説明

液滴吐出装置のメンテナンス方法

【課題】キレート剤を用いること無く、簡単なメンテナンスで吐出不具合の発生を確実に防止する。
【解決手段】インクジェット記録装置では、記録ヘッドのノズル面をワイピングすることによりノズル面の付着物がノズル内に入り込むために吐出不具合が生じ易くなる。このとき、ワイプ回数nに対して、インクパージ量が多くなると、と出不具合が生じなくなる。ここから、吐出不具合が生じない1ワイプ当たりのインクパージ量を必要パージ量に設定し、所定のタイミングで、インクパージ量が必要パージ量となるように、ダミージェットないし吸引処理によってインクパージ量を補償する。これにより、キレート剤を用いること無く、簡単に吐出不具合の発生を防止し、長期にわたって高品質の画像形成が可能となるように維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出するインクジェット記録装置などの液滴吐出装置に係り、詳細には、液滴吐出用のノズルの目詰まりを防止する液滴吐出装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置には、液滴としてインク滴を吐出して、記録紙上に画像を形成するインクジェット記録装置がある。このインクジェット記録装置では、インク滴を吐出するノズルの微細化と、着弾精度の向上によって高画質化が図られており、これにより、銀塩写真に匹敵する高画質の画像形成が可能となっている。
【0003】
ところで、微細なノズルやこのノズルが形成された吐出ヘッドでは、ノズル内やノズルの周縁部の付着物が、インクなどの吐出不良、着弾精度の低下を生じさせてしまう。
【0004】
ここから、インクジェット記録装置では、予め設定されたタイミングで、ブレードによるノズル面のワイピングを行うことによるノズル面の付着物の除去、インク滴を吐出するダミージェット、ノズル内やノズル周縁のインク液などの付着物の吸引などのメンテナンスを行うことにより、ノズルやノズル周縁の付着物の除去を図るようにしている。
【0005】
一方、インクなどの液体には、アルミニウムなどの金属イオンが含有していることがあり、また、液滴を吐出するノズルが形成されている吐出ヘッドをアルミニウムなどの金属で形成していると、金属イオンがノズルの周縁部に付着している液滴に溶け込んでしまうことがある。
【0006】
これにより、ノズル内の液体やノズルの周縁部に付着している微小な液体などにおいては、気液界面でアルミニウムなどの金属イオンや金属イオンなどによる液体成分の凝縮や固着が促進されて堆積物が生成され、回復不能な吐出不良などの装置故障を生じさせてしまうことになる。
【0007】
このようなノズルヘッドに堆積物が生成されてしまうのを抑えるために、インク中にアルミニウムなどの金属イオンをキレート化するキレート剤を含ませる提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかし、サーマル方式のインクジェット記録装置では、キレート剤のコゲーションによる吐出不良が発生する。また、インクは、水分が蒸発することにより増粘が生じる。このために、長期保管されたインクや高温状態で保管されたインクでは、増粘が加速され、インクの増粘による吐出不良が生じるという問題がある。
【0009】
ここから、ノズルヘッドのノズル面を、ブレード等によりワイピングしてノズル面やノズルの周縁部に付着したインクを除去するときに、キレート剤を供給する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
しかしながら、ワイピング時にノズル面にキレート剤を供給する方法では、キレート剤を供給するための機構が必要となり、装置のコストアップが生じると共に、キレート剤の安定供給が必要となる。
【特許文献1】特開2005−14512号公報
【特許文献2】特開2005−15706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、効率的で的確なタイミングでメンテナンスを行うことにより、装置のランニングコストの上昇を抑えながら、長期に渡ってノズルの目詰まりを防止可能とする液滴吐出装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、液滴吐出ヘッドのノズル面に形成されたノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置のメンテナンス方法であって、予め設定されたタイミングでワイパブレードを用いて前記ノズル面を払拭して付着物を除去するワイピングを行うと共に、前記ワイピングの回数であるワイプ回数及び、前記ノズルから吐出される前記液滴の吐出量をカウントし、前記ワイプ回数が所定回数に達したときの液滴の吐出量が予め設定した設定値を下回ったときに、前記ノズルから前記液滴を排出する排出処理を行い、前記吐出量を前記所定値以上とする、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、ノズルが形成されているノズル面をワイパブレードによってワイピングして、ノズル面の付着物を除去する。このとき、ノズル面をワイピングするワイプ回数をカウントすると共に、ノズルから吐出する液滴の吐出量を積算ないし算出し、ワイプ回数が所定回数に達したときの吐出量が予め設定している設定値に達していないときに、ノズルから液滴を排出する排出処理を行う。
【0014】
これにより、所定ワイプ回数当たりの液滴の吐出量が、設定値を超えるようにノズルからの液滴の吐出量を補償する。
【0015】
図1には、液滴の一例としてインクをノズルから吐出するインクジェット記録装置において、ノズルごとに算出したインク吐出量(以下、インクパージ量とする)dとノズル面の払拭回数(以下、ワイプ回数とする)nに対する吐出不具合の有無の測定結果を示している。
【0016】
なお、図1では、○印で「吐出不具合無し」を示し、×印で「吐出不具合有り」を示している。また、吐出不具合は、吐出量の不足の有無、吐出したインク滴の着弾位置のズレの有無から判定している。
【0017】
ここで、ワイプ回数nに対してインクパージ量dが比較的少ないときには、吐出不具合が発生するが、ワイプ回数nに対してインクパージ量dが比較的多い時には、吐出不具合が見られなくなる。
【0018】
吐出不具合の有無の境界は、ワイプ回数nが増加することによりインクパージ量dも増加する仮想線Xとして想定することができる。すなわち、ワイプ回数nに対するインクパージ量dが、仮想線Xを超えると吐出不具合が見られなくなる。
【0019】
このような仮想線Xは、例えば、略一定の傾きの直線状に近似することができ、これにより、傾きA(cc/回)とすと、吐出不具合が生じないインクパージ量dは、
d≧A・n
となり、吐出不具合を生じさせない吐出最低量dminは、
dmin=A・n
となる。
【0020】
したがって、ワイプ回数nに対するインクパージ量dが吐出最低量dminに達しないときに、不足分となるインクパージ量Δdをノズルから排出して、インクパージ量dが吐出最低量dmin以上となるようにすることにより、吐出不具合の発生を防止することができる。
【0021】
Δd=dmin−d
(ただし、dmin>d)
所定のワイプ回数nに対するこのような吐出最低量を取得して、吐出不具合を防止する必要吐出量の設定値として設定して、吐出不具合の発生を防止しうる液滴の吐出量の最低値を補償するように各ノズルから液滴を排出することにより、液滴中の水分の蒸発、液滴や吐出ヘッドの成分の析出等を抑えて、液滴の増粘や、ノズル内に残る付着物や堆積物に起因する吐出不具合の抑制することができる。
【0022】
また、例えば、ワイピングを行うことによりノズル内やノズル面の付着物に金属イオンが溶出してしても、キレート剤等を用いること無く、金属イオンを含む付着物を確実に除去して、金属イオンによって付着物が堆積したり、固着してしまうのを確実に防止することができる。
【0023】
