説明

測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置

【課題】複数の測位技術のうち現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定することのできる測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置を提供する。
【解決手段】測位正確度算出方法は、測位正確度算出方法において、端末で用いられる測位技術に対応するマップを提供するステップと、前記マップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出すステップと、前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を算出するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置に関し、特に、複数の測位技術のうち現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定することのできる測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の急激な発展によってネットワークのインフラが広範囲に普及され、先端デジタル装置が日常生活に普遍化されることにつれ、これに基づいたユビキタス時代が到来している。
このようなユビキタス時代に様々なクライアントの要求を満足するためには、人が直接的に関与しない状況においてもクライアントに必要なサービスを提供しなければならない。したがって、コンピュータ自体が人の行動及び位置を認識する技術はユビキタスサービスの基礎となる。
【0003】
位置基盤サービス(Location−based services)はGPS(Global Positioning System)を用いた室外環境中心に開発されたが、現在には様々な技術の普及、スマートフォンの拡散及びユーザの要求に応じて室内環境における位置追跡に対する必要性が高まっている。
室内環境における位置基盤サービスは様々な分野に活用され得る。
代表的な例として、大型ショッピングモール、マート内の周辺検索、博物館、工場、ビルディング内で用いられる室内ナビゲーション、病院内の患者及び医師の位置追跡、視覚障害者向けのガイド端末などがある。
【0004】
室外環境ではGPSを用いた位置推定技術が支配的である一方、室内環境では支配的な技術がなく様々な測位技術を利用しているという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の位置基盤サービスにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、複数の測位技術のうち現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定することのできる測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
本発明の目的は、複数の測位技術に対する測位正確度をユーザに予め通知することにある。
本発明の目的は、複数の測位技術に対する測位正確度をユーザに予め通知することによって、室内測位技術の不安定によるユーザの不満を軽減させることのできる測位正確度算出方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定することによって、ユーザの移動及び周辺環境などの変化にも適応的な測位結果を提供することのできる測位正確度算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による測位正確度算出方法は、測位正確度算出方法において、端末で用いられる測位技術に対応するマップを提供するステップと、前記マップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出すステップと、前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0008】
前記測位正確度を算出するステップは、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報における第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報における第2ポイント間の差とに基づいて前記測位正確度を算出することが好ましい。
前記測位技術による前記測位正確度を前記端末に表示するステップをさらに有することが好ましい。
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整するステップをさらに有することが好ましい。
前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を再算出するステップをさらに有することが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による端末の測位方法は、測位正確度に基づいた端末の測位方法において、測位を行う前に、前記端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップと、前記測位正確度に基づいて前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術を選択するステップと、前記選択されたいずれか1つの測位技術に基づいて前記端末の位置を測定するステップとを有することを特徴とする。
【0010】
前記測位正確度を算出するステップは、前記端末の位置と前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップに基づいて前記少なくとも2つの測位技術による前記測位正確度を算出するステップであることが好ましい。
前記測位正確度を算出するステップは、前記端末で用いられる前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップを提供するステップと、前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出すステップと、前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップとを含むことが好ましい。
前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップは、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報それぞれにおける第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報それぞれにおける第2ポイント間の差とに基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出することが好ましい。
