説明

液晶駆動装置、液晶装置及びその駆動方法

【課題】低コストで、ゆり戻し現象を改善できる液晶駆動装置等を提供する。
【解決手段】画像処理コントローラ200は、1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割するN倍速駆動部210と、液晶装置の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行う駆動補償部220と、を含む。駆動補償部220は、N個のフィールドの内の第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、N個のフィールドの内の第(M+1)のフィールドにおいては第Mのフィールドにおけるオーバードライブ駆動とは逆の極性方向にオーバードライブ駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶駆動装置、液晶装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶装置は、低消費電力、省スペースの表示装置として広く普及している。このような液晶装置は、コンピュータのモニタ装置のみならず、携帯電話機に代表される携帯機器向けの表示装置や、テレビ受信機用の表示装置としても急速に普及している。その一方、液晶装置の高性能化は目覚ましく、応答速度やコントラスト比の向上により、デスクトップ型のコンピュータやワークステーションのCRT表示装置に置換可能な液晶装置が登場するに至っている。
【0003】
近年、大画面の表示装置や小型の表示装置では、動画表示の用途が増加しており、液晶装置において動画を高速に応答できることが求められている。しかしながら、液晶装置はCRT(cathode ray tube)に比べて応答速度の点で劣っていることは広く知られている。そこで、液晶装置において応答速度を改善し良好な動画表示性能を実現することが強く望まれている。
【0004】
液晶装置の応答速度が遅い原因としては、使用される液晶モード、液晶材料、画素の構造等が挙げられる。また、液晶装置の応答速度は、使用状況によっても低下する。例えば、液晶装置の応答速度は、低温雰囲気下で使用された場合や、中間階調から中間階調への階調変化の場合等に、さらに遅くなる。そして、上記のような原因や使用状況等により、液晶装置の応答速度が1フレーム期間(フレームレートが一般的な60fpsの場合には、約16ms)よりも遅くなると、表示される動画にボケ、残像、尾引き等が発生することになる。
【0005】
このような液晶装置の応答速度を高速にする駆動制御として、いわゆるオーバードライブ駆動補償が知られている。オーバードライブ駆動補償は、1フレーム期間内において目標階調よりも高い階調電圧を印加する技術である。
【0006】
なお、関連する技術として、下記の特許文献1には、複数の信号線と複数の走査線とを有する液晶パネルと、液晶表示データに応じた表示電圧を該信号線に与える信号ドライバ回路と、該走査線に走査指示信号を与える走査ドライバ回路と、外部から供給される表示制御信号(入力制御信号)及び表示データ(入力表示データ)を該信号ドライバ回路及び走査ドライバ回路を駆動するための液晶制御信号及び液晶表示データに変換する液晶制御回路とを備える液晶表示装置において、液晶制御回路は、入力表示データを予め定めた変換方法で変換して補正液晶表示データを出力する表示データ変換手段を具備し、入力制御信号の1周期分の時間である1フレーム期間をN分割し(Nは2以上の整数、1分割期間をフィールドとする)、走査線は、互いに隣接する複数の走査線を含むN個のグループに分けられ、走査ドライバ回路は、各フィールド期間に、N個のグループのうちの2つのグループの走査線を各グループに含まれる全走査線数よりも少ない走査線毎に交互に選択し、各グループの1フレーム期間に含まれるNフィールド中には、表示データ変換手段で変換処理された補正液晶表示データで駆動するフィールドと、表示データ変換手段で変換処理されない液晶表示データで駆動するフィールドとが含まれていることを特徴とする液晶表示装置が掲載されている。
【0007】
しかしながら、オーバードライブ駆動補償を用いても、液晶モードによっては、中間階調から中間階調への階調変化の場合等に、1フレーム期間(約16ms)程度までにしか応答速度を改善することができない。
【0008】
ところで、垂直配向モードの液晶装置、特に画素領域内の液晶分子のチルト方向が異なる複数のドメインを形成したマルチモード垂直配向(Multi-domain Vertical Alignment:以下、MVA)型の液晶装置は、コントラスト比に優れ、広い視野角を提供する表示装置の提供に寄与できる。
【0009】
しかしながら、MVA型の液晶装置の応答速度については、黒、白、黒の順番に駆動すると液晶の高速応答により画質の向上を図ることができるが、黒から中間調の順番に駆動すると、たとえオーバードライブ駆動補償を行っても、いわゆるゆり戻し現象が発生して動画の画質を改善できないという問題があった。
【0010】
ゆり戻し現象を改善する技術は、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2には、液晶分子を所定の傾斜方向に傾斜させる高分子層でプレチルトを形成させた液晶装置が開示されている。
【0011】
【特許文献1】特許第3749433号公報
【特許文献2】特開2005−338199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで、ゆり戻し現象を改善できる液晶駆動装置、液晶装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、
液晶装置を駆動するための液晶駆動装置であって、
1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割する倍速駆動手段と、
前記液晶装置の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行う駆動補償手段と、
を含み、
前記駆動補償手段が、
前記N個のフィールドの内の第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、前記N個のフィールドの内の第(M+1)のフィールドにおいては前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ駆動とは逆の極性方向にオーバードライブ駆動することを特徴とする液晶駆動装置に関係する。
