説明

減圧乾燥装置

【課題】フォトリソグラフィ法によってパターンを形成する際に用いる、減圧乾燥装置にて、搬入動作及び密閉動作中と、開放動作及び搬出動作中での、真空ポンプが減圧処理に寄与しない状態を解消して処理の能力を向上させ、また、急峻な減圧に伴う塗膜への悪影響を抑制し、多様な処理条件を設定できる減圧乾燥装置を提供する。
【解決手段】並列して設けた複数基の減圧乾燥装置で構成され、チャンバー14−1、14−2内を減圧する真空ポンプとして複数基の真空ポンプP1〜P4を備え、複数基の各真空ポンプは、配管6−1〜6−4及びバルブB1〜B8を介して複数基の減圧乾燥装置の各チャンバーに接続されており、各チャンバーに対して、任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板上にパターンを形成する際の技術に関するものであり、特に、フォトリソグラフィ法によってパターンを形成する際に用いる減圧乾燥装置において、排気系の真空ポンプが減圧処理に寄与していない状態を解消し、処理の能力を向上させ、また、急峻な減圧に伴う塗膜への悪影響を抑制し、且つ多様な処理条件を設定することのできる減圧乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上のブラックマトリックスのパターンに位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜、フォトスペーサー、配向制御用突起などを順次に位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
【0003】
ブラックマトリックスは遮光性を有し、カラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックスの形成は、例えば、黒色フォトレジストを用いたフォトリソグラフィ法によって形成するといった方法がとられている。
【0004】
また、着色画素は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタ機能を有するものであり、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させたネガ型のフォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜への露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
また、透明導電膜の形成は、着色画素及びブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0005】
また、フォトスペーサー、及び配向制御用突起などの形成は、上記ブラックマトリックス、或いは着色画素の形成と同様にフォトリソグラフィ法によって形成するといった方法がとられている。
【0006】
これらブラックマトリックスや着色画素をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際には、例えば、先ずガラス基板に対して必要に応じた洗浄処理を施し、続いて塗布装置によるフォトレジストの塗布、加熱装置によるプリベーク処理、露光装置によるパターン露光、現像装置による現像処理、加熱装置によるポストベーク処理が順次に施され、ガラス基板に所定のパターンを形成する。
【0007】
上記フォトレジストの塗布直後は、フォトレジストの塗膜は乾燥していないために流動性があり、次工程へ基板を搬送した場合には、搬送中に塗膜の膜厚が変化し易く膜厚にムラを発生させることがある。
また、次工程への基板の搬送中に浮遊しているパーティクルなどが付着し易く不良品を発生させることがある。
【0008】
また、上記プリベーク処理においては、フォトレジストの塗膜の乾燥が不十分な状態から急峻に加熱処理をした場合には、ガラス基板を固定する固定ピンや基板を昇降させる昇降ピンと、ガラス基板との接触跡が現像処理後のガラス基板に現れることがある。この現
象は、昇降ピン等と接触した部分と接触しない部分とでガラス基板の熱履歴が異なることが原因となっている。
【0009】
このような、塗膜の膜厚の変化を防止し、パーティクルなどの付着を防止し、また、昇降ピン等の接触跡を防止するために、塗布直後の塗膜に対し減圧乾燥処理が行われる。減圧乾燥処理は、塗膜中の溶剤を半ば蒸発させる、言わば、予備的な乾燥処理である。
【0010】
図1は、減圧乾燥処理に用いられる減圧乾燥装置の一例の概略を示す平面図である。また、図2は、図1のX−X線における断面図である。
図1及び図2に示すように、一例として示すこの減圧乾燥装置は、下部筐体(2A)、上部筐体(2B)、定盤(3)、天板(4)で構成されている。下部筐体(2A)に上部筐体(2B)を冠着することにより内部は密閉されたチャンバーとなる。上部筐体(2B)の上面部には排気口(5)が複数個設けられている。
【0011】
排気口(5)には排気する配管(6)が接続されており、配管(6)は真空ポンプ(図示せず)に連なっている。真空ポンプの作動によって密閉されたチャンバー内の空気が排気されチャンバー内が減圧されるようになっている。
定盤(3)へのガラス基板(1)の搬入及び搬出は、例えば、ロボットハンド(フォーク)によって行われ、白太矢印で示すように、上部筐体(2B)はその都度に昇降する。天板(4)及び配管(6)は上部筐体(2B)と一体的に上下に昇降するようになっている。