このような本発明は、前記排出処理を、前記ノズルから液滴を吐出する空打ちによって実行してもよく、前記排出処理を、前記ノズルから液滴を吸引する吸引処理によって実行するものであっても良い。
【0024】
この発明によれば、液滴の予備吐出等の空打ち(ダミージェット)ないし、吸引処理によって、ノズルから液滴を排出する。
【0025】
また、本発明では、前記排出処理を、所定回数のワイピングの間で分割して実行しても良く、前記ワイピングが行われるごとに実行しても良い。
【0026】
これにより、例えば、ワイピングを行うごとや、所定回数のワイピングが終了するごとなどのタイミングで、ダミージェットによって所定量の液滴の吐出を行い、ワイプ回数が設定回数に達したときに、吐出量の不足が生じていれば、吸引処理によって、吐出量の不足分を補償するようにする。
【0027】
これにより、メンテナンスのために、正規の液滴の吐出タイミングがずれるなどの不具合が生じ、液滴吐出装置の吐出性能を損ねてしまうのを防止することができる。
【0028】
このように本発明においては、前記排出処理を、少なくとも前記液滴吐出装置の稼動を停止するときに実行することを特徴とし、また、前記液滴吐出装置が停止するときに、予め設定されている液滴吐出装置の稼動予定情報から、停止時間を予測して、該予測結果に基づいて前記排出処理を行うか否かを判定することを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、液滴吐出装置の電源をオフして稼動を停止するときに、液滴の排出処理を行う。これにより、停止時間が長いために、ノズルに残っている付着物などが増粘したり堆積してしまうのを防止することができる。
【0030】
また、予め稼動情報を設定することにより、稼動情報から液滴吐出装置の稼動を停止するときに、停止時間を予測でき、予測した停止時間に基づいて吐出量を補償するための排出処理を行うか否かを判断することにより、停止時間が短いのに、不要に液滴を排出して消費してしまうのを防止することができる。
【0031】
また、本発明は、前記液滴吐出装置が、稼動中に節電モードへ移行可能であるときに、前記排出処理を、少なくとも前記液滴吐出装置が前記節電モードへ移行するときに実行することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、液滴吐出装置が休止状態となる節電モードに移行するときに、必要に応じて排出処理を行う。これにより、装置の稼動中に前記排出処理を行うことで発生する装置のダウンタイムを制御することができると共に、装置の休止中にノズルの目詰まりが生じるのを防止することができる。
【0033】
また、本発明は、前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル面に複数の前記ノズルが形成されているときに、液滴吐出ヘッドに対して前記設定値を設定し、該設定値と前記液滴吐出ヘッドからの前記液滴の吐出量に基づいて、前記排出処理を行うことを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、液滴吐出ヘッドに複数のノズルが設けられている時には、液滴吐出ヘッドに対して必要吐出量(設定値)を設定すると共に、液滴吐出ヘッドの吐出量の総量と設定値に基づいて排出処理を行う。
【0035】
これにより、多数の液滴吐出ヘッドに多数のノズルが形成されているときの処理の簡略化を図ることができる。
【0036】
さらに、本発明は、前記液滴吐出装置に複数の前記液滴吐出ヘッドが設けられているときに、前記液滴吐出ヘッドごとに前記設定値を設定して、前記排出処理を行うことを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、複数の液滴吐出ヘッドが設けられている時に、液滴吐出ヘッドごとに設定値を設定し、必要に応じて排出処理を行う。
【0038】
複数の液滴吐出ヘッドが設けられている時に、液滴吐出ヘッドごとに吐出不具合の発生度合いが異なることがある。特に、液滴吐出ヘッドごとに異なる液体を吐出する場合、吐出不具合が発生する度合いが異なることが多い。
【0039】
このときに、液滴吐出ヘッドごとに設定値を設定し、排出処理を行うことにより、的確な吐出不具合の発生防止を効率的に行うことができる。
【0040】
このような本発明では、前記液滴吐出装置が、前記液滴としてインク滴を吐出して記録紙に印字データに応じた印字を行うインクジェット記録装置を適用することができ、このとき、印字データに基づいて前記液滴吐出ヘッドの前記ノズルから液滴を一定量ずつの液滴を吐出する時に、前記吐出量を前記印字データに基づいて吐出回数をカウントして算出することを特徴とする。また、本発明は、前記液滴吐出装置が、前記液滴として液滴の凝縮を促進する処理液及び、前記処理液によって凝縮が促進される被処理液を吐出するときにより大きな効果を得ることができる。
【0041】
この発明によれば、液滴吐出装置としてインクジェット記録装置を適用することにより、長期にわたって、所望の印字性能を維持することができる。また、印字データに基づいて吐出量を算出することにより、吐出量の算出処理が容易となる。
【0042】
また、インクジェット記録装置には、サーマルインクジェット方式を適用したものがあるが、本発明によれば、インク中の金属イオンをキレート化するキレート剤を含ませる必要がないため、コゲーションによる吐出不具合の発生を防止することができる。
【0043】
さらに、インクジェット記録装置には、処理液と、処理液によって凝縮反応が促進される被反応性インクを用いるものがあるが、このときにも、ノズル内でインクの凝縮が促進されてしまうことが無く、インクの凝縮による吐出不具合の発生を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように本発明によれば、液滴吐出ヘッドのノズル面をワイピングして付着物を除去するときに、ノズル面から除去した付着物が、ノズル内に入り込んでしまうことによる吐出不具合の発生を、効率的に確実に防止することができるという優れた効果が得られる。
【0045】
また、本発明によれば、液滴吐出装置が、微細なノズルが形成された液滴吐出ヘッドが設けられたインクジェット記録装置であっても、自動的なメンテナンスによって、長期にわたり高品質の画像形成が可能な状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2には、液滴吐出装置の一例として適用したインクジェット記録装置10の概略構成を示している。
【0047】
なお、以下で説明するインクジェット記録装置10では、吐出液として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の4色のインクを用い、画像データに基づいてインク滴を吐出して、記録紙などの画像記録媒体(以下、記録紙12とする)に、画像データに応じた印字やカラー画像を形成する。なお、インクは、顔料等によって所定色を発色するものなどの任意の構成を適用することができる。
【0048】
インクジェット記録装置10には、所定位置に記録紙12が装填されるようになっている。また、インクジェット記録装置10は、ハウジング14内に副走査機構16を形成する搬送ローラ18が設けられている。インクジェット記録装置10では、この搬送ローラ18を回転駆動することにより記録紙12を1枚ずつフィードして搬送する。
【0049】
なお、以下では、矢印V方向を記録紙12の搬送方向としており、インクジェット記録装置10は、この矢印V方向と直交する方向(矢印H方向)が装置幅方向となっている。また、インクジェット記録装置10では、矢印V方向の一方側(図2の紙面奥側)が装置奥側、他方側(図2の紙面手前側)が装置手前側となっており、装置奥側から装置手前側へ向けて記録紙12を搬送する。
【0050】