【0014】
本発明によれば、第Mのフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動される。これにより、ゆり戻し現象の改善を実現することができるとともに、画像のエッジが強調され、動画がシャープに見えるようになる。また、第(M+1)のフィールドにおいては第Mのフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動される。これにより、画像のボケや尾引きを低減することができるようになる。しかも、既存の液晶装置の構造を流用して、非常に低コストで実現することができる。
【0015】
また本発明に係る液晶駆動装置では、
第j(jは、2以上の自然数)のフレームに駆動補償を行う場合に、
前記第2の手段が、
前記第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差に基づいてドット毎に前記第M及び第(M+1)のフレームの画像データを補正し、該画像データに対応したオーバードライブ電圧を前記液晶層に印加することができる。
【0016】
また本発明に係る液晶駆動装置では、
前記第2の手段が、
第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差が大きいほど、前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ電圧が大きくなるように該オーバードライブ電圧を前記液晶層に印加することができる。
【0017】
また本発明に係る液晶駆動装置では、
前記液晶装置が、
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有することができる。
【0018】
また本発明は、
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有する液晶装置であって、
階調データに対応した駆動電圧が印加される第1の電極と、
所与のコモン電圧が印加される第2の電極と、
前記第1及び第2の電極に挟持される前記液晶層と、
前記第1の電極を駆動する請求項4記載の液晶駆動装置と、
を含むことを特徴とする液晶装置に関係する。
【0019】
本発明によれば、低コストでゆり戻し現象の改善を実現することができる液晶装置を提供できる。
【0020】
また本発明に係る液晶装置では、
前記液晶層に光を供給するためのバックライトと、
前記バックライトを制御するためのバックライト制御装置と、
を更に含み、
前記バックライト制御装置が、
前記第Mのフィールドにおいては前記バックライトをオフに制御し、前記(M+1)のフィールドにおいては前記バックライトをオンに制御することができる。
【0021】
また本発明は、
液晶装置の駆動方法であって、
1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割するステップと、
前記液晶装置の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行うステップと、
を含み、
前記駆動補償を行うステップが、
前記N個のフィールドの内の第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、前記N個のフィールドの内の第(M+1)のフィールドにおいては前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ駆動とは逆の極性方向にオーバードライブ駆動すること
を特徴とする液晶装置の駆動方法に関係する。
【0022】
また本発明に係る液晶装置の駆動方法では、
第j(jは、2以上の自然数)のフレームに駆動補償を行う場合に、
前記第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差に基づいてドット毎に前記第M及び第(M+1)のフレームの画像データを補正し、該画像データに対応したオーバードライブ電圧を前記液晶層に印加することができる。
【0023】
また本発明に係る液晶装置の駆動方法では、
第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差が大きいほど、前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ電圧が大きくなるように該オーバードライブ電圧を前記液晶層に印加することができる。
【0024】
また本発明に係る液晶装置の駆動方法では、
前記液晶装置が、
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有することができる。
【0025】
上記のいずれかの発明によれば、低コストで、ゆり戻し現象を改善できる液晶装置の駆動方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。また同一の構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0027】
1. 液晶装置
図1に、本実施形態における液晶装置が適用された電子機器の構成例を示す。図1では、液晶装置として表示モジュールが採用された例を示している。また図1では、電子機器として、液晶ディスプレイ装置に接続されたパーソナルコンピュータシステムを例に示すが、例えば携帯電話機、携帯型情報機器(PDA等)、デジタルカメラ、プロジェクタ、携帯型オーディオプレーヤ、マスストレージデバイス、ビデオカメラ、電子手帳、GPS(Global Positioning System)装置、ゲーム装置、プロジェクタ(投写型表示装置)等であってもよい。
【0028】
パーソナルコンピュータシステム10は、表示モジュール100、ホスト700、セット側画像処理装置710を含む。ホスト700は、パーソナルコンピュータ本体等であり、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリやハードディスク装置等の記憶媒体を有し、表示モジュール100に表示する画像の画像データを生成する。セット側画像処理装置710は、ホスト700からの画像データに対して例えばスケーラ処理等の画像処理を行う。表示モジュール100では、セット側画像処理装置710からの画像データに対して更に画像処理が行われ、該画像処理後の画像データに基づく画像表示制御が行われる。
