説明

液状材料の吐出装置および液状材料の塗布装置ならびに液状材料の塗布方法

【課題】シリンジ部内における液状材料の硬化が防止可能な小型で簡素な構成の液状材料の吐出装置を提供する。
【解決手段】液状材料の吐出装置は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料70、および、液状材料70の液面上に層を形成することによって液状材料70の硬化を防止する第1硬化防止液81を貯留するシリンジ部27aと、シリンジ部27aの下方に位置し、シリンジ部27aに連通する吐出口27b1を有するノズル部27bと、第1硬化防止液81の液面を加圧して押し下げることにより、吐出口27b1から液状材料70を吐出する加圧ポンプ23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料を吐出する吐出装置および上記液状材料を塗布対象物に塗布する塗布装置ならびに塗布方法に関するものであり、特にシリコン系接着剤やシアノアクリレート系接着剤等を吐出する吐出装置およびシリコン系接着剤やシアノアクリレート系接着剤等を塗布対象物に塗布する塗布装置ならびに塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコン系接着剤に代表される縮合反応型RTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴムやシアノアクリレート系接着剤等(以下においては、単に液状材料とも呼ぶ)は、空気中の水分と反応して硬化するタイプの液状樹脂材料であり、様々な工業分野において利用されている。その用途としては、部材間の接着や部材の封止等が挙げられる。たとえば、電子部品の回路基板への実装の場面においては、電子部品の回路基板への接着や回路基板上に実装された電子部品の封止に利用されている。
【0003】
通常、この種の液状材料は、吐出装置によって塗布対象物へと塗布される。吐出装置は、液状材料を貯留するシリンジ部と、このシリンジ部に貯留された液状材料を吐出する吐出口が設けられたノズル部とを有し、シリンジ部に貯留された液状材料の液面を加圧することによって液状材料を吐出口から必要量だけ吐出する装置である。液状材料の液面を加圧する加圧手段としては、一般に、シリンジ内に圧縮空気を送り込む加圧ポンプやシリンジ部内に嵌挿したピストンおよびこれを駆動するモータ等が利用される。なお、この吐出装置に加え、塗布対象物が載置される載置部を含む台や吐出装置と載置部との間の相対的な位置を変更するための移動機構等を備えた生産設備を特に塗布装置と呼ぶ。
【0004】
上記吐出装置においては、シリンジ部内に充填された液状材料が液面において徐々に硬化して膜を形成し、この膜がシリンジ部の内壁面に付着して塊となり、これがノズル部に詰まって液状材料の吐出が妨げられ、吐出量が減少して安定的な液状材料の吐出が行なえなくなるという問題がある。これは、液状材料が空気にさらされることによって空気中の水分と反応して硬化してしまうためである。このような問題は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料を吐出する吐出装置に特有のものである。
【0005】
上述の加圧手段として加圧ポンプを利用した吐出装置においては、シリンジ部内における液状材料の液面および吐出口部分に位置する液状材料の液面が空気にさらされることになるため、これらの部分において液状材料の硬化物の膜が発生する。また、上述の加圧手段としてピストンおよびこれを駆動する駆動手段を利用した吐出装置においては、ピストンとシリンジ部の隙間から空気がシリンジ部内に入り込むため、吐出口部分に位置する液状材料の液面のみならず、ピストンに接触する部分の液状材料の液面をも空気にさらされることになり、これらの部分において液状材料の硬化物の膜が発生する。特に、ピストンとシリンジ部の隙間から空気がシリンジ部内に入り込んだ場合には、液状材料がシリンジ部内で硬化することによってピストンとシリンジ部とが接着されてしまうことにもなり、作業性が著しく低下し、大きな問題となってしまう。
【0006】
このシリンジ部内における液状材料の硬化が防止された吐出装置が開示された文献として、たとえば特開平10−68648号公報(特許文献1)がある。上記特許文献1に開示の吐出装置にあっては、シリンジ部内の空間が袋状のチューブによって区画され、このチューブによって区画された空間のうちの吐出口に通ずる方の空間に液状材料が充填され、他方の空間に非圧縮性液体が封入されている。そして、この非圧縮性液体の液面をピストンによって加圧することにより、ピストンの移動量に応じた量の液状材料が吐出口から所定量だけ吐出される仕組みとなっている。また、上記特許文献1に開示の吐出装置においては、液状材料の吐出を行なっていない待機時に、ノズル部の先端に位置する吐出口に窒素が吹き付けられるように構成されている。したがって、上記特許文献1に開示の吐出装置においては、シリンジ部内に配置されたチューブおよびノズル部の先端に吹き付けられる窒素によって液状材料が空気と隔てられることになるため、液状材料が空気中の水分に反応して硬化することが効果的に抑制されることになる。
【特許文献1】特開平10−68648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の吐出装置とした場合には、シリンジ部内にチューブを配設することが必要になるため装置構成が複雑化し、メンテナンス性が大幅に低下してしまうという問題がある。また、液状材料の充填量と同量以上の非圧縮性液体を収容する空間が必要になるため、装置が大幅に大型化する問題もある。
【0008】
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、シリンジ部内における液状材料の硬化が防止可能な小型で簡素な構成の液状材料の吐出装置および液状材料の塗布装置を提供することを目的とし、あわせて、液状材料を安定的にかつ容易に吐出でき、塗布対象物に安定して液状材料を供給することが可能な液状材料の塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく液状材料の吐出装置は、シリンジ部と、ノズル部と、加圧手段とを備える。上記シリンジ部は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料、および上記液状材料の液面上に層を形成することによって上記液状材料の硬化を防止する第1硬化防止液を貯留する。上記ノズル部は、上記シリンジ部の下方に位置し、上記シリンジ部に連通する吐出口を有している。上記加圧手段は、上記第1硬化防止液の液面を加圧して押し下げることにより、上記吐出口から上記液状材料を吐出する。
【0010】
