説明

減衰力調整機能付皿ばねユニット

【課題】 積み重ねられた皿ばね同士間に働く相互の拘束力を抑えて、入力された荷重に対して応答性が良い弾性を備える減衰力調整機能付皿ばねユニットを提供する。
【解決手段】 2つの構造体12,14間に介在され、同一方向に向けられて積み重ねられる複数の皿ばね26aによって減衰力調整機能付皿ばねユニット16を構成する。上記皿ばね26a同士の間には緩衝層20を介在させる。また、皿ばね26aが同一方向に向けられて群をなす複数の皿ばね群を、それらの向きが交互になるように重ね合わせた複数の皿ばね組立体を並設し、それら皿ばね組立体の少なくとも1つの皿ばね26a同士の間に緩衝層を介在させる。上記緩衝部材を低摩擦部材若しくは皿ばねに表面処理された低摩擦材で構成する。また、上記緩衝部材を弾性材20または粘弾性材で構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つの構造体間に介在され、それら構造体間の振動伝播(伝達)を制御する皿ばねユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上方構造体と下方構造体との間に介在され、複数の同一形状をなす皿ばねがそれらの傾斜面同士を接触させて積み重ねられた皿ばね群、またはこれら皿ばね群を複数用いて交互になるように組み合わせた皿ばね組立体でなり、その皿ばね群の弾性力によって上方構造体を支持し、上下構造体間の振動伝播を抑制する上下免震装置を構成する皿ばねユニットが知られている。
【0003】そして、この上下免震装置の皿ばねユニットにあっては、上記皿ばねユニットに上記上方構造体の重量が加えられて設置されている。そして、地震等によって下方構造体が上下方向に変位することによってその荷重が変化すると、上記皿ばねユニットの各皿ばねは上記荷重の変化に対応して、その傾斜角度が大きくなったり、小さくなったりするように弾性変形し、下方構造体の上方構造体に対する相対変位を吸収して上方構造体に伝達される振動を緩和する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の皿ばねユニットにあっては、それを構成する皿ばね群の各皿ばねは、それらの傾斜面同士が接触するように積み重ねられている。このため、各皿ばねが上記荷重の変化によって弾性変形する際には、皿ばねの一方の面が円周方向に圧縮、他方の面が引張となり、それらの接触面が相対的に移動し、このとき皿ばねの表面処理状態に応じた摩擦力(減衰力)が発生する。
【0005】よって、荷重の変化による皿ばねを変形させる力が上記皿ばね間の最大摩擦力より小さい場合には、皿ばねの弾性変形は進まず、皿ばね本来の剛性より硬い状態にて上方構造体を支持している。
【0006】即ち、上記上下免震構造では、荷重の変化による皿ばねを変形させる力が上記皿ばね間の最大摩擦力より小さい振動が下方構造体に入力されても、皿ばねが弾性変形しないため短周期成分の応答が励起し免震効果が得られない。
【0007】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、積み重ねられた皿ばね同士間に働く相互の拘束力を抑えて、地震力に対して応答性良く弾性変形する減衰力調整機能付皿ばねユニットを提供すること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニットは、2つの構造体間に介在され、重ね合わされる複数の皿ばねにて構成する皿ばねユニットにおいて、上記皿ばねが同一方向に向けられるとともに、それら皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたことを特徴とする。即ち、皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたので、各皿ばねはそれぞれ他の皿ばねに直接接触しない。即ち、各皿ばねが弾性変形する際にそれら皿ばね同士の間では、緩衝層によってそれらの間で相互に働く拘束力が緩和される。よって、各皿ばねは容易に弾性変形することができる。したがって、両構造体間に入力される荷重が小さい場合であっても、各皿ばねは互いに拘束されずに容易に弾性変形することができる。