インクジェット記録装置10には、主走査機構20を形成するシャフト22が、搬送ローラ18と平行に配設されている。このシャフト22には、キャリッジ24が取り付けられており、インクジェット記録装置10では、このキャリッジ24が、主走査機構20によって主走査方向であるシャフト22の長手方向(矢印H方向)に沿って往復移動される。
【0051】
キャリッジ24には、複数のサブタンク26が搭載されている。また、図3に示されるように、キャリッジ24には、記録ヘッド28が搭載されている。記録ヘッド28には、ノズル面30に多数のノズル32が形成され、このノズル面30が、記録紙12に対向するようにキャリッジ24に搭載されている。
【0052】
記録ヘッド28には、例えば、ノズル32ごとに図示しないアクチュエータが設けられており、このアクチュエータが駆動されることにより、サブタンク26から供給されるインク(インク滴)を吐出する。
【0053】
インクジェット記録装置10では、記録紙12に対して記録ヘッド28を主走査方向及び副走査方向に相対移動しながら、画像データに応じて各ノズル32のアクチュエータを駆動するようになっており、これにより、記録紙12に所定の画像を形成する(印字を行う)。
【0054】
なお、このような記録ヘッド28としては、サーマルインクジェット方式、ピエゾアクチュエータ方式の何れを適用するものであっても良い。また、記録ヘッド28のそれぞれには、主走査方向及び副走査方向に沿って複数のノズル30が形成されている。これにより、図2に示されるように、1回の主走査によって所定幅のバンド領域BEに印字が可能となっており、記録紙12を副走査しながら主走査を繰り返すことにより、記録紙12の全面にわたって印字を行う。
【0055】
また、インクジェット記録装置10は、印字の終了した記録紙12を、例えば、装置手前側のハウジング14上に載置して集積する。さらに、インクジェット記録装置10は、インクミスト回収機構34を設け、霧状のインク(インクミスト)を含む空気を吸引することにより、インクミストが記録紙12に付着してしまうのを防止するものであっても良い。
【0056】
図2及び図3に示されるように、キャリッジ24には、サブタンク26として、Y、M、C、Kの各色のインクを貯留するサブタンク26Y、26M、26C、26Kが設けられている。また、図3に示されるように、キャリッジ24には、サブタンク26Y、26M、26C、26Kのそれぞれに対応する記録ヘッド28として、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kが設けられている。
【0057】
なお、以下では、主としてY、M、C、Kの各色の記録ヘッド28(記録ヘッド28Y、28M、28C、28K)を用いて説明するが、記録紙12への印字(画像形成)に用いるインクには、インク同士を混合しても凝縮が生じないが、所定の処理液(以下、反応液とする)と混じることにより凝縮が生じる被反応性インクがあり、インクジェット記録装置10としては、この被反応性インクと反応液を用い、インク(被反応性インク)に重ねて反応液を吐出することにより、記録紙12に付着させたインクの凝縮を図るようにするものであっても良い。
【0058】
このときには、図4に示されるように、キャリッジ24に、サブタンク26Y、26M、26C、26Kに加えて、反応液を貯留するサブタンク26Lを設けると共に、記録ヘッド28Y、28M、26C、26Kに加えて反応液用の記録ヘッド28Lをキャリッジ24に設ければよい。
【0059】
また、インクには、反応液成分を含み、被反応性インクと混じることにより相互のインクの凝縮を促進する反応性インクがあり、反応性インクと被反応性インクを用いる構成とすることもでき、このときには、記録ヘッド28Lが不要となる。
【0060】
図2に示されるように、インクジェット記録装置10では、装置幅方向の一端側で、記録紙12の通過領域を外れた位置がキャリッジ24の待機位置(ホームポジション)となっている。インクジェット記録装置10には、メインタンク36及びインクフィルユニット38が設けられており、キャリッジ24が待機位置へ移動することにより、サブタンク26がインクフィルユニット38に対向するようになっている。
【0061】
インクジェット記録装置10では、サブインクタンク26がインクフィルユニット38に対向したときに、メインタンク36内の各色のインクをサブタンク26(サブタンク26Y、26M、26C、26K)へ補給するようになっている。なお、インクジェット記録装置10では、図示しないセンサによってキャリッジ24が待機位置に停止したことを検出すると、インクフィルユニット38をサブタンク26のそれぞれに接続してインクの補給を行うようにしている。また、キャリッジ24に反応液用のサブタンク26L(図4参照)を設けているときには、メインタンク36に反応液も貯留し、インクフィルユニット38が各色のインクと共にサブタンク26Lへ反応液を供給する構成とすれば良い。
【0062】
一方、図2及び図3に示されるように、インクジェット記録装置10には、キャリッジ24の待機位置に、メンテナンス装置40を形成するメンテナンスユニット42が配設されている。
【0063】
図3に示されるように、メンテナンスユニット42は、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kに対向するように上方へ向けて開口されたキャップ44を備えており、記録ヘッド28が搭載されたキャリッジ24(以下、単に記録ヘッド28とする)が待機位置へ移動されることにより、キャップ44の開口に記録ヘッド28(記録ヘッド28Y、28M、28C、28K)のノズル面30が対向される。
【0064】
キャップ44の開口は、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kのそれぞれに対してノズル面30を覆う大きさとなっており、図示しない昇降機構によって上昇されることにより、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kの各ノズル面30を覆ってキャッピングする。これにより、印字休止時に、ノズル32内のインクが乾燥してしまうのを防止するようにしている。
【0065】
また、キャップ44には、図示しない吸引手段が接続されており、記録ヘッド28をキャッピングした状態で吸引手段が作動することにより、キャップ44内を負圧として、ノズル32の内部及び周縁部、ノズル面30に付着しているインク滴等を吸引する。
【0066】
また、メンテナンスユニット42には、廃インクタンク46が設けられており、記録ヘッド28のノズル面30から吸引されたインク等が廃インクタンク46内に回収されるようになっている。
【0067】
また、メンテナンスユニット42には、キャップ44の記録紙12側に隣接してインク受け48が設けられており、このインク受け48に吐出されたインクが、廃インクタンク46に回収されるようになっている。
【0068】
メンテナンス装置40では、予め設定されたタイミングに達すると、記録ヘッド28が待機位置へ移動するときに、ノズル32からインク受け48へ向けてインク滴を吐出する空打ちを行う(以下、ダミージェットとする)。
【0069】
メンテナンス装置40では、ダミージェット(インク滴の空打ち)を行うことにより、ノズル32の周縁に付着しているインク滴や、ノズル32内で比較的長時間空気に触れているインクを除去するようにしている。これにより、例えば、水分が蒸発して増粘しているインクがノズル32に残っていることによる吐出不具合が生じるのを防止するようにしている。
【0070】
一方、メンテナンス装置40には、待機位置へ移動された記録ヘッド28のノズル面30に対向されるワイパブレード50が設けられている。ワイパブレード50は、記録ヘッド28が待機位置へ移動したときに、記録ヘッド28とキャップ44の間に移動可能となっている。なお、通常状態では、ワイパブレード50が、ノズル面30に対向する位置(記録ヘッド28とキャップ44の間)から退避されている。
【0071】
