説明

測定手段の使用下での付加材料を用いた素材結合式の接合のための接合装置

本発明は、付加材料18を用いた素材結合式の接合のための接合装置14であって、付加材料としてのワイヤ18のための供給装置であって、ワイヤ18を接合装置14の運転中に所定の送り速度で供給するために形成されている供給装置と、ワイヤ18を溶融させるための少なくとも2つの部分ビーム26を備えるエネルギビームのためのガイド装置21とを備える接合装置14に関する。接合装置14は、ワイヤ18の横方向の変位を検出するための第1の測定手段と、ワイヤ18の送りに伴う量を検出するための第2の測定手段とを有しており、エネルギビームのためのガイド装置21は、第1及び第2の測定手段に接続され、エネルギビームが第1及び第2の測定手段の出力信号に基づいて変位かつ/又は集光されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加材料を用いた素材結合(stoffschluessig)式の接合のための接合装置であって、付加材料としてのワイヤのための供給装置であって、ワイヤを接合装置の運転中に所定の送り速度で供給するために形成されている供給装置と、ワイヤを溶融させるための少なくとも2つの部分ビームを備えるエネルギビームのためのガイド装置とを備える接合装置に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006056252号明細書において、エネルギビームにより結合したい2つの被加工物の当接部に沿ってエネルギビームをガイドするための装置が公知である。さらに、圧着力により当接部に対して予め付勢されるガイドフィンガが設けられている。
【0003】
欧州特許出願公開第1568435号明細書において、集光装置を備えるレーザ加工機械が公知である。この公知のレーザ加工機械では、センサにより被加工物の加工領域が監視される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006060116号明細書は、レーザ加工ヘッドを開示している。ワイヤに割り当てられたセンサが設けられており、このセンサによって、ワイヤに作用する力が測定される。
【0005】
冒頭で述べた形式の装置は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102004025873号明細書において公知である。この刊行物に記載の装置では、1つのレーザビームが、複数の部分ビームに分割される。複数の部分ビームは、集光レンズにより作業領域に集光される。集光レンズは、中央の開口を有している。中央の開口を通して、付加材料が案内されている。つまり、同軸的なワイヤ供給がなされている。
【0006】
このような構成によっては、当接接合部の位置が例えば構成部材の公差に基づいて変化するような場合、溶融したワイヤにより形成される接合シームは、2つの構成部材の当接接合部に沿って正確に、一定のシーム品質を備えて製造され得ない。接合装置は、運転中、極僅かに変化した当接接合部に対して十分に正確に位置決めされ得ない。すなわち、部分ビーム及びワイヤは、接合装置の送り方向に、送り方向に対して横向きに、かつ鉛直方向に(すなわち、図1のx、y及びz方向に)運動不能であるか、あるいは無視可能なほど僅かに運動可能であるにすぎない。このことは、形成される接合シームの深さ及び結合断面が最適でないことに至らしめる場合がある。
【0007】
本発明の課題は、最適な接合シームを形成可能な接合装置を提供することである。
【0008】
この目的のために、本発明は、冒頭で述べた形式の接合装置において、接合装置が、ワイヤの横方向の変位を検出するための第1の測定手段(Messaufnehmer)と、ワイヤの送りに伴う量を検出するための第2の測定手段とを有しており、エネルギビームのためのガイド装置は、第1及び第2の測定手段に接続され、エネルギビームが第1及び第2の測定手段の出力信号に基づいて変位かつ/又は集光されるように構成されているようにした。
【0009】
本発明により、当接接合部におけるワイヤの位置が変化したとき、結合したい構成部材及び当接接合部に対する接合装置全体の位置は変更されることなく、ワイヤに対して相対的なエネルギビームの位置だけが修正される。エネルギビームは、ワイヤの位置(すなわち、図1のx及び/又はy方向)に基づいて変位かつ/又はz方向で集光される。エネルギビームは、特に、ワイヤが少なくとも2つの部分ビーム間に位置するように変位かつ/又は集光される。ワイヤのこの位置で、最適な接合シームが達成される。本発明により、エネルギビームの事後的な、運転中可能な変位及び/又は集光により、結合したい構成部材の公差が補償される。これにより、再現可能な高いシーム品質が達成され、プロセス信頼性が向上する。
