液滴吐出装置と液滴吐出方法及び画像形成装置
【課題】インク滴等を吐出する液滴吐出ヘッドのメンテナンス動作で空吐出した液体が堆積することを抑制するとともに液滴を吐出するノズルの目詰りを防止する。
【解決手段】印刷を開始するときの空吐出動作では、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は吸収体82を有するキャップ部材83内に空吐出を行い、経過時間が長い場合は吸収体を有しない空吐出受け86に空吐出を行うことにより空吐出受け86にインクが堆積することを抑制することができる。
【解決手段】印刷を開始するときの空吐出動作では、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は吸収体82を有するキャップ部材83内に空吐出を行い、経過時間が長い場合は吸収体を有しない空吐出受け86に空吐出を行うことにより空吐出受け86にインクが堆積することを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばインク滴等を吐出する液滴吐出装置と液滴吐出方法及び液滴吐出装置を備えた画像形成装置、特に液滴吐出装置のメンテナンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタやファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置の記録装置として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は記録ヘッドの多数のノズルからインク滴を噴射させて記録媒体に文字や図形などを印字している。このインクジェット記録装置で高品質な文字や図形などを高速印刷するためには、記録媒体に印字したインクの速乾性が要求される。このようにインクを速乾性にするとノズルがインクの凝固により目詰まりしやすくなっている。また、文字や図形などを高品質で印刷するためにはインク滴を吐出するノズルの小口径化を図る必要がある。このため吐出エネルギーが小さくなり、より目詰まりしやすくなっている。
【0003】
このインクの凝固により目詰まりが起こらないようにするため、記録ヘッドのメンテナンス動作で増粘したインクを排出させるフラッシング動作を行う必要がある。例えば特許文献1に示された液体噴射装置は、インクを空吐出するフラッシング動作を、インクミストが発生し難い第1の空吐出動作とミストが発生しやすい第2の空吐出動作の2種類とし、第1の空吐出動作と第2の空吐出動作を互いに異なる位置で行うようにしている。すなわち、第2の空吐出動作は印字を行う前にノズルのメニスカスを整えるために行うフラッシング動作であり、このフラッシング動作ではノズルから吐出するインク滴の重量が小さくミストになりやすいためキャップ内に吐出させている。また、第1の空吐出動作は印字中に一定時間毎に行うフラッシング動作であり、このフラッシング動作ではノズルから吐出するインク滴の重量が大きくミストになりにくいため廃インク受けに吐出させている。
【0004】
特許文献2に示された液体噴射装置は、記録ヘッドのフラッシング動作で吐出したインクを吸収する吸収体で効率良くインクを吸収させるため、吸収体上に堆積したインクに対して、ノズル列を移動させながらインクを吐出させて堆積したインクを溶解させて吸収態に吸収しやすくしている。
【0005】
また、特許文献3に示された画像形成装置は、前回のメンテナンス動作からの経過時間に応じて各色のインクを吐出する記録ヘッド毎に使用しているインクの物性に応じたメンテナンス動作を実施して各色のインクの乾燥による吐出不良を防止するようにしている。
【特許文献1】特開2005−246698号公報
【特許文献2】特開2006−168177号公報
【特許文献3】特開2006−187893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すように、第2の空吐出動作で全てのインクをキャップ内に吐出させると、先に印字してから次に印字するまでの経過時間によっては増粘したインクを吐出させるため空吐出速度を早くする必要があり、その場合、キャップ内に吐出するインクがミストになりやすい傾向がある。
【0007】
また、特許文献2に示すように、吸収体上に堆積したインクに対して、ノズル列を移動させながらインクを吐出して吸収体にインクが堆積することを防ぐようにしても、吸収体上に堆積したインクに対して吐出するインクがばらつき、かつ堆積の状態を制御することはむずかしいとともにインクの堆積量の絶対値を減らすことはできない。また、特許文献3に示すように、前回のメンテナンス動作からの経過時間に応じて記録ヘッド毎に使用しているインクの物性に応じたメンテナンス動作を実施しても、ミストが発生しにくいインクも全て同じ場所に吐出しているためインク堆積が発生し易いという短所がある。
【0008】
このように増粘したインクが堆積すると、キャリッジ移動の際に記録ヘッドが堆積したインクに接触したりあるいは堆積して接触したインクが固着して正常な動作をしなくなる可能性がある。
【0009】
この発明は、このような短所を改善し、インク滴等を吐出する液滴吐出ヘッドのメンテナンス動作で空吐出した液体が堆積することを抑制するとともに液滴を吐出するノズルの目詰りを防止することができる液滴吐出装置と液滴吐出方法及び液滴吐出装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の液滴吐出装置は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間を計測する計時手段と、該計測手段で計測した経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせる制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
前記制御手段は、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくする。
【0014】
また、前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくする。
【0015】
この発明の液滴吐出方法は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出方法において、前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることを特徴とする。
【0016】
前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0017】
また、前記液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0018】
この発明の画像形成装置は、前記液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることにより、空吐出したインが堆積することを抑制することができる。
【0020】
また、経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことにより、空吐出受け内へのインク堆積を抑制することができる。
【0021】
さらに、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことにより、空吐出受け内へのインク堆積を抑制することができる。
【0022】
また、経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくしたり、湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくすることにより、液滴吐出動作を行うときの目詰まりを防止することができる。
【0023】
また、この発明の画像形成装置は、前記液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することにより、装置内にミストが飛散することを防止して、良質な画像を安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜図3は、この発明の画像形成装置の構成を示し、図1は画像形成装置を前方側から見た斜視図、図2は画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図、図3は機構部の要部構成図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された記録用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された記録用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。また、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5を配置している。
【0026】
このカートリッジ装填部4には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10yを、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー6を開閉可能に設けている。
【0027】
操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11yを配置している。また、操作/表示部5には、電源ボタン12と用紙送り/印刷再開ボタン13及びキャンセルボタン14も配置している。