ワイパブレード50は、インク滴を吐出する記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kの各ノズル面30に対向して設けられ、先端部がノズル面30に当接するようになっている。
【0072】
メンテナンス装置40では、このワイパブレード50を、先端がノズル面30に当接している状態で記録ヘッド28のノズル面30に沿って移動する。これにより、ワイパブレード50の先端部が、ノズル面30に摺接しながら移動し、ノズル面30の全面に付着しているインク滴の残渣(残渣インク)等を払拭するようにしている(以下、ワイピングとする)。
【0073】
なお、ワイパブレード50によってノズル面30から払拭された付着物は、廃インクタンク46内に回収される。また、このようなメンテナンス装置40(メンテナンスユニット42)の基本的構成は、公知の構成を適用でき、本実施の形態では詳細な説明を省略する。
【0074】
ところで、図5に示されるように、インクジェット記録装置10は、インクジェット記録装置10及びメンテナンス装置40の作動を制御する処理制御部52を備えている。
【0075】
この処理制御部52は、予め設定されて記憶されている制御プログラムに基づいた処理を行うことにより、インクジェット記録装置10及びメンテナンス装置40の作動を制御するMCUを備えている。
【0076】
処理制御部52には、副走査機構16、主走査機構20、記録ヘッド28及び、インクフィルユニット38と共に、メンテナンスユニット42が接続されており、インクジェット記録装置10では、処理制御部52によってこれらの作動が制御されることにより、記録紙12への印字処理及び記録ヘッド28のメンテナンス処理等が行われる。
【0077】
インクジェット記録装置10では、処理制御部52に、パーソナルコンピュータ(PC)54等が接続されており、このパーソナルコンピュータ54等から印刷用のデータ(以下、印刷ジョブとする)が入力される。なお、インクジェット記録装置10の処理制御部52とパーソナルコンピュータ54等の接続は、印刷データの送受信が可能であれば任意の構成を適用することができる。
【0078】
処理制御部52には、データ処理部56が設けられており、印刷ジョブが入力されると、記録紙16の1頁分ずつのY、M、C、Kの各色データに分割し、さらに、各色のラスタデータを生成する。この後、処理制御部52は、副走査機構16及び主走査機構20を制御して、画像データに応じて記録ヘッド28の各アクチュエータ(図示省略)を駆動することにより、記録紙16へ印刷データに基づいた画像形成(印字)を行う。
【0079】
すなわち、記録紙12上に画素を形成するときには、該当する色のインク滴をノズル32から記録紙12へ吐出し、非画素位置では、インク滴の吐出を停止する。これにより、処理制御部52では、記録紙12に印刷ジョブに基づいた印字が行われるようにしている。
【0080】
インクジェット記録装置10では、一例として、ノズル32から1回に吐出するインク滴の量(滴量)が予め設定されており、図示しないアクチュエータが駆動されることにより、一定量のインク滴を吐出するようになっている。
【0081】
ここから、ノズル32ごとのアクチュエータの駆動回数、すなわち、画像データから得られる各ノズル32に対する画素数(ピクセル数)からノズル32ごとのインク滴の吐出量の算出が可能となっている。
【0082】
処理制御部52には、インク滴の吐出量の積算手段としてピクセルカウント部58が設けられている。このピクセルカウント部58では、画像データからノズル28ごとに対応するピクセル数(画素数)をカウントする。
【0083】
また、処理制御部52には、パージ量算出部60が設けられており、ピクセルカウント部58のカウント値と、1回当たりのインク滴の吐出量から、ノズル28ごとのインク滴の吐出量dを算出するようになっている。
【0084】
一方、図6(A)乃至図6(F)に示されるように、メンテナンス装置40では、ワイパブレード50を用いて記録ヘッド28のノズル面30を払拭するワイピングを行うことにより、ノズル面30に付着している付着物62を除去するようにしている。
【0085】
インクジェット記録装置10では、ノズル32から吐出されるインク滴から霧状のインクミストが発生することがある。特に、高解像度を達成するためには、微細なノズル32を形成し、1回当たりのインク滴の吐出量を少なくする必要がある。
【0086】
このために、図6(A)に示されるように、ノズル32から吐出したインクが霧状となるインクミストが発生し易く、このインクミストが、記録ヘッド28のノズル面30に残渣インク64として付着してしまうことがある。
【0087】
また、インクジェット記録装置10では、インク液の凝縮を促進する反応液を用いる構成であっても良く、このときには、図6(C)に示されるように、記録ヘッド28には、残渣インク64と共に、霧状となった反応液(反応液ミスト66)が付着する。
【0088】
さらに、記録紙12は、紙粉を発生し、このために、図6(E)に示されるように、記録ヘッド28のノズル面30には、この紙粉68が付着することがある。記録紙12には、アルミニウムなどの金属成分を含有するコート紙などがあり、このような記録紙12を用いたときには、紙粉68にアルミニウムなどの金属イオンが含有される。
【0089】
ここで、インクジェット記録装置10では、記録ヘッド28のノズル面30のワイピングが行われることにより、ノズル面30の残渣インク64、反応液ミスト66ないし紙粉68などの付着物62を払拭するようにしている。
【0090】
このようなワイピング処理は、装置の電源がオンされた稼動開始時、電源がオフされる装置停止時、前回のワイピングが終了してから所定時間経過した時、装置がスリープモードに移行するとき、連続して記録紙12への印字処理を行うときに所定ページ分の印字処理が終了した時、所定数の印刷ジョブの実行が終了した時などの予め設定したタイミングで行われる。
【0091】
しかし、図6(B)、図6(D)、図6(F)に示されるように、ワイパブレード50を用いてノズル面30のワイピングを行うと、ノズル面30に付着しているこれらの付着物62が、ノズル面30に形成されているノズル32内に入り込んで、ノズル32の目詰まり引き起こす可能性が生じる。
【0092】
すなわち、図6(A)に示されるように、ノズル面30に残渣インク64が付着しているときには、図6(B)に示されるように、ワイピングによって残渣インク64がノズル32内に入り込む。また、図6(C)に示されるように、ノズル面30に残渣インク64及び反応液ミスト66が付着していると、図6(D)に示されるように、この残渣インク64及び反応液ミスト66がノズル32内に入り込み、図6(E)に示されるように、ノズル面30に残渣インク64及び紙粉68が付着していると、図6(F)に示されるように、この残渣インク64及び紙粉68がノズル32内に入り込んでしまう。
【0093】
たとえば、残渣インク64がノズル32内に入り込んだ状態やノズル32内にインク滴が残っている状態で放置されると、インク液中の水分が蒸発して増粘して、ノズル32の目詰まりを生じさせる。
【0094】
また、反応液ミスト66がノズル32内に入り込んだり、残渣インク64と反応液ミスト66がワイパブレード50によって混合されてノズル32内に入り込むと、反応液(反応液ミスト66)がノズル32内でインクの凝縮を促進させて、ノズル32の目詰まりを生じ易くする。
【0095】
さらに、紙粉68にアルミニウムイオンなどの金属イオンが含まれていると、ノズル32内に入り込んだ紙粉68が、堆積物を生じ易くする。
【0096】
また、記録ヘッド24をアルミニウム等の金属で形成したり、例えばサーマルインクジェット方式を適用しているときには、アルミニウム等の金属を用いたヒートシンクによってノズル面30が形成される。このようなノズル面30を、ワイパブレード50を用いてワイピングすると、金属イオンの溶出が促進され、金属イオンの混じった残渣インク64等がノズル32内に入り込んで堆積物を生じ易くする(図6(A)及び図6(B)参照)。
