説明

測位システム

【課題】最小限のハードウェア構成で、精密な測位を行うことができ、さらに、省電力で測位を行うことができる測位システムを提案することにある。
【解決手段】測位を行う前に、所定の時刻情報を拡散処理する拡散処理手段と、拡散符号を所定の時刻に送信するように、拡散処理された時刻情報と共に拡散符号を信号として送信する送信手段を有する移動局と、移動局から受信した信号に基づいて移動局の時刻情報を抽出する時刻情報抽出手段と、移動局の時刻情報と基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段とを有する基地局とを含み、時計誤差により基地局の時刻情報を補正した時刻情報に基づき、移動局の測位を行う測位システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトラム拡散通信方式を用いた無線通信において、拡散符号の性質を利用した精密な測位を行う測位システムに関する。特に、測位を行う前に、移動局の時計が示す時刻と基地局の時計が示す時刻との間の時計誤差を計算した上で、測位を行う際に、時計誤差を反映させた時刻に基づき、基地局による同期検出処理を行い、消費電力を抑え、精密な測位を行う測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末の位置を高い精度で推定する測位システムにおいて、精密な測位を可能とする手段を有することは不可欠である。例えば、GPS(Global Positioning System:全世界測位システム)において、GPS衛星が使用するGPS時刻に同期した基地局からの信号を受信することにより、通信端末である携帯電話機はGPS時刻と同期させる。すなわち、通信端末がGPS時刻と同期していることを要するが、基地局からの信号に正確なGPS時刻が乗せられている場合でも、基地局から通信端末まで信号が到着するまでの信号送信時間によって、通信端末が基地局から信号を受信した時刻とGPS時刻との間に、ずれを生じる。
【0003】
そのため、基準時刻を示す基準時刻情報を基地局から、通信端末と基地局との間の距離と比較して大きな数値となる基地局とICタグとの間の既知の距離情報より算出される遅延時間をICタグから受信し、時刻情報と遅延時間とを用いて、通信端末の時計が示す時刻を補正する時刻同期システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−119010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された測位システムにおいては、GPS衛星と、GPS時刻と同期した基地局と、標識(ICタグ)と、移動局としての通信端末とを必須の構成要素とすることから、測位システムの構成が複雑となる。また、GPS時刻と同期した基地局は、GPS受信機が必要であるため、費用的に高価となる。さらに、通信端末の移動範囲に関して、標識(ICタグ)を備える必要があるため、実施設備の整備に費用を要し、高価となる。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、測位を行う前に、移動局と基地局との時計誤差を計算し、測位を行う際に、時計誤差を用いた同期検出を行うことにより、比較的簡単な構成で、精密な測位を行う測位システムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、測位を行う際、高サンプリング周波数で受信信号のサンプリング処理を行う期間を所定の同期検出範囲に限定した期間のみとすることから、同期時刻検出を行うために高サンプリング周波数で常時サンプリングを行う場合と比較して、同期時刻検出を行う基地局の消費電力を小さくすることができる測位システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するため、本発明に係る測位システムにおいては、測位を行う前に、所定の時刻情報を拡散処理する拡散処理手段と、拡散符号を所定の時刻に送信するように拡散処理された時刻情報と共に拡散符号を信号として送信する送信手段を有する移動局と、移動局から受信した信号に基づいて移動局の時刻情報を抽出する時刻情報抽出手段と、移動局の時刻情報と基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段とを有する基地局とを含み、時計誤差により基地局の時刻情報を補正した時刻情報に基づき、移動局が送信する信号の基地局における同期時刻検出を行い、移動局の精密な測位を行う。
【0007】
具体的には、本発明に係る測位システムは、
移動局から送信される信号を受信する基地局と、前記基地局とネットワークにより連結された測位演算部とを含む測位システムであって、
前記移動局は、
自身の時計の時刻を示す移動局の時刻情報を発生させる時刻情報発生手段と、前記時刻情報を拡散処理する拡散処理手段と、拡散符号を所定の時刻に送信するように、拡散処理された時刻情報と共に拡散符号を信号として送信する送信手段を有し、
前記基地局は、
前記基地局の時刻情報を発生させる時刻発生手段と、
前記移動局から受信した信号に基づいて前記移動局の時刻情報を抽出する時刻情報抽出手段と、
前記移動局の時刻情報と前記基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段とを有し、
前記測位演算部は、
少なくとも3つの前記基地局により得られた時刻情報に基づき測位を行う測位演算手段を有し、
前記時計誤差により前記基地局の時刻情報を補正する補正手段を有することを特徴とする。
【0008】
上述した発明によれば、移動局の時刻情報と基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段と、時計誤差により基地局の時刻情報を補正する補正手段と、少なくとも3つの基地局により得られた時刻情報に基づき測位を行う測位演算手段とを有することから、測位を行う際、基地局は時計誤差により補正された基地局の時刻情報に基づき、同期時刻検出を行い、精密な測位を行うことができる。
【0009】
また、測位を行う前に、計算手段により移動局と基地局との時計誤差を計算した上で、補正手段により時計誤差を用いて基地局の時刻情報を補正することから、簡単な構成で、短時間に基地局の時刻情報を補正することができる。
【0010】
本発明に係る測位システムとして、
前記移動局は、前記基地局の時刻情報が補正された後に、前記移動局の時刻情報に基づいた所定の時刻に拡散符号を信号として送信し、
前記基地局は、
前記時刻情報抽出手段におけるサンプリング周波数よりも高く設定されたサンプリング周波数で当該信号をサンプリングする同期検出範囲を、前記補正手段により補正された基地局の時刻情報に基づいて決定する決定手段と、
前記同期検出範囲において受信した当該信号に基づき同期時刻を検出する同期時刻検出手段とを有し、
前記測位演算部は、少なくとも3つの前記基地局により得られた同期時刻に基づき測位を行う、
ことを特徴とする。
【0011】
上述した発明によれば、基地局の時刻情報が補正された後に測位を行う際、基地局は、移動局が送信した拡散符号を確実に含む同期検出範囲に限定した上でサンプリングを行うことが可能となり、サンプリングする期間を所望の期間に限定することができる。
【0012】
従って、限定した期間においてのみ高サンプリング周波数でサンプリング処理を行い、測位演算部により精密な測位を行うことができる。さらに、常時、高サンプリング周波数でサンプリングをすることを要しないため、基地局における同期時刻検出を少ない消費電力で行うことができ、省電力で精密な測位を行う測位システムを実現できる。
【0013】
本発明に係る測位システムとして、移動局を複数備え、基地局は移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されたデータテーブルを備える、ことが好ましい。
【0014】
上述した発明によれば、時計誤差が記憶されたデータテーブルを備えることから、測位を行う度に、時計誤差を測定する必要がなくなる。従って、測位システムの計算負荷を低減させるだけでなく、システム構成も簡素化でき、さらに、省電力で精密な測位を行うことができる。
