渦電流式導電体検出装置
【課題】ターボチャージャなどの回転数や導電体との位置関係を検出する渦電流式導電体検出装置において、温度変化による出力変動を低減し高精度に導電体を検出すること。
【解決手段】渦電流式導電体検出装置のLC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいてコイルに対する導電体の位置情報を検出する信号処理回路を備える渦電流式導電体検出装置において、出力の高温時と低温時の出力差が周波数軸上にて2つの一致点をもち、かつ、これら2つの一致点の周波数において低温時にも高温時にも相当に大きな出力差を確保できることを見出した。これら2つの一致点のどちらかの周波数をもつ交流電流をこのLC並列接続回路に与えれば、少なくとも上記所定の低温時の上記所定の高温時とでの出力変動をキャンセルすることができ、温度変動による出力誤差を解消でき、温度変化にもかかわらず回転数を高精度に検出できる。
【解決手段】渦電流式導電体検出装置のLC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいてコイルに対する導電体の位置情報を検出する信号処理回路を備える渦電流式導電体検出装置において、出力の高温時と低温時の出力差が周波数軸上にて2つの一致点をもち、かつ、これら2つの一致点の周波数において低温時にも高温時にも相当に大きな出力差を確保できることを見出した。これら2つの一致点のどちらかの周波数をもつ交流電流をこのLC並列接続回路に与えれば、少なくとも上記所定の低温時の上記所定の高温時とでの出力変動をキャンセルすることができ、温度変動による出力誤差を解消でき、温度変化にもかかわらず回転数を高精度に検出できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流式導電体検出装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャの回転数を検出する方法として従来より各種の方法が提案又は実用されている。その多くは、より低温の遠心コンプレッサの回転数を検出する方法を採用している。特許文献1は、ターボチャージャの遠心コンプレッサのアルミ翼の通過によるケーシング内の圧力周期変動を圧力センサにより検出し、検出した圧力周期変動に基づいて回転数を検出している。その他、ケーシングに設けたコイルに交流電流を通電し、このコイルが形成する磁界を通過する翼部によりコイルのインピーダンスが変化することを検出してターボチャージャの回転数を検出することも公知となっている。ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部は、非磁性のアルミ製であるため、この技術は、コイルの交流磁界が翼部に発生させた渦電流によるコイルインピーダンスの変化を検出する。そこで、この回転数検出法を以下において渦電流式導電体検出装置と称する。この種の渦電流式導電体検出装置を用いて車輪回転数を検出する技術が、下記の特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2003−240788号公報
【特許文献2】特開2000−121655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ターボチャージャはコンプレッサ側と雖も相当な高温となるため、上記した特許文献1の回転数検出方法は、圧力センサの耐熱温度限界と温度変化による検出精度のばらつきが大きな問題となった。一般的な圧力センサが半導体チップに形成されることは周知の事実である。
【0004】
また、渦電流が流れるアルミ翼の通過によるコイルインピーダンス変化を検出する渦電流式導電体検出装置は、コイルの耐熱温度が圧力センサより良好であるため、ターボチャージャの回転数検出に好適である。しかしながら、既述したようにターボチャージャのコンプレッサ温度の上昇は、コイルインピーダンスを変化させるため、回転数検出精度の低下が問題となることがわかった。また、この問題は、渦電流の変化によるコイルインピーダンスの変化量がもともと比較的小さいために一層深刻となることがわかった。
【0005】
本発明は、温度変化が大きな環境での回転数検出を高精度に行うことができる渦電流式導電体検出装置を提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1の発明は、回転する導電体が通過する空間に交流磁界を形成する検出コイルと、前記検出コイルと並列接続されてLC並列接続回路を構成するコンデンサと、前記LC並列接続回路に所定の発振周波数の交流電流を通電する発振回路と、前記LC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいて前記導電体の回転数を検出する信号処理回路とを備える渦電流式導電体検出装置において、前記発振回路の発振周波数が、前記信号電圧のうち、前記導電体が前記検出コイルより最も遠い位置にある場合の信号電圧値と、前記導電体が前記検出コイルより最も近い位置にある場合の信号電圧値との差である出力差が、所定の高温時と所定の低温時とで一致する2つの周波数値(foH、foL)のどちらかの近傍に設定されることを特徴としている。
【0007】
発明者らは、LC並列接続回路のインピーダンスに相関を有する出力の高温時と低温時とにおける渦電流式導電体検出装置の出力差が周波数軸上にて2つの一致点をもつことを見出した。また、解析によれば、これら2つの一致点の周波数では、低温時も高温時も相当に大きな出力差を確保できることが判明した。
【0008】
したがって、これら2つの一致点のどちらかの周波数をもつ交流電流をこのLC並列接続回路に与えれば、少なくとも上記所定の低温時と上記所定の高温時とで、出力変動をキャンセルすることができ、温度変動による出力誤差を解消でき、温度変化にもかかわらず回転数を高精度に検出することができる。
【0009】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより小さく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、低周波数側の周波数値foL近傍に設定される。このようにすれば、温度変化にもかかわらず更に大きな出力差を抽出できるため、回転数検出感度を向上することができる。
【0010】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記出力差が、低周波数側の周波数値foLにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される。このようにすれば、回路定数のばらつきなどにより発振周波数と出力差一致周波数とがずれても、大きな出力差を検出することができるので、温度変化にもかかわらず回転数検出を高精度に行うことができる。
【0011】
好適な態様において、前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに増加する。このようにすれば、LC並列接続回路のインピーダンスに必要な周波数特性を容易に得ることができる。
