測距装置、レンズシステムおよび撮像装置
【課題】撮像装置のズームレンズ側で要求される合焦精度に対応した測距仕様を満たす測距装置を提供することを目的とする。
【解決手段】撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有する測距装置を提供する。
【解決手段】撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有する測距装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点調節機能を有する撮像装置に取り付け可能な測距装置、この測距装置を備えたレンズシステムおよび撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置における自動焦点調節で行われる工程は、大きく分類すると、焦点検出工程と焦点調節工程の二工程がある。焦点検出工程では、高精度の被写体情報を得るために、撮像装置から独立した測距装置を用いることがある。この測距装置は、焦点検出を行うために、三角測距の原理を利用するものがある。三角測距の原理には、対象物が発する光により焦点検出を行うパッシブ型と、装置側から対象物に向けて投射した光の反射を検出することにより、測距を行うアクティブ型がある。一方、焦点調節工程では、上記焦点検出の結果に基づいて、光学系を合焦させる。このように、撮像装置の自動焦点調節において、高精度に被写体情報を検出するためには、撮像系とは別に、測距系を設ける必要があった。このため、撮像装置に、撮像系とは別に測距系を搭載することにより、撮像装置全体の大型化等の問題が生じていた。
【0003】
従来、このような問題に対して、測距センサと測光センサとを同一基板上に配置し、かつ、独立に設けられた複数の測距レンズと測光レンズとを一体形成した測距・測光装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。なお、測距レンズを含む測距光学系を結像系とし、測光レンズを含む測光光学系を非結像系としていた。この測距・測光装置によれば、測距光学系と測光光学系を一つの装置に構成しても、高精度な測距、測光が可能になるとともに、小型化、ローコスト化を図ることができていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、測距レンズと測光レンズとが一体構造となっていることから生ずる光学的な制約や測距レンズに対する測光レンズの必要画角からくる制約を緩和する測距装置(あるいは測光装置)を提供することによって、小型化を図っていた。また、測距・測光の精度も、上記小型化に伴う制約を緩和することによって、実現させるものであった。ところで、測距装置の精度は、これを搭載する撮像装置のズームレンズ側で要求される合焦精度に対応するものでなければならない。しかしながら、上記従来技術による測距装置では、このズームレンズ側で要求される合焦精度に対応した測距仕様を満たすことは、容易ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、撮像装置のズームレンズ側で要求される合焦精度に対応した測距仕様を満たす測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、
前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、前記測距装置により、撮像装置の全ズーム領域において合焦可能な測距精度を得ることができる。
【0009】
また、前記測定手段は、一対のレンズと前記一対のレンズによって前記被写体の像がそれぞれ結像される一対のセンサとを有し、
前記撮像装置の過焦点距離の最大値をH、前記一対のレンズの焦点距離をfs、前記一対のレンズの光軸間の距離で特定される基線長をls、前記センサの変位量の最小分解能をdsとするとき、
【数1】
但し、H=fit2/(δ・Fnot)
fit:撮像装置の最大焦点距離
δ:撮像装置の許容錯乱円
Fnot:撮像装置のfitにおけるFナンバー
なる条件を満足することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動焦点調節機能を有する撮像装置の全ズーム領域において求められる測距精度を満たす測距装置を得ることができるため、本発明にかかる測距装置によって撮像装置の合焦精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パッシブ型測距装置の概念図である。
【図2】撮像装置との関係で求められるパッシブ型測距装置の測距精度の条件を示した概念図である。
【図3】本発明にかかるパッシブ型測距装置の測距精度を示す概念図である。
【図4】本発明にかかる測距装置の実施例1のレンズの構成である。
【図5】図4のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図6】図4のレンズの基線長方向の諸収差である。
【図7】本発明にかかる測距装置の実施例2のレンズの構成である。
【図8】図7のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図9】図7のレンズの基線長方向の諸収差である。
【図10】本発明にかかる測距装置の実施例3のレンズの構成である。