【0097】
これにより、記録ヘッド28では、インク滴の吐出不良、着弾不良などのインク滴の吐出不具合を引き起こすノズル32の目詰まりが生じ易くなる。また、このような目詰まりは、例えば、メンテナンス装置40を用いた自動的な除去が困難となり、このために、記録ヘッド28の交換等の必要が生じる。
【0098】
一方、ワイプ回数nに対するノズル32からのインク吐出量(以下、インクパージ量とする)が多くなると、ノズル32の目詰まりが発生し難くなる。図1には、ワイプ回数nとインクパージ量dに対するインク滴の吐出不具合の有無の計測結果を示しており、ワイプ回数nに対してインクパージ量dが所定値以上となると、吐出不具合が発生しなくなる。
【0099】
ここから、例えば、ワイピング1回当たり(1ワイプ当たり)のインクパージ量dを所定量以上とすることにより、ワイピングによってノズル面30上の付着物62がノズル32内に入り込んでも、ノズル32から吐出するインク滴等によってノズル32内から排出して、ノズル32に目詰まりが生じるのを防止することができる。
【0100】
これに基づいて、メンテナンス装置40では、インクジェット記録装置10でノズル32からインク滴を吐出するときの吐出量や吐出したインク滴の着弾位置のズレ等が生じない値である1ワイプ当たりのインクパージ量の最低値を求め、この最低値に基づいて必要パージ量dminを設定している。
【0101】
図5に示されるように、処理制御部52には、パージ処理部70が設けられていると共に、図示しないメモリ(例えば、NVRAM)等に、この必要パージ量dminが記憶されており、パージ処理部70は、必要パージ量dminが確保されるようにインクパージが実行されるようにしている。
【0102】
すなわち、パージ処理部70は、予め設定しているタイミングで、パージ量算出部60でインクパージ量dを算出し、算出したインクパージ量dが必要パージ量dminに達しているか否かを確認し、算出したインクパージ量dが必要パージ量dminに達していないときには、メンテナンスユニット42を用いて、不足分をノズル32から排出するパージ処理を実行する。
【0103】
このパージ処理では、不足分を不足パージ量Δd(Δd=dmin−d)とすると、不足パージ量Δdを、ダミージェットとしてノズル32から吐出するか、吸引処理によってノズル32から吸い出す。また、パージ処理は、ダミージェットと吸引処理を合わせたものであっても良い。
【0104】
これにより、インクジェット記録装置10では、ワイピング1回当たりの必要パージ量dminが確保されるようにして、ワイパブレード50を用いたノズル面30のワイピングを行うことによる吐出不具合の発生を防止するようにしている。
【0105】
一方、ノズル32ごとのインクパージ量dは、記録ヘッド28ごとのインクパージ量(以下、インクパージ量Dとする)を適用することができる。例えば、ノズル32の1回当たりのインク滴の吐出量が15plであるときに、必要パージ量dが24nlであれば、この必要パージ量dminは、ノズル32の吐出回数が約1600回(ピクセル数pが約1600)に相当する。
【0106】
このときに、記録ヘッド28のノズル32の数が832個であれば、この記録ヘッド28の1ワイプ当たりの必要パージ量D1minは、20μl(=24nl×832)とすることができ、また、ワイプ回数nが100回となったときに、パージ処理を行うようにしたときには、そのときの必要パージ量Dminを2ml(=20μl×100)とすることができる。
【0107】
このようにして記録ヘッド28ごとに必要パージ量Dminを設定すると共に、記録ヘッド28ごとのインクパージ量Dを演算することにより、多数のノズル32のそれぞれに対するインクパージ量dを演算し、ノズル32ごとに必要パージ量dminが確保されているか否かを判断するときに比べて、処理制御部52のMCUの負荷を軽減することができると共に、処理の簡略化を図ることができる。
【0108】
また、必要パージ量dmin(又は必要パージ量D1min、Dmin)は、インクごとに異なる場合があり、また、反応液を用いるときには、記録ヘッド28の配列によっても変化する。
【0109】
ここから、記録ヘッド28ごとに必要パージ量dmin又は必要パージ量D1min、Dminを設定し、記録ヘッド28ごとにパージ処理を行うことがより好ましい。
【0110】
以下に、第1から第3の実施の形態としてパージ処理を具体的に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図7には、第1の実施の形態に係るメンテナンスンためのパージ処理の概略を示している。処理制御部52では、画像データに基づいて、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kのノズル32に対するインク滴の吐出回数をピクセル数pとしてカウントしており、このフローチャートは、このピクセル数pのカウントと並行して実行される。
【0111】
なお、第1の実施の形態では、ワイプ回数nの設定値Wcを100回(Wc=100)として、n=Wcとなったときに必要パージ量Dmin(Dmin=2ml)を補償するためのパージ処理を行う。また、ワイピングは、予め設定されたタイミングで実行されるものとしている。
【0112】
処理制御部52では、例えば、所定回数(例えば、240回)の主走査が行われるごとにワイピングを行ってノズル面30の付着物62の払拭を行うようにしており、図7のフローチャートでは、最初のステップ100でワイピングが実行されたか行われたか否かを確認する。
【0113】
ここで、ワイピングが行われると、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行し、ワイプ回数nをカウントアップする(n=n+1)。なお、メンテナンス装置40では、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kのそれぞれに対して個別にワイピング処理、及びパージ処理を実行することができ、ここでは、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kのそれぞれに対してワイプ回数nのカウントアップを行う。
【0114】
この後、ステップ104では、パージ処理を行うか否かの判定対象とする記録ヘッド28を設定する。例えば、記録ヘッド28K、28C、28M、28Yの順で、記録ヘッド28ごとにパージ処理を行うタイミングとなったか否かを判定するときには、対象とする記録ヘッド28を、記録ヘッド28K、28C、28M、28Yの順で設定されるようにする。
【0115】
処理制御部52では、ワイプ回数nが設定値Wc(ここでは一例としてWc=100)に達するごとにパージ処理を行うようにしており、ステップ106では、ワイプ回数nが、設定値Wcに達しているか否かを確認する。
【0116】
ここで、ワイプ回数nが設定値Wcに達していないときには(n<Wc)、ステップ106で否定判定してステップ108へ移行し、記録ヘッド28Y、28M、28C、28Kの全てについての判定を終了したか否かを確認する。このときに、全ての記録ヘッド28に対する処理が終了していないときには、ステップ108で否定判定してステップ110へ移行して、次の記録ヘッド28を判定対象に設定し、設定した記録ヘッド28に対する処理を開始する(ステップ106)。
【0117】
一方、ワイプ回数nが設定値Wcに達していると(n=Wc)、ステップ106で肯定判定してステップ112へ移行する。このステップ112では、対象としている記録ヘッド28のインクパージ量Dを算出し、次のステップ114では、算出したインクパージ量Dが必要パージ量Dminに達しているか否かを確認する。なお、必要パージ量Dminは、記録ヘッド28ごとに設定することができ、このときには、記録ヘッド28ごとに設定されている必要パージ量Dminと、該当記録ヘッド28のインクパージ量Dを比較する。
