説明

測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】時刻非同期型の測位システムにおいて、支援情報が生成された時刻を補正して衛星時刻に基づいた測位時刻を取得することができる測位システム等を提供すること。
【解決手段】端末装置40は、支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻を取得する支援情報生成時刻情報取得手段と、測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成手段と、支援情報生成時刻と位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成手段と、複数の時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納手段と、統計基礎情報を統計処理して支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星航法システムを利用した測位に関する測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
そして、GPS受信機が、GPS衛星の衛星情報を保持する支援情報提供装置から通信基地局を介して無線によって位置測位のための支援情報を取得する方式(以後、支援型と呼ぶ)が広く利用されている(例えば、特許文献1)。
ここで、通信基地局を衛星信号の信号強度が弱い閉鎖空間へ設置するとGPS衛星の時刻(以後、GPS時刻と呼ぶ)と同期することが困難である。そのため、通信基地局の設置場所の制限が少ない時刻非同期型のシステムが実用化されている。
【特許文献1】特開2002−522793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の時刻非同期型のシステムにおいては、GPS受信機が通信基地局を介して正確なGPS時刻を取得することができない。また、支援情報提供装置が支援情報を生成してから、GPS受信機がその支援情報を受信し、GPS衛星を捕捉して測位するまでには通信等による遅延が生じる。
したがって、GPS受信機が、支援情報が生成された初期時刻を何らの補正もせずに測位時刻として測位すると、GPS時刻との乖離が大きいため、GPS時刻と同期しているシステムに比べて測位に長時間を要する等の問題を生じる場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、時刻非同期型の測位システムにおいて、支援情報が生成された時刻を補正して衛星時刻に基づいた測位時刻を取得することができる測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置と、前記端末装置と通信可能であって、前記端末装置に対して前記測位のための支援情報を提供する情報提供装置と、を有する時刻非同期型の測位システムであって、前記支援情報には前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を含み、前記端末装置は、前記情報提供装置から前記支援情報を取得する支援情報取得手段と、前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻を取得する支援情報生成時刻情報取得手段と、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信手段と、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位手段と、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成手段と、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成手段と、複数の前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納手段と、前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成手段と、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正手段と、を有することを特徴とする測位システムにより達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記時刻差分情報生成手段によって、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成することができる。前記情報提供装置が前記支援情報を生成した時刻から前記端末装置が、その前記支援情報を受信し、さらに、その前記支援情報を使用して測位をするまでには前記情報提供装置と前記端末装置との間における通信遅延等が存在し、前記位置関連信号受信時刻は前記支援情報生成時刻と同じ時刻ではないから、前記時刻差分が生じるのである。
また、前記端末装置は前記統計基礎情報格納手段によって、複数の前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納し、支援情報生成時刻補正情報生成手段によって、前記統計基礎情報に基づいて、前記時刻差分情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成することができる。そして、前記端末装置は前記支援情報生成時刻情報補正手段によって、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正することができる。
【0007】
ここで、前記位置関連信号受信時刻は実際にGPS衛星からの前記位置関連信号に基いて測位して取得した時刻であるからGPS時刻である。
