説明

液滴吐出装置

【課題】複数の処理部と搬送部とから構成された液滴吐出装置にかかわる。搬送部が各処理部にワークを搬入し難い構造であるときにも、各処理部にワークを搬入して膜を形成できる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】半導体基板1に液滴を吐出して塗布する塗布部10と、液滴を吐出する前に半導体基板1に前処理を施す前処理部9と、液滴が吐出された半導体基板1に後処理を施す後処理部11と、塗布部10と前処理部9と後処理部11との間で半導体基板1を移動させる搬送部13と、を備え、搬送部13は半導体基板1を把持する把持部13aを有し、塗布部10と前処理部9と後処理部11とは半導体基板1を受け渡しする中継場所9a,10a,11aを有し、中継場所9a,10a,11aは把持部13aの移動範囲内に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置にかかわり、特に、装置を構成する各部間でワークを移動する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能液を液滴にして吐出するインクジェット法を用いて塗布し、塗布された機能液を固化して膜を形成する方法が広く採用されている。そして、機能液には染料や顔料を含んで着色する機能を有する液状体や、金属粒子を含んで金属配線を形成する機能を有する液状体等の多種類の液状体が用いられている。
【0003】
インクジェット法を用いて基板に機能液を塗布する液滴吐出装置が特許文献1に開示されている。液滴吐出装置は基板を移動させるステージと液滴吐出ヘッドを移動させるキャリッジを備えている。液滴吐出ヘッドには液滴を吐出するノズルが形成されている。このステージとキャリッジとは直交する方向に移動する。そして、機能液を塗布する場所と対向する場所に液滴吐出ヘッドが位置するときに、液滴を吐出する。そして、所定の位置に機能液を着弾させることにより基板に所定のパターンを描画していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−283635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワークの表面状態によっては着弾した液滴が広がる場合がある。この広がり具合を制御するためにワークの表面に紫外線を照射する等の前処理をおこなって、ワーク表面を改質することがある。描画した後にも、着弾した液滴を乾燥させて固化する後処理を行うことがある。このように、前処理、描画、後処理の工程を行って膜が形成される。
【0006】
これらの工程ではそれぞれ別の装置を用いて行われる。このとき、ロボット等の搬送装置が各装置間でワークを移動させる。そして、搬送装置が各装置にワークを設置し難い構造であるときにも、各装置間でワークを搬送して膜を形成できる液滴吐出装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる液滴吐出装置であって、ワークに液滴を吐出して塗布する塗布部と、前記液滴を吐出する前に前記ワークに前処理を施す前処理部と、前記液滴が吐出された前記ワークに後処理を施す後処理部と、前記前処理部と前記塗布部との間及び前記塗布部と前記後処理部との間で前記ワークを移動させる搬送部と、を備え、前記塗布部と前記前処理部と前記後処理部とは前記ワークを受け渡しする中継場所を有し、前記搬送部は前記ワークを把持する把持部を有し、前記中継場所は前記把持部の移動範囲内に位置していることを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置によれば、前処理部、塗布部及び後処理部は中継場所を有しており、搬送部がワークを各部の中継場所に搬送する。そして各部は中継場所のワークを取り込んで処理を行い、処理が実施されたワークを中継場所にて待機させる。そして、搬送部がワークを各部の中継場所から別の装置の中継場所に搬送する。従って、搬送部が前処理部、塗布部及び後処理部の内部にワークを搬送し難い構造のときにも、各部が処理できるように搬送部はワークを搬送することができる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記ワークを供給する供給部と、前記ワークを収納する収納部と、をさらに備え、前記供給部と前記収納部とは前記ワークを受け渡しする中継場所を有し、前記中継場所は前記把持部の移動範囲内に位置していることを特徴とする。
【0011】
この液滴吐出装置によれば、供給部は中継場所を有しており、ワークを中継場所に待機させる。そして、搬送部は供給部の中継場所にあるワークを搬送する。同様に、収納部は中継場所を有しており、搬送部は収納部の中継場所へワークを搬送する。そして、収納部は中継場所にあるワークを収納する。従って、搬送部が供給部及び収納部の内部にワークを搬送し難い構造のときにも、各部が処理できるように搬送部はワークを搬送することができる。
【0012】
[適用例3]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記塗布部、前記前処理部、前記後処理部、前記供給部及び前記収納部が前記搬送部を囲んで配置されていることを特徴とする。
【0013】
この液滴吐出装置によれば供給部、前処理部、塗布部、後処理部及び収納部と、搬送部との間の距離を同じ距離に配置することができる。従って、各部の中継場所を把持部の移動範囲内に配置し易くすることができる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴は紫外線により硬化する硬化剤を含み、前記塗布部は着弾した前記液滴に紫外線を照射する照射部を備えることを特徴とする。
【0015】
この液滴吐出装置によれば、着弾した液滴に紫外線を照射して硬化させることができる。従って、液滴の吐出と紫外線の照射を繰り返すことにより、異なる種類の液滴が交じり合うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は半導体基板を示す模式平面図、(b)は液滴吐出装置を示す模式平面図。
【図2】(a)は供給部を示す模式正面図、(b)及び(c)は供給部を示す模式側面図。
【図3】前処理部の構成を示す概略斜視図。
【図4】(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図、(b)は、キャリッジを示す模式側面図、(c)は、ヘッドユニットを示す模式平面図、(d)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図5】後処理部の構成を示す概略斜視図。