【0012】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより大きく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、高周波数側の周波数値foH近傍に設定される。このようにすれば、温度変化にもかかわらず更に大きな出力差を抽出できるため、回転数検出感度を向上することができる。
【0013】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記出力差が、低周波数側の周波数値foHにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される。このようにすれば、回路定数のばらつきなどにより発振周波数と出力差一致周波数とがずれても、大きな出力差を検出することができるので、温度変化にもかかわらず回転数検出を高精度に行うことができる。
【0014】
好適な態様において、前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに減少する。このようにすれば、LC並列接続回路のインピーダンスに必要な周波数特性を容易に得ることができる。
【0015】
好適な態様において、前記回転する導電体は、ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部からなる。このようにすれば、温度変化が激しいターボチャージャの回転数を精度良く検出することができる。
【0016】
好適な態様において、前記コンデンサは、前記検出コイルより離れて配置されて前記検出コイルよりも前記遠心コンプレッサのハウジングから強力に断熱されている。これにより、温度変化によるLC並列接続回路の出力変動を更に良好に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を他の技術を組み合わせて実施してもよい。
【0018】
(実施形態1)
ターボチャージャ回転数検出に採用した渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を以下に説明する。
【0019】
(LC並列接続回路)
このターボチャージャ回転数検出装置の要部回路を図1に示す。1は検出コイル、2は所定の発振周波数foで発振する発振回路、3は検出コイル1とLC並列接続回路を構成するコンデンサ、4は信号電圧検出用の抵抗素子である。発振回路2の発振周波数foは、このLC並列接続回路の共振周波数近傍に設定されている。Voは出力電圧である。
【0020】
検出コイル1は、図2に示すターボチャージャの遠心コンプレッサ5のケーシング6に設けたコイル収容孔7に設けられており、コイル収容孔7は、遠心コンプレッサ5の遠心翼部8の径方向外側に位置してケーシング6の内周面に設けられている。これにより、発振回路2から検出コイル1に交流電流を通電すると、交流磁界がケーシングの径方向内側に形成され、遠心コンプレッサ5の遠心翼部8がこの交流磁界を周方向へ横切って回転することになる。各遠心翼部8は非磁性のアルミ合金により成形されているので、各遠心翼部8には交流磁界の横断により渦電流が流れ、この渦電流と鎖交して検出コイル1の磁界を弱める方向へ交流磁界が誘導される。この渦電流は、遠心翼部8が検出コイル1に最も近接した状態にて最大となり、遠心翼部8が検出コイル1から最も離れた状態にて最小となる。この渦電流の変化は、検出コイル1のインピーダンスの変化を招く。
【0021】
渦電流回路を含めた場合の図1のLC並列接続回路の基本的な等価回路を図3に示す。
【0022】
図3において、Rは検出コイル1の抵抗、Lは検出コイル1のインダクタンス、Cはコンデンサ3の静電容量、ZLはコイルインピーダンス、ZCはコンデンサ3のインピーダンス、ZはLC並列接続回路の合成インピーダンスである。
【0023】
(信号処理回路)
LC並列接続回路の出力電圧を処理して遠心翼部8の通過を判定する信号処理回路9を図4を参照して説明する。
【0024】
出力電圧Voは、電圧増幅回路91によりされた後、検波回路92で包絡線検波されて信号電圧が発振周波数電圧から分離され、その後、コンパレータ93によりパルス電圧に変換される。信号処理回路9の各部電圧波形を図5に示す。
【0025】
なお、図4において、SN比向上のために電圧増幅回路91と検波回路92との間に発振周波数を中心周波数とする狭帯域の帯域フィルタ又は共振フィルタを介在させてもよい。
【0026】
(検出原理)
このLC並列接続回路において、遠心翼部8が検出コイル1に近接すると、渦電流が形成する磁界の影響により検出コイル1のインダクタンスが減少し、その結果としてこのLC並列接続回路の共振周波数frは高くなる。つまり、LC並列接続回路の合成インピーダンスの周波数特性は遠心翼部8の位置により変化する。したがって、発振回路2からある発振周波数の交流電流をLC並列接続回路に通電した場合、LC並列接続回路の電圧降下は、遠心翼部8の位置により変化する。これが、この渦電流式導電体検出装置の検出原理である。
【0027】
発振回路2の発振周波数は、遠心翼部8の位置変化によるLC並列接続回路の電圧降下(出力電圧)の変動(以下、出力差とも言う)がなるべく大きくなるように設定するとSN比を向上することができる。LC並列接続回路の合成インピーダンスZの周波数特性は、共振周波数近傍にてピークとなるカーブであるため、発振回路2の発振周波数は、この共振周波数近傍に設定すると遠心翼部8の位置変化による出力差を大きくできる筈である。
【0028】
(温度変化の影響)
次に、このLC並列接続回路の合成インピーダンスの周波数特性に対する温度変化の影響を考える。
【0029】
まず、LC並列接続回路の共振周波数frに対する温度変化の影響を考える。検出コイル1のインダクタンスLと、コンデンサ3の静電容量Cは、温度上昇によって増加するものと、減少するものとが知られているが、一般的には増加するもののほうが一般的である。したがって、温度上昇によってLまたはCが増加すると共振周波数は低下することになる。
【0030】
共振回路のQは次式のように表される。
Q=ωL/R
温度が上昇すると、コイル抵抗Rが増大するため、図3において、コイルインダクタンスLと直列接続されるコイル抵抗Rが増大し、その結果、Qが低下する。結局、温度上昇により共振周波数のシフトとQの低下とが生じる。このことは、LC並列接続回路の合成インピーダンスZの周波数特性が温度上昇により変化することを意味する。この温度変化による合成インピーダンスZの周波数特性の変化は、上記出力差に大きな影響を与えるため、温度変化が生じても、十分な出力差が得られる周波数範囲に発振回路2の発振周波数を設定することが非常に重要である。
【0031】
(発振周波数選定例1)
好適な発振周波数選定例の一つを実測図である図6を参照して以下に説明する。なお、図6の実験条件は、常温時においてコイルのインダクタンス1μH、コンデンサの静電容量220pF、コイル抵抗3Ωとして温度及び周波数を変更して測定したものである。
【0032】