【0118】
これにより、インクパージ量Dが必要パージ量Dminに達しているときには(D≧Dmin)、ステップ114で肯定判定してステップ116へ移行し、対象としている記録ヘッド28のピクセル数pのカウント値をクリアすると共に、ステップ118では、ワイプ回数nのカウント値をクリアする。
【0119】
これに対して、インクパージ量Dが、必要パージ量Dminに達していないときには(D<Dmin)、ステップ114で否定判定してステップ120へ移行する。
【0120】
このステップ120では、キャップ44を用いて記録ヘッド28のキャッピングを行った後、図示しない負圧手段を作動させることにより、記録ヘッド28の各ノズル32からのインク滴の吸引処理を実行する。このときの吸引量は、例えば、吸引量を含めたインクパージ量Dが必要パージ量Dminに達する量であればよいが、ここでは、一例として、必要パージ量Dminに相当する量の吸引を行う。
【0121】
これにより、記録ヘッド28に形成している多数のノズル32内に残っているインク滴や付着物62を確実に吸い出して除去することができ、ノズル32内の堆積物により吐出不具合が生じるのを防止することができる。
【0122】
したがって、インクジェット記録装置10では、吐出不具合の影響を受けない高品質の印字(画像形成)が可能となる。
【0123】
なお、インクとして被反応性インクを用いると共に、記録ヘッド28Lを設けて反応液を吐出する時には、記録ヘッド28Lに対する必要パージ量Dminを設定し、判定対象に記録ヘッド28Lを加えるようにすれば良い。
〔第2の実施の形態〕
前記した第1の実施の形態では、ワイプ回数nが予め設定した回数(設定値Wc)に達したときにパージ処理を行うようにしたが、被反応性インクと反応液又は、反応液を含む反応性インクと被反応性インクを用いた印字を行うときには、反応液によってインクの凝縮が促進されるので、例えば、ワイピングを行うごとなどのように短期間でパージ処理が行われることが好ましい。
【0124】
ここから、第2の実施の形態では、ワイピングを行うごとに、インクパージDが必要パージ量Dminに達したか否かを確認し、パージ処理が必要であると判断したときに、ダミージェットを実行する。なお、このときのインクパージ量の演算は、1ワイプ分のインクパージ量Dを用い、1ワイプ分に換算した必要パージ量D1minを用いる(例えば、ノズル32の必要パージ量dを24nlとした832ノズルの記録ヘッド28に対しては、必要パージ量D1minが20μl)。
【0125】
図8には、このときの処理の概略を示している。なお、以下では、第1の実施の形態と同一の処理には、同一のステップ番号を付与している。
【0126】
このフローチャートでは、最初のステップ100でワイピングが行われたか否かを確認する。これにより、ワイピングが行われると、ステップ100で肯定判定してステップ104へ移行し、判定対象とする記録ヘッド28を設定する。
【0127】
この後、ステップ112へ移行して、対象とする記録ヘッド28のインクパージ量Dを演算し、次のステップ122では、インクパージ量Dが、必要パージ量D1minに達しているか否かを確認する。
【0128】
これにより、インクパージ量Dが、必要パージ量D1minに達しているときには、ステップ122で肯定判定してステップ116へ移行し、ピクセル数pのカウント値をリセット(クリア)し、ステップ108へ移行することにより次ぎの記録ヘッド28に対する処理を行うか否かを確認し、残りの記録ヘッド28があるときには、ステップ108で否定判定してステップ110へ移行し、次の記録ヘッド28を設定する。
【0129】
これに対して、インクパージ量Dが必要パージ量D1minに達していないときには、ステップ122で否定判定してステップ124へ移行する。このステップ124では、インクパージ量Dと必要パージ量D1minから不足パージ量ΔD(ΔD=D1min−D)を算出し、不足パージ量ΔDが得られるように記録ヘッド28の各ノズル32から吐出するインク滴の量(インク滴の吐出回数)を設定し、記録ヘッド28がインク受け48を通過するタイミングでダミージェットが実行されるように設定する(ステップ126)。なお、ダミージェットを実行するときには、例えば、記録ヘッド28をインク受け48に対向する位置で停止させて行うものであっても良い。
【0130】
このようにしてパージ処理(ダミージェット)が実行されることにより、記録ヘッド28ごとのインクパージ量Dが必要パージ量D1minに達するように補償することができる。
【0131】
このときに、ワイピングごとに必要パージ量D1minが得られるので、被反応性インクと反応液又は、被反応性インクと反応性インクが用いられていても、ノズル面30に付着した反応液ミスト66が、ノズル32内でインクの凝縮が促進されて目詰まりが生じてさせるのを確実に防止することができる。
【0132】
なお、以上説明した第1及び第2の実施の形態では、ノズル32ごとのインクパージ量の算出及び算出結果に基づいたパージ処理に替えて、記録ヘッド28ごとのインクパージ量の算出と、算出結果に基づいたパージ処理を行うことにより、インクパージ量の演算、ピクセル数のカウントのための処理負荷の低減を図るようにしているが、ノズル32ごとのインクパージ量を算出し、算出結果に基づいてパージ処理を行うものであっても良い。
【0133】
また、第1の実施の形態では、パージ処理を主として吸引によって行い、第2の実施の形態では、パージ処理を主としてダミージェットで行うようにしたが、これに限らず、ダミージェットと吸引処理を併用してパージ処理を行うようにしても良い。
【0134】
このときには、例えば、ワイパブレード50を用いたワイピングが行われるごとに、各ノズル32から所定量(例えば、所定ピクセル分)のインク滴をインク受け48へ吐出するダミージェットをパージ処理の補助として行いながら、このダミージェットによる吐出量がインクパージ量Dに加算されるようにし、ワイプ回数nが所定回数に達したときに、インクパージ量Dが、必要パージ量Dminに達していなければ、吸引処理によってインクパージ量Dが必要パージ量Dminに達するようにすれば良い。
【0135】
これにより、ダミージェットを行うときに、記録ヘッド28の移動を停止させて必要をなくすることができ、ダミージェットを行うことにより印字処理の円滑性が損なわれるのを防止することができる。
【0136】
また、ダミージェットを行うことにより、インクパージ量を増加させるので、吸引によるパージ処理が発生するのを抑えることができ、時間を要するメンテナンスが頻繁に行われるのを抑えることができる。
【0137】
〔第3の実施の形態〕
前記した第1及び第2の実施の形態では、ワイパブレード50を用いた記録ヘッド28のノズル面30のワイピングに基づいてパージ処理を行う例を適用して説明したが、装置の稼動/停止を含む稼動状態に応じたパージ処理を実行するものであってもあっても良く、より好ましい。
【0138】
ここで、第3の実施の形態では、予め設定したタイミングでパージ処理が必要か否かを確認し、パージ処理が必要であるときには、ワイプ回数nに対して必要パージ量D1minが補償されるようにパージ処理を実行する。
【0139】
図9には、第3の実施の形態に係る処理制御部52Aの概略構成を示している。この処理制御部52Aには、日付及び時刻を計測すると共に、土曜日、日曜日などのインクジェット記録装置10の停止が予測される日(停止予定日)の設定、例えば1日のうちでインクジェット記録装置10の稼動が予測される時刻(稼動開始予定時刻及び稼動終了予定時刻)などの設定が可能であり、かつ設定された停止予定日、稼動予定時刻等が記憶されるカレンダー部72が設けられている。
【0140】
また、パージ処理部70Aでは、ワイピングが行われたか否かやワイプ回数nのみでなく、装置の稼動状態等に基づいて設定したタイミングでパージ処理を行うか否かを確認して、例えば、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minを補償するようにパージ処理を行う。