【0029】
表示モジュール100(広義には液晶装置)は、表示パネル110(広義には電気光学装置)を有する。表示パネル110は、パネル基板上に、LCDパネルである表示パネル110が形成されている。この表示パネル110は、アクティブマトリックス方式のパネルであり、複数のゲート線と、複数のソース線と、各画素が各ゲート線及び各ソース線により特定される複数の画素とを含む。
【0030】
図2に、図1の表示パネル110の画素の等価回路の一例を示す。
【0031】
表示パネル110の複数のゲート線の各ゲート線は、複数のソース線の各ソース線に交差するように配置され、各ゲート線及び各ソース線の交差位置に対応する領域に各画素が設けられる。図2では、ゲート線Gとソース線Sの交差位置に対応する領域に画素が設けられている。
【0032】
ゲート線Gとソース線Sの交差位置に対応する領域に設けられる画素は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)STRvuを有する。薄膜トランジスタSTRvuのソースにソース線Sが接続され、薄膜トランジスタSTRvuのゲートにゲート線Gが接続され、薄膜トランジスタSTRvuのドレインに画素電極PEvuが接続される。選択されたゲート線Gに接続される薄膜トランジスタSTRvuがオンすると、該薄膜トランジスタSTRvuのソースに接続されるソース線Sの電圧が薄膜トランジスタSTRvuのドレインに接続される画素電極PEvuに印加される。画素電極PEvuと対向して、所与のコモン電圧が印加されるコモン電極VCOMが設けられている。画素電極PEvuとコモン電極VCOMとの間に液晶層として液晶(広義には電気光学素子)が封入され、該液晶の印加電圧に応じて画素の透過率が変化する。
【0033】
また、液晶のリーク等により画素の透過率の変化を防止するために、液晶の印加電圧に対応した電荷を保持するために、画素電極PEvuと並列に補助容量(保持容量、蓄積容量)CSvuが設けられている。図2では、補助容量CSvuの一端が画素電極PEvuに接続され、補助容量CSvuの他端がコモン電極VCOMに接続されるが、補助容量CSvuの他端に他の電圧が印加されるように構成されていてもよい。補助容量CSvuを設けることで、一旦、画素電極PEvuの電圧を印加した後は、液晶(液晶層)に定常的に電圧を印加できるようになる。
【0034】
ところで、本実施形態における表示パネルは、垂直配向モードで動作する液晶表示(Liquid Crystal Display:LCD)パネルである。より具体的には、表示パネル110は、画素領域内の液晶分子のチルト方向が異なる複数のドメインを形成したMVA型のLCDパネルである。
【0035】
図3に、本実施形態における表示パネル110の断面構造を模式的に示す。
【0036】
表示パネル110は、画素電極が形成されるTFT基板(パネル基板)112と、コモン電極が形成されるコモン基板114とを含み、TFT基板112及びコモン基板114の間に液晶が封入された液晶層を有する。TFT基板112には、リブと呼ばれる形状の画素電極116〜116が形成される。コモン基板114には、リブと呼ばれる形状のコモン電極118、118が形成される。そして、両基板のリブが対向した状態で、その間に液晶が封入されるように両基板が貼り合わされる。この結果、液晶分子LC1〜LC5のように配向して、複数のドメインが形成される。
【0037】
図4に、表示パネル110の構成の概要を示す。
【0038】
更に、表示パネル110には、図4に示すように、TFT基板112とコモン基板114を挟むようにその両側に、互いに偏光方向が直交する第1及び第2の偏光フィルタ(偏光素子)119、119を有する。例えば、第1の偏光フィルタ119は、コモン基板114の外側に配設され、コモン基板114の主面と平行に所与の向きの光吸収軸を有する。第2の偏光フィルタ119は、TFT基板112の外側に配設され、TFT基板112の主面と平行に、第1の偏光フィルタ119の光吸収軸と直交する向きの光吸収軸を有する。
【0039】
このような表示パネル110を駆動するために、表示モジュール100には、図1に示すように液晶駆動装置150が設けられる。液晶駆動装置150は、ゲート基板120、データ基板130、コントロール基板140を含む。
【0040】
ゲート基板120は、表示パネル110の複数のゲート線を走査するための1又は複数のゲートドライバ122〜122(Kは自然数)が実装されるフレキシブル基板である。ゲート基板120に設けられたゲートドライバ122〜122の出力電極が表示パネル110の複数のゲート線と電気的に接続されるように、ゲート基板120が表示パネル110(表示モジュール100)に異方性導電性フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)接続される。
【0041】
データ基板130は、表示パネル110の複数のソース線を画像データに基づいて駆動するための1又は複数のソースドライバ132〜132(Jは自然数)が実装されるフレキシブル基板である。データ基板130に設けられたソースドライバ132〜132の出力電極が表示パネル110の複数のソース線と電気的に接続されるように、データ基板130が表示パネル110(表示モジュール100)にACF接続される。
【0042】
コントロール基板140は、インタフェース(Interface:I/F)回路142、メモリ144及び画像処理コントローラ(広義には画像処理装置)200が実装されるプリント基板(Printed Circuit Board)である。I/F回路142は、セット側画像処理装置710とのI/F処理を行う。
【0043】
画像処理コントローラ200は、セット側画像処理装置710からの画像データに対して、オーバードライブ駆動補償を行うために更に画像処理(例えば画像データの補正処理)を行い、ソースドライバ132〜132に対して画像処理後の画像データを供給すると共に、ソースドライバ132〜132及びゲートドライバ122〜122に対して表示タイミング信号を供給する。これにより、液晶駆動装置150(ソースドライバ132〜132)は、表示パネル110をオーバードライブ駆動することができる。
【0044】