図6において、frLはLC並列接続回路の低温時の共振周波数、frHはLC並列接続回路の高温時の共振周波数である。なお、以降の各図において、実線は遠心翼部8が検出コイル1から最も遠い位置にある場合のインピーダンス特性であり、破線は遠心翼部8が検出コイル1に最も近い位置にある場合のインピーダンス特性である。以下において、高温時は120℃を意味し、低温時は−30℃を意味する。
【0033】
図6から、高温時の共振周波数frHが低温時の共振周波数frLよりも低周波数側にシフトし、かつ、高温時のQが低温時のQよりも減少していることがわかる。図6において、実線と破線との差が出力差(実質的な信号振幅)となる。
【0034】
図6に示す高温時と低温時の出力差の周波数特性を図7に示す。図7から次のことが判明する。
【0035】
すなわち、図7に示す出力差を示すカーブは、2つの周波数値foLとfoHにおいて交差することがわかる。つまり、foLとfoHの二つの周波数値にて低温時の出力差と高温時とが等しくなる。このことは、このfoL又はfoHを発振回路2の発振周波数として採用すると、低温時の出力差と高温時の出力差とが一致するため、温度変動における出力ばらつきを低減できることを意味する。
【0036】
更に、低周波数側の周波数値foLにおける出力差の大きさは、高周波数側の周波数値foHにおける出力差の大きさより大きい。このことは、LC並列接続回路のインピーダンスZLが図6に示す周波数特性をもつ場合には、foLとfoH(以下、これらを出力差一致周波数とも称する)のうち、低周波数側の出力差一致周波数値foLを採用することが好ましいことがわかった。
【0037】
(発振周波数選定例2)
好適な発振周波数選定例の一つを図8を参照して以下に説明する。この選定例は、温度上昇によって検出コイル1のインダクタンスLまたはコンデンサ3の静電容量Cが減少して共振周波数が上昇した場合の発振周波数選定例である。図6の場合と同様に、frLはLC並列接続回路の低温時の共振周波数、frHはLC並列接続回路の高温時の共振周波数である。
【0038】
図8から、高温時の共振周波数frHが低温時の共振周波数frLよりも高周波数側にシフトし、かつ、高温時のQが低温時のQよりも減少していることがわかる。図8に示す高温時と低温時の出力差の周波数特性を図9に示す。図9から次のことが判明する。
【0039】
すなわち、図9に示す出力差を示すカーブは、図7の場合と同じく、2つの周波数値foLとfoHにおいて交差することがわかる。つまり、foLとfoHの二つの周波数値にて低温時の出力差と高温時とが等しくなる。このことは、このfoL又はfoHを発振回路2の発振周波数として採用すると、低温時の出力差と高温時の出力差とが一致するため、温度変動における出力ばらつきを低減できることを意味する。
【0040】
ただし、図9では、低周波数側の周波数値foLは、低温時の出力差が0となる周波数値fxに非常に近接し、その結果、発振周波数の変動により出力差が大きく変動することと、低温時(−30℃)と高温時(120℃)の間の中間温度、特に低温時に近い中間温度において出力差の変動が大きいこととがわかる。
【0041】
発振周波数の精密な制御は、回路素子のばらつきなどにより高価となり、更にLC並列接続回路の低周波数側の出力差一致周波数foLを発振回路2の発振周波数に良好に一致させることはLC並列接続回路の回路定数のばらつきから容易でないため、発振回路2の発振周波数としてこの低周波数側の出力差一致周波数foLを選択することは得策ではない。そこで、LC並列接続回路の合成インピーダンスZが図8の周波数特性をもつ場合には、二つの出力差一致周波数foL、foHのうち、高周波数側の出力差一致周波数foHを選択する。
【0042】
これにより、温度変化や回路定数のばらつきにかかわらず常に大きな出力差を得ることができる。
【0043】
(変形例)
上記二つの発振周波数選定例では、コンデンサ3も検出コイル1の近傍に配置されて、ターボチャージャの温度上昇の影響を強く受けるものとしたが、コンデンサ3はターボチャージャから遠くはなしてその温度上昇の影響を抑止することも可能であり、また、コンデンサ3をなんらかの冷却手段によりその温度上昇を抑止してもよい。これにより、一層、温度変化による出力変化を低減することができる。
【0044】
更に、コンデンサ3をターボチャージャのハウジングから検出コイルよりも強力に断熱してもよい。この場合、コンデンサ3と検出コイル1とを接続するケーブルが長くなってしまうが、ツイストケーブルを用いたり、ケーブルを導電体や磁性体により電磁シールドすることにより、外部電磁ノイズを拾うのを低減することができる。
【0045】
(渦電流を加味したLC並列接続回路の解析)
温度が変動すると、渦電流が流れるLC並列接続回路においてコイルインダクタンスが変化する点を、渦電流回路を含めた場合のLC並列接続回路の簡易等価回路を示す図10を参照して説明する。
【0046】
図10において、R1は検出コイル1の抵抗、L1は検出コイル1のリークインダクタンス、Loは検出コイル1の励磁インダクタンス、R2は渦電流回路の抵抗、L2は渦電流回路のリークインダクタンスである。ただし、R2、L2は検出コイル1の両端から見た値である。寄生容量やコイルのターン間分布容量などは無視している。リークインダクタンスL1は渦電流回路と鎖交しないインダクタンスを言うものとし、リークインダクタンスL2は検出コイル1と鎖交しないインダクタンスを言うものとする。
【0047】
ここで、
Z1=R1+jωL1
Z2=R2+jωL2
Zo=jωLo
と定義すると、検出コイル1のインピーダンスZLは、次式で表される。
【0048】
ZL=Z1+((Z2+ΔZ2)Zo)/(Zo+(Z2+ΔZ2))
=(Z2Zo+Z1Zo+Z1Z2+ΔZ2(Zo+Z1)/(Zo+Z2+ΔZ2)
ΔZ2は、漏れ電流回路のインピーダンスの変化量であり、具体的には、検出コイル1に遠心翼部8に最近接した状態でのZ2の値と、検出コイル1から遠心翼部8が最も離れた状態でのZ2の値との差である。ここで、
K=Z2Zo+Z1Zo+Z1Z2とすると、
ZL=(K+ΔZ2(Zo+Z1))/(Zo+Z2+ΔZ2)
となる。次に、上式の分母項(Zo+Z2+ΔZ2)においてΔZ2は小さいため省略すると、
ZL=(K+ΔZ2(Zo+Z1))/(Zo+Z2)
が成立する。K/(Zo+Z2)をSとすると、
ZL=S+(ΔZ2・(Zo+Z1)/(Zo+Z2))
=S+(ΔZ2・(1+Z1/Zo)/(1+Z2/Zo))
となる。(1+Z1/Zo)/(1+Z2/Zo)をTとすると、
ZL=S+T・ΔZ2
となる。ここで、インピーダンスSをRs+jωLsと仮定すると、
ZL=(Rs+TΔR2)+jω(Ls+T・ΔL2)
=Rx+jωLx
ここで、Rx=Rs+TΔR2とし、Lx=Ls+T・ΔL2とすると、
ZL=Rx+jωLx
となる。すなわち、検出コイル1の等価インダクタンスLxは温度変化により変化するインダクタンス成分ΔL2を有することがわかる。なお、実際は、検出コイルのターン間の分布容量も温度変化特性をもつ。
【0049】
渦電流回路(二次回路)のインピーダンスΔZ2が増加すると検出コイル1のコイルインピーダンスZLが増加し、渦電流回路(二次回路)のインピーダンスΔZ2が減少すると検出コイル1のコイルインピーダンスZLが減少することがわかる。