【0009】また、2つの構造体間に介在され、重ね合わされる複数の皿ばねにて構成する皿ばねユニットにおいて、上記皿ばねが同一方向に向けられて群をなす複数の皿ばね群を、それらの向きが交互になるように重ね合わせた複数の皿ばね組立体を並設し、それら皿ばね組立体の少なくとも1つの各皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたことを特徴とする。即ち、皿ばねだけで構成される皿ばね組立体と皿ばねおよびそれらの間に介在される緩衝層で構成される皿ばね組立体とを並設することにより、弾性変形しやすい皿ばね組立体と所定の荷重が入力されるまで弾性変形しない皿ばね組立体との減衰性能の相違を利用し、それらの割合によって皿ばねユニット全体として作用する減衰力を所望の値に設定することができる。
【0010】また、上記緩衝層は上記皿ばね間で発生する摩擦力を抑えるべく、皿ばね同士の間に設けられた低摩擦部材若しくは皿ばねに表面処理された低摩擦材で形成されることを特徴とする。即ち、各皿ばね間に介在される緩衝層は低摩擦部材若しくは皿ばねに表面処理された低摩擦材で形成されるので、各皿ばねと低摩擦部材若しくは低摩擦材との間に働く最大摩擦力は小さい。よって、各皿ばねは、たとえ両構造体間に入力される荷重が小さい場合であっても容易に弾性変形することができる。また、振動等による荷重の変化に伴って皿ばねを変形させる力が大きくなっていく場合には、各皿ばねと低摩擦部材若しくは低摩擦材との間の最大摩擦力が小さいので、皿ばねを変形させる力が比較的小さい段階で皿ばねは弾性変形する。即ち、上記最大摩擦力が小さいので、各皿ばねが急激に弾性変形することはなく、両構造体間の短周期成分の応答の発生を抑えることができる。
【0011】また、上記緩衝層が上記皿ばねの変形によって弾性変形する弾性材でなることを特徴とする。即ち、各皿ばね間に介在される弾性材によって、各皿ばね間ではそれら相互の拘束力が働かない。よって、両構造体間に入力される荷重が小さい場合であっても各皿ばねは弾性変形し、減衰力調整機能付皿ばねユニットは入力された荷重(地震力)に対して応答性が良い性状を備えて、両構造体間の振動伝播を制御することができる。また、弾性材の介設により皿ばね間の摩擦力の影響が小さく、また、皿ばねや弾性材の表面状態等に影響されないので減衰力調整機能付皿ばねユニットは安定した性状を備えることができる。
【0012】また、上記緩衝層が上記皿ばねの変形によって粘弾性変形する粘弾性材でなることを特徴とする。即ち、各皿ばね間に粘弾性材が介在されているので、各皿ばね間ではそれら相互の拘束力が働かず、両構造体間に小さな荷重が入力されても各皿ばねは弾性変形することができる。よって、減衰力調整機能付皿ばねユニットは入力された荷重(地震力)に対して応答性良く両構造体間の振動伝播を制御することができる。また、振動等による各皿ばねの弾性変形にともなって粘弾性材が剪断変形し、この粘弾性材が備える粘性によっても振動エネルギーが吸収されるため、上記弾性材を介在させた場合の作用に加えて、粘性による減衰性能をも得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニットを適用した基本的な上下免震装置の第1実施形態を示す構造図である。
【0014】この上下免震装置10は、上方に位置する建物12とその下方に位置する基礎14との二つの構造体間に介在されている。上記上下免震装置10は、複数の皿ばね26aが同一方向に向けられて積み重ねられるとともに、それら各皿ばね26a間にそれぞれ、緩衝層をなす高分子化合物のゴムシート20が介在され減衰力調整機能付皿ばねユニット16をなす皿ばね積層体26と、この皿ばね積層体26を基礎14上に支持する金属製の支持脚28とで構成されている。
【0015】上記皿ばね積層体26を構成する皿ばね26aは一般に知られるように、中央部に開口部が形成されたドーナツ状を成し、その周面は傾斜面をなして全体として中央が開口された笠状に形成されている。
【0016】そして、上記皿ばね26aとほぼ同型状のゴムシート20を各皿ばね26a間に介在させて、各皿ばね26a同士が互いに接触しないように皿ばね26aとゴムシート20とが交互に配置されて皿ばね積層体26が形成され、基礎14上に設置された支持脚28の座部28aに載置されている。また、皿ばね26aとゴムシート20との中央開口には、上記座部28aの中央に立設されている脚部28bが挿通されて、皿ばね積層体26の皿ばね26aおよびゴムシート20の積層状態が維持されている。このとき、ゴムシート20は皿ばね26aに接着しても、単に挟み込むだけでも構わない。
