング制御回路400は、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。タイミング制御回路400の一部であるタイミング信号出力手段により、最小単位のクロックであり各画素を走査するためのドットクロックが作成され、このドットクロックに基づいて、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、YスタートパルスDY及びXスタートパルスDXが生成される。
【0037】
画像信号供給回路300には、液晶装置500の動作時、即ち、液晶パネル100の動作時に、外部から1系統の入力画像データVIDが入力される。画像信号供給回路300は、1系統の入力画像データVIDをシリアル−パラレル変換して、N相、本実施形態では6相(N=6)の画像信号VID1〜VID6を生成する。更に、画像信号供給回路300において、画像信号VID1〜VID6の各々の電圧が、所定の基準電位に対して正極性及び負極性に反転され、このように極性反転された画像信号VID1〜VID6が出力される。
【0038】
電源回路700は、共通電位線131(図4参照。)を介して所定の共通電位LCCOMを図2に示す対向電極21に供給すると共に、液晶パネル100中の各駆動回路に電源VDD及びVSSを供給する。本実施形態において、対向電極21は、図2に示す対向基板20の下側に、複数の画素電極9aと対向するように形成されている。
【0039】
図4に示すように、液晶パネル100は、そのTFTアレイ基板10の周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路200、及びビットチェック回路800を備えている。
【0040】
走査線駆動回路104には、液晶パネル100の動作時において、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、液晶パネル100の動作時において、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号Y1、・・・、Ymを順次生成して出力する。
【0041】
データ線駆動回路101には、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号XCLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号S1、・・・、Snを順次生成し、配線116を介して各サンプリングスイッチ202にサンプリング信号S1、・・・、Snを出力する。
【0042】
サンプリング回路200は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT、若しくは相補型のTFTから夫々構成された複数のサンプリングスイッチ202を備えている。
【0043】
ここで、図5を参照しながら、ビットチェック回路800の電気的な構成を説明する。図5に示すように、ビットチェック回路800の一部である回路部800Aは、TFT31を備えて構成されている。回路部800Aは、各データ線114に対応して設けられており、複数のデータ線114の夫々に電気的に接続されている。
【0044】
TFT31は、そのソース領域31Sがデータ線部114に電気的に接続されている。TFT31のゲート31Gは、配線127を介して電源回路700に電気的に接続されている。TFT31は、液晶パネル100の非動作時において、ソース領域31S及びドレイン領域31D間が非導通状態に設定されているように動作する。より具体的には、ソース領域31S及びドレイン領域31D間の導通及び非導通は、ゲート31Gに対する電源VDDあるいはVSSの供給及び非供給に応じて相互に切り換えられる。したがって、液晶パネル100によれば、TFT31の動作を制御する制御回路を設けることなく、簡便な回路構成でTFT32の導通及び非導通を相互に切り替えることが可能である。したがって、後述する液晶パネルの検査方法による画素部の検査に加えて、当該導通及び非導通に応じて画素部70の良否を判別することも可能である。
【0045】
再び図4において、液晶パネル100は、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112を備え、それらの交点に対応して設けられた複数の画素部70を備えている。尚、本実施形態では特に、走査線112の総本数をm本(但し、mは2以上の自然数)とし、データ線114の総本数をn本(但し、nは2以上の自然数)として説明する。
【0046】
6相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID6は、N本(本実施形態では6本)の画像信号線171を介して液晶パネル100に供給される。n本のデータ線114は、以下に説明するように、画像信号線171の本数に対応する6本のデータ線114を1群とするデータ線群毎に、順次駆動される。
【0047】
データ線駆動回路101から、各データ線群に対応するサンプリングスイッチ202毎にサンプリング信号Si(i=1、2、・・・、n)が順次供給され、サンプリング信号Siに応じて各サンプリングスイッチ202はオン状態となる。各サンプリングスイッチ202は、中継配線を介して画像信号線171に接続されている。
【0048】
よって、サンプリングスイッチ202がオン状態となった際に、即ち、サンプリングスイッチ202が非選択状態から選択状態に切り換った際に、6本の画像信号線171から画像信号VID1〜VID6が、データ線群に属するデータ線114に同時に、且つデータ線群毎に順次供給される。よって、データ線群に属するデータ線114は互いに同時に駆動されることとなる。従って、本実施形態では、n本のデータ線114をデータ線群毎に駆動できるため、相展開しない場合に比べて液晶パネル100の駆動周波数を抑制できる。
【0049】
<1−3:画素部の電気的な構成>