【0015】
また、基地局が当該データテーブルを備えることから、時計誤差を用いて補正された基地局の時刻情報に基づいた同期時刻検出を高速に行うことができる。結果として、測位演算部により、高速に測位演算を行うことできる。なお、データテーブルには複数の移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されることから、移動局ごとの精密な測位を高速に行うことができる。
【0016】
なお、本発明に係る測位システムとして、移動局を複数備え、測位演算部は移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されたデータテーブルを備える、ことも好ましい。
【0017】
上述した発明によれば、測位演算部が当該データテーブルを備えることから、測位演算部による時計誤差の一括管理が可能となり、複数の移動局それぞれに対応する時計誤差の修正などの管理を容易に行うことができる。
【0018】
そして、本発明に係る測位システムとして、移動局は移動局の時刻情報と共に拡散符号を送信し、移動局の時刻情報は拡散符号の送信完了時刻である、ことが好ましい。
【0019】
上述した発明によれば、基地局は、移動局から送信される拡散符号を受信し、同期検出を行うことにより、移動局の時刻情報と共に送信された拡散符号の受信時刻を測定することができる。さらに、同期保持を行い、逆拡散処理を行うことにより、移動局の時刻情報である拡散符号の送信完了時刻を抽出することができる。この結果、測定した拡散符号の受信時刻と、抽出した拡散符号の送信完了時刻とにより、時計誤差を計算することができる。
【0020】
また、本発明に係る測位システムとして、移動局は移動局の時刻情報と共に二以上の異なる拡散符号を送信する、ことが好ましい。
【0021】
上述した発明によれば、移動局は移動局の時刻情報と共に二以上の異なる拡散符号を送信することから、基地局側で同期検出を行う際、移動局の時刻情報を拡散処理するために用いた拡散符号の自己相関関数の自己相関値のピークを明確にすることができる。従って、時計誤差の測定をより精確に行うことができる。
【0022】
なお、本発明に係る測位システムとして、基地局は、マッチドフィルタを用いて同期検出を行い、同期時刻を計算するともに、同期時刻と移動局の時刻情報とに基づき、時計誤差を計算する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
上述した発明によれば、移動局の時刻情報と基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段と、時計誤差により基地局の時刻情報を補正する補正手段と、少なくとも3つの基地局により得られた時刻情報に基づき測位を行う測位演算手段とを有することから、測位を行う際、基地局は時計誤差により補正された基地局の時刻情報に基づき、同期時刻検出を行い、精密に測位を行うことができる。
【0024】
また、測位を行う前に、計算手段により移動局と基地局との時計誤差を計算した上で、補正手段により時計誤差を用いて基地局の時刻情報を補正することから、簡単な構成で、短時間に基地局の時刻情報を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る測位システムは、測位を行う前に、基地局は、移動局から送信される拡散符号を受信し、同期検出を行うことにより、移動局の時刻情報と共に送信された拡散符号の受信時刻を測定する。さらに、同期保持を行い、逆拡散処理を行うことにより、移動局の時刻情報である拡散符号の送信完了時刻を抽出する。この結果、測定した拡散符号の受信時刻と、抽出した拡散符号の送信完了時刻とにより、時計誤差を計算する。
【0026】
そして、測位を行う際、基地局は時計誤差を反映させた時刻に基づいて同期検出処理を行うことにより精密な測位を行う。すなわち、測位を行う際、所定の時刻に移動局から送信される拡散符号を、測位を行う前に計算された時計誤差を反映させた時刻に基づいた同期検出処理により精密な同期時刻検出を行い、測位を行う。そのため、測位を行う前に計算された時計誤差を反映させた時刻に基づいた同期検出範囲を決定し、基地局が受信した信号を同期検出範囲においてのみ高サンプリング周波数でサンプリングし量子化を行い、同期検出を行い、より精確な同期時刻を算出する。
【0027】
なお、本実施形態に係る測位システムにおいて、基地局間同士は同期し、かつ、基地局の時計の示す時刻に対して時刻あわせが行われていることを前提とする。また、移動局は必ずしも1つに限定されず、複数の移動局である場合にも適用可能である。さらに、本実施形態に係る測位システムにおいては、拡散符号としてPN符号(Pseudo Noise符号)を用いる。以下に、本実施形態に係る測位システムの構成を説明する。
【0028】
<<構成>>
<測位システム1>
図1は、本発明の実施形態に係る測位システム1の概略構成図であり、測位システム1は、移動局2(2A、2B)と、基地局3(3A、3B、3C、3D)と、測位サーバ4とから構成される。なお、1つの移動局の2次元測位を行うためには、移動局と少なくとも3つの基地局との間で移動局が送信する信号の基地局における同期時刻検出を行うことが必要となる。
【0029】
また、基地局間同士は完全に同期し、基地局の時計が示す時刻に対して時刻あわせが行われていることから、移動局の時計が示す時刻と基地局の時計が示す時刻との差異である時計誤差を後述する方法により基地局の時刻に反映させた後、移動局から拡散符号を信号として送信し、基地局ごとに移動局から受信した信号の同期時刻検出を行う。そして、基地局ごとに測定された同期時刻を、各基地局から測位サーバ4に送信する。測位サーバ4は、各基地局から受信した同期時刻と、各基地局の位置とに基づいて各移動局の測位を行う。
【0030】
ここで、無線通信における基地局の概略ブロック図を図2に示す。基地局は、無線部Aと、信号処理部Bと、制御部Cと、制御部Cに電源を供給する電源部Dと、時計部Eと、信号の送受信を切り替える切替スイッチ12と、信号を送受信するアンテナ部14とを有する。無線部Aは、送信する信号を変調する送信無線部31と、受信した信号を復調する受信無線部32とを有する。信号処理部Bは、ベースバンド信号を作成するベースバンド作成部10と、受信した信号に対する同期を検出する同期検出部34と、同期検出後に同期保持を行う同期保持部35とを有する。時計部Eは、図示しないクロック発生器により発生させたクロック信号に基づく信号や時刻情報を信号処理部Bと制御部Cとに送信する。制御部Cは、後述するとおり、移動局や基地局の時計が示す時刻である時刻情報の差異を表す時計誤差や、基地局の時刻の補正等の演算、制御を行う。
【0031】
従って、ベースバンド作成部10で作成されたベースバンド信号は、送信無線部31により変調され、アンテナ部14を介して送信される。また、アンテナ部14により受信された信号は、受信無線部32により復調され、同期検出部34により同期検出処理が行われた後、同期保持部35により同期保持し、ベースバンド信号を抽出する。
【0032】
<移動局2>
図3は、本実施形態の測位システムにおける測位対象である移動局2の概略構成図である。移動局2は、時計22と、制御部24と、拡散符号発生器26と、拡散処理部27と、トランシーバー回路28とから構成される。
【0033】
(時計22)
時計22は、移動局2のクロック発生器(図示せず)により発生したクロック信号から時刻情報を生成する。生成された移動局2の時刻情報は制御部24に送信される。
【0034】
(制御部24)
制御部24は、時計22で生成した時刻情報を監視して、拡散符号発生器26において拡散符号を発生させる開始時刻(拡散符号発生開始時刻)と終了時刻(拡散符号発生終了時刻)を設定し、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻の間、時計22から出力されるクロック信号を拡散符号発生器26に送信する。この結果、拡散符号発生器26は、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻の間、制御部24から受信したクロック信号を用いてタイミングをとることにより、拡散符号を発生させる。
