説明

液量表示装置、電気湯沸かし器、保温容器、油量計

【課題】 周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識をより一層容易に行うことの可能な液量表示装置を提供する。
【解決手段】 液体(例えば水)3を収容する容器1と、該容器1と連通し前記容器1内の液量(例えば水位)を確認するための液量表示管2と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源4とを有し、前記液量表示管2には、液体3の表面(液面)に浮かび、前記固体光源4からの励起光により励起され前記固体光源4の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む浮き子5が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液量表示装置、電気湯沸かし器、保温容器、油量計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2には、導水パイプの内部に、蛍光塗料を含んだ浮き子を設け、内容器内の湯量は水位表示窓を通して、暗い場所でも浮き子の位置によって見分けることができる電気湯沸かし器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−59660号公報
【特許文献2】特開2002−209745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光塗料のそれ自体の発光は、差程明るいものではなく、特許文献1、特許文献2の電気湯沸かし器では、暗い場所で(周囲が暗い状況下において)浮き子の位置を明確には視認することはできず、従って、例えば視力の低下した人にとっては液量(液面の位置)の認識を容易に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識をより一層容易に行うことの可能な液量表示装置、電気湯沸かし器、保温容器、油量計を提供することを目的としている。
【0006】
さらに、本発明は、液体の温度を簡易的に知ることの可能な液量表示装置、電気湯沸かし器、保温容器、油量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、液体を収容する容器と、該容器と連通し前記容器内の液量を確認するための液量表示管と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源とを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む浮き子が配設されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の液量表示装置において、前記浮き子は、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%以上の蛍光体を少なくとも1種類含み、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%未満の蛍光体を少なくとも1種類含んでいることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする電気湯沸かし器である。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする保温容器である。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする油量計である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、液体を収容する容器と、該容器と連通し前記容器内の液量を確認するための液量表示管と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源とを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む浮き子が配設されているので、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識を従来に比べて容易に行うことことができる。
【0013】
特に、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の液量表示装置において、前記浮き子は、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%以上の蛍光体を少なくとも1種類含み、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%未満の蛍光体を少なくとも1種類含んでいるので、さらに、液体の温度を簡易的に知ることことができる。
【0014】
また、請求項3、4、5記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられているので、周囲が暗い状況下においても、液量(液面の位置)の認識を従来に比べて容易に行うことことができ、さらには、液体の温度を簡易的に知ることもできる。。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の液量表示装置の一構成例を示す図である。
【図2】浮き子の一例を示す図(断面図)である。
【図3】浮き子の他の例を示す図(断面図)である。
【図4】浮き子の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の液量表示装置の一構成例を示す図である。図1を参照すると、本発明の液量表示装置は、液体(例えば水)3を収容する容器1と、該容器1と連通し前記容器1内の液量(例えば水位)を確認するための液量表示管2と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源4とを有し、前記液量表示管2には、液体3の表面(液面)に浮かび、前記固体光源4からの励起光により励起され前記固体光源4の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む浮き子5が配設されている。
