説明

混合撹拌装置

【課題】 幅広い用途に適用可能な混合撹拌装置を提供すること。
【解決手段】 電動機部にポンプ室部と流体撹拌部とを連動連設して、上記流体撹拌部では複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となし、前記ポンプ室部では上記混合体を吸入して吐出するようにしている。そのため、混合・撹拌して混合体となした複数種類の流体をポンプ室部に吸引して所要の場所に吐出させることができる。この際、複数種類の流体はポンプ室部の上流側に配設した流体撹拌部で堅実に微細化して混合・撹拌した後にポンプ室部に供給することができるため、混合・撹拌効率を良好に確保することができて、幅広い用途に適用可能な混合撹拌装置となすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)を混合・撹拌して、混合体を超微細化かつ均一化することができる混合撹拌装置に関する。かかる混合撹拌装置は、例えば、気体と液体を混合・撹拌した場合には、気体をマイクロレベル(数μm〜数百μm)ないしはサブマイクロレベル(1μm以下)の超微細な気泡となして、この気泡を液体中に混入させた気液混合体(気泡混じりの液体)として供給する超微細気泡発生装置としても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、微細気泡発生装置の一形態として、ターボ形ポンプのポンプ室内に配設した翼車の回転中心に向けて、空気導入パイプの先端開口部を開口させたものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、かかる微細気泡発生装置は、空気導入パイプの先端開口部から翼車に向けて空気を供給することで、供給された空気を翼車が吸い込むと共に、遠心方向へ強く押し出すようにしている。このようにして、空気が翼車により強く押し出される際に、その急激な圧力変化によって空気が微細化されて、液体内に微細な気泡となって均一に混合されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2646442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記した微細気泡発生装置は、負圧の少ない翼車の回転中心に向けて空気を供給するために、翼車による空気の吸い込み効率が良くない。そのため、気泡発生(気泡生成)効率が低いという不具合がある。また、液体と共に圧送される際の急激な圧力変化で空気を微細化することによって、微細な気泡を形成するようにしているが、かかる微細気泡発生装置では、マイクロレベルないしはサブマイクロレベルの気泡は殆ど形成されない。そのため、適用可能な用途が制限されるという不具合がある。
【0005】
そこで、本発明では、例えば、気体と液体を混合・撹拌する場合には、気体を殆どマイクロレベルないしはサブマイクロレベルに超微細化した気泡となして、適用可能な用途範囲の広い超微細気泡発生装置としても使用が可能な混合撹拌装置を提供するものである。ここで、本発明に係る混合撹拌装置を適用可能な用途としては、例えば、農業用水等中の溶存酸素量の増大化処理、水溶性肥料等の溶解処理、汚水や廃液の浄化処理、有機不純物の腐敗防止処理、水生動物の飼育、水耕栽培がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の発明は、電動機部にポンプ室部と流体撹拌部とを連動連設して、上記流体撹拌部では複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となし、前記ポンプ室部では上記混合体を吸入して吐出するようにしている。
【0007】
(2)請求項2記載の発明は、前記流体撹拌部には前記ポンプ室部の吸入口に連通する撹拌室を設けて、同撹拌室内に一対の板状の撹拌体を対面状態に配設し、これら撹拌体の内の少なくとも一方の撹拌体の回転中心部と、前記ポンプ室部に配設した羽根車の回転中心部を、前記電動機部から伸延させた駆動軸に同軸的に取り付けて、これら撹拌体と羽根車とを一体的に回転可能となし、両撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する撹拌流路を形成すると共に、他方の撹拌体の中央部には流入口を形成して、同流入口を介して撹拌流路と上記撹拌室外とを連通させている。
【0008】