メモリ144は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メモリ144には、画像処理コントローラ200の設定情報が格納されたり、画像処理コントローラ200の作業データが格納されたりする。画像処理コントローラ200は、メモリ144に格納された設定情報を読み出すことで、該設定情報に対応した画像処理を行うことができる。
【0045】
このようなコントロール基板140は、フレキシブルケーブル(flexible cable)によりデータ基板130のソースドライバ132〜132と電気的に接続される。なお、ゲート基板120及びデータ基板130は、図示しないフィルム配線等により信号のやり取りができるようになっている。
【0046】
従って、液晶駆動装置150は、表示パネル110の複数のゲート線を走査するゲートドライバと、表示パネル110の複数のソース線を画像データに基づいて駆動するソースドライバと、該ソースドライバに対して画像処理後の画像データを供給する画像処理コントローラとを含むということができる。また、表示モジュール100は、表示パネル110と、表示パネル110の複数のソース線を駆動するソースドライバと、表示パネル110の複数のゲート線を走査するゲートドライバと、複数のソースドライバに対して画像データを出力する画像処理コントローラ200とを含むということができる。
【0047】
このようにパーソナルコンピュータシステム10では、ホスト700で生成された画像データは、セット側画像処理装置710により、スケール処理やオーバーレイ処理等が行われる。セット側画像処理装置710による画像処理後の画像データは、I/F回路142を介して画像処理コントローラ200により、少なくともオーバードライブ処理(オーバードライブ駆動補償を行うための画像データの補正処理)が行われ、該処理後の画像データがソースドライバ132〜132に供給される。ソースドライバ132〜132は、ゲートドライバ122〜122と協調して、表示パネル110を画像データに基づいて駆動する。
【0048】
なお、図1では、コントロール基板140にメモリ144が実装されているものとして説明したが、該メモリ144が画像処理コントローラ200やI/F回路142に内蔵されていてもよい。
【0049】
ところで、MVA型の表示パネルには、ゆり戻し現象に起因して、液晶の応答性を悪化させる現象が知られている。
【0050】
図5に、本実施形態におけるゆり戻し現象の説明図を示す。
【0051】
図5において、図3と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0052】
MVA型の表示パネルでは、図3に示すように、液晶の印加電圧が無印加状態のときには、液晶分子LC1〜LC5(より具体的には液晶分子LC1〜LC5の長軸方向)は、液晶層の面(TFT基板の主面、コモン基板の主面、画素電極の主面、コモン電極の主面)に対して垂直な方向に配向されている。このような液晶分子の状態から、オーバードライブ駆動を行うと、液晶に急激に高い電圧が印加され、画素電極付近(TFT基板付近)及びコモン電極付近(コモン基板付近)に位置する液晶分子は即座に反応できる。これに対して、画素電極付近(TFT基板付近)及びコモン電極付近(コモン基板付近)から遠くに位置する液晶分子は、どちらの向きにも傾斜でき、結果的に、電極付近に位置する液晶分子よりも遅れて応答することになる。
【0053】
例えば、図5の液晶分子LC1、LC2、LC4、LC5は、電極付近に位置するため高速に応答できるが、液晶分子LC3の応答が遅れる。この現象がゆり戻し現象として現れ、オーバードライブ駆動を行っても動画の画質を改善できない原因となる。
【0054】
図6に、本実施形態におけるゆり戻し現象のタイミングの一例を示す。
【0055】
第(j−1)(jは2以上の整数)のフレームにおいて、第(j−1)のフレームの次のフレームである第jのフレームに階調GVに対応した電圧を液晶に印加するために、第(j−1)のフレームの階調GVj−1と第jのフレームの階調GVとの差difに対応したオーバードライブ電圧を用いてソース線をオーバードライブ駆動する。この結果、第jのフレームでは、光学応答が早くなる。
【0056】
しかしながら、次の第(j+1)のフレームにおいて、上記の理由でゆり戻し現象が発生し、画質の改善を阻害してしまう。
【0057】
そこで、このようなゆり戻し現象に起因する画質の悪化を改善するために、1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数。ここでは、N=2とする。)のフィールドに分割し、第M(Mは、Nより小さい自然数。ここでは、M=1とする。)のフィールドにおいてオーバードライブをより強くする駆動制御を行うことが考えられる。
【0058】
図7に、上記のような駆動制御を行った場合のタイミング及び表示画像の一例を示す。
【0059】
第(j−1)(jは2以上の整数)のフレームの第2のフィールドにおいて、第(j−1)のフレームの次のフレームである第jのフレームに階調GVに対応した電圧を液晶に印加するために、第(j−1)のフレームの階調GVj−1と第jのフレームの階調GVとの差difに対応したオーバードライブ電圧を用いて、表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにソース線をオーバードライブ駆動する。この結果、第jのフレームの第1のフィールドでは、表示階調が目標階調をオーバーシュートし、光学応答が早くなり、また、ゆり戻しによって表示階調が目標階調を下回ってしまうこと(図6参照)をなくすことができる。
【0060】
また、このように表示階調を目標階調に対して適度にオーバーシュートさせると、画像のエッジが強調され、動画がシャープに見えるようになる。
【0061】
しかしながら、このような駆動制御を行うと、図7の下段に示すように、表示画像の尾引きが長くなってしまう。また、図7の上段に示すように、表示階調が第jのフレーム内において目標階調に収束する(到達する)ことが出来なくなってしまう場合がある。特に、前述のMVA型の液晶パネル等においては、中間階調から中間階調への階調変化の場合等に応答速度が遅いため、表示階調が第jのフレーム内において目標階調に収束することが出来なくなってしまう場合がある。これにより、ボケや尾引きが強調されてしまい、動画画質を却って悪化させてしまうことになる。
【0062】