【0050】
定性的に説明すると、遠心翼部8が検出コイル1に接近した状態では渦電流が増加することから、インピーダンスZ2の抵抗成分R2が減少するとみなすことがわかる。すると、渦電流磁界が強大となるため、コイルインダクタンスを減少させる。したがって、遠心翼部8が検出コイル1に接近することにより、検出コイル1のコイルインピーダンスZLが減少する。このことは、遠心翼部8の接近により共振周波数が高周波数側に多少シフトすることを意味する。
【0051】
また、高温となると、検出コイル1の渦電流抵抗R2が増加するため渦電流が減少し、渦電流磁界が減少し、その結果、渦電流磁界による妨害が減少するため、単位コイル電流あたりのコイル磁束が増加すること、言い換えればコイルインダクタンスが増加することを意味する。このことは、高温となることによりコイルインピーダンスZLのインダクタンス成分が増加するとLC並列接続回路の共振周波数frが低下することがわかる。
【0052】
(実施形態2)
歩行者検出に採用した渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を図11に示すブロック図を参照して説明する。
【0053】
10は渦電流式近接センサ、20は衝突荷重検知センサ−30はバンパアブソーバ、40はコントローラ、50は車輪速センサ、60は車体、70はバンパリーンフォース、80は歩行者保護装置(歩行者保護エアバッグ)である。
【0054】
渦電流式近接センサ10は、図1に示すターボチャージャ回転数検出装置と同一回路である。図1に示すコイル1に金属柱などの低抵抗導電体が接近すると、低抵抗導電体に誘起される大きな渦電流の影響によりコイル1のインダクタンスが減少し、LC並列接続回路のインピーダンスが低下する。これに対して人体や絶縁体がコイル1に接近してもこのようなインピーダンスの低下はほとんど生じない。したがって、金属体の接近と歩行者とを良好に分別することができる。
【0055】
衝突荷重検知センサ20は、衝突が生じたとき、衝突荷重に応じた好適には比例した出力電圧を出力する。この出力電圧は、コントローラ40に内蔵された図示しないマイコンに送られる。コントローラ4は、渦電流センサ10及び衝突荷重検知センサ20の出力をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ及びこれらデジタル信号を演算して歩行者の衝突を検出し、歩行者衝突検出時に歩行者保護装置80に作動を指令する前述のマイクロコンピュータを含む。この種のコントローラの構成及び車輪速センサ50の構成自体は従来から知られているので、説明を省略する。
【0056】
この実施形態においても、実施形態1と同様の理由により、金属体が所定の遠近2位置にある場合の出力差が所定の第1温度度と所定の第2温度とで一致する発振周波数が存在するため、この一致周波数近傍、特に好適にはこの一致周波数で発振回路を発振させることにより、温度変化による出力変化を低減して、高精度の金属体と歩行者との判別精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1の渦電流式導電体検出装置を装備するターボチャージャの模式軸方向断面図である。
【図2】図1の渦電流式導電体検出装置の要部回路図である。
【図3】図2のLC並列接続回路の簡易等価回路図である。
【図4】図1の渦電流式導電体検出装置の信号処理回路の回路図である。
【図5】図4の回路の各部電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図6】LC並列接続回路のインピーダンスの周波数選定例1を示す特性図である。
【図7】図6の周波数特性例1における出力差の周波数特性図である。
【図8】LC並列接続回路のインピーダンスの周波数選定例2を示す特性図である。
【図9】図8の周波数特性例1における出力差の周波数特性図である。
【図10】図2のLC並列接続回路の渦電流回路を加味した簡易等価回路図である。
【図11】実施形態21の渦電流式導電体検出装置を装備する歩行者検出回路を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
【0058】
1 検出コイル
2 発振回路
3 コンデンサ
5 遠心コンプレッサ
6 ケーシング
7 コイル収容孔
8 遠心翼部
9 信号処理回路
91 電圧増幅回路
92 検波回路
93 コンパレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は渦電流式導電体検出装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャの回転数を検出する方法として従来より各種の方法が提案又は実用されている。その多くは、より低温の遠心コンプレッサの回転数を検出する方法を採用している。特許文献1は、ターボチャージャの遠心コンプレッサのアルミ翼の通過によるケーシング内の圧力周期変動を圧力センサにより検出し、検出した圧力周期変動に基づいて回転数を検出している。その他、ケーシングに設けたコイルに交流電流を通電し、このコイルが形成する磁界を通過する翼部によりコイルのインピーダンスが変化することを検出してターボチャージャの回転数を検出することも公知となっている。ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部は、非磁性のアルミ製であるため、この技術は、コイルの交流磁界が翼部に発生させた渦電流によるコイルインピーダンスの変化を検出する。そこで、この回転数検出法を以下において渦電流式導電体検出装置と称する。この種の渦電流式導電体検出装置を用いて車輪回転数を検出する技術が、下記の特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2003−240788号公報
【特許文献2】特開2000−121655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ターボチャージャはコンプレッサ側と雖も相当な高温となるため、上記した特許文献1の回転数検出方法は、圧力センサの耐熱温度限界と温度変化による検出精度のばらつきが大きな問題となった。一般的な圧力センサが半導体チップに形成されることは周知の事実である。
【0004】
また、渦電流が流れるアルミ翼の通過によるコイルインピーダンス変化を検出する渦電流式導電体検出装置は、コイルの耐熱温度が圧力センサより良好であるため、ターボチャージャの回転数検出に好適である。しかしながら、既述したようにターボチャージャのコンプレッサ温度の上昇は、コイルインピーダンスを変化させるため、回転数検出精度の低下が問題となることがわかった。また、この問題は、渦電流の変化によるコイルインピーダンスの変化量がもともと比較的小さいために一層深刻となることがわかった。
【0005】