【0035】
また、測位を行う前に時計誤差を計算する際には、制御部24は移動局2から送信される時刻情報として拡散符号の送信完了時刻を拡散処理部27に送信する。送信された時刻情報は、拡散符号発生器26で発生させた拡散符号により拡散処理された後、トランシーバー回路28に送信される。従って、移動局2から送信される信号は、拡散処理された時刻情報(拡散符号の送信完了時刻)と拡散符号とから構成される時刻情報フレームがトランシーバー回路28により変調された後、信号として送信される。
【0036】
図4(A)〜(C)に、時刻情報フレームの例を示す。時刻情報フレームは、拡散符号と拡散符号の送信完了時刻である時刻情報とから構成される。ここで、拡散符号PN0とPN1は互いに異なる拡散符号のPN符号であり、時刻情報(2007年2月9日午前11時36分34秒)は拡散符号PN1により拡散処理された時刻情報である。図4(A)は、拡散符号PN1のみと拡散符号PN1の送信完了時刻である時刻情報とから構成された時刻情報である。また、図4(B)のように拡散符号PN0をPN1と時刻情報との間に挿入付加することにより、基地局3側で同期検出を行う際、PN1の自己相関関数の自己相関値のピークを明確にすることができる。また、図4(C)は、図4(B)の時刻情報フレームに、さらにプリアンブルとして拡散符号PN0を付加したものである。
【0037】
なお、測位を行う際には、後述する測位サーバ4から基地局3を介して、所定の時刻に拡散符号を移動局2から送信することを要求する信号が送信される。そして、前記信号を受信した移動局2では、拡散符号発生器26により発生させた拡散符号のみがトランシーバー回路28により変調された後、送信される。この結果、基地局3では、所定の時刻に移動局2から送信される拡散符号の信号をサンプリングするための同期検出範囲を決定し、同期検出を行うことができる。
【0038】
(拡散符号発生器26)
本実施形態の拡散符号発生器26においては、拡散符号としてPN符号(Pseudo Noise符号)を発生させる。PN符号を発生させる拡散符号発生器は、シフトレジスタと加算器(排他的論理和)とから構成できることが知られている。なお、拡散符号はPN符号に限られず、位相差ゼロにおいて自己相関値が大きく、位相差ゼロ以外のときは自己相関値が十分に小さく、かつ、異なる符号間の相互相関値がすべての位相差において十分に小さいものであれば十分であり、例えば、図5に示す拡散符号発生器の回路により発生させられるGold符号も拡散符号として用いることができる。
【0039】
拡散符号発生器26のシフトレジスタは複数のフリップフロップから構成され、入力したクロック信号を用いてタイミングをとることにより、内部のフリップフロップの値をシフトさせ、拡散符号を発生させる。なお、拡散符号発生器の構成は、移動局2と基地局3とにおいて同一の構成である。さらに、初期値の設定も移動局2と各基地局3とにおいて同一である。従って、移動局2と各基地局3とにおいて、同一の拡散符号を発生させることができる。
【0040】
(トランシーバー回路28)
トランシーバー回路28は、測位を行う前の時計誤差を計算する際及び測位を行う際においても、受信した信号を変調する回路であり、変調された信号はアンテナ部を介して送信される。
【0041】
なお、本実施形態においては、移動局2の測位を行う際、移動局2からベースバンド情報の送信は行わず、拡散符号のみを送信する。そして、後述するように、時計誤差を反映させた時刻に基づいた同期検出範囲を決定し、基地局が受信した信号を同期検出範囲においてのみ高サンプリング周波数でサンプリングし量子化を行い、同期検出を行い、精確な同期時刻を算出することにより、移動局2の精確な測位を行う。
【0042】
<基地局3>
図6は、本実施形態の測位システムにおける基地局3の概略構成図であって、測位を行う前の時計誤差を計算する際と、測位を行う際とにおいて、移動局2から受信した信号に対する処理を説明する図である。基地局3は、トランシーバー回路32と、時計誤差用同期検出部341と同期時刻用同期検出部342とを有する同期検出部34と、時計誤差用同期検出部341の同期検出結果に基づいて同期保持を行う同期保持部35と、時計誤差計算部37及び時刻補正部38を有する制御部36とを含む。
【0043】
(トランシーバー回路32)
トランシーバー回路32は、アンテナ部を介して受信した信号を復調する。復調された信号は、同期検出を行うために同期検出部34と、さらに同期保持を行うために同期保持部35に送信される。
【0044】
(同期検出部34)
同期検出部34の時計誤差用同期検出部341は、測位を行う前に時計誤差を計算する際、時刻情報フレーム要求を受けた移動局2から送信された信号をサンプリングし量子化した後、同期検出を行う。その後、同期保持部35による同期保持を行うことにより、時刻情報を抽出する。時刻情報等は制御部36に送信される。
【0045】
また、同期検出部34の同期時刻用同期検出部342は、測位を行う際、所定の時刻に移動局2から送信される信号を、サンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とにより画定される同期検出範囲においてサンプリングし量子化した後、同期検出を行い、同期時刻を抽出する。同期検出結果である同期時刻は制御部36に送信される。
【0046】
(時計誤差用同期検出部341)
時計誤差用同期検出部341及び同期保持部35の構成を図7に示す。まず、移動局2から送信された後、トランシーバー回路32において復調された信号を、サンプリング周波数clのサンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化するために、復調された信号は時計誤差用同期検出部341の量子化器130に送信される。そして、同期検出を行うために、量子化器130において量子化された信号はマッチドフィルタ134へ送信される。
【0047】
そして、量子化器130により量子化された信号と、拡散符号発生器108により発生させた拡散符号を量子化器110により量子化された信号との自己相関値を、マッチドフィルタ134を用いて算出し、同期検出部140により同期検出を行い、同期保持部35により同期保持を行う。この結果、時刻情報フレームから時刻情報を抽出することができる。以下に、時計誤差用同期検出部341の各構成について説明する。
【0048】
(クロック発生器100)
クロック発生器100は、同期検出部34において行われる時計誤差用同期検出処理の基準となるクロック信号を発生する。そして、発生したクロック信号をクロック生成器102、104及び時計106に送信する。
【0049】
なお、クロック発生器100により発生するクロック信号は、時計誤差用同期検出部341以外に、同期時刻用同期検出部342による同期時刻用同期検出処理の基準となるものである。そのため、発生したクロック信号をクロック生成器202にも送信する(図8)。
【0050】
(クロック生成器102)
クロック生成器102は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、時計誤差用同期検出処理に用いられるサンプリング周波数cl(=cl102)のサンプリングクロック信号を生成する。そして、サンプリングクロック信号は、トランシーバー回路32により復調された信号をサンプリングし量子化するために量子化器130に送信されるとともに、拡散符号発生器108で発生させた拡散符号をサンプリングし量子化するために量子化器110にも送信される。
【0051】
(クロック生成器104)
クロック生成器104は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、拡散符号発生器108で発生させる拡散符号のチップレートを決定するクロック周波数cl104のクロック信号を生成し、拡散符号発生器108に送信する。ここで、クロック周波数cl104は、移動局2で発生した拡散符号のチップレートfとの関係において、cl104=fの関係式が成立するように設定される。