【0018】
ここで、液量表示管2は、透明な材料で構成されているのが好ましい。また、図1の例では、液量表示管2には、液量表示管2と容器1との間で液体3の連通を妨げずに浮き子5を液量表示管2内に保持するためのストッパー12が設けられている。具体的に、このストッパー12は、例えばメッシュ状のもので構成されており、この場合、メッシュの粗さは、浮き子5の径よりも小さい(細かい)が、図1の例では、固体光源4からの励起光の浮き子5への光路をできる限り妨げない粗さであるのが好ましい。また、このストッパー12は、例えば、固体光源4からの励起光を透過させる材料(透明材料)で形成されるのが好ましい。なお、図1において、符号11は、液量表示管2と容器1との間(厳密には、液量表示管2のストッパー12から容器1までの間)で液体3の連通させるための連通管であり、連通管11は、図1の例では、少なくとも固体光源4からの励起光が照射する部分については、固体光源4からの励起光を液量表示管2内の浮き子5に向けて透過させる材料(透明材料)で形成されている。
【0019】
また、固体光源4には、紫外光から緑色可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
【0020】
より具体的に、固体光源4には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nm乃至約405nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、浮き子5に含まれる蛍光体としては、波長が約380nm乃至約405nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等が用いられ、黄色蛍光体には、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等が用いられ、緑色蛍光体には、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+等が用いられ、青色蛍光体には、BaMgAl1017:Eu2+等を用いることができる。
【0021】
また、固体光源4には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nm程度の青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、浮き子5に含まれる蛍光体としては、波長が約440nm乃至約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等が用いられ、黄色蛍光体には、YAl12:Ce3+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等が用いられ、緑色蛍光体には、LuAl12:Ce3+、(Lu,Y)Al12:Ce3+、Y(Ga,Al)12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+等を用いることができる。
【0022】
また、浮き子5は、液量表示管2において液体3の表面(液面)に浮かぶように重さが調整されている。浮き子5に使用される材料としては、液体3の比重(液体3が水の場合は、1)よりも小さい比重の材質のものを選択しても良いし、浮き子5の内部に適当な容積の空洞を設け、液体3の表面(液面)に浮かぶよう設計にしても良い。また、浮き子5は、必ずしも球状である必要は無く、円錐状、円柱状、多角形などの形状をとっても良い。また、浮き子5は、これが例えば球状のものである場合、浮き子5の外径は、液量表示管2の内径に対して小さいものである必要がある。
【0023】
また、本発明の液量表示装置が電気湯沸かし器や保温容器などに用いられる場合、浮き子5は、例えば熱湯中で劣化しないことが求められるため、蛍光体が分散される浮き子5の材料には耐熱性の高い材質が適しており、好ましくは、耐熱性が150℃以上の材料が用いられるのが良い。具体的には、蛍光体が分散される浮き子5の材料としては、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの材料が150℃以上で安定であり、好ましい。また、浮き子5の材料としては、上述した組成の蛍光体粉末をSiO、B、Alなどの成分を含むガラス中に分散したものも使用することができる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体を用いても良い。また、浮き子5には、蛍光体セラミックスを用いることもできる。
【0024】
このような構成の液量表示装置では、液量表示管2において液体3の表面(液面)に浮かんでいる浮き子5に、空間的に離れて配置されている固体光源4からの励起光を照射すると、浮き子5に含まれている蛍光体が固体光源4からの励起光により励起されて発光し(蛍光発光し)、この浮き子5の発光により、周囲が暗い状況下においても、液量表示管2において液体3の表面(液面)の位置を容易に視認することができ(視認性を高めることができ)、液量(液面の位置)の認識を従来に比べてより一層容易に行うことができる(例えば視力の低下した人でも液量(液面の位置)の認識を容易に行うことができる)。
【0025】
なお、例えば球状の浮き子5の全面が一様な材質(蛍光体が分散された材料)で覆われている場合には、図1の例では、固体光源4からの励起光は、例えば球状の浮き子5の外面の下半分しか照射せず、浮き子5の外面の下半分しか蛍光の発光がない。
【0026】