【0010】
好ましくは、第1の測定手段がセンサを含み、センサは、供給装置又は前記ワイヤに結合されており、ワイヤの横方向の変位から生じる力を検出するために形成されている。これにより、当接接合部に対するワイヤの横方向の位置が検出される。その際、使用される「横方向(lateral)」の変位の概念は、本明細書においてx又はy方向の変位と解されるべきである。向きに依存しない構成のために、x及びy方向の力が検出される。
【0011】
接合装置に配置される光学式のセンサ、例えばカメラが設けられていてよい。カメラは、ワイヤを背面照光し、ワイヤがワイヤの光学的な重心を検出するための光学的な要素上に結像されるように、接合装置に配置されている。ワイヤが結像される光学的な要素として、例えば4分割フォトダイオード(Quadrantenfotodiode:略称QPD)、位置検出素子(Position Sensitive Device:略称PSD)又はフォトダイオードセル(Fotodiodenzelle:略称PDA)が使用可能である。これにより、当接接合部に対するワイヤの横方向の位置(すなわち、x及び/又はy方向でのワイヤの位置)、特に当接接合部に対する圧着力によりワイヤが被る変形が検出される。エネルギビームの部分ビームにより形成されるビームスポットに対する当接接合部の相対位置を観察することにより、当接接合部の横方向の位置が検出されてもよい。
【0012】
別の態様では、センサが、通過する導電性の材料、具体的にはワイヤ中に渦電流を引き起こす電磁界を送信する誘導式のセンサである。発振器が、渦電流の変化を検出する。こうして、当接エッジに対する圧着力によりワイヤが被る変形、ひいてはワイヤの横方向の位置が検出可能である。センサは力センサであってもよい。
【0013】
好ましくは、第1の測定手段がカメラ及び評価装置を有しており、評価装置は、当接接合部に対するワイヤの位置を検出するために、カメラによって形成された画像を評価する。特に、グレー値属性(Grauwertmerkmal)、つまり画像の点の明るさ若しくは強度の値、及び/又は色属性(Farbmerkmal)に基づいて、当接接合部の位置が検出される。
【0014】
好ましくは、第2の測定手段がセンサを含み、センサは、供給装置又はワイヤに結合されており、ワイヤの送りに伴う量を検出するために形成されている。
【0015】
ワイヤは、例えばボーデンケーブル内を案内されている。ボーデンケーブルは、ワイヤを押し込む力の切り離しを達成するために、例えば90°変向されている。ボーデンケーブルは、供給装置の領域でホルダに固定されている。その結果、ボーデンケーブルは、ワイヤの送り力に基づいて当接接合部から押し離される。この力は、例えばホルダの領域に配置されているストロークセンサにより検出可能である。このようなストロークセンサは、ばね状の弾性的な要素(federelastisches Element)であってよい。弾性的な要素の圧縮度は、ワイヤに作用する送り力を表す。ボーデンケーブルの代わりに、ワイヤは管内に収容されていてもよい。別の態様では、ワイヤに作用する力を検出するローラがホルダの領域に設けられていてもよい。極めて一般的に、ワイヤの送りに伴う量を検出する歪みゲージ、力センサ、ストロークセンサが設けられていてもよい。
【0016】
好ましくは、ワイヤ又は供給装置の鉛直方向(すなわち、z方向)の変位を検出するためのセンサが設けられている。
【0017】
その際、容量式のセンサが使用可能である。容量式のセンサは、好ましくはワイヤノズル内に存在する。容量式のセンサは、極めて一般的に、コンデンサにより電界を発生する高周波の発振回路を伴って作業する。固体物質がこの電界に接近すると、容量変化が生じ、発振回路内で増幅の変化が生じる。この増幅が閾値を超えると直ちに、切換信号が生成される。
【0018】
鉛直方向の変位を検出するためのセンサが、カメラに装入されている自己相関型のセンサ(Autokorrelationssensor)であっても同様に好ましい。相関型のセンサは、同軸的な光路内に配置されており、光学的な要素が常時シャープに設定されているように、光学的な要素を制御する。こうして、装置は、光学式にz方向に制御可能である。
【0019】