【0012】
ガラス基板の大型化に伴い、上部筐体(2B)を昇降させる機構は大掛かりなものとなるので、下部筐体(2A)を昇降させる型式や、筐体の側面部にシャッタを設け、ガラス基板の搬入及び搬出の際にはシャッタを開閉させる型式のチャンバーも考案されている。図2は、フォトレジストが塗布された直後のガラス基板(1)が定盤(3)上に載置され、排気が行われている状態を示したものである。矢印は排気の流線を表しており、この排気によって塗膜中の溶剤を半ば蒸発させ、予備的な乾燥が施される。
【0013】
図3は、ブラックマトリックスや着色画素をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際の、製造ラインの一例の概略を示す平面図である。図3に示すように、この一例に示す製造ラインは、洗浄装置(11)、ガラス基板の振り分け装置(12)、第一塗布装置(13−1)、第二塗布装置(13−2)、第一減圧乾燥装置(14−1)、第二減圧乾燥装置(14−2)、ガラス基板の振り戻し装置(15)、プリベーク処理を行う第一加熱装置(16)、露光装置(17)、現像装置(18)、ポストベーク処理を行う第二加熱装置(19)で構成されている。
【0014】
製造ラインを構成する各装置は連結されており、白太矢印で示すように、図3中、左方の洗浄装置(11)に搬入されたガラス基板には洗浄処理〜ポストベーク処理が順次に施され、ガラス基板上に所定のパターンが形成される。
【0015】
図3に示す例は、第一塗布装置(13−1)と第一減圧乾燥装置(14−1)、及び第二塗布装置(13−2)と第二減圧乾燥装置(14−2)が並列に設けられた例である。洗浄装置(11)から順次に搬出されたガラス基板は、振り分け装置(12)によって第一塗布装置(13−1)又は第二塗布装置(13−2)へ交互に搬入される。ガラス基板は、減圧処理後に第一減圧乾燥装置(14−1)又は第二減圧乾燥装置(14−2)から交互に搬出され、振り戻し装置(15)によって第一加熱装置(16)へ順次に搬入される。
第一塗布装置(13−1)と第二塗布装置(13−2)は、同一の性能を有したものであり、また第一減圧乾燥装置(14−1)と第二減圧乾燥装置(14−2)は、同一の性能
を有したものである。
【0016】
例えば、1枚のガラス基板にフォトレジストを塗布するのに要する、1基の塗布装置の所要時間が、製造ラインを構成する他の装置が各々の処理を行うのに要する所要時間よりも、かなり長い場合には、その塗布装置が製造ラインの処理能力を律することになるので、その所要時間差に応じ塗布装置の複数基を並列に配置し、製造ラインの処理能力を確保することにしている。
図3は、塗布装置の2基を並列に配置した例である。減圧処理は塗布直後に行われるので、塗布装置に付随して、第一塗布装置(13−1)の直後に第一減圧乾燥装置(14−1)が設けられ、また第二塗布装置(13−2)の直後に第二減圧乾燥装置(14−2)が設けられている。
【0017】
図4及び図5は、図3に示す並列に配置された第一減圧乾燥装置(14−1)及び第二減圧乾燥装置(14−2)の、密閉されたチャンバー内の空気を排気する排気系の二例の概略の説明図である。符号(14−1)、(14−2)は、図3に示す第一減圧乾燥装置及び第二減圧乾燥装置であるが、図4及び図5においては、密閉された第一チャンバー及び第二チャンバーを表している。
【0018】
図4は、1基のチャンバーに対し、1基の真空ポンプが設けられている例である。図4に示すように、第一チャンバー(14−1)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)、第一配管(6−1)、第一バルブ(B1)で構成され、第一チャンバー(14−1)は第一バルブ(B1)を介し第一配管(6−1)により第一真空ポンプ(P1)に接続されている。第一真空ポンプ(P1)を作動させ、第一バルブ(B1)を開状態にすることにより第一チャンバー(14−1)内が減圧される。
【0019】
第二チャンバー(14−2)の排気系は、第二真空ポンプ(P2)、第二配管(6−2)、第二バルブ(B2)で構成され、第二チャンバー(14−2)は第二バルブ(B2)を介し第二配管(6−2)により第二真空ポンプ(P2)に接続されている。第一真空ポンプ(P1)と第二真空ポンプ(P2)は、同一の性能を有したものである。つまり、各チャンバーは同一の独立した排気系を有している。
【0020】
また、図5は、1基のチャンバーに対し、2基の真空ポンプが設けられている例である。図5に示すように、第一チャンバー(14−1)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)と第一配管(6−1)、第四真空ポンプ(P4)と第四配管(6−4)、及び第一バルブ(B1)で構成されている。第一チャンバー(14−1)は、第一バルブ(B1)を介し第一配管(6−1)により第一真空ポンプ(P1)に接続され、また第一バルブ(B1)を介し第四配管(6−4)により第四真空ポンプ(P4)に接続されている。第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)を作動させ、第一バルブ(B1)を開状態にすることにより第一チャンバー(14−1)内が減圧される。
【0021】