このように構成することにより、シリンジ部内における液状材料の液面が第1硬化防止液によって覆われることとなるため、シリンジ部内において液状材料と空気とが接触することがなくなる。したがって、液状材料の硬化が妨げられるようになり、安定的に液状材料を吐出することが可能になる。また、第1硬化防止液の充填量は、シリンジ部内における液状材料の液面を覆うだけの量さえあればよく、装置が大型化することもない。さらには、シリンジ部内の構成が複雑化することもなく、装置構成を簡素化することが可能である。
【0011】
上記本発明に基づく液状材料の吐出装置において、液状材料としてシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、上記第1硬化防止液がアルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいることが好ましく、特に上記第1硬化防止液がノルマルブタノールを主成分として含んでいることが好ましい。
【0012】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料としては、上述のようにシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤が挙げられる。したがって、第1硬化防止液としては、これらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤よりも比重が軽く、低吸湿性の液体であることが必要であり、さらにこれらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤と反応し難く、低揮発性の安定的な液体であればなお好適である。このような条件を満たす液体としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などが挙げられ、特にノルマルブタノールが好適であり、第1硬化防止液としてこれら液体を採用すれば、安定的な液状材料の吐出が可能になる。
【0013】
上記本発明に基づく液状材料の吐出装置にあっては、上記ノズル部が挿し込まれることによって上記吐出口を閉塞し、これにより上記液状材料の硬化を防止する第2硬化防止液が貯留された貯留部をさらに備えていることが好ましい。
【0014】
このように構成することにより、液状材料の吐出を行なわない待機時にノズル部を貯留部に挿し込むことにより、ノズル部に設けられた吐出口部分に位置する液状材料の液面が第2硬化防止液によって覆われることとなるため、この部分において液状材料と空気とが接触することがなくなる。したがって、液状材料の硬化が妨げられるようになり、待機中において液状材料が硬化することがなくなる。したがって、待機後において、安定的に液状材料を吐出口から吐出することが可能になる。
【0015】
上記本発明に基づく液状材料の吐出装置において、液状材料としてシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、上記第2硬化防止液がアルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいることが好ましく、特に上記第2硬化防止液がノルマルブタノールを主成分として含んでいることが好ましい。
【0016】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料としては、上述のようにシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤が挙げられる。したがって、第2硬化防止液としては、低吸湿性の液体であることが必要であり、さらにこれらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤と反応し難く、低揮発性の安定的な液体であればなお好適である。このような条件を満たす液体としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などが挙げられ、特にノルマルブタノールが好適であり、第2硬化防止液としてこれら液体を採用すれば、安定的な液状材料の吐出が可能になる。
【0017】
上記本発明に基づく液状材料の吐出装置にあっては、上記加圧手段が上記シリンジ部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段にて構成されていてもよい。
【0018】
このように、加圧手段として圧縮空気供給手段を採用した場合にも、シリンジ部内における液状材料の液面が第1硬化防止液によって覆われているため、圧縮空気供給手段によって供給された圧縮空気と液状材料とが接触することがない。そのため、液状材料がシリンジ部内において硬化することがなく、安定的に液状材料を吐出することが可能になる。
【0019】
上記本発明に基づく液状材料の吐出装置にあっては、上記加圧手段が、上記シリンジ部に摺動自在に嵌挿されたピストンと、上記ピストンを駆動する駆動手段にて構成されていてもよい。
【0020】
このように、加圧手段としてピストンおよびこれを駆動する駆動手段を採用した場合にも、シリンジ部内における液状材料の液面が第1硬化防止液によって覆われているため、ピストンとシリンジ部の隙間から空気がシリンジ部内に入り込んだ場合にも空気と液状材料とが接触することがない。そのため、液状材料がシリンジ部内において硬化することがなく、安定的に液状材料を吐出することが可能になる。
【0021】
本発明に基づく液状材料の塗布装置は、上述のいずれかの液状材料の吐出装置と、上記吐出装置から吐出された上記液状材料が塗布される塗布対象物を載置する載置部と、上記吐出装置と上記載置部とを相対的に移動させる移動機構と、上記塗布対象物に関する情報を検出する検出手段と、上記検出手段によって検出された上記塗布対象物の情報に基づいて上記吐出装置および上記移動機構を制御する制御手段とを備える。
【0022】
このように構成することにより、小型でかつ簡素な構成の液状材料の吐出装置を備えた液状材料の塗布装置とすることができる。また、検出手段と制御手段とによって塗布対象物に適した塗布条件が選択され、それに従って吐出装置および移動機構が制御されることとなるため、塗布対象物に応じた液状材料の塗布が可能な液状材料の塗布装置とすることができる。
【0023】
本発明に基づく液状材料の塗布方法は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料を塗布対象物に塗布する方法であって、シリンジ部内に上記液状材料を充填するステップと、上記シリンジ部内に上記液状材料の液面上に層を形成することによって上記液状材料の硬化を防止する第1硬化防止液を充填するステップと、上記第1硬化防止液の液面を加圧して押し下げることにより、上記シリンジ部の下方に位置するノズル部に設けられた吐出口から上記液状材料を吐出させ、これにより上記塗布対象物に上記液状材料を塗布するステップとを備えている。
【0024】