【0141】
図10には、第3の実施の形態に係るパージ処理の概略を示している。なお、以下では、一例として、ワイピングを行うことにより、予め設定された量のインク滴を吐出するダミージェットを補助パージ処理として実行する共に、ワイプ回数n、装置の稼動開始時、装置の停止時、装置の非処理状態が継続してスリープ状態に移行する時などのタイミングで、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minを補償するようにパージ処理を行う。
【0142】
なお、ワイピングが行われることによるダミージェットに対する処理及び、ダミージェット、印字処理にともなる記録ヘッド28ごとのピクセル数pのカウント、のカウント処理を省略すると共に、一つの記録ヘッド28を例に説明する。また、処理制御部52Aでは、電源スイッチがオフされて装置が停止するときの日時を含む時刻を記憶するようにしている。
【0143】
このフローチャートは、最初のステップ130で図示しない電源スイッチがオンされたか否かを確認しており、インクジェット記録装置10を作動するために電源スイッチがオンされるとステップ130で肯定判定されてステップ132へ移行する。
【0144】
このステップ132では、電源スイッチがオフされている時間である停止時間を算出し、次のステップ134では、停止時間が予め設定されている所定時間(例えば、24時間)以上経過しているか否かを確認する。
【0145】
ここで、停止時間が所定時間を超えているときには、ステップ134で肯定判定してステップ136へ移行し、予め設定された量(例えば、必要パージ量Dmin)を吸引するパージ処理を行い、ステップ138でピクセル数p及びワイプ回数nをクリアする。
【0146】
なお、ここでは、一例としてワイプ回数nが設定値Wcとなったときの必要パージ量Dminのパージ処理を行うようにしたが、停止時間を例えば、12時間未満、12時間以上から24時間未満、24時間以上の3段階などの段階滴に設定し、最も長いときには必要パージ量Dminだけパージ処理を行い、中間段階では、そこまでのピクセル数pからインクパージ量Dを算出し、ワイプ回数nと1ワイプ当たりの必要パージ量D1minから1ワイプ当たりの必要パージ量D1minが補償されるようにパージ処理を行うようにしても良い。
【0147】
このようにして装置稼動開始時の処理を終了すると、ステップ140では、ワイピングが行われたか否かを確認する。ここで、ワイピングが行われたときには、ステップ140で肯定判定してステップ142へ移行し、ワイプ回数nが、所定値Wcに達したか否かを確認する。これにより、ワイプ回数nが所定値Wcに達していると(n=Wc)、ステップ142で肯定判定してステップ144へ移行し、ワイプ回数nの設定値Wcに基づいた必要パージ量Dminとインクパージ量Dからパージ処理が必要か否かを確認する。
【0148】
ここで、パージ処理が必要であれば、ステップ144で肯定判定してステップ146へ移行し、パージ処理(例えば、吸引処理)を行い、必要パージ量Dminが補償されるようにする。この後、ステップ148では、ピクセル数p及びワイプ回数nをクリアする(カウント値をリセット)。
【0149】
また、ステップ150では、インクジェット記録装置10がスリープモードに移行するか否かを確認する。ここで、非印字状態が継続して、インクジェット記録装置10がスリープモードに移行する時には、ステップ150で肯定判定してステップ152へ移行し、そこまでのピクセル数pからインクパージ量Dを算出する。この後、ステップ154、156では、算出したインクパージ量Dとワイプ回数nから、1ワイプ当たりのインクパージ量D1(D1=D/n)が、必要パージ量D1minに達しているか否かを確認する。
【0150】
これにより、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minが確保されておらず、パージ処理が必要であれば、ステップ156で肯定判定してステップ158へ移行して、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minを補償するようにパージ処理(吸引処理)を行う。また、パージ処理を行ったときには、ステップ160で、ピクセル数p及びワイプ回数nをクリアする。
【0151】
一方、ステップ162は、インクジェット記録装置10を停止するための電源スイッチがオフされたか否かを確認する。ここで、電源スイッチがオフされると、ステップ162で肯定判定して、終了処理を実行する。
【0152】
この終了処理では、先ず、ステップ164でインクジェット記録装置10の停止時間を予測する。
【0153】
処理制御部52Aには、カレンダー部72が設けられており、一日のうちでの装置の稼動予定時刻、装置の停止予定日等が入力されることにより、稼動予定時刻、停止予定日等が記憶される。
【0154】
ここから、装置の電源スイッチがオフされたときに、短時間の間に再稼働される可能性があるか否かや、装置の停止が継続する時間、日数等を予測することができる。
【0155】
例えば、停止時間の予測は、現在日時を読み込んで、現在時刻が装置の稼動予定時刻から得られる稼動終了予定時刻に近いか否かから、短時間の停止であるか否かを判断することができる。すなわち、装置の稼動終了予定時刻まで時間があれば、短時間の停止である可能性が高い。また、現在時刻が装置の稼動終了予定時刻に近いか、稼動終了予定時刻を過ぎているときには、稼動開始が明日以降となる可能性が高いと判断することができる。
【0156】
また、装置の稼動開始が翌日以降となる可能性が高いときには、翌日又は翌日以降が、装置の停止予定日となっているか否かから、装置の凡その停止時間を予測することができる。すなわち、翌日が装置の停止予定日で無ければ、装置の停止時間は、数時間から十数時間の範囲であると判断することができるが、翌日が装置の停止予定日であるときには、装置の停止時間が、少なくとも24時間を超えると判断することができ、さらに、装置の停止予定日が連続することにより、装置の停止が数日にわたると判断することができる。
【0157】
ステップ166では、この判断結果に基づいて短時間の停止と判断しうるか否かを確認する。これにより、例えば、直ぐに電源スイッチかオンされる可能性があるか又は、少なくとも翌日には稼動が開始される可能性があるとき(例えば、停止時間が24時間以内と予測できるとき)には、ステップ166で否定判定して、そのまま、処理を終了する。なお、処理の終了時には、ピクセル数p及びワイプ回数n等のカウント値を記憶して終了する。
【0158】
これに対して、装置の停止時間が長くなる(例えば、24時間以上)と予測されるときには、ステップ166で肯定判定してステップ168へ移行する。このステップ168では、そこまでのピクセル数pからインクパージ量Dを算出し、ステップ170、172では、算出したインクパージ量D、ワイプ回数nと1ワイプ当たりの必要パージ量D1minからパージ処理が必要か否かを確認する。
【0159】
ここで、ワイプ回数nとインクパージ量Dから、ワイプ回数nに対して必要パージ量D1minが満たされていないときには、ステップ172で肯定判定してステップ174へ移行し、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minが補償されるようにパージ処理を実行する。
【0160】
この後に、ステップ176では、ピクセルカウント数p、ワイプ回数nをクリア(カウント値をリセット)して処理を終了する。
【0161】
このように、ワイピング処理を行うごとにノズルのインクパージを実行することにより、ワイピングによってノズル32内に、ノズル面30の付着物62が入り込んでも、この付着物62がノズル32内に残ってしまうのを抑えることができる。
【0162】