次に、図6を参照しながら、画素部70の電気的な構成を説明する。図6は、本実施形態に係る画素部70の回路構成を示した回路図である。
【0050】
図6に示すように、画素部70は、液晶素子118、TFT30、及び、本発明の「保持容量」の一例である保持容量119を備えている。
【0051】
液晶素子118は、液晶パネル100の動作時に、画素電極9aと、画素電極9aに対向する対向電極21との間に生じる電圧によって液晶の配向状態が制御され、当該配向状態に応じて液晶パネル100の表示面に光を出射する。液晶パネル100は、表示方式としてノーマリーブラック方式を採用しているため、画素部70の非動作時、言い換えれば、画素電極9aに画像信号が供給されていない状態では、当該画素部70は黒表示を行う。一方、画素部70の動作時に、言い換えれば、画素電極9aに画像信号が供給された状態では、画素電極9a及び対向電極21の夫々の電位の差である電圧が液晶素子118に印加され、当該電圧に応じた輝度で画素部70が表示を行う。
【0052】
TFT30は、画素スイッチング素子であり、ゲート30cに印加されたゲート電圧に応じて、ソース30a及びドレイン30b間の電気的な導通及び非導通を相互に切り替える。液晶パネル100が画像を表示する際には、走査線112を介して走査信号Yjがゲート30cに供給され、データ線114から画素電極9aに画像信号が供給される。一方、液晶パネル100の検査時には、選択信号SEが走査線112を介してゲート30cに供給され、TFT30を介して電圧を一対の容量電極119a及び119b間に印加される。
【0053】
保持容量119は、一対の容量電極119a及び119b間に誘電体膜を含んで構成されている。容量電極119a及び119bの夫々は、ドレイン30b及び共通電位線131の夫々に電気的に接続されている。
【0054】
ここで、液晶パネル100の動作時において、本来画像信号に応じた輝度で表示を行うべき画素部70が、保持容量119の不具合を一因として、本来表示すべき黒表示と異なる白表示又は中間調表示を行った場合、当該白表示又は中間調表示を行う画素部70は、黒色を表示する場合に比べて画像全体の中で目立ってしまい、画像の表示品位を低下させてしまう。そこで、後述する、本実施形態に係る液晶パネルの検査方法を含む液晶パネルの製造方法を用いて液晶パネル100を製造することによって、本来表示すべきではない白表示又は中間調表示を行う画素部70が動作しないように保持容量119を破壊しておく。
【0055】
<2:液晶パネルの製造方法>
次に、図7及び図8を参照しながら、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法を説明する。図7は、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法の主要な工程を順に示したフローチャートである。図8は、本実施形態に係る液晶パネル100における画素部70について、保持容量119を破壊する際に当該保持容量119に印加される電圧を回路図中に示した回路図である。尚、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法では、複数の画素部70のうち不具合が生じている画素部の特定した後、当該不具合が生じている画素部に含まれる保持容量119を選択的に破壊できることを特徴とする液晶パネルの検査方法に特徴があるため、当該検査方法を詳細に説明する。
【0056】
図7に示すように、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法では、少なくともTFTアレイ基板10上に保持容量119が形成された状態で、複数の画素部70のうち不具合が有する不良画素部70Aを特定する。言い換えれば、複数の画素部70の夫々が有する複数の保持容量119のうち不具合が生じている不良保持容量119Aを有する画素部70Aを特定する(ステップS10)。
【0057】
不良画素部70Aを特定する際には、画像表示領域10aに画像を表示させた状態で不良画素部70Aを特定し、不良画素部70Aに含まれる保持容量119を不良保持容量119Aとして特定することができる。画像を表示させた状態で、言い換えれば、液晶パネル100を組み上げた後、液晶パネル100の画像表示領域10aに画像を表示させた状態で不良画素部70Aを特定する場合には、例えば、液晶パネル100を動作させた状態で各画素部70の輝度が画像信号に対応した輝度に設定されているか否かを画像から判別することによって、不良画素部70Aを特定できる。より具体的には、画像表示領域10aに画像を表示させた状態における不良画素部70Aの不良モードは、黒表示より目立つ白表示又は中間調表示を行う白点欠陥又は中間調欠陥である。これら白表示又は中間調表示を行う不良画素部70Aを特定することによって、間接的に不良保持容量119Aを特定できる。
【0058】
また、不良画素部70Aを特定するためには、画像表示領域10aに画像を表示させなくてもよい。より具体的には、TFTアレイ基板10上に不良保持容量119Aが形成されたタイミングから、液晶パネル100が組み上がるタイミングまでの期間において、複数の保持容量119の夫々が有する一対の容量電極119a及び119b間の電気抵抗をテスタ等の測定装置によって測定することによって取得された抵抗値に基づいて、複数の保持容量119のなかから不良保持容量119Aを特定することも可能である。
【0059】
液晶パネル100が組み上がるまでの段階で、言い換えれば、液晶パネル100の製造プロセスの早い段階で不良保持容量119Aを特定することによって、液晶パネル100の製造プロセスの早い段階で不良保持容量119Aを破壊しておくことができる。したがって、液晶パネル100を組み上げた後に液晶パネル100に画像を表示させるまでもなく、不良保持容量119Aの存在を一因とする表示品位の低下を抑制可能である。
【0060】
次に、図7及び図8に示すように、不良保持容量119Aが電圧破壊されるように、不良保持容量119Aが有する一対の容量電極119aA及び119bA間に電圧Vを印加する(ステップS20)。
