説明

液滴アクチュエータデバイスおよび磁性ビーズを使用する方法

【課題】磁性応答性ビーズと接触して、減少した量の物質を有する液滴を提供する。
【解決手段】本発明は、ビーズを含む第1の液滴を分裂する方法であって、当該方法は、(a)液滴内でビーズを中央位置にさせるのに十分に第1の液滴に近接して1つ以上のマグネットを配置する工程と、(b)前記液滴を分裂して、ビーズを含む1つ以上の液滴およびビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴を生じる工程と、を含む。また、(a)(i)ビーズと、(ii)添加剤であって、当該添加剤を欠く、対応する対照の液滴に比べて、磁場の存在下においてビーズの固定化、および/または磁場の除去後の再懸濁を高めるのに十分な量で選択ならびに提供される添加剤と、を含む液滴を提供する工程と、(b)前記液滴を分裂して、ビーズを含む1つ以上の液滴およびビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴を生じる工程と、を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1 助成金情報)
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられたCA114993−01A2およびDK066956−02の下で政府支援により行われた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
(2 関連出願)
本出願は、2007年2月9日に出願された「Immobilization of magnetically−responsive beads during droplet operations」という発明の名称の米国仮特許出願第60/900,653号;2007年10月17日に出願された「Immobilization of magnetically−responsive beads in droplets」という発明の名称の同第60/980,772号;2007年9月4日に出願された「Droplet actuator assay improvements」という発明の名称の同第60/969,736号;および2007年10月17日に出願された「Droplet actuator assay improvements」という発明の名称の同第60/980,762号の優先権を主張し、それらは参照により援用される。
【0003】
(3 発明の分野)
本発明は、概して、液滴アクチュエータの分野に関し、具体的には、ビーズ、特に磁性応答性ビーズを含む液滴を用いて実施される液滴操作を必要とする液滴に基づいた処理を実施するために構成される液滴アクチュエータに関する。本発明はまた、かかる液滴アクチュエータを製造して使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(4 本発明の背景)
液滴アクチュエータは、種々の液滴操作を実施するために使用される。液滴アクチュエータは、典型的に、基板の液滴操作表面上で液滴操作を実施するための電極と結合する基板を備え、さらに、液滴操作表面に関して、通常、並行形態で配置される第2の基板も備えて、液滴操作が効果的になる隙間を形成させてもよい。隙間は、典型的に、液体アクチュエータ上で液滴操作に供される流動体と混ざらない流動性充填剤で満たされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液滴アクチュエータの一部の適用において、種々のアッセイのための「ビーズ」を用いる必要性が存在する。ビーズを使用する処理に関して、そのビーズは、典型的に、物質の混合物において、1つ以上の標的物質と結合するために使用される。例えば、標的物質は、検体であっても、汚染物質であってもよい。ビーズの表面と接触され得るか、またはビーズの表面に曝露され得るビーズを含有する液滴における1つ以上の物質の量を低減させるために、液滴アクチュエータ上でのビーズ洗浄についての効果的なアプローチの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(5 本発明の詳細な説明)
本発明の一態様は、液滴に基づいた適用において、磁性応答性ビーズを使用する液滴操作のための磁性応答性ビーズの効果的な固定化を提供する。例としては、ピロシーケンス(pyrosequencing)および免疫学的検定への適用などのビーズ洗浄処理の実施を必要とするアッセイが挙げられる。一例において、本発明は、液滴分裂操作の間、磁性応答性ビーズを固定化するための磁力を使用する技術を提供する。本発明の技術は、液滴アクチュエータ内で磁性応答性ビーズを洗浄するための処理に特に有用である。とりわけ、本発明の利点、技術により、磁性応答性ビーズの過度の凝集または集合が回避される。液滴分裂操作の間に、本技術は、液滴内で実質的に全ての磁性応答性ビーズを有益に固定化することができる。本発明の技術は、液滴洗浄操作の間に、実質的に全ての磁性応答性ビーズの固定化および保持を確実にすることができる。洗浄プロセス終了の際に、本発明の技術は、液滴内で実質的に全ての磁性応答性ビーズの再懸濁を確実にし、それらを実質的に凝集または集合させない。
【0007】
本発明の別の態様は、改良された液滴アクチュエータおよび改良された液滴に基づいたアッセイ操作を効果的にするための関連方法を提供する。本発明の実施形態は、液滴アクチュエータ内の磁場のクロスオーバーを減少させるための機構を提供する。本発明の他の実施形態は、液滴アクチュエータ内のビーズのキャリーオーバーおよび他の物質を減少させるための機構を提供する。本発明のさらに他の実施形態は、液滴アクチュエータ内で液滴検知操作を改良するための機構を提供する。
【0008】
(6 定義)
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、示された意味を有する。
【0009】
1つ以上の電極に対する言及「活性化する」とは、液滴操作をもたらす1つ以上の電極の電気状態の変化を与えることを意味する。
【0010】
液滴アクチュエータ上のビーズに関する「ビーズ」とは、液滴アクチュエータ上の液滴または液滴アクチュエータと近接する液滴と相互作用できる任意のビーズまたは粒子を意味する。ビーズは、球状、ほぼ球状、卵形、円盤形、立方体および他の三次元形状などの種々の形状のいずれであってもよい。ビーズは、例えば、液滴アクチュエータ上の液滴中で移動できるか、あるいは、ビーズは、液滴アクチュエータ上の液滴と、液滴アクチュエータ上のビーズおよび/または液滴アクチュエータから離れたビーズとを接触させることを可能にする方法において、液滴アクチュエータに対して構成されてもよい。ビーズは、例えば、樹脂およびポリマーを含む、種々の材料を用いて製造されてもよい。ビーズは、例えば、マイクロビーズ、微小粒子、ナノビーズおよびナノ粒子を含む、任意の適切なサイズであってもよい。一部の場合において、ビーズは、磁性応答性であり、他の場合において、ビーズは、それほど磁性応答性でなくてもよい。磁性応答性ビーズに関して、磁性応答性材料は、ビーズの実質的に全てを構成してもよいか、またはビーズの1つの構成要素のみであってもよい。ビーズの残りは、とりわけ、ポリマー材料、コーティング、およびアッセイ試薬の付着を可能にする部分を含んでもよい。適切な磁性応答性ビーズの例は、2005年11月24日に公開された「Multiplex flow assays preferably with magnetic particles as solid phase」という発明の名称の米国特許出願公開第2005−0260686号に記載されており、その開示の全ては、磁性応答性材料およびビーズに関するその教示について本明細書中に参照により援用される。ビーズは、そのビーズに付着した1つ以上の生体細胞の集団を含んでもよい。一部の場合において、生体細胞は、実質的に純粋な集団である。他の場合において、生体細胞は、異なる細胞集団、例えば、互いに相互作用する細胞集団を含む。
【0011】
「液滴」とは、流動性充填剤によって少なくとも部分的に結合される液滴アクチュエータ上の液体の量を意味する。例えば、液滴は、完全に流動性充填剤によって取り囲まれてもよいか、または流動性充填剤および液滴アクチュエータの1つ以上の表面によって結合されてもよい。液滴は、種々の形状(非限定的な例として、ほぼ円盤形状、スラグ(slug)形状、先を切り取った球形、楕円、球面、部分的に圧縮された球形、半球形、卵形、シリンダー形、およびかかる形状と、液滴アクチュエータの1つ以上の表面との接触を生じるような融合または分裂または形成などの液滴操作の間に形成される種々の形状が挙げられる)をとってもよい。
【0012】
「液滴操作」とは、液滴アクチュエータ上の液滴の任意の取り扱いを意味する。例えば、液滴操作としては、液滴アクチュエータ内に液滴を負荷すること;供給源の液滴から1つ以上の液滴を分配すること;液滴を2つ以上の液滴に分裂、分離、または分割すること;液滴をある位置から任意の方向の別の位置に移動すること;2つ以上の液滴を単一の液滴に融合または組み合わせること;液滴を希釈すること;液滴を混合すること;液滴を攪拌すること;液滴を変形すること;所定の位置に液滴を維持すること;液滴をインキュベートすること;液滴を加熱すること;液滴を蒸発すること;液滴を冷却すること;液滴を廃棄すること;液滴を液滴アクチュエータから移動すること;本明細書中に記載される他の液滴操作;および/または上述の任意の組み合わせが挙げられる。用語「融合」、「融合すること」、「結合」、「結合すること」などは、2つ以上の液滴から1つの液滴を生成することを示すために使用される。かかる用語が2つ以上の液滴に関して使用される場合、1つの液滴の中に2つ以上の液滴の混合を生じるのに十分な液滴操作の任意の組み合わせが使用されてもよいことは理解されるべきである。例えば、「液滴Aと液滴Bとを融合すること」は、液滴Aを移動させて固定された液滴Bと接触させること、液体Bを移動させて固定された液体Aと接触させること、または液体AおよびBを移動させて互いに接触させることによってなされ得る。用語「分裂」、「分離」および「分割」は、生じる液滴のサイズ(すなわち、生じる液滴のサイズは同じであっても、異なっていてもよい)または生じる液滴の数(生じる液滴の数は2、3、4、5またはそれ以上であってもよい)に関する任意の特定の結果を示唆すると意図されるわけではない。用語「混合すること」とは、液滴を含まない1つ以上の成分のより均一な分布を生じる液滴操作を意味する。液滴操作を「負荷すること」の例としては、微小透析負荷、圧力補助負荷、ロボット負荷、不動態負荷、およびピペット負荷が挙げられる。
【0013】