【0052】
(時計106)
時計106は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、基地局の時刻を示す時刻情報を生成する。生成した時刻情報は、時計誤差用同期検出処理により同期時刻を検出するためにも使用される。そのため、同期検出器140に時刻情報を送信する。なお、生成した時刻情報は、時計誤差用同期検出処理以外に、同期時刻用同期検出処理のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻と終了時刻とを算出するために使用される。そのため、サンプリング制御信号発生器220にも時刻情報を送信する(図8)。
【0053】
(拡散符号発生器108)
拡散符号発生器108と上述した移動局2の拡散符号発生器26とは、構成及び初期値の設定が同じであることから、移動局2と各基地局3とにおいて、同一の拡散符号を発生することができる。従って、システム構成の簡素化を図ることができる。なお、時計誤差用同期検出処理と同期時刻用同期検出処理とにおいて異なる拡散符号を用いる場合、対応する拡散符号発生器を、移動局側に設けることが必要となる。
【0054】
本実施形態の測位システムは、測位サーバ4から送信される拡散符号発生制御信号を受信したとき、拡散符号発生器108は拡散符号を発生させる。そして、時計誤差用同期検出処理の際には、拡散符号発生器108において発生させた拡散符号を、サンプリング周波数cl(=cl102)のサンプリングクロック信号でサンプリングし量子化を行うために量子化器110に送信する。一方、同期時刻用同期検出処理の際には、拡散符号発生器108において発生させた拡散符号を、サンプリング周波数cl(=cl202)のサンプリングクロック信号でサンプリングし量子化を行うために量子化器210に送信する。
【0055】
(量子化器110)
量子化器110は、拡散符号発生器108において発生させた拡散符号を、サンプリングクロック信号に基づきサンプリングし、量子化を行う。サンプリングクロック信号は、復調された受信信号を量子化器130によりサンプリングして量子化するために用いられる信号であるとともに、拡散符号をサンプリングして量子化するためにも用いられる信号である。従って、後述するマッチドフィルタ134を用いて、量子化器130により量子化された信号と、量子化器110により量子化された拡散符号との自己相関値を算出し、同期検出器140により同期検出を行うことができる。
【0056】
(量子化器130)
量子化器130は、トランシーバー回路32において復調された信号を、クロック生成器102において生成されたサンプリング周波数cl102のサンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化を行う。具体的には、受信したチップレートfの信号を、サンプリング周波数cl102(=n・f)Hzで、サンプリングし量子化を行う。量子化器130において量子化された信号は、リアルタイムで同期検出を行うためにマッチドフィルタ134に出力される。
【0057】
(マッチドフィルタ134)
マッチドフィルタ134は、量子化器110により量子化された拡散符号と、量子化器130により量子化された信号との自己相関値を算出するマッチドフィルタ処理を行い、算出した自己相関値を同期検出部140に出力する。図9に、マッチドフィルタ134の構成を示す。量子化器130により量子化されメモリ又はレジスタ132に記憶された信号も、量子化器110により量子化された拡散符号も、デジタル情報として扱っているため、マッチドフィルタ134はシフトレジスタを用いて簡易に構成することができる。なお、図9中のrは、同期検出処理におけるチップレートに対する比率であり、同期処理の分解能に対応した数値であり、拡散符号の長さNに対してrNビットの処理となる。
【0058】
(同期検出器140)
同期検出器140は、マッチドフィルタ134から出力される自己相関値から同期検出を行い、時計106から出力される時刻情報を用いて同期時刻を抽出する。
【0059】
(同期保持部35)
同期保持部35は、測位を行う前に、移動局2の時計が示す時刻である時刻情報と基地局3の時計が示す時刻である時刻情報との差異である時計誤差を計算するために、同期検出器140により同期を検出し、同期保持を行うことにより、移動局2から受信した時刻情報フレームから時刻情報である拡散符号の送信完了時刻を抽出する。抽出された時刻情報は、制御部36に送信され、時計誤差計算部37により時計誤差が計算される。
【0060】
(同期時刻用同期検出部342)
同期時刻用同期検出部342の構成を図8に示す。まず、移動局2から送信された後、トランシーバー回路32において復調された拡散信号を、後述する同期検出範囲において、サンプリング周波数clと比較して高く設定されたサンプリング周波数clのサンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化するために、復調された信号は同期時刻用同期検出部342の量子化器230に送信される。そして、マッチドフィルタ234を用いた同期検出を行うために、量子化器230において量子化された信号は、メモリ又はレジスタ232に送信され記憶される。
【0061】
そして、メモリ又はレジスタ232に記憶された信号と、拡散符号発生器108により発生させた拡散符号を量子化器210により量子化された信号との自己相関値を、マッチドフィルタ234を用いて算出し、同期検出部240により同期検出を行い、同期時刻を抽出する。以下に、同期時刻用同期検出部342の各構成について説明する。なお、時計誤差用同期検出部341と同期時刻用同期検出部342とにおいて、クロック発生器100、時計106、クロック生成器104及び拡散符号発生器108は共用する。
【0062】
(クロック生成器202)
クロック生成器202は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、同期時刻用同期検出処理に用いられるサンプリング周波数cl(=cl202)のサンプリングクロック信号を生成する。そして、サンプリングクロック信号は、トランシーバー回路32により復調された信号をサンプリングし量子化するために量子化器230に送信されるとともに、拡散符号発生器108で発生させた拡散符号をサンプリングし量子化するために量子化器210にも送信される。
【0063】
ここで、同期時刻用同期検出処理のサンプリング周波数cl(=cl202)は、時計誤差用同期検出処理のサンプリング周波数cl(=cl102)よりも高く設定される。従って、同期検出を行うことにより精密な同期時刻を抽出することができるため、より精密な測位を行うことができる。
【0064】
(量子化器210)
量子化器210は、拡散符号発生器108において発生させた拡散符号を、サンプリングクロック信号に基づきサンプリングし、量子化を行う。ここで、クロック生成器202により生成されたサンプリング周波数cl(=cl202)のサンプリングクロック信号は、復調された受信信号を量子化器230によりサンプリングして量子化するために用いられる信号であるとともに、拡散符号をサンプリングして量子化するためにも用いられる信号である。従って、後述するマッチドフィルタ234を用いて、量子化器230により量子化されメモリ又はレジスタ232に記憶された信号と、量子化器210により量子化された拡散符号との自己相関値を算出し、同期検出器240により同期検出を行い、精密な同期時刻を算出することができる。
【0065】
(サンプリング制御信号発生器220)
サンプリング制御信号発生器220は、時計106から出力される時刻情報と、移動局2から信号が送信される所定の時刻とから、サンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを算出し、算出した時刻に基づき、量子化器230により量子化を開始させる開始信号と量子化を終了させる終了信号とを発生させ、量子化器230に送信する。
【0066】
(量子化器230)