このため、前記端末装置は、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得した前記支援情報生成時刻情報を補正し、補正後の前記支援情報生成時刻情報に示される時刻を、測位時刻として使用することができる。
これにより、時刻非同期型の測位システムにおいて、支援情報が生成された時刻を補正して衛星時刻に基づいた測位時刻を取得することができる測位システムを提供することができる。
【0008】
前記目的は、第2の発明によれば、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置であって、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得手段と、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得手段と、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信手段と、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位手段と、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成手段と、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成手段と、複数の前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納手段と、前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成手段と、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正手段と、を有することを特徴とする端末装置によって達成される。
【0009】
第2の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、時刻非同期型の測位システムにおいて、支援情報が生成された時刻を補正して衛星時刻に基づいた測位時刻を取得することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記統計基礎情報格納手段は、前記時刻差分情報を前記時刻差分の大きさに基づいて区分して格納する構成となっていることを特徴とする。
【0011】
前記端末装置は、前記時刻差分情報を例えば、0秒(s)以上10秒(s)未満、10秒(s)以上20秒(s)未満、20秒(s)以上30秒(s)未満というように、前記時刻差分の大きさに基づく層別に区分して格納する構成となっている。
このため、例えば、前記時刻差分情報のほとんどすべてが0秒(s)以上10秒(s)未満の層に属する場合には、他の層に属する前記時刻差分情報は、前記支援情報生成時刻情報の生成に際して無視するなど、効率的な統計処理を実施することができる。
【0012】
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明のいずれかの発明の構成において、 前記測位時の測位時条件を示す測位時条件情報を生成する測位時条件情報生成手段を有し、
前記統計基礎情報格納手段は、前記時刻差分情報を前記測位時条件に基づいて区分して格納する構成となっていることを特徴とする。
【0013】
前記測位時条件によって、前記時刻差分情報は異なる場合がある。例えば、前記位置関連信号の強度が弱い場合には、前記端末装置が前記位置関連信号を受信するまでの時間が長く必要になるから、前記時刻差分は大きくなる。あるいは、前記端末装置の温度変化によって、前記端末装置の同期周波数を形成するための例えば、水晶発振器の振動数が設計振動数と乖離し、前記時刻差分が大きくなる場合がある。
この点、前記端末装置は、前記時刻差分情報を前記測位時条件に基づいて区分して格納する構成となっているから、前記測位時条件に基づいて前記時刻差分情報を統計処理することができる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記測位時条件は、前記位置関連信号の強度及び/又は前記測位時の温度であることを特徴とする。
【0015】
第5の発明の構成によれば、前記位置関連信号の強度及び/又は前記測位時の温度に基づいて、前記時刻差分情報を統計処理することができる。
【0016】
第6の発明は、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの構成において、前記統計基礎情報を構成する前記時刻差分情報の数に基づいて、前記支援情報生成時刻補正情報の信頼性を判断するための支援情報生成時刻補正情報信頼性判断手段を有することを特徴とする。
【0017】
前記統計基礎情報を統計処理して生成した前記支援情報生成時刻補正情報は、統計処置の元になる前記時刻差分情報の数が多いほど、その信頼性が高い。
この点、第6の発明の構成によれば、前記端末装置は支援情報生成時刻補正情報信頼性判断手段を有するから、前記統計基礎情報を構成する前記時刻差分情報の数に基づいて、前記支援情報生成時刻補正情報の信頼性を判断することができる。
【0018】
第7の発明は、第2の発明乃至第6の発明のいずれかの構成において、前記支援情報生成時刻補正情報に示される支援情報生成時刻補正値が、前記位置情報衛星が使用する位置情報衛星時刻の最小誤差範囲である場合に、前記位置関連信号受信手段は、通常の測位に必要な通常測位必要数よりも一つ少ない数の前記位置関連信号を受信する構成となっていることを特徴とする。
【0019】
前記位置関連信号の前記通常測位必要数は、3次元測位の場合には4個であり、2次元測位の場合は、3個である。そして、いずれの場合であっても、1個の前記位置関連信号は、前記位置情報衛星時刻を算出するための使用される。