そこで、本実施形態では、1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数。本実施形態においては、N=2とする。)のフィールドに分割するステップと、液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行うステップとを設け、駆動補償を行うステップが、第M(Mは、Nより小さい自然数。ここでは、M=1とする。)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、第(M+1)のフィールドにおいては第Mのフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動することとした。
【0063】
図8に、上記のような駆動制御を行った場合のタイミング及び表示画像の一例を示す。
【0064】
本実施形態では、第jのフレームの第1のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動(ここでは、高電位側にオーバードライブ駆動)される。こうすることで、画像のエッジが強調され、動画がシャープに見えるようになる。
【0065】
また、第jのフレームの第2のフィールドにおいては第1のフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動(ここでは、低電位側にオーバードライブ駆動)される。こうすることで、図8の下段に示すように、図7の下段と比べて表示画像の尾引きを短くすることができるようになる。また、図8の上段に示すように、表示階調が第jのフレーム内において目標階調に収束する(到達する)ことができるようになる。これにより、ボケや尾引きを低減することができるようになる。
【0066】
また、既存の表示パネル110の構造を流用できるため、非常に低コストで、ゆり戻し現象に起因する画質の悪化を改善することができる。
【0067】
2. 液晶駆動装置
本実施形態では、オーバードライブ駆動を、画像処理コントローラ200において画像データを補正することで実現する。こうすることで、既存のソースドライバを流用でき、低コスト化を図ることができる。
【0068】
図9に、本実施形態における画像処理コントローラ200の機能ブロック図の一例を示す。
【0069】
画像処理コントローラ200は、N倍速駆動部210(広義には、倍速駆動手段)と駆動補償部220(広義には、駆動補償手段)と、を含むことができる。
【0070】
N倍速駆動部210は、セット側画像処理装置710(図1参照)から供給されるクロック信号ICLK及びデータイネーブル信号IDATAENABをN倍速(Nは、2以上の自然数)にしたクロック信号OCLK及びデータイネーブル信号ODATAENABを生成して、駆動補償部220及びソースドライバ132〜132(図1参照)に出力する。
【0071】
駆動補償部220は、表示パネル110(液晶装置)の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行う。より具体的には、駆動補償部220は、前フレームの画像データと現フレームの画像データとの差分に応じた補償値がそれぞれ加算又は減算された第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールド画像データに対応した駆動電圧を液晶に印加し、前フレームの画像データと現フレームの画像データとの差分に応じた補償値がそれぞれ加算又は減算された第(M+1)のフィールド画像データに対応した駆動電圧を液晶に印加する制御を行う。
【0072】
図10に、図9の画像処理コントローラ200のハードウェア構成例を示す。
【0073】
画像処理コントローラ200の駆動補償部220は、メモリ221、コンパレータ222、ルックアップテーブル(LUT)223、LUTアドレス発生回路224、補間演算部225、第1及び第2フィールド補償演算部226、226、前フィールドデータ読み出し回路227、フレームデータ書き込み回路228を含む。
【0074】
前フィールドデータ読み出し回路227は、N倍速駆動部210によって生成された読み出し用クロックに同期して、1フィールド前の画像データを、メモリ144から読み出す。
【0075】
メモリ221は、セット側画像処理装置710(図1参照)から供給される入力画像データ(フレーム画像データ)IDAT(以下、Datともいう。)をバッファリングする。このメモリ221は、駆動補償部220の内部回路が入力画像データIDATのN倍速で動作するので、入力画像データIDATをラッチするために設けられているものである。
【0076】
コンパレータ222は、入力画像データと前フィールドデータ読み出し回路227にバッファリングされた1フィールド前の画像データとを比較する。コンパレータ222の比較結果は、補償値補間演算部225に出力される。
【0077】
LUT223には、入力画像データと1フィールド前の画像データとに対応して駆動補償すべき補償値が予め登録されている。
【0078】
図11に、図10のLUT223の登録値の説明図を示す。
【0079】
LUT223には、例えばS(Sは2以上の整数)ビットの複数の補償値が登録されている。各補償値の上位ビット(又は下位ビット)は第Mのフィールドのオーバードライブ駆動用の補償値αであり、各補償値の下位ビット(又は上位ビット)は第(M+1)のフィールドのオーバードライブ駆動用の補償値βである。このような各補償値は、LUT223に割り当てられたLUTアドレスにより特定される。LUT223は、LUTアドレスに対応した補償値を出力する。
【0080】
LUT223の上位ビット(又は下位ビット)には、第j(jは2以上の整数)及び第(j−1)のフレームの画像データの差が大きいほどオーバードライブ電圧が大きくなるように、すなわち第Mのフィールドにおいて表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動する補償値が登録されている。また、LUT223の下位ビット(又は上位ビット)には、第(M+1)のフィールドにおいて第M番目のフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動する補償値が登録されている。
【0081】
LUTアドレス発生回路224は、上位ビット(又は下位ビット)が前フィールドの画像データであり、下位ビット(又は上位ビット)が入力画像データとなるようにLUTアドレスを生成する。
【0082】
これにより、前フィールド及び入力画像データに基づいて、LUT223からは、第Mのフィールドのオーバードライブ駆動用の補償値と第(M+1)のオーバードライブ駆動用の補償値とが読み出される。