磁性応答性ビーズに関する「固定化」とは、ビーズが、液滴アクチュエータ上で液滴または流動性充填剤の所定の位置において実質的に動かなくなることを意味する。例えば、一実施形態において、固定化ビーズは、所定の位置において実質的に動かなくなり、液滴での分裂操作の実施を可能にし、実質的に全てのビーズを含む1つの液滴、および実質的にビーズを含まない1つの液滴を生じる。
【0014】
「磁性応答性」とは、磁場に対する応答を意味する。「磁性応答性ビーズ」は、磁性応答性材料を含むか、それらから構成される。磁性応答性材料の例としては、常磁性体、強磁性体、フェリ磁性体、およびメタ磁性体が挙げられる。適切な常磁性体の例としては、鉄、ニッケル、およびコバルト、ならびにFe3O4、BaFe12O19、CoO、NiO、Mn2O3、Cr2O3、およびCoMnPなどの金属酸化物が挙げられる。
【0015】
磁性応答性ビーズを洗浄することに関して「洗浄」とは、磁性応答性ビーズと接触するか、または磁性応答性ビーズと接触する液滴から磁性応答性ビーズに曝露される1つ以上の物質の量および/または濃度を減少させることを意味する。物質の量および/または濃度の減少は、部分的であっても、実質的に完全であっても、またはちょうど完全でもよい。物質は、種々の物質のいずれかであってもよく;例としては、さらなる解析のための標的物質、ならびにサンプルの成分、汚染物質、および/または過剰な試薬などの望ましくない物質が挙げられる。一部の実施形態において、洗浄操作は、磁性応答性ビーズと接触する開始液滴で開始する。この液滴は、物質の最初の量および最初の濃度を含む。洗浄操作は、種々の液滴操作を用いて進められてもよい。洗浄操作は、磁性応答性ビーズを含む液滴を生じてもよい。この液滴は、物質の最初の量および/または最初の濃度より低い物質の総量および/または総濃度を有する。他の実施形態は、本明細書中のいずれかの部分に記載され、さらに他のものは、本開示を考慮してすぐに明らかになるであろう。
【0016】
用語「上」および「下」は、便宜上のみのため、液滴アクチュエータの上面および下面の物質に関する詳細の全体にわたって使用される。なぜなら、液滴アクチュエータは、その空間の位置に関わらず機能するからである。
【0017】
層、領域または基板などの所定の成分が、別の成分「で(on)」処理または形成されると本明細書中で言及される場合、その所定の成分は、他の成分で直接なされてもよいか、または存在し得る複数の成分(例えば、1つ以上のコーティング、層、中間層、電極または接点)を介してでもよい。さらに、用語「で処理される」および「で形成される」は、所定の成分が、別の成分に対してどのように位置または配置されるかを示すために交換可能に使用されることが理解されるだろう。ここで、用語「で処理される」および「で形成される」は、材料輸送、堆積、または製作の特定の方法に関する任意の制限を紹介することを意図するわけではない。
【0018】
任意の形態(例えば、動くか動かないかにかかわらず、液滴または途切れのない本体)における液体が、電極、アレイ、マトリクスまたは表面「で(on)」、「にて(at)」、「上で(over)」と記載される場合、かかる液体は、電極/アレイ/マトリクス/表面と直接、接触してもよいか、液体と電極/アレイ/マトリクス/表面との間に介入する1つ以上の層または薄膜と接触してもよいかのいずれかであってもよい。
【0019】
液滴が、液滴アクチュエータ「に(on)」、または液滴アクチュエータ「に負荷される」と記載される場合、その液滴が、液滴上での1つ以上の液滴操作を実施するために、液滴アクチュエータを用いて促進する方法で液滴アクチュエータに配置されること、その液滴が、液滴の性質または液滴からの信号を検知することを促進する方法で液滴アクチュエータに配置されること、および/またはその液滴が、液滴アクチュエータで液滴操作に供されることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1Aは、液滴分裂操作の第1の局面の間の使用における液滴アクチュエータの一部の第1の上面図を示し、図1Bは、液滴分裂操作の第2の局面の間の使用における液滴アクチュエータの一部の第2の上面図を示す。
【図2】図2Aは、分裂領域から離れた位置に配置されるマグネットを含む液滴アクチュエータの一部分の側面図を示し、図2Bは、分裂領域から離れた位置に配置されるマグネットを含む液滴アクチュエータの一部分の上面図を示す。
【図3】図3は、上下の液滴に配置される2つのマグネットを含む液滴アクチュエータの側面図を示す。
【図4】図4Aは、液滴の周りを取り囲む位置に配置される4つのマグネットを含む液滴アクチュエータの一部分の側面図を示す。図4Bは、液滴の周りを取り囲む位置に配置される4つのマグネットを含む液滴アクチュエータの一部分の側面図を示す。
【図5】図5Aは、液滴分裂操作の第1の局面の間の液滴アクチュエータの一部分の第1の上面図を示し、図5Bは、液滴分裂操作の第2の局面の間の液滴アクチュエータの一部分の第2の上面図を示す。
【図6】図6は、磁場のクロスオーバーを減少させるための磁気シールドを含む液滴アクチュエータの一部分の側面図を示す。
【図7】図7は、磁場のクロスオーバーを減少させるために反対に配置される極を有するマグネットを含む液滴アクチュエータの一部分の上面図を示す。
【図8】図8は、図7に示されるもののような関係に配置される磁場のマップを示す。
【図9】図9は、液滴検知領域におけるキャリーオーバーを減少させるように配置される液滴アクチュエータの一部分の上面図を示す。
【図10】図10Aおよび図10Bは、キャリーオーバーを減少させるように構成される液滴アクチュエータの一部分の上面図を示す。
【図11】図11A、図11Bおよび図11Cは、液滴検知の感度を向上させるために構成される液滴アクチュエータの一部分の側面図を示す。
【図12】図12は、液滴検知の感度を向上させるために構成される液滴アクチュエータの一部分の上面図を示す。
【図13】図13は、液滴検知の感度を向上させるために構成される液滴アクチュエータの一部分の側面図を示す。
【図14】図14Aおよび図14Bは、モジュール式の液滴アクチュエータアセンブリの上面図を示し、それらは、マグネットアセンブリを液滴アクチュエータに配向するための全体のアセンブリを提供する。
【図15】図15は、モジュール式の液滴アクチュエータアセンブリの側面図を示し、それは、マグネットアセンブリを液滴アクチュエータに配向するための全体のアセンブリの別の非限定的な例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(8 本発明の詳細な説明)
本発明は、とりわけ、磁性応答性ビーズを固定化するために構成される液滴アクチュエータ、ならびにかかる液滴アクチュエータを製造および使用する方法に関する。一例として、液滴アクチュエータは、液滴アクチュエータ上の液滴におけるビーズを固定化して、それによって、ビーズ洗浄処理などのかかるビーズの固定化を必要とする処理の実施を促進するのに有用である。本発明はまた、液滴アクチュエータにおける液滴間の物質のキャリーオーバーを減少または除去するための技術、ならびに液滴アクチュエータ上の信号の検知を最大化するための技術を提供する。
【0022】
(8.1 液滴分裂の間のビーズ損失)
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、液滴分裂操作の第1の局面および第2の局面の間の使用における液滴アクチュエータ100の、それぞれ、第1の上面図および第2の上面図を示す。液滴アクチュエータ100は、磁性応答性ビーズを損失させず、示される特定の技術を用いて、液滴を効果的に分裂させるために適切に配置されない構成を使用する。液滴アクチュエータ100は、第1の基板110および第2の基板(示さず)を備え、その間に隙間を有し、この隙間は流体経路として役立つ。第1の基板110は、流動性充填剤で懸濁されて、磁性応答性ビーズ116を含む、スラグ形状の液滴114で液滴操作を実施するために構成される液滴操作電極112のセットを備える。マグネット118は、液滴操作電極112に十分に近接して配置されてもよく、磁性応答性ビーズ116のある程度の固定化を可能にする。
【0023】
図1Aおよび図1Bは、マグネット118によって液滴アクチュエータ100内に生成される磁場の存在下で行われる分裂操作を示す。マグネット118の配置は、分裂操作後にビーズを保持するように選択される液滴114の部分内の中央位置(例えば、液滴の端部から離れた)に実質的に全ての磁性応答性ビーズ116を局在化するには適さない。従って、いくらかの量の磁性応答性ビーズ116は、図1Aに示すように、液滴分裂操作の間に分裂領域120にわたり、図1Bに示すようにビーズの損失をもたらす。図1Bは、元の量のいくらかの量の磁性応答性ビーズ116を含む第1の液滴122、および特定の残りの量の磁性応答性ビーズ116を含む第2の液滴124を示す。つまり、例示した分裂操作の最終的な結果は、磁性応答性ビーズ116の損失である。本発明者らは、ビーズの損失に対する要因が、全量の磁性応答性ビーズ116が、液滴114内の中央位置に、および/または分裂領域120から十分な距離で適切に引き付けられず、固定化されず、保持されないことであるということを発見した。
【0024】
(8.2 ビーズ損失を防止/減少するためのマグネット構成)
とりわけ、本発明は、マグネットが、ビーズを含む液滴を効果的に分裂するように配置される種々のマグネット配置を有する改良された液滴アクチュエータを提供し、磁性応答性ビーズを洗浄することは、図2、3、4、5Aおよび5Bを参照して記載される。これらの図は、ほとんどまたは全くビーズを損失しない液滴アクチュエータの分裂液滴と組み合わせたマグネット構成の非限定的な例を示し、とりわけ、磁性応答性ビーズを効果的に洗浄するのに有用である。1つ以上のマグネットは、液滴アクチュエータ上の液滴に近接して配置されてもよく、その結果、磁性応答性ビーズは、適切に引き付けられて、好ましくは、分裂操作の間に形成するネックから離れた中央位置で液滴内に固定化される。このアプローチにおいて、全てまたは実質的に全ての磁性応答性ビーズは、液滴分裂操作の完了時に単一の液滴内に保持される。同様に、分裂操作は、ビーズ損失を減少または除去するのに十分である固定化されたビーズから離れた液滴スラグにおいて実施されてもよい。以下に実施例について説明しているように、1つ以上のマグネットは、液滴アクチュエータ構造に対して、磁性応答性ビーズを含む液滴の上、下、および/またはそばに配置されてもよく、この目的を達成するためにそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0025】
(8.2.1 分裂領域に対するマグネットの位置)
