説明

減圧弁

【課題】 ディスク状主弁体が小刻みに開閉弁を繰り返すチャタリング現象を生じない安価な減圧弁を提供すると共に、ディスク状主弁体の凸部を短くできる減圧弁を提供する。
【解決手段】 弁ケーシング1に入口2と出口3を形成する。入口2と出口3を連通する主弁口5を開けた弁座部材4を弁ケーシング1に取り付ける。主弁口5を開閉するディスク状主弁体6をコイルバネ17で閉弁方向に付勢して配置する。コイルバネ17のピッチをディスク状主弁体6に近い側は小さくし、ディスク状主弁体6に遠い側は大きくした不均等ピッチのコイルバネ17にすると共に、ディスク状主弁体6のコイルバネ17当接面に凸部10を設けて、当該凸部10の外周にコイルバネ17のピッチの小さな部分を位置させてコイルバネ17のディスク状主弁体6に近い側を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気や圧縮空気や液体等の流体配管系に取り付けて、内部に設けたコイルバネで付勢されたディスク状主弁体により主弁口を開閉し、弁の出口側すなわち弁の二次側の流体圧力を一定の設定圧力に保つ減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の減圧弁を実開昭61−119669を参照して説明する。これは、弁ケーシングに入口と出口を形成し、入口と出口を連通する主弁口を開けた弁座部材を弁ケーシングに取り付け、主弁口を開閉するディスク状主弁体をコイルバネで閉弁方向に付勢して配置し、出口側圧力と設定圧力との偏差に基づく受圧応動部の変位によりディスク状主弁体を駆動して弁座部材に離着座させることにより主弁口を開閉して出口側圧力を設定圧力に維持するものにおいて、コイルバネの線径をディスク状主弁体側を細くすることによって、コイルバネのバネ付勢力が、弁座部材への離着座時にディスク状主弁体に弱く作用するようにして、ディスク状主弁体が小刻みに開閉弁を繰り返すチャタリング(ハンチング)現象を防止するものである。
【0003】
上記従来の減圧弁は、ディスク状主弁体のコイルバネ当接面に凸部を設けて、凸部の外周にコイルバネの線径の細い部分を位置させてコイルバネのディスク状主弁体に近い側を保持したものであるが、コイルバネを確実に保持するためにディスク状主弁体の凸部を長くしなければならない問題点があった。また、上記従来の減圧弁では、コイルバネの線径を細い箇所と太い箇所に分けているために、コイルバネの線径が一定のものと比較して、その線材が高価なものとなってしまう問題もあった。
【特許文献1】実開昭61−119669
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、ディスク状主弁体が小刻みに開閉弁を繰り返すチャタリング現象を生じない安価な減圧弁を提供すると共に、ディスク状主弁体の凸部を短くできる減圧弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の減圧弁は、弁ケーシングに入口と出口を形成し、入口と出口を連通する主弁口を開けた弁座部材を弁ケーシングに取り付け、主弁口を開閉するディスク状主弁体をコイルバネで閉弁方向に付勢して配置し、出口側圧力と設定圧力との偏差に基づく受圧応動部の変位によりディスク状主弁体を駆動して弁座部材に離着座させることにより主弁口を開閉して出口側圧力を設定圧力に維持するものにおいて、コイルバネのピッチをディスク状主弁体に近い側は小さくし、ディスク状主弁体に遠い側は大きくした不均等ピッチのコイルバネにすると共に、ディスク状主弁体のコイルバネ当接面に凸部を設けて、当該凸部の外周にコイルバネのピッチの小さな部分を位置させてコイルバネのディスク状主弁体に近い側を保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、線径が一定の線材でピッチを変えた不均等ピッチのコイルバネとしたことにより、ディスク状主弁体の離着座時のバネ付勢力を弱くして、ディスク状主弁体が小刻みに開閉弁を繰り返すチャタリング現象を生じない安価な減圧弁とすることができると共に、コイルバネのピッチの小さな部分をディスク状主弁体の凸部の外周で保持したことにより、ディスク状主弁体の凸部を短くしても凸部の外周にコイルバネのピッチの小さな部分を位置させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の減圧弁は、コイルバネのピッチをディスク状主弁体に近い側は小さくし、ディスク状主弁体に遠い側は大きくした不均等ピッチのコイルバネにすると共に、ディスク状主弁体のコイルバネ当接面に凸部を設けて、当該凸部の外周にコイルバネのピッチの小さな部分を位置させてコイルバネのディスク状主弁体に近い側を保持したものである。そのため、ディスク状主弁体が小刻みに開閉弁を繰り返すチャタリング現象を生じない安価な減圧弁とすることができる。また、ディスク状主弁体の凸部を短くしても凸部の外周にコイルバネのピッチの小さな部分を位置させることができる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1と図2参照)。