第二チャンバー(14−2)の排気系は、第二真空ポンプ(P2)と第二配管(6−2)、第三真空ポンプ(P3)と第三配管(6−3)、及び第二バルブ(B2)で構成されている。第二チャンバー(14−2)は、第二バルブ(B2)を介し第二配管(6−2)により第二真空ポンプ(P2)に接続され、また第二バルブ(B2)を介し第三配管(6−3)により第三真空ポンプ(P3)に接続されている。第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)は、同一の性能を有したものである。つまり、各チャンバーは同一の独立した排気系を有しており、排気量は図4に示す排気系の2倍のものである。
【0022】
一般に、真空ポンプは、その起動に時間を要することからして、排気系のバルブの開状態、閉状態にかかわらず、常に運転状態に保たれている。従って、実際の減圧乾燥処理に
ては、図4における第一チャンバー(14−1)へのガラス基板の搬入動作中及び密閉動作中と、開放動作中及びガラス基板の搬出動作中は、第一チャンバー(14−1)に接続している第一真空ポンプ(P1)は、運転状態にあるが減圧処理には寄与していないことになる。
また、図4における第二チャンバー(14−2)においても同様である。
【0023】
このことは、図5に示すチャンバーと真空ポンプにおいても同様に、ガラス基板の搬入動作中及び密閉動作中と、開放動作中及びガラス基板の搬出動作中は、真空ポンプは、運転状態にあるが減圧処理には寄与していない状態にある。
【0024】
一方、減圧乾燥装置を用いた乾燥処理においては、急峻な減圧を行うと、溶剤の急激な蒸発によって、例えば、塗膜の表面にピンホールが発生することがある。このような塗膜への悪影響を抑制するために、溶剤の種類、塗膜の膜厚などに応じ、適宜に減圧条件を設定した減圧処理を施している。
【0025】
このような塗膜への悪影響を抑制する手法としては、例えば、減圧処理の初期には緩慢な減圧を行うといった手法が考案されているが、図4、図5に示すような、1基のチャンバーに対し、真空ポンプの基数が固定されている排気系では、適用することは困難である。つまり、多様な処理条件を設定するといった柔軟性に欠けたものといえる。
【特許文献1】特開2006−19472号公報
【特許文献2】特開2001−269607号公報
【特許文献3】特開平10−233599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものあり、ガラス基板上にフォトリソグラフィ法によってパターンを形成する際に用いる、複数基が並列に設けられた減圧乾燥装置において、チャンバーへのガラス基板の搬入動作中及び密閉動作中と、開放動作中及びガラス基板の搬出動作中には、真空ポンプが減圧処理に寄与していない状態を解消し、減圧乾燥処理の能力を向上させることができ、また、急峻な減圧に伴う塗膜への悪影響を抑制し、且つ多様な処理条件を設定することのできる減圧乾燥装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、ガラス基板上にフォトリソグラフィ法によってパターンを形成する際に用いる減圧乾燥装置において、
1)前記減圧乾燥装置は、並列して設けた複数基の減圧乾燥装置で構成され、該複数基の減圧乾燥装置のチャンバー内を排気によって減圧する真空ポンプとして、複数基の真空ポンプを備え、
2)該複数基の各真空ポンプは、配管及びバルブを介して複数基の減圧乾燥装置の各チャンバーに接続されており、
3)各チャンバーに対して、任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えることを特徴とする減圧乾燥装置である。
【0028】
また、本発明は、上記発明による減圧乾燥装置において、前記並列して設けた複数基の減圧乾燥装置が2基以上で、複数基の真空ポンプが4基以上であることを特徴とする減圧乾燥装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、並列して設けた複数基の減圧乾燥装置で構成され、複数基の減圧乾燥装置のチャンバー内を排気によって減圧する真空ポンプとして、複数基の真空ポンプを備え、複数基の各真空ポンプは、配管及びバルブを介して複数基の減圧乾燥装置の各チャンバーに接続されており、各チャンバーに対して、任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行える減圧乾燥装置であるので、複数基が並列に設けられた減圧乾燥装置において、チャンバーへのガラス基板の搬入動作及び密閉動作中と、開放動作及びガラス基板の搬出動作中での、真空ポンプが減圧処理に寄与していない状態を解消し、減圧乾燥処理の能力を向上させることができ、また、急峻な減圧に伴う塗膜への悪影響を抑制し、且つ多様な処理条件を設定することのできる減圧乾燥装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図6は、本発明による減圧乾燥装置の一実施例の概略を示す説明図である。図6は、並列して設けられた2基の減圧乾燥装置で構成され、2基の真空ポンプが備えられている例である。2基の減圧乾燥装置は同一の性能を有したものであり、また2基の真空ポンプは同一の性能を有したものである。
【0031】