【0083】
図10において、LUTアドレス発生回路224は、入力画像データと1フィールド前の画像データとに対応してLUT223のアドレスを発生させて、LUT223から該アドレスに対応して登録されている補償値を読み出す。
【0084】
補償値補間演算部225は、コンパレータ222からの比較結果信号に基づいて、LUT223から読み出された補償値の補間演算を行う。より具体的には、コンパレータ222からの比較結果信号により入力画像データと1フィールド前の画像データとが一致したことが検出されたとき、補償値補間演算部225は、LUT223から読み出された補償値の補間演算を行うことなく、該補償値をそのまま第1及び第2フィールド補償演算部226、226に出力する。
【0085】
またコンパレータ222からの比較結果信号により入力画像データと1フィールド前の画像データとが不一致であることが検出されたとき、補償値補間演算部225は、LUT23から読み出された2つの補償値のそれぞれに対して、両画像データの差分に応じた線形補間処理演算を行って、処理後の補償値を第1及び第2フィールド補償演算部226、226に出力する。第1フィールド補償演算部226には、第Mのフィールドのオーバードライブ駆動用の補償値αn−1が入力され、第2フィールド補償演算部226には、第(M+1)のフィールドのオーバードライブ駆動用の補償値βn−1が入力される。
【0086】
第1フィールド補償演算部226は、第n(nは、2以上の自然数)のフレームの第1のフィールド期間においては、セット側画像処理装置710からの画像データDat(n)と補償値補間演算部225からの補間演算後の補償値α(n)1f(添字「1f」は、第1のフィールドを表す。)との加減算処理を行い、出力画像データODAT(Dat(n)±α(n)1f)として出力する。また、第1フィールド補償演算部226は、第nのフレームの第2のフィールド期間においては、セット側画像処理装置710からの画像データDat(n)と補償値補間演算部225からの補間演算後の補償値α(n)2f(添字「2f」は、第2のフィールドを表す。)との加減算処理を行い、出力画像データODAT(Dat(n)±α(n)2f)として出力する。
【0087】
第2フィールド補償演算部226は、第nのフレームの第1のフィールド期間においては、セット側画像処理装置710からの画像データDat(n)と補償値補間演算部225からの補間演算後の補償値β(n)1fとの加減算処理を行い、処理後の画像データDat(n)±β(n)1fを生成する。また、第2フィールド補償演算部226は、第nのフレームの第2のフィールド期間においては、セット側画像処理装置710からの画像データDat(n)と補償値補間演算部225からの補間演算後の補償値β(n)2fとの加減算処理を行い、処理後の画像データDat(n)±β(n)2fを生成する。
【0088】
フレームデータ書込み回路228は、第nのフレームの第1のフィールド期間において第2フィールド補償演算部226の出力Dat(n)±β(n)1fを、N倍速駆動部210によって生成された書き込み用クロックに同期してメモリ144に書き込む。このフレームデータ書込み回路228で書き込まれた画像データが、第nのフレームの第2のフィールドにおいて前フィールド画像データDat(n)±β(n)1fとして読み出される。また、フレームデータ書込み回路228は、第nのフレームの第2のフィールド期間において第2フィールド補償演算部226の出力Dat(n)±β(n)2fを、N倍速駆動部210によって生成された書き込み用クロックに同期してメモリ144に書き込む。このフレームデータ書込み回路228で書き込まれた画像データが、第(n+1)のフレームの第1のフィールドにおいて前フィールド画像データDat(n)±β(n)2fとして読み出される。
【0089】
図12に、図10の画像処理コントローラ200の動作タイミングの一例を示す。
【0090】
図12では、第nのフレームに表示パネル110のソース線を駆動するための画像データを生成するものとする。このとき、画像処理コントローラ200は、第nのフレームを2つのフィールドに分割する。
【0091】
そして、第nのフレームの第1のフィールドにおいては、メモリ221からコンパレータ222に入力画像データDat(n)が入力され、前フィールドデータ読み出し回路227がメモリ144から1フィールド前の画像データDat(n−1)±β(n−1)2fを読み出す。コンパレータ222は、両画像データを比較する。
【0092】
LUTアドレス発生回路224は、入力画像データDat(n)と1フィールド前の画像データDat(n−1)±β(n−1)2fとを連結してLUTアドレスを生成し、LUT223から補償値α(n)1f、β(n)1fを読み出す。
【0093】
第1フィールド補償演算部226は、入力画像データDat(n)と補償値α(n)1fとを加算又は減算して、画像データODATとして出力する。この画像データODATに対応した電圧が、第nのフレームの第1のフィールドにおけるオーバードライブ駆動用電圧が加味された電圧となる。
【0094】
第2フィールド補償演算部226は、入力画像データDat(n)と補償値β(n)1fとを加算又は減算し、フレームデータ書込み回路228が、Dat(n)±β(n)1fをメモリ144にバッファリングする。そして、このDat(n)±β(n)1fが、第nのフレームの第2のフィールドにおいて前フィールドデータとして読み出される。
【0095】
第nのフレームの第2のフィールドにおいては、前フィールドデータ読み出し回路227がメモリ144から1フィールド前の画像データDat(n)±β(n)1fを読み出す。コンパレータ222は、入力画像データDat(n)と1フィールド前の画像データDat(n)±β(n)1fとを比較する。
【0096】
LUTアドレス発生回路224は、入力画像データDat(n)と1フィールド前の画像データDat(n)±β(n)1fとを連結してLUTアドレスを生成し、LUT223から補償値α(n)2f、β(n)2fを読み出す。
【0097】
第1フィールド補償演算部226は、入力画像データDat(n)と補償値α(n)2fとを加算又は減算して、画像データODATとして出力する。この画像データODATに対応した電圧が、第nのフレームの第2のフィールドにおけるオーバードライブ駆動用電圧が加味された電圧となる。
【0098】