このような塗布方法を採用することにより、シリンジ部内における液状材料の液面が第1硬化防止液によって覆われることとなるため、シリンジ部内において液状材料と空気とが接触することがなくなる。したがって、液状材料の硬化が妨げられるようになり、安定的にかつ容易に液状材料を吐出することが可能になり、塗布対象物に安定して液状材料を供給することが可能になる。
【0025】
上記本発明に基づく液状材料の塗布方法において、液状材料としてシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、上記第1硬化防止液がアルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいることが好ましく、特に上記第1硬化防止液がノルマルブタノールを主成分として含んでいることが好ましい。
【0026】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料としては、上述のようにシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤が挙げられる。したがって、第1硬化防止液としては、これらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤よりも比重が軽く、低吸湿性の液体であることが必要であり、さらにこれらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤と反応し難く、低揮発性の安定的な液体であればなお好適である。このような条件を満たす液体としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などが挙げられ、特にノルマルブタノールが好適であり、第1硬化防止液としてこれら液体を採用すれば、安定的な液状材料の吐出が可能になる。
【0027】
上記本発明に基づく液状材料の塗布方法にあっては、上記液状材料および上記第1硬化防止液を上記シリンジ部に充填した後でかつ上記塗布対象物への上記液状材料の塗布を行なわない待機時において、第2硬化防止液が貯留された貯留部に上記ノズル部を挿し込むことによって上記吐出口を上記第2硬化防止液によって閉塞し、これにより上記液状材料の硬化を防止するステップをさらに備えていることが好ましい。
【0028】
このような塗布方法を採用することにより、液状材料の吐出を行なわない待機時にノズル部を貯留部に挿し込むことにより、ノズル部に設けられた吐出口部分に位置する液状材料の液面が第2硬化防止液によって覆われることとなるため、この部分において液状材料と空気とが接触することがなくなる。したがって、液状材料の硬化が妨げられるようになり、待機中において液状材料が硬化することがなくなる。したがって、待機後において、安定的に液状材料を吐出口から吐出することが可能になる。
【0029】
上記本発明に基づく液状材料の塗布方法において、液状材料としてシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、上記第2硬化防止液がアルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいることが好ましく、特に上記第2硬化防止液がノルマルブタノールを主成分として含んでいることが好ましい。
【0030】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料としては、上述のようにシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤が挙げられる。したがって、第2硬化防止液としては、低吸湿性の液体であることが必要であり、さらにこれらシリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤と反応し難く、低揮発性の安定的な液体であればなお好適である。このような条件を満たす液体としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などが挙げられ、特にノルマルブタノールが好適であり、第2硬化防止液としてこれら液体を採用すれば、安定的な液状材料の吐出が可能になる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、シリンジ部内における液状材料の硬化が防止可能な小型で簡素な構成の液状材料の吐出装置および液状材料の塗布装置とすることができる。また、本発明によれば、液状材料を安定的にかつ容易に吐出でき、塗布対象物に安定して液状材料を供給することが可能な液状材料の塗布方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、ワークとしての回路基板に実装された電子部品に、空気中の水分と反応して硬化する液状材料(シリコン系接着剤に代表される縮合反応型RTVゴムやシアノアクリレート系接着剤等)を塗布することによって電子部品を封止するための液状材料の吐出装置およびこれを含む塗布装置ならびに塗布方法を例示して説明を行なう。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の外観構成を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の機能部の構成を示すブロック図である。まず、これらの図を参照して、本実施の形態における液状材料の塗布装置の外観構造および機能部の構成について説明する。
【0034】
図2に示すように、本実施の形態における液状材料の塗布装置1は、制御手段としての制御ユニット10と、吐出装置としての吐出ユニット20と、移動機構としての3軸ロボット30と、検出手段としての視覚センサ40および変位センサ54と、視覚センサ40の検出を補助する手段としての照明装置52とを機能部として備えている。
【0035】
制御ユニット10は、図2に示すように、CPU11と、記憶装置12と、タイマ13と、操作部14と、表示部15とを備えており、吐出ユニット20や3軸ロボット30、視覚センサ40、照明装置52、変位センサ54を制御する。具体的には、CPU11は、視覚センサ40および変位センサ54から出力された各種情報に基づいて各種演算処理等を行ない、その結果に基づいて吐出ユニット20および3軸ロボット30に対して統括的に指令を出力する。記憶装置12は、液状材料の情報やワークの情報をデータベース化して記憶している。タイマ13は、塗布装置1の動作時において各種時間を記録する。操作部14は、使用者による指令が入力される部位であり、表示部15は、各種情報等を表示する部位である。
【0036】