(3)請求項3記載の発明は、前記撹拌室の周壁は、前記駆動軸の軸線方向に伸延する筒状に形成すると共に、上記撹拌室の軸線位置は上記駆動軸の軸線位置に対して偏倚させている。
【0009】
(4)請求項4記載の発明は、前記した複数種類の流体は、前記一方の撹拌体の回転により前記流入口から吸入されて、前記撹拌流路内に流入すると共に放射線方向に流動することで混合・撹拌されて、撹拌流路の終端部から混合体として撹拌室内に流出され、上記撹拌室内に流出された混合体は、前記羽根車の回転により吸入口から前記ポンプ室部内に吸入されて、同ポンプ室部内から吐出されるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
(1)請求項1記載の発明では、電動機部にポンプ室部と流体撹拌部とを連動連設して、上記流体撹拌部では複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となし、前記ポンプ室部では上記混合体を吸入して吐出するようにしている。そのため、流体撹拌部で複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となすと共に、この混合体をポンプ室部に吸引して所要の場所に吐出させることができる。この際、複数種類の流体はポンプ室部の上流側に配設した流体撹拌部で堅実に微細化して混合・撹拌した後にポンプ室部に供給することができるため、混合・撹拌効率を良好に確保することができる。しかも、混合体はポンプ室部から吐出される際に急激な圧力変化を受けて、微細化かつ均一化が一層促進される。その結果、幅広い用途に適用可能な混合撹拌装置となすことができる。例えば、気体と液体を混合・撹拌する場合には、気体を殆どマイクロレベルないしはサブマイクロレベルに超微細化した気泡となして、かかる気泡混じりの液体を所要の場所に供給する超微細気泡発生装置となすことができる。また、流体撹拌部とポンプ室部は電動機部に連動連設して一体化させているため、コンパクト化を図ることができると共に運搬性能を向上させることができる。
【0011】
(2)請求項2記載の発明では、前記流体撹拌部には前記ポンプ室部の吸入口に連通する撹拌室を設けて、同撹拌室内に一対の板状の撹拌体を対面状態に配設し、これら撹拌体の内の少なくとも一方の撹拌体の回転中心部と、前記ポンプ室部に配設した羽根車の回転中心部を、前記電動機部から伸延させた駆動軸に同軸的に取り付けて、これら撹拌体と羽根車とを一体的に回転可能となし、両撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する撹拌流路を形成すると共に、他方の撹拌体の中央部には流入口を形成して、同流入口を介して撹拌流路と上記撹拌室外とを連通させている。そのため、前記駆動軸に同軸的に取り付けた少なくとも一方の撹拌体と羽根車を一体的に回転させることで、撹拌室外から流入口を通して撹拌流路内に複数種類の流体を流入させることができる。そして、撹拌流路内を蛇行しながら放射線方向に流動する複数種類の流体には粘性や乱れによりせん断力が生起されて、複数種類の流体がせん断作用を受けることで混合・撹拌される。この際、一方の撹拌体だけを駆動軸に取り付けて一体回転させた場合には、回転しない他方の撹拌体との間で相対的に回転数の差が生じる。そのため、流体には回転方向にもせん断力が生起されて、撹拌流路を流動する流体は、蛇行方向とはせん断方向が異なる回転方向にもせん断作用を受ける。その結果、せん断作用により複数種類の流体の混合・撹拌性能を向上させることができる。例えば、気体や固体はせん断作用により迅速かつ堅実に超微細化(マイクロレベルないしはサブマイクロレベル)することができる。
【0012】
また、一対の撹拌体は、前記駆動軸に両方とも回転中心部を取り付けることで、両方の撹拌体と羽根車を一体的に回転させることもできる。この場合は、撹拌流路を流動する流体は蛇行方向にだけせん断作用を受ける。
【0013】
(3)請求項3記載の発明では、前記撹拌室の周壁は、前記駆動軸の軸線方向に伸延する筒状に形成すると共に、上記撹拌室の軸線位置は上記駆動軸の軸線位置に対して偏倚させている。そのため、前記した撹拌流路の終端部から放射流となって流出された流体は、撹拌室内を旋回流となって旋回流動すると共に、ポンプ室部の羽根車の回転により吸入口からポンプ室部内に吸入されて、所定の場所に吐出される。この際、撹拌室の軸線位置は駆動軸の軸線位置に対して偏倚(偏芯)しているため、撹拌室内を旋回流動する旋回流を乱流となすことができ、混合・撹拌効率を向上させて均一化(均質化)を実現することができる。
【0014】