【0028】
この画像形成装置の機構部は、図3に示すように、ガイドロッド21とステー22とでキャリッジ23を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ24によって駆動プーリ25と従動プーリ26間に架け渡したタイミングベルト27を介して矢示方向(キャリッジ走査方向)に移動走査する。このキャリッジ23には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴をそれぞれ吐出するノズル列を有する各色毎の記録ヘッド31を複数のノズルを主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド31は、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0029】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド31に各色のインクを供給するための各色のサブタンク32k、32c、32m、32yを搭載している。この各色のサブタンク32には各色のインク供給チューブを介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。
【0030】
また、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した記録用紙42を給紙するための給送手段である給紙部として、用紙積載部41から記録用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、給紙部から給紙された記録用紙42を記録ヘッド31の下方側に送り込むために、記録用紙42を案内するガイド部材45とカウンタローラ46と搬送ガイド部材47と先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された記録用紙42を静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0031】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。そして、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド31による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。この搬送ベルト51は、副走査モータによって搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
【0032】
さらに、記録ヘッド31で記録された記録用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から記録用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0033】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される記録用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面には手差しトレイ72を設けている。
【0034】
さらに、図3に示すように、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、図4の断面図に示すように、各色毎の記録ヘッド31のノズル面をキャピングするための吸収体82を内部に有するキャップ部材83とキャップ部材83からインクを吸収する吸引ポンプ84と吸引したインクを受け入れる廃液タンク85及び空吐出したインクを受ける空吐出受け部86とを有する。
【0035】
この画像形成装置のインク滴を吐出する記録ヘッド31を図5と図6及び図7を参照して説明する。図5は記録ヘッド31の液室長手方向に沿う断面図、図6は記録ヘッド31の液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図、図7は圧力発生室部の上面図である。この記録ヘッド31は、インク供給口111と共通液室112となる彫り込みを形成したフレーム110と、流体抵抗部121と圧力発生室122となる彫り込みとノズル131に連通する連通口123を形成した流路板120、ノズル131を形成するノズル板130と、凸部161とダイアフラム部162及びインク流入口163を有する振動板160と、振動板160に接着層170を介して接合された積層圧電素子150と、積層圧電素子150を固定しているベース140を有する。
【0036】
ベース140はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子150を2列配置して接合している。積層圧電素子150は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層151と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層152とを交互に積層している。内部電極層152は両端で外部電極153に接続されている。この積層圧電素子150はハーフカットのダイシング加工により櫛歯状に分割され、1つ毎に駆動部156と支持部157(非駆動部)として使用する。外部電極153の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極154となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極155となる。駆動部156の個別電極154にはFPC180が半田接合されている。また、共通電極155は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC180の接地電極に接合している。FPC180には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部156への駆動電圧印加を制御している。
【0037】
振動板160は、薄膜のダイアフラム部161と、ダイアフラム部161の中央部に形成し、積層圧電素子150の駆動部156と接合する島状凸部(アイランド部)162と、フレーム110に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口163となる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。この振動板160の島状凸部162と積層圧電素子150可動部156とフレーム110の結合は、ギャップ材を含んだ接着層170をパターニングして接着している。
【0038】
流路板120はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部121と圧力発生室122となる彫り込み、及びノズル131に対する位置に連通口123となる貫通口をエッチング工法でパターニングして形成している。このエッチングで残された部分が圧力発生室122の隔壁124となる。また、エッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部121としている。
【0039】
ノズル板130は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成され、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル131を多数を有する。このノズル131の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル131の径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmである。また各列のノズルピッチは例えば150dpiとしている。このノズル板130のインク吐出面(ノズル表面側)は、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層132を設けている。この撥水処理層132はPTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装あるいは蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、またはシリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、液滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0040】
インク供給口111と共通液室112となる彫り込みを形成するフレーム110は樹脂成形で作製されている。
【0041】