図2Aおよび2Bは、液滴アクチュエータ200の側面図および上面図を示す。この実施形態において、マグネットは、分裂操作の間に壊れる液滴の位置である、分裂領域224(または逆に、分裂領域は、マグネットの位置から十分に離れて配置されるといわれてもよい)から十分に離れた位置に配置されて、液滴分裂操作の間にビーズ損失を減少または除去する。さらに、マグネットは、ビーズが、液滴の横径Lに沿って、全体的に中央位置であるように配置される(上面図)。液滴アクチュエータ200は、1つの基板のみを必要とされるが、液滴操作を実施するための隙間を提供するために離れた第1の基板210および第2の基板212を含む。液滴操作電極214のセットは、1つまたは両方の基板と結合され、1つ以上の液滴操作を実施するように配置される。液滴アクチュエータ200は、液滴分裂操作の間に磁性応答性ビーズ220を十分に固定化するように液滴218/222に十分に近接して配置されるマグネット216を備えてもよい。例えば、マグネットは、液滴アクチュエータの部品として、および/または隙間内の液滴218/222における磁性応答性ビーズを固定化するように液滴アクチュエータに十分に近接して配置されてもよい。液滴218/222は、流動性充填剤(示さず)によって囲まれてもよい。液滴218/222は、マグネット216によって固定される一定量の磁性応答性ビーズ220を含む。
【0026】
マグネット216は、液滴222に対する液滴分裂操作の間にビーズ218を実質的に損失させず、液滴218を形成する液滴218/222の一部の領域においてビーズ220を局在化するために、1つ以上の液滴操作電極214に対して配置される。
【0027】
操作において、分裂操作は、201に示すように、混合した液滴218/222を形成するために、活性化(オン)された電極を備える液滴アクチュエータ200を提供することによって、磁性ビーズ220を実質的に損失せずに達成され、マグネット216は、実質的に全ての磁性応答性ビーズ220を、液滴222に対する磁性応答性ビーズ220の実質的な損失を防ぐ液滴218/222の領域におけるマグネット216に引き付けさせる位置に配置される。マグネット216は、それに引き付けられる磁性応答性ビーズ220が、混合した液滴218/222内の横径Lに沿って全体的に中央位置に局在化し、液滴分裂領域224から離れるように、配置されてもよい。202に示すように、液滴分裂操作の間、中間電極は、分裂領域224で分裂させるように脱活性化(オフ)される。実質的に全ての磁性応答性ビーズ220は、液滴218に保持され、液滴222が形成され、203に示すように、磁性応答性ビーズ220を実質的に含まない。
【0028】
一実施形態において、磁性応答性ビーズ220を洗浄するためのプロセスは、洗浄の受容可能なレベルが達成されるまで、(洗浄液滴との)液滴融合操作、ビーズ固定化操作、分裂操作、およびビーズ再懸濁操作の反復を含んでもよい。
【0029】
(8.2.2 ビーズカラムを生成するための2つのマグネット配置)
図3は、液滴アクチュエータ300の側面図を示す。液滴アクチュエータ300は、液滴218の上下に配置される2つのマグネットであるマグネット310aおよび310bを含むことを除いて、全体的に、図2に示されるように構成される。マグネットは、液滴アクチュエータ300と一体化されてもよく、ならびに/または第1の基板210および第2の基板212の外側に近接して配置されてもよい。通常、マグネット310aおよび310bは、反対の極が互いに面するように配置されてもよい。一例において、図3に示すように、マグネット310aのN極または陽極は、マグネット310bのS極または陰極に面する。
【0030】
マグネット310aおよび310bは、別のマグネットであってもよいか、あるいはマグネット310aおよび310bは、単一のU字形、C字形、または蹄鉄型の永久磁石もしく電磁石の反対の極であってもよい。マグネット310aおよび310bの配置により、磁性応答性ビーズ220が、カラム形状のクラスターにおいて固定化および保持されてもよい。マグネットは、好ましくは、ビーズが保持される混合した液滴(図示せず)の一部における分裂領域224から離れた位置における液滴218内でビーズを局在化するように配置されてもよい。さらに、マグネットは、好ましくは、混合した液滴(図示せず)内で横径Lに沿ってビーズを中央に位置するように整列される。
【0031】
(8.2.3 ビーズを中央に集めるための複数のマグネット対)
図4Aおよび4Bは、液滴アクチュエータ400の側面図を示す。液滴アクチュエータ400は、通常、液滴を囲む位置に配置される4つのマグネットを含むことを除いて、図2に示される液滴アクチュエータ200のように構成される。通常、この配置は、互いに面する陽/陰極を有する複数のマグネット対が、分裂前の混合した液滴において、全体的にビーズ220を中央に位置させるように配置される実施形態を示す。図4Bに示すように、ビーズは、垂直寸法Vおよび側部寸法Lに沿って全体的に中央に位置される。示した例において、液滴アクチュエータ400は、マグネット410a、410b、410cおよび410dなどの4つのマグネットを含む。
【0032】
マグネット410aおよび410bは、互いに反対の極に面した状態で、液滴のいずれかの側に等しい間隔で液滴に近接して配置されてもよい。例えば、マグネット410aのN極は、マグネット410bのS極に面してもよい。マグネット410cおよび410dは、互いに反対の極に面した状態で、液滴のいずれかの側に等しい間隔で液滴に近接して配置されてもよい。例えば、マグネット410dのN極は、マグネット410cのS極に面してもよい。マグネット対410a/410bは、通常、マグネット対410c/410dに対して、液滴の周りに直角に配置されてもよい。例示した実施形態において、マグネット対410a/410bは、液滴の周りに垂直配向を有し、マグネット対410c/410dは、液滴の周りに水平配向を有する。側部寸法Lおよび垂直寸法Vに沿ったビーズの全体的な中央への局在化を達成する液滴の周りの任意の配向は、所望の中央での固定化を達成するのに十分である。
【0033】
マグネット410aおよび410bは、それぞれ、第1の基板210および第2の基板212の外側に近接して配置されて、その結果、マグネット410aおよび410bの磁場は、液滴アクチュエータ400の第1の基板210と第2の基板212との間の隙間を通ってもよい。マグネット410aおよび410bは、反対の極が互いに面するように配置される。一例において、マグネット410aのN極は、図4に示すように、マグネット410bのS極に面する。同様に、マグネット410cおよび410dは、それぞれ、液滴アクチュエータ400の第1の側面および第2の側面に近接して配置され、その結果、マグネット410cおよび410dの磁場は、液滴アクチュエータ400の隙間で、マグネット410aおよび410bの磁場に垂直に通ってもよい。マグネット410cおよび410dは、反対の極が互いに面するように配置される。一例において、マグネット410dのN極は、図4に示すように、マグネット410cのS極に面する。
【0034】
マグネット410aおよび410bは、別のマグネットであってもよいか、あるいはマグネット410aおよび401bは、単一のU字形、C字形、または蹄鉄形の永久磁石もしくは電磁石の反対の極であってもよい。同様に、マグネット410cおよび410dは、別のマグネットであってもよいか、あるいはマグネット410cおよび410dは、単一のU字形、C字形、または蹄鉄型の永久磁石もしくは電磁石の反対の極であってもよい。マグネット410aおよび410bならびにマグネット410cおよび410dの磁場は、それぞれ、液滴アクチュエータ400内の流体経路の中央で交わるため、磁性応答性ビーズ220は、磁性により固定化され、混合した液滴内の中央に集められたクラスターに保持され、分裂操作後、液滴218に保持される。
【0035】
(8.2.4 ビーズを実質的に損失させない分裂の例示)
図5Aおよび5Bは、それぞれ、液滴分裂操作の第1の局面および第2の局面の間の、それぞれの液滴アクチュエータ500の第1の上面図および第2の上面図を示す。液滴アクチュエータ500は、液滴アクチュエータ200、300および400のいずれかの例のように代替的に構成されてもよい。図5Aおよび5Bの液滴アクチュエータ500は、磁性応答性ビーズを洗浄するためのプロセスなどの単一の液滴におけるビーズの十分に完全な保持を生じるように設計される分裂操作における使用のために適切に配置される磁力を使用する。
【0036】
特に、図5Aおよび5Bは、局在化されたビーズ220から十分な距離で行われて、液滴218における磁性応答性ビーズの実質的に完全な保持、および磁性応答性ビーズを実質的に含まない液滴を生じる分裂操作を可能にする分裂操作を示す。マグネット面510の位置は、液滴内の中央の位置で、液滴218における磁性応答性ビーズ220の所望の保持を達成するように十分である分裂領域から離れて実質的に全ての磁性応答性ビーズ220を磁性により固定するように適切に配置される。結果として、図5Aに示すように、磁性応答性ビーズ220を実質的に含まない量は、液滴分裂操作の間、分裂領域512にわたり、ビーズの損失を実質的に生じない。図5Bは、実質的に全ての磁性応答性ビーズ220を含む液滴218を示す。つまり、実質的に磁力の外側で起こる分裂操作の最後の結果は、実質的に全ての磁性応答性ビーズ220を損失させない。なぜなら、実質的に全ての磁性応答性ビーズ220は、流体内の中央の位置に、適切に引き付けられ、固定され、保持されるからである。
【0037】
(8.3 マグネットを有する液滴アクチュエータの構成)
(8.3.1 磁気シールドを有する液滴アクチュエータ)
図6は、磁場のクロスオーバーを減少させるための磁気シールドを含む液滴アクチュエータ600の側面図を示す。液滴アクチュエータ600は、その間に隙間618を有して配置される上部プレート610および底部プレート614を含む。電極622、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置は、液滴操作を実施するための底部プレート614と結合されてもよく、貯蔵電極626などの電極は、一定量の流体634を含む流体リザーバ630と結合される。1つ以上の液滴(図示せず)は、電極622に沿った操作のためのリザーバ630の流体634の量から分配されてもよい。さらに、流体634およびそこから分配されるいくらかの液滴は、必要に応じて、ビーズ(図示せず)を含んでもよく、同様の場合、このビーズは磁性応答性であってもよい。
【0038】
液滴アクチュエータ600は、1つ以上の電極622に近接して配置されるマグネット638をさらに含む。マグネット638は、例えば、電極に配置される液滴における磁性応答性ビーズ(図示せず)の固定化を可能にするために、電極622に十分に近接して配置されてもよい。一例において、マグネット638の目的は、液滴分裂操作(例えば、磁性応答性ビーズを洗浄するためのプロセスにおいて実施され得る分裂操作)の間に、磁性応答性ビーズを磁性により固定し、保持することである。