(4)請求項4記載の発明では、前記した複数種類の流体は、前記一方の撹拌体の回転により前記流入口から吸入されて、前記撹拌流路内に流入すると共に放射線方向に流動することで混合・撹拌されて、撹拌流路の終端部から混合体として撹拌室内に流出され、上記撹拌室内に流出された混合体は、前記羽根車の回転により吸入口から前記ポンプ室部内に吸入されて、同ポンプ室部内から吐出されるようにしている。そのため、流体撹拌部の撹拌室内で複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となす工程から、混合体がポンプ室部から吐出される際に急激な圧力変化を受けて、微細化かつ均一化が一層促進されると共にポンプ室部から搬出される搬出工程への引き継ぎ工程を円滑化することができる。その結果、複数種類の流体を混合体となして搬出するまでの一連の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る撹拌装置としての超微細気泡発生装置の一部切欠説明図。
【図2】駆動軸に取り付けた両撹拌体の正面説明図。
【図3】図1のI-I線方向視の可動側撹拌体の底面説明図。
【図4】図1のII-II線方向視の固定側撹拌体の平面説明図。
【図5】図1のIII-III線方向視の流体撹拌部の断面説明図。
【図6】両撹拌体の基本形態を示す底面説明図。
【図7】図6のIV-IV線断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は、以下の通りである。
【0017】
図1に示すAは本発明に係る混合撹拌装置としての超微細気泡発生装置であり、Bは貯液部である。貯液部Bには水等の液体Cを貯留させて、液体C中に超微細気泡発生装置Aを配置している。Dは貯液部Bの底面部である。なお、貯液部Bは被処理対象となる液体Cを人工的に貯留しているタンク等に限らず、被処理対象となる液体Cが自然に貯留されている湖等も含むものである。
【0018】
超微細気泡発生装置Aは、図1に示すように、電動機部1の下端部にポンプ室部10を連動連設し、同ポンプ室部10の下端部に流体撹拌部20を連動連設して一体的に構成している。ここで、電動機部1とポンプ室部10は非容積式であるターボ形ポンプを構成しており、本実施形態では、いわゆる遠心ポンプで液体C中に配置して使用することも可能な構成としている。
【0019】
このようにして、超微細気泡発生装置Aを被処理対象となる液体C中に配置して、流体撹拌部20で複数種類の流体(本実施形態では液体Cと気体E)を混合・撹拌することで、気体Eが超微細化かつ均一化された混合体(本実施形態では超微細気泡混じりの液体)となすと共に、ポンプ室部10で混合体を吸入して所要の場所に吐出するようにしている。混合体はポンプ室部10から吐出される際に急激な圧力変化を受けて、気体Eの超微細化かつ均一化が一層促進される。
【0020】
前記電動機部1は、図1に示すように、電動機ケース2の下端面部3から上下方向に伸延する駆動軸4を下方へ突出させている。5は電気ケーブルである。
【0021】
前記ポンプ室部10は、電動機ケース2の下端面部3にポンプケース11の上端面部12を連設している。ポンプケース11内には羽根車13を配設すると共に、同羽根車13の中心部は上記駆動軸4の中途部に取り付けている。羽根車13の直下方に位置するポンプケース11の下面部には吸入口14を形成している。ポンプケース11の上面部には吐出口15を形成している。そして、吸入口14と吐出口15をポンプケース11内に形成した吸入路16を介して連通させている。17は吐出口15に接続した搬出ホースである。
【0022】
流体撹拌部20は、ケーシング体21内に撹拌室22を形成して、同撹拌室22内に一方の撹拌体としての可動側撹拌体23と他方の撹拌体としての固定側撹拌体24を配設している。
【0023】
ケーシング体21は、上下方向に軸線を向けた円筒状のケース本体25と、同ケース本体25の上端周縁部に外方へ鍔状に一体成形した連結片26と、同ケース本体25の上端周縁部に内方へ張り出し状に一体成形した天井形成片27とから構成している。天井形成片の中央寄り部分には前記吸入口14と符合する吸入連通口28を形成している。そして、ポンプケース11の下面部にパッキン29を介してケーシング体21の天井形成片27を面接触させて、連結片26を介して連結ボルト30によりポンプケース11にケーシング体21を連通連結している。
【0024】