好ましい態様では、エネルギビームの少なくとも2つの部分ビームが、ワイヤに対して略対称にガイドされており、エネルギビームの1つの部分ビームとワイヤとの間に、少なくとも5゜の角度が存在する。ワイヤが部分ビームに対して中央で供給されるため、ワイヤの効果的な供給、ひいては十分なシーム深さを伴う高い接合品質が生じる。ワイヤあるいは供給装置の運動のための鉛直の作用方向は、接合装置のz軸に沿って延びる。この作用方向は、ある角度で傾いていてもよい。その結果、傾いたエネルギビームに沿ったワイヤの運動が実施される。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのオートフォーカスモジュールが設けられており、オートフォーカスモジュールは、エネルギビームを、第1及び第2の測定手段の出力信号に基づいて集光する。オートフォーカスモジュールを介して、エネルギビーム、つまりエネルギビームの部分ビームは、適当に変更される。この場合、個々の部分ビームが互いに無関係に制御されるようになっていてもよい。オートフォーカスモジュールは、例えば収束レンズ、球面レンズ又は互いに交差する円柱レンズとして形成されていてよい。その際、焦点位置、つまりレンズ系の焦点は、焦点が、結合したい構成部材の表面の上又は下に位置するように変更可能である。特に、ワイヤに対する少なくとも2つの部分ビームのそれぞれの焦点の間隔は、一定に維持されることが望ましい。
【0021】
エネルギビームを変位かつ/又は分割する、ミラー及び/又は面平行のプレートの形態の単数又は複数の制御手段が設けられていてよい。ミラー及び/又は面平行のプレートは、エネルギビームに対してある角度をなして配置される。これにより、エネルギビームの光路は変化する。ミラー及び/又は面平行のプレートを適当にろう接あるいは溶接工程前又は中にそれぞれ異なる位置に旋回させることも可能である。部分ビームは、ワイヤ端部に対して相対的に配向される。
【0022】
一態様では、接合装置に、接合装置の一部を鉛直方向(すなわち、z方向)に可動とするアクチュエータが設けられている。これにより、結合したい構成部材に対する接合装置の間隔が変化する。
【0023】
好ましくは、接合装置の一部が旋回軸に沿って旋回可能である。このために旋回駆動装置が設けられている。旋回駆動装置は、レーザコリメーション部とレーザフォーカシング部との間に配置されている。旋回駆動装置は、横方向の位置を修正するために役立つ。
【0024】
特に、接触要素(Tastelement)が設けられており、接触要素に作用する鉛直方向及び/又は横方向の力が検出可能である。
【0025】
好ましくは、ワイヤが、形成したい接合シームに向かって、アクチュエータ又は弾性的な要素により付勢されている。これにより、ほぼ一定の力が、形成したい接合シームに向かってワイヤの遠位の端部に作用する。このことは、均質な接合シームの製造を可能にする。
【0026】
一態様では、ワイヤを供給する、スリットを備えるノズルが設けられている。スリットは、送り方向(x方向)でノズルに設けられている。スリットは、自由なワイヤ長さが大きいとき、x方向でのワイヤの運動を可能にする。
【0027】
好ましくは、エネルギビームのためのガイド装置は、エネルギビームが送り方向に対して横向きに、かつ送り方向に、すなわちy及びx方向に変位されるように構成されている。これにより、原理的に、二方向での変位及び測定が可能である。
【0028】
付加的にエネルギビームは、本発明により、第1及び第2の測定手段の出力信号に基づいて、加工平面内でワイヤ衝突点に対して間隔を置いて一定に維持可能である。
【0029】
プロセスには、ワイヤ及び/又はエネルギビームに対して同軸的に保護ガス又は空気が供給可能である。供給されたガスは、プロセスガスとして、かつ/又はプロセス近傍において熱負荷を受ける構成部材の冷却のために役立つ。
【0030】
その他の特徴及び利点は、従属請求項から看取される。
【0031】
以下に、本発明について、図面に示した実施の形態を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】結合したい2つの構成部材の、座標系を伴った概略図である。
【図2】本発明に係る接合装置の側面図である。
【図3】接触要素を備える本発明に係る接合装置の部分斜視図である。
【図4】エネルギビーム及びワイヤの平面図である。
【図5】接合装置の概略側面図である。
【図6】図1にXで示した領域を拡大した寸法で示す図である。
【図7】ワイヤ供給のために役立つノズルを拡大した寸法で示す図である。
【0033】
図1は、当接接合部11の領域で互いに結合したい、部分的に重なった2つの構成部材10を示している。座標系は、方向を規定するものであり、形成したい接合シーム12は、x方向に延びており、鉛直方向はz、形成したい接合シーム12に対して垂直な方向、つまりX方向に対して垂直な方向はyで示してある。
【0034】
図2は、部分的に重なった2つの構成部材10を示している。構成部材10は、図2で見て右側の区分において既に接合シーム12により互いに結合されている。両構成部材10を結合するために、当接接合部11に沿ってx方向(図1参照)で運動する接合装置14が設けられている。
【0035】