【0017】そして、この皿ばね積層体26は、建物12と支持脚28の座部28aとの間に介在された状態で、建物12の重量によって所定の荷重が入力されるとともに、弾性変形可能に建物12を支持している。即ち、この上下免震装置10は、上下方向の振動が基礎14に入力されると、皿ばね積層体26の皿ばね26aに圧縮方向の力が加えられ、皿ばね26aはその笠状の傾斜面のなす角度が小さくなるように変形し、また、反発してその角度が大きくなるように変形する。この皿ばね26aの弾性変形によって、建物12は上下方向の振動が免震される。
【0018】このとき、これら皿ばね26a間にはゴムシート20が介在されているため、皿ばね26aの傾斜面同士が直接接触することはない。即ち、上下に位置する皿ばね26aの傾斜面はそれぞれゴムシート20と接しており、皿ばね積層体26が圧縮されて皿ばね26aが変形する場合には、その間に介在されているゴムシート20も追随して弾性変形することによって、皿ばね26aの変形に伴う皿ばね26a間の相対移動が摩擦力により拘束されず、皿ばね26aは滑らかに弾性変形することができ、建物12の基礎14に対する振動を制御することができる。したがって、基礎14に入力された振動が小さい場合であっても、各皿ばね26aは弾性変形することができ、入力された振動に対して応答性が良い免震効果を得ることができる。
【0019】また、各皿ばね26a同士が接触していないため、皿ばね26aが弾性変形する際には各皿ばね26a間に相互に作用する摩擦力が発生しない。よって、皿ばね26aの表面状態等に依存することなく安定した免震効果を得ることができる。
【0020】また、上記ゴムシート20に代えて各皿ばね26a間にシート状をなす粘弾性材を介在させた場合にも、その粘弾性材が備える弾性によって各皿ばね間ではそれら相互の拘束力が働かず、建物12と基礎14との間に小さな荷重が入力されても各皿ばねは弾性変形し、減衰力調整機能付皿ばねユニット16は入力された荷重(地震力)に対して応答性良く両構造体間の振動伝播を制御することができる。さらに加えて、各皿ばね26aの弾性変形にともなって粘弾性が剪断変形すると、この粘弾性材が備える粘性によって振動エネルギーが吸収されるため、粘性による減衰効果をも得ることができる。
【0021】本実施形態においては、皿ばね積層体26の各皿ばね26a間に緩衝層としてゴムシート20および粘弾性材を介在させる形態を示したが、緩衝層をなすゴム等の形状はシート状に限るものではない。
【0022】図2は第1実施形態の変形例を示す構造図である。ここで、本変形例の全体的な概略構成は前述の第1実施形態で示した図1の構成とほぼ同じであり、よって同一の部材には同一の符号を付して、その相違点についてのみ説明する。図2に示すように、基本的に本変形例は、上下免震装置の皿ばね間に介在する緩衝層が低摩擦部材でなる点で前記第1実施形態と相違する。
【0023】この実施形態では、緩衝層として皿ばね26aとは異なる板材に摩擦係数が低いテフロン(登録商標)をコーティングしたテフロン板20aを介在させている。この構成の上下免震装置10では、皿ばね26a同士の間にはテフロン板20aが介在されているので、各皿ばね26aとテフロン板20aとの間に働く最大摩擦力は小さい。よって、各皿ばね26aは、たとえ小さな振動が基礎14に入力された場合であっても容易に弾性変形し、建物12を免震することができるすることができる。
【0024】また、振動による荷重の変化に伴って皿ばね26aを変形させる力が大きくなっていく場合にも、各皿ばねとテフロン板20aとの間の最大摩擦力が小さいので、皿ばね26aを変形させる力が比較的小さい段階で皿ばね26aは弾性変形する。即ち、上記最大摩擦力が小さいので、各皿ばね26aが急激に弾性変形することはなく、建物12への短周期成分の振動の発生を抑えることができる。
【0025】上記実施形態において、低摩擦部材をテフロン板20aとしたが、これに限ることなく皿ばねに直接低摩擦材をなすテフロンを吹き付け塗装したコーティング仕様の皿ばねを用いても構わない。
【0026】また、図3は上記第1実施形態の他の変形例を示す構造図である。この変形例は第1実施形態で用いた皿ばね積層体26、即ち各皿ばね26a間にゴムシート20を介在させた皿ばね積層体26と、単に皿ばねを重ね合わせた皿ばね群30とをそれらの上下方向の向きが交互になるように重ね合わせて建物12と基礎14との間に介在させてもよい。このとき、例えば2つの皿ばね積層体26と2つの皿ばね群30とを用い、皿ばね積層体26と皿ばね群30とは交互に配置するとともに、それらの笠状の上端部同士を当接させて直列に配置して減衰力調整機能付皿ばねユニット16を形成する。