【0039】
さらに、液滴アクチュエータ600は、流体リザーバ630に十分に近接して配置されて、マグネット638の磁場などの磁場の近くから流体リザーバの内容物をシールドする磁気シールド642を含む。磁気シールド642は、例えば、十分に高い透磁率を有し、流体リザーバ630内のマグネットからの望ましくない磁場を減少、好ましくは除去させるのに適切であるMu金属から形成されてもよい。一例において、磁気シールド642は、McMaster−Carr(Elmhurst,IL)によって供給されるMu金属から形成されてもよい。磁気シールド642の材料の他の例としては、パーマロイ、鉄、鋼およびニッケルが挙げられる。
【0040】
液滴アクチュエータ600は、1つの磁気シールドおよび1つのマグネットのみに限定されず、任意の数の磁気シールドおよびマグネットが、その液滴アクチュエータ600の中に挿入されてもよい。従って、1つ以上の磁気シールドの使用により、磁場に対する液滴内の磁性ビーズ(示さず)の曝露は、液滴アクチュエータ600の所望の領域のみに制限されてもよい。磁気シールドは、液滴アクチュエータのいずれかの表面に、および適切にシールドを促進する任意の構成に含まれてもよい。
【0041】
一例の適用において、液滴アクチュエータは、並行に複数のアッセイを実施するように使用されてもよく、その結果、通常、電極の複数のレーン内で操作され得る種々の磁性ビーズの同時に起こる洗浄についての必要性があってもよい。磁気シールドがなく、結合したマグネットを用いて中央位置で実施される洗浄操作またはアッセイは、別のマグネットの磁場に影響を受け得る(すなわち、磁場のクロスオーバー)。対照的に、任意の2つのマグネットの間の磁場のクロスオーバーは、液滴アクチュエータ内で磁気シールド642などの1つ以上の磁場の戦略的な配置を介して、減少、好ましくは、実質的に除去されてもよい。
【0042】
(8.3.2 代替のマグネット構成を有する液滴アクチュエータ)
図7は、マグネットを含む液滴アクチュエータ700の上面図を示し、そのマグネットの極は、磁場のクロスオーバーを減少させるために反対に配置される。液滴アクチュエータ700は、1つ以上の液滴(図示せず)で液滴操作を実施するための電極710、例えばエレクトロウェッティング電極の配置を含む。さらに、マグネット714は、電極710の第1のレーンに近接して配置され、マグネット718は、電極710の第2のレーンに近接して配置され、マグネット722は、電極710の第3のレーンに近接して配置され、マグネット726は、電極710の第4のレーンに近接して配置される。マグネット714、718、722および726は、1つ以上の電極に配置される1つ以上の液滴(図示せず)内で磁性応答性ビーズ(図示せず)の固定化を可能にするために、電極710に十分近接して配置されてもよい。
【0043】
隣接するマグネットの間の磁場のクロスオーバーを減少、好ましくは、実質的に除去するために、隣接するマグネットの極は反対に配置され、これにより、隣接する磁場が打ち消される。例えば、図7を再び参照して、マグネット722のN極は上側に配向され、マグネット726のS極は下側に配向される。このように、磁場は打ち消されて、マグネット714、718、722および726の間の磁場のクロスオーバーは、減少、好ましくは、実質的に除去されてもよい。
【0044】
図8は、図7に示されるものと関係する配置される磁場のマップ800を示す。
【0045】
(8.4 他の技術)
本発明はまた、液滴アクチュエータにおけるキャリーオーバーを減少させるための技術、および検知操作を向上するための技術を提供する。
【0046】
(8.4.1 液滴アクチュエータにおけるキャリーオーバーを減少させるための技術)
図9は、液滴検知領域でキャリーオーバーを減少させる操作が実施され得る、液滴アクチュエータ900の上面図を示す。液滴アクチュエータ900は、液滴操作に液滴を供するための電極910、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置を含む。従って、液滴アクチュエータ900は、例えば、特定の電極910において指定された検知領域914を含む。検知領域914は、液滴操作の間を通して、そこに配置されるか、そこを通る液滴を検知するために使用される。一例において、液滴検知は、検知領域914に結合される光電子増倍管(PMT)または光量子を含むPMTを用いて実施される。検知領域914と結合される電極における場合、PMT(図示せず)は、(例えば、蛍光および/または化学発光に起因する)液滴から放射される光(すなわち、検知光量子)を測定するために使用される。
【0047】
一部の場合において、検知領域914などの検知領域における物質の増加は、キャリーオーバーに起因して生じ得る。この物質は、液滴操作の間、表面の裏側および/または流動性充填剤に残っているビーズまたは他の物質を含む。キャリーオーバーは、次の液滴からの信号の正確な検知を干渉、および/または影響を受ける電極による液滴操作を干渉し得る。
【0048】
図9を再び参照して、本発明の液滴連続操作は、一連の代替のアッセイ液滴918および洗浄液滴922を提供することによって、検知領域914においてキャリーオーバーを減少、好ましくは実質的に除去する。一例において、アッセイ液滴918aは、検知領域914を通り、次に洗浄液滴922a、次にアッセイ液滴918b、次に洗浄液滴922b、次にアッセイ液滴918c、次に洗浄液滴922c、次にアッセイ液滴918d、次に洗浄液滴922dがその検知領域を通る。アッセイ液滴918a、918b、918c、および918dは、クロスオーバーに起因して検知領域914の機能を下げる可能性を有し、洗浄液滴922a、922b、922c、および922dは、検知領域914と結合する表面の洗浄操作を実施する。本発明の洗浄プロセスは、図9に示す順序に限定されない。適切に検知領域を洗浄するために、順序が洗浄液滴の適切な数を含む限り、あらゆる順序が可能である。例えば、特定のアッセイの必要性に依存して、複数の洗浄液滴が、アッセイ液滴の間に提供されてもよく、および/または複数のアッセイ液滴は、洗浄液滴の間に提供されてもよい。例えば、AAWAAWAAW、AAAWAAAWAAAW、AWWAWWAWW、AWWWAWWWAWWW、AAWWAAWWAAWW、AAAWWWAAAWWWAAAWWWなどであり、ここで、Aはアッセイ液滴であり、Wは洗浄液滴である。同じサイズであるアッセイ液滴および洗浄液滴である必要は必ずしもないことは留意されるべきである。アッセイ液滴はより大きくてもよいし、洗浄液滴がより大きくてもよい。より大きい液滴は、スラグ(例えば、4つの電極を占めるスラグ)において、または単一の大きい液滴(例えば、スラグに形成されずに電極を自然に覆い、電極と同じ数を占める4倍の液滴)として液滴操作に供されてもよい。各々の構成は、異なる洗浄結果を生じてもよい。アッセイ液滴および洗浄液滴が同じ経路に従うことは、必ずしも必要ではない。例えば、それらの経路は、洗浄される必要性がある位置に交差してもよい。
【0049】
図10Aおよび10Bは、キャリーオーバーを減少させるための別の操作が実施され得る、液滴アクチュエータ1000の上面図を示す。液滴アクチュエータ1000は、アッセイ液滴1014および1018(図10A)ならびに洗浄液滴1022(図10B)などの1つ以上の液滴で液滴操作を実施するための電極1010、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置を含む。あるいは、マグネット1026は、特定の電極1010に近接して配置される。マグネット1026は、アッセイ液滴1014内で磁性ビーズ1030などの1つ以上の液滴内で磁性応答性ビーズの固定化を可能にするために、特定の電極1010に十分に近接して配置されてもよい。
【0050】
例えば、液滴分裂操作の間、一定量の「サテライト(satellite)」液滴は、分裂が起こる位置の後ろに残ったままであってもよい。例えば、図10Aを参照すると、アッセイ液滴1014がアッセイ液滴1018から分裂することによって形成される液滴分裂操作は、特定の電極1010上の後ろに残ったままである特定の量のサテライト液滴1034を生じてもよい。サテライト液滴1034などのサテライト液滴は、望まれない1つの液滴から別の液滴までのキャリーオーバー(交差汚染)の発生源であり得る。図10Bは、洗浄液滴1022などの洗浄液滴が、例えば、サテライト液滴1034を移動させ、それらを次のアッセイ操作が生じる前に離して移動させるために、アッセイ液滴1018および1014のアッセイ操作の後で電極1010に沿って移動されてもよいことを示す。このように、電極1010はアッセイ操作の間に洗浄される。本発明の洗浄プロセスは、図10Aおよび10Bに示される順序に限定されない。電極を適切に洗浄するために、洗浄液滴の適切な数を含む順序である限り、あらゆる順序が可能である。
【0051】
(8.4.2 液滴アクチュエータにおける検知操作の向上)
図11A、11B、11Cは、液滴検知の感度を向上するためのそれぞれの液滴操作が実施される、液滴アクチュエータ1100の側面図を示す。液滴アクチュエータ1100は、その間に隙間1118を有して配置される上部プレート1110および底部プレート1114を含む。電極1122、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置は、液滴1126上で液滴操作を実施するための底部プレート1114と結合されてもよい。PMTウィンドウ1130は、液滴1126から放射される光を測定(すなわち、光量子1134を検知)するために使用されるPMT(図示せず)によって、上部プレート1110と結合されてもよい。
【0052】
図11Aは、PMTウィンドウ1130に曝露される表面領域を増加させるために、液滴1126などの液滴を拡散することによって液滴検知の感度を向上する方法を示す。これにより、光量子1134の数の増加が検知され得る。液滴は、その液滴の量に依存して、1つ以上の電極1122を通って直線的に拡散されてもよい。少量の液滴の場合、緩衝剤の液滴が加えられて、PMTに曝露される増加した液滴領域によって相殺される緩衝剤の液滴による希釈に起因して損失する限り、より大きな液滴を生じてもよい。例えば、図11Bは、複数の電極1122を連続して通って拡散する液滴1126を示し、この複数の電極1122は、PMTウィンドウ1130に到達し得、PMTによって検知され得る光量子1134の数を増加させる。
【0053】