従って、前記位置情報衛星時刻を算出する必要がなければ、前記位置関連信号の数は一つ少なくてもよい。
そして、前記支援情報生成時刻補正値が、前記位置情報衛星時刻の最小誤差範囲である場合には、前記端末装置は、前記位置情報衛星時刻を算出するまでもなく、前記位置情報衛星時刻と同期することができる。
この点、第7の発明の構成によれば、前記支援情報生成時刻補正値が、前記位置情報衛星時刻の最小誤差範囲である場合に、前記位置関連信号受信手段は、通常の測位に必要な通常測位必要数よりも一つ少ない数の前記位置関連信号を受信する構成となっている。
このため、前記測位をより迅速に実行することができる。
【0020】
前記目的は、第8の発明によれば、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、を有することを特徴とする端末装置の制御方法によって達成される。
【0021】
前記目的は、第9の発明によれば、コンピュータに、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記測位結果取得時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0022】
前記目的は、第10の発明によれば、コンピュータに、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施の測位システム10を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、位置情報衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dから位置関連信号である例えば、信号S1,S2,S3及びS4を受信して現在位置を測位する端末装置である例えば、端末40を有する。
端末40は例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であるが、これらに限らない。
【0025】
測位システム10はまた、端末40に対して測位のための支援情報である例えば、アシストデータを提供する情報提供装置である例えば、アシストサーバ20を有する。アシストサーバ20は、通信網である例えば、インターネット網25及び通信を仲介する基地局30を介して端末40と通信可能な構成となっている。
【0026】
上述のアシストサーバ20はGPS衛星12a等のGPS時刻と同期しているが、基地局30及び端末40はGPS時刻と同期していない。すなわち、測位システム10は時刻非同期型のシステムである。
アシストサーバ20は、GPS衛星12a等からの信号S1等に基づいてアシストデータを生成する。このアシストデータは例えば、アシストデータ生成時刻(初期時刻)、例えば基地局30の位置である端末40の概略位置(初期位置)、各GPS衛星12a等ごとの軌道情報を含むエフェメリス、すべてのGPS衛星12a等の概略軌道情報を含むアルマナック等を示す情報である。なお、初期時刻はGPS時刻と同期している。
端末40は、アシストサーバ20からこのアシストデータを取得し、そのアシストデータを使用して信号S1等を捕捉し、現在位置を測位する構成となっている。
【0027】
図1に示すように、アシストサーバ20による初期時刻をtとすれば、アシストデータがインターネット網25及び基地局30を介して端末40に到達するまでには時間(以後、通信遅延時間と呼ぶ)が必要である。さらに、端末40がアシストデータを受信した時刻から現在位置の測位結果を取得するまでには時間(以後、内部処理遅延時間と呼ぶ)が必要である。
このため、端末40による測位時は初期時刻であるtに、上述の通信遅延時間及び内部処理遅延時間(以後、通信遅延時間時及び内部遅延時間を総称して遅延時間と呼ぶ)によって例えば、t+nという時刻になる。
ここで、端末40が、この遅延時間を考慮せず、初期時刻tを測位時の時刻として測位を行うと、実際の測位時の時刻であるt+nとプラス(+)n秒の誤差があるため、測位結果に誤差を生じる場合がある。ここで、測位時の時刻とは、測位時における、測位に使用した信号S1等が端末40に到達した時刻である。
信号S1等の速度は光速の毎ミリ秒300キロメートル(km/msec)であるから、1ミリ秒(ms)の誤差で300キロメートル(km)で擬似距離に誤差が生じ、測位結果にも誤差が生じる可能性がある。
さらに、上述の誤差が10秒以上であると、端末40の測位計算において、測位結果の収束が困難になる場合がある。特に、屋内など信号S1等の信号強度が弱い場合には、端末40自身が信号S1等を解析することによってGPS時刻を取得することもできず、測位結果を取得できない場合がある。
この点、測位システム10における端末40は、以下のハードウエア構成及びソフトウエア構成によって、上述の遅延時間を考慮して、GPS時刻に極めて近い時刻を測位時の時刻として測位を行うことができる。
【0028】
(端末40の主なハードウエア構成について)
図2は端末40の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末40は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス42を有する。
このバス42には、CPU(Central Processing Unit)44、記憶装置46が接続されている。記憶装置46は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0029】
また、このバス42には、各種情報等を入力するための入力装置48、図1のアシストサーバ20と、基地局30及びインターネット網25を介して通信するための端末通信装置50が接続されている。
また、このバス42には、アシストサーバ20からのアシストデータを使用してGPS衛星12a等から信号S1等を受信する位置関連信号受信手段である例えば、端末GPS装置52が接続されている。