また、ワイプ回数nが設定値Wcに達するときのみならず、ノズル32からのインク滴の吐出停止が継続したとき、インク滴の吐出停止が継続する可能性があるとき、吐出停止状態が長時間にわたるとき、吐出停止状態が長時間にわたる可能性があるときなどに、パージ処理を実行し、1ワイプ当たりの必要パージ量D1minが保証されるようにすることにより、インク滴の吐出を開始するときに、吐出不具合の発生を確実に防止することができ、長期にわたって高品質の印字可能状態を維持することができる。
【0163】
なお、第3の実施の形態では、インクパージ処理Dと必要パージ量D1min、Dminに基づいたパージ処理を、吸引処理で行うようにしたが、これに限らず、ダミージェット又はダミージェットと吸引処理で行うようにしても良い。
【0164】
また、第3の実施の形態に適用したパージ処理を行うタイミングは、一例を示すものであり、記録ヘッド28のノズル32からのインク滴の吐出停止時間が長くなると予測される任意のタイミングを適用することができ、これにより、ノズル32内のインクに増粘が生じたり付着物が堆積することによる目詰まりの発生を確実に防止することができる。
【0165】
なお、以上説明した本実施の形態では、インクジェット記録装置10を用いて説明したが、インクジェット記録装置10は、本発明は適用されるインクジェット記録装置の構成を限定するものではなく、本発明は任意の構成のインクジェット記録装置に適用することができる。
【0166】
また、本実施の形態では、液滴吐出装置として液滴としてインク滴を吐出するインクジェット記録装置を例に説明したが、本発明は、これに限らず、各種の液体をノズルから吐出する任意の構成の液滴吐出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】ワイプ回数とインクパージ量に対する吐出不具合の測定結果の一例を示す概略図であり、○印で吐出不具合無しを示し、×印で吐出不具合有を示している。
【図2】本実施の形態に適用したインクジェット記録装置の概観を示す概略斜視図である。
【図3】キャリッジとメンテナンスユニットの要部を示す概略構成図である。
【図4】反応液を用いるときのキャリッジとメンテナンスユニットの要部を示す概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る処理制御部の要部の概略構成図である。
【図6】(A)、(C)、(E)はワイピング前のノズル面の付着物を示す概略図であり、(B)は(A)のワイピング後、(D)は(C)のワイピング後、(F)は(E)のワイピング後を示す概略図である。
【図7】第1の実施の形態に係るパージ処理の概略を示す流れ図である。
【図8】第2の実施の形態に係るパージ処理の概略を示す流れ図である。
【図9】第3の実施の形態に係る処理制御部の要部の概略構成図である。
【図10】第3の実施の形態に係るパージ処理の概略を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0168】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
12 記録紙
24 キャリッジ
26(26Y、26M、26C、26K、26L) サブタンク
28(28Y、28M、28C、28K、28L) 記録ヘッド(吐出ヘッド)
30 ノズル面
32 ノズル
40 メンテナンス装置
42 メンテナンスユニット
44 キャップ
46 廃インクタンク
48 インク受け
50 ブレード
52、52A 処理制御部
56 データ処理部
58 ピクセルカウント部
60 パージ量算出部
62 付着物
64 残渣インク
66 反応液ミスト
68 紙粉
70 パージ処理部
72 カレンダー部
d、D インクパージ量
dmin、D1min、Dmin 必要パージ量
n ワイプ回数
p ピクセル数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのノズル面に形成されたノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置のメンテナンス方法であって、
予め設定されたタイミングでワイパブレードを用いて前記ノズル面を払拭して付着物を除去するワイピングを行うと共に、
前記ワイピングの回数であるワイプ回数及び、前記ノズルから吐出される前記液滴の吐出量をカウントし、
前記ワイプ回数が所定回数に達したときの液滴の吐出量が予め設定した設定値を下回ったときに、前記ノズルから前記液滴を排出する排出処理を行い、
前記吐出量を前記所定値以上とする、
ことを特徴とする液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記排出処理を、前記ノズルから液滴を吐出する空打ちによって実行することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記排出処理を、前記ノズルから液滴を吸引する吸引処理によって実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記排出処理を、所定回数のワイピングの間で分割して実行することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記排出処理を、前記ワイピングが行われるごとに実行することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記排出処理を、少なくとも前記液滴吐出装置の稼動を停止するときに実行することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記液滴吐出装置が停止するときに、予め設定されている液滴吐出装置の稼動予定情報から、停止時間を予測して、該予測結果に基づいて前記排出処理を行うか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記液滴吐出装置が、稼動中に節電モードへ移行可能であるときに、前記排出処理を、少なくとも前記液滴吐出装置が前記節電モードへ移行するときに実行することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル面に複数の前記ノズルが形成されているときに、液滴吐出ヘッドに対して前記設定値を設定し、該設定値と前記液滴吐出ヘッドからの前記液滴の吐出量に基づいて、前記排出処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記液滴吐出装置に複数の前記液滴吐出ヘッドが設けられているときに、前記液滴吐出ヘッドごとに前記設定値を設定して、前記排出処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
前記液滴吐出装置が、前記液滴としてインク滴を吐出して記録紙に印字データに応じた印字を行うインクジェット記録装置であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項12】
印字データに基づいて前記液滴吐出ヘッドの前記ノズルから液滴を一定量ずつの液滴を吐出する時に、前記吐出量を前記印字データに基づいて吐出回数をカウントして算出することを特徴とする請求項11に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項13】
前記液滴吐出装置が、前記液滴として液滴の凝縮を促進する処理液及び、前記処理液によって凝縮が促進される被処理液を吐出することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−276159(P2007−276159A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102136(P2006−102136)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】