図11Cは、液滴1126が、複数の電極1122上にある液滴1126a、1126b、1126c、および1126dなどの複数の液滴1126に分裂する状況を示す。再び、PMTウィンドウ1130に曝露される表面領域は増大し、これにより、PMTウィンドウ1130に到達し得、PMTによって検知され得る光量子1134の数が増加する。あるいは、図11A、11B、11Cを再び参照して、液滴1126などの液滴の拡散は、直線的な拡散のみに限定されない。液滴は、PMTウィンドウ1130に曝露される表面領域を増加させるために、電極1122のグリッドまたはアレイを通してなど、2つの面を拡大されてもよい。あるいは、1つ以上の大きい領域の電極が、1つ以上の液滴が拡散されるように与えられてもよい。
【0054】
図12は、液滴検知の感度を向上するための液滴アクチュエータ1200の上面図を示す。液滴アクチュエータ1200は、複数の液滴1214で液滴操作を実施するための電極1210、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置を含む。
【0055】
さらに、液滴アクチュエータ1200は、存在する場合、特定の液滴1214から放出される光を測定するための結合したPMT(図示せず)を有する液滴領域1218を含んでもよい。別の液滴1214から液滴検知領域1218までの光のキャリーオーバーを減少、好ましくは実質的に除去するために、最小距離dは、図12に示すように、液滴アクチュエータ1200内の液滴検知領域1218およびいずれかの別の液滴1214の外側周囲の間の全ての方向に維持される。最小距離dは、別の液滴1214から液滴検知領域1218までの光のキャリーオーバーを減少、好ましくは実質的に除去するのに十分に大きい。結果として、複数の液滴1214を含む液滴アクチュエータにおいて、間隔は、測定される標的液滴1214と、離れた液滴1214との間で、検知の間、維持される。その結果、離れた液滴1214から液滴検知領域1218までの光のキャリーオーバーは、減少、好ましくは実質的に除去される。特定の場合、距離dは、単位電極サイズの整数倍mであり、液滴検知は、m位相のバスとして電気的に接続される電極のセットで実施されてもよい。あるいは、図13(後述)は、液滴アクチュエータを有するリアルエステートが限定され、それによって、図12に示すように、液滴の間に十分な間隔が達成され得ない状況を示す。
【0056】
代替の実施形態において、液滴の近くからのクロスオーバーは、センサ上で検索されており、他の液滴から信号を放射する液滴から光のみを集める1つ以上のレンズなどの光学素子を用いることによって除去される。
【0057】
図13は、液滴検知の感度を向上するための液滴アクチュエータ1300の側面図を示す。液滴アクチュエータ1300は、その間に隙間1318を有して配置される上部のプレート1310および底部のプレート1314を含む。電極1322、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置は、液滴1326および液滴1330などの液滴で液滴操作を実施するための底部のプレート1314と結合されてもよい。PMTウィンドウ1334は、PMT(示さず)が、例えば、液滴1326から放射される光を測定(すなわち、光量子1338を検知)するために使用される上部のプレート1310と結合されてもよい。例えば、PMTウィンドウ1334における液滴1326と、離れた液滴1330との間の間隔は、液滴1330からPMTウィンドウ1334までの光のキャリーオーバーを回避するには適切に十分ではないため、マスク1342は、上部のプレート1310に提供される。マスク1342の目的は、キャリーオーバーからの離れた液滴から、標的液滴の検知領域であるPMTウィンドウ1334までの光をブロックすることである。
【0058】
使用される材料が、エレクトロウェッティングプロセスと適合される限り、マスク1342は、いずれかの光を吸収する材料の層を介して上部のプレート1310に形成されてもよく、液滴アクチュエータ操作と過度に干渉しない。一例において、マスク1342は、上部プレート1310に黒塗りの層を付与することにより形成されてもよく、その結果、PMTウィンドウ1334などの1つ以上のウィンドウは、液滴アクチュエータ1300の選択された検知領域に提供される。図13に示される例において、マスク1342は、PMTウィンドウ1334において、離れた液滴1330から標的液滴1326までの光のキャリーオーバーを減少、好ましくは実質的に除去する。別の例において、マスク1342は、液滴に面する上部プレート1310の側面に不透明の導体によって形成される。例えば、導体は、アルミニウム、クロム、銅またはプラチナであってもよい。導体は、さらに、電気的参照電極として有用であってもよい。
【0059】
(8.5 マグネットアセンブリを有する液滴アクチュエータ)
図14Aおよび14Bは、モジュール式の液滴アクチュエータアセンブリ1400の上面図を示し、これは、液滴アクチュエータにマグネットアセンブリを配向するための全体のアセンブリの非限定的な例である。モジュール式の液滴アクチュエータアセンブリ1400は、例えば、マウント1410、マグネットアセンブリ1420、および液滴アクチュエータ1430を備えてもよい。図14Aは、分解された場合のモジュール式の液滴アクチュエータアセンブリ1400を示す。図14Bは、組み立てられた場合のモジュール式のアクチュエータアセンブリ1400を示す。
【0060】
マグネットアセンブリ1420は、図14Aに示すように、1つ以上のマグネット1428をマウントされる基板1424を備えてもよい。マグネット1428は、基板1424に永久的に、または取り外し可能に付けられてもよい。取り外し可能なマグネット1428は、所望のマグネット強度などの所望の特性を有するマグネットのユーザーによる選択を容易にする。一実施形態において、液滴アクチュエータ機器は、マウント1410およびマグネットを含まないマグネットアセンブリ1420を備える液滴アクチュエータアセンブリ1400を提供される。別の実施形態において、ユーザーはまた、マグネットアセンブリ1420にユーザーによって付けられ得る特性の性質を有するマグネットを提供される。別の実施形態において、ユーザーはまた、種々の特性を有するマグネットのセットを提供され、それにより、ユーザーは、所望の特性を有し、選択されたセットをマグネットアセンブリ1420に付けられる1つ以上のマグネットのセットを選択してもよい。
【0061】
マグネットは、印をつけられるか、コード(例えば、カラーコード)されて、適切な特性を有するマグネットの選択を容易にしてもよく、また、マグネットの磁場の配向を示すために(例えば、カラーコーディングまたは磁石のNもしくはSの面に印を付けることによって)印をつけられてもよい。同様に、マグネットアセンブリ1420は、その中に挿入されるマグネットの所望の配向を示すために印をつけられてもよく、一部の実施形態において、マグネットは、それらがマグネットアセンブリ1420のみに適切な角度で付けられるように成形されてもよい。
【0062】
さらに、別の実施形態において、ユーザーは、すでにマグネットアセンブリに付けられるマグネットを有するマグネットアセンブリ1420を提供されてもよく、マグネットアセンブリ1420の各々は、異なるマグネット構成、例えば、異なる特性を有するマグネットのセットを有する。ユーザーは、機器についてのユーザーの所望の使用に適切な特性を有するマグネットを有するマグネット構成を選択してもよい。マグネットアセンブリ1420は、印をつけられるか、またはカラーコードされて、ユーザーによる選択を容易にしてもよい。マグネットの特性は、例えば、ユーザーによって選択されるビーズの特性に基づいて選択されてもよい。
【0063】
液滴アクチュエータ1430は、図14Aに示すように、電極1438、例えば、エレクトロウェッティング電極の配置に対して基板1434を備えてもよい。第2(上部)の基板もまた、備えてもよい(図示せず)。
【0064】
マグネットアセンブリ1420は、マグネット1428が、液滴アクチュエータ1430で目的の特定の電極1438と実質的に整列するように設計される。例えば、一部の実施形態において、マグネットの並行構成は、液滴アクチュエータ1430で並行アッセイ工程を実施するように存在してもよい。マグネットは、例えば、本明細書に記載される種々の構成および配向によって、構成および配向されてもよい。
【0065】
マウント1410は、マグネットアセンブリ1420などのマグネットアセンブリ、および液滴アクチュエータ1430などの液滴アクチュエータをマウントするための全体のプラットフォームとして有益であってもよい。一実施形態において、マウント1410は、種々のマグネットアセンブリ1420および種々の液滴アクチュエータ1430を受容するように構成される。マグネットアセンブリ1420は、あらゆる種類のパターンで配置され、あらゆる種類のマグネット特性を使用する1つ以上のマグネットを含んでもよい。図14はマグネットの列を示すが、マグネットはまた、液滴アクチュエータで所望の操作を容易にするために、液滴アクチュエータ1430に対して、それらの適切な位置にマグネットを置くグリッドまたは任意の配置において提供されてもよい。
【0066】
一例において、マグネットアセンブリ1420および液滴アクチュエータ1430は、それぞれの接続具1418および1414を介してマウント1410に挿入されてもよい。接続具は、例えば、接続され得るマウント1410中の溝、マグネットアセンブリ1420上またはその反対の支柱を受け入れるためのマウント1410上の開口部、マグネットアセンブリ1420上のねじを受け入れるためのマウント1410上の開口部、ボルトを受け入れるためのネジ穴の支柱、種々のバネを取り付けた機構、埋め込まれたトレイ、相補的な接続具などを含んでもよい。この意図される目的についての機能に対するデバイスを可能にするように十分に固定して取り付けを促進するあらゆる機構が満たされる。
【0067】
さらに、マウント1410は、マグネットアセンブリ1420および/または液滴アクチュエータ1430の複数の可能な位置に複数の接続具、ならびに/あるいは単一のマウント1410において、複数のマグネットアセンブリ1420および/または複数の液滴アクチュエータ1430の取り付けを含んでもよい。さらに、マウント1410は、マグネットアセンブリ1420が、液滴アクチュエータ1430の上下および/またはそばに、すなわち、液滴アクチュエータといくらか関連して取り付けられるように、構成されてもよい。モジュール式のマウント1410に挿入される液滴アクチュエータ1430に関して、マグネットアセンブリ1420などの任意の目的のマグネットアセンブリは、例えば、溝を介してモジュール式の液滴アクチュエータアセンブリ1400に挿入されてもよい。