第2フィールド補償演算部226は、入力画像データDat(n)と補償値β(n)2fとを加算又は減算し、フレームデータ書込み回路228が、Dat(n)±β(n)2fをメモリ144にバッファリングする。そして、このDat(n)±β(n)2fが、第(n+1)のフレームの第1のフィールドにおいて前フィールドデータとして読み出される。
【0099】
図13に、本実施形態における表示パネル110の駆動電圧及び光学応答の一例を示す。
【0100】
図13では、第nのフレームにおいて行われるオーバードライブ駆動に着目して、階調の変化、駆動電圧の変化及び光学応答の変化の一例を示している。
【0101】
第(n−1)のフレームから第nのフレームに階調が切り替わる場合に、第nのフレームの第1のフィールドにおいて、第(n−1)のフレームの第2のフィールドの画像データと第nのフレームの第1のフィールドの画像データとの差分に対応して、表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ電圧が加味された駆動電圧(ここでは、高電位側にオーバードライブされた駆動電圧)が表示パネル110の液晶に印加され、オーバードライブ駆動が行われる。この結果、図13の応答Resp1に示すように、第nのフレームの第1のフィールドにおいて、光学応答が目標階調をオーバーシュートするように変化する。
【0102】
次に、第nのフレームの第2のフィールドにおいて、第nのフレームの第1のフィールドの画像データと第nのフレームの第2のフィールドの画像データとの差分に対応して、第nのフレームの第1のフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ電圧が加味された駆動電圧(ここでは、低電位側にオーバードライブされた駆動電圧)が表示パネル110の液晶に印加され、オーバードライブ駆動が行われる。この結果、図13の応答Resp2に示すように、光学応答が高速化される。
【0103】
そして、第(n+1)のフレーム以降では、駆動電圧が、元の画像データに対応した本来の階調電圧に戻される。
【0104】
図13では、第nのフレームにおけるオーバードライブ駆動に着目したが、実際には、オーバードライブ駆動用の電圧がパイプライン的に各フレームに加味されることになる。
【0105】
このように、本実施形態における画像処理コントローラ200は、1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割し、第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、第(M+1)のフィールドにおいては第Mのフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動する。より具体的には、画像処理コントローラ200は、第n及び第(n−1)のフレームの画像データの差に基づいてドット毎に第nのフレームの第1及び第2のフィールドの画像を補正することができる。その結果、ソースドライバ132〜132は、補正後の画像データに対応した駆動電圧を液晶層に印加できる。
【0106】
これにより、フレームレートが一般的な60fpsの場合に、1フィールド期間(約8ms)での応答を実現することができるようになる。
【0107】
なお、上記の実施形態では、1つのフレームを2つのフィールドに分割する例を説明したが、1つのフレームを3つ以上のフィールドに分割するようにしても良い。この場合、第1のフィールドにおいて、表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、第2のフィールドにおいて第1のフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動するようにしても良いし、第2(又はより後ろでも良い。)のフィールドにおいて、表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、その次(又はより後ろでも良い。)のフィールドにおいて第2のフィールドにおけるオーバードライブとは逆の極性方向にオーバードライブ駆動するようにしても良い。
【0108】
また、本実施形態を液晶装置に関する他の技術と組み合わせるようにしても良い。例えば、スキャン型バックライトと本実施形態とを組み合わせて、第1のフィールドにおいて光学応答が急激に変化している間はバックライトをオフし、第2のフィールドにおいて光学応答が安定したところでバックライトをオンするようにしても良い。このようにすることで、動画特性を一層向上させることができる。
【0109】
3. その他
本実施形態における表示モジュールは、図1に示す構成に限定されるものではない。
【0110】
図14に、本実施形態における表示モジュールの他の構成例を示す。
【0111】
図14において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0112】
図14における表示モジュールが図1における表示モジュールと異なる点は、データ基板(コントロール基板)が省略され、ソースドライバ132〜132、画像処理コントローラ200、メモリ144、I/F回路142が1つの基板上に実装されている点である。こうすることで表示モジュール100の小型化を図ることができるようになる。
【0113】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また画像処理コントローラの構成や、オーバードライブ駆動電圧の算出手法等も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0114】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施形態における液晶装置が適用された電子機器の構成例を示す図。
【図2】図1の表示パネルの画素の等価回路の一例を示す図。
【図3】本実施形態における表示パネルの断面構造を模式的に示す図。
【図4】表示パネルの構成の概要を示す図。
【図5】本実施形態におけるゆり戻し現象の説明図。
【図6】本実施形態におけるゆり戻し現象のタイミングの一例を示す図。
【図7】表示パネルの駆動制御のタイミングの一例を示す図。
【図8】本実施形態の表示パネルの駆動制御のタイミングの一例を示す図。
【図9】本実施形態における画像処理コントローラの機能ブロックの一例を示す図。
【図10】図9の画像処理コントローラのハードウェア構成例を示す図。