【図6】(a)は収納部を示す模式正面図、(b)及び(c)は収納部を示す模式側面図。
【図7】搬送部の構成を示す概略斜視図。
【図8】描画方法を示すためのフローチャート。
【図9】描画方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0018】
(実施形態)
本実施形態では、本発明の特徴的な液滴吐出装置と、この液滴吐出装置を用いて液滴を吐出して描画する描画方法の例について、図1〜図9に従って説明する。
【0019】
(半導体基板)
まず、液滴吐出装置を用いて描画する対象となるワークとしての半導体基板について説明する。図1(a)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)に示すように、半導体基板1は基板2を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。
【0020】
基板2上には半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマークが描画されている。これらのマークが液滴吐出装置によって描画される。
【0021】
(液滴吐出装置)
図1(b)は液滴吐出装置を示す模式平面図である。図1(b)に示すように、液滴吐出装置7は主に供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部11、収納部12、搬送部13及び制御部14から構成されている。液滴吐出装置7は搬送部13を中心にして時計回りに供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部11、収納部12、制御部14の順に配置されている。そして、制御部14の隣には供給部8が配置されている。供給部8、制御部14、収納部12が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部10と搬送部13とが並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0022】
供給部8は複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部8は中継場所8aを備え、収納容器から中継場所8aへ半導体基板1を供給する。前処理部9は半導体装置3の表面を改質する機能を有する。前処理部9により半導体装置3は吐出された液滴のにじみ具合が調整される。前処理部9は中継場所9aを備え、処理前の半導体基板1を中継場所9aから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部9は処理後の半導体基板1を中継場所9aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0023】
塗布部10は半導体装置3に液滴を吐出して描画する機能を有する。塗布部10は中継場所10aを備え、描画前の半導体基板1を中継場所10aから移動して描画を行う。その後、塗布部10は描画後の半導体基板1を中継場所10aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0024】
後処理部11は半導体装置3に描画されたマークを固化及び硬化する機能を有する。後処理部11は中継場所11aを備え、処理前の半導体基板1を中継場所11aから取り込んで硬化処理を行う。その後、後処理部11は処理後の半導体基板1を中継場所11aに移動して、半導体基板1を待機させる。
【0025】
収納部12は半導体基板1が複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部12は中継場所12aを備え、中継場所12aから収納容器へ半導体基板1を収納する。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を液滴吐出装置7から搬出する。
【0026】
液滴吐出装置7の中央の場所には搬送部13が配置されている。搬送部13は2つの腕部を備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部の先端には半導体基板1を把持する把持部13aが設置されている。中継場所8a,9a,10a,11a,12aは把持部13aの移動範囲13b内に位置している。従って、把持部13aは中継場所8a,9a,10a,11a,12a間で半導体基板1を移動することができる。制御部14は半導体基板1の全体の動作を制御する装置であり、液滴吐出装置7の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部13に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0027】
(供給部)
図2(a)は供給部を示す模式正面図であり、図2(b)及び図2(c)は供給部を示す模式側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、供給部8は基台15を備えている。基台15の内部には昇降装置16が設置されている。昇降装置16はZ方向に動作する直動機構を備えている。この直動機構はボールネジと回転モーターとの組合せや油圧シリンダーとオイルポンプの組合せ等の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、ボールネジとステップモーターとによる機構を採用している。基台15の上側には昇降板17が昇降装置16と接続して設置されている。そして、昇降板17は昇降装置16により所定の移動量だけ昇降可能になっている。
【0028】
昇降板17の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には複数の半導体基板1が収納されている。収納容器18はY方向の両面に開口部18aが形成され、開口部18aから半導体基板1が出し入れ可能となっている。収納容器18のX方向の両側に位置する側面18bの内側には凸状のレール18cが形成され、レール18cはY方向に延在して配置されている。レール18cはZ方向に複数等間隔に配列されている。このレール18cに沿って半導体基板1をY方向からまたは−Y方向から挿入することにより、半導体基板1がZ方向に配列して収納される。
【0029】