吐出ユニット20は、図2に示すCPU21、記憶装置22、加圧ポンプ23、弁24および圧力センサ25と、図1に示す吐出部26とを備えており、空気中の水分と反応して硬化する液状材料を吐出部26から吐出する。具体的には、CPU21は、制御ユニット10のCPU11から出力された指令に基づいて吐出ユニット20を構成する他の構成要素を統括して制御する。記憶装置22は、加圧ポンプによる加圧の最適圧情報を記憶している。加圧ポンプ23は、圧縮空気を生成し、吐出部26に圧縮空気を供給する。弁24は、閉状態において吐出部26内の圧力を維持し、開状態において加圧ポンプ23にて生成された圧縮空気を吐出部26に導入する。圧力センサ25は、吐出部26内の圧力を検出し、検出結果をCPU21へと出力する。なお、吐出部26は、空気中の水分と反応して硬化する液状材料および液状材料の硬化を防止する第1硬化防止液を貯留する部位であるが、詳細については後述することとする。
【0037】
3軸ロボット30は、図2に示すCPU31、記憶装置32、X軸ロボット用モータ33a、Y軸ロボット用モータ34aおよびZ軸ロボット用モータ35aと、図1に示すX軸ロボット33、Y軸ロボット34およびZ軸ロボット35とを備えており、主として吐出ユニット20の吐出部26をX、YおよびZ軸の3軸方向に移動させるとともに、視覚センサ40、照明装置52および変位センサ54をX、YおよびZ軸の3軸方向に副次的に移動させる。具体的には、CPU31は、制御ユニット10のCPU11から出力された指令に基づいてX軸ロボット用モータ33a、Y軸ロボット用モータ34aおよびZ軸ロボット用モータ35aを制御する。記憶装置32は、主として吐出ユニット20を移動させるための様々な経路パターン(座標や走査の際の基準速度等)を記憶している。X軸ロボット用モータ33a、Y軸ロボット用モータ34aおよびZ軸ロボット用モータ35aは、X軸ロボット33、Y軸ロボット34およびZ軸ロボット35をそれぞれ駆動し、主として吐出ユニット20の吐出部26をX、YおよびZ軸の3軸方向に移動させるとともに、視覚センサ40、照明装置52および変位センサ54をX、YおよびZ軸の3軸方向に副次的に移動させる。
【0038】
視覚センサ40は、図2に示すように、CPU41と、記憶装置42と、画像処理装置43と、カメラ44とを備えており、ワークの種類や塗布の状態といったワークの情報を制御ユニット10に出力する。具体的には、CPU41は、制御ユニット10のCPU11から出力された指令に基づいてワークを撮像するように画像処理装置43を介してカメラ44に指令したり、画像処理装置43から出力された画像処理結果の入力を受けてワークの情報を制御ユニット10に出力する。記憶装置42は、画像処理方法やワークの種類の特定方法ならびに目標パラメータ等を記憶している。画像処理装置43は、カメラ44にて撮像された画像からワークの種類や液状材料の塗布面積等を得てCPU41へと出力する。カメラ44は、CPU41の指令に基づいてワークを撮像する。
【0039】
なお、照明装置52は、カメラ44でワークを撮像する際の光源であり、そのオン/オフが制御ユニット10のCPU11によって制御される。変位センサ54は、制御ユニット10のCPU11から出力された指令に基づいてワークの高さを検出し、検出結果をCPU11へと出力する。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態における液状材料の塗布装置1は、台60上に、ワークを載置するための載置部61と、液状材料のワークへの塗布量を測定するための塗布量検出部66と、上述のX軸ロボット33、Y軸ロボット34およびZ軸ロボット35と、第2硬化防止液が貯留される貯留部62と、吐出部26のノズル部27b(図3参照)の先端を清掃するための清掃用スポンジ64とを有している。また、X軸ロボット33、Y軸ロボット34およびZ軸ロボット35からなる移動機構の所定位置には、これらX軸ロボット33、Y軸ロボット34およびZ軸ロボット35によって走査される、上述の吐出部26、カメラ44、照明装置52および変位センサ54が取付けられている。したがって、これら吐出部26、カメラ44、照明装置52および変位センサ54は、図1中において矢印X、YおよびZで示す3方向にそれぞれ移動することになる。
【0041】
図3は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出部の構造を示す模式断面図である。また、図4は、本実施の形態における液状材料の塗布装置において、貯留部に充填された第2硬化防止液中にノズル部の先端を挿し込んだ状態を示す模式断面図である。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出部の構造、吐出ユニットの吐出動作、待機時における吐出ユニットの状態、ならびに本実施の形態における液状材料の塗布方法について説明する。
【0042】
まず、本実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出部の構造について説明する。図3に示すように、吐出ユニット20の吐出部26は、シリンジ部27aと、ノズル部27bと、キャップ部27cとを備える。シリンジ部27aは、上端および下端が開口した略円筒状の部材からなり、その下端側の先端部は、先細形状に形成されている。ノズル部27bは、シリンジ部27aの下端側の先端部に内挿されて固定された筒状の部材からなり、その下端部に吐出口27b1を有している。キャップ部27cは、シリンジ部27aの上端開口を閉塞するように取付けられ、その上部にチューブ28が接続されている。チューブ28が接続された部分のキャップ部27cには、上下方向に延びる貫通孔27c1が設けられており、この貫通孔27c1は、シリンジ部27aの内部の空間に連通している。なお、チューブ28のキャップ部27cに接続された側の端部とは反対側の端部は、上述の加圧ポンプ23に接続されている。
【0043】
シリンジ部27aの内部には、空気中の水分と反応して硬化する液状材料70が充填されている。液状材料70は適度な粘度を有しており、またノズル部27bに設けられた吐出口27b1は非常に小さい開口径とされているため、図3に示す状態において、液状材料70は、吐出口27b1から吐出部26の外部へと垂れ落ちずにシリンジ部27aおよびノズル部27bに充填された状態で維持される。
【0044】
シリンジ部27aの内部には、上述の液状材料70とは別に液状材料70の硬化を防止する第1硬化防止液81が充填されている。ここで、第1硬化防止液81としては、液状材料70よりも比重が小さく、かつ吸湿性の低い液体が選択され、さらにより好適には、液状材料70と反応し難く、かつ揮発性の低い安定的な液体が選択される。たとえば、液状材料70としてシリコン系接着剤やシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、第1硬化防止液81としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などを採用することが好適であり、特にノルマルブタノールが最適である。
【0045】