このように構成した記録ヘッド31においては、記録信号に応じて駆動部156に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部156に積層方向の変位が生起し、振動板130を介して圧力発生室122が加圧されて圧力が上昇し、ノズル131から液滴が吐出される。その後、液滴吐出の終了に伴い、圧力発生室122内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって圧力発生室122内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、サブタンク32から供給されたインクは共通液室112に流入し、共通液室112からインク流入口163を経て流体抵抗部121を通って圧力発生室122内に充填される。流体抵抗部121は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部121を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次の液滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0042】
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ2から記録用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された記録用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90度搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御部によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラスとマイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に記録用紙42が給送されると、記録用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって記録用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド31を駆動することにより、停止している記録用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、記録用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は記録用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、記録用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0043】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構81側に移動されて、キャップ部材83で記録ヘッド31がキャッピングしてノズル131を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材83で記録ヘッド31をキャッピングした状態で吸引ポンプ84によってノズル131からインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持する。
【0044】
この画像形成装置の制御装置200は、図8のブロック図に示すように、制御部201と走査駆動部202とヘッド駆動部203及び吸引駆動部204を有する。制御部201は、装置全体の動作を管理する主制御部205と、ホスト装置からの各種情報を授受するホストインタフェース206と、各種制御プログラムやホスト装置から送られた情報を記憶する記憶部207及び計時部208を有する。走査駆動部102は主制御部205からの制御信号により主走査モータ24を駆動する。ヘッド駆動部203は主制御部205からの駆動信号により記録ヘッド31を駆動し、吸引駆動部204は主制御部205からの制御信号により吸引ポンプ84を駆動する。
【0045】
この画像形成装置の記録ヘッド31で使用するインクの粘度が高く、速乾性が高くなればなるほど、インクは早く乾燥して増粘によるノズル131の目詰まりが発生する。従来は、印刷前のメンテナンス動作でこの乾燥したインクを排出させるために、多くの空吐出滴数を要し、インク堆積を引き起こしていた。この対策として、吸収体のあるキャップ部材内に空吐出しようと試みたが、空吐出での滴速度が速く、ミストになりやすく、装置内を汚す結果となってしまっていた。ただし、この空吐出動作において、増粘インクを排出するために必要なインク滴速度はインクの増粘具合(非噴射時間)に応じて定められ、このインク滴速度はミストの発生しやすさに関係している。インク滴速度が速くなればなるほど、ミストは発生しやすくなり、インク滴速度が遅くなればなるほどミストは発生しにくくなる。ノズル131と空吐出したインクを受ける非印写受けとの距離が近く、インク滴速度が速いと、インクの跳ね返りがあり、ノズル面を汚すだけでなく、その周辺部までも汚してしまうことになる。また、ノズル131とインク非印写受けとの距離が遠く、滴速度が遅いと、非印写受けへの着弾ばらつきが発生し、非印写受けへのインク堆積を引き起こしてしまう。
【0046】
そこで制御装置200の制御部201に計時部208を設け、計時部208で印刷終了時から次の印刷直前までの経過時間を計測し、印刷前の空吐出動作は、その経過時間に応じて空吐出位置を異ならせてインク堆積による画像品質劣化を防ぐ。すなわち、印刷終了時から次の印刷を開始するまでの間の印刷をしない時間が長ければ、その時間に応じてインク乾燥は進んでいく。そこで計時部208は印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまで経過時間を計測する。
【0047】
例えば図9に示すように、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は、インクの増粘はそれほど進んでいなく、増粘したインクを排出するときの滴速度Vjが遅くても増粘したインクを排出できるため、滴速度Vjを遅くして吸収体82を有するキャップ部材83へインク滴を排出してインク堆積を抑制する。このように滴速度Vjが遅い場合はミストの発生が少ないためキャップ部材83に排出しても良い。また、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまで経過時間が長い場合は、インクの増粘が進んでいるため、滴速度Vjを速くして滴体積Mjを大きくして増粘したインクを排出する。このように滴速度Vjが速い場合はミストが発生し易いため、キャップ部材83でなく空吐出受け86へ排出する。
【0048】
そこで制御装置200の主制御部205は、図10のフローチャートに示すように、画像形成装置の電源が投入されて印刷命令を入力すると(ステップS1)、空吐出受け86に空吐出して印刷を開始する(ステップS2,S3)。この印刷が終了すると(ステップS4)記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングする(ステップS5)。そして引き続いて印刷動作を継続する場合は、待機状態に入り計時部208で計時を開始させる(ステップS6,S7)。
【0049】
この状態で新しい印刷命令を入力すると(ステップS8)、主制御部205は計時部208の計時を終了させて計時部208で計時した経過時間とあらかじめ設定されていた所定時間とを比較する(ステップS9,S10)。この計時した経過時間が所定時間より短い場合はキャップ部材83に空吐出し(ステップS11)、経過時間が所定時間より長い場合は空吐出受け86に空吐出し(ステップS12)、その後、印刷を開始する(ステップS13)。この印刷が終了すると(ステップS14)、記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングし(ステップS5)、引き続いて印刷動作を継続する場合は上記処理を繰り返し、印刷動作を終了する場合は画像形成装置の電源を遮断して印刷動作を終了する(ステップS6)。
【0050】
このように空吐出動作では、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は吸収体82を有するキャップ部材83内に空吐出を行い、経過時間が長い場合は空吐出受け86に空吐出を行うことにより空吐出受け86にインクが堆積することを抑制することができる。
【0051】
また、図11に示すように、湿度が高い環境では時間が経過しても、インクの乾燥はほとんど進んでおらず、滴速度Vjを速くする必要がない。そのため、滴速度Vjを遅くし、吸収体82を含んだキャップ部材83へとインク滴を排出してインク堆積を抑制する。湿度が低い環境で、かつ、経過時間が長い場合は、インクの増粘が進んでいるため、滴速度Vjを速くして滴体積Mjを大きくすることで増粘したインクを空吐出受け86に排出すれば良い。
【0052】
そこで制御装置200の主制御部205は、図12のフローチャートに示すように、画像形成装置の電源が投入されて印刷命令を入力すると(ステップS21)、空吐出受け86に空吐出して印刷を開始する(ステップS22,S23)。この印刷が終了すると(ステップS24)記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングする(ステップS25)。そして引き続いて印刷動作を継続する場合は、待機状態に入り計時部208で計時を開始させる(ステップS26,S27)。
【0053】