基台15のY方向側には支持部材21を介して、基板引出部22と中継台23とが設置されている。収納容器18のY方向側の場所において基板引出部22の上に中継台23が重ねて配置されている。基板引出部22はY方向に伸縮する腕部22aと腕部22aを駆動する直動機構とを備えている。この直動機構は直線状に移動する機構であれば特に限定されない、本実施形態では、例えば、圧縮空気にて作動するエアーシリンダーを採用している。腕部22aの一端には回転部22bを介して爪部22cが設置されている。回転部22bは爪部22c所定の角度に回転する回転機構を備え、本実施形態では、例えば、回転機構にロータリーソレノイドを採用している。そして、回転部22bが爪部22cを回転させることにより、爪部22cが腕部22aに対して所定の角度に曲げられる。
【0030】
基板引出部22が腕部22aを伸ばすことにより、腕部22aが収納容器18内を貫通する。そして、爪部22cが収納容器18の−Y方向側に移動する。次に回転部22bが爪部22cをZ方向に立てた後、基板引出部22が腕部22aを収縮させる。このとき、爪部22cが半導体基板1の一端を押しながら移動する。
【0031】
その結果、図2(c)に示すように、半導体基板1が収納容器18から中継台23上に移動させられる。中継台23は半導体基板1のX方向の幅と略同じ幅の凹部が形成され、半導体基板1はこの凹部に沿って移動する。そして、この凹部により半導体基板1のX方向の位置が決められる。爪部22cによって押されて半導体基板1が停止する場所により、半導体基板1のY方向の位置が決められる。中継台23上は中継場所8aであり、半導体基板1は中継場所8aの所定の場所にて待機する。
【0032】
中継台23上から半導体基板1が移動した後、昇降装置16が収納容器18を降下させる。そして、基板引出部22が次の半導体基板1を収納容器18内から中継台23上に移動させる。このようにして供給部8は順次半導体基板1を収納容器18から中継台23上に移動する。収納容器18内の半導体基板1を総て中継台23上に移動した後、操作者は半導体基板1が収納されている収納容器18と空になった収納容器18とを置き換える。これにより、供給部8に半導体基板1を供給することができる。
【0033】
供給部8の中継場所8aに半導体基板1が待機しているとき、搬送部13は把持部13aを半導体基板1と対向する場所に移動して半導体基板1を把持する。従って、把持部13aが収納容器18内の半導体基板1と対向する場所に移動することなく、半導体基板1を把持することができる。このように、把持部13aは容易に半導体基板1を把持できるようになっている。
【0034】
(前処理部)
図3は前処理部の構成を示す概略斜視図である。図3(a)に示すように、前処理部9は基台24を備え、基台24上にはX方向に延在する一対の案内レール25が設置されている。案内レール25上には案内レール25に沿ってX方向に移動するステージ26が設置されている。ステージ26は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置16が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0035】
ステージ26の上面には載置面26aが設置され、載置面26aには吸引式のチャック機構が形成されている。搬送部13が半導体基板1を載置面26aに載置した後、チャック機構を作動させることにより前処理部9は半導体基板1を載置面26aに固定することができる。
【0036】
ステージ26がX方向に位置するときの載置面26aの場所が中継場所9aとなっている。この載置面26aは把持部13aの動作範囲内で露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面26aに載置することができる。半導体基板1に前処理が行われた後、半導体基板1は中継場所9aである載置面26a上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0037】
基台24の−X方向には平板状の支持部27が立設されている。支持部27のX方向側の面において上側にはY方向に延在する案内レール28が設置されている。そして、案内レール28と対向する場所には案内レール28に沿ってY方向に移動するキャリッジ29が設置されている。キャリッジ29は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置16が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0038】
キャリッジ29の基台24側には処理部30が設置されている。処理部30としては、例えば、水銀ランプ、水素バーナー、エキシマレーザー、プラズマ放電部、コロナ放電部等を例示できる。水銀ランプを用いる場合、半導体基板1に紫外線を照射することにより、半導体基板1の表面の撥液性を改質することができる。水素バーナーを用いる場合、半導体基板1の酸化した表面を一部還元することで表面を粗面化することができ、エキシマレーザーを用いる場合、半導体基板1の表面を一部溶融固化することで粗面化することができ、プラズマ放電或いはコロナ放電を用いる場合、半導体基板1の表面を機械的に削ることで粗面化することができる。本実施形態では、例えば、水銀ランプを採用している。前処理部9は処理部30から紫外線を照射しながらキャリッジ29を往復運動させる。これにより、広い範囲に紫外線を照射することが可能になっている。
【0039】
前処理部9は外装部31により全体が覆われている。外装部31の内部には上下に移動可能な戸部32が設置されている。そして、図3(b)に示すように、ステージ26がキャリッジ29と対向する場所に移動したあと、戸部32が下降する。これにより、処理部30が照射する紫外線が前処理部9の外に漏れないようになっている。
【0040】
(塗布部)
次に、半導体基板1に液滴を吐出してマークを形成する塗布部10について図4に従って説明する。液滴を吐出する装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0041】
図4(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図である。塗布部10により半導体基板1に液滴が吐出される。図4(a)に示すように、塗布部10には、直方体形状に形成された基台35を備えている。液滴を吐出するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とが相対移動する方向を主走査方向とする。そして、主走査方向と直交する方向を副走査方向とする。副走査方向は改行するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とを相対移動する方向である。本実施形態ではY方向を主走査方向とし、X方向を副走査方向とする。