また、吸入口14と吸入連通口28は上下方向に符合させて、これら吸入口14及び吸入連通口28中に前記駆動軸4を貫通させている。しかも、上記撹拌室22の軸線位置、すなわち、ケース本体25の軸線位置は上記駆動軸4の軸線位置に対して一定幅だけ偏倚させている。本実施形態では、図5に示すように、案内口65の半径の略半分幅だけ偏倚させている。31はパイプ状の流体供給部であり、ケース本体25の下部に先端側供給体32を内方へ突出状に取り付け、同先端側供給体32の基端部に基端側供給体33を連通連結して、同基端側供給体33をケース本体25に沿わせて配管している。なお、本実施形態では流体供給部31からケーシング体21内に酸素や空気等の気体Eを供給するようにしている。34はケース本体25の下部に形成した流入開口部であり、同流入開口部34を通して貯液部B内の液体Cがケーシング体21内に流入するようにしている。
【0025】
駆動軸4の下端部には板状の可動側撹拌体23の回転中心部を前記羽根車13と同軸的に取り付けて、これら羽根車13と可動側撹拌体23を一体的に回転可能となしている。可動側撹拌体23の直下方位置には、図7に示すように、一定間隙t(例えば、1mm前後)を開けて板状の固定側撹拌体24を対面状態に配設している。固定側撹拌体24の中央部には流入口35を形成すると共に、両撹拌体23,24間に中央部の流入口35から放射線方向に形成される撹拌流路36を形成している。
【0026】
撹拌室22は、ケーシング体21と後述する支持体60とで空間を形成すると共に、その空間内で両撹拌体23,24により液体Cと気体Eを混合・撹拌して、混合体としての超微細気泡混じりの液体を生成するようにしている。
【0027】
可動側撹拌体23と固定側撹拌体24について、図2〜図4を参照しながらより具体的に説明する。
【0028】
可動側撹拌体23は、図2及び図3に示すように、一定肉厚の円板状に形成した可動側本体40の下面において、中央部41と一定幅の外周部42を除いて、半径方向及び円周方向に底面視六角形の流路形成用凹部43を整然と密に形成してハニカム形状となしている。ここで、可動側本体40の中央部41は、流路形成用凹部43の下面と面一となす一方、外周部42は、流路形成用凹部43の上面と面一となしている。そして、可動側本体40の上面中心位置には駆動軸挿通孔44を形成すると共に、同可動側本体40の上面に筒状連結片45を上記駆動軸挿通孔44と連通させて一体に連設している。46は筒状連結片45の中途部に横断貫通状に形成したボルト孔、47は固定ボルトであり、駆動軸4の下端部48に筒状連結片45を嵌合させた状態で、ボルト孔46に固定ボルト47を螺着させることで駆動軸4に筒状連結片45を締め付け固定している。
【0029】
固定側撹拌体24は、図2及び図4に示すように、上記した可動側本体40と略同形、すなわち、略同一肉厚、略同一外径に形成した固定側本体50の中央部に流入部としての流入口35を上下方向に貫通させて開口し、同固定側本体50の上面において、一定幅の外周部52を除いて、半径方向及び円周方向に底面視六角形の流路形成用凹部53を整然と密に形成してハニカム形状となしている。なお、流路形成用凹部43,53の形状は底面視六角形に限られるものではない。例えば、半円球凹状に形成することもできる。
【0030】
そして、固定側撹拌体24は、図1及び図5に示すように、ケース本体25に支持体60を介して固定している。すなわち、ケース本体25の内周面中途部に固定片37を内方に向けて張り出し状に、かつ、ケース本体25の内周面に沿わせて形成している。
【0031】
支持体60は、円板状の支持本片61と、同支持本片61に立設した支持筒片62と、同支持筒片62の上端外周面から鍔状に張り出させた連結支持片63とで形成している。支持本片61はケース本体25の内径と略同一径の外径に形成して、上記固定片37の下面に支持本片61の上面を当接させた状態で連結ボルト64により連結している。支持本片61の中途部で前記駆動軸4の軸線と直交する位置には、その軸線を中心とする底面視で円形の案内口65を形成している。上記支持筒片62は内径を案内口65の口径と同一に形成すると共に、同案内口65と符合させて支持本片61の上面に立設している。上記連結支持片63は、固定側本体50の外径と略同一径の外径に形成して、同連結支持片63の上面に固定側撹拌体24を載置して連結ビス66により連結している。そして、固定側撹拌体24の流入口35と支持筒片62の上端開口部67とを符合させている(図2及び図7参照)。
【0032】