接合装置14は、固定要素15と、構成部材16と、接触要素46及び供給装置19を備える要素17とを有している。固定要素15と構成部材16との間には、旋回駆動装置40を備える旋回軸42が設けられている。構成部材16及び要素17は、旋回軸42周りに旋回可能である。
【0036】
要素16と要素17との間には、伸縮アーム29が設けられている。伸縮アーム29は、z方向の運動を可能にする。要素17には、付加材料、特にワイヤ18を所定の送り速度で供給する供給装置19が取り付けられている。接触要素46は、固く供給装置19に結合されている。
【0037】
さらに接合装置14は、付加材料を溶融させる少なくとも1つのエネルギビームのためのガイド装置21を有している。付加材料は、構成部材10の接合時に溶融される。
【0038】
ガイド装置21は、供給装置19の運動に連結されている。このことは、点線の矢印により図2に概略的に示されており、以下に詳細に説明する。
【0039】
エネルギビームは、好ましくはレーザ光ビームであり、コリメータレンズの形態の第1のオートフォーカスモジュール20と、複数のミラー22,24(図2には3つのミラーが図示)と、レンズの形態の第2のオートフォーカスモジュール25とを介して、接合装置14からの出射後ワイヤ18に対して実質的に対称的に延びる2つの部分ビーム26が形成されているように集光若しくは集束(フォーカシング)かつ/又は偏向されている。エネルギビームの1つの部分ビーム26とワイヤ18との間には、少なくとも5゜の角度αが存在する。特に第1のオートフォーカスモジュール20(概略的に図2に図示)は、直径が調節可能な、平行に配向されたレーザ光の光線束を形成する。レーザ光線束の直径は、第1のオートフォーカスモジュール20を、矢印により概略的に示した方向に沿って、光軸に対して平行に移動させることにより調節可能である。第1のミラー22によるレーザ光ビームの偏向後、ずらして配置した2つのミラー24を介したビームの分割が行われる。この目的のために、ずらして配置した両ミラーの一方は、レーザ光ビーム内に半分だけ突入し、これにより一方の部分ビーム26だけ、つまり半分のレーザ光ビームだけを所定の位置で第2のオートフォーカスモジュール25に向かって偏向させる。レーザ光ビームの第2の半分、つまり第2の部分ビーム26は、ずらして配置した第2のミラー24によりやはり第2のオートフォーカスモジュール25に向かって反射され、これにより別の箇所で第2のオートフォーカスモジュール25に入射する。このずれにより、2つの別個の部分ビーム26が加工点に向かって形成される。ビームを分割する偏向ユニットにおけるミラー24の収容は、全方向での組み立て時のミラー24の調整を可能にする。さらに、この調整機構を介して、両部分ビーム内での強度分布の調節が可能である。このシステムは、両部分ビーム内で対称的に、すなわち同じ強度に調整されてもよいし、それとは異なり、部分ビーム毎に異なる強度に調整されてもよい。
【0040】
つまり、光学系は2つのオートフォーカスモジュールを有している。第1のオートフォーカスモジュール20は、拡がるレーザ光ビームのコリメーション、つまり光線を平行にするために役立ち、かつビームスポットサイズを調節するために使用される。第2のオートフォーカスモジュール25は、収束レンズである。収束レンズにより、両部分ビーム26は、集光され、互いに接近するように変位される。このため第2のオートフォーカスモジュール25は、集光のために役立つ。
【0041】
第2のオートフォーカスモジュール20は、z方向での供給装置19の運動に連結されている。特に供給装置19は、伸縮アーム29を介してガイド装置21に結合されている。このことは、点線の矢印により図2に概略的に示してある。接触要素46が取り付けられた伸縮アーム29は、z方向で調節可能である(図2の矢印参照)。第2のオートフォーカスモジュール25も、z方向で調節可能である(図2の矢印参照)。第2のオートフォーカスモジュール25は、伸縮アーム29の変位に基づいて移動する。これにより、ある角度で衝突する部分ビーム26が、常に、互いにかつワイヤ18に対してx方向及びy方向で同じ位置を占めることが保証される。調節の際、特に電気的に駆動されるアクチュエータ45が使用される。
【0042】
図3は、エネルギビームの両部分ビーム26を斜視側面図で示している。図3からは、各々の部分ビーム26が平面図(図4参照)で見て半円形あるいはシェル形であることが看取可能である。ワイヤ18は、送り方向xで両半円形あるいはシェル形の部分ビーム26間に位置している。この位置で、接合装置14の運転中、接合シーム12の所望の深さが達成される。利用者の調節として、加工光学系の組み立てられた状態において、ワイヤに対する半円あるいは半シェルの位置をx方向で調節し、同様に両半月相互の間隔をx方向で調節することが可能である。