符号(14−1)は、第一減圧乾燥装置の第一チャンバーを表しており、また、符号(14−2)は、第二減圧乾燥装置の第二チャンバーを表している。図6に示す排気系は、前記図4に示す排気系に対し、第一真空ポンプ(P1)と第一バルブ(B1)間の第一配管(6−1)と、第二真空ポンプ(P2)と第二バルブ(B2)間の第二配管(6−2)を第三バルブ(B3)を介して接続したものである。
【0032】
図6に示すように、第一チャンバー(14−1)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)、第二真空ポンプ(P2)、第一配管(6−1)、第二配管(6−2)、第一バルブ(B1)、及び第三バルブ(B3)で構成されている。第一バルブ(B1)〜第三バルブ(B3)の全てを閉状態とし、第一真空ポンプ(P1)及び第二真空ポンプ(P2)を作動させた後、第一バルブ(B1)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)の1基の真空ポンプにより減圧される。
【0033】
次に、第一バルブ(B1)を開状態のままに、第三バルブ(B3)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)及び第二真空ポンプ(P2)の2基の真空ポンプにより減圧されることになる。
【0034】
また、第二チャンバー(14−2)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)、第二真空ポンプ(P2)、第一配管(6−1)、第二配管(6−2)、第二バルブ(B2)、及び第三バルブ(B3)で構成されている。第一バルブ(B1)〜第三バルブ(B3)の全てを閉状態とし、第一真空ポンプ(P1)及び第二真空ポンプ(P2)を作動させた後、第二バルブ(B2)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−2)内は、第二真空ポンプ(P2)の1基の真空ポンプにより減圧される。
【0035】
次に、第二バルブ(B2)を開状態のままに、第三バルブ(B3)を開状態にすることにより、第二チャンバー(14−2)内は、第一真空ポンプ(P1)及び第二真空ポンプ(P2)の2基の真空ポンプにより減圧されることになる。
【0036】
すなわち、並列して設けられた2基のチャンバーに、ガラス基板が交互に搬入され、減圧処理が施される際に、前記図4に示す排気系においては、一方のチャンバーへの搬入動作中及び密閉動作中と、開放動作中及び搬出動作中は、その一方の真空ポンプを他方のチ
ャンバーの減圧に寄与させることが出来なかったが、上記のように、図6に示す排気系においては、その一方の真空ポンプを他方のチャンバーの減圧に寄与させることが可能となる。
【0037】
これにより、減圧処理の時間が短縮され、減圧乾燥装置の能力を向上させることが出来るものとなる。また、例えば、減圧処理の初期には緩慢な減圧を行い、中期以降に急速な減圧を行うことも可能なものとなる。さらには、第一真空ポンプ(P1)と第二真空ポンプ(P2)の組み合わせにより、多様な処理条件の一端を設定することが可能なものとなる。
【0038】
図7は、本発明による減圧乾燥装置の他の例の概略を示す説明図である。図7は、並列して設けられた2基の減圧乾燥装置で構成され、4基の真空ポンプが備えられている例である。2基の減圧乾燥装置は同一の性能を有したものであり、また4基の真空ポンプは同一の性能を有したものである。
【0039】
図7に示す排気系は、前記図5に示す排気系に対し、a)第一配管(6−1)と第二配管(6−2)を第三バルブ(B3)を介して接続し、また第三配管(6−3)と第四配管(6−4)を第四バルブ(B4)を介して接続し、
b)第一真空ポンプ(P1)と第一バルブ(B1)の間に第五バルブ(B5)を設け、また第四真空ポンプ(P4)と第一バルブ(B1)の間に第六バルブ(B6)を設け、
c)第二真空ポンプ(P2)と第二バルブ(B2)の間に第七バルブ(B7)を設け、また第三真空ポンプ(P3)と第二バルブ(B2)の間に第八バルブ(B8)を設けたものである。
これにより、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の全ての真空ポンプは、配管及びバルブを介して第一チャンバー(14−1)及び第二チャンバー(14−2)に接続されているものとなる。
【0040】
図7に示すように、第一チャンバー(14−1)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)、第一配管(6−1)〜第四配管(6−4)、第一バルブ(B1)、第三バルブ(B3)〜第六バルブ(B6)で構成されている。第一バルブ(B1)〜第八バルブ(B8)の全てを閉状態とし、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の全てを作動させた後、例えば、第一バルブ(B1)及び第五バルブ(B5)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)の1基の真空ポンプにより減圧される。
【0041】
次に、第一バルブ(B1)及び第五バルブ(B5)を開状態のままに、例えば、第六バルブ(B6)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)の2基の真空ポンプにより減圧される。
【0042】