【0027】この構成の上下免震装置10では、単に皿ばね26aを重ね合わせた皿ばね群30と各皿ばね26a間にゴムシート20を介在させた皿ばね積層体26とを組み合わせることにより、弾性変形しやすい皿ばね積層体26と所定の荷重が入力されるまで弾性変形しない皿ばね群30との減衰性能の相違を利用して、減衰力調整機能付皿ばねユニット16を全体として作用する減衰力を所望の値に設定することができる。
【0028】また、上記ゴムシート20に代えて各皿ばね26a間にシート状をなす粘弾性材を介在させた場合にも、その粘弾性材が備える弾性によって各皿ばね間ではそれら相互の拘束力が働かず、建物12と基礎14間に小さな荷重が入力されても各皿ばねは弾性変形し、減衰力調整機能付皿ばねユニットは入力された荷重(地震力)に対して応答性良く両構造体間の振動伝播を制御することができる。さらに加えて、各皿ばね26aの弾性変形にともなって粘弾性が剪断変形すると、この粘弾性材が備える粘性によって振動エネルギーが吸収されるため、粘性による減衰効果をも得ることができる。
【0029】このとき、皿ばね間に介在させる緩衝層は、ゴムシート20や粘弾性材に限るものではなく上記テフロン板20a等でも構わない。また、減衰力調整機能付皿ばねユニット16を構成する皿ばね積層体26と皿ばね群30との数やそれらを組み合わせる割合はこれに限るものではなく、各皿ばね積層体26に介在させる緩衝層の種類も1種類に限らない。したがって、減衰力調整機能付皿ばねユニット16を構成する皿ばね積層体26と皿ばね群30との数や割合、および介在させる緩衝層やその種類を組み替えることによって容易に所望の減衰力に設定することができる。
【0030】図4は本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニット16を上下免震装置に適用した第2実施形態を示す構造図である。図4に示すように、上記単に皿ばね26aを重ね合わせた複数の皿ばね群30をそれらの上下方向の向きが交互になるように重ね合わせた複数の皿ばね組立体32を建物12と基礎14との間に並設させ、それら皿ばね組立体32のうち少なくとも1つの皿ばね組立体32aの各皿ばね26a間には、ゴムシート20を介在させた形態を示している。
【0031】即ち、各皿ばね26a間にゴムシート20を介在させた皿ばね組立体32aは、上記複数の皿ばね積層体26をその向きを交互に配置して形成したものであり各皿ばね26aが弾性変形し易く、皿ばね26a間にゴムシートが介在されていない皿ばね組立体32は、所定の荷重が入力されるまで弾性変形しない。即ち、これらの皿ばね組立体32,32aを建物12と基礎14との間に並設することによって、並設された全皿ばね組立体32,32a全体がひとつの皿ばねユニット16として作用する。よって、弾性変形しやすい皿ばね組立体32aと所定の荷重が入力されるまで弾性変形しない皿ばね組立体32との減衰性能の相違を利用して、減衰力調整機能付皿ばねユニット16を全体として作用する減衰力を所望の値に設定することができる。
【0032】例えば、建物と基礎との間に6つの皿ばね組立体を並設する場合には、そのうち2つの皿ばね組立体にだけそれらの全皿ばね間に緩衝層を介在させると、緩衝層が介在されていない皿ばね組立体を6つ並設させた場合に対して、その減衰力を約2/3程度に低減させることができる。
【0033】また、上記ゴムシート20に代えて各皿ばね26a間にシート状をなす粘弾性材を介在させた場合にも、その粘弾性材が備える弾性によって各皿ばね間ではそれら相互の拘束力が働かず、建物12と基礎14間に小さな荷重が入力されても各皿ばねは弾性変形し、減衰力調整機能付皿ばねユニットは入力された荷重(地震力)に対して応答性良く両構造体間の振動伝播を制御することができる。さらに加えて、各皿ばね26aの弾性変形にともなって粘弾性が剪断変形すると、この粘弾性材が備える粘性によって振動エネルギーが吸収されるため、粘性による減衰効果をも得ることができる。このとき、皿ばね間に介在させる緩衝層は、ゴムシート20や粘弾性材に限るものではなく上記テフロン板20a等でも構わない。