【0043】
エネルギビームのためのガイド装置21は、概略的に図5に示し、以下に説明する第1及び第2の測定手段あるいは測定ピックアップ28,30に接続されている。ガイド装置21は、エネルギビームの部分ビーム26が両測定手段28,30の信号に基づいて変位かつ/又は集光されるように形成されている。特に部分ビーム26は、単数若しくは複数のオートフォーカスモジュール及び/又は単数若しくは複数のミラー22の位置が変更されることにより、側方に変位される。例えばオートフォーカスモジュールの調節により、部分ビーム26の焦点は変更される。単数又は複数の部分ビーム26の側方への変位により、エネルギビームの位置は修正される。つまり、部分ビーム26は、図4に示すように、ワイヤ18が正確に両部分ビーム26間に位置するように、ワイヤ18の端部に対して相対的に位置決め可能である。
【0044】
ガイド装置21は、既に言及したように、第1の測定手段28の信号を受信する。第1の測定手段28は、ワイヤ18の横方向の変位、すなわちワイヤ18のy方向の変位を検出する。第1の測定手段28は、概略的に図2に示したカメラ32を有している。カメラ32は、接合装置14に配置されており、ワイヤ18の画像を形成する。形成された画像は、当接接合部11に対するワイヤ18の位置、ひいてはワイヤ18の横方向の変位を検出するために、評価装置34によりグレー値属性を参照しながら評価可能である。ワイヤ18の、検出された横方向の変位に基づいて、エネルギビームは変位(x及び/又はy方向)かつ/又は集光(y方向)される。これにより、当接エッジに対するワイヤ18の間隔が変化したとき、当接エッジに対する接合装置14全体の間隔を変更する必要がなく、ワイヤ端部に対して相対的なエネルギビームの位置のみを変更すればよい。
【0045】
択一的には、接合装置14に配置されたカメラ32が、ワイヤ18を背面照光してもよい。ワイヤ18の画像が、光学的な要素(図示せず)上に結像され、評価装置34が、ワイヤ18の横方向の変位を検出することができる。ワイヤ18が結像される光学的な要素として、例えば4分割フォトダイオード(略称QPD)、位置検出素子(略称PSD)又はフォトダイオードセル(略称PDA)が使用可能である。
【0046】
ワイヤ18の横方向の変位は、誘導式のセンサによって検出されてもよい。このような誘導式のセンサは、ワイヤ18内に渦電流を引き起こす電磁界を送信する。発振器が設けられていて、渦電流の変化を検出することができる。こうして、ワイヤ18の横方向の変位を検出し、相応の信号をガイド装置21に送信することができる。
【0047】
ワイヤ18の位置は、レーザ三角測量によっても良好に検出可能である。レーザ三角測量では、ビームを光源からワイヤに向かって送信し、次に、反射したビームを受信器により受信する。光源と受信器との間の間隔が一定かつ既知であるので、ワイヤの位置を検出し、相応の信号をガイド装置21に送信することができる。
【0048】
さらにガイド装置21は、既に言及したように、第2の測定手段30の信号を入手する。第2の測定手段30は、ワイヤ18の送りに伴う量を検出し、図6に拡大図で示すセンサ35を有している。センサ35は、ワイヤ18の一端に作用する力を検出するように配置されている。ワイヤ18は、ボーデンケーブル36内を案内されている。ボーデンケーブル36は、ワイヤ18を送る力の切り離しを達成するために、90゜変向されている。ボーデンケーブル36の一端は、ホルダ38に固定されている。その結果、ボーデンケーブル36は、ワイヤ18の送り力に基づいて、形成したい接合シーム12から押し離される。この力は、例えばセンサ35により検出可能である。センサ35は、例えばばね状の弾性的な要素であり、弾性的な要素の圧縮度は、当接エッジの領域においてワイヤ18に作用する送り力を表す。弾性的な要素の代わりに、ワイヤの送りに伴う量を検出する歪みゲージが設けられていてもよい。
【0049】
ワイヤ18は、特別に成形された管内に収容されていてもよく、z軸に関して軸方向でプロセス平面に衝突するようになっていてもよい。このために特別に成形された管は、ワイヤの低摩擦力の供給を可能にすると同時に、z方向の間隔変化により生じる力の伝達を可能にする。ワイヤ案内モジュールは、全方向(x、y及びz方向)で調節可能に形成されている。自由なワイヤ長さも調節可能である。ワイヤ案内モジュールは、伸縮アームに取り付けられていてよく、z方向の運動あるいは位置を検出するセンサを有していてよい。運動は、加工面に衝突するワイヤ18により伝達される。信号は、レンズ系20,24の運動設定のために使用される。
【0050】
択一的には、ワイヤ18に作用する力を検出可能なローラが設けられていてもよい。