【図11】図10のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図12】図10のレンズの基線長方向の諸収差である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態では、以下、パッシブ型測距装置を例として説明するが、これに限定する趣旨ではない。従って、三角測距の原理を採用するものであれば、アクティブ型測距装置であってもよい。図1は、パッシブ型測距装置の概念図である。パッシブ型測距装置は、一対の同仕様のレンズG1及びG2と、レンズG1、G2に各々対向して並列配置されているセンサS1、S2を有する測定手段を備えている。レンズG1とG2は、各々の光軸X1とX2が平行になるように並列配置され、光軸X1及びX2の間の距離は基線長lsとして定義される。光軸X1上に、レンズG1を介して、センサS1に対向する位置に存在する被写体Oの像をセンサS1及びS2上に結像させる。ここで、レンズG1の主点位置Mから被写体Oまでの距離をL、レンズG1及びレンズG2の焦点距離をfs、センサS2において測定される結像点の位相差量をSとする。そうすると、三角測距の原理により、被写体距離Lは以下の式で与えられる。
L=(fs・ls)/S
上記式において、焦点距離fsと基線長lsは既知の値であるので、位相差量Sを求めることで、被写体距離Lを算出することが出来る。
【0013】
図2は、撮像装置のズームレンズとの関係で求められるパッシブ型測距装置の測距精度の条件を示した概念図である。図2において、センサS2上で基線長lsと水平な方向に展開するセンサS2の変位量の最小分解能をdsとする。また、前記最小分解能ds単位で変位させた変位量に対応する各被写体位置をa、b、c、レンズG1の主点位置Mから各被写体までの距離をLa、Lb、Lcとする。ここで、aは、パッシブ型測距装置の測距可能な最大遠距離である。さらに、各被写体位置において撮像装置から求めた前方被写界深度をa2、b2、c2、後方被写界深度をa1、b1、c1とする。
【0014】
図2(1)では、最小分解能dsの前記変位量に対応して、被写体位置aと被写体位置bとは、離散的に隣り合っている。この離散的に隣り合う被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1とが、間隔なく連続している。従って、センサS2の最小分解能dsの変位量の単位では、測距できない被写体距離間であっても、この連続的な状態の場合は、撮像装置側から見ると、連続的に合焦できる状態になる。従って、以上のような構成であれば、精度の良い合焦が可能になる。
【0015】
一方、図2(2)では、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1との間に間隔iが発生している。従って、この場合、撮像装置側から見ると、この間隔iの部分に存在する被写体については、合焦できない領域になる。従って、このような構成になると、精度の良い合焦が困難になる。
【0016】
図2(1)および(2)から、測距精度が高い条件を設定するには以下の式を満たす必要がある。
a2+b1≧La−Lb
前記パッシブ型測距装置の測定手段が、撮像装置の全ズーム領域において、この条件を満足するように構成されていればよい。ここで、fitは撮像装置の最大焦点距離、δを撮像装置の許容錯乱円、Fnotを撮像装置のfitにおけるFナンバーとすると、上記式は、以下のように展開される。
a2=(δ・Fnot・La2)/(fit2+δ・Fnot・La)
b1=(δ・Fnot・Lb2)/(fit2−δ・Fnot・Lb)
La=(fs・ls)/ds
Lb=(fs・ls)/2ds
Hを撮像装置の過焦点距離の最大値、すなわち、撮像装置の望遠端で最大値となる過焦点距離とし、上記の式をまとめると、以下の式となる。
H/2≦(fs・ls)/ds
但し、
H=fit2/(δ・Fnot)
式(1)の右辺は、パッシブ型測距装置における測距可能な最大遠距離を示す。従って、この測距可能な最大遠距離が、撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上になるようにすれば、撮像装置側の全ズーム領域で高い測距精度を維持することができる。図3は、式(1)の条件を満たす状態、すなわち、本発明にかかるパッシブ型測距装置の測距精度を示す概念図である。図3(1)は、図2(1)で示した通り、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1とが、間隔なく連続している状態を示している。このとき、過焦点距離の1/2は、被写体位置aの位置になる。式(1)は、撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2が、前記パッシブ型測距装置で測距可能な最大遠距離以下であればよいので、図3(2)のような状態であってもよい。すなわち、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2の一部と被写体位置bの後方被写界深度b1の一部とが、重なる状態であってもよい。なお、許容錯乱円δは、撮像装置のピッチの2倍とする。
【0017】