上述のように、本実施の形態における塗布装置1においては、第1硬化防止液81として液状材料70よりも比重の軽い液体が選択されるため、シリンジ部27a内に充填された第1硬化防止液81は、シリンジ部27a内に位置する液状材料70の液面上に層を形成することになる。これにより、第1硬化防止液81の存在によって液状材料70とシリンジ部27a内に導入された空気27a1とが接触することがないため、この部分において液状材料70が硬化することが防止される。なお、第1硬化防止液81は、少なくともシリンジ部27a内に位置する液状材料70の液面がすべて第1硬化防止液81によって覆われることになるだけの充填量さえあればよく、液状材料70に比してごく少量でよい。
【0046】
次に、本実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出ユニットの吐出動作ならびに待機時における吐出ユニットの状態について説明する。本実施の形態における塗布装置1において、液状材料70を吐出部26から吐出するためには、図2および図3に示す加圧ポンプ23を駆動するとともに図2に示す弁24を開放する。これにより、図3に示すチューブ28を介してシリンジ部27a内に圧縮空気が送り込まれることになり、その結果シリンジ部27a内の空気27a1の圧力が上昇する。したがって、第1硬化防止液81の液面が押し下げられることになり、液状材料70が第1硬化防止液81によって押し下げられて吐出口27b1から外部へと吐出されることになる。
【0047】
一方、本実施の形態における塗布装置1において、待機時等において液状材料70を吐出部26から吐出させないためには、図2および図3に示す加圧ポンプ23の駆動を停止するとともに図2に示す弁24を閉塞させる。これにより、図2に示すシリンジ部27a内の内圧の上昇が停止され、シリンジ部27a内の空気27a1による第1硬化防止液81への加圧が解除される。したがって、第1硬化防止液81の液面が押し下げられることがなくなるため、吐出口27b1からの液状材料70の吐出が停止されることになる。
【0048】
また、所定の時間よりも長く待機状態を維持する必要がある場合には、3軸ロボット30を駆動させて吐出部26を貯留部62へと移動させ、図4に示すようにノズル部27bの先端を貯留部62へと挿し込み、貯留部62に充填された第2硬化防止液82によって吐出口27b1が閉塞されるようにする。
【0049】
ここで、第2硬化防止液82としては、吸湿性の低い液体が選択され、より好適には、液状材料70と反応し難く、かつ揮発性の低い安定的な液体が選択される。さらに、第2硬化防止液82として低粘度の液体とすれば、拭き取りが行ない易いという効果も得られる。たとえば、液状材料70としてシリコン系接着剤やシアノアクリレート系接着剤を採用する場合には、第2硬化防止液82としては、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンまたはオレイン酸などを採用することが好適であり、特にノルマルブタノールが最適である。なお、第1硬化防止液81と第2硬化防止液82とは必ずしも同種の液体である必要はなく、異なる液体を選択してもよい。
【0050】
上述のように、ノズル部27bの先端を貯留部62内に挿し込み、貯留部62内に充填された第2硬化防止液82によって吐出口27b1を閉塞した状態とした場合には、第2硬化防止液82によって吐出口27b1部分に位置する液状材料70の液面が覆われることとなるため、この部分において液状材料70と外気である空気とが接触することがなくなる。したがって、長時間にわたって待機状態にある場合にも、液状材料70が空気と接触して硬化することがなくなる。
【0051】
次に、本実施の形態における液状材料の塗布方法について説明する。ワークに対して液状材料を塗布するためには、まず、チューブ28とキャップ部27cとの接続を切り離し、吐出部26だけを塗布装置1から取り外す。そして、取り出した吐出部26のシリンジ部27a内に液状材料70を充填する。シリンジ部27aへの液状材料70の充填は、たとえばシリンジ部27aからキャップ部27cを取り外し、シリンジ部27aの上端開口から液状材料70を流し込むことによって行なう。
【0052】
次に、液状材料70が充填されたシリンジ部27a内に第1硬化防止液81を充填する。シリンジ部27aへの第1硬化防止液81の充填は、たとえば液状材料70の充填に引き続き、キャップ部27cが取り外されたシリンジ部27aの上端開口から第1硬化防止液81を流し込むことによって行なう。シリンジ部27a内に第1硬化防止液81を流し込んだ直後においては、液状材料70と第1硬化防止液81とが混ざり合った状態となるが、しばらくの間これを放置することにより、液状材料70と第1硬化防止液81とがその比重の差から分離し、図3に示す如く液状材料70の液面上に第1硬化防止液81の層が形成されることになる。
【0053】
この液状材料70の液面上に第1硬化防止液81の層が形成された状態を維持しつつ、キャップ部27cをシリンジ部27aを取り付け、さらにキャップ部27cにチューブ28を接続することによって吐出部26を塗布装置1にセットする。そして、図1に示す塗布装置1の載置部61に塗布対象物であるワークを順々に載置し、加圧ポンプ23等を駆動することによってノズル部27bに設けられた吐出口27b1から液状材料70を吐出させ、ワークに対して液状材料70の塗布を行なう。
【0054】
また、所定の時間以上の間、吐出動作を行なわない待機状態を維持する場合には、上述のように、吐出部26のノズル部27bを第2硬化防止液82が貯留された貯留部62に挿し込むことによって吐出口27b1を第2硬化防止液82によって閉塞するようにする。
【0055】
以上においては、加圧手段として加圧ポンプを採用した場合を例示して説明を行なったが、加圧手段としてはこの他にも、ピストンおよびこれを駆動する駆動手段しての駆動モータを採用することも考えられる。図5は、加圧手段としてピストンおよびこれを駆動する駆動モータを採用した場合の吐出部の構成例を示す模式断面図である。図5に示すように、加圧手段としてピストンおよび駆動モータを採用する場合には、吐出部26′のシリンジ部27aの上端開口にピストン29を挿し込むとともに、ピストン29を駆動モータ23′によって駆動する構成とする。そしてピストン29の下端面によってシリンジ部27a内に充填されて層を成している第1硬化防止液81の液面を加圧するように構成する。なお、このように構成した場合には、上述の弁24は不要となる。
【0056】
このように構成した場合にも、第1硬化防止液81の存在によって、ピストン29とシリンジ部27aの隙間からシリンジ部27a内に流入した空気が液状材料70と接触することが防止されるため、この部分において液状材料70が硬化することが防止される。なお、このように構成した場合にも、必要に応じて、待機時において図4の如く第2硬化防止液82が充填された貯留部62にノズル部27bの先端を挿し込むようにしてもよい。
【0057】