前記少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を前記端末のユーザに対し表示するステップをさらに有することが好ましい。
前記端末のユーザから前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術に対する選択が入力されるステップをさらに有することが好ましい。
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整するステップをさらに有することが好ましい。
前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて、前記少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を再算出するステップをさらに有することが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明による測位正確度算出装置は、測位正確度算出装置において、端末で用いられる測位技術に対応するマップを格納するメモリと、前記マップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出す読出部と、前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を算出する算出部とを有することを特徴とする。
【0012】
前記算出部は、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報における第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報における第2ポイント間の差とに基づいて前記測位正確度を算出することが好ましい。
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整する調整部をさらに有することが好ましい。
前記算出部は、前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報を用いて前記測位技術による測位正確度を再算出することが好ましい。
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明による端末の測位装置は、測位正確度に基づく端末の測位装置において、測位を行う前に、端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する算出モジュールと、前記測位正確度に基づいて前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術を選択する選択モジュールと、前記選択されたいずれか1つの測位技術に基づいて前記端末の位置を測定する測位モジュールとを有することを特徴とする。
【0014】
前記端末で用いられる少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップを格納するデータベースをさらに有し、前記算出モジュールは、前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出す読出部と、前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する算出部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置によれば、複数の測位技術のうち現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択し、端末の位置を測定することによってユーザに最適の測位結果を提供することができるという効果がある。
【0016】
また、複数の測位技術に対する測位正確度をユーザに予め通知することによってユーザが測位技術を選択することができるという効果がある。
また、複数の測位技術に対する測位正確度をユーザに予め通知することによって、室内測位技術の不安定によるユーザの不満を軽減させることができるという効果がある。
また、現在の位置で最上の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定することによって、ユーザの移動及び周辺環境の変化などによる変化にも適応的な測位結果を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る測位正確度算出方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態に係る測位正確度算出に用いられるフィンガープリントマップの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る測位正確度算出方法を用いて測位誤差範囲が特定の領域内に収められた場合に特定領域の大きさを調整することを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る測位正確度を用いた端末の測位方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4のステップS401において、少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る測位正確度算出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る測位正確度を用いた端末の測位装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る測位正確度を用いた端末の測位装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る測位正確度算出方法及びその装置並びにこれを用いた端末の測位方法及びその装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0019】
しかし、本発明が一実施形態によって制限されたり限定されることはない。
また、各図面に提示した同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る測位正確度算出方法を説明するためのフローチャートである。
【0021】
本発明の一実施形態に係る測位正確度算出装置(以下、算出装置)は、端末で用いられる測位技術に対応するマップを提供する(ステップS101)。
算出装置は、装置内、外部のメモリ、又はデータベースなどに格納されている様々なマップ(例えば、予め生成されたリファレンスマップ(reference map)又はフィンガープリントマップ(fingerprint map)など)のうち端末で用いられる測位技術に対応するマップを呼出し、これを実際のマップ情報を読み出すユニットに伝達する。