浮き子5の全面からの均一な蛍光の発光を得るためには、浮き子5は、固体光源4からの光を吸収し均一に発光することが望ましい。このためには、浮き子5の構造として、例えば図2に断面図で示すように、浮き子5の内部に空洞部7を設け、浮き子5の空洞部7内に固体光源4からの励起光を導入する励起光導入部(光学的部位)6を設けることができる。なお、図2の例では、励起光導入部(光学的部位)6は、浮き子5の重心を励起光導入部6側に移動させる機能(浮き子5の下部に必ず励起光導入部6が来るようにする機能)をも有しており、これにより、浮き子5の空洞部7内に固体光源4からの励起光を導入することができる。図2の例では、励起光導入部6は、浮き子5の重心を励起光導入部6側に移動させる機能(浮き子5の下部に必ず励起光導入部6が来るようにする機能)をも有しているが、例えば図3(断面図)のように、浮き子5の内部に重り8を設け、この重り8に、浮き子5の重心を励起光導入部6側に移動させる機能(浮き子5の下部に必ず励起光導入部6が来るようにする機能)をもたせることもできる。このように、浮き子5の内部に空洞部7を設け、浮き子5の空洞部7内に固体光源4からの励起光を導入する励起光導入部6を設けることにより、浮き子5の内部全面にほぼ均一に励起光を照射することができ、浮き子5の全面をほぼ均一に蛍光発光させることができ、視認性をより一層高めることができる。
【0027】
また、液量表示管2から容器内の液体3を外部に出す構造の場合は、浮き子5を例えば円環状(リング状、ドーナツ形状)のものにして、液体3の流れを妨げないような構造(液体3の流路面積を大きくした構造)をとることもできる。図4(a)、(b)には、浮き子5を円環状(リング状)のものにした構造の一例が示されている。なお、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のA−A線における断面図である。図4(a)、(b)の例では、浮き子5は、内部に空洞部7を有し、また、浮き子5の空洞部7内に固体光源4からの励起光を導入する励起光導入部6を備えている。そして、図4(a)、(b)の例では、浮き子5は、円環状(リング状)のものになっており、特にその中央部において液体3の流れを妨げない流路9が確保された構造(液体3の流路面積を大きくした構造)のものとなっている。浮き子5をこのような構造のものとすることによって、液量表示管2から容器内の液体3を外部に出す際に、浮き子5によって液体3の流れが妨げないようにすることができる。
【0028】
上述したように、浮き子5としては、例えば、透明樹脂に蛍光体粒子を分散した内部に空洞を有する球状のものであって、励起光を導入する励起光導入部(光学的部位)6を有しているものを用いることができる。
【0029】
また、浮き子5としては、例えば、蛍光体ガラスからなる内部に空洞を有する球状のものであって、励起光を導入する励起光導入部(光学的部位)6を有しているものを用いることができる。
【0030】
また、浮き子5としては、例えば、蛍光体セラミックスからなる内部に空洞を有する球状のものであって、励起光を導入する励起光導入部(光学的部位)6を有しているものを用いることができる。
【0031】
ところで、上述した浮き子5は、単一の蛍光体だけを含むものにすることもできるが、温度特性が互いに異なる複数の蛍光体を組み合わせることもでき、この場合には、液体3の温度(容器1内の液体3の温度)に応じて浮き子5の発光色を変えることができて、これにより、液体3の温度を簡易的に知ることができる。
【0032】
すなわち、一般的に蛍光体は周囲の温度が上昇すると、蛍光変換効率が低下する特性を持っており、これを温度消光と言う。蛍光体の温度消光の特性は蛍光体の母体材料や発光中心の元素、結晶欠陥の密度などによって制御することが可能である。
【0033】
一例として、例えば赤色発光のCaAlSiN:Eu2+蛍光体では、室温から100℃に周囲の温度が上昇した場合の蛍光強度維持率(25℃の蛍光強度を100とする)は、代表的なもので約97%である(温度消光率は約3%である)。これに対し、例えば黄色蛍光体の(Sr,Ba)SiO:Eu2+蛍光体では、室温から100℃に周囲の温度が変化した場合の蛍光強度維持率(25℃の蛍光強度を100とする)は、代表的なもので約89%以下である(温度消光率は約11%以上である)。この2種類の蛍光体を、CaAlSiN:Eu2+蛍光体:(Sr,Ba)SiO:Eu2+蛍光体=4:1で配合し、シリコーン樹脂に5wt%の重量比で混合すると、室温での蛍光色度は橙色であるが、100℃での蛍光色度は赤色となり、液体(例えば水)3の温度(例えば湯温)を浮き子5の蛍光発光色で認識することができる。
【0034】
このように、上述した浮き子5は、単一の蛍光体を含むものにすることもできるが、温度特性が互いに異なる複数の蛍光体を組み合わせることもでき、この場合には、液体3の温度(容器内の液体3の温度)に応じて浮き子5の発光色を変えることができて、これにより、液体3の温度を簡易的に知ることができる。
【0035】
浮き子5として、温度特性が互いに異なる複数の蛍光体の組み合わせを色々と調べた結果、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%以上の蛍光体を少なくとも1種類含み、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%未満の蛍光体を少なくとも1種類含んでいるときに、液体3の温度(容器内の液体3の温度)に応じて浮き子5の発光色を変えることができて、これにより、液体(例えば水)3の温度(例えば湯温)を簡易的に知ることができることが確認できた。
【0036】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0037】
(実施例1)