この状態で新しい印刷命令を入力すると(ステップS28)、主制御部205は計時部208の計時を終了させ(ステップS29)、湿度センサ209で検出している湿度とあらかじめ設定されていた所定の湿度とを比較し、検出した湿度が所定湿度より高い場合はキャップ部材83に空吐出する(ステップS30,S32)。また、検出した湿度が所定湿度より高い場合は計時部208で計時した経過時間とあらかじめ設定されていた所定時間とを比較する(ステップS30,S31)。この計時した経過時間が所定時間より短い場合はキャップ部材83に空吐出し(ステップS32)、経過時間が所定時間より長い場合は空吐出受け86に空吐出し(ステップS33)、その後、印刷を開始する(ステップS34)。この印刷が終了すると(ステップS35)、記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングし(ステップS25)、引き続いて印刷動作を継続する場合は上記処理を繰り返し、印刷動作を終了する場合は画像形成装置の電源を遮断して印刷動作を終了する(ステップS26)。
【0054】
このようにインクの増粘が進んでいるときだけ空吐出受け86に空吐出を行い、インクが増粘していないときにはキャップ部材82内に空吐出を行うことにより空吐出受け86内へのインク堆積を抑制することができる。また、温度が高くてインクが増粘していないときにキャップ部材82内に空吐出しても良い。
【0055】
また、インクを空吐出するとき、ミスト発生は滴速度Vjが7m/s以上のときに、発生しやすく、キャップ部材82内に吐出する際には滴速度Vjを7m/s以下にする方が望ましい。このように滴速度Vjを制限することにより、キャップ部材82内への吐出時にはキャップ部材82を記録ヘッド31に密着させた状態でも、離した状態であっても良い。また、吐出と同時に吸引ポンプ84で吸引動作を実施した状態でも、実施しない状態であっても良い。吸引動作を行わない場合は、所定量のインク量を吐出した時点で吸引ポンプ84により吸引動作を行えば良い。
【0056】
記録ヘッド31のノズル面は撥水性を有する材料でコーティングされていることが望ましい。コーティングされていることによって、汚れの原因となる液体が弾かれ、液体がノズル面に付着することが抑制される。このため、汚れが固化することによって生じる粒によりノズル131や吐出口が閉塞されることが防がれる。仮に付着したとしても、その結合力は弱い。また、インクの表面張力が低い場合、一般的なノズル面ではノズル131近傍までインクが拡がってしまい正常なメニスカスが形成されない場合がある。このような状態ではインクの吐出曲がりが生じたり、不吐出が生じたりしてしまう。しかし、ノズル面が撥水性を有する材料でコーティングされていれば、インクはノズル131近傍に拡がらずにノズル131内に留まるため、正常な吐出ができる。
【0057】
この撥水材膜の形成は、真空下での蒸着であっても良いし、適当な溶媒に溶解させて塗布しても良い。前者について言えば、例えば、真空排気ポンプにて真空槽内を所定の真空度まで排気したのち、撥水性材料を400℃で気化せしめて真空槽に導入し、真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源から放電電極に電力を供給してRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に前記液体吐出ヘッドのオリフィス面を表面処理して、オリフィス面上に前記撥水膜を形成することができる。なお、材料及び真空槽内の真空度によっては、常温から200℃程度の低温での撥水膜を形成することも可能である。また、後者について言えば、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することもできる。
【0058】
撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が使用できる。
【0059】
フッ素原子を有する有機化合物としては、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有するアルカン、カンボン酸、アルコール、アミン等が望ましい。具体的には、フルオロアルキルシランとしては、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロトリクロオシラン;フルオロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオローnーヘキサン、パーフルオローnーヘプタン、テトラデカフルオロー2ーメチルペンタン、パーフルオロドデカン、パーフルオロオイコサン;フルオロオアルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル基を有するアルコールとしては、3、3、4、4、5、5、5−ヘプタフルオロー2ーペンタノール;フルオロアルキル基を有するアミンとしては、ヘプタデカフルオロー1、1、2、2−テトラハイドロデシルアミン等が挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物としては、α,w−ビス(3ーアミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α、w−ビス(3ーグリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,w−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、特にアルキルシロキサン基を有する有機化合物が使用できる。
【0060】
アルキルシロキサン基を有する有機化合物としては、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0061】
【化1】
【0062】
前記一般式のような構造を有する化合物は他の撥水性化合物と併用する際にバインダーとしての機能も果たす。つまり、撥インク性の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させる機能も与える。
【0063】
撥水膜の膜厚は5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。膜厚が5μmを超える場合、塗膜の乾燥が遅くなり生産性が悪くなったり、機械的耐久性が損なわれる場合があり、ワイピングしたときに剥がれが生じるおそれがあるからである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の画像形成装置を前方側から見た斜視図である。
【図2】画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】画像形成装置の機構部の要部構成図である。
【図4】維持回復機構のキャップ部材の構成を示す断面図である。
【図5】記録ヘッドの液室長手方向に沿う断面図である。
【図6】記録ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図である。
【図7】記録ヘッドの圧力発生室部の上面図である。
【図8】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】経過時間に対する滴速度と滴体積の変動特性図である。
【図10】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】湿度に対する滴速度と滴体積の変動特性図である。
【図12】画像形成装置の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1;装置本体、2;給紙トレイ、3;排紙トレイ、4;カートリッジ装填部、
10;インクカートリッジ、23;でキャリッジ、31;記録ヘッド、
81;維持回復機構、82;吸収体、83;キャップ部材、84;吸引ポンプ、
85;廃液タンク、86;空吐出受け部、200;制御装置、
201;制御部、202;走査駆動部、203;ヘッド駆動部、
204;吸引駆動部、205;主制御部、208;計時部、209;湿度センサ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばインク滴等を吐出する液滴吐出装置と液滴吐出方法及び液滴吐出装置を備えた画像形成装置、特に液滴吐出装置のメンテナンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタやファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置の記録装置として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は記録ヘッドの多数のノズルからインク滴を噴射させて記録媒体に文字や図形などを印字している。このインクジェット記録装置で高品質な文字や図形などを高速印刷するためには、記録媒体に印字したインクの速乾性が要求される。このようにインクを速乾性にするとノズルがインクの凝固により目詰まりしやすくなっている。また、文字や図形などを高品質で印刷するためにはインク滴を吐出するノズルの小口径化を図る必要がある。このため吐出エネルギーが小さくなり、より目詰まりしやすくなっている。
【0003】
このインクの凝固により目詰まりが起こらないようにするため、記録ヘッドのメンテナンス動作で増粘したインクを排出させるフラッシング動作を行う必要がある。例えば特許文献1に示された液体噴射装置は、インクを空吐出するフラッシング動作を、インクミストが発生し難い第1の空吐出動作とミストが発生しやすい第2の空吐出動作の2種類とし、第1の空吐出動作と第2の空吐出動作を互いに異なる位置で行うようにしている。すなわち、第2の空吐出動作は印字を行う前にノズルのメニスカスを整えるために行うフラッシング動作であり、このフラッシング動作ではノズルから吐出するインク滴の重量が小さくミストになりやすいためキャップ内に吐出させている。また、第1の空吐出動作は印字中に一定時間毎に行うフラッシング動作であり、このフラッシング動作ではノズルから吐出するインク滴の重量が大きくミストになりにくいため廃インク受けに吐出させている。