【0042】
基台35の上面35aには、Y方向に延在する一対の案内レール36がY方向全幅にわたり凸設されている。その基台35の上側には、一対の案内レール36に対応する図示しない直動機構を備えたステージ37が取付けられている。そのステージ37の直動機構は、リニアモーターやネジ式直動機構等を用いることができる。本実施形態では、例えば、リニアモーターを採用している。そして、Y方向に沿って所定の速度で往動または復動するようになっている。往動と復動を繰り返すことを走査移動と称す。さらに、基台35の上面35aには、案内レール36と平行に主走査位置検出装置38が配置され、主走査位置検出装置38によりステージ37の位置が検出される。
【0043】
そのステージ37の上面には載置面39が形成され、その載置面39には図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。載置面39上に半導体基板1が載置された後、半導体基板1は基板チャック機構により載置面39に固定される。
【0044】
ステージ37が−Y方向に位置するときの載置面39の場所が中継場所10aとなっている。この載置面39は把持部13aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面39に載置することができる。半導体基板1に塗布が行われた後、半導体基板1は中継場所10aである載置面39上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0045】
基台35のX方向両側には一対の支持台40が立設され、その一対の支持台40にはX方向に延びる案内部材41が架設されている。案内部材41の下側にはX方向に延びる案内レール42がX方向全幅にわたり凸設されている。案内レール42に沿って移動可能に取り付けられるキャリッジ43は略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ43は直動機構を備え、その直動機構は、例えば、ステージ37が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。そして、キャリッジ43がX方向に沿って走査移動する。案内部材41とキャリッジ43との間には副走査位置検出装置44が配置され、キャリッジ43の位置が計測される。キャリッジ43の下側にはヘッドユニット45が設置され、ヘッドユニット45のステージ37側の面には図示しない液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0046】
図4(b)は、キャリッジを示す模式側面図である。図4(b)に示すようにキャリッジ43の半導体基板1側にはヘッドユニット45と一対の照射部としての硬化ユニット46が配置されている。ヘッドユニット45の半導体基板1側には液滴を吐出する3個の液滴吐出ヘッド47が凸設されている。液滴吐出ヘッド47の個数は特に限定されず、吐出する機能液の種類に合わせて設定できる。
【0047】
硬化ユニット46には吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する照射装置が配置されている。硬化ユニット46は主走査方向においてヘッドユニット45を挟んだ位置に配置されている。照射装置は発光ユニットと放熱板等から構成されている。発光ユニットには多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。
【0048】
キャリッジ43の図中上側には収容タンク48が配置され、収容タンク48には機能液が収容されている。液滴吐出ヘッド47と収容タンク48とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク48内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッド47に供給される。
【0049】
機能液は樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、白色の顔料を添加している。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。
【0050】
図4(c)は、ヘッドユニットを示す模式平面図である。図4(c)に示すように、ヘッドユニット45には液滴吐出ヘッド47が配置され、液滴吐出ヘッド47の表面にはノズルプレート49が配置されている。ノズルプレート49には複数のノズル50が配列して形成されている。ノズル50及びヘッドの数及び配置は特に限定されず吐出するパターンに合わせて設定される。本実施形態においては、例えば、1個のノズルプレート49にはノズル50の配列が1列形成され、1つの列には15個のノズル50が配置されている。
【0051】
硬化ユニット46の下面には、照射口46aが形成されている。そして、照射装置が発光する紫外線が照射口46aから半導体基板1に向けて照射される。
【0052】
図4(d)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図4(d)に示すように、液滴吐出ヘッド47はノズルプレート49を備え、ノズルプレート49にはノズル50が形成されている。ノズルプレート49の上側であってノズル50と相対する位置にはノズル50と連通するキャビティ51が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド47のキャビティ51には機能液52が供給される。
【0053】
キャビティ51の上側には上下方向に振動してキャビティ51内の容積を拡大縮小する振動板53が設置されている。振動板53の上側でキャビティ51と対向する場所には上下方向に伸縮して振動板53を振動させる圧電素子54が配設されている。圧電素子54が上下方向に伸縮して振動板53を加圧して振動し、振動板53がキャビティ51内の容積を拡大縮小してキャビティ51を加圧する。それにより、キャビティ51内の圧力が変動し、キャビティ51内に供給された機能液52はノズル50を通って吐出される。
【0054】
液滴吐出ヘッド47が圧電素子54を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子54が伸張して、振動板53がキャビティ51内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド47のノズル50から縮小した容積分の機能液52が液滴55となって吐出される。