さらに、このバス42には、各種情報を表示するための表示装置54が接続されている。
【0030】
(端末40の主なソフトウエア構成について)
図3は、端末40の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4はアシストデータ152等を示す図である。
図3に示すように、端末40は、各部を制御する端末制御部100、図2の端末通信装置50に対応する端末通信部102、図2の端末GPS装置52に対応する端末GPS部104等を有する。
図3に示すように、端末40はまた、各種プログラムを格納する端末第1記憶部110、各種情報を格納する端末第2記憶部150を有する。
【0031】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、アシストデータ受信プログラム112を格納している。アシストデータ受信プログラム112は、端末制御部100が、アシストサーバ20(図1参照)からアシストデータ152を取得するための情報である。端末制御部100は、取得したアシストデータ152を端末第2記憶部150に格納する。すなわち、アシストデータ受信プログラム112と端末制御部100は、支援情報取得手段の一例である。
アシストデータ152は例えば、図4(a)に示すように、初期時刻t、衛星軌道情報及びドップラー情報を含む。
【0032】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、アシストデータ処理プログラム114を格納している。アシストデータ処理プログラム114は、端末制御部100が、アシストデータ152に含まれる初期時刻情報154を取得するための情報である。すなわち、アシストデータ処理プログラム114と端末制御部100は、支援情報生成時刻情報取得手段の一例である。
端末制御部100は、取得した初期時刻情報154を端末第2記憶部150に格納する。初期時刻情報154は例えば、図4(b)に示すように、初期時刻tを示す情報である。この初期時刻tは、アシストサーバ20が、アシストデータを生成した時刻である。
【0033】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、測位時条件情報生成プログラム116を格納している。測位時条件情報生成プログラム116は、端末制御部100が、測位時の測位条件を示す測位時条件情報156を生成するための情報である。この測位時条件情報156は測位時条件情報の一例である。そして、測位時条件情報生成プログラム116と端末制御部100は、測位時条件情報生成手段の一例である。
測位時条件156は例えば、信号S1等の信号強度、及び、測位時の温度である。
【0034】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、測位演算プログラム118を格納している。測位演算プログラム118は、端末制御部100が、GPS衛星12a等(図1参照)からの信号S1等に基づいて、測位を行うための情報である。この測位によって、現在位置を示す現在位置情報158、及び、測位に使用した位置関連信号S1等が端末40に到達した測位時刻を示す測位時刻情報160を生成することができる。
この測位時刻情報160は、位置関連信号受信時刻情報の一例である。そして、測位演算プログラム118と端末制御部100は、測位手段の一例であり、また、位置関連信号受信時刻情報手段の一例でもある。
端末制御部100は、生成した現在位置情報158及び測位時刻情報160を端末第2記憶部150に格納する。
測位時刻情報160は例えば、図4(c)に示すように、測位時刻t+nを示す情報である。測位時刻情報160に示される時刻は、実際の測位によって取得されたGPS時刻である。
【0035】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、時刻誤差情報生成プログラム120を格納している。時刻誤差情報生成プログラム120は、端末制御部100が、
初期時刻情報154に示される初期時刻t(図4(b)参照)と測位時刻情報160に示される測位時刻t+n(図4(c)参照)との時刻差分を示す時刻誤差情報162を生成するための情報である。この時刻誤差情報162は、時刻差分情報の一例である。そして、時刻誤差情報生成プログラム120と端末制御部100は、時刻差分情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した時刻誤差情報162を端末第2記憶部150に格納する。時刻誤差情報162は例えば、図4(d)に示すように、時刻誤差n秒(s)を示す情報である。端末制御部100は、測位の都度、時刻誤差情報162を生成する。
【0036】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、層別管理データベース生成プログラム122を格納している。層別管理データベース生成プログラム122は、端末制御部100が、測位の都度生成された複数の時刻誤差情報162を統計基礎情報として層別管理データベース164に格納するための情報である。この層別管理データベース164は統計基礎情報格納手段の一例である。
【0037】
図5は、層別管理データベース164の一例等を示す図である。
図5(a)に示すように、層別管理データベース164は例えば、0秒(s)以上10秒(s)未満、10秒(s)以上20秒(s)未満、20秒(s)以上30秒(s)未満というように、時刻誤差情報162を時刻差分の大きさに基づいて区分して格納している。
このため、例えば、時刻誤差情報162のほとんどすべてが0秒(s)以上10秒(s)未満の層に属する場合には、0秒(s)以上10秒(s)未満の層に属する時刻誤差情報162を、後述の初期時刻補正値情報166の生成に際して優先して使用するなど、効率的な統計処理を実施することができる。