【0022】
その他にも、算出装置はステップS101でメモリ又はデータベースなどに格納されていた情報を用いてフィンガープリントマップを生成した後、生成されたマップを特定領域に対するマップ情報を読み出すユニットに伝達してもよい。
ステップS101において、「マップを提供する」という意味は、上述した様々な動作を含む意味として用いられる。
【0023】
ここで、フィンガープリントマップとは、フィンガープリント方式によって作成されたマップを意味する。
フィンガープリント方式とは、予め測定された信号強度と端末で測定された信号強度とを比較して位置を決定する位置認識方式である。ここで、予め測定された信号強度はデータベースなどに格納されてもよく、データベースにはそれぞれの位置で全てのアクセスポイント(Access Pointと、AP)から端末に受信される信号の強度が格納されてもよい。
【0024】
フィンガープリントマップは、端末で用いられる測位技術によって、WLANフィンガープリントマップ、地磁気場フィンガープリントマップ、ビジョンフィンガープリントマップ、及び予め測定された室内位置別の磁場マップなどのように様々である。
【0025】
算出装置は、マップから端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出す(ステップS103)。
ここで、算出装置は、例えば、図2に示すようなフィンガープリントマップから端末が位置する周辺領域に対するマップ情報を読み出す。
【0026】
算出装置は、特定領域に対するマップ情報に基づいて(用いて)測位技術による測位正確度を算出する(ステップS105)。
算出装置は、特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、第1位置に対応するマップ情報における第1ポイントと第2位置に対応するマップ情報における第2ポイント間の差とを用いて測位正確度を算出する。ここで、算出装置は、他の情報なしでマップ情報のみを用いて測位正確度を算出してもよい。算出装置が測位技術による測位正確度を算出する方法は、図2を参照して詳細に説明する。
【0027】
算出装置は、測位技術による測位正確度を端末に表示する(ステップS107)。
算出装置は、現在の端末で用いられる測位技術による測位正確度を端末の画面上に別途の標識子(indicator)で表示したり、音声表示、アイコンの変化などで表示してもよい。ここで、表示される測位正確度は、実際端末の位置を測定する前に予め算出された測位正確度を表示するものである。
【0028】
一般的に、測位技術はインフラストラクチャー(Infrastructure)の設置現況、構造物及び人の密度などの周辺環境に応じて敏感に測位正確度が変わる。
また、ラジオ信号と地域的な特異点を統合して使用する測位技術では、区域に応じて互いに異なる方式の測位技術を用いてもよいため測位正確度が変わることがある。
このように建物や区域によって測位正確度が不安定であれば、測位技術のユーザは不満を有することになる。
【0029】
その他にも、端末が位置する区域における測位正確度が分からずに測位機能を動作させた後、測位正確度が一般的な場合よりも落ちれば、測位装置に対する信頼性は減少する要因となる。
したがって、本実施形態ではユーザに予め測位正確度を通知することによって室内測位技術の不安定によるユーザの不満を軽減させるようにする。
【0030】
算出装置は、端末の位置を含む特定領域の大きさを調整した後(ステップS109)、大きさの調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて測位技術による測位正確度を再算出する(ステップS111)。
【0031】
ステップS105において、測位正確度を算出した後、一定時間が経過した後には測位正確度(または、測位の誤差範囲)が特定の範囲内に収められる。
したがって、このような場合にはマップの全ての領域ではなく、一部領域(例えば、ウィンドウ(window))のみを測位正確度の算出対象となる特定領域に設定してもよい。そして、算出装置は、設定された特定領域内における誤差だけを算出する。
測位正確度が特定の範囲内に収めた場合の、測位正確度を再算出する方法については図3を参照して説明する。
【0032】
実際に、フィンガープリントを用いる無線LAN(WLAN)信号環境、及び磁場分布の環境は様々であるため、状況に応じて測位正確度が変わることがある。
したがって、本実施形態では、複数の測位技術を行う前に各技術による測位正確度をユーザに予め通知して容易に選択できるようにする。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る測位正確度算出に用いられるフィンガープリントマップの一例を示す図である。
【0034】
端末の位置推定を行う前に最初のフィンガープリントマップで測位正確度を予測する方法は、以下の数式(1)のとおりである。
ここで、算出装置は、図2に示すようなフィンガープリントマップで全ての算出を行う。
【数1】

【0035】
ここで、dijは特定領域で任意の第1位置(i)と任意の第2位置(j)間の距離を示す。m(i)は第1位置(i)におけるフィンガープリントマップの値(すなわち、第1位置に対応するフィンガープリントマップ情報における第1ポイント)を示し、m(j)は第2位置(j)におけるフィンガープリントマップの値(すなわち、第2位置に対応するフィンガープリントマップ情報における第2ポイント)を示す。
【0036】
また、Nはフィンガープリントマップ内の全体ポイントの数を示し、p(x)はxに対する測定誤差が発生する確率を示す。p(x)はセンサモデルによって決定されてもよく、特定関数によって決定されてもよい。
【0037】
ここで、端末の位置を含む特定領域は、図2に示す特定領域205のように、端末の周辺領域のフィンガープリントマップ全体が該当し、同様にウィンドウの大きさも端末の周辺領域のフィンガープリントマップ全体となる。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る測位正確度算出方法を用いて測位誤差範囲が特定の範囲以に収められる場合に特定領域の大きさを調整する一例を示す図である。
図1のステップS105において、測位正確度を算出した後、一定時間が経過した後には測位の誤差範囲が特定の範囲内に収められる。
図3は、測位の誤差範囲が特定の範囲内に収められた場合に測位正確度を算出する方法を示す。
【0039】
ここで、算出装置は以下の数式(2)のようにフィンガープリントマップの全ての領域をその対象とせず、測位誤差範囲に収められた後の端末の位置305を含む特定領域(例えば、ウィンドウ(window))310を設定してウィンドウ範囲内で測位正確度を算出する。