ところで、パッシブ型測距装置の基線長、焦点距離が小さくなると、測距精度が低下し、Fナンバーの明るさを確保することが困難になる。また、パッシブ型測距装置のパワーが強くなり、光学性能を出すことが困難になる。一方、パッシブ型測距装置の基線長や焦点距離が大きくなると、Fナンバーの明るさを確保しようとする場合に、装置自体が大型化するという問題が生じる。そこで、本発明にかかる測距装置を実際に撮像装置に取り付けて使用する場合には、許容範囲として下記の条件式を満たすことが好ましい。
【数1】
式(1)では、数値範囲が1を超えたところで、図2(2)で示したような間隔が空くが、2.5までであれば、撮像装置の合焦に支障はない範囲である。
【0018】
より高精度な自動焦点調節機能を実現するためには、移動する被写体に対して常にピントが合い続ける必要がある。この移動する被写体の追従性能を上げるには、センサS1、S2が備える被写体距離を演算する演算処理回路により、短い時間で測距演算の回数を増やす必要がある。そのためには短い時間で規定の光量をセンサS1、S2に取り込む必要がある。そこで、パッシブ型測距装置のFナンバーを明るくすることで、センサS1、S2に短い時間で規定の光量を取り込むことが可能になる。追従性能に関しては撮像装置のFナンバーも関連している。撮像装置のFナンバーが暗いと被写界深度が深くなることで、パッシブ型測距装置における移動被写体の追従が容易になる。逆に撮像装置のFナンバーが明るいと、被写界深度が浅くなることでパッシブ型測距装置による移動する被写体の追従が困難になる。以上より、パッシブ型測距装置の受光量に関して、以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数2】
但し、Fnosl:前記パッシブ型測距装置の基線長に直交方向のFナンバー
Fnosw:前記パッシブ型測距装置の基線長方向のFナンバー
式(2)の上限を超えると、パッシブ型測距装置のFナンバーが明るくなり、装置全体が大型化する。また、式(2)の下限を下回ると、パッシブ型測距装置のFナンバーが暗くなり、撮像装置のFナンバーが明るくなり、追従性能が悪化する。
【0019】
パッシブ型測距装置の焦点距離は固定なため、画界は常に一定である。これに対して、撮像装置はズームにより画界が変化する。撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が大きいと、撮影者が本来測距したい被写体以外の物体を測距してしまい不都合である。逆に、撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が小さ過ぎると、測距する領域が小さくなり、撮影者が狙った被写体を捉えることが難しくなる。よって、撮像装置の画界に対してパッシブ型測距装置の画界を適切に設定する必要がある。そこで、パッシブ型測距装置と撮像装置の画界に関して以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数3】
パッシブ型測距装置の焦点距離が大きくなると条件式(3)の上限を超え、Fナンバーの明るさを確保しようとするとパッシブ型測距装置が大型化してしまう。パッシブ型測距装置の焦点距離が小さくなると条件式(3)の下限を超え、撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が大きくなる。その結果、撮影者が本来測距したい被写体以外の物体を測距してしまう。また、パッシブ型測距装置の焦点距離が小さくなることで、測距精度が低下してしまう。更に、パッシブ型測距装置のパワーが強くなることで、光学性能を出すのが困難になる。
【0020】
色収差が大きいとセンサS1,S2上で波長による結像位置のズレが発生し、被写体がぼやけて結像される。そのため、被写体を結像させる分解能が低下し、空間周波数の高い被写体を測距するのが困難になる。そこで、パッシブ型測距装置の色収差に関して以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数4】
但し、fsi:パッシブ型測距装置を構成する各レンズの焦点距離
νsi:パッシブ型測距装置を構成する各レンズのアッベ数
パッシブ型測距装置において色収差が十分に補正されないと条件式(4)の上限を超え、空間周波数の高い被写体を測距するのが困難になる。
(実施例)
【0021】
次にパッシブ型測距装置の具体的な実施例を示す。いずれの実施例も、パッシブ型測距装置の構成は、被写体側から順にレンズLと、絞りP、センサのカバーガラスを介して、センサSとなっている。収差図中にて、軸上色収差図及び倍率色収差図中のe線、g線はそれぞれの波長546nm、436nmに対する収差である。△Sはサジタル、△Mはメリディオナルである。また、図中のFnoはFナンバー、ωは半画角(°)を示す。表中のrは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、ndは波長546nmにおける屈折率、νdはアッベ数、*は非球面を示す。非球面は次式で定義される。
【数5】
但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数である。
【0022】
また、本実施例で使用した撮像装置のズームレンズは、以下の3通りである。
[ズームレンズ1]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 100mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 4