【図11】図10のLUTの登録値の説明図。
【図12】図10の画像処理コントローラの動作タイミングの一例を示す図。
【図13】本実施形態における表示パネルの駆動電圧及び光学応答の一例を示す図。
【図14】本実施形態における表示モジュールの他の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0116】
10 パーソナルコンピュータシステム、 100 表示モジュール、
110 表示パネル、 120 ゲート基板、 122〜122 ゲートドライバ、
130 データ基板、 132〜132 ソースドライバ、
140 コントロール基板、 142 I/F回路、 144 メモリ、
150 液晶駆動装置、 200 画像処理コントローラ、 210 N倍速駆動部、
220 駆動補償部、 221 メモリ、 222 コンパレータ、 223 LUT、
224 LUTアドレス発生回路、 225 補償値補間演算部、
226 第1フィールド補償演算部、 226 第2フィールド補償演算部、
227 前フィールドデータ読み出し回路、
228 フレームデータ書込み回路、 700 ホスト、
710 セット側画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶装置を駆動するための液晶駆動装置であって、
1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割する倍速駆動手段と、
前記液晶装置の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行う駆動補償手段と、
を含み、
前記駆動補償手段が、
前記N個のフィールドの内の第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、前記N個のフィールドの内の第(M+1)のフィールドにおいては前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ駆動とは逆の極性方向にオーバードライブ駆動すること
を特徴とする液晶駆動装置。
【請求項2】
請求項1において、
第j(jは、2以上の自然数)のフレームに駆動補償を行う場合に、
前記第2の手段が、
前記第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差に基づいてドット毎に前記第M及び第(M+1)のフレームの画像データを補正し、該画像データに対応したオーバードライブ電圧を前記液晶層に印加すること
を特徴とする液晶駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の手段が、
第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差が大きいほど、前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ電圧が大きくなるように該オーバードライブ電圧を前記液晶層に印加すること
を特徴とする液晶駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記液晶装置が、
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有すること
を特徴とする液晶駆動装置。
【請求項5】
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有する液晶装置であって、
階調データに対応した駆動電圧が印加される第1の電極と、
所与のコモン電圧が印加される第2の電極と、
前記第1及び第2の電極に挟持される前記液晶層と、
前記第1の電極を駆動する請求項4記載の液晶駆動装置と、
を含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
前記液晶層に光を供給するためのバックライトと、
前記バックライトを制御するためのバックライト制御装置と、
を更に含み、
前記バックライト制御装置が、
前記第Mのフィールドにおいては前記バックライトをオフに制御し、前記(M+1)のフィールドにおいては前記バックライトをオンに制御すること
を特徴とする液晶装置。
【請求項7】
液晶装置の駆動方法であって、
1つのフレームをN個(Nは、2以上の自然数)のフィールドに分割するステップと、
前記液晶装置の液晶層に対する駆動の際に駆動補償を行うステップと、
を含み、
前記駆動補償を行うステップが、
前記N個のフィールドの内の第M(Mは、Nより小さい自然数)のフィールドにおいては表示階調が目標階調をオーバーシュートするようにオーバードライブ駆動し、前記N個のフィールドの内の第(M+1)のフィールドにおいては前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ駆動とは逆の極性方向にオーバードライブ駆動すること
を特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項7において、
第j(jは、2以上の自然数)のフレームに駆動補償を行う場合に、
前記第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差に基づいてドット毎に前記第M及び第(M+1)のフレームの画像データを補正し、該画像データに対応したオーバードライブ電圧を前記液晶層に印加すること
を特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、
第j及び第(j−1)のフレームの画像データの差が大きいほど、前記第Mのフィールドにおけるオーバードライブ電圧が大きくなるように該オーバードライブ電圧を前記液晶層に印加すること
を特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかにおいて、
前記液晶装置が、
複数のドメインを形成し垂直配向モードで動作する液晶層を有すること
を特徴とする液晶装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−223259(P2009−223259A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70772(P2008−70772)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】