本発明は、温度変化が大きな環境での回転数検出を高精度に行うことができる渦電流式導電体検出装置を提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1の発明は、回転する導電体が通過する空間に交流磁界を形成する検出コイルと、前記検出コイルと並列接続されてLC並列接続回路を構成するコンデンサと、前記LC並列接続回路に所定の発振周波数の交流電流を通電する発振回路と、前記LC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいて前記導電体の回転数を検出する信号処理回路とを備える渦電流式導電体検出装置において、前記発振回路の発振周波数が、前記信号電圧のうち、前記導電体が前記検出コイルより最も遠い位置にある場合の信号電圧値と、前記導電体が前記検出コイルより最も近い位置にある場合の信号電圧値との差である出力差が、所定の高温時と所定の低温時とで一致する2つの周波数値(foH、foL)のどちらかの近傍に設定されることを特徴としている。
【0007】
発明者らは、LC並列接続回路のインピーダンスに相関を有する出力の高温時と低温時とにおける渦電流式導電体検出装置の出力差が周波数軸上にて2つの一致点をもつことを見出した。また、解析によれば、これら2つの一致点の周波数では、低温時も高温時も相当に大きな出力差を確保できることが判明した。
【0008】
したがって、これら2つの一致点のどちらかの周波数をもつ交流電流をこのLC並列接続回路に与えれば、少なくとも上記所定の低温時と上記所定の高温時とで、出力変動をキャンセルすることができ、温度変動による出力誤差を解消でき、温度変化にもかかわらず回転数を高精度に検出することができる。
【0009】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより小さく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、低周波数側の周波数値foL近傍に設定される。このようにすれば、温度変化にもかかわらず更に大きな出力差を抽出できるため、回転数検出感度を向上することができる。
【0010】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記出力差が、低周波数側の周波数値foLにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される。このようにすれば、回路定数のばらつきなどにより発振周波数と出力差一致周波数とがずれても、大きな出力差を検出することができるので、温度変化にもかかわらず回転数検出を高精度に行うことができる。
【0011】
好適な態様において、前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに増加する。このようにすれば、LC並列接続回路のインピーダンスに必要な周波数特性を容易に得ることができる。
【0012】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより大きく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、高周波数側の周波数値foH近傍に設定される。このようにすれば、温度変化にもかかわらず更に大きな出力差を抽出できるため、回転数検出感度を向上することができる。
【0013】
好適な態様において、前記発振回路の発振周波数は、前記出力差が、低周波数側の周波数値foHにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される。このようにすれば、回路定数のばらつきなどにより発振周波数と出力差一致周波数とがずれても、大きな出力差を検出することができるので、温度変化にもかかわらず回転数検出を高精度に行うことができる。
【0014】
好適な態様において、前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに減少する。このようにすれば、LC並列接続回路のインピーダンスに必要な周波数特性を容易に得ることができる。
【0015】
好適な態様において、前記回転する導電体は、ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部からなる。このようにすれば、温度変化が激しいターボチャージャの回転数を精度良く検出することができる。
【0016】
好適な態様において、前記コンデンサは、前記検出コイルより離れて配置されて前記検出コイルよりも前記遠心コンプレッサのハウジングから強力に断熱されている。これにより、温度変化によるLC並列接続回路の出力変動を更に良好に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を他の技術を組み合わせて実施してもよい。
【0018】
(実施形態1)
ターボチャージャ回転数検出に採用した渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を以下に説明する。
【0019】
(LC並列接続回路)
このターボチャージャ回転数検出装置の要部回路を図1に示す。1は検出コイル、2は所定の発振周波数foで発振する発振回路、3は検出コイル1とLC並列接続回路を構成するコンデンサ、4は信号電圧検出用の抵抗素子である。発振回路2の発振周波数foは、このLC並列接続回路の共振周波数近傍に設定されている。Voは出力電圧である。
【0020】
検出コイル1は、図2に示すターボチャージャの遠心コンプレッサ5のケーシング6に設けたコイル収容孔7に設けられており、コイル収容孔7は、遠心コンプレッサ5の遠心翼部8の径方向外側に位置してケーシング6の内周面に設けられている。これにより、発振回路2から検出コイル1に交流電流を通電すると、交流磁界がケーシングの径方向内側に形成され、遠心コンプレッサ5の遠心翼部8がこの交流磁界を周方向へ横切って回転することになる。各遠心翼部8は非磁性のアルミ合金により成形されているので、各遠心翼部8には交流磁界の横断により渦電流が流れ、この渦電流と鎖交して検出コイル1の磁界を弱める方向へ交流磁界が誘導される。この渦電流は、遠心翼部8が検出コイル1に最も近接した状態にて最大となり、遠心翼部8が検出コイル1から最も離れた状態にて最小となる。この渦電流の変化は、検出コイル1のインピーダンスの変化を招く。
【0021】
渦電流回路を含めた場合の図1のLC並列接続回路の基本的な等価回路を図3に示す。
【0022】
図3において、Rは検出コイル1の抵抗、Lは検出コイル1のインダクタンス、Cはコンデンサ3の静電容量、ZLはコイルインピーダンス、ZCはコンデンサ3のインピーダンス、ZはLC並列接続回路の合成インピーダンスである。
【0023】
(信号処理回路)
LC並列接続回路の出力電圧を処理して遠心翼部8の通過を判定する信号処理回路9を図4を参照して説明する。
【0024】
出力電圧Voは、電圧増幅回路91によりされた後、検波回路92で包絡線検波されて信号電圧が発振周波数電圧から分離され、その後、コンパレータ93によりパルス電圧に変換される。信号処理回路9の各部電圧波形を図5に示す。
【0025】