【0051】
エネルギビームの部分ビーム26は、既に説明したように、ワイヤ18の端部を正確に部分ビーム26間に図4に示したように位置決めするために、両測定手段28,30の信号に基づいて変位及び/又は集光される。
【0052】
より大きな自由なワイヤ長さは、ワイヤ18が撓むことにつながる。それゆえ、ワイヤ18は、部分ビーム26により形成される中間スペース内へ移動する。このことは、他方において、最適な溶融につながる。つまり、ワイヤ18は、より大きな自由なワイヤ長さに基づいてx方向で見て若干前後に弾性移動可能である。
【0053】
図2には、旋回駆動装置40が示されている。旋回駆動装置40により、ワイヤ18及び部分ビーム26の横方向の位置を変更するために、接合装置14の一部が旋回軸42に沿って旋回可能である。横方向のプロセスガイド(y方向)は、旋回駆動装置40を介して実施される。ガイドは、力制御により実施される。その際、ワイヤ18は、側方で接合当接部に支持されている。その際に発生する力は、力センサによって測定され、相応の制御を介して旋回駆動装置40に運動設定のために伝送される。アクチュエータ44も接合装置14に設けられている。アクチュエータ44は、接合装置14の一部を鉛直方向(すなわちz方向)に動かすことができる。さらに、別のアクチュエータ45により、第2のオートフォーカスモジュール25を、既に言及したように、鉛直方向に調節することができる。その際、ワイヤ18に先行して配置された接触要素46(図2及び図3参照)に作用する鉛直かつ/又は横方向の力(すなわちz方向及びy方向)が検出され、これにより、結合したい構成部材10に対する接合装置14の位置が検出される。
【0054】
接触要素は、全方向に調整可能であり、結合部の形成中にフラックス及び/又は付加ガスを供給可能な通路(図示せず)を有していてよい。
【0055】
供給装置19は、アクチュエータ48(概略的に図2に図示)によって、ワイヤ18が結合したい構成部材10に当接するように、形成したい接合シーム12に向かって付勢されている。
【0056】
図7には、ワイヤ18を供給するノズル50が示されている。ノズル50には、送り方向(x方向)で見てスリット52が設けられている。このスリット52は、x方向で大きな自由なワイヤ長さを可能にし、これにより、送り方向でのワイヤ18の運動と同時に、y方向での小さな自由なワイヤ長さによりy方向でのワイヤの正確な位置決めを可能にする。
【0057】
プロセスには、ワイヤ及び/又はエネルギビームに対して同軸的に保護ガス又は空気が供給可能である(図示せず)。供給されるガスは、プロセスガスとして、かつ/又はプロセス近傍において熱負荷を受ける構成部材の冷却のために役立つ。
【0058】
さらに、オートフォーカスモジュール及びミラーに対して付加的に、2つの面平行なプレートが設けられていてもよい(図示せず)。これらの面平行なプレートにより、エネルギビームは変位可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加材料を用いた素材結合式の接合のための接合装置であって、
前記付加材料としてのワイヤ(18)のための供給装置であって、該ワイヤ(18)を前記接合装置(14)の運転中に所定の送り速度で供給するために形成されている供給装置と、
前記ワイヤ(18)を溶融させるための少なくとも2つの部分ビーム(26)を備えるエネルギビームのためのガイド装置(21)と、
を備える接合装置において、
該接合装置(14)が、前記ワイヤ(18)の横方向の変位を検出するための第1の測定手段(28)と、
前記ワイヤ(18)の送りに伴う量を検出するための第2の測定手段(30)とを有しており、
前記エネルギビームのためのガイド装置(21)は、前記第1及び第2の測定手段(28,30)に接続され、前記エネルギビームが前記第1及び第2の測定手段(28,30)の出力信号に基づいて変位かつ/又は集光されるように構成されていることを特徴とする、付加材料を用いた素材結合式の接合のための接合装置。
【請求項2】
前記第1の測定手段(28)がセンサを含み、該センサは、前記供給装置(19)又は前記ワイヤ(18)に結合されており、該ワイヤ(18)の横方向の変位から生じる力を検出するために形成されている、請求項1記載の接合装置。
【請求項3】
前記第1の測定手段(28)がカメラ(32)及び評価装置(34)を有しており、該評価装置(34)は、前記ワイヤ(18)の横方向の変位を検出するために、前記カメラ(32)によって形成された画像を評価する、請求項1記載の接合装置。
【請求項4】
前記第2の測定手段(30)がセンサ(35)を含み、該センサ(35)は、前記供給装置(19)又は前記ワイヤ(18)に結合されており、該ワイヤ(18)の送りに伴う量を検出するために形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項5】