【0004】
特許文献2に示された液体噴射装置は、記録ヘッドのフラッシング動作で吐出したインクを吸収する吸収体で効率良くインクを吸収させるため、吸収体上に堆積したインクに対して、ノズル列を移動させながらインクを吐出させて堆積したインクを溶解させて吸収態に吸収しやすくしている。
【0005】
また、特許文献3に示された画像形成装置は、前回のメンテナンス動作からの経過時間に応じて各色のインクを吐出する記録ヘッド毎に使用しているインクの物性に応じたメンテナンス動作を実施して各色のインクの乾燥による吐出不良を防止するようにしている。
【特許文献1】特開2005−246698号公報
【特許文献2】特開2006−168177号公報
【特許文献3】特開2006−187893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すように、第2の空吐出動作で全てのインクをキャップ内に吐出させると、先に印字してから次に印字するまでの経過時間によっては増粘したインクを吐出させるため空吐出速度を早くする必要があり、その場合、キャップ内に吐出するインクがミストになりやすい傾向がある。
【0007】
また、特許文献2に示すように、吸収体上に堆積したインクに対して、ノズル列を移動させながらインクを吐出して吸収体にインクが堆積することを防ぐようにしても、吸収体上に堆積したインクに対して吐出するインクがばらつき、かつ堆積の状態を制御することはむずかしいとともにインクの堆積量の絶対値を減らすことはできない。また、特許文献3に示すように、前回のメンテナンス動作からの経過時間に応じて記録ヘッド毎に使用しているインクの物性に応じたメンテナンス動作を実施しても、ミストが発生しにくいインクも全て同じ場所に吐出しているためインク堆積が発生し易いという短所がある。
【0008】
このように増粘したインクが堆積すると、キャリッジ移動の際に記録ヘッドが堆積したインクに接触したりあるいは堆積して接触したインクが固着して正常な動作をしなくなる可能性がある。
【0009】
この発明は、このような短所を改善し、インク滴等を吐出する液滴吐出ヘッドのメンテナンス動作で空吐出した液体が堆積することを抑制するとともに液滴を吐出するノズルの目詰りを防止することができる液滴吐出装置と液滴吐出方法及び液滴吐出装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の液滴吐出装置は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間を計測する計時手段と、該計測手段で計測した経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせる制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
前記制御手段は、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくする。
【0014】
また、前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくする。
【0015】
この発明の液滴吐出方法は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出方法において、前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることを特徴とする。
【0016】
前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0017】
また、前記液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする。
【0018】
この発明の画像形成装置は、前記液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることにより、空吐出したインが堆積することを抑制することができる。
【0020】
また、経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことにより、空吐出受け内へのインク堆積を抑制することができる。
【0021】
さらに、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことにより、空吐出受け内へのインク堆積を抑制することができる。
【0022】
また、経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくしたり、湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くしたり、空吐出滴体積を大きくすることにより、液滴吐出動作を行うときの目詰まりを防止することができる。
【0023】
また、この発明の画像形成装置は、前記液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することにより、装置内にミストが飛散することを防止して、良質な画像を安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜図3は、この発明の画像形成装置の構成を示し、図1は画像形成装置を前方側から見た斜視図、図2は画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図、図3は機構部の要部構成図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された記録用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された記録用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。また、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5を配置している。
【0026】
このカートリッジ装填部4には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10yを、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー6を開閉可能に設けている。
【0027】
操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11yを配置している。また、操作/表示部5には、電源ボタン12と用紙送り/印刷再開ボタン13及びキャンセルボタン14も配置している。
【0028】
この画像形成装置の機構部は、図3に示すように、ガイドロッド21とステー22とでキャリッジ23を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ24によって駆動プーリ25と従動プーリ26間に架け渡したタイミングベルト27を介して矢示方向(キャリッジ走査方向)に移動走査する。このキャリッジ23には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴をそれぞれ吐出するノズル列を有する各色毎の記録ヘッド31を複数のノズルを主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド31は、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0029】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド31に各色のインクを供給するための各色のサブタンク32k、32c、32m、32yを搭載している。この各色のサブタンク32には各色のインク供給チューブを介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。
【0030】
また、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した記録用紙42を給紙するための給送手段である給紙部として、用紙積載部41から記録用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、給紙部から給紙された記録用紙42を記録ヘッド31の下方側に送り込むために、記録用紙42を案内するガイド部材45とカウンタローラ46と搬送ガイド部材47と先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された記録用紙42を静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0031】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。そして、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド31による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。この搬送ベルト51は、副走査モータによって搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