量子化器230は、トランシーバー回路32において復調された信号を、クロック生成器202において生成されたサンプリング周波数cl(=cl202)のサンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化を行う。具体的には、受信したチップレートfの信号を、サンプリング周波数cl202(=n・f)Hzで、サンプリングし量子化を行う。受信した信号の量子化を行う同期検出範囲は、サンプリング制御信号発生器220から受信するサンプリング開始信号とサンプリング終了信号とに基づき画定される。量子化器230において量子化された信号は、メモリ又はレジスタ232に記憶される。
【0067】
(メモリ又はレジスタ232)
メモリ又はレジスタ232は、量子化器230により量子化された信号を記憶する。これは、同期検出を行うための相関演算をリアルタイムで行うことが困難な場合でも、メモリ又はレジスタ232に量子化された信号を記憶し、記憶した信号に対してオフラインによる相関演算を行うためである。この結果、量子化器230により量子化された信号の情報量が大量となり、リアルタイムでの同期検出を行うことが困難な場合でも、確実かつ精密な同期検出を行うことができる。なお、リアルタイムでの同期検出が可能な場合は、量子化された信号をメモリ等に記憶する必要はないため、メモリ又はレジスタ232を省略した構成とすることも可能である。
【0068】
(マッチドフィルタ234)
マッチドフィルタ234は、量子化器210により量子化された拡散符号と、量子化器230により量子化されメモリ又はレジスタ232に記憶された信号との自己相関値を算出するマッチドフィルタ処理を行い、算出した自己相関値を同期検出部240に出力する。
【0069】
(同期検出器240)
同期検出器240は、マッチドフィルタ234から出力される自己相関値から同期検出を行い、同期検出結果とサンプリング開始時刻とから同期時刻を演算する。同期検出結果は、制御部36に送信される。
【0070】
(制御部36)
制御部36は、時計誤差計算部37と時刻補正部38とを有する。時計誤差計算部37は、時計誤差用同期検出部341と同期保持部35とにより、後述する時計誤差用同期処理により時刻情報フレームから抽出された「移動局2の時計に基づく拡散符号の送信完了時刻」と、「基地局3の時計に基づく拡散符号の同期時刻」とから、移動局2の時計が示す時刻である時刻情報と基地局3の時計が示す時刻である時刻情報との差異である時計誤差を計算する。なお、時計誤差計算部37により、測位を行う前に算出された時計誤差は、制御部36から測位サーバ4へ送信される。
【0071】
また、本実施形態に係る測位システムは、測位を行う前に、基地局3の時計が示した時刻である時刻情報に対して、時刻補正部38による時計誤差を用いた補正が行われる。従って、時刻補正部38により補正された時刻を用いて、同期時刻用同期検出部342は同期検出を行い、同期時刻を算出することができる。なお、測位を行う際、時計誤差を用いて、基地局の時計が示す時刻、すなわち時計自体を時刻補正部38により補正することも可能である。
【0072】
<測位サーバ4>
本実施形態に係る測位システムは、移動局と少なくとも3つの基地局との間で算出された同期時刻データと、各基地局の位置とに基づき、移動局2の測位を行う測位演算器(図示しない)を有する測位サーバ4を備える。また、本実施形態に係る測位システムは、測位サーバ4から拡散符号発生器108に拡散符号発生制御信号を送信し、拡散符号発生器108が拡散符号発生制御信号を受信することにより、拡散符号を発生させる。また、通信モードのうちの測位モードにおいて、後述する測位処理が実行される。
【0073】
また、測位サーバ4は、基地局3の制御部36の時計誤差計算部37により計算された複数の移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶された時計誤差データテーブルを備える。図10に時計誤差データテーブルの例を示す。時計誤差データテーブルは、移動局番号と、移動局番号に対応した移動局と基地局との時計誤差とから構成されるデータテーブルである。
【0074】
従って、時計誤差データテーブルを備えることから、測位を行う度に、時計誤差を測定する必要がなくなる。さらに、測位システムの計算負荷を低減させるだけでなく、システム構成も簡素化できるともに、省電力で精密な測位を行うことができる。また、本実施形態においては、測位サーバ4において時計誤差データテーブルを備えることから、測位サーバ4による時計誤差の一括管理が可能となり、複数の移動局それぞれに対応する時計誤差の修正などの管理を容易に行うことができる。
【0075】
そして、測位を行う際、各基地局に対して時計誤差データテーブルに記憶された時計誤差を移動局番号とともに送信し、各基地局の時計が示す時刻である時刻情報を、時計誤差を用いて移動局の時計が示す時刻基準に補正された時刻を用いることにより、移動局2が送信する信号の基地局3における同期時刻検出を精確に行うことができる。この結果、移動局2の精密な測位を行うことができる。さらに、時計誤差データテーブルには複数の移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されることから、移動局ごとの精密な測位を行うことができる。
【0076】
なお、時計誤差データテーブルは測位サーバ4に備えられる構成に限定されず、測位を行う計算時間を短縮するために、基地局ごとに備える構成とすることも可能である。基地局3において時計誤差データテーブルを備えることから、一旦移動局毎の時計誤差が算出されれば以降の測位において移動局と基地局の時計誤差の算出が不要となる。結果として、測位サーバ4により、高速に測位演算を行うことできる。
【0077】
<<時計誤差計算処理>>
本実施形態に係る測位システムにおいては、測位を行う前に、移動局2の時計が示す時刻である時刻情報と、基地局3の時計が示す時刻である時刻情報との差異である時計誤差を計算し、計算された時計誤差を用いることにより、移動局2の精密な測位を行う。ここで、本実施形態に係る測位システムにおいて実行される時計誤差計算処理は、まず、測位サーバ4からの時刻情報送信命令を基地局3を介して受信した移動局2が、拡散符号であるPN符号と、拡散符号の送信完了時刻を拡散処理した移動局2の時刻情報とからなる時刻情報フレームを内容とする信号を送信する。次いで、移動局2から受信した信号を、サンプリング周波数cl(=cl102)でサンプリングし量子化して、拡散符号について同期検出を行い、移動局2の時刻情報と共に送信された拡散符号の受信時刻を測定する。さらに、同期保持を行い、逆拡散処理を行うことにより移動局2の時刻情報を抽出する。そして、移動局2と基地局3との時計誤差を計算した後、測位サーバ4に送信し、測位サーバ4において時刻情報データテーブルに記憶する。
【0078】
以下に、本実施形態の測位システムにおいて実行される時計誤差計算処理を、図11を用いて説明する。なお、時刻情報フレームとしては図4(C)のフレームが送信される。また、時刻情報フレームの送信タイミングは、拡散符号PN1の終端、すなわち、拡散符号PN1の送信完了時刻が正秒となるように制御されるものとする。
【0079】
(時刻情報送信命令処理)
まず、時計誤差計算処理を開始するために、測位サーバ4は、移動局2の時刻情報(移動局2により発生させた拡散符号PN1の送信完了時刻)の送信命令を示す信号を基地局3に送信する(ステップS10)。
【0080】
(時刻情報フレーム要求処理)
測位サーバ4から時刻情報送信命令を示す信号を受信した基地局3は、拡散符号PN1と時刻情報とから構成される時刻情報フレームの送信要求を示す信号を移動局2に送信する(ステップS20)。このとき、1つの基地局から各移動局に対して、時刻情報フレームの送信要求を示す信号を送信する。
【0081】
(時刻情報フレーム処理)
基地局3から時刻情報フレームの送信要求を示す信号を受信した移動局2は、拡散符号PN1と、移動局2により発生させた拡散符号PN1の送信完了時刻を内容とする時刻情報とからなる時刻情報フレームを作成し(ステップS40)、基地局3に送信する(ステップS42)。
【0082】
(時刻情報受信命令処理)