続いて、第一バルブ(B1)、第五バルブ(B5)、及び第六バルブ(B6)を開状態のままに、例えば、第三バルブ(B3)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)、第四真空ポンプ(P4)、及び第二真空ポンプ(P2)の3基の真空ポンプにより減圧される。
【0043】
更に、第一バルブ(B1)、第五バルブ(B5)、第六バルブ(B6)、及び第三バルブ(B3)を開状態のままに、第四バルブ(B4)を開状態にすることにより、第一チャンバー(14−1)内は、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の全ての真空ポンプにより減圧される。
すなわち、第一チャンバー(14−1)に対し、任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えるものとなる。
【0044】
また、第二チャンバー(14−2)の排気系は、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)、第一配管(6−1)〜第四配管(6−4)、第二バルブ(B2)〜第四バルブ(B4)、第七バルブ(B7)、第八バルブ(B8)で構成されている。第一バルブ(B1)〜第八バルブ(B8)の全てを閉状態とし、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の全てを作動させた後、例えば、先ず、第二バルブ(B2)と第七バルブ(B7)、次に第八バルブ(B8)、続いて第三バルブ(B3)、更に第四バルブ(B4)を順次に開状態にすることにより、順次に開状態にした段階毎に、第一チャンバー(14−1)の場合と同様に、第二チャンバー(14−2)に対し、1基〜4基の任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えるものとなる。
【0045】
すなわち、第一バルブ(B1)〜第八バルブ(B8)を選択的に開状態、閉状態とすることによって、第一チャンバー(14−1)又は第二チャンバー(14−2)に対し、1基〜4基の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えるものとなる。また、減圧処理中もこれらのバルブを任意に開閉状態にすることが出来るようにすることによって、塗膜の乾燥条件を柔軟に調整することが可能となる。
【0046】
図8は、図7に示す、本発明による減圧乾燥装置を生産に適用した際の動作を表したタイムチャートである。
チャンバーにガラス基板が搬入される、搬入動作及び密閉動作(D1)の所要時間を20秒、チャンバー内での減圧処理(D2)の所要時間を60秒、開放動作及び搬出動作(D3)の所要時間を20秒とし、1枚のガラス基板に行う減圧乾燥処理の1サイクルを計100秒と設定した。
【0047】
図8中、横軸は、減圧乾燥処理の開始からの経過時間(秒)を表し、1目盛りは10秒である。図8の上段は、第一減圧乾燥装置(第一チャンバー)(14−1)の動作を表し、また、下段は、第二減圧乾燥装置(第二チャンバー)(14−2)の動作を表している。
【0048】
1枚目のガラス基板は第一チャンバー(14−1)に搬入され、2枚目のガラス基板は第二チャンバー(14−2)に搬入される。以降、交互に第一チャンバー(14−1)又は第二チャンバー(14−2)に搬入される。すなわち、奇数枚目のガラス基板は第一チャンバー(14−1)に、また、偶数枚目のガラス基板は第二チャンバー(14−2)に搬入される。
【0049】
1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理のサイクル(100秒)を符号(C1)で表し、2枚目〜4枚目のガラス基板への減圧乾燥処理のサイクル(100秒)を符号(C2)〜(C4)で表している。
順次に搬入されるガラス基板にて、次のガラス基板は、前のガラス基板に対し、1/2サイクル(50秒)ずれて搬入されるようにしてある。例えば、符号(a)と(d)、符号(d)と(g)。 尚、2基の減圧乾燥装置は同一の性能を有したものであり、また4基の真空ポンプは同一の性能を有したものである。
【0050】
また、チャンバー内での減圧処理(D2)の所要時間は60秒であるが、その内訳は、a)減圧処理の初期における、2基の真空ポンプを用いた減圧処理を10秒(図8中、符号(b)〜(c)間、符号(×2))、b)中期における、4基の真空ポンプを用いた減圧処理を40秒(図8中、符号(c)〜(e)間、符号(×4))、c)終期における、2基の真空ポンプを用いた減圧処理を10秒(図8中、符号(e)〜(f)間、符号(×2))と設定した。
【0051】
先ず、第一チャンバー(14−1)についてみると、1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理は、符号(a)〜(g)で示す間の100秒であり、これが減圧乾燥処理のサイクル(C1)である。減圧乾燥処理の動作は、搬入動作及び密閉動作(D1)、減圧処理(D2)、開放動作及び搬出動作(D3)の順となる。
1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理が終了すると(符号(g))、3枚目のガラス基板が搬入され、1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理と同一の処理が施される。減圧処理(D2)は、上記のように、a)2基の真空ポンプを用いた減圧処理を10秒、b)4基の真空ポンプを用いた減圧処理を40秒、c)2基の真空ポンプを用いた減圧処理を10秒である。