【0032】
さらに、記録ヘッド31で記録された記録用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から記録用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0033】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される記録用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面には手差しトレイ72を設けている。
【0034】
さらに、図3に示すように、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、図4の断面図に示すように、各色毎の記録ヘッド31のノズル面をキャピングするための吸収体82を内部に有するキャップ部材83とキャップ部材83からインクを吸収する吸引ポンプ84と吸引したインクを受け入れる廃液タンク85及び空吐出したインクを受ける空吐出受け部86とを有する。
【0035】
この画像形成装置のインク滴を吐出する記録ヘッド31を図5と図6及び図7を参照して説明する。図5は記録ヘッド31の液室長手方向に沿う断面図、図6は記録ヘッド31の液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図、図7は圧力発生室部の上面図である。この記録ヘッド31は、インク供給口111と共通液室112となる彫り込みを形成したフレーム110と、流体抵抗部121と圧力発生室122となる彫り込みとノズル131に連通する連通口123を形成した流路板120、ノズル131を形成するノズル板130と、凸部161とダイアフラム部162及びインク流入口163を有する振動板160と、振動板160に接着層170を介して接合された積層圧電素子150と、積層圧電素子150を固定しているベース140を有する。
【0036】
ベース140はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子150を2列配置して接合している。積層圧電素子150は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層151と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層152とを交互に積層している。内部電極層152は両端で外部電極153に接続されている。この積層圧電素子150はハーフカットのダイシング加工により櫛歯状に分割され、1つ毎に駆動部156と支持部157(非駆動部)として使用する。外部電極153の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極154となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極155となる。駆動部156の個別電極154にはFPC180が半田接合されている。また、共通電極155は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC180の接地電極に接合している。FPC180には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部156への駆動電圧印加を制御している。
【0037】
振動板160は、薄膜のダイアフラム部161と、ダイアフラム部161の中央部に形成し、積層圧電素子150の駆動部156と接合する島状凸部(アイランド部)162と、フレーム110に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口163となる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。この振動板160の島状凸部162と積層圧電素子150可動部156とフレーム110の結合は、ギャップ材を含んだ接着層170をパターニングして接着している。
【0038】
流路板120はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部121と圧力発生室122となる彫り込み、及びノズル131に対する位置に連通口123となる貫通口をエッチング工法でパターニングして形成している。このエッチングで残された部分が圧力発生室122の隔壁124となる。また、エッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部121としている。
【0039】
ノズル板130は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成され、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル131を多数を有する。このノズル131の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル131の径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmである。また各列のノズルピッチは例えば150dpiとしている。このノズル板130のインク吐出面(ノズル表面側)は、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層132を設けている。この撥水処理層132はPTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装あるいは蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、またはシリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、液滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0040】
インク供給口111と共通液室112となる彫り込みを形成するフレーム110は樹脂成形で作製されている。
【0041】
このように構成した記録ヘッド31においては、記録信号に応じて駆動部156に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部156に積層方向の変位が生起し、振動板130を介して圧力発生室122が加圧されて圧力が上昇し、ノズル131から液滴が吐出される。その後、液滴吐出の終了に伴い、圧力発生室122内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって圧力発生室122内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、サブタンク32から供給されたインクは共通液室112に流入し、共通液室112からインク流入口163を経て流体抵抗部121を通って圧力発生室122内に充填される。流体抵抗部121は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部121を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次の液滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0042】
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ2から記録用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された記録用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90度搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御部によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラスとマイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に記録用紙42が給送されると、記録用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって記録用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド31を駆動することにより、停止している記録用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、記録用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は記録用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、記録用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0043】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構81側に移動されて、キャップ部材83で記録ヘッド31がキャッピングしてノズル131を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材83で記録ヘッド31をキャッピングした状態で吸引ポンプ84によってノズル131からインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持する。