時刻情報送信命令処理(ステップS10)により、移動局2から基地局3に時刻情報フレームが送信されることから、測位サーバ4は、移動局2の時刻情報の受信命令を示す信号を基地局3に送信する(ステップS12)。
【0083】
(サンプリング処理)
移動局2から送信された時刻情報フレームを内容とする信号を受信した基地局3では、受信した信号をトランシーバー回路32で復調し、同期検出を行うことから、所定のサンプリング周波数clでサンプリングし量子化するため、量子化器130に送信する。量子化器130においては、まず、受信した信号を、サンプリング周波数cl(=cl102)Hzでサンプリングし量子化を行うサンプリング処理を行う(ステップS22)。なお、サンプリング周波数cl102は、移動局2で発生させた拡散符号PN1のチップレートfとの関係において、cl102=n・fの関係式が成立するように設定される。なお、nは整数である。
【0084】
(同期検出処理)
量子化器130により量子化された信号と、量子化器110により量子化された拡散符号PN1との自己相関値を、マッチドフィルタ134を用いて算出し、自己相関値がピークとなる時刻を同期検出器140により計算する同期検出処理を実行する(ステップS24)。同期検出処理は、拡散符号PN1により同期検出を行うことから、時刻情報フレーム中の拡散符号PN1の終端において同期検出される。
【0085】
なお、同期検出分解能は、上述のとおり、サンプリング処理(ステップS22)において、サンプリング周波数cl102(=n・f)Hzでサンプリングし量子化を行っていることから、チップ時間(=1/f)のn分の1となる。
【0086】
(時刻情報抽出処理)
同期検出器140により同期検出を行った後、同期保持部35により同期保持を行い、拡散符号PN1による逆拡散を行うことにより、移動局2から受信した時刻情報フレームから時刻情報である拡散符号PN1の送信完了時刻を抽出する(ステップS26)。抽出された時刻情報は、制御部36の時計誤差計算部37により時計誤差を計算される際に用いられる。
【0087】
(時計誤差計算処理)
時刻情報抽出処理(ステップ26)により抽出された時刻情報は、移動局2の時計が示す時刻に基づく拡散符号PN1の送信完了時刻である。従って、移動局2の時計が示す時刻に基づく拡散符号PN1の送信完了時刻と、基地局3の時計が示す時刻に基づく同期時刻とから、移動局2と基地局3との時計誤差を時計誤差計算部37により計算する(ステップS28)。時計誤差計算処理により計算された時計誤差は、測位サーバ4に送信される。
【0088】
上述した時計誤差計算処理を、図12を用いて説明する。図12中の移動局2から送信される時刻情報フレームは、拡散符号PN0及びPN1と、時刻情報(2007年2月9日午前11時36分34秒)とから構成されている。ここで、時刻情報は拡散符号PN1により拡散処理された時刻情報であって、その内容は拡散符号PN1の送信完了時刻である。従って、拡散符号PN1により行われる時刻情報フレームの同期検出は、時刻情報フレーム中の拡散符号PN1の終端において同期検出される。図12は、時刻情報フレームを拡散符号PN1により相関演算した結果、基地局3の時計が示す時刻(2007年2月9日午前11時36分37秒)において自己相関関数の自己相関値のピークを検出し、同期時刻として検出した図である。
【0089】
従って、基地局3の時計は移動局2の時計に対して3秒進んでいると判断され、時計誤差計算部37により時計誤差は+3秒と計算される。ここで、算出された時計誤差には、移動局2と基地局3との間の距離に応じた遅延時間が含まれているが、遅延時間は時計誤差と比較して微小である。そのため、移動局2と基地局3との厳密に精確な時刻あわせはできないが、後述する測位処理により移動局2の精密な測位を行うことができる。
【0090】
(時計誤差記憶処理)
測位サーバ4が受信した時計誤差は、測位を行う際、基地局3の時計が示す時刻である時刻情報から、移動局2の時計が示す時刻に基づいた補正が行われた時刻を算出するために用いられる。そのため、受信した時計誤差を、測位サーバ4の時計誤差データテーブルに記憶する時計誤差記憶処理を行う(ステップS14)。この結果、測位を行う際、測位サーバ4が有する時計誤差データテーブルに記憶された時計誤差に基づき、基地局3は自己の時計が示す時刻である時刻情報を移動局2の時計が示す時刻を基準に補正した時刻を算出することができる。
【0091】
<<測位処理>>
本実施形態に係る測位システムにおいては、移動局2と基地局3との間の無線通信として、精密な測位を可能とし、かつ、高い通信品質と秘匿性とを確保するため、直接拡散スペクトラム拡散通信方式を用いる。そして、移動局から送信される拡散符号(PN符号)を、基地局3が受信することにより同期検出を行い、少なくとも3つの基地局の同期検出結果情報により、移動局2の測位を行う。そのため、基地局3では、受信したPN符号を時計誤差用同期検出処理のサンプリング周波数clに比較して高く設定されたサンプリング周波数clでサンプリングし量子化を行い、同期検出を行い、より精確な同期時刻を算出する必要がある。
【0092】
そこで、本実施形態に係る測位ステムの同期時刻検出処理は、拡散符号の性質を利用し、上記時計誤差計算処理により計算された時計誤差を用いて同期検出処理を行い、精確な同期時刻を算出するものである。より具体的には、時計誤差を用いて基地局3の時計が示す時刻である時刻情報を移動局2の時計が示す時刻を基準に補正した時刻を算出し、算出された時刻に基づいた同期時刻用同期検出処理を行うための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを決定し、同期時刻用同期検出処理のための量子化器230による量子化された信号をメモリ又はレジスタ232に記憶する。そして、メモリ又はレジスタ232に記憶されたサンプリング結果である信号に対して、高サンプリング周波数clにより同期検出を行い、精確な同期時刻を算出する。
【0093】
なお、本実施形態に係る測位システムにおいては、測位サーバ4により設定される通信モードが測位モードである場合に測位を行う。そして、測位モードである場合は、サンプリングデータ量を減らすため、移動局2からベースバンド情報の送信は行わず、拡散符号のみを送信する。以下に、本実施形態に係る測位システムの測位処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0094】
(信号送信命令処理)
まず、測位処理を開始するために、測位サーバ4は、移動局2から拡散符号の送信命令を示す信号を基地局3に送信する(ステップS50)。
【0095】
(信号送信要求処理)
測位サーバ4から信号送信命令を示す信号を受信した基地局3は、拡散符号の送信要求を示す信号を移動局2に送信する(ステップS60)。このとき、1つの基地局から移動局に対して、信号送信要求を示す信号を送信する。
【0096】
(信号送信処理)
基地局3から信号送信要求を示す信号を受信した移動局2は、拡散符号を作成し、各基地局に送信する(ステップS80)。なお、本実施形態の測位処理における移動局2からの拡散符号の送信タイミングは、拡散符号の終端、すなわち、拡散符号の送信完了時刻が正秒となるように制御される。
【0097】
(時計誤差送信処理)
測位サーバ4は信号送信命令処理(ステップS50)を行った後、時計誤差データテーブルに記憶された時計誤差を移動局番号とともに、時刻情報により基地局の時計が示す時刻を補正した時刻を算出するため、基地局3に送信する(ステップS52)。
【0098】
(基地局時刻補正処理)
時計誤差データテーブルに記憶されていた時計誤差を受信した基地局は、基地局の時計が示す時刻を時計誤差により補正した時刻を計算する(ステップS62)。具体的には、移動局2の信号送信処理(ステップS80)により、移動局2は、送信する拡散符号の終端、すなわち、拡散符号の送信完了時刻が正秒となるように制御する。従って、拡散符号の送信完了時刻を時計誤差により補正した時刻を基地局側での同期予定時刻tとして設定する。
【0099】
(サンプリング時刻算出処理)
