説明

漏洩探知装置

【課題】 埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができると共に、漏洩探知作業にそれほど熟練