図1に本発明の減圧弁の全体の構成を示し、図2に本発明の減圧弁のディスク状主弁体部分の詳細構成を示す。弁ケーシング1に入口2と出口3を形成し、弁ケーシング1にねじ結合した弁座部材4に主弁口5を形成する。主弁口5を開閉するディスク状主弁体6をコイルバネ17で閉弁方向に付勢して配置する。コイルバネ17は、線径は一定であるが、コイルとコイルの間の距離すなわちピッチを、ディスク状主弁体6に近い側は小さくし、一方、ディスク状主弁体6から遠い側は大きくした不均等ピッチのコイルバネ17とすることにより、ディスク状主弁体6の開弁初期は小さなバネ付勢力しか発生することがなく、ディスク状主弁体6の弁開度が大きくなるとバネ付勢力も大きな値となる。ディスク状主弁体6には、コイルバネ17当接面の中心部に凸部10を形成して、この凸部10の外周にコイルバネ17上端側のピッチの小さな部分をはめ込み、ディスク状主弁体6の凸部10でコイルバネ17のディスク状主弁体6に近い側を保持する。これにより、ディスク状主弁体6の凸部10を短くしても凸部10の外周にコイルバネ17のピッチの小さな部分を位置させることができ、コイルバネ17のピッチの小さな部分を確実に保持することができる。
【0009】
ディスク状主弁体6の上端をピストン7の接続棒8と当接させる。ピストン7の上部のピストン室9を連通路13を介してパイロット弁室14と接続する。パイロット弁室14は入口圧連通路32を介して入口2と接続する。入口圧連通路32と連通路13の間のパイロット弁室14に入口圧連通路32と連通路13とを連通遮断するパイロット弁12を配置する。
【0010】
パイロット弁12の上端は受圧応動部としてのダイヤフラム21の下面中央部に当接する。ダイヤフラム21の上下動に応じてパイロット弁12を開閉して入口圧連通路32と連通路13とを連通遮断する。ダイヤフラム21の下面室30は出口圧連通路31により出口3側の圧力が作用している。ダイヤフラム21の上面にはダイヤフラム押え22を介して圧力設定バネ23を配置する。圧力設定バネ23の上端には鋼球25を介して圧力調節ねじ24を取り付ける。
【0011】
減圧弁としての作動は以下の通りである。出口3側の圧力が圧力設定バネ23で設定した設定圧力よりも低下すると、圧力設定バネ23のバネ力によりダイヤフラム21を介してパイロット弁12が開弁され、入口2側の高圧流体が連通路32,13を通ってピストン7の上面に作用してピストン7が下方へ変位する。ピストン7の変位によりディスク状主弁体6が弁座部材4から離座し主弁口5を開口して出口3側に入口2側の高圧流体を補給することにより、出口3側の圧力が設定圧力まで上昇する。この場合、不均等ピッチのコイルバネ17の圧縮によって、ディスク状主弁体6を弁座部材4側へ付勢するバネ力は弱いために、ディスク状主弁体6が小刻みな開閉弁を繰り返すチャタリング現象を発生することがない。設定圧力に達するとダイヤフラム21を上方へ押し上げる荷重と、圧力設定バネ23による押し下げ荷重がバランスしてパイロット弁12が閉弁し、主弁体6が弁座部材4に着座して主弁口5を閉止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の減圧弁の実施例を示す全体断面図である。
【図2】本発明の減圧弁のディスク状主弁体弁座部材部分の実施例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 弁ケーシング
2 入口
3 出口
4 弁座部材
5 主弁口
6 ディスク状主弁体
10 凸部
17 不均等ピッチのコイルバネ
21 ダイヤフラム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングに入口と出口を形成し、入口と出口を連通する主弁口を開けた弁座部材を弁ケーシングに取り付け、主弁口を開閉するディスク状主弁体をコイルバネで閉弁方向に付勢して配置し、出口側圧力と設定圧力との偏差に基づく受圧応動部の変位によりディスク状主弁体を駆動して弁座部材に離着座させることにより主弁口を開閉して出口側圧力を設定圧力に維持するものにおいて、コイルバネのピッチをディスク状主弁体に近い側は小さくし、ディスク状主弁体に遠い側は大きくした不均等ピッチのコイルバネにすると共に、ディスク状主弁体のコイルバネ当接面に凸部を設けて、当該凸部の外周にコイルバネのピッチの小さな部分を位置させてコイルバネのディスク状主弁体に近い側を保持したことを特徴とする減圧弁。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−223545(P2009−223545A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66342(P2008−66342)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】