なお、図4において、SN比向上のために電圧増幅回路91と検波回路92との間に発振周波数を中心周波数とする狭帯域の帯域フィルタ又は共振フィルタを介在させてもよい。
【0026】
(検出原理)
このLC並列接続回路において、遠心翼部8が検出コイル1に近接すると、渦電流が形成する磁界の影響により検出コイル1のインダクタンスが減少し、その結果としてこのLC並列接続回路の共振周波数frは高くなる。つまり、LC並列接続回路の合成インピーダンスの周波数特性は遠心翼部8の位置により変化する。したがって、発振回路2からある発振周波数の交流電流をLC並列接続回路に通電した場合、LC並列接続回路の電圧降下は、遠心翼部8の位置により変化する。これが、この渦電流式導電体検出装置の検出原理である。
【0027】
発振回路2の発振周波数は、遠心翼部8の位置変化によるLC並列接続回路の電圧降下(出力電圧)の変動(以下、出力差とも言う)がなるべく大きくなるように設定するとSN比を向上することができる。LC並列接続回路の合成インピーダンスZの周波数特性は、共振周波数近傍にてピークとなるカーブであるため、発振回路2の発振周波数は、この共振周波数近傍に設定すると遠心翼部8の位置変化による出力差を大きくできる筈である。
【0028】
(温度変化の影響)
次に、このLC並列接続回路の合成インピーダンスの周波数特性に対する温度変化の影響を考える。
【0029】
まず、LC並列接続回路の共振周波数frに対する温度変化の影響を考える。検出コイル1のインダクタンスLと、コンデンサ3の静電容量Cは、温度上昇によって増加するものと、減少するものとが知られているが、一般的には増加するもののほうが一般的である。したがって、温度上昇によってLまたはCが増加すると共振周波数は低下することになる。
【0030】
共振回路のQは次式のように表される。
Q=ωL/R
温度が上昇すると、コイル抵抗Rが増大するため、図3において、コイルインダクタンスLと直列接続されるコイル抵抗Rが増大し、その結果、Qが低下する。結局、温度上昇により共振周波数のシフトとQの低下とが生じる。このことは、LC並列接続回路の合成インピーダンスZの周波数特性が温度上昇により変化することを意味する。この温度変化による合成インピーダンスZの周波数特性の変化は、上記出力差に大きな影響を与えるため、温度変化が生じても、十分な出力差が得られる周波数範囲に発振回路2の発振周波数を設定することが非常に重要である。
【0031】
(発振周波数選定例1)
好適な発振周波数選定例の一つを実測図である図6を参照して以下に説明する。なお、図6の実験条件は、常温時においてコイルのインダクタンス1μH、コンデンサの静電容量220pF、コイル抵抗3Ωとして温度及び周波数を変更して測定したものである。
【0032】
図6において、frLはLC並列接続回路の低温時の共振周波数、frHはLC並列接続回路の高温時の共振周波数である。なお、以降の各図において、実線は遠心翼部8が検出コイル1から最も遠い位置にある場合のインピーダンス特性であり、破線は遠心翼部8が検出コイル1に最も近い位置にある場合のインピーダンス特性である。以下において、高温時は120℃を意味し、低温時は−30℃を意味する。
【0033】
図6から、高温時の共振周波数frHが低温時の共振周波数frLよりも低周波数側にシフトし、かつ、高温時のQが低温時のQよりも減少していることがわかる。図6において、実線と破線との差が出力差(実質的な信号振幅)となる。
【0034】
図6に示す高温時と低温時の出力差の周波数特性を図7に示す。図7から次のことが判明する。
【0035】
すなわち、図7に示す出力差を示すカーブは、2つの周波数値foLとfoHにおいて交差することがわかる。つまり、foLとfoHの二つの周波数値にて低温時の出力差と高温時とが等しくなる。このことは、このfoL又はfoHを発振回路2の発振周波数として採用すると、低温時の出力差と高温時の出力差とが一致するため、温度変動における出力ばらつきを低減できることを意味する。
【0036】
更に、低周波数側の周波数値foLにおける出力差の大きさは、高周波数側の周波数値foHにおける出力差の大きさより大きい。このことは、LC並列接続回路のインピーダンスZLが図6に示す周波数特性をもつ場合には、foLとfoH(以下、これらを出力差一致周波数とも称する)のうち、低周波数側の出力差一致周波数値foLを採用することが好ましいことがわかった。
【0037】
(発振周波数選定例2)
好適な発振周波数選定例の一つを図8を参照して以下に説明する。この選定例は、温度上昇によって検出コイル1のインダクタンスLまたはコンデンサ3の静電容量Cが減少して共振周波数が上昇した場合の発振周波数選定例である。図6の場合と同様に、frLはLC並列接続回路の低温時の共振周波数、frHはLC並列接続回路の高温時の共振周波数である。
【0038】
図8から、高温時の共振周波数frHが低温時の共振周波数frLよりも高周波数側にシフトし、かつ、高温時のQが低温時のQよりも減少していることがわかる。図8に示す高温時と低温時の出力差の周波数特性を図9に示す。図9から次のことが判明する。
【0039】
すなわち、図9に示す出力差を示すカーブは、図7の場合と同じく、2つの周波数値foLとfoHにおいて交差することがわかる。つまり、foLとfoHの二つの周波数値にて低温時の出力差と高温時とが等しくなる。このことは、このfoL又はfoHを発振回路2の発振周波数として採用すると、低温時の出力差と高温時の出力差とが一致するため、温度変動における出力ばらつきを低減できることを意味する。
【0040】
ただし、図9では、低周波数側の周波数値foLは、低温時の出力差が0となる周波数値fxに非常に近接し、その結果、発振周波数の変動により出力差が大きく変動することと、低温時(−30℃)と高温時(120℃)の間の中間温度、特に低温時に近い中間温度において出力差の変動が大きいこととがわかる。
【0041】
発振周波数の精密な制御は、回路素子のばらつきなどにより高価となり、更にLC並列接続回路の低周波数側の出力差一致周波数foLを発振回路2の発振周波数に良好に一致させることはLC並列接続回路の回路定数のばらつきから容易でないため、発振回路2の発振周波数としてこの低周波数側の出力差一致周波数foLを選択することは得策ではない。そこで、LC並列接続回路の合成インピーダンスZが図8の周波数特性をもつ場合には、二つの出力差一致周波数foL、foHのうち、高周波数側の出力差一致周波数foHを選択する。
【0042】
これにより、温度変化や回路定数のばらつきにかかわらず常に大きな出力差を得ることができる。
【0043】
(変形例)
上記二つの発振周波数選定例では、コンデンサ3も検出コイル1の近傍に配置されて、ターボチャージャの温度上昇の影響を強く受けるものとしたが、コンデンサ3はターボチャージャから遠くはなしてその温度上昇の影響を抑止することも可能であり、また、コンデンサ3をなんらかの冷却手段によりその温度上昇を抑止してもよい。これにより、一層、温度変化による出力変化を低減することができる。
【0044】
更に、コンデンサ3をターボチャージャのハウジングから検出コイルよりも強力に断熱してもよい。この場合、コンデンサ3と検出コイル1とを接続するケーブルが長くなってしまうが、ツイストケーブルを用いたり、ケーブルを導電体や磁性体により電磁シールドすることにより、外部電磁ノイズを拾うのを低減することができる。