【0055】
(後処理部)
図5は後処理部の構成を示す概略斜視図である。図5(a)に示すように、後処理部11は基台57を備え、基台57上にはX方向に延在する一対の案内レール58が設置されている。案内レール58上には案内レール58に沿ってX方向に移動するステージ59が設置されている。ステージ59は直動機構を備え、往復移動することができる。
【0056】
ステージ59の上面には載置面59aが設置され、載置面59aには吸引式のチャック機構が形成されている。搬送部13が半導体基板1を載置面59aに載置するとき、チャック機構を作動させることにより、半導体基板1を載置面59aに固定することができる。
【0057】
ステージ59が−X方向に位置するときの載置面59aの場所が中継場所11aとなっている。この載置面59aは把持部13aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面59aに載置することができる。半導体基板1に後処理が行われた後、半導体基板1は中継場所11aである載置面59a上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0058】
基台57のX方向には平板状の支持部60が立設されている。支持部60の−X側の面において上側にはY方向に延在する案内レール61が設置されている。そして、案内レール61と対向する場所には案内レール61に沿ってY方向に移動するキャリッジ62が設置されている。キャリッジ62は直動機構を備え、往復移動することができる。この直動機構は昇降装置16が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。
【0059】
キャリッジ62の基台57側にはランプユニット63と温風ユニット64とが設置されている。ランプユニット63は半導体基板1に紫外線を照射して、塗布された機能液52を硬化する装置である。ランプユニット63は、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプaを用いることができる。より具体的には、ランプユニット63には、Fusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているランプを用いることができる。
【0060】
温風ユニット64は半導体基板1に温風を送風して、塗布された機能液52を硬化する装置である。温風ユニット64は送風機、ヒーター及び温風温度を調節する制御装置等により構成されている。送風機は特に限定されないが、例えば、ファンとモーター等により構成することができる。ヒーターも特に限定されないが、例えば、電熱線を採用することができる。これにより、半導体基板1にダメージを与えずに機能液52を硬化するようになっている。後処理部11はランプユニット63から紫外線を照射し、温風ユニット64から温風を送風しながらキャリッジ62を往復運動させる。これにより、広い範囲に紫外線の照射と温風の吹きつけをすることが可能になっている。
【0061】
後処理部11は外装部65により全体が覆われている。外装部65の内部には上下に移動可能な戸部66が設置されている。そして、図5(b)に示すように、ステージ59がキャリッジ62と対向する場所に移動したあと、戸部66が下降する。これにより、ランプユニット63が照射する紫外線が後処理部11の外に漏れないようになっている。
【0062】
(収納部)
図6(a)は収納部を示す模式正面図であり、図6(b)及び図6(c)は収納部を示す模式側面図である。図6(a)及び図6(b)に示すように、収納部12は基台69を備えている。基台69の内部には昇降装置70が設置されている。昇降装置70は供給部8に設置された昇降装置16と同様の装置を用いることができる。基台69の上側には昇降板71が昇降装置70と接続して設置されている。そして、昇降板71は昇降装置70により昇降させられる。昇降板71の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には半導体基板1が収納されている。収納容器18は供給部8に設置された収納容器18と同じ容器が用いられている。
【0063】
基台69のY方向側には支持部材72を介して、基板押出部73と中継台74とが設置されている。収納容器18のY方向側の場所において基板押出部73の上に中継台74が重ねて配置されている。基板押出部73はY方向に移動する腕部73aと腕部73aを駆動する直動機構とを備えている。この直動機構は直線状に移動する機構であれば特に限定されない、本実施形態では、例えば、圧縮空気にて作動するエアーシリンダーを採用している。中継台74上には半導体基板1が載置され、この半導体基板1のY方向側の一端の中央に腕部73aが接触可能となっている。
【0064】
基板押出部73が腕部73aを−Y方向に移動させることにより、腕部73aが半導体基板1を−Y方向に移動させる。中継台74は半導体基板1のX方向の幅と略同じ幅の凹部が形成され、半導体基板1はこの凹部に沿って移動する。そして、この凹部により半導体基板1のX方向の位置が決められる。その結果、図6(c)に示すように、半導体基板1が収納容器18の中に移動させられる。収納容器18にはレール18cが形成されており、レール18cは中継台74に形成された凹部の延長線上に位置するようになっている。そして、基板押出部73によって半導体基板1はレール18cに沿って移動させられる。これにより、半導体基板1は収納容器18に品質良く収納される。
【0065】
搬送部13が中継台74上に半導体基板1を移動した後、昇降装置70が収納容器18を上昇させる。そして、基板押出部73が腕部73aを駆動して半導体基板1を収納容器18内に移動させる。このようにして収納部12は半導体基板1を収納容器18内に収納する。収納容器18内に所定の枚数の半導体基板1が収納された後、操作者は半導体基板1が収納された収納容器18と空の収納容器18とを置き換える。これにより、操作者は複数の半導体基板1をまとめて次の工程に持ち運ぶことができる。
【0066】
収納部12は収納する半導体基板1を載置する中継場所12aを有している。搬送部13は半導体基板1を中継場所12aに載置するだけで、収納部12と連携して半導体基板1を収納容器18に収納することができる。
【0067】
(搬送部)