基地局時刻補正処理(ステップS62)により計算された同期予定時刻tに基づき、後述する同期検出処理(ステップS70)のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻tSSとサンプリング終了時刻tSfとを算出する(ステップS64)。なお、算出された同期検出処理のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻tSS及びサンプリング終了時刻tSfと、時刻情報とから、サンプリング制御信号発生器220は、量子化器230によりサンプリングし量子化を開始する開始信号と、終了させる終了信号とを量子化器230に送信する。
【0100】
サンプリング開始時刻tSSとサンプリング終了時刻tSfとを算出する処理を、図14を用いて説明する。図14は、サンプリング開始時刻tSSとサンプリング終了時刻tSfとを算出するフローチャートである。
【0101】
まず、サンプリング制御信号発生器220において実行される基地局時刻補正処理(ステップS62)により同期予定時刻tを設定する(ステップS90)。同期予定時刻tに基づき、サンプリング開始時刻tSS(=t−tSSP−T)を算出する(ステップS92)。ここで、tSSPは同期前側予備時間、Tは符号周期を表す。さらに、サンプリング終了時刻tSf(=t+tSfP)を算出する(ステップS94)。ここで、tSfPは同期後側予備時間を表す。
【0102】
なお、サンプリング開始時刻tSSとサンプリング終了時刻tSfとにより画定される同期検出範囲に対して、同期前側予備時間tSSPと同期後側予備時間tSfPとを付加した新たな同期検出範囲と設定し、設定された同期検出範囲においてサンプリングすることにより、移動局から信号として送信される拡散符号を含むサンプリング結果を確実に取得できる。従って、精密な同期時刻検出、測位を行うことができる。2つの予備時間は、移動局、基地局に備えられた時計各々の速度の違いにより生じる時計誤差である時計ピッチ誤差、すなわち、移動局及び基地局の1局が備える時計が単位時間経過したときに、他の局が単位時間とは異なる経過時間を示すことにより生じる時計ピッチ誤差や、時計誤差用同期検出処理のサンプリング周波数clと同期時刻用同期検出処理のサンプリング周波数clとの相違に基づく量子化誤差等を考慮して決定する。
【0103】
従って、同期検出範囲をより限定して決定することができることから、精密な同期時刻検出、測位を行うために、移動局から信号として送信される拡散符号を確実に含むサンプリング結果を確実に取得できるとともに、基地局における同期時刻検出をより少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。
【0104】
(サンプリング処理)
移動局2から送信された拡散符号を内容とする信号を受信した基地局3では、受信した信号をトランシーバー回路32で復調し、同期検出を行うために所定のサンプリング周波数でサンプリングし量子化するため、量子化器230に送信される。量子化器230においては、まず、受信した信号を、サンプリング周波数cl(=cl202)Hzでサンプリングし量子化を行うサンプリング処理を行う(ステップS66)。
【0105】
(量子化された受信信号の記憶処理)
量子化器230により量子化された信号は、高サンプリング周波数clでサンプリングした場合、大量の情報量を有することから、後述する同期検出処理(ステップS70)において、高速な相関演算を要する同期検出処理をリアルタイムで行うことは困難である。そのため、量子化器230により量子化された信号をメモリ又はレジスタ232に記憶する(ステップS68)。
【0106】
(同期検出処理)
量子化器230により量子化された後にメモリ又はレジスタ232に記憶された信号と、量子化器210により量子化された拡散符号との自己相関値を、マッチドフィルタ234を用いて算出し、自己相関値がピークとなる時刻を同期検出器240により計算する同期検出処理を実行する(ステップS70)。同期検出処理は、拡散符号により同期検出を行うことから、送信された拡散符号の終端において同期検出される。
【0107】
なお、同期検出分解能は、上述のとおり、サンプリング処理(ステップS66)において、サンプリング周波数cl202(=n・f)Hzでサンプリングし量子化を行っていることから、チップ時間(=1/f)のn分の1となる。従って、受信したPN符号を時計誤差用同期検出処理のサンプリング周波数clに比較して高く設定されたサンプリング周波数clでサンプリングし量子化を行い、同期検出を行うことから、より精確な同期時刻を算出することが可能となる。
【0108】
(同期時刻算出処理)
さらに、同期検出器240は、マッチドフィルタ134から出力される自己相関値と、サンプリング制御信号発生器220により計算されたサンプリング開始時刻tSSとから、各基地局での同期時刻を算出する同期時刻算出処理を実行する(ステップS72)。具体的には、サンプリング開始時刻tSSと、サンプリング開始時刻tSSから自己相関値がピーク値を示すまでの時間を検出し、同期検出時刻算出し、測位サーバ4に送信する。
【0109】
ここで、図15を用いて、サンプリング開始時刻tSSからサンプリング終了時刻tSfまでの同期検出範囲において、量子化器230により量子化された受信信号と、拡散符号発生器108で発生させ量子化器210により量子化されたbpnbitのPN符号(レプリカ)とから、同期検出時刻を算出する方法を説明する。サンプリング開始時刻tSSからサンプリング終了時刻tSfまでの同期検出範囲の期間、量子化器230により量子化された受信信号は、1符号周期Tの拡散符号(PN符号)を含むことから、量子化された受信信号における自己相関関数の自己相関値の極大値を計測することができる。従って、同期検出処理のサンプリング開始時刻tSSと、同期検出のためにサンプリングされた受信信号における自己相関値が極大値となるbit番号より同期時刻tを算出することができる。
【0110】
具体的には、PN符号(レプリカ)がbpnbitであり、マッチドフィルタ234により、サンプリング開始時刻tSSから同期検出処理のために量子化器230により量子化された受信信号をPN符号(レプリカ)に対して1bitごとシフトさせて自己相関値を算出して、自己相関値が極大値となるbit数bを計測する。従って、同期検出時刻t(=tSS+(bpn+b)/cl)を算出することができる。ここで、cl(=cl202)は、クロック生成器202において、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、同期時刻用同期検出処理に用いられるサンプリングクロック信号のサンプリング周波数である。
【0111】
(測位計算処理)
同期時刻算出処理において算出された同期時刻は、基地局番号とともに測位サーバ4に送信される(ステップS72)。そして、少なくとも3つの基地局に対して算出された移動局2が送信した拡散符号の同期検出時刻を基にして、移動局2の測位を行う(ステップS54)。
【0112】
具体的には、測位システムは、以下の3つの連立方程式を解くことによって、移動局20の座標(x、y)を算出するものであり、この座標(x、y)を未知数とする。
(x−x1)+(y−y1)=(d1+s) (数1)
(x−x2)+(y−y2)=(d2+s) (数2)
(x−x3)+(y−y3)=(d3+s) (数3)
ここで、基地局3Aの座標を(x1、y1)、基地局3Bの座標を(x2、y2)、基地局3Cの座標を(x3、y3)とする。基地局3Aと基地局3Bと基地局3Cとを、予め位置が解っている位置に位置づけることで、これらの座標を既知の定数とすることができる。さらに、移動局2と基地局3Aとの間の距離をd1、移動局2と基地局3Bとの間の距離をd2、移動局2と基地局3Cとの間の距離をd3と表されたこれらの距離も既知の定数とすることができる。移動局2と基地局3の時計誤差をsとする。測位システムでは、移動局2から送信された信号の基地局3における同期時刻の基地局間における差分より移動局2の位置を算出することができる。具体的には、(数1)、(数2)、(数3)より以下の数式を得る。
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x2)+(y−y2)(1/2)=(d1+s)−(d2+s) (数4)