【0034】また、減衰力調整機能付皿ばねユニット16を構成する緩衝層が介在された皿ばね組立体と緩衝層が介在されていない皿ばね組立体との数やそれらを組み合わせる割合はこれに限るものではなく、介在させる緩衝層の種類も1種類に限らない。したがって、皿ばねユニットを構成する緩衝層が介在された皿ばね組立体と緩衝層が介在されていない皿ばね組立体との数や割合、および介在させる緩衝層やその種類を組み替えることによって容易に所望の減衰力に設定することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニットにあっては、皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたので、各皿ばね間で相互に働く拘束力が緩和され、入力される荷重が小さい場合であっても、各皿ばねは互いに拘束されずに弾性変形し、両構造体間の振動を制御することができる。
【0036】また、皿ばねだけで構成される皿ばね組立体と皿ばねおよびそれらの間に介在される緩衝層で構成される皿ばね組立体とを並設することにより、各皿ばね組立体の減衰性能の相違を利用して、減衰力調整機能付皿ばねユニットを全体として所望の減衰力に設定することができる。
【0037】また、各皿ばね間に介在される緩衝層を低摩擦部材若しくは皿ばねに表面処理された低摩擦材で形成すると、各皿ばねと低摩擦部材若しくは低摩擦材との間に働く最大摩擦力が小さいので、介在される両構造体間に入力される荷重が小さい場合であっても容易に弾性変形することができ、入力された荷重に対して応答性が良い性状を備えることができる。
【0038】また、各皿ばね間に介在される緩衝部材が弾性材の場合には、その弾性によって、減衰力調整機能付皿ばねユニットは入力された荷重(地震力)に対して応答性が良い性状を備え、両構造体間の振動伝播を制御することができる。
【0039】また、各皿ばね間に介在される緩衝層により、いかなる皿ばねの表面状態等においても、皿ばね間の減衰力(摩擦力)を無くすることができる。
【0040】また、各皿ばね間に粘弾性部材を介在すると、粘性よる減衰効果をも得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニットを上下免震装置に適用した第1実施形態を示す構造図である。
【図2】図1の変形例を示す構造図である。
【図3】図1の他の変形例を示す構造図である。
【図4】本発明の減衰力調整機能付皿ばねユニットを上下免震装置に適用した第2実施形態を示す構造図である。
【符号の説明】
12 建物(構造体)
14 基礎(構造体)
16,26 減衰力調整機能付皿ばねユニット
20 ゴムシート(弾性材、緩衝層)
26a 皿ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】 2つの構造体間に介在され、重ね合わされる複数の皿ばねにて構成する皿ばねユニットにおいて、上記皿ばねが同一方向に向けられるとともに、それら皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたことを特徴とする減衰力調整機能付皿ばねユニット。
【請求項2】 2つの構造体間に介在され、重ね合わされる複数の皿ばねにて構成する皿ばねユニットにおいて、上記皿ばねが同一方向に向けられて群をなす複数の皿ばね群を、それらの向きが交互になるように重ね合わせた複数の皿ばね組立体を並設し、それら皿ばね組立体の少なくとも1つの各皿ばね同士の間に緩衝層を介在させたことを特徴とする減衰力調整機能付皿ばねユニット。
【請求項3】 上記緩衝層は上記皿ばね間で発生する摩擦力を抑えるべく、皿ばね同士の間に設けられた低摩擦部材若しくは皿ばねに表面処理された低摩擦材で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の減衰力調整機能付皿ばねユニット。
【請求項4】 上記緩衝層が上記皿ばねの変形によって弾性変形する弾性材でなることを特徴とする請求項1または2に記載の減衰力調整機能付皿ばねユニット。
【請求項5】 上記緩衝層が上記皿ばねの変形によって粘弾性変形する粘弾性材でなることを特徴とする請求項1または2に記載の減衰力調整機能付皿ばねユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−39244(P2002−39244A)
【公開日】平成14年2月6日(2002.2.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−200883(P2000−200883)
【出願日】平成12年7月3日(2000.7.3)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】