前記ワイヤ(18)がボーデンケーブル(36)内を案内されており、該ボーデンケーブル(36)のワイヤ端部側の端部がホルダ(38)に固定されており、前記センサ(35)は、前記ボーデンケーブル(36)に作用する力が検出可能であるように配置かつ形成されている、請求項4記載の接合装置。
【請求項6】
前記ワイヤ(18)又は前記供給装置(19)の鉛直方向の変位を検出するためのセンサが設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項7】
前記鉛直方向の変位を検出するためのセンサは、容量式のセンサである、請求項6記載の接合装置。
【請求項8】
前記鉛直方向の変位を検出するためのセンサは、カメラに装入されている自己相関型のセンサである、請求項6記載の接合装置。
【請求項9】
前記エネルギビームの前記少なくとも2つの部分ビーム(26)が、前記ワイヤ(18)に対して略対称にガイドされており、前記エネルギビームの1つの部分ビーム(26)と前記ワイヤ(18)との間に、少なくとも5゜の角度(α)が存在する、請求項1から8までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項10】
少なくとも1つのオートフォーカスモジュール(20,25)が設けられており、該オートフォーカスモジュール(20,25)は、前記エネルギビームを、前記第1及び第2の測定手段(28,30)の出力信号に基づいて集光する、請求項1から9までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項11】
前記エネルギビームを変位かつ/又は分割する、ミラー(22,24)及び/又は面平行のプレートの形態の単数又は複数の制御手段が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項12】
前記接合装置(14)に、該接合装置(14)の一部を鉛直方向に可動とするアクチュエータ(44,45)が設けられている、請求項10記載の接合装置。
【請求項13】
前記接合装置(14)の一部が、旋回駆動装置(40)により旋回軸(42)に沿って旋回可能である、請求項1から12までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項14】
接触要素(46)が設けられており、該接触要素(46)に作用する鉛直方向及び/又は横方向の力が検出可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項15】
前記供給装置(19)が、アクチュエータ(48)により、形成したい接合シーム(12)に向かって付勢されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項16】
前記エネルギビームのためのガイド装置(21)は、該エネルギビームが送り方向に対して横向きに、かつ送り方向に変位されるように構成されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の接合装置。
【請求項17】
前記ワイヤ(18)を供給する、スリット(52)を備えるノズル(50)が設けられている、請求項1から16までのいずれか1項記載の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506560(P2013−506560A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532528(P2012−532528)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063779
【国際公開番号】WO2011/042292
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512091305)スキャンソニック エムアイ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Scansonic MI GmbH
【住所又は居所原語表記】Rudolf−Baschant−Strasse 2, D−13086 Berlin, Germany
【出願人】(592245937)バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Petuelring 130, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】