【0045】
(渦電流を加味したLC並列接続回路の解析)
温度が変動すると、渦電流が流れるLC並列接続回路においてコイルインダクタンスが変化する点を、渦電流回路を含めた場合のLC並列接続回路の簡易等価回路を示す図10を参照して説明する。
【0046】
図10において、R1は検出コイル1の抵抗、L1は検出コイル1のリークインダクタンス、Loは検出コイル1の励磁インダクタンス、R2は渦電流回路の抵抗、L2は渦電流回路のリークインダクタンスである。ただし、R2、L2は検出コイル1の両端から見た値である。寄生容量やコイルのターン間分布容量などは無視している。リークインダクタンスL1は渦電流回路と鎖交しないインダクタンスを言うものとし、リークインダクタンスL2は検出コイル1と鎖交しないインダクタンスを言うものとする。
【0047】
ここで、
Z1=R1+jωL1
Z2=R2+jωL2
Zo=jωLo
と定義すると、検出コイル1のインピーダンスZLは、次式で表される。
【0048】
ZL=Z1+((Z2+ΔZ2)Zo)/(Zo+(Z2+ΔZ2))
=(Z2Zo+Z1Zo+Z1Z2+ΔZ2(Zo+Z1)/(Zo+Z2+ΔZ2)
ΔZ2は、漏れ電流回路のインピーダンスの変化量であり、具体的には、検出コイル1に遠心翼部8に最近接した状態でのZ2の値と、検出コイル1から遠心翼部8が最も離れた状態でのZ2の値との差である。ここで、
K=Z2Zo+Z1Zo+Z1Z2とすると、
ZL=(K+ΔZ2(Zo+Z1))/(Zo+Z2+ΔZ2)
となる。次に、上式の分母項(Zo+Z2+ΔZ2)においてΔZ2は小さいため省略すると、
ZL=(K+ΔZ2(Zo+Z1))/(Zo+Z2)
が成立する。K/(Zo+Z2)をSとすると、
ZL=S+(ΔZ2・(Zo+Z1)/(Zo+Z2))
=S+(ΔZ2・(1+Z1/Zo)/(1+Z2/Zo))
となる。(1+Z1/Zo)/(1+Z2/Zo)をTとすると、
ZL=S+T・ΔZ2
となる。ここで、インピーダンスSをRs+jωLsと仮定すると、
ZL=(Rs+TΔR2)+jω(Ls+T・ΔL2)
=Rx+jωLx
ここで、Rx=Rs+TΔR2とし、Lx=Ls+T・ΔL2とすると、
ZL=Rx+jωLx
となる。すなわち、検出コイル1の等価インダクタンスLxは温度変化により変化するインダクタンス成分ΔL2を有することがわかる。なお、実際は、検出コイルのターン間の分布容量も温度変化特性をもつ。
【0049】
渦電流回路(二次回路)のインピーダンスΔZ2が増加すると検出コイル1のコイルインピーダンスZLが増加し、渦電流回路(二次回路)のインピーダンスΔZ2が減少すると検出コイル1のコイルインピーダンスZLが減少することがわかる。
【0050】
定性的に説明すると、遠心翼部8が検出コイル1に接近した状態では渦電流が増加することから、インピーダンスZ2の抵抗成分R2が減少するとみなすことがわかる。すると、渦電流磁界が強大となるため、コイルインダクタンスを減少させる。したがって、遠心翼部8が検出コイル1に接近することにより、検出コイル1のコイルインピーダンスZLが減少する。このことは、遠心翼部8の接近により共振周波数が高周波数側に多少シフトすることを意味する。
【0051】
また、高温となると、検出コイル1の渦電流抵抗R2が増加するため渦電流が減少し、渦電流磁界が減少し、その結果、渦電流磁界による妨害が減少するため、単位コイル電流あたりのコイル磁束が増加すること、言い換えればコイルインダクタンスが増加することを意味する。このことは、高温となることによりコイルインピーダンスZLのインダクタンス成分が増加するとLC並列接続回路の共振周波数frが低下することがわかる。
【0052】
(実施形態2)
歩行者検出に採用した渦電流式導電体検出装置の好適な実施形態を図11に示すブロック図を参照して説明する。
【0053】
10は渦電流式近接センサ、20は衝突荷重検知センサ−30はバンパアブソーバ、40はコントローラ、50は車輪速センサ、60は車体、70はバンパリーンフォース、80は歩行者保護装置(歩行者保護エアバッグ)である。
【0054】
渦電流式近接センサ10は、図1に示すターボチャージャ回転数検出装置と同一回路である。図1に示すコイル1に金属柱などの低抵抗導電体が接近すると、低抵抗導電体に誘起される大きな渦電流の影響によりコイル1のインダクタンスが減少し、LC並列接続回路のインピーダンスが低下する。これに対して人体や絶縁体がコイル1に接近してもこのようなインピーダンスの低下はほとんど生じない。したがって、金属体の接近と歩行者とを良好に分別することができる。
【0055】
衝突荷重検知センサ20は、衝突が生じたとき、衝突荷重に応じた好適には比例した出力電圧を出力する。この出力電圧は、コントローラ40に内蔵された図示しないマイコンに送られる。コントローラ4は、渦電流センサ10及び衝突荷重検知センサ20の出力をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ及びこれらデジタル信号を演算して歩行者の衝突を検出し、歩行者衝突検出時に歩行者保護装置80に作動を指令する前述のマイクロコンピュータを含む。この種のコントローラの構成及び車輪速センサ50の構成自体は従来から知られているので、説明を省略する。
【0056】
この実施形態においても、実施形態1と同様の理由により、金属体が所定の遠近2位置にある場合の出力差が所定の第1温度度と所定の第2温度とで一致する発振周波数が存在するため、この一致周波数近傍、特に好適にはこの一致周波数で発振回路を発振させることにより、温度変化による出力変化を低減して、高精度の金属体と歩行者との判別精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1の渦電流式導電体検出装置を装備するターボチャージャの模式軸方向断面図である。
【図2】図1の渦電流式導電体検出装置の要部回路図である。
【図3】図2のLC並列接続回路の簡易等価回路図である。
【図4】図1の渦電流式導電体検出装置の信号処理回路の回路図である。
【図5】図4の回路の各部電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図6】LC並列接続回路のインピーダンスの周波数選定例1を示す特性図である。
【図7】図6の周波数特性例1における出力差の周波数特性図である。
【図8】LC並列接続回路のインピーダンスの周波数選定例2を示す特性図である。
【図9】図8の周波数特性例1における出力差の周波数特性図である。
【図10】図2のLC並列接続回路の渦電流回路を加味した簡易等価回路図である。
【図11】実施形態21の渦電流式導電体検出装置を装備する歩行者検出回路を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
【0058】
1 検出コイル
2 発振回路
3 コンデンサ
5 遠心コンプレッサ
6 ケーシング
7 コイル収容孔
8 遠心翼部
9 信号処理回路
91 電圧増幅回路
92 検波回路