【0068】
図15は、モジュール式液滴アクチュエータアセンブリ1500の側面図を示し、これは、マウント1410がマウント1510と置き換えられることを除いて、図14に示すアセンブリ1400と同様に、マグネットアセンブリを液滴アクチュエータに配向するための全体のアセンブリの別の非限定的な例である。マウント1510は、マグネットアセンブリ1420に埋め込まれたトレイを含み、液滴アクチュエータ1430は、「中に入れて(drop in)」負荷する方法を提供するように適合されてもよい。
【0069】
図14A、14Bおよび15を参照して、本発明の態様は、液滴アクチュエータに適切な電極または電極経路を有するマグネットアセンブリにマグネットを並べるように、溝または他の取り付け手段が、マグネット基板および液滴アクチュエータを配向するのに役立つことである。この方法において、アッセイが必要でない場合、マグネットは取り外されてもよい。さらに、異なるマグネットは、異なるマグネットの分布で取り付け、異なる種類のアッセイまたは異なる液滴アクチュエータの配置を提供されてもよい。
【0070】
(8.6 マグネット)
上記の他の局面に加えて、本発明の使用に選択されたマグネットは、永久的または電磁石であってもよいことが留意されるべきである。液滴におけるビーズの磁性応答性含有量と、磁性強度/引張力との間に関係があってもよい。従って、マグネットの磁性強度/引張力は、以下のようなマグネットビーズの応答性に対して選択されてもよい。
・磁性応答性ビーズを実質的に固定するためのビーズの磁性応答性に対する十分な強度
・ビーズを実質的に引き付け、それによって、ビーズの凝集の不可逆的形成を引き起こさせるビーズの磁性応答性に対してそれほど強くない強度
・磁場が取り除かれた場合、不十分な再懸濁を生じるビーズの磁性応答性に対してそれほど強くない強度
・ビーズが液滴から一緒に引っ張れるビーズの磁性応答性に対してそれほど強くない強度
【0071】
一部の実施形態において、マグネットは、より小さい引張力(ポンド(1ポンド=約453.6g)単位)で高磁場強度(テスラ単位)を有してもよい。一例において、マグネットは、約1テスラ(T)の表面場強度を有するネオジム永久磁石である。別の例において、マグネットは、電気的に点滅し得る約1Tの表面場強度を有する電磁石である。永久磁石が使用される場合、マグネットは、磁場の影響を取り除くことを望まれる使用のための磁性応答性ビーズを含む液滴から離れて移動されてもよい。以下の範囲に限定されないが、概して、本発明の有用な強度を含む磁場強度の範囲としては、0.01T〜100T(パルス状)または45T(連続的)の広範囲;0.01T〜10Tの中間範囲;および0.1T〜1T(好ましくは0.5T)の狭い範囲が挙げられることが、理解される。
【0072】
(8.7 液滴成分)
磁性ビーズを含み、液滴分裂操作に供される液滴は、ビーズを用いてアッセイを実施するのに有用な種々のサンプル、試薬、および緩衝液のいずれかを含んでもよい。例えば、洗浄の間、液滴は、磁性ビーズ免疫測定法の使用に適切な界面活性剤を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液などの緩衝液を含んでもよい。好ましい界面活性剤は、磁力による固定後のビーズの固定化および/または再懸濁を促進するものである。界面活性剤およびその界面活性剤の量は、界面活性剤を欠く対照溶液と比べて、再懸濁における十分な向上を提供するように調整されてもよい。一実施形態において、液滴は、約0.01% Tween(登録商標)20を含むPBS緩衝液を含む。
【0073】
親水性ポリマーおよび/または界面活性剤は液滴に含まれて、分裂操作の間の磁性応答性ビーズの保持および再懸濁を促進してもよい。液滴は、流動性充填剤と混ざらない種々の液体を含んでもよい。緩衝液の例としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液およびTris緩衝生理食塩水が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、流動性液体としては、PBS緩衝液などの緩衝液、および磁性ビーズ免疫測定法の使用に適切な任意の界面活性剤が挙げられる。
【0074】
好ましい親水性ポリマーおよび界面活性剤は、磁力による固定後のビーズの再懸濁を促進するものである。界面活性剤およびその界面活性剤の量は、界面活性剤を欠く対照溶液と比べて、再懸濁における十分な向上を提供するように調整されてもよい。磁性ビーズ免疫測定法の使用に適切な界面活性剤の例としては、Tween(登録商標)20として商業的に公知のポリソルベート20、およびTritonX−100が挙げられるが、それらに限定されない。Tween(登録商標)20は、例えば、Pierce Biotechnology,Inc.(Woburn,MA)によって供給され得る。Triton(登録商標)X−100は、例えば、Rohm & Haas Co(Philadelphia,PA)によって供給され得る。一例において、液滴アクチュエータ内の流動性液滴は、約0.001%〜約0.1%の範囲におけるPBSとTween(登録商標)20との混合物である。別の例において、液滴アクチュエータ内の流動性液滴は、PBSと約0.01% Tween(登録商標)20との混合物である。
【0075】
他の例としては、プルロニック界面活性剤、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(MPEG)、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートまたはTween(登録商標))、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100(登録商標)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸(およびカルボマーなどの架橋されたポリアクリル酸)、ポリグリコシド(オクチルグルコピラノシドなどの非イオン性グリコシド界面活性剤)およびヘパリンなどの可溶性多糖(およびその誘導体)、デキストラン、メチルセルロース、プロピルメチルセルロース(ならびに他のセルロースエステルおよびエーテル)、デキストリン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、βグルカン、アルギネート、寒天、カラギーナン、ならびにキサンタンガム、オオバコ、グアガム、トラガンスガム(gum traganth)、キャリアガム(gum karya)、ガッティガム(gum ghatti)およびアカシアガムなどの植物ゴムが挙げられる。特定の添加剤が、特定の微小流体サンプルとの最大親和性のために選択されてもよい。
【0076】
(8.8 液滴アクチュエータ)
本発明の使用に適切である液滴アクチュエータのアーキテクチャの例については、Pamulaらによる2005年6月28日に公開された「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting−Based Techniques」という発明の名称の米国特許第6,911,132号;2006年1月30日に出願された「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」という発明の名称の米国特許出願公開第11/343,284号;両方、Shenderovらによる2004年8月10日に公開された「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」という発明の名称の米国特許第6,773,566号、および2000年1月24日に公開された「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」という発明の名称の米国特許第6,565,727号;ならびに2006年12月11日に出願された「Droplet−Based Biochemistry」という発明の名称のPollackらによる国際特許出願PCT/US06/47486号(これらの開示は本明細書に参照として援用される)を参照のこと。磁性ビーズおよび/または非磁性ビーズを固定化するための液滴アクチュエータ技術は、前述の国際特許出願および「Immobilization of magnetically−responsive beads during droplet operations」という発明の名称の2007年2月9日に出願されたSistaらの米国特許出願第60/900,653号;「Droplet Actuator Assay Improvements」という発明の名称の2007年9月4日に出願されたSistaらの米国特許出願第60/969,736号;ならびに「Bead washing using physical barriers」という発明の名称の2007年8月24日に出願されたAllenらの米国特許出願第60/957,717号(これらの全開示は本明細書に参照として援用される)に記載される。これらの種々の技術の組み合わせは、本発明の範囲内である。
【0077】
(8.9 流動体)
本発明の液滴操作に供され得る流動体の例については、2006年12月11日に出願された「Droplet−Based Biochemistry」という発明の名称の国際特許出願PCT/US06/47486号の特に8.8章に記載される特許を参照のこと。一部の実施形態において、液滴は、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣排出物、漿液、滑液、心嚢液、腹水、胸膜液、浸出液、滲出液、嚢胞液、胆液、尿、胃液、腸液、糞試料、流動組織、流動器官、生体標本などの生体サンプルなどのサンプル流動体ならびに生体洗浄物である。一部の実施形態において、負荷される流体としては、水、脱イオン水、食塩水、酸性溶液、塩基性溶液、洗浄液および/または緩衝液などの試薬が挙げられる。一部の実施形態において、負荷される流体としては、核酸増幅プロトコル、親和性に基づくアッセイプロトコル、シークエンシングプロトコル、および/または生体液の解析についてのプロトコルなどの生化学的プロトコルについての試薬などの試薬が挙げられる。
【0078】
(8.10 流動性充填剤)
記されるように、隙間は、通常、流動性充填剤で充填される。例えば、流動性充填剤は、シリコンオイルなどの低粘度のオイルであってもよい。流動性充填剤の他の例は、2006年12月11日に出願された「Droplet−Based Biochemistry」という発明の名称の国際特許出願PCT/US06/47486号に提供される。
【0079】
(8.11 磁性応答性ビーズの洗浄)