【0038】
また、図5(a)に示すように、層別管理データベース164は例えば、端末40の温度、及び、屋内、屋外という条件に基づいて区分して格納されている。これらの条件は、上述の測位時条件情報156に基づく情報である。例えば、端末制御部100は層別管理データベース生成プログラム122に基づいて、屋内における測位か屋外における測位かを測位時条件情報156に示される信号S1等(図1参照)の信号強度によって判断し、層別管理データベース164に格納する。
【0039】
以上で説明したように、層別管理データベース164は各時刻誤差情報162を時刻差分の大きさ、温度、及び、信号強度に基づいて生成される層によって区分して格納しており、時刻誤差情報162の件数とともに管理している。例えば、図5(a)の層別管理データベース164の中の一つのセル160aは、時刻誤差が0秒(s)以上10秒(s)未満の層と、測位時の信号強度が強い屋外の層、及び、温度が15度以上20度未満の層によって規定される領域のセルである。セル160aは、図5(b)に示すように、7件の時刻誤差情報162を格納しており、各時刻誤差情報162は、時刻誤差、各時刻誤差情報162を生成した測位時の温度及び信号強度を示す情報を含む。
【0040】
上述のように、層別管理データベース164は各時刻誤差情報162を時刻差分の大きさだけではなく、温度、及び信号強度に基づいて格納しており、次のような効果を有する。すなわち、測位時の条件によって、時刻誤差は異なる場合がある。例えば、信号S1等の強度が弱い場合には、端末40が信号S1等を受信するまでの時刻が長く必要になるから、時刻誤差は大きくなる。また、端末40の温度変化によって、端末40の同期周波数を形成するための例えば、水晶発振器の振動数が設計振動数と乖離し、時刻誤差が大きくなる場合がある。この点、端末40は、時刻誤差情報162を測位時条件に基づいて格納する構成となっているから、後述のように、新たに測位するときの測位時条件に該当するセル内の時刻誤差情報162を統計処理することができる。
【0041】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、初期時刻補正情報生成プログラム124を格納している。初期時刻補正情報生成プログラム124は、端末制御部100が、層別管理データベース164に格納された複数の時刻誤差情報162を統計処理して初期時刻情報154を補正するための初期時刻補正情報166を生成するための情報である。この初期時刻補正情報166は、支援情報生成時刻補正情報の一例である。そして、初期時刻補正情報生成プログラム124と端末制御部100は、支援情報生成時刻補正情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した初期時刻補正情報166を端末第2記憶部150に格納する。
【0042】
図6は、初期時刻補正情報166等の一例を示す図である。
端末制御部100は、端末GPS装置52(図2参照)を起動すると、初期時刻補正情報生成プログラム124に基づいて、測位時条件情報生成プログラム116によって新たに測位時条件情報156を生成する。そして、測位時条件情報156に示される温度及び信号強度に基いて、現在の測位時条件を判断する。現在の測位時条件が例えば、温度16度(℃)、信号強度マイナス100デシベルメータ(dBm)であれば、層別管理データベース164を参照し、温度15度(℃)以上20度(℃)未満かつ屋外のセルの中で、最も時刻誤差情報162の数が多いセル160aを選択し、セル160aに格納されているすべての時刻誤差情報162に示される時刻誤差の例えば、平均値を算出することによって統計処理する。初期時刻補正情報166は例えば、図6(a)に示すように、このようにして取得した初期時刻補正値である平均値4.2秒(s)を示す情報である。この初期時刻補正値は、支援情報生成時刻補正値の一例である。
【0043】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、初期時刻補正値信頼性判断プログラム126を格納している。初期時刻補正値信頼性判断プログラム126は、端末制御部100が、層別管理データベース164の各セルを構成する時刻誤差情報162の数に基づいて、初期時刻補正情報166の信頼性を判断するための情報である。すなわち、初期時刻補正値信頼性判断プログラム126と端末制御部100は、支援情報生成時刻補正情報信頼性判断手段の一例である。
【0044】
端末制御部100は例えば、図6(b)に示す初期時刻補正値信頼性判断プログラム126によって、時刻誤差情報162の数に基づいて初期時刻補正情報166の信頼性を判断する。すなわち、時刻誤差情報162の数が多く、σ/√N(σ/N1/2)が平均値偏差許容閾値Sよりも小さい場合には、初期時刻補正情報166の信頼性が許容範囲内であると判断する。
【0045】
図3に示すように、端末40は、端末第1記憶部110に、初期時刻補正プログラム128を格納している。初期時刻補正プログラム128は、端末制御部100が、初期時刻補正情報166に基づいて、新たに取得するアシストデータに含まれる初期時刻情報154を補正するための情報である。すなわち、初期時刻補正グラム128と端末制御部100は、支援情報生成時刻情報補正手段の一例である。
【0046】
例えば、端末制御部100は初期時刻補正プログラム128に基づいて、初期時刻情報154に示される初期時刻t(図4(b)参照)に、初期時刻補正情報166に示される初期時刻補正値である例えば、4.2秒(s)を加えることによって、初期時刻情報154を補正する。
【0047】