なお、本実施の形態の如く空気中の水分と反応して硬化する液状材料を塗布する塗布装置においては、加圧手段として上述の加圧ポンプを利用したエア式ディスペンスシステムを利用することがより好適である。その理由は、ピストン式とした場合には、ピストンの摺動時にピストンとシリンジ部との間に摩擦熱が発生して液状材料や第1硬化防止液に変性が生じることが懸念されることや、ピストンの摺動時に液状材料中に気泡が巻き込まれることが懸念されることがあるためである。なお、エア式ディスペンスシステムを利用した場合には、吐出部として汎用のシリンジが利用できるため、複数のシリンジを準備しておけば作業効率は飛躍的に向上する。
【0058】
以上において説明したように、本実施の形態における液状材料の塗布装置および塗布方法を採用することにより、第1硬化防止液81または/および第2硬化防止液82によってシリンジ部27a内に充填された液状材料70が覆われることとなるため、液状材料70が空気と接触して水分と反応し、シリンジ部27a内や吐出口27b1付近で硬化してしまうことが防止される。したがって、安定的に液状材料70を吐出することが可能になる。そのため、従来必要であった、一定時間ごとの硬化物の除去作業が不要になるため、生産効率の向上が図られる。また、第1硬化防止液81の充填量は、シリンジ部27a内における液状材料70の液面を覆うだけの充填量さえあればよく、装置が大型化することもない。さらには、シリンジ部27a内の構成が複雑化することもなく、装置構成を簡素化することが可能である。
【0059】
図6は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の塗布制御の概念を示す図である。図6に示すように、本実施の形態における液状材料の塗布装置1においては、各種センサからの情報と塗布する液状材料に関する情報とを照合し、最適な塗布条件を選定して吐出ユニット20および3軸ロボット30へと指令を行なう。ここで、各種センサとは、図2に示す視覚センサ40および変位センサ54が該当し、塗布する液状材料に関する情報は、図2に示す制御ユニット10の記憶装置12にデータベース化して記憶されている。また、各種センサからの情報としては、ワークの種類、ワークの高さ、当該ワークに対して前回行なった塗布の際の塗布面積、前回の動作からの経過時間などが該当する。一方、塗布する液状材料に関する情報としては、塗布する液状材料の種別により、最適な塗布経路(たとえば渦巻状あるいはジグザグ状など)がどのようなものかや、塗布装置の環境変動を何分置きに考慮することが好ましいか、ノズル部先端での液状材料の硬化成分を清掃用スポンジによって何分置きに取り除くことが好ましいかなどが該当する。これに対し、吐出ユニット20および3軸ロボット30への具体的な指令内容としては、ノズル部のワークに対する高さや吐出時間、掃引経路、掃引速度、清掃動作等が該当する。
【0060】
図7は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施の形態における液状材料の塗布装置1においては、ステップS1における塗布装置1の起動後に、ステップS2においてワークが載置部61にセットされる。そして、ステップS3において視覚センサ40によってワークが撮像され、カメラ44によって撮像された画像に基づき、ワークの種類が判断される。つづいて、ステップS4において変位センサ54によってワークの高さが検出される。これらワークの種類やワークの高さの情報等をもとに最適な塗布条件が選定され、ステップS5においてワークへの液状材料の塗布が行なわれる。その後、ステップS6において再び視覚センサ40によってワークが撮像され、カメラ44によって撮像された画像に基づいて液状材料の塗布面積が検出される。さらに、ステップS7において塗布量検出部66によって液状材料の塗布量が検出され、合格と判定された場合にステップS8においてワークが載置部61から取り出されて作業を終了する。なお、ステップS6またはステップS7において検出された液状材料の塗布面積または塗布量のいずれかが不合格と判断された場合には、その不足分に応じた塗布作業が再度繰り返される。
【0061】
図8は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を制御ユニットのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図であり、図9は、図8に示す特定の動作フローに示す各動作の際の制御ユニットのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。なお、図9に示す矢印に付した丸数字は、図8に示す各動作に付した丸数字に対応している。
【0062】
図8および図9に示すように、ステップS101において作業者が操作部14を操作することによってCPU11に生産開始信号と樹脂情報が入力されると、ステップS102においてCPU11はタイマ13から前回アクションからの経過時間を取得し、ステップS103において次のアクションを決定する。その際、清掃動作に移行すると決定された場合にはステップS112に移行し、CPU11は清掃命令を3軸ロボット30に出力する。
【0063】
ステップS103において塗布動作に移行すると決定された場合には、ステップS101の後に並行して行なわれる、CPU11に対する視覚センサ40からのワーク画像情報の入力(ステップS104)および変位センサ54からのワーク形状情報の入力(ステップS105)を受け、さらにステップS106においてワークの高さが変位センサ54からCPU11に対して入力される。次に、ステップS104において入力されたワーク画像情報に基づいてワークの種類が判断されるとともに、その結果に基づいてステップS107において記憶装置12中に記憶された塗布情報データベースの検索が行なわれ、該当する塗布情報がCPU11へと入力される。
【0064】
以上の情報の入力を受け、CPU11は、ステップS108において塗布動作の最適条件を選定し、かつ掃引速度を算出する。つづいて、CPU11は、ステップS108において選定した最適条件(最適経路番号や塗布高さ等)や掃引速度をステップS109において3軸ロボット30に出力し、その後ステップS110において吐出ユニット20に吐出命令を出力する。なお、吐出後においては、ステップS111において塗布面積が視覚センサ40からCPU11に対して入力され、その後ステップS102へと復帰する。また、ステップS103において、次のアクションが終了と決定された場合には、塗布装置1の動作を終了する。
【0065】
図10は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を視覚センサのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図であり、図11は、図10に示す特定の動作フローに示す各動作の際の視覚センサのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。なお、図11に示す矢印に付した丸数字は、図10に示す各動作に付した丸数字に対応している。