ビーズを使用するプロトコルに関して、ビーズを含む液滴は、1つ以上の洗浄液滴を用いる液滴操作を用いて混合され得る。次いで、本発明のマグネット構成を用いてビーズ(例えば、物理的または磁性)を保持している間、融合された液滴は、液滴操作を用いて2つ以上に液滴(ビーズを含む1つ以上の液滴および実質的にビーズを含まない1つ以上の液滴)に分割され得る。一実施形態において、融合液滴は、液滴操作を用いてビーズを含む1つの液滴とビーズを実質的に含まない1つの液滴に分割される。
【0080】
通常、洗浄プロトコルの各々の遂行は、アッセイの結果で過度に有害な効果を生じずに意図されるアッセイを実施するために十分なビーズの保持を生じる。特定の実施形態において、融合した液滴の各々の分割は、ビーズの90%、95%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、または99.999999%より大きい保持を生じる。他の実施形態において、除去された物質の濃度および/または量の所定の減少を達成するための洗浄プロトコルの各々の遂行は、ビーズの99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、または99.999999%より大きい保持を生じる。さらに他の実施形態において、保持されるビーズの量が計算され、結果は、それに応じて調整される。
【0081】
一部の実施形態において、ビーズはリザーバにおいて洗浄されてもよく、ビーズを含む液滴および洗浄液滴は混合され、ビーズは保持され(例えば、マグネット、物理的構造、静電気力によって)、ビーズを欠く液滴は、液滴操作を用いてリザーバから分配される。例えば、ビーズは、希釈および分配ストラテジーによって洗浄されてもよく、それによって、洗浄緩衝液はリザーバに加えられて、内容物が希釈され、磁性応答性ビーズは、マグネットを有するリザーバ内に局在化され、ほとんどの溶液はリザーバから分配され、このサイクルは、洗浄の受容可能なレベルが達成されるまで、繰り返される。
【0082】
一例として、磁性応答性ビーズを洗浄することは、通常、以下の工程、
(1)マグネットに近接して、磁性応答性ビーズおよび結合されていない物質を含む液滴を提供する工程;
(2)洗浄液滴と、磁性応答性ビーズを含む液滴とを混合するための液滴操作を用いる工程;
(3)磁場の付与によってビーズを固定する工程;
(4)液滴操作を用いて、ビーズを囲む一部または全ての液滴を除去して、減少した濃度の結合していない成分を含むビーズを含む液滴、および結合していない成分を含む液滴を生じる工程;
(5)磁場を除去することによってビーズを解放する工程;
(6)精製の所定の度合いが達成されるまで、工程(2)〜(3)、または(2)〜(4)を繰り返す工程、を含む。
【0083】
この方法において、汚染物質、副産物または過剰な試薬などの結合していない物質は、ビーズから分離されてもよい。各々のサイクルは、減少したレベルの望まれない物質だが、ビーズを含む液滴を生成する。工程(5)は、各々の洗浄サイクルにおいて必要とされなくてもよい。しかしながら、固定されたビーズに閉じ込められ得る汚染物質を解放することによって、洗浄を高めるのに有用であってもよい。工程は、異なる順序で実施されてもよい。例えば、工程(2)および(3)は逆であってもよい。洗浄プロトコルにおける工程は、上記の液滴操作を用いる液滴アクチュエータで達成されてもよい。
【0084】
磁性応答性ビーズが使用される一実施形態において、本発明者らは、磁場の付与が、ビーズを一時的に固定し、ビーズを移動させ、および/またはビーズを位置付けるのに有用であるが、多くの場合、ビーズの望ましくない凝集を生じることを見出した。すでに記されるように、一実施形態において、親水性ポリマーおよび/または界面活性剤は、ビーズ凝集を防止または減少させるために含まれる。親水性ポリマーおよび界面活性剤は、同時に液滴から標的検体または試薬の実質的な損失を生じずに、ビーズ凝集を減少または除去し、非特異的な吸着で最小化する量で選択されて、使用されるべきである。一実施形態において、親水性ポリマーおよび/またが界面活性剤は、非ガス流動性充填剤における液滴中のビーズ凝集を減少させ、特に、液滴アクチュエータの表面に対する液滴成分の分子吸着を減少させるのに有用でない。
【0085】
ビーズの凝集を除去または減少するための別のアプローチは、より少ない数のより大きいビーズの使用を含む。1つ以上の液滴操作の間に液滴に含まれ得る任意の数のビーズが使用されてもよい。一部の実施形態において、磁性応答性ビーズの数は、1〜数100,000個の範囲であってもよい。例えば、一実施形態において、本発明は、1つの液滴あたり1〜100個の磁性応答性ビーズを使用する。例えば、本発明は、1つの液滴あたり1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個...100個の磁性応答性ビーズを使用してもよい。一実施形態において、磁性応答性ビーズの数は、1〜10個である。より大きいビーズを使用して、より少ない数の磁性応答性ビーズを使用してもよい。例えば、一実施形態において、本発明は、1個の液滴あたり1〜100個の磁性応答性ビーズを使用し、ビーズは約25〜約100ミクロンの平均直径を有する。別の実施形態において、本発明は、1個の液滴あたり1〜10個の磁性応答性ビーズを使用し、ビーズは約50〜約100ミクロンの平均直径を有する。
【0086】
(9 結びの見解)
前述の実施形態の詳細は、本発明の特定の実施形態を示す添付の図面を参照する。異なる構造および操作を有する他の実施形態は、本発明の範囲から逸脱しない。
【0087】
本明細書は、読み手の利便性のみのために段落に分けられている。標題は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0088】
本発明の種々の詳細が、本発明の範囲から逸脱せずに変更されてもよいことは、理解されるだろう。さらに、前述の詳細は、例示のみの目的のためであり、限定の目的ではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーズを含む第1の液滴を分裂する方法であって、当該方法は、
(a)前記液滴内で前記ビーズを中央位置にさせるのに十分に前記第1の液滴に近接して1つ以上のマグネットを配置する工程と、
(b)前記液滴を分裂して、ビーズを含む1つ以上の液滴およびビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴を生じる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
ビーズを含む第1の液滴を分裂する方法であって、当該方法は、
(a)
(i)ビーズと、
(ii)添加剤であって、当該添加剤を欠く、対応する対照の液滴に比べて、磁場の存在下においてビーズの固定化、および/または磁場の除去後の再懸濁を高めるのに十分な量で選択ならびに提供される添加剤と、
を含む液滴を提供する工程と、
(b)前記液滴を分裂して、ビーズを含む1つ以上の液滴およびビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴を生じる工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
ビーズを含む第1の液滴を分裂する方法であって、当該方法は、
(a)前記液滴内で前記ビーズを実質的に固定化するのに十分に前記第1の液滴に近接して磁場を提供する工程と、
(b)前記固定化されたビーズから十分に離れた位置で、前記液滴を分裂して、ビーズを含む1つ以上の液滴およびビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴を生じる工程と、
を含む、方法。
【請求項4】
(a)基板と結合し、1つ以上の液滴操作を実施するように構成される電極のアレイと、
(b)1つ以上の前記電極の第1のセットに配置される液滴に磁場を与えるように配置されるマグネットと、
(c)前記磁場から1つ以上の前記電極の第2のセットに配置される液滴をシールドするように配置される磁気シールドと、
を備える、液滴アクチュエータデバイス。
【請求項5】
(a)1つ以上の前記電極の第2のセットに配置される液滴に磁場を与えるように配置される第2のマグネットと、
(b)前記磁場から1つ以上の前記電極の前記第1のセットに配置される液滴をシールドするように配置される、請求項4に記載の(c)の磁気シールドと同じであっても、異なっていてもよい磁気シールドと、
をさらに備える、請求項4に記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項6】
(a)各々のマグネットのセットは、1つ以上のマグネットを含み、
(b)各々の磁気シールドのセットは、1つ以上の磁気シールドを含み、
(c)前記マグネットのセットおよび前記磁気シールドのセットは、一続きの液滴の集合上で独立した液滴操作を可能にするように配置され、
(i)各々の液滴の集合は、1つ以上の液滴を含み、
(ii)各々の液滴の集合は、単一のマグネットのセットに影響を受け、他のマグネットのセットによる影響から1つ以上の磁気シールドのセットによって遮断される、一連の前記マグネットのセットおよび前記磁気シールドのセットを含む、請求項5に記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項7】
(a)1つ以上の磁性応答性ビーズを液滴に含み、
(b)前記第1のセットからの1つ以上の電極に配置されて、その結果、前記磁性応答性ビーズが前記磁場によって引き付けられる、
液滴を含む、請求項4から6のいずれかに記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項8】
(a)1つ以上の磁性応答性ビーズを液滴に含み、
(b)前記第2のセットからの1つ以上の電極に配置されて、その結果、前記磁性応答性ビーズが前記磁場によって引き付けられない、
液滴を含む、請求項4から7のいずれかに記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記磁気シールドは、高透磁率を有する材料を含む、請求項4から8のいずれかに記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記磁気シールドは、Mu金属、パーマロイ、鉄、鋼、ニッケル、および前述のいずれかを実質的に含む合金からなる群より選択される材料を含む、請求項4から9のいずれかに記載の液滴アクチュエータデバイス。
【請求項11】
(a)基板で液滴操作を実施するように前記基板と結合して配置される電極であって、前記液滴操作は、液滴分裂操作および液滴移動操作を含む、電極と、