次に、半導体基板1を搬送する搬送部13について図7に従って説明する。図7は、搬送部の構成を示す概略斜視図である。図7に示すように、搬送部13は平板状に形成された基台77を備えている。基台77上には支持台78が配置されている。支持台78の内部には空洞が形成され、この空洞にはモーター、角度検出器、減速機等から構成させる回転機構78aが設置されている。そして、モーターの出力軸は減速機と接続され、減速機の出力軸は支持台78の上側に配置された第1腕部79と接続されている。また、角度検出器がモーターの出力軸と連結され、モーターの出力軸の回転角度を検出する。これにより、回転機構78aは第1腕部79の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0068】
第1腕部79上において支持台78と反対側の端には回転機構80が設置されている。回転機構80はモーター、角度検出器、減速機等により構成され、支持台78の内部に設置された回転機構78aと同様の機能を備えている。そして、回転機構80の出力軸は第2腕部81と接続されている。これにより、回転機構80は第2腕部81の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。この回転機構80と支持台78の内部に設置された回転機構78aとが回転部に相当する。
【0069】
第2腕部81上において回転機構80と反対側の端には昇降装置82が配置されている。昇降装置82は直動機構を備え、直動機構を駆動することにより伸縮することができる。この直動機構は供給部8の昇降装置16と同様の機構を用いることができる。昇降装置82の下側には回転装置83が配置されている。
【0070】
回転装置83は回転角度を制御可能であれば良く、各種モーターと回転角度センサーとを組み合わせて構成することができる。他にも、回転角度を所定の角度にて回転できるステップモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、ステップモーターを採用している。さらに減速装置を配置しても良い。さらに細かな角度で回転させることができる。
【0071】
回転装置83の下側には把持部13aが配置されている。そして、把持部13aは回転装置83の回転軸と接続されている。従って、搬送部13は回転装置83を駆動することにより把持部13aを回転させることができる。さらに、搬送部13は昇降装置82を駆動することにより把持部13aを昇降させることができる。
【0072】
把持部13aは4本の直線状の指部13cを有し、指部13cの先端には半導体基板1を吸引して吸着させる吸着機構が形成されている。そして、把持部13aはこの吸着機構を作動させて、半導体基板1を把持することができる。
【0073】
基台77の−Y方向側には制御装置84が設置されている。制御装置84には中央演算装置、記憶部、インターフェース、アクチュエーター駆動回路、入力装置、表示装置等を備えている。アクチュエーター駆動回路は回転機構78a、回転機構80、昇降装置82、回転装置83、把持部13aの吸着機構を駆動する回路である。そして、これらの装置及び回路はインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。他にも角度検出器がインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。記憶部には搬送部13を制御する動作手順を示したプログラムソフトや制御に用いるデータが記憶されている。中央演算装置はプログラムソフトに従って搬送部13を制御する装置である。制御装置84は搬送部13に配置された検出器の出力を入力して把持部13aの位置と姿勢とを検出する。そして、制御装置84は回転機構78a及び回転機構80を駆動して把持部13aを所定の位置に移動させる制御を行う。
【0074】
(描画方法)
次に上述した液滴吐出装置7を用いた描画方法について図8及び図9にて説明する。図8は、描画方法を示すためのフローチャートであり、図9は描画方法を説明するための模式図である。図8のフローチャートにおいて、ステップS1は搬入工程に相当し、供給部が収納容器から半導体基板を中継場所に移動する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、第1搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が供給部の中継場所から前処理部の中継場所へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、前処理工程に相当する。この工程は、前処理部が半導体基板の表面に前処理を施す工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は、第2搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が前処理部の中継場所から塗布部の中継場所へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、描画工程に相当する。この工程は、半導体基板に各種マークを描画する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、第3搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が塗布部の中継場所から後処理部の中継場所へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS7は、後処理工程に相当する。この工程は、後処理部が半導体基板の表面に塗布された機能液を固化する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は、第4搬送工程に相当する。この工程は、搬送部が後処理部の中継場所から収納部の中継場所へ半導体基板を移動する工程である。次にステップS9に移行する。ステップS9は収納工程に相当し、収納部が中継場所から半導体基板を収納容器に移動する工程である。以上の工程にて、半導体基板1に各種マークを描画する製造工程を終了する。
【0075】
次に、図9を用いて、図8に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
図9(a)はステップS1,S2,S5,S6,S9に対応する図であり、図9(b)はステップS3,S4,S7,S8に対応する図である。図9(a)に示すように、ステップS1の搬入工程では収納容器18に半導体基板1が収納されている。そして、供給部8は基板引出部22を駆動することにより、半導体基板1を中継場所8aに移動させる。これにより、搬送部13が半導体基板1を把持し易くすることができる。