両撹拌体23,24に形成した流路形成用凹部43,53同士は、基本形態として、位置ずれさせた状態で対面させている。すなわち、図6に示すように、隣接する三つの流路形成用凹部43の中心部を、対面する一つの流路形成用凹部53の中心部に位置させると共に、隣接する三つの流路形成用凹部53の中心部を、対面する一つの流路形成用凹部43の中心部に位置させて、両流路形成用凹部43,53間にて、被撹拌物である液体Cと気体Eが、一つの流路形成用凹部43(53)から対面する二つの流路形成用凹部53(43)に分流(分散)し、また、二つの流路形成用凹部43(53)から対面する一つの流路形成用凹部53(43)に合流(集合)するように、蛇行しながら放射線方向に流動する撹拌流路36を形成している。そして、可動側撹拌体23の外周部42と、固定側撹拌体24の外周部52との間に、流出部として外周縁にわたって開口する流出口38を形成して、混合・撹拌された混合体が流出口38から流出される。
【0033】
かかる基本形態を有する両撹拌体23,24において、図6及び図7に示すように、可動側撹拌体23は固定側撹拌体24との間に一定間隙tを保った状態で駆動軸4と一体に回転(例えば、平面視で時計廻りに回転)される。そのため、被撹拌物である液体Cと気体Eは、遠心力により中心側の流入口35から周縁側の流出口38に向けて撹拌流路36中を上下方向に蛇行しながら分流(分散)と合流(集合)を繰り返すことで放射線方向に流動されて、周縁部に形成した流出口38から流出される。ここで、蛇行方向に流動される気体Eと液体Cは蛇行方向にせん断作用を受けると共に、可動側撹拌体23の回転方向Xにもせん断作用を受ける。その結果、液体Cと気体Eは、蛇行方向と回転方向Xの合力方向にせん断作用を受けながら流動されることで混合・撹拌されて、液体C中における気体Eの超微細化と均一化が堅実に実現される。
【0034】
このようにして、前記した液体Cと気体Eは、前記可動側撹拌体23の回転により案内口65→支持筒片61→流入口35から吸入されて、撹拌流路36内に流入すると共に放射線方向及び回転方向Xに流動することで混合・撹拌されて、撹拌流路36の終端部である流出口38から混合体として撹拌室22内に流出される。撹拌室22内に流出された混合体は、前記羽根車13の回転により吸入口14から前記ポンプ室部10のポンプケース11内に形成した吸入路16内に吸入されて、同ポンプケース11の吐出口15から吐出され、同吐出口15に接続した搬出ホース17を通して所要の場所に搬出される。
【0035】
上記のように構成した超微細気泡発生装置Aにおいて、次のような構造を適宜組み合わせて増設することもできる。
【0036】
(1)対面状態に配設した前記可動側撹拌体23と固定側撹拌体24は、少なくともいずれか一方を対面方向に進退位置調節自在となして、対面する一定間隙tを調節可能とする。そして、液体Cと混合・撹拌する対象である気体Eや固体の種類に応じて、一定間隙tを適応させることで適切な超微細化と均一化を実現することができる。例えば、図2及び図6に示す筒状連結片45の駆動軸4への上下方向の取付位置を固定ボルト47を介して調節することで、可動側撹拌体23を固定側撹拌体24に対して進退位置調節することができる。また、支持体60のケース本体25への上下方向の取付位置を連結ボルト64を介して調節することで、固定側撹拌体24を可動側撹拌体23に対して進退位置調節することができる。この際、支持体60の支持本片61とケース本体25の固定片37との間に板バネ等の押圧弾性体(図示せず)を介設しておくことで連結ボルト64の締め付け調節を簡易化することができる。
【0037】
(2)複数の撹拌室22を前記駆動軸4の軸線方向に連続させて形成し、各撹拌室22内に一対の撹拌体23,24をそれぞれ配設することもできる。そして、隣接する撹拌室22同士は固定側撹拌体24の中央部に形成した流入口35を介して連通させる。そうすることで、直列的に複数配置した両撹拌体23,24により上流側(撹拌室22外)から下流側(ポンプ室部10の吸入口14側)に向けて順次複数段階にて混合・撹拌することができて、所望の超微細化と均一化(均質化)を実現することができる。
【0038】
(3)支持体の支持筒片の周壁に環流口(図示せず)を形成することで、両撹拌体23,24の流出口38から流出した混合体の一部を環流口を通して支持筒片62内に環流させて、再度撹拌流路36に通して混合・撹拌することができる。その結果、両撹拌体23,24の流出口38から流出した混合体は、一部はポンプ室部10の吸入口14から吸入されると共に、一部は環流口を通して支持筒片62内に環流される。そのため、環流により循環流路が形成されて、混合体の一部は撹拌室22内に一時的に滞留される。そして、一時的な滞留中に混合体の一部が撹拌流路36を繰り返し通過することで、超微細化と均一化が促進される。