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 9.38×10−5mm
[ズームレンズ2]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 322mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 5.2
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 9.38×10−5mm
[ズームレンズ3]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 1400mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 12
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 5.86×10−6mm
【0023】
(第1実施例)
図4は第1実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図5は基線長に直交方向の諸収差、図6は基線長方向の諸収差、表1はセンサSに関する光学系の数値データである。第1実施例は被写体側から順に正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚構成である。表2は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
(第2実施例)
図7は第2実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図8は基線長に垂直方向の諸収差、図9は基線長に水平方向の諸収差、表3はセンサSに関する光学系の数値データである。第2実施例は被写体側から順に正レンズ、負レンズの2枚構成である。表4は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
(第3実施例)
図10は第3実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図11は基線長に垂直方向の諸収差、図12は基線長に水平方向の諸収差、表5はセンサSに関する光学系の数値データである。第3実施例は正レンズの1枚構成である。表6は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表2、表4及び表6からも明らかなように、実施例1から実施例3における前記ズームレンズ1〜3の数値は、いずれも条件式を満足している。
【0033】
なお、前記測距装置は、この測距装置による被写体までの距離の算出結果に基づいて自動焦点調節を行うズームレンズとともに、レンズシステムを構成してもよく、また、このレンズシステムを備えた撮像装置を構成するものであってもよい。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
G1、G2 レンズ
S1、S2 センサ
X1、X2 光軸
M 主点位置
ls 基線長
fs 焦点距離
ds センサの変位量の最小分解能
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点調節機能を有する撮像装置に取り付け可能な測距装置、この測距装置を備えたレンズシステムおよび撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置における自動焦点調節で行われる工程は、大きく分類すると、焦点検出工程と焦点調節工程の二工程がある。焦点検出工程では、高精度の被写体情報を得るために、撮像装置から独立した測距装置を用いることがある。この測距装置は、焦点検出を行うために、三角測距の原理を利用するものがある。三角測距の原理には、対象物が発する光により焦点検出を行うパッシブ型と、装置側から対象物に向けて投射した光の反射を検出することにより、測距を行うアクティブ型がある。一方、焦点調節工程では、上記焦点検出の結果に基づいて、光学系を合焦させる。このように、撮像装置の自動焦点調節において、高精度に被写体情報を検出するためには、撮像系とは別に、測距系を設ける必要があった。このため、撮像装置に、撮像系とは別に測距系を搭載することにより、撮像装置全体の大型化等の問題が生じていた。
【0003】
従来、このような問題に対して、測距センサと測光センサとを同一基板上に配置し、かつ、独立に設けられた複数の測距レンズと測光レンズとを一体形成した測距・測光装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。なお、測距レンズを含む測距光学系を結像系とし、測光レンズを含む測光光学系を非結像系としていた。この測距・測光装置によれば、測距光学系と測光光学系を一つの装置に構成しても、高精度な測距、測光が可能になるとともに、小型化、ローコスト化を図ることができていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、測距レンズと測光レンズとが一体構造となっていることから生ずる光学的な制約や測距レンズに対する測光レンズの必要画角からくる制約を緩和する測距装置(あるいは測光装置)を提供することによって、小型化を図っていた。また、測距・測光の精度も、上記小型化に伴う制約を緩和することによって、実現させるものであった。ところで、測距装置の精度は、これを搭載する撮像装置のズームレンズ側で要求される合焦精度に対応するものでなければならない。しかしながら、上記従来技術による測距装置では、このズームレンズ側で要求される合焦精度に対応した測距仕様を満たすことは、容易ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、撮像装置のズームレンズ側で要求される合焦精度に対応した測距仕様を満たす測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、