【0076】
ステップS2の第1搬送工程において、搬送部13は、中継場所8aの半導体基板1と対向する場所に把持部13aを移動させる。そして、搬送部13は、把持部13aに半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部13は把持部13aを上昇させた後、前処理部9の中継場所9aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部13は把持部13aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を前処理部9の中継場所9aに載置する。その結果、図9(b)に示すように、前処理部9の中継場所9a上に半導体基板1が載置される。
【0077】
ステップS3の前処理工程において、前処理部9はステージ26を駆動することにより、中継場所9aに載置された半導体基板1を前処理部9の内部に移動させる。そして、前処理部9は半導体基板1に実装された半導体装置3に紫外線を照射することにより、半導体装置3の表面を改質する。これにより、描画するマークの外観品質を向上させることができる。前処理を行った後に前処理部9はステージ26を駆動することにより、半導体基板1を中継場所9aに移動させる。これにより、搬送部13が半導体基板1を把持し易くすることができる。
【0078】
ステップS4の第2搬送工程において、搬送部13は、中継場所9aの半導体基板1と対向する場所に把持部13aを移動させる。そして、搬送部13は把持部13aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、把持部13aに半導体基板1を把持させる。次に、搬送部13は把持部13aを上昇させた後、塗布部10の中継場所10aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部13は把持部13aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を塗布部10の中継場所10aに載置する。その結果、図9(a)に示すように、塗布部10の中継場所10aに位置するステージ37上に半導体基板1が載置される。
【0079】
ステップS5の描画工程において、塗布部10はチャック機構を作動させてステージ37上に載置された半導体基板1をステージ37に保持する。そして、塗布部10はステージ37及びキャリッジ43を走査移動しながら、液滴吐出ヘッド47に形成されたノズル50から液滴55を吐出する。これにより、半導体装置3の表面には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマークが描画される。キャリッジ43に設置された硬化ユニット46からマークに紫外線が照射される。マークを形成する機能液52には紫外線により重合が開始する光重合開始剤が含まれているため、マークの表面が固化される。描画を行った後に塗布部10は半導体基板1が載置されたステージ37を中継場所10aに移動させる。これにより、搬送部13が半導体基板1を把持し易くすることができる。そして、塗布部10はチャック機構の動作を停止して半導体基板1の保持を解除する。
【0080】
ステップS6の第3搬送工程において、搬送部13は中継場所10aの半導体基板1と対向する場所に把持部13aを移動させる。そして、搬送部13は、把持部13aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部13は把持部13aを上昇させた後、後処理部11の中継場所11aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部13は把持部13aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を後処理部11の中継場所11aに載置する。その結果、図9(b)に示すように、後処理部11の中継場所11aに位置するステージ59上に半導体基板1が載置される。
【0081】
ステップS7の後処理工程において、後処理部11はステージ59を駆動することにより、中継場所11aに載置された半導体基板1を後処理部11の内部に移動させる。そして、後処理部11は半導体基板1に実装された半導体装置3に紫外線の照射と温風の吹きつけと行う。これにより半導体装置3に描画されたマークが固化しさらに硬化する。後処理を行った後に後処理部11はステージ59を駆動することにより、半導体基板1を中継場所11aに移動させる。これにより、搬送部13が半導体基板1を把持し易くすることができる。
【0082】
ステップS8の第4搬送工程において、搬送部13は中継場所11aの半導体基板1と対向する場所に把持部13aを移動させる。そして、搬送部13は、把持部13aを下降して半導体基板1を吸着させることにより、半導体基板1を把持する。次に、搬送部13は把持部13aを上昇させた後、収納部12の中継場所12aと対向する場所に移動させる。続いて、搬送部13は把持部13aを下降させた後、半導体基板1の吸着を解除することにより、半導体基板1を収納部12の中継場所12aに載置する。その結果、図9(a)に示すように、収納部12の中継場所12aに位置する中継台74上に半導体基板1が載置される。収納部12に中継場所12aが設置されているため、搬送部13は半導体基板1を収納部12に載置し易くすることができる。
【0083】
ステップS9の収納工程において、収納部12は昇降装置70を駆動して収納容器18を上昇させる。これにより、収納容器18の空いている場所が半導体基板1の延長線上に位置するようになる。次に、収納部12は基板押出部73を駆動することにより、中継場所12aの中継台74上に載置された半導体基板1を収納容器18に移動させる。その結果、収納容器18に半導体基板1が収納される。以上の工程にて、半導体基板1に各種マークを描画する製造工程を終了する。
【0084】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、前処理部9、塗布部10及び後処理部11はそれぞれ中継場所9a,10a,11aを有しており、処理前後にワークを中継場所9a,10a,11aに待機させる。そして各部は中継場所9a,10a,11aに載置された半導体基板1を取り込んで処理を行い、処理が実施された半導体基板1を中継場所9a,10a,11aにて待機させる。そして、搬送部13が半導体基板1を各部の中継場所9a,10a,11aに搬送する。従って、搬送部13が前処理部9、塗布部10及び後処理部11の内部に、直接、半導体基板1を搬送し難い構造のときにも、各部が処理できるように搬送部13は半導体基板1を搬送することができる。