【0044】
この画像形成装置の制御装置200は、図8のブロック図に示すように、制御部201と走査駆動部202とヘッド駆動部203及び吸引駆動部204を有する。制御部201は、装置全体の動作を管理する主制御部205と、ホスト装置からの各種情報を授受するホストインタフェース206と、各種制御プログラムやホスト装置から送られた情報を記憶する記憶部207及び計時部208を有する。走査駆動部102は主制御部205からの制御信号により主走査モータ24を駆動する。ヘッド駆動部203は主制御部205からの駆動信号により記録ヘッド31を駆動し、吸引駆動部204は主制御部205からの制御信号により吸引ポンプ84を駆動する。
【0045】
この画像形成装置の記録ヘッド31で使用するインクの粘度が高く、速乾性が高くなればなるほど、インクは早く乾燥して増粘によるノズル131の目詰まりが発生する。従来は、印刷前のメンテナンス動作でこの乾燥したインクを排出させるために、多くの空吐出滴数を要し、インク堆積を引き起こしていた。この対策として、吸収体のあるキャップ部材内に空吐出しようと試みたが、空吐出での滴速度が速く、ミストになりやすく、装置内を汚す結果となってしまっていた。ただし、この空吐出動作において、増粘インクを排出するために必要なインク滴速度はインクの増粘具合(非噴射時間)に応じて定められ、このインク滴速度はミストの発生しやすさに関係している。インク滴速度が速くなればなるほど、ミストは発生しやすくなり、インク滴速度が遅くなればなるほどミストは発生しにくくなる。ノズル131と空吐出したインクを受ける非印写受けとの距離が近く、インク滴速度が速いと、インクの跳ね返りがあり、ノズル面を汚すだけでなく、その周辺部までも汚してしまうことになる。また、ノズル131とインク非印写受けとの距離が遠く、滴速度が遅いと、非印写受けへの着弾ばらつきが発生し、非印写受けへのインク堆積を引き起こしてしまう。
【0046】
そこで制御装置200の制御部201に計時部208を設け、計時部208で印刷終了時から次の印刷直前までの経過時間を計測し、印刷前の空吐出動作は、その経過時間に応じて空吐出位置を異ならせてインク堆積による画像品質劣化を防ぐ。すなわち、印刷終了時から次の印刷を開始するまでの間の印刷をしない時間が長ければ、その時間に応じてインク乾燥は進んでいく。そこで計時部208は印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまで経過時間を計測する。
【0047】
例えば図9に示すように、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は、インクの増粘はそれほど進んでいなく、増粘したインクを排出するときの滴速度Vjが遅くても増粘したインクを排出できるため、滴速度Vjを遅くして吸収体82を有するキャップ部材83へインク滴を排出してインク堆積を抑制する。このように滴速度Vjが遅い場合はミストの発生が少ないためキャップ部材83に排出しても良い。また、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまで経過時間が長い場合は、インクの増粘が進んでいるため、滴速度Vjを速くして滴体積Mjを大きくして増粘したインクを排出する。このように滴速度Vjが速い場合はミストが発生し易いため、キャップ部材83でなく空吐出受け86へ排出する。
【0048】
そこで制御装置200の主制御部205は、図10のフローチャートに示すように、画像形成装置の電源が投入されて印刷命令を入力すると(ステップS1)、空吐出受け86に空吐出して印刷を開始する(ステップS2,S3)。この印刷が終了すると(ステップS4)記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングする(ステップS5)。そして引き続いて印刷動作を継続する場合は、待機状態に入り計時部208で計時を開始させる(ステップS6,S7)。
【0049】
この状態で新しい印刷命令を入力すると(ステップS8)、主制御部205は計時部208の計時を終了させて計時部208で計時した経過時間とあらかじめ設定されていた所定時間とを比較する(ステップS9,S10)。この計時した経過時間が所定時間より短い場合はキャップ部材83に空吐出し(ステップS11)、経過時間が所定時間より長い場合は空吐出受け86に空吐出し(ステップS12)、その後、印刷を開始する(ステップS13)。この印刷が終了すると(ステップS14)、記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングし(ステップS5)、引き続いて印刷動作を継続する場合は上記処理を繰り返し、印刷動作を終了する場合は画像形成装置の電源を遮断して印刷動作を終了する(ステップS6)。
【0050】
このように空吐出動作では、印刷が終了した時点から次の印刷を開始するまでの経過時間が短い場合は吸収体82を有するキャップ部材83内に空吐出を行い、経過時間が長い場合は空吐出受け86に空吐出を行うことにより空吐出受け86にインクが堆積することを抑制することができる。
【0051】
また、図11に示すように、湿度が高い環境では時間が経過しても、インクの乾燥はほとんど進んでおらず、滴速度Vjを速くする必要がない。そのため、滴速度Vjを遅くし、吸収体82を含んだキャップ部材83へとインク滴を排出してインク堆積を抑制する。湿度が低い環境で、かつ、経過時間が長い場合は、インクの増粘が進んでいるため、滴速度Vjを速くして滴体積Mjを大きくすることで増粘したインクを空吐出受け86に排出すれば良い。
【0052】
そこで制御装置200の主制御部205は、図12のフローチャートに示すように、画像形成装置の電源が投入されて印刷命令を入力すると(ステップS21)、空吐出受け86に空吐出して印刷を開始する(ステップS22,S23)。この印刷が終了すると(ステップS24)記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングする(ステップS25)。そして引き続いて印刷動作を継続する場合は、待機状態に入り計時部208で計時を開始させる(ステップS26,S27)。
【0053】
この状態で新しい印刷命令を入力すると(ステップS28)、主制御部205は計時部208の計時を終了させ(ステップS29)、湿度センサ209で検出している湿度とあらかじめ設定されていた所定の湿度とを比較し、検出した湿度が所定湿度より高い場合はキャップ部材83に空吐出する(ステップS30,S32)。また、検出した湿度が所定湿度より高い場合は計時部208で計時した経過時間とあらかじめ設定されていた所定時間とを比較する(ステップS30,S31)。この計時した経過時間が所定時間より短い場合はキャップ部材83に空吐出し(ステップS32)、経過時間が所定時間より長い場合は空吐出受け86に空吐出し(ステップS33)、その後、印刷を開始する(ステップS34)。この印刷が終了すると(ステップS35)、記録ヘッド31のノズル131を維持回復機構81のキャップ部材83でキャッピングし(ステップS25)、引き続いて印刷動作を継続する場合は上記処理を繰り返し、印刷動作を終了する場合は画像形成装置の電源を遮断して印刷動作を終了する(ステップS26)。
【0054】
このようにインクの増粘が進んでいるときだけ空吐出受け86に空吐出を行い、インクが増粘していないときにはキャップ部材82内に空吐出を行うことにより空吐出受け86内へのインク堆積を抑制することができる。また、温度が高くてインクが増粘していないときにキャップ部材82内に空吐出しても良い。
【0055】
また、インクを空吐出するとき、ミスト発生は滴速度Vjが7m/s以上のときに、発生しやすく、キャップ部材82内に吐出する際には滴速度Vjを7m/s以下にする方が望ましい。このように滴速度Vjを制限することにより、キャップ部材82内への吐出時にはキャップ部材82を記録ヘッド31に密着させた状態でも、離した状態であっても良い。また、吐出と同時に吸引ポンプ84で吸引動作を実施した状態でも、実施しない状態であっても良い。吸引動作を行わない場合は、所定量のインク量を吐出した時点で吸引ポンプ84により吸引動作を行えば良い。
【0056】
記録ヘッド31のノズル面は撥水性を有する材料でコーティングされていることが望ましい。コーティングされていることによって、汚れの原因となる液体が弾かれ、液体がノズル面に付着することが抑制される。このため、汚れが固化することによって生じる粒によりノズル131や吐出口が閉塞されることが防がれる。仮に付着したとしても、その結合力は弱い。また、インクの表面張力が低い場合、一般的なノズル面ではノズル131近傍までインクが拡がってしまい正常なメニスカスが形成されない場合がある。このような状態ではインクの吐出曲がりが生じたり、不吐出が生じたりしてしまう。しかし、ノズル面が撥水性を有する材料でコーティングされていれば、インクはノズル131近傍に拡がらずにノズル131内に留まるため、正常な吐出ができる。
【0057】