前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、前記測距装置により、撮像装置の全ズーム領域において合焦可能な測距精度を得ることができる。
【0009】
また、前記測定手段は、一対のレンズと前記一対のレンズによって前記被写体の像がそれぞれ結像される一対のセンサとを有し、
前記撮像装置の過焦点距離の最大値をH、前記一対のレンズの焦点距離をfs、前記一対のレンズの光軸間の距離で特定される基線長をls、前記センサの変位量の最小分解能をdsとするとき、
【数1】
但し、H=fit2/(δ・Fnot)
fit:撮像装置の最大焦点距離
δ:撮像装置の許容錯乱円
Fnot:撮像装置のfitにおけるFナンバー
なる条件を満足することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動焦点調節機能を有する撮像装置の全ズーム領域において求められる測距精度を満たす測距装置を得ることができるため、本発明にかかる測距装置によって撮像装置の合焦精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パッシブ型測距装置の概念図である。
【図2】撮像装置との関係で求められるパッシブ型測距装置の測距精度の条件を示した概念図である。
【図3】本発明にかかるパッシブ型測距装置の測距精度を示す概念図である。
【図4】本発明にかかる測距装置の実施例1のレンズの構成である。
【図5】図4のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図6】図4のレンズの基線長方向の諸収差である。
【図7】本発明にかかる測距装置の実施例2のレンズの構成である。
【図8】図7のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図9】図7のレンズの基線長方向の諸収差である。
【図10】本発明にかかる測距装置の実施例3のレンズの構成である。
【図11】図10のレンズの基線長に直交方向の諸収差である。
【図12】図10のレンズの基線長方向の諸収差である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態では、以下、パッシブ型測距装置を例として説明するが、これに限定する趣旨ではない。従って、三角測距の原理を採用するものであれば、アクティブ型測距装置であってもよい。図1は、パッシブ型測距装置の概念図である。パッシブ型測距装置は、一対の同仕様のレンズG1及びG2と、レンズG1、G2に各々対向して並列配置されているセンサS1、S2を有する測定手段を備えている。レンズG1とG2は、各々の光軸X1とX2が平行になるように並列配置され、光軸X1及びX2の間の距離は基線長lsとして定義される。光軸X1上に、レンズG1を介して、センサS1に対向する位置に存在する被写体Oの像をセンサS1及びS2上に結像させる。ここで、レンズG1の主点位置Mから被写体Oまでの距離をL、レンズG1及びレンズG2の焦点距離をfs、センサS2において測定される結像点の位相差量をSとする。そうすると、三角測距の原理により、被写体距離Lは以下の式で与えられる。
L=(fs・ls)/S
上記式において、焦点距離fsと基線長lsは既知の値であるので、位相差量Sを求めることで、被写体距離Lを算出することが出来る。
【0013】
図2は、撮像装置のズームレンズとの関係で求められるパッシブ型測距装置の測距精度の条件を示した概念図である。図2において、センサS2上で基線長lsと水平な方向に展開するセンサS2の変位量の最小分解能をdsとする。また、前記最小分解能ds単位で変位させた変位量に対応する各被写体位置をa、b、c、レンズG1の主点位置Mから各被写体までの距離をLa、Lb、Lcとする。ここで、aは、パッシブ型測距装置の測距可能な最大遠距離である。さらに、各被写体位置において撮像装置から求めた前方被写界深度をa2、b2、c2、後方被写界深度をa1、b1、c1とする。
【0014】
図2(1)では、最小分解能dsの前記変位量に対応して、被写体位置aと被写体位置bとは、離散的に隣り合っている。この離散的に隣り合う被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1とが、間隔なく連続している。従って、センサS2の最小分解能dsの変位量の単位では、測距できない被写体距離間であっても、この連続的な状態の場合は、撮像装置側から見ると、連続的に合焦できる状態になる。従って、以上のような構成であれば、精度の良い合焦が可能になる。
【0015】