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x3)+(y−y3)(1/2)=(d1+s)−(d3+s) (数5)
【0113】
また、基地局3A、3Bそして3Cの同期時刻をT2a30A、T2a30B、T2a30Cとし、伝搬速度をcとすると、以下の関係が成立する。
(d1+s)−(d2+s)=(T2a30A−T2a30B)×c (数6)
(d1+s)−(d3+s)=(T2a30A−T2a30C)×c (数7)
(数6)及び(数7)により、(数4)及び(数5)は以下となる。
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x2)+(y−y2)(1/2)=(T2a30A−T2a30B)×c (数8)
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x3)+(y−y3)(1/2)=(T2a30A−T2a30C)×c (数9)
(数8)及び(数9)により未知数x,yを算出することができる。
【0114】
以上のように、本実施形態の測位システムによれば、移動局2の時刻情報と基地局3の時刻情報とを用いて移動局2の時計誤差を計算する時計誤差計算部37と、時計誤差により基地局の時刻情報を補正する時刻補正部38と、少なくとも3つの基地局により得られた時刻情報に基づき測位を行う測位サーバ4とを有することから、基地局3は、時計誤差により補正された基地局の時刻情報に基づき、移動局2が送信する信号の受信タイミングを予測することができる。従って、基地局3は、測位を行う際、移動局2が信号として送信する拡散符号を確実に含む同期検出範囲に限定した上で、受信した信号のサンプリングを行うことが可能となり、サンプリングする期間を所望の期間に限定することができる。
【0115】
従って、限定した期間においてのみ高サンプリング周波数でサンプリング処理を行い、測位サーバ4により精密な測位を行うことができる。さらに、常時、高サンプリング周波数でサンプリングをすることを要しないため、基地局3における同期時刻検出を少ない消費電力で行うことができ、省電力で精密な測位を行う測位システムを実現できる。また、測位を行う前に、時計誤差計算部37により移動局2と基地局3との時計誤差を計算した上で、時刻補正部38により時計誤差を用いて基地局3の時刻情報を補正することから、簡単な構成で、短時間に補正することができる。
【0116】
更に、本発明に係る測位システムは、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施形態に係る測位システム1の概略構成図である。
【図2】測位システム1の基地局3の概略ブロック図である。
【図3】測位システム1の移動局2の概略構成図である。
【図4】移動局2から送信される時刻情報フレームである。
【図5】拡散符号発生器26の回路の一例である。
【図6】測位システム1の基地局3の概略構成図である。
【図7】基地局3の時計誤差用同期検出部341の構成図である。
【図8】基地局3の同期時刻用同期検出部342の構成図である。
【図9】マッチドフィルタ134の構成図である。
【図10】時計誤差データテーブルの実施例である。
【図11】時計誤差計算処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】時計誤差計算処理を説明するための図である。
【図13】測位処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】サンプリング制御信号発生器220におけるサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを算出するフローチャートである。
【図15】同期検出処理における同期時刻算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0118】
1 測位システム
2、2A、2B 移動局
3、3A、3B、3C、3D 基地局
4 測位サーバ
22 時計
24 制御部
26 拡散符号発生器
27 拡散処理部
28 トランシーバー回路
32 トランシーバー回路
34 同期検出部
35 同期保持部
36 制御部
37 時計誤差計算部
38 時刻補正部
100 クロック発生器
102、104、202 クロック生成器
106 時計
108 拡散符号発生器
110、210 量子化器
130、230 量子化器
134、234 マッチドフィルタ
140、240 同期検出器
220 サンプリング制御信号発生器
232 メモリ又はレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局から送信される信号を受信する基地局と、前記基地局とネットワークにより連結された測位演算部とを含む測位システムであって、
前記移動局は、
自身の時計の時刻を示す移動局の時刻情報を発生させる時刻情報発生手段と、前記時刻情報を拡散処理する拡散処理手段と、拡散符号を所定の時刻に送信するように、拡散処理された時刻情報と共に拡散符号を信号として送信する送信手段とを有し、
前記基地局は、
前記基地局の時刻情報を発生させる時刻発生手段と、
前記移動局から受信した信号に基づいて前記移動局の時刻情報を抽出する時刻情報抽出手段と、
前記移動局の時刻情報と前記基地局の時刻情報とを用いて移動局の時計誤差を計算する計算手段とを有し、
前記測位演算部は、
少なくとも3つの前記基地局により得られた時刻情報に基づき測位を行う測位演算手段を有し、
前記時計誤差により前記基地局の時刻情報を補正する補正手段を有することを特徴とする測位システム。
【請求項2】
前記移動局は、前記基地局の時刻情報が補正された後に、前記移動局の時刻情報に基づいた所定の時刻に拡散符号を信号として送信し、
前記基地局は、
前記時刻情報抽出手段におけるサンプリング周波数よりも高く設定されたサンプリング周波数で当該信号をサンプリングする同期検出範囲を、前記補正手段により補正された基地局の時刻情報に基づいて決定する決定手段と、
前記同期検出範囲において受信した当該信号に基づき同期時刻を検出する同期時刻検出手段とを有し、
前記測位演算部は、少なくとも3つの前記基地局により得られた同期時刻に基づき測位を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の測位システム。
【請求項3】
前記移動局を複数備え、
前記基地局は前記移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されたデータテーブルを備える、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の測位システム。
【請求項4】
前記移動局を複数備え、
前記測位演算部は前記移動局それぞれに対応する時計誤差が記憶されたデータテーブルを備える、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の測位システム。
【請求項5】
前記移動局は前記移動局の時刻情報と共に拡散符号を送信し、
前記移動局の時刻情報は前記拡散符号の送信完了時刻である、
ことを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の測位システム。
【請求項6】
前記基地局は、マッチドフィルタを用いて同期検出を行い、同期時刻を計算するともに、前記同期時刻と前記移動局の時刻情報とに基づき、前記時計誤差を計算する、
ことを特徴とする請求項1〜5の一項に記載の測位システム。
【請求項7】
前記移動局は前記移動局の時刻情報と共に二以上の異なる拡散符号を送信する、
ことを特徴とする請求項1〜6の一項に記載の測位システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−25028(P2009−25028A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185679(P2007−185679)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】