【0040】
【数2】

ここで、Dは定義されたウィンドウの大きさ(window size)を示す。
【0041】
算出装置は、端末の位置を含む特定領域205に対して一定サイズのウィンドウを設定した後、ウィンドウの大きさを調整する方法によって特定領域の大きさを調整する。
算出装置は、大きさの調整された特定領域(ここでは、ウィンドウ310)に対するマップ情報を用いて数式(2)によって測位正確度を再算出する。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に係る測位正確度を用いた端末の測位方法を説明するためのフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る測位正確度を用いた端末の測位方法は次の通りである。
【0043】
端末の測位装置は、測位を行う前に、端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する(ステップS401)。
ここで、端末の測位装置は、端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術に対応するマップを用いて測位正確度を算出する。
【0044】
例えば、端末が磁場を用いて端末の位置を測定する測位技術(A)と、無線LAN(WLAN)を用いて端末の位置を測定する測位技術(B)を用いると仮定する。
端末の測位装置は、測位技術(A)に対応するマップの地磁気場フィンガープリントマップと、測位技術(B)に対応するWLANフィンガープリントマップとを用いて測位技術(ここでは、測位技術(A)と測位技術(B))それぞれに対する測位正確度を算出する。
端末の測位装置が上述した測位正確度を算出する具体的に方法については図5を参照して説明する。
【0045】
端末の測位装置は、少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を端末のユーザに表示する(ステップS403)。
端末の測位装置は、例えば、バッテリの残量を表示する場合のように、測位正確度を表示する別途の標識子(indicator)又はグラフなどによって測位技術に対する測位正確度を端末の画面に表示する。
【0046】
本発明の一実施形態に係る端末の測位装置は、実際に測位を行う前に、測位技術に対応する周辺領域のマップを用いて該当測位技術を用いる場合の測位正確度を予め算出し、様々な表示方法によりその結果をユーザに表示する。
【0047】
このように複数の測位技術に対する測位正確度をユーザに予め通知することで、端末の測位装置は、室内測位技術の不安定によるユーザの不満を軽減させると共に、ユーザの測位技術の選択を可能にする。
【0048】
端末の測位装置には、端末のユーザから、少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術に対する選択が入力される(ステップS405)。
端末の測位装置は、いずれか1つの測位技術を用いて端末の位置を測定した後(ステップS407)、端末の位置を測定した測位結果を端末に表示する(ステップS409)。
【0049】
その他にも、端末の測位装置は、端末のユーザから、いずれか1つの測位技術に対する選択が入力される代わりに、ステップS401で算出された測位正確度に基づいて少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術を選択してもよい。そして、端末の測位装置は、選択したいずれか1つの測位技術を用いて端末の位置を測定する。
【0050】
この場合、端末の測位装置は、現在の位置で最良の測位正確度を有する測位技術を選択して端末の位置を測定する。
したがって、端末の測位装置は、ユーザの移動及び周辺環境などによる変化にも適応的な最適の測位結果を提供することができる。
【0051】
また、端末の測位装置は、端末の位置を含む特定領域の大きさを調整することができる。
端末の測位装置は、端末の位置を含む特定領域に対して一定サイズのウィンドウを設定した後、ウィンドウの大きさを調整する方法によって特定領域の大きさを調整する。
端末の測位装置は、大きさの調整された特定領域に対するマップ情報を用いて少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を再び算出する。
【0052】
図5は、図4に示すステップS401で、少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する方法を説明するためのフローチャートである。
端末の測位装置は、端末で用いる少なくとも2つの測位技術に対応するマップを提供する(ステップS501)。
【0053】
端末の測位装置は、少なくとも2つの測位技術に対応するマップから端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出す(ステップS503)。
端末の測位装置は、特定領域に対するマップ情報に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する(ステップS505)。
【0054】
ここで、端末の測位装置は、上述した数式(1)のように特定領域での任意の第1位置と第2位置との間の距離、及び第1位置に対応するマップ情報それぞれにおける第1ポイントと第2位置に対応するマップ情報それぞれにおける第2ポイント間の差に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態に係る測位正確度算出装置600の構成を示すブロック図である。
測位正確度算出装置600は、メモリ610、読出部630、及び算出部650を備える。
また、本発明の一実施形態に係る測位正確度算出装置600は、表示部670、及び調整部690をさらに備え得る。
【0056】
メモリ610は、端末で用いられる測位技術に対応するマップを格納する。
読出部630は、マップから端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出す。
算出部650は、特定領域に対するマップ情報に基づいて測位技術による測位正確度を算出する。
【0057】
算出部650は、特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、第1位置に対応するマップ情報における第1ポイントと第2位置に対応するマップ情報における第2ポイント間の差とに基づいて測位正確度を算出する。
【0058】
表示部670は、測位技術による測位正確度を端末に表示する。
調整部690は、端末の位置を含む特定領域の大きさを調整する。
ここで、算出部650は、調整部690によって大きさの調整された特定領域に対するマップ情報を用いて測位技術による測位正確度を再算出することができる。
【0059】