また、端末制御部100は、初期時刻補正情報166に示される初期時刻補正値が、一定回数連続して、GPS衛星12a等が使用するGPS時刻の最小誤差範囲である例えば、20ミリ秒(msec)以内である場合には、端末制御部100は端末GPS部104によって、通常の測位に必要な通常測位必要数よりも一つ少ない数の信号S1等を受信する構成となっている。
【0048】
信号S1等の通常測位必要数は、3次元測位の場合には4個であり、2次元測位の場合は、3個である。そして、いずれの場合であっても、1個の例えば、信号S1は、GPS時刻を算出するための使用される。
従って、GPS時刻を算出する必要がなければ、信号S1等の数は一つ少なくてもよい。
そして、初期時刻補正値が、GPS時刻の最小誤差範囲である場合には、端末40は、GPS時刻を算出するまでもなく、GPS時刻と同期することができる。
このため、端末40は、測位をより迅速に実行することができる。
【0049】
具体的には、端末制御部100は図3の初期時刻補正情報評価プログラム130に基づいて、連続して生成した例えば、10個以上の初期時刻補正情報166に示されるいずれの初期時刻補正値も20ミリ秒(msec)以内である場合には、通常の測位に必要な通常測位必要数よりも一つ少ない数の信号S1等を受信する構成になっている。
【0050】
ここで、本実施の形態による効果の概略をまとめておく。
上述のように、初期時刻tは、GPS時刻と同期している。そして、測位時刻情報160は実際にGPS衛星12a等からの信号S1等に基いて測位して取得した時刻であるからGPS時刻を示す情報である。
このため、端末40は、測位時刻情報160に示される測位時刻と初期時刻との時刻差のデータを複数取得し、統計処理することによって、時刻差の傾向を算出し、新たに取得したアシストデータ152を初期時刻情報154に基づいて補正し、測位時刻として使用することができる。
すなわち、時刻非同期型の測位システム10において、アシストデータが生成された時刻を補正してGPS時刻に基づいた測位時刻を取得して測位することができる。
このように、GPS時刻に基づいた測位時刻を取得して測位することで、測位開始から最初の測位結果を取得するまでの時間(Time to first Fix)が早くなり得る。また、測位誤差も小さくなる。また、屋内等でGPS衛星12a等からの信号S1等の信号強度が弱く、測位が困難な場合であっても、測位が可能となる。さらに、GPS時刻との時刻誤差が例えば20ミリ秒(msec)以内になれば、GPS時刻を測位によって確定する必要がないから、測位に必要なGPS衛星12a等の数を一つ少なくすることができる。
【0051】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図7、図8及び図9を使用して説明する。
図7、図8及び図9は本実施の形態の測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0052】
まず、端末40が、アシストサーバ20からアシストデータ152(図3参照)を取得する(図7のステップST1)。このステップST1は、支援情報取得ステップの一例である。
続いて、端末40は、端末GPS装置52を起動する(ステップST2)。
続いて、端末40は、アシストデータ152に含まれる初期時刻情報154(図3参照)を取得する(ステップST3)。このステップST3は、支援情報生成時刻情報取得ステップの一例である。
続いて、端末40は、測位時条件情報156を生成する(ステップST4)。
【0053】
続いて、端末40は、層別管理データベース164(図5(a)参照)に時刻誤差情報162が保存されているか否かを判断する(ステップST5)。端末40が、層別管理データベース164(図5(a)参照)に時刻誤差情報162が保存されていないと判断した場合には、アシストデータ152を使用して信号S1等を受信する(ステップST6)。このステップST6は、位置関連信号受信ステップの一例である。
続いて、端末40は、測位を実施する(ステップST7)。このステップST7は、測位ステップの一例である。
【0054】
続いて、端末40は、ステップST7の測位によって測位結果を取得した時刻を示す測位時刻情報160を生成する(ステップST8)。このステップST8は、位置関連信号受信時刻情報生成ステップの一例である。
【0055】
続いて、端末40は、初期時刻情報154と測位時刻情報160に基づいて、時刻誤差情報162を生成する(ステップST9)。このステップST9は、時刻差分情報生成ステップの一例である。
【0056】
続いて、端末40は、時刻誤差情報162を統計基礎情報として測位時条件に基づいて、層別管理データベース164(図5(a)参照)に格納する(ステップST10)。このステップST10は、統計基礎情報格納ステップの一例である。
ステップST9においては、端末40は、まず端末40の同期周波数生成回路(図示せず)周辺の温度情報を取得し(図8のステップST101)、続いて、GPS衛星12a等からの信号S1等の信号強度に基いて現在位置が屋外か屋内かを判断する(ステップST102)。続いて、端末40は、時刻誤差情報162に示される時刻差が属する例えば、0秒(s)以上10秒(s)未満という層を決定する(ステップST103)。続いて、端末40は、温度範囲、屋外屋内の別、時刻誤差の層に基づいて、時刻誤差情報162を層別管理データベース164(図5(a)参照)に格納し、時刻誤差情報162とその件数を管理する(ステップST104)。
上述のステップST1乃至ステップST10は繰り返し実施され、層別管理データベース164には、複数の時刻誤差情報162が累積的に格納されていく。
【0057】
このように、複数の時刻誤差情報162が層別管理データベース164に格納されている場合には、上述のステップST5において、端末40は、層別管理データベース164に時刻誤差情報162が格納されていると判断し、測位時条件情報156に示される測位時条件に基づいて、層別管理データベース164を参照する(図9のステップST51)。