【0039】
(4)撹拌室22内には上下方向に伸延する邪魔板(図示せず)を配置して、邪魔板を流出口38から流出されて旋回流となる混合体に作用させることで、混合体を上下方向にも流動する乱流となすこともできる。この場合、混合体の均一化(均質化)が向上する。
【0040】
(5)固定側撹拌体24は、連結支持片63と連結することなく、可動側撹拌体23に前記した基本形態にて連結ビス等により連結することで、両方の撹拌体を一体的に回転可能とすることもできる。この場合、液体Cと気体Eは遠心力により撹拌流路36に沿って上下方向に蛇行しながら放射線方向に流動される。この際、液体Cと気体Eはせん断作用を受けながら流動される。なお、一体的に回転する両撹拌体23,24は、複数の撹拌室22を前記駆動軸4の軸線方向に連続させて形成した場合にも適用することができる。従って、例えば、上段(下流側)の撹拌室22内には可動側撹拌体23と固定側撹拌体24を配置して可動側撹拌体23だけを回転させる一方、下段(上流側)の撹拌室22内には一体的に回転する両撹拌体23,24を配置することもできる。この場合、下段の撹拌室22内で一体的に回転する両撹拌体23,24により気体Eを微細化すると共に、上段の撹拌室22内で可動側撹拌体23だけが回転する両撹拌体23,24により気体Eをさらに撹拌して超微細化することができる。また、上・下段の撹拌室22内にそれぞれ一体的に回転する両撹拌体23,24を配置することもできる。
【0041】
なお、本実施形態では、混合撹拌装置としての超微細気泡発生装置Aについて説明したが、流体供給部31から混合撹拌対象となる気体に代えて液体ないしは粒体や粉体等の固体を適宜供給することで、所要の混合撹拌装置として適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
A 超微細気泡発生装置
B 貯液部
C 液体
D 底面部
E 気体
t 一定間隙
X 回転方向
1 電動機部
10 ポンプ室部
20 流体撹拌部
23 可動側撹拌体
24 固定側撹拌体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機部にポンプ室部と流体撹拌部とを連動連設して、
上記流体撹拌部では複数種類の流体を混合・撹拌して混合体となし、
前記ポンプ室部では上記混合体を吸入して吐出するようにしたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項2】
前記流体撹拌部には前記ポンプ室部の吸入口に連通する撹拌室を設けて、同撹拌室内に一対の板状の撹拌体を対面状態に配設し、これら撹拌体の内の少なくとも一方の撹拌体の回転中心部と、前記ポンプ室部に配設した羽根車の回転中心部を、前記電動機部から伸延させた駆動軸に同軸的に取り付けて、これら撹拌体と羽根車とを一体的に回転可能となし、
両撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する撹拌流路を形成すると共に、他方の撹拌体の中央部には流入口を形成して、同流入口を介して撹拌流路と上記撹拌室外とを連通させたことを特徴とする請求項1記載の混合撹拌装置。
【請求項3】
前記撹拌室の周壁は、前記駆動軸の軸線方向に伸延する筒状に形成すると共に、上記撹拌室の軸線位置は上記駆動軸の軸線位置に対して偏倚させたことを特徴とする請求項2記載の混合撹拌装置。
【請求項4】
前記した複数種類の流体は、前記一方の撹拌体の回転により前記流入口から吸入されて、前記撹拌流路内に流入すると共に放射線方向に流動することで混合・撹拌されて、撹拌流路の終端部から混合体として撹拌室内に流出され、
上記撹拌室内に流出された混合体は、前記羽根車の回転により吸入口から前記ポンプ室部内に吸入されて、同ポンプ室部内から吐出されるようにしたことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項記載の混合撹拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−83659(P2011−83659A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236300(P2009−236300)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】