この撥水材膜の形成は、真空下での蒸着であっても良いし、適当な溶媒に溶解させて塗布しても良い。前者について言えば、例えば、真空排気ポンプにて真空槽内を所定の真空度まで排気したのち、撥水性材料を400℃で気化せしめて真空槽に導入し、真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源から放電電極に電力を供給してRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に前記液体吐出ヘッドのオリフィス面を表面処理して、オリフィス面上に前記撥水膜を形成することができる。なお、材料及び真空槽内の真空度によっては、常温から200℃程度の低温での撥水膜を形成することも可能である。また、後者について言えば、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することもできる。
【0058】
撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が使用できる。
【0059】
フッ素原子を有する有機化合物としては、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有するアルカン、カンボン酸、アルコール、アミン等が望ましい。具体的には、フルオロアルキルシランとしては、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロトリクロオシラン;フルオロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオローnーヘキサン、パーフルオローnーヘプタン、テトラデカフルオロー2ーメチルペンタン、パーフルオロドデカン、パーフルオロオイコサン;フルオロオアルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル基を有するアルコールとしては、3、3、4、4、5、5、5−ヘプタフルオロー2ーペンタノール;フルオロアルキル基を有するアミンとしては、ヘプタデカフルオロー1、1、2、2−テトラハイドロデシルアミン等が挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物としては、α,w−ビス(3ーアミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α、w−ビス(3ーグリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,w−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、特にアルキルシロキサン基を有する有機化合物が使用できる。
【0060】
アルキルシロキサン基を有する有機化合物としては、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0061】
【化1】
【0062】
前記一般式のような構造を有する化合物は他の撥水性化合物と併用する際にバインダーとしての機能も果たす。つまり、撥インク性の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させる機能も与える。
【0063】
撥水膜の膜厚は5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。膜厚が5μmを超える場合、塗膜の乾燥が遅くなり生産性が悪くなったり、機械的耐久性が損なわれる場合があり、ワイピングしたときに剥がれが生じるおそれがあるからである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の画像形成装置を前方側から見た斜視図である。
【図2】画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】画像形成装置の機構部の要部構成図である。
【図4】維持回復機構のキャップ部材の構成を示す断面図である。
【図5】記録ヘッドの液室長手方向に沿う断面図である。
【図6】記録ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図である。
【図7】記録ヘッドの圧力発生室部の上面図である。
【図8】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】経過時間に対する滴速度と滴体積の変動特性図である。
【図10】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】湿度に対する滴速度と滴体積の変動特性図である。
【図12】画像形成装置の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1;装置本体、2;給紙トレイ、3;排紙トレイ、4;カートリッジ装填部、
10;インクカートリッジ、23;でキャリッジ、31;記録ヘッド、
81;維持回復機構、82;吸収体、83;キャップ部材、84;吸引ポンプ、
85;廃液タンク、86;空吐出受け部、200;制御装置、
201;制御部、202;走査駆動部、203;ヘッド駆動部、
204;吸引駆動部、205;主制御部、208;計時部、209;湿度センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間を計測する計時手段と、該計測手段で計測した経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせる制御手段を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴体積を大きくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くすることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置
【請求項7】
前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴体積を大きくすることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出方法において、
前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項9】
前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項8記載の液滴吐出方法。
【請求項10】
前記液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項8記載の液滴吐出方法。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載の液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間を計測する計時手段と、該計測手段で計測した経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせる制御手段を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記計測手段で計測した経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴速度を速くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記経過時間が長いほど、空吐出滴体積を大きくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴速度を速くすることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置
【請求項7】
前記制御手段は、前記湿度が低いほど、空吐出滴体積を大きくすることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有し、前記ノズルの噴射状態を適正化するために液滴吐出ヘッドから液滴吐出動作を行う前に空吐出動作を行う液滴吐出方法において、
前記液滴吐出ヘッドで液滴吐出動作を行ってから次の液滴吐出動作を行うまでの経過時間に応じて空吐出動作を行う位置を異ならせることを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項9】
前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項8記載の液滴吐出方法。
【請求項10】
前記液滴吐出動作を行う前の温湿度が高いときは、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が短い場合は、吸収体を有するキャップ部材内に空吐出動作を行い、液滴吐出動作を行う前の温湿度が低く、前記経過時間が長い場合は、吸収体を有しない空吐出受け内に空吐出動作を行うことを特徴とする請求項8記載の液滴吐出方法。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載の液滴吐出装置から記録液を記録媒体に吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−274374(P2009−274374A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129178(P2008−129178)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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