【0066】
図10および図11に示すように、ステップS201において視覚センサ40のCPU41に対して制御ユニット10からワークの種類の判別命令が入力されると、CPU41は、画像処理装置43を介してカメラ44にワークの撮像指令を出力する。カメラ44にて撮像された画像は、ステップS203において画像処理装置43に入力され、画像処理装置43にてこの画像情報に基づいて所定のパラメータが抽出され、その後ステップS204においてその結果がCPU41に入力される。CPU41は、ステップS205において記憶装置42からワークの種類別モデルを読み込み、これと画像処理装置43から入力されたパラメータとの照合を行ない、ワークの種類を特定する。そして、CPU41は、その結果をステップS206において制御ユニット10へと出力する。
【0067】
一方、図10および図11に示すように、ステップS202において視覚センサ40のCPU41に対して制御ユニット10から塗布面積の測定命令が入力されると、CPU41は、画像処理装置43を介してカメラ44にワークの撮像指令を出力する。カメラ44にて撮像された画像は、ステップS203において画像処理装置43に入力され、画像処理装置43にてこの画像情報に基づいて所定のパラメータが抽出され、その後ステップS204においてその結果がCPU41に入力される。CPU41は、ステップS207において記憶装置42から塗布面積の良否モデルを読み込み、これと画像処理装置43から入力されたパラメータとの照合を行ない、差異パラメータを算出する。そして、CPU41は、算出した差異パラメータをステップS208において制御ユニット10へと出力する。
【0068】
図12は、本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を3軸ロボットのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図であり、図13は、図12に示す特定の動作フローに示す各動作の際の3軸ロボットのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。なお、図13に示す矢印に付した丸数字は、図12に示す各動作に付した丸数字に対応している。
【0069】
図12および図13に示すように、ステップS301において制御ユニット10から3軸ロボット30のCPU31に清掃命令が入力されると、CPU31は、ステップS303において記憶装置32から経路バターンを読み込み、ステップS304において座標の補正を行なう。そして、CPU31は、この座標の補正結果に基づき、ステップS305においてX軸ロボット用モータ33a、Y軸ロボット用モータ34aおよびZ軸ロボット用モータ35aのそれぞれに対して駆動命令を導出し、それぞれのモータ33a,34a,35aを駆動して吐出部26のノズル部27bの先端を貯留部62に挿し込む。
【0070】
一方、塗布動作を行なう場合には、ステップS302において制御ユニット10から3軸ロボット30のCPU31に経路番号、塗布高さおよび掃引速度が入力される。そして、CPU31は、ステップS303において記憶装置32から経路バターンを読み込み、ステップS304において座標の補正を行なう。そして、CPU31は、この座標の補正結果に基づき、ステップS305においてX軸ロボット用モータ33a、Y軸ロボット用モータ34aおよびZ軸ロボット用モータ35aのそれぞれに対して駆動命令を導出し、それぞれのモータ33a,34a,35aを駆動して塗布動作を行なう。
【0071】
以上において説明したように、本実施の形態における液状材料の塗布装置1においては、視覚センサ40や変位センサ54と制御ユニット10とによってワークに適した塗布条件が選択され、それに従って吐出ユニット20および3軸ロボット30が制御されることとなるため、ワークに応じた液状材料の塗布が可能となり、歩留まりの向上や製品性能や信頼性の向上を図ることが可能になる。また、視覚センサ40によって自動的にワークの種類が特定されるため、生産効率が向上するとともに、ワークの高さが変位センサ54によって自動的に検出されるため、ワークの反りや厚みばらつき等に対しても塗布条件を最適化することが可能である。さらには、視覚センサ40によって前回の塗布面積が計測されて記憶されるため、次回の塗布の際にフィードバックをかけることができ、さらなる塗布条件の最適化が可能になる。また、アクション(塗布・清掃・停止)間の経過時間をタイマ13によって計測することが可能であるため、あらかじめ登録された情報と照合することによってサイクルタイムの短縮と液状材料および吐出部の状態維持を両立することが可能になる。
【0072】
上述の本実施の形態においては、ワークとしての回路基板に実装された電子部品に空気中の水分と反応して硬化する液状材料を塗布することによって電子部品を封止するための液状材料の吐出装置およびこれを含む塗布装置ならびに塗布方法を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。たとえば、封止に代えて接着を行なう吐出装置およびこれを含む塗布装置ならびに塗布方法に本発明を適用することも可能であるし、ワークとしては回路基板や電子部品等に限られるものでもない。
【0073】
このように、今回開示した上記一実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の外観構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出部の構造を示す模式断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置において、貯留部に充填された第2硬化防止液中にノズル部の先端を挿し込んだ状態を示す模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の吐出部の変形例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の塗布制御の概念を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を制御ユニットのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図である。
【図9】図8に示す特定の動作フローに示す各動作の際の制御ユニットのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。
【図10】本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を視覚センサのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図である。