続いて、端末40は、初期時刻補正情報166を生成する(ステップST52)。このステップST52は、支援情報生成時刻補正情報生成ステップの一例である。
【0058】
続いて、端末40は、初期時刻補正情報166の信頼性を初期時刻誤差補正値信頼性判断プログラム126(図6(b)参照)に基づいて判断する。具体的には、端末40は、初期時刻補正情報166の平均値偏差を計算し(ステップST53)、平均値偏差が平均値偏差許容閾値より小さいかを判断する(ステップST54)。平均値偏差が平均値偏差許容閾値より小さい場合には、端末40は初期時刻補正情報166を信頼し、初期時刻情報154を補正する(ステップST55)。このステップST55は、支援情報生成時刻情報補正ステップの一例である。
そして、端末40は、初期時刻情報154を補正して生成した測位時刻を使用して測位を実施する(ステップST6)。
これにより、正確なGPS時刻に極めて近い時刻を測位時の時刻として使用して、測位を実施することができる。
【0059】
これに対して、上述のステップST54において、端末40が初期時刻補正情報166を信頼しない判断をした場合には、端末40は、初期時刻情報154を補正せず(ステップST56)、そのまま使用して測位を実施する(ステップST6)。これにより、時刻誤差情報162を取得し、層別管理データベース164(図5(a)参照)に格納することによって、時刻誤差情報162の数を増やし、次回測位時における初期時刻補正情報166の信頼性を高めることができる。
【0060】
以上で説明したように、本発明の実施の形態によれば、時刻非同期型の測位システムにおいて、支援情報が生成された時刻を補正して衛星時刻に基づいた測位時刻を取得することができる。
【0061】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の支援情報取得ステップと、支援情報生成時刻情報取得ステップと、測位結果取得時刻情報生成ステップと、時刻差分情報生成ステップと、統計基礎情報格納ステップと、支援情報生成時刻情報補正情報生成ステップと、支援情報生成時刻情報補正ステップ等を実行させるための端末の制御プログラムとすることができる。
また、このような端末装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0062】
これら端末装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0063】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図2】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図4】アシストデータ等を示す図である。
【図5】層別管理データベースの一例等を示す図である。
【図6】初期時刻補正情報等の一例を示す図である。
【図7】本実施の形態の測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態の測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図9】本実施の形態の測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10・・・測位システム、12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20・・・アシストサーバ、30・・・基地局、40・・・端末、112・・・アシストデータ受信プログラム、114・・・アシストデータ処理プログラム、116・・・測位時条件生成プログラム、118・・・測位演算プログラム、120・・・時刻誤差情報生成プログラム、122・・・層別管理データベース生成プログラム、124・・・初期時刻補正情報生成プログラム、126・・・初期時刻補正値信頼性判断プログラム、128・・・初期時刻補正プログラム、130・・・初期時刻補正情報評価プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置と、
前記端末装置と通信可能であって、前記端末装置に対して前記測位のための支援情報を提供する情報提供装置と、
を有する時刻非同期型の測位システムであって、
前記支援情報には前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を含み、
前記端末装置は、
前記情報提供装置から前記支援情報を取得する支援情報取得手段と、
前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻を取得する支援情報生成時刻情報取得手段と、
前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信手段と、
前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位手段と、
前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成手段と、
前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成手段と、
複数の前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納手段と、
前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成手段と、
前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正手段と、
を有することを特徴とする測位システム。
【請求項2】