実施例1では、シリコーン樹脂中に赤色に発光するCaAlSiN:Eu2+蛍光体を10wt%、黄色に発光する(Sr,Ba)SiO:Eu2+蛍光体を40wt%の割合で混合し、ドーム状に成型した(2つのドームを作製した)。一方のドームには、中心部分に穴を開け、その部分に透明シリコーン樹脂からなる円錐状の励起光導入部6(図2に示したような励起光導入部6)を形成した。このように作製した2つのドームを向かい合わせで接着し、内部に空洞を有する外径8mmの浮き子5を作製した。そして、内径10mmのガラス管を用意し、浮き子5をこのガラス管の中に入れ、浮き子5が外に出ないようガラス管の両端にメッシュ状のストッパーを取り付けて、液量表示管2とした。この液量表示管2の下部に、波長405nmの励起光を出射する固体光源4(LED素子)を、励起光の光軸が浮き子5の位置に合うように設置した。この実施例1の液量表示装置を、従来の電気湯沸かし器の液量表示管と置き換えて評価した。液量表示管2内の水の温度が室温(25℃の)状態では、浮き子5は黄色(x、y=0.5096、0.4778)に発光した。一方、液量表示管2内の水の温度が約90℃の状態では、浮き子5は橙色(x、y=0.5357、0.4460)に発光した。室内が明るい場合は、浮き子5は蛍光体自体の蛍光色で視認性が高く、薄暮や室内照明が少ない状況では、固体光源4(LED素子)に通電する事で浮き子5自体が発光し、視認性が高まった。また、容器1内の水温が上昇した事を、浮き子5の発光色調で簡易的に確認することができた。
【0038】
(実施例2)
実施例2では、シリコーン樹脂中に赤色に発光するCaAlSiN:Eu2+蛍光体を10wt%、緑色に発光する(Ba,Sr)SiO:Eu2+蛍光体を40wt%の割合で混合し、ドーム状に成型した(2つのドームを作製した)。一方のドームには、中心部分に穴を開け、その部分に透明シリコーン樹脂からなる円錐状の励起光導入部6(図2に示したような励起光導入部6)を形成した。このように作製した2つのドームを向かい合わせで接着し、内部に空洞を有する外径8mmの浮き子5を作製した。そして、内径10mmのガラス管を用意し、浮き子5をこのガラス管の中に入れ、浮き子5が外に出ないようガラス管の両端にメッシュ状のストッパーを取り付けて、液量表示管2とした。この液量表示管2の下部に、波長405nmの励起光を出射する固体光源4(LED素子)を、励起光の光軸が浮き子5の位置に合うように設置した。この実施例2の液量表示装置を、従来の電気湯沸かし器の液量表示管と置き換えて評価した。液量表示管2内の水の温度が室温(25℃の)状態では、浮き子5は緑色(x、y=0.3695、0.5547)に発光した。一方、液量表示管2内の水の温度が約90℃の状態では、浮き子5は黄色(x、y=0.3953、0.5154)に発光した。室内が明るい場合は、浮き子5は蛍光体自体の蛍光色で視認性が高く、薄暮や室内照明が少ない状況では、固体光源4(LED素子)に通電する事で浮き子5自体が発光し、視認性が高まった。また、容器1内の水温が上昇した事を、浮き子5の発光色調で簡易的に確認することができた。
【0039】
これらの実施例1、2からもわかるように、本発明では、例えば電気湯沸かし器の液量表示管2内に、温度特性が互いに異なる複数種類の蛍光体を含む浮き子5を入れ、液量表示管2の水面に浮かべ、この浮き子5を別途用意した固体光源4からの励起光で励起する事で、浮き子5を蛍光発光させて液面の位置を表示し、かつ、蛍光発光色で水温を利用者に知らせることができる。すなわち、従来の電気湯沸かし器の構造から大きな設計変更や、高価な回路を増設する事無く、液面の位置と湯温の状態を表示できる。
【0040】
なお、図1の例では、液量表示管2と容器1との間に連通管11が設けられているが、液量表示管2と容器1との間が連通していれば良く、連通管11は必ずしも設けられていなくともよい(すなわち、液量表示管2と容器1とが直接連通していてもよい)。
【0041】
また、上述の例では、本発明の液量表示装置を電気湯沸かし器に用いる場合について説明したが、本発明の液量表示装置を保温容器(例えばテルモスなどの水筒等)や油量計(燃料タンクやファンヒーターなどの油量計)などに用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電気湯沸かし器、保温容器、燃料タンク、ファンヒーターなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 容器
2 液量表示管
3 液体
4 固体光源
5 浮き子
6 励起光導入部(光学的部位)
7 空洞部
8 重り
9 流路
11 連通管
12 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器と、該容器と連通し前記容器内の液量を確認するための液量表示管と、紫外光から緑色可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源とを有し、前記液量表示管には、液体の表面(液面)に浮かび、前記固体光源からの励起光により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む浮き子が配設されていることを特徴とする液量表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液量表示装置において、前記浮き子は、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%以上の蛍光体を少なくとも1種類含み、室温から90℃に温度が上昇した場合の蛍光強度維持率が90%未満の蛍光体を少なくとも1種類含んでいることを特徴とする液量表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする電気湯沸かし器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする保温容器。
【請求項5】
請求項1記載の液量表示装置が用いられていることを特徴とする油量計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−63167(P2013−63167A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203469(P2011−203469)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】