一方、図2(2)では、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1との間に間隔iが発生している。従って、この場合、撮像装置側から見ると、この間隔iの部分に存在する被写体については、合焦できない領域になる。従って、このような構成になると、精度の良い合焦が困難になる。
【0016】
図2(1)および(2)から、測距精度が高い条件を設定するには以下の式を満たす必要がある。
a2+b1≧La−Lb
前記パッシブ型測距装置の測定手段が、撮像装置の全ズーム領域において、この条件を満足するように構成されていればよい。ここで、fitは撮像装置の最大焦点距離、δを撮像装置の許容錯乱円、Fnotを撮像装置のfitにおけるFナンバーとすると、上記式は、以下のように展開される。
a2=(δ・Fnot・La2)/(fit2+δ・Fnot・La)
b1=(δ・Fnot・Lb2)/(fit2−δ・Fnot・Lb)
La=(fs・ls)/ds
Lb=(fs・ls)/2ds
Hを撮像装置の過焦点距離の最大値、すなわち、撮像装置の望遠端で最大値となる過焦点距離とし、上記の式をまとめると、以下の式となる。
H/2≦(fs・ls)/ds
但し、
H=fit2/(δ・Fnot)
式(1)の右辺は、パッシブ型測距装置における測距可能な最大遠距離を示す。従って、この測距可能な最大遠距離が、撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上になるようにすれば、撮像装置側の全ズーム領域で高い測距精度を維持することができる。図3は、式(1)の条件を満たす状態、すなわち、本発明にかかるパッシブ型測距装置の測距精度を示す概念図である。図3(1)は、図2(1)で示した通り、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2と被写体位置bの後方被写界深度b1とが、間隔なく連続している状態を示している。このとき、過焦点距離の1/2は、被写体位置aの位置になる。式(1)は、撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2が、前記パッシブ型測距装置で測距可能な最大遠距離以下であればよいので、図3(2)のような状態であってもよい。すなわち、被写体位置aと被写体位置bとの間の範囲内で、被写体位置aの前方被写界深度a2の一部と被写体位置bの後方被写界深度b1の一部とが、重なる状態であってもよい。なお、許容錯乱円δは、撮像装置のピッチの2倍とする。
【0017】
ところで、パッシブ型測距装置の基線長、焦点距離が小さくなると、測距精度が低下し、Fナンバーの明るさを確保することが困難になる。また、パッシブ型測距装置のパワーが強くなり、光学性能を出すことが困難になる。一方、パッシブ型測距装置の基線長や焦点距離が大きくなると、Fナンバーの明るさを確保しようとする場合に、装置自体が大型化するという問題が生じる。そこで、本発明にかかる測距装置を実際に撮像装置に取り付けて使用する場合には、許容範囲として下記の条件式を満たすことが好ましい。
【数1】
式(1)では、数値範囲が1を超えたところで、図2(2)で示したような間隔が空くが、2.5までであれば、撮像装置の合焦に支障はない範囲である。
【0018】
より高精度な自動焦点調節機能を実現するためには、移動する被写体に対して常にピントが合い続ける必要がある。この移動する被写体の追従性能を上げるには、センサS1、S2が備える被写体距離を演算する演算処理回路により、短い時間で測距演算の回数を増やす必要がある。そのためには短い時間で規定の光量をセンサS1、S2に取り込む必要がある。そこで、パッシブ型測距装置のFナンバーを明るくすることで、センサS1、S2に短い時間で規定の光量を取り込むことが可能になる。追従性能に関しては撮像装置のFナンバーも関連している。撮像装置のFナンバーが暗いと被写界深度が深くなることで、パッシブ型測距装置における移動被写体の追従が容易になる。逆に撮像装置のFナンバーが明るいと、被写界深度が浅くなることでパッシブ型測距装置による移動する被写体の追従が困難になる。以上より、パッシブ型測距装置の受光量に関して、以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数2】
但し、Fnosl:前記パッシブ型測距装置の基線長に直交方向のFナンバー
Fnosw:前記パッシブ型測距装置の基線長方向のFナンバー
式(2)の上限を超えると、パッシブ型測距装置のFナンバーが明るくなり、装置全体が大型化する。また、式(2)の下限を下回ると、パッシブ型測距装置のFナンバーが暗くなり、撮像装置のFナンバーが明るくなり、追従性能が悪化する。
【0019】
パッシブ型測距装置の焦点距離は固定なため、画界は常に一定である。これに対して、撮像装置はズームにより画界が変化する。撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が大きいと、撮影者が本来測距したい被写体以外の物体を測距してしまい不都合である。逆に、撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が小さ過ぎると、測距する領域が小さくなり、撮影者が狙った被写体を捉えることが難しくなる。よって、撮像装置の画界に対してパッシブ型測距装置の画界を適切に設定する必要がある。そこで、パッシブ型測距装置と撮像装置の画界に関して以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数3】