【0052】
次に、第二チャンバー(14−2)についてみると、2枚目のガラス基板は、1枚目のガラス基板に対し1/2サイクル(50秒)ずれて搬入される(符号(d))。減圧乾燥処理の動作は、1枚目のガラス基板への動作と同一であり、また、減圧処理(D2)も1枚目のガラス基板への処理と同一である。
【0053】
ここで、第一チャンバー(14−1)と第二チャンバー(14−2)についてみると、符号(c)〜(e)間は、1枚目のガラス基板の減圧処理の中期であり、4基の真空ポンプが減圧に用いられている。符号(c)〜(d)間は、2枚目のガラス基板が未だ搬入されておらず、また、符号(d)〜(e)間は、2枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)のため4基の真空ポンプを減圧に用いることができる。
【0054】
また、符号(e)〜(f)間は、1枚目のガラス基板の減圧処理の終期であり、2基の真空ポンプが減圧に用いられている。この符号(e)〜(f)間は、2枚目のガラス基板の減圧処理の初期であり、残る2基の真空ポンプが2枚目のガラス基板の減圧に用いられている。
また、符号(f)〜(h)間は、2枚目のガラス基板の減圧処理の中期であり、4基の真空ポンプが減圧に用いられている。符号(f)〜(h)間は、1枚目のガラス基板の開放動作及び搬出動作(D3)、及び3枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)のため4基の真空ポンプを第二チャンバー(14−2)の減圧に用いることができる。
【0055】
以降、同様にして、4基の真空ポンプの全てを第一チャンバー又は第二チャンバーの中期での減圧処理に用い、或いは、各2基の真空ポンプを両チャンバーの初期又は終期での減圧処理に用いる。
これにより、チャンバーへのガラス基板の搬入動作及び密閉動作と、開放動作及び搬出動作中での、真空ポンプが減圧処理に寄与していない状態は解消され、減圧乾燥処理の能力を向上させることができるものとなる。
【0056】
次に、図7及び図8をもとにバルブの操作について説明を加える。
先ず、第一チャンバー(14−1)へ1枚目のガラス基板の搬入が開始され(符号(a))、搬入動作及び密閉動作(D1)が完了する(符号(b))。この時点で、第五バルブ(B5)、第六バルブ(B6)、及び第一バルブ(B1)を開き、第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)の2基の真空ポンプで第一チャンバー(14−1)に対する初期の減圧を開始する(符号(b))。
【0057】
上記2基の真空ポンプによる減圧開始から、10秒(t1)経過後(符号(c)に、更に、第三バルブ(B3)及び第四バルブ(B4)を開き、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の真空ポンプで第一チャンバー(14−1)に対する中期の減圧を開始する(符号(c))。この時点では、第二チャンバー(14−2)へは2枚目のガラス基板は搬入されておらず、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の全
ての真空ポンプを第一チャンバー(14−1)に対する減圧に用いることができる。
【0058】
第一チャンバー(14−1)での減圧開始から、30秒(t2)経過後(符号(d))の時点で、すなわち、1枚目のガラス基板の搬入から1/2サイクル(50秒)ずれた時点で、2枚目のガラス基板の第二チャンバー(14−2)への搬入が開始される。この2枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)は、搬入開始(符号(d))から20秒(t5)経過後(符号(e))に終了する。
【0059】
この時点は、第一チャンバー(14−1)での減圧開始から、50秒(t3)経過した時点であり、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の真空ポンプを用いた中期の減圧に終了する。符号(d)〜(e)間は2枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)であるので、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の全ての真空ポンプを第一チャンバー(14−1)に対する減圧に用いることができる。
【0060】
符号(e)の時点で、第一チャンバー(14−1)での減圧を2基の真空ポンプを用いた、後期の減圧に切り換える。すなわち、第三バルブ(B3)及び第四バルブ(B4)を閉じ、第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)の2基の真空ポンプで第一チャンバー(14−1)に対する後期の減圧を開始する(符号(e))。
【0061】

同時に、この時点で、第七バルブ(B7)、第八バルブ(B8)、及び第二バルブ(B2)を開き、第二真空ポンプ(P2)及び第三真空ポンプ(P3)の2基の真空ポンプで第二チャンバー(14−2)に対する初期の減圧を開始する(符号(e))。
【0062】