93 コンパレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体が存在する空間に交流磁界を形成する検出コイルと、前記検出コイルと並列接続されてLC並列接続回路を構成するコンデンサと、前記LC並列接続回路に所定の発振周波数の交流電流を通電する発振回路と、前記LC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいて前記コイルに対する前記導電体の位置情報を検出する信号処理回路とを備える渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記信号電圧のうち、前記導電体が前記検出コイルより遠い所定位置にある場合の信号電圧値と、前記導電体が前記検出コイルに近い所定位置にある場合の信号電圧値との差である出力差が、所定の高温時と所定の低温時とで一致する2つの周波数値(foH、foL)のどちらかの近傍に設定されることを特徴とする渦電流式導電体検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより小さく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、低周波数側の周波数値foL近傍に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
低周波数側の周波数値foLにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において前記出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに増加する渦電流式導電体検出装置。
【請求項5】
請求項1記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより大きく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、高周波数側の周波数値foH近傍に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項6】
請求項5記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
低周波数側の周波数値foHにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において前記出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに減少する渦電流式導電体検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記導電体は、ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部からなる渦電流式導電体検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサは、前記検出コイルより離れて配置されて前記検出コイルよりも前記遠心コンプレッサのハウジングから断熱されている渦電流式導電体検出装置。
【請求項1】
導電体が存在する空間に交流磁界を形成する検出コイルと、前記検出コイルと並列接続されてLC並列接続回路を構成するコンデンサと、前記LC並列接続回路に所定の発振周波数の交流電流を通電する発振回路と、前記LC並列接続回路から出力される信号電圧に基づいて前記コイルに対する前記導電体の位置情報を検出する信号処理回路とを備える渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記信号電圧のうち、前記導電体が前記検出コイルより遠い所定位置にある場合の信号電圧値と、前記導電体が前記検出コイルに近い所定位置にある場合の信号電圧値との差である出力差が、所定の高温時と所定の低温時とで一致する2つの周波数値(foH、foL)のどちらかの近傍に設定されることを特徴とする渦電流式導電体検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより小さく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、低周波数側の周波数値foL近傍に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
低周波数側の周波数値foLにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において前記出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに増加する渦電流式導電体検出装置。
【請求項5】
請求項1記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
前記LC並列接続回路の高温時共振周波数frHがその低温時共振周波数frLより大きく、かつ、前記高温時共振周波数frHにおけるLC並列接続回路のインピーダンスが前記低温時共振周波数frLにおけるLC並列接続回路のインピーダンスよりも小さい場合に、前記2つの周波数値(foL、foH)のうち、高周波数側の周波数値foH近傍に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項6】
請求項5記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記発振回路の発振周波数は、
低周波数側の周波数値foHにおける前記出力差の値から前記所定の高温時と所定の低温時と両方において前記出力差が少なくとも10%以上減少乃至増大しない範囲の周波数に設定される渦電流式導電体検出装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサの容量又は前記検出コイルのインダクタンスは、温度上昇とともに減少する渦電流式導電体検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記導電体は、ターボチャージャの遠心コンプレッサの翼部からなる渦電流式導電体検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の渦電流式導電体検出装置において、
前記コンデンサは、前記検出コイルより離れて配置されて前記検出コイルよりも前記遠心コンプレッサのハウジングから断熱されている渦電流式導電体検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−232470(P2007−232470A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52437(P2006−52437)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
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