パッシブ型測距装置の焦点距離が大きくなると条件式(3)の上限を超え、Fナンバーの明るさを確保しようとするとパッシブ型測距装置が大型化してしまう。パッシブ型測距装置の焦点距離が小さくなると条件式(3)の下限を超え、撮像装置の画界よりパッシブ型測距装置の画界が大きくなる。その結果、撮影者が本来測距したい被写体以外の物体を測距してしまう。また、パッシブ型測距装置の焦点距離が小さくなることで、測距精度が低下してしまう。更に、パッシブ型測距装置のパワーが強くなることで、光学性能を出すのが困難になる。
【0020】
色収差が大きいとセンサS1,S2上で波長による結像位置のズレが発生し、被写体がぼやけて結像される。そのため、被写体を結像させる分解能が低下し、空間周波数の高い被写体を測距するのが困難になる。そこで、パッシブ型測距装置の色収差に関して以下の条件式を満たすことが好ましい。
【数4】
但し、fsi:パッシブ型測距装置を構成する各レンズの焦点距離
νsi:パッシブ型測距装置を構成する各レンズのアッベ数
パッシブ型測距装置において色収差が十分に補正されないと条件式(4)の上限を超え、空間周波数の高い被写体を測距するのが困難になる。
(実施例)
【0021】
次にパッシブ型測距装置の具体的な実施例を示す。いずれの実施例も、パッシブ型測距装置の構成は、被写体側から順にレンズLと、絞りP、センサのカバーガラスを介して、センサSとなっている。収差図中にて、軸上色収差図及び倍率色収差図中のe線、g線はそれぞれの波長546nm、436nmに対する収差である。△Sはサジタル、△Mはメリディオナルである。また、図中のFnoはFナンバー、ωは半画角(°)を示す。表中のrは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、ndは波長546nmにおける屈折率、νdはアッベ数、*は非球面を示す。非球面は次式で定義される。
【数5】
但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数である。
【0022】
また、本実施例で使用した撮像装置のズームレンズは、以下の3通りである。
[ズームレンズ1]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 100mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 4
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 9.38×10−5mm
[ズームレンズ2]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 322mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 5.2
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 9.38×10−5mm
[ズームレンズ3]
撮像装置の最大焦点距離(fit) 1400mm
撮像装置のfitにおけるFナンバー(Fnot) 12
撮像装置の許容錯乱円(δ) 0.01mm
測距装置のセンサSの変位量の最小分解能(ds) 5.86×10−6mm
【0023】
(第1実施例)
図4は第1実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図5は基線長に直交方向の諸収差、図6は基線長方向の諸収差、表1はセンサSに関する光学系の数値データである。第1実施例は被写体側から順に正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚構成である。表2は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
(第2実施例)
図7は第2実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図8は基線長に垂直方向の諸収差、図9は基線長に水平方向の諸収差、表3はセンサSに関する光学系の数値データである。第2実施例は被写体側から順に正レンズ、負レンズの2枚構成である。表4は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
(第3実施例)
図10は第3実施例にかかるパッシブ型測距装置の構成図、図11は基線長に垂直方向の諸収差、図12は基線長に水平方向の諸収差、表5はセンサSに関する光学系の数値データである。第3実施例は正レンズの1枚構成である。表6は、前記ズームレンズ1〜3について、各々条件式(1)〜(4)に対応する値を示した。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
表2、表4及び表6からも明らかなように、実施例1から実施例3における前記ズームレンズ1〜3の数値は、いずれも条件式を満足している。
【0033】
なお、前記測距装置は、この測距装置による被写体までの距離の算出結果に基づいて自動焦点調節を行うズームレンズとともに、レンズシステムを構成してもよく、また、このレンズシステムを備えた撮像装置を構成するものであってもよい。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