第一チャンバー(14−1)に対する、第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)の2基の真空ポンプによる後期の減圧は、10秒経過した時点(減圧開始から60秒(t4)経過)で終了する(符号(f))。すなわち、第五バルブ(B5)、第六バルブ(B6)、及び第一バルブ(B1)を閉じる。これにより、第一チャンバー(14−1)での1枚目のガラス基板の減圧処理は全て終了する。
【0063】
一方、この符号(f)で示す時点は、2枚目のガラス基板では、第二真空ポンプ(P2)及び第三真空ポンプ(P3)の2基の真空ポンプによる初期の減圧の開始から10秒経過した時点であるので、第三バルブ(B3)及び第四バルブ(B4)を開き、第二チャンバー(14−2)に対し、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の真空ポンプを用いた中期の減圧を開始する。
符号(f)〜(h)間は、第二チャンバー(14−2)に対する中期の減圧が行われる。この間、第一チャンバー(14−1)は、1枚目のガラス基板の開放動作及び搬出動作(D3)、及び3枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)のため4基の真空ポンプを第二チャンバー(14−2)の減圧に用いることができる。
【0064】
符号(h)で示す時点は、第二チャンバー(14−2)に対する第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の真空ポンプを用いた中期の減圧を終了する時点であり、第三バルブ(B3)及び第四バルブ(B4)を閉じ、第二真空ポンプ(P2)及び第三真空ポンプ(P3)の2基の真空ポンプによる後期の減圧とする。また、この時点で、同時に、第五バルブ(B5)、第六バルブ(B6)、及び第一バルブ(B1)を開き、第一真空ポンプ(P1)及び第四真空ポンプ(P4)の2基の真空ポンプによる第一チャンバー(14−1)に対する初期の減圧を開始する(符号(h))。
【0065】
第二チャンバー(14−2)に対する、第二真空ポンプ(P2)及び第三真空ポンプ(P3)の2基の真空ポンプによる後期の減圧は、10秒経過した時点(符号(i))で終了する。すなわち、第七バルブ(B7)、第八バルブ(B8)、及び第二バルブ(B2)を閉じる。これにより、第二チャンバー(14−2)での2枚目のガラス基板の減圧処理は全て終了する。
【0066】
また、符号(i)の時点では、同時に、第一チャンバー(14−1)における3枚目のガラス基板に対する中期の減圧を開始する。すなわち、第三バルブ(B3)及び第四バルブ(B4)を開け、第一真空ポンプ(P1)〜第四真空ポンプ(P4)の4基の真空ポンプを用いた中期の減圧を開始する。
以降、同様にして、第一チャンバー(14−1)に対しては、奇数枚目のガラス基板に対する減圧乾燥処理が行われ、第二チャンバー(14−2)に対しては、偶数枚目のガラス基板に対する減圧乾燥処理が行われる。
【0067】
尚、第一バルブ(B1)及び第二バルブ(B2)は、配管容積などが問題となる場合に、各チャンバーの直近に設けるが、機能上、基本的には除外することも可能である。上記の説明では、4基の真空ポンプを、各2基と4基に切り換えて用いているが、4基の真空ポンプは、1基と3基に振り替えることも可能である。
【0068】
また、減圧乾燥処理では、第五バルブ(B5)及び第七バルブ(B7)と並列にオリフィスの小さいバルブなどを設け、減圧処理の初期にのみ使用し急峻な減圧による塗膜への悪影響を抑止する機構(スロー排気)が知られているが、本発明においては、減圧処理の初期に、例えば、1基のみを用いた減圧にすることにより、同様の機能を達成することができる。
また、上記では、2基のチャンバー、4基の真空ポンプを例に説明したが、3基以上のチャンバー、5基以上のの真空ポンプにても同様の効を奏する。
【0069】
図9は、前記図5に示す排気系を有する減圧乾燥装置を生産に適用した際の動作を表したタイムチャートである。
図5に示す減圧乾燥装置は、並列に設けられた2基のチャンバーに4基の真空ポンプが備えられたものであるが、各1基のチャンバーに対し各2基の真空ポンプが固定して接続されている。
【0070】
チャンバーにガラス基板が搬入される、搬入動作及び密閉動作(D1)の所要時間を20秒、チャンバー内での減圧処理(D2)の所要時間を60秒、開放動作及び搬出動作(D3)の所要時間を20秒とし、1枚のガラス基板に行う減圧乾燥処理の1サイクルを計100秒と設定した。
また、チャンバー内での減圧処理(D2)の所要時間は60秒であるが、その減圧処理の初期〜終期において、2基の真空ポンプを用いた均一な減圧(図9中、符号(b)〜(e)間、符号(×2))と設定した。
【0071】
先ず、第一チャンバー(14−1)についてみると、1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理は、符号(a)〜(f)で示す間の100秒であり、これが減圧乾燥処理のサイクル(C1)である。減圧乾燥処理の動作は、搬入動作及び密閉動作(D1)、減圧処理(D2)、開放動作及び搬出動作(D3)の順となる。
1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理が終了すると(符号(f))、3枚目のガラス基板が搬入され、1枚目のガラス基板への減圧乾燥処理と同一の処理が施される。
【0072】