【図11】図10に示す特定の動作フローに示す各動作の際の視覚センサのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態における液状材料の塗布装置の動作フローに含まれる特定の動作を3軸ロボットのCPUに対する入出力として見た場合のより詳細なフロー図である。
【図13】図12に示す特定の動作フローに示す各動作の際の3軸ロボットのCPUに対する入出力状況を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1 液状材料の塗布装置、10 制御ユニット、11 CPU、12 記憶装置、13 タイマ、14 操作部、15 表示部、20 吐出ユニット、21 CPU、22 記憶装置、23 加圧ポンプ、23′ 駆動モータ、24 弁、25 圧力センサ、26,26′ 吐出部、27a シリンジ部、27a1 空気、27b ノズル部、27b1 吐出口、27c キャップ部、27c1 貫通孔、28 チューブ、29 ピストン、30 3軸ロボット、31 CPU、32 記憶装置、33 X軸ロボット、33a X軸ロボット用モータ、34 Y軸ロボット、34a Y軸ロボット用モータ、35 Z軸ロボット、35a Z軸ロボット用モータ、40 視覚センサ、41 CPU、42 記憶装置、43 画像処理装置、44 カメラ、52 照明装置、54 変位センサ、60 台、61 載置部、62 貯留部、64 清掃用スポンジ、66 塗布量検出部、70 液状材料、81 第1硬化防止液、82 第2硬化防止液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料、および前記液状材料の液面上に層を形成することによって前記液状材料の硬化を防止する第1硬化防止液を貯留するシリンジ部と、
前記シリンジ部の下方に位置し、前記シリンジ部に連通する吐出口が設けられたノズル部と、
前記第1硬化防止液の液面を加圧して押し下げることにより、前記吐出口から前記液状材料を吐出する加圧手段とを備えた、液状材料の吐出装置。
【請求項2】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第1硬化防止液が、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいる、請求項1に記載の液状材料の吐出装置。
【請求項3】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第1硬化防止液が、ノルマルブタノールを主成分として含んでいる、請求項1に記載の液状材料の吐出装置。
【請求項4】
前記ノズル部が挿し込まれることによって前記吐出口を閉塞し、これにより前記液状材料の硬化を防止する第2硬化防止液が貯留された貯留部をさらに備えた、請求項1に記載の液状材料の吐出装置。
【請求項5】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第2硬化防止液が、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいる、請求項4に記載の液状材料の吐出装置。
【請求項6】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第2硬化防止液が、ノルマルブタノールを主成分として含んでいる、請求項4に記載の液状材料の吐出装置。
【請求項7】
前記加圧手段は、前記シリンジ部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段を含む、請求項1から6のいずれかに記載の液状材料の吐出装置。
【請求項8】
前記加圧手段は、前記シリンジ部に摺動自在に嵌挿されたピストンと、前記ピストンを駆動する駆動手段とを含む、請求項1から6のいずれかに記載の液状材料の吐出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の液状材料の吐出装置と、
前記吐出装置から吐出された前記液状材料が塗布される塗布対象物を載置する載置部と、
前記吐出装置と前記載置部とを相対的に移動させる移動機構と、
前記塗布対象物に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記塗布対象物の情報に基づいて前記吐出装置および前記移動機構を制御する制御手段とを備えた、液状材料の塗布装置。
【請求項10】
空気中の水分と反応して硬化する液状材料を塗布対象物に塗布する液状材料の塗布方法であって、
シリンジ部内に前記液状材料を充填するステップと、
前記シリンジ部内に前記液状材料の液面上に層を形成することによって前記液状材料の硬化を防止する第1硬化防止液を充填するステップと、
前記第1硬化防止液の液面を加圧して押し下げることにより、前記シリンジ部の下方に位置するノズル部に設けられた吐出口から前記液状材料を吐出させ、これにより前記塗布対象物に前記液状材料を塗布するステップとを備えた、液状材料の塗布方法。
【請求項11】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第1硬化防止液が、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいる、請求項10に記載の液状材料の塗布方法。
【請求項12】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第1硬化防止液が、ノルマルブタノールを主成分として含んでいる、請求項10に記載の液状材料の塗布方法。
【請求項13】
前記シリンジ部に前記液状材料および前記第1硬化防止液を充填した後でかつ前記塗布対象物への前記液状材料の塗布を行なわない待機時において、第2硬化防止液が貯留された貯留部に前記ノズル部を挿し込むことによって前記吐出口を前記第2硬化防止液によって閉塞し、これにより前記液状材料の硬化を防止するステップをさらに備えた、請求項10に記載の液状材料の塗布方法。
【請求項14】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第2硬化防止液が、アルコール、グリコール、芳香族炭化水素、流動パラフィンおよびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を成分に含んでいる、請求項13に記載の液状材料の塗布方法。
【請求項15】
前記液状材料が、シリコン系接着剤またはシアノアクリレート系接着剤であり、
前記第2硬化防止液が、ノルマルブタノールを主成分として含んでいる、請求項13に記載の液状材料の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−125488(P2007−125488A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319738(P2005−319738)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】