図7は、本発明の一実施形態に係る端末の測位装置の構成を示すブロック図である。
端末の測位装置は、少なくとも2つの測位技術に対応するフィンガープリントマップを格納する各格納装置(701、703、705)及び実際に測位を行う前に、端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する測位正確度算出部(731、733、735)を備える。
【0060】
測位正確度算出部(731、733、735)は、各格納装置(701、703、705)に格納された測位技術に対応するフィンガープリントマップから端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出して測位技術による測位正確度を算出する。
【0061】
選択モジュール750は、測位技術による測位正確度に基づいて少なくとも2つの測位技術のいずれか1つの測位技術を選択する。
測位モジュール770は、選択されたいずれか1つの測位技術を用いて端末の位置を測定する。
【0062】
ここで、各格納装置(701、703、705)は、1つのデータベース710のように構成されてもよい。また、各測位正確度算出部(731、733、735)も、1つの算出モジュール730のように構成されてもよい。
【0063】
図8は、本発明の他の実施形態に係る端末の測位装置の構成を示すブロック図である。
本発明の他の実施形態に係る端末の測位装置800は、算出モジュール810、選択モジュール820、及び測位モジュール830を備える。
また、端末の測位装置800は、データベース840、表示モジュール850、入力モジュール860、及び調整部870をさらに備え得る。
【0064】
算出モジュール810は、実際測位を行う前に端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する。
より具体的には、算出モジュール810は、特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、第1位置に対応するマップ情報それぞれにおける第1ポイントと第2位置に対応するマップ情報それぞれにおける第2ポイント間の差に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する。
【0065】
算出モジュール810は、読出部813及び算出部816を備え得る。
読出部813は、少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップから端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出す。
算出部816は、特定領域に対するマップ情報に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する。
【0066】
選択モジュール820は、測位正確度に基づいて少なくとも2つの測位技術のいずれか1つの測位技術を選択する。
測位モジュール830は、いずれか1つの測位技術を用いて端末の位置を測定する。
【0067】
データベース840は、端末で用いられる少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップを格納する。
表示モジュール850は、少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を端末のユーザに表示する。
入力モジュール860は、端末のユーザから少なくとも2つの測位技術のいずれか1つの測位技術に対する選択が入力される。
【0068】
調整部870は、端末の位置を含む特定領域の大きさを調整する。
ここで、算出部816は、調整部870によって大きさが調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を再算出する。
【0069】
本発明の一実施形態に係る測位正確度算出方法及びこれを用いた端末の測位方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録され得る。
コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などの単独又は組み合わせたものを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。
【0070】
コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を格納して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれ得る。
【0071】
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コード(machine code)だけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コード(higher level code)を含む。
上述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアのレイヤで動作するように構成されてもよい。
【0072】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
600 測位正確度算出装置
610 メモリ
630 読出部
650 算出部
670 表示部
690 調整部
701〜705 格納装置
710 データベース
730 算出モジュール
731〜735 測位正確度算出部
750 選択モジュール
770 測位モジュール
800 端末の測位装置
810 算出モジュール
813 読出部
816 算出部
820 選択モジュール
830 測位モジュール
840 データベース
850 表示モジュール
860 入力モジュール
870 調整部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位正確度算出方法において、
端末で用いられる測位技術に対応するマップを提供するステップと、
前記マップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出すステップと、
前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を算出するステップとを有することを特徴とする測位正確度算出方法。
【請求項2】
前記測位正確度を算出するステップは、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報における第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報における第2ポイント間の差とに基づいて前記測位正確度を算出することを特徴とする請求項1に記載の測位正確度算出方法。
【請求項3】