次に、第二チャンバー(14−2)についてみると、2枚目のガラス基板は、1枚目のガラス基板に対し1/2サイクル(50秒)ずれて搬入される(符号(c))。減圧乾燥処理の動作は、1枚目のガラス基板への動作と同一であり、また、減圧処理(D2)も1枚目のガラス基板への処理と同一である。
【0073】
次に、第一チャンバー(14−1)と第二チャンバー(14−2)についてみると、符号(d)〜(e)間、及び符号(g)〜(h)間は、共に減圧を行っているが、これは、固定して設けられている各2基の真空ポンプが各チャンバーに対して用いている状態である。
また、符号(e)〜(g)間は、1枚目のガラス基板の開放動作及び搬出動作(D3)、及び3枚目のガラス基板の搬入動作及び密閉動作(D1)であり、第一チャンバー(14−1)の2基の真空ポンプは減圧に寄与してない。また、この2基の真空ポンプはバルブを介して第二チャンバー(14−2)に接続されてはいない。
【0074】
ここで、減圧処理(D2)での1基のチャンバーの減圧量を、例えば、真空ポンプの基数と処理時間の積と設定すると、図9に示す減圧量は、2基×60秒=120基・秒となる。
一方、図8に示す、本発明による減圧乾燥装置における1基のチャンバーの減圧量は、(2基×10秒)+(4基×40秒)+(2基×10秒)=200基・秒である。すなわち、4基の真空ポンプをバルブを介してチャンバーに接続し、チャンバーの減圧に有効に用いることによって、200/120≒1.7倍といった大幅な減圧量の増となる。
【0075】
従って、本発明による減圧乾燥装置によって、図9に示す減圧量(120基・秒)と同量の減圧量を達成するには、例えば、減圧処理の初期には2基の真空ポンプで10秒、中期には2基の真空ポンプで20秒、終期には2基の真空ポンプで10秒、((2×10)+(4×20)+(2×10)=120)でよいこと、すなわち、減圧処理は40秒となる。
これにより、減圧乾燥処理の1サイクルは、図8に示す100秒が80秒へと大幅に短縮されたものとなる。また、急峻な減圧に伴う塗膜への悪影響を抑制することが容易なものとなり、且つ多様な処理条件を設定することも容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】減圧乾燥処理に用いられる減圧乾燥装置の一例の概略を示す平面図である。
【図2】図1のX−X線における断面図である。
【図3】フォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際の製造ラインの一例の概略を示す平面図である。
【図4】並列に配置された減圧乾燥装置の密閉されたチャンバー内の空気を排気する排気系の一例の概略の説明図である。
【図5】並列に配置された減圧乾燥装置の密閉されたチャンバー内の空気を排気する排気系の他例の概略の説明図である。
【図6】本発明による減圧乾燥装置の一実施例の概略を示す説明図である。
【図7】本発明による減圧乾燥装置の他の例の概略を示す説明図である。
【図8】図7に示す、本発明による減圧乾燥装置を生産に適用した際の動作を表したタイムチャートである。
【図9】図5に示す排気系を有する減圧乾燥装置を生産に適用した際の動作を表したタイムチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1・・・ガラス基板
2A・・・下部筐体
2B・・・上部筐体
3・・・定盤
4・・・天板
5・・・排気口
6・・・排気の配管
6−1〜6−4・・・第一配管〜第四配管
11・・・洗浄装置
12・・・ガラス基板の振り分け装置
13−1、13−2・・・第一塗布装置、第二塗布装置
14−1、14−2・・・第一減圧乾燥装置(第一チャンバー)、第二減圧乾燥装置(第二チャンバー)
15・・・ガラス基板の振り戻し装置
16−1、16−2・・・第一加熱装置、第二加熱装置
17・・・露光装置
18・・・現像装置
B1〜B8・・・第一バルブ〜第八バルブ
C1〜C4・・・1枚目〜4枚目のガラス基板への減圧乾燥処理のサイクル
D1・・・搬入動作及び密閉動作
D2・・・減圧処理
D3・・・開放動作及び搬出動作
P1〜P4・・・第一真空ポンプ〜第四真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上にフォトリソグラフィ法によってパターンを形成する際に用いる減圧乾燥装置において、
1)前記減圧乾燥装置は、並列して設けた複数基の減圧乾燥装置で構成され、該複数基の減圧乾燥装置のチャンバー内を排気によって減圧する真空ポンプとして、複数基の真空ポンプを備え、
2)該複数基の各真空ポンプは、配管及びバルブを介して複数基の減圧乾燥装置の各チャンバーに接続されており、
3)各チャンバーに対して、任意の基数の真空ポンプを用いた減圧が行えることを特徴とする減圧乾燥装置。
【請求項2】
前記並列して設けた複数基の減圧乾燥装置が2基以上で、複数基の真空ポンプが4基以上であることを特徴とする請求項1記載の減圧乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−34265(P2010−34265A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194532(P2008−194532)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】