【0085】
(2)本実施形態によれば、供給部8は中継場所8aを有しており、半導体基板1を中継場所8aに待機させる。そして、搬送部13は供給部8の中継場所8aにある半導体基板1を搬送する。同様に、収納部12は中継場所12aを有しており、搬送部13は収納部12の中継場所12aへ半導体基板1を搬送する。そして、収納部12は中継場所12aにある半導体基板1を収納容器18に収納する。従って、搬送部13が供給部8及び収納部12の収納容器18の半導体基板1を、直接、出し入れし難い構造のときにも、供給部8及び収納部12が半導体基板1を出し入れすることができる。
【0086】
(3)本実施形態によれば、供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部11、及び収納部12が搬送部13を囲んで配置されている。これにより、供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部11、及び収納部12と、搬送部13との間の距離を同じ距離に配置することができる。従って、各部の中継場所8a,9a,10a,11a,12aを把持部13aの移動範囲13b内に配置し易くすることができる。
【0087】
(4)本実施形態によれば、着弾した液滴55に紫外線を照射して硬化させることができる。従って、液滴55を吐出して硬化させることにより、異なる複数種類の液滴55を吐出するときにも液滴55が交じり合うことを防止することができる。
【0088】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記実施形態では、搬送部13にスカラー型ロボットを採用したが、ロボットの形態に限定されない。垂直多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボット等各種の形態のロボットを採用することができる。そして、ロボットのロボットハンドが移動可能な範囲に供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部11、及び収納部12の中継場所8a,9a,10a,11a,12aを配置しても良い。この場合にもロボットが各部に半導体基板1を供給し易くすることができる。
【0089】
(変形例2)
前記実施形態では、半導体基板1に実装された半導体装置3にマークを描画した。描画する対象物は半導体装置3に限らない。マークを描画可能な固体であれば良い。この場合にも、液滴吐出装置7を用いて生産性良くマークを描画することができる。
【0090】
(変形例3)
前記実施形態では、1つの半導体基板1を液滴吐出装置7の各部が順番に処理したが、各部が並行して処理をしても良い。同時に複数の半導体基板1を処理できるので、生産性良く処理することができる。
【0091】
(変形例4)
前記実施形態では、機能液52に光重合開始剤が含まれていたが、光重合開始剤を含まない機能液52を用いても良い。このときには、着弾した液滴55を加熱することにより硬化しても良い。この場合には、ヘッドユニット45には紫外線を照射する硬化ユニット46が必ずしも設置されなくとも良い。さらに、後処理部11にもランプユニット63が必ずしも設置されなくとも良い。後処理部11の温風ユニット64を用いて着弾した液滴55を硬化させても良い。この場合には装置を簡略にすることができる。
【0092】
(変形例5)
前記実施形態では、供給部8及び収納部12が収納容器18を備えていた。これに限らず、ベルトコンベアを用いても良い。そして、ベルトコンベア上の一端を供給用の中継場所8aに設定し、搬送部13が中継場所8a上の半導体基板1を前処理部9の中継場所9aに移動しても良い。さらに、そして、ベルトコンベア上の一端を搬出用の中継場所12aに設定し、搬送部13が後処理部11の中継場所11a上の半導体基板1を中継場所12aに移動しても良い。前後工程の装置間と液滴吐出装置7との間で生産性良く半導体基板1を移動することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…ワークとしての半導体基板、8…供給部、8a,9a,10a,11a,12a…中継場所、9…前処理部、10…塗布部、11…後処理部、12…収納部、13a…把持部、13b…移動範囲、46…照射部としての硬化ユニット、55…液滴、78a,80…回転部としての回転機構、79…第1腕部、81…第2腕部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに液滴を吐出して塗布する塗布部と、前記液滴を吐出する前に前記ワークに前処理を施す前処理部と、前記液滴が吐出された前記ワークに後処理を施す後処理部と、前記前処理部と前記塗布部との間及び前記塗布部と前記後処理部との間で前記ワークを移動させる搬送部と、を備え、
前記塗布部と前記前処理部と前記後処理部とは前記ワークを受け渡しする中継場所を有し、前記搬送部は前記ワークを把持する把持部を有し、前記中継場所は前記把持部の移動範囲内に位置していることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記ワークを供給する供給部と、前記ワークを収納する収納部と、をさらに備え、
前記供給部と前記収納部とは前記ワークを受け渡しする中継場所を有し、
前記中継場所は前記把持部の移動範囲内に位置していることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記塗布部、前記前処理部、前記後処理部、前記供給部及び前記収納部が前記搬送部を囲んで配置されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置であって、
前記液滴は紫外線により硬化する硬化剤を含み、前記塗布部は着弾した前記液滴に紫外線を照射する照射部を備えることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−125797(P2011−125797A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287312(P2009−287312)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】