【0061】
より具体的には、例えば、不良保持容量119Aを含む不良画素部70Aは、複数の走査線112に含まれる一の走査線112Aと、複数のデータ線114に含まれる一のデータ線114Aとの夫々に電気的に接続されており、不良保持容量119Aを破壊する際に、走査線112Aを介して不良画素部70Aに供給された選択信号SEによって非導通状態から導通状態に切り替えられるTTF30Aを介してデータ線114A及び不良保持容量119Aが相互に電気的に接続された後、データ線114Aを介して不良保持容量119Aに電圧Vを印加される。
【0062】
したがって、画像表示領域10aにマトリクス状に設けられた複数の画素部70のうち不良保持容量119Aを含む不良画素部70Aのみに、不良保持容量119Aを破壊するための電圧Vを印加される。
【0063】
よって、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、レーザ光を正確に不良保持容量119Aに照射することなく、電圧Vを印加するという電気的な方法によって、不良保持容量119Aを破壊できる。したがって、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、例えば、画素ピッチが微細化された液晶装パネルでも、不良保持容量119Aを正確に破壊できる。
【0064】
このように、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法によれば、液晶パネル100の製造プロセスの段階で不良保持容量119Aが形成された場合でも不良保持容量119Aを正確に破壊できるため、液晶パネル100の動作時において、当該破壊された不良保持容量119Aを含む不良画素部70Aに、白表示或いは中間調表示より表示品位を低下させない黒表示を行わせることが可能になり、画像の表示品位が低下することが抑制された液晶パネル100を製造できる。
【符号の説明】
【0065】
9a・・・画素電極、30・・・TFT、100・・・液晶パネル、101・・・データ線駆動回路、104・・・走査線駆動回路、112・・・走査線、114・・・データ線、119・・・保持容量、200・・・サンプリング回路、500・・・表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上の表示領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の夫々の交差に対応して各々設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極の夫々に電気的に接続された複数の保持容量とを備え、ノーマリーブラック方式で駆動される液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であって、
前記複数の保持容量のうち不具合が生じている不良保持容量を特定する第1工程と、
前記不良保持容量が電圧破壊されるように、前記不良保持容量が有する一対の容量電極間に電圧を印加する第2工程と
を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
前記不良保持容量を含む不良画素部は、前記複数の走査線に含まれる一の走査線と、前記複数のデータ線に含まれる一のデータ線との夫々に電気的に接続されており、
前記第2工程において、前記一の走査線を介して前記不良画素部に供給された選択信号によって非導通状態から導通状態に切り替えられるスイッチング素子を介して前記一のデータ線及び前記不良保持容量が相互に電気的に接続された後、前記一のデータ線を介して前記不良保持容量に前記電圧を印加すること
を特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記表示領域に画像を表示させた状態で前記不良画素部を特定し、前記不良画素部に含まれる保持容量を前記不良保持容量として特定すること
を特徴とする請求項2に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項4】
前記不良画素部の不良モードは、白点欠陥又は中間調欠陥であること
を特徴とする請求項3に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程及び前記第2工程のうち少なくとも前記第1工程は、前記基板上に前記不良保持容量が形成されたタイミングから、前記液晶装置が組み上がるタイミングまでの期間に実行され、該期間中に実行される第1工程では、前記複数の保持容量の夫々が有する一対の容量電極間の電気抵抗を測定することによって取得された抵抗値に基づいて、前記複数の保持容量のなかから前記不良保持容量を特定すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項6】
基板と、前記基板上の表示領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の夫々の交差に対応して各々設けられた複数の画素電極と、前記複数の画素電極の夫々に電気的に接続された複数の保持容量とを備え、ノーマリーブラック方式で駆動される液晶装置を検査するための液晶装置の検査方法であって、
前記複数の保持容量のうち不具合が生じている不良保持容量を特定する第1工程と、
前記不良保持容量が電圧破壊されるように、前記不良保持容量が有する一対の容量電極間に電圧を印加する第2工程と
を備えたことを特徴とする液晶装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−191241(P2010−191241A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36255(P2009−36255)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】