G1、G2 レンズ
S1、S2 センサ
X1、X2 光軸
M 主点位置
ls 基線長
fs 焦点距離
ds センサの変位量の最小分解能
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、
前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有することを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記測定手段は、一対のレンズと前記一対のレンズによって前記被写体の像が結像される一対のセンサとを有し、
前記撮像装置の過焦点距離の最大値をH、前記一対のレンズの焦点距離をfs、前記一対のレンズの光軸の間の距離で定義される基線長をls、前記センサの変位量の最小分解能をdsとするとき、
【数1】
但し、H=fit2/(δ・Fnot)
fit:撮像装置の最大焦点距離
δ:撮像装置の許容錯乱円
Fnot:撮像装置のfitにおけるFナンバー
なる条件を満足することを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記基線長に直交方向のFナンバーをFnoslとし、前記基線長方向のFナンバーをFnoswとしたとき、
【数2】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2記載の測距装置。
【請求項4】
前記レンズの焦点距離をfsとし、前記撮像装置の最大焦点距離をfitとするとき、
【数3】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2または請求項3記載の測距装置。
【請求項5】
前記測距装置を構成する各レンズの焦点距離をfsiとし、前記測距装置を構成する各レンズの各アッベ数をνsiとしたとき、
【数4】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の測距装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の測距装置と、前記測距装置による被写体までの距離の算出結果に基づいて自動焦点調節を行うズームレンズと、を備えたことを特徴とするレンズシステム。
【請求項7】
請求項6記載のレンズシステムを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
撮像装置によって撮像される被写体までの距離を三角測距の原理によって測定する測距装置であって、
前記被写体までの距離の測距可能な最大遠距離が、前記撮像装置の過焦点距離の最大値の1/2以上とする測定手段を有することを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記測定手段は、一対のレンズと前記一対のレンズによって前記被写体の像が結像される一対のセンサとを有し、
前記撮像装置の過焦点距離の最大値をH、前記一対のレンズの焦点距離をfs、前記一対のレンズの光軸の間の距離で定義される基線長をls、前記センサの変位量の最小分解能をdsとするとき、
【数1】
但し、H=fit2/(δ・Fnot)
fit:撮像装置の最大焦点距離
δ:撮像装置の許容錯乱円
Fnot:撮像装置のfitにおけるFナンバー
なる条件を満足することを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記基線長に直交方向のFナンバーをFnoslとし、前記基線長方向のFナンバーをFnoswとしたとき、
【数2】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2記載の測距装置。
【請求項4】
前記レンズの焦点距離をfsとし、前記撮像装置の最大焦点距離をfitとするとき、
【数3】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2または請求項3記載の測距装置。
【請求項5】
前記測距装置を構成する各レンズの焦点距離をfsiとし、前記測距装置を構成する各レンズの各アッベ数をνsiとしたとき、
【数4】
なる条件式を満足することを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の測距装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の測距装置と、前記測距装置による被写体までの距離の算出結果に基づいて自動焦点調節を行うズームレンズと、を備えたことを特徴とするレンズシステム。
【請求項7】
請求項6記載のレンズシステムを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−63520(P2012−63520A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206766(P2010−206766)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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