(b)1つ以上の前記電極を含む前記電極のサブセットと結合するマグネットと、
(c)前記電極のサブセットの1つ以上の前記電極上の液滴であって、前記液滴は、1つ以上の磁性応答性粒子または物質を含む、液滴と、
を備える、液滴アクチュエータデバイスであって、
前記マグネットは、前記液滴に近接して磁場を与えるように配向され、前記磁場は、液滴分裂操作の間に前記磁性応答性粒子または前記物質を固定化するのに十分な力を、前記磁性応答性粒子または前記物質に与えるが、液滴移動操作の間に前記磁性応答性粒子を固定化するのに十分な力を与えない、液滴アクチュエータデバイス。
【請求項12】
液滴アクチュエータアセンブリを組み立てる方法であって、当該方法は、
マウント構造に、前記液滴アクチュエータアセンブリに存在する液滴に影響を与える電場を放射する電極を含む基板と、前記液滴アクチュエータアセンブリに存在する磁性応答性ビーズに影響を与える磁場を放射するマグネットに適合するように構成されるマグネットアセンブリとを取り付ける工程であって、前記基板および前記マグネットアセンブリのうちの少なくとも1つは、前記マウント構造に取り外し可能に取り付けられる工程を含む、方法。
【請求項13】
前記基板を取り付ける工程は、前記マウント構造に取り付けるように構成される複数の基板の中から前記基板を選択する工程、および異なる電場放出特性を含む工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マグネットアセンブリを取り付ける工程は、複数の磁性アセンブリの中から前記マグネットアセンブリを選択し、各々のマグネットアセンブリは、前記マウント構造に取り付けるように構成され、異なる磁性特性を含む工程をさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記マグネットアセンブリを取り付ける工程は、複数の磁性アセンブリの中から前記マグネットアセンブリを選択し、各々のマグネットアセンブリは、前記マウント構造に取り付けるように構成され、前記マグネットアセンブリのマグネットの配向、前記マグネットアセンブリの複数のマグネットの相対的配向、前記マグネットアセンブリのマグネットのサイズ、および前記マグネットアセンブリの複数のマグネットのパターンからなる記載から選択される特性に関連する少なくとも1つの異なる磁性特性をさらに含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記マグネットアセンブリに前記マグネットを取り外し可能に取り付ける工程をさらに含む、請求項12から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
異なる磁性特性を有する複数のマグネットの中から前記マグネットアセンブリに取り外し可能に取り付けるための前記マグネットを選択する工程をさらに含む、請求項12から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
異なる磁性特性を示す物理的に区別可能な特性を有する複数のマグネットの中から前記マグネットアセンブリへの取り外し可能な取り付けのための前記マグネットを選択する工程をさらに含む、請求項12から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
複数のマグネットの中から前記マグネットアセンブリへの取り外し可能な取り付けのための前記マグネットを選択する工程をさらに含み、各々のマグネットは、色分け、テキストマーキング、シンボルマーキング、前記マグネットの形状、および前記マグネットのサイズからなる記載から選択される少なくとも1つの特性に関連する物理的に区別可能な特性を有し、前記特性は磁性特性を示す、請求項12から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記マグネットは、所望の配向に従って、前記マグネットアセンブリにのみ取り付けるように、前記マグネットを成形する工程をさらに含む、請求項12から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記基板および前記マグネットアセンブリを前記マウント構造に取り付ける工程は、所望の配向で前記マグネットアセンブリに対して前記物質を配向する工程をさらに含む、請求項12から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記基板および前記マグネットアセンブリを前記マウント構造に取り付ける工程は、前記基板の前記電極と、前記マグネットアセンブリの前記マグネットとを整列させる工程をさらに含む、請求項12から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記基板および複数の前記マグネットアセンブリのうちの少なくとも1つを、前記マウント構造に取り付ける工程は、少なくとも1つの前記基板および前記マグネットアセンブリを取り付けるための締結機構を用いる工程をさらに含む、請求項12から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記基板および前記マグネットアセンブリのうちの少なくとも1つを、前記マウント構造に取り付ける工程は、少なくとも1つの前記基板および前記マグネットアセンブリを取り付けるための締結機構を用いる工程をさらに含む、請求項12から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記基板および前記マグネットアセンブリのうちの少なくとも1つを、前記マウント構造に取り付ける工程は、締め具、溝、埋め込みトレイ、バネで留められた機構、支柱、および接続具からなる記載から選択される少なくとも1つの締結機構を用いる工程をさらに含む、請求項12から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記基板および前記マグネットアセンブリのうちの少なくとも1つを、前記マウント構造に取り付ける工程は、複数の締結機構を提供する工程をさらに含み、複数の異なる締結機構の使用は、前記マグネットの構造に対して、少なくとも1つの前記基板および前記マグネットアセンブリの異なる配向を生じる、請求項12から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
1つ以上の磁性応答性ビーズ、開始量の物質、および開始体積を含む開始液滴に関する操作を実施するために構成される液滴アクチュエータであって、前記液滴アクチュエータは、
(a)電場を前記開始液滴に伝えるように構成される電極を含む基板と、
(b)前記1つ以上の磁性応答性ビーズに影響を与える磁場を生成するように構成されるマグネットと、
(c)前記電極の少なくとも1つと、前記マグネットとを電気通信し、操作を開始するように構成されるプロセッサであって、当該操作は、
(i)標的液滴分裂領域から一定の距離である位置において、前記1つ以上の磁性応答性ビーズを磁性により固定化する工程と、
(ii)混合した前記液滴を分割するように選択される液滴分割操作を含む1つ以上の液滴操作を実施して、液滴の集合を生じる工程であって、前記液滴は、
(1)実質的に全ての前記1つ以上の磁性応答性ビーズを含み、開始濃度に比べて減少した量の前記物質を有する液滴と、
(2)前記磁性応答性ビーズを実質的に欠く液滴と、を含む工程と、を含む操作であるプロセッサと、
を備える、液滴アクチュエータ。
【請求項28】
磁性応答性ビーズを含む第1の液滴を分裂する工程を含む操作を実施するために構成される液滴アクチュエータであって、
(a)電場を前記第1の液滴に伝えるように構成される電極と、
(b)前記液滴内で前記磁性応答性ビーズが中央位置になるように前記第1の液滴に近接して配置される1つ以上のマグネットと、
(c)前記電極の少なくとも1つと、前記1つ以上のマグネットとを電気通信し、前記液滴を分裂することを開始するように構成され、
(i)前記磁性応答性ビーズを含む1つ以上の液滴と、
(ii)前記磁性応答性ビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴と、を生じるプロセッサと、
を備える、液滴アクチュエータ。
【請求項29】
磁性応答性ビーズを含む第1の液滴を分裂する工程を含む操作を実施するために構成される液滴アクチュエータであって、
(a)電場を前記第1の液滴に伝えるように構成される電極と、
(b)前記磁性応答性ビーズに影響を与える磁場を生成するように構成されるマグネットと、
(c)添加剤を欠く対応する対照の液滴に比べて、前記磁場の少なくとも1つの存在下において磁性応答性ビーズの固定化、および前記磁場の除去後の再懸濁を高めるのに十分な量で選択されて、前記第1の液滴に添加される添加剤と、
(d)前記電極の少なくとも1つと、前記1つ以上のマグネットとを電気通信し、前記液滴を分裂することを開始するように構成され、
(i)前記磁性応答性ビーズを含む1つ以上の液滴と、
(ii)前記磁性応答性ビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴と、を生じるプロセッサと、
を備える、液滴アクチュエータ。
【請求項30】
磁性応答性ビーズを含む第1の液滴を分裂する工程を含む操作を実施するために構成される液滴アクチュエータであって、
(a)電場を前記第1の液滴に伝えるように構成される電極と、
(b)前記液滴内で前記磁性応答性ビーズを実質的に固定化するように、前記第1の液滴に近接して配置されるマグネットと、
(c)前記電極の少なくとも1つと、前記1つ以上のマグネットとを電気通信し、前記実質的に固定化された磁性応答性ビーズから十分な距離である位置で前記液滴の分裂を開始するように構成され、
(i)前記磁性応答性ビーズを含む1つ以上の液滴と、
(ii)前記磁性応答性ビーズを実質的に欠く1つ以上の液滴と、を生じるプロセッサと、
を備える、液滴アクチュエータ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−29524(P2013−29524A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225184(P2012−225184)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2009−549285(P2009−549285)の分割
【原出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【出願人】(509225524)アドヴァンスト リキッド ロジック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】