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置であって、
前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得手段と、
前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得手段と、
前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信手段と、
前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位手段と、
前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成手段と、
前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成手段と、
複数の前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納手段と、
前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成手段と、
前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記統計基礎情報格納手段は、前記時刻差分情報を時刻差分の大きさに基づいて区分して格納する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記測位時の測位時条件を示す測位時条件情報を生成する測位時条件情報生成手段を有し、
前記統計基礎情報格納手段は、前記時刻差分情報を前記測位時条件に基づいて区分して格納する構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記測位時条件は、前記位置関連信号の強度及び/又は前記測位時の温度であることを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記統計基礎情報を構成する前記時刻差分情報の数に基づいて、前記支援情報生成時刻補正情報の信頼性を判断するための支援情報生成時刻補正情報信頼性判断手段を有することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
前記支援情報生成時刻補正情報に示される支援情報生成時刻補正値が、前記位置情報衛星が使用する位置情報衛星時刻の最小誤差範囲である場合に、前記位置関連信号受信手段は、通常の測位に必要な通常測位必要数よりも一つ少ない数の前記位置関連信号を受信する構成となっていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の端末装置。
【請求項8】
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、
前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、
前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、
を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、
前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記測位結果取得時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、
前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する端末装置が、前記端末装置と通信可能な情報提供装置から前記測位のための支援情報を取得する支援情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報に含まれる前記支援情報を生成した支援情報生成時刻を示す支援情報生成時刻情報を取得する支援情報生成時刻情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報を使用して前記位置関連信号を受信する位置関連信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記位置関連信号に基づいて前記測位を行う測位ステップと、
前記端末装置が、前記測位に使用した前記位置関連信号を受信した位置関連信号受信時刻を示す位置関連信号受信時刻情報を生成する位置関連信号受信時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻と前記位置関連信号受信時刻との時刻差分を示す時刻差分情報を生成する時刻差分情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記時刻差分情報を統計基礎情報として格納する統計基礎情報格納ステップと、
前記端末装置が、複数の前記時刻差分情報を含む前記統計基礎情報を統計処理して前記支援情報生成時刻情報を補正するための支援情報生成時刻補正情報を生成する支援情報生成時刻補正情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記支援情報生成時刻補正情報に基づいて、新たに取得する前記支援情報に含まれる前記支援情報生成時刻情報を補正する支援情報生成時刻情報補正ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−71568(P2006−71568A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258012(P2004−258012)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】