前記測位技術による前記測位正確度を前記端末に表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の測位正確度算出方法。
【請求項4】
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の測位正確度算出方法。
【請求項5】
前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を再算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の測位正確度算出方法。
【請求項6】
測位正確度に基づいた端末の測位方法において、
測位を行う前に、前記端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップと、
前記測位正確度に基づいて前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術を選択するステップと、
前記選択されたいずれか1つの測位技術に基づいて前記端末の位置を測定するステップとを有することを特徴とする端末の測位方法。
【請求項7】
前記測位正確度を算出するステップは、前記端末の位置と前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップに基づいて前記少なくとも2つの測位技術による前記測位正確度を算出するステップであることを特徴とする請求項6に記載の端末の測位方法。
【請求項8】
前記測位正確度を算出するステップは、前記端末で用いられる前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップを提供するステップと、
前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出すステップと、
前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の端末の測位方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出するステップは、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報それぞれにおける第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報それぞれにおける第2ポイント間の差とに基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出することを特徴とする請求項8に記載の端末の測位方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を前記端末のユーザに対し表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の端末の測位方法。
【請求項11】
前記端末のユーザから前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術に対する選択が入力されるステップをさらに有することを特徴とする請求項10に記載の端末の測位方法。
【請求項12】
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整するステップをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の端末の測位方法。
【請求項13】
前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報に基づいて、前記少なくとも2つの測位技術に対する測位正確度を再算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載の端末の測位方法。
【請求項14】
請求項6乃至13のいずれか1項に記載の端末の測位方法を実行させるためのプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータ読出可能記録媒体。
【請求項15】
測位正確度算出装置において、
端末で用いられる測位技術に対応するマップを格納するメモリと、
前記マップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報を読み出す読出部と、
前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記測位技術による測位正確度を算出する算出部とを有することを特徴とする測位正確度算出装置。
【請求項16】
前記算出部は、前記特定領域で任意の第1位置と第2位置との間の距離と、前記第1位置に対応する前記マップ情報における第1ポイントと前記第2位置に対応する前記マップ情報における第2ポイント間の差とに基づいて前記測位正確度を算出することを特徴とする請求項15に記載の測位正確度算出装置。
【請求項17】
前記端末の位置を含む特定領域の大きさを調整する調整部をさらに有することを特徴とする請求項15に記載の測位正確度算出装置。
【請求項18】
前記算出部は、前記大きさが調整された特定領域に対するマップ情報を用いて前記測位技術による測位正確度を再算出することを特徴とする請求項17に記載の測位正確度算出装置。
【請求項19】
測位正確度に基づく端末の測位装置において、
測位を行う前に、端末の位置に基づいて少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する算出モジュールと、
前記測位正確度に基づいて前記少なくとも2つの測位技術の内のいずれか1つの測位技術を選択する選択モジュールと、
前記選択されたいずれか1つの測位技術に基づいて前記端末の位置を測定する測位モジュールとを有することを特徴とする端末の測位装置。
【請求項20】
前記端末で用いられる少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップを格納するデータベースをさらに有し、
前記算出モジュールは、前記少なくとも2つの測位技術に対応するそれぞれのマップから前記端末の位置を含む特定領域に対するマップ情報をそれぞれ読み出す読出部と、
前記特定領域に対するマップ情報に基づいて前記少なくとも2つの測位技術による測位正確度を算出する算出部とを有することを特徴とする請求項19に記載の端末の測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72875(P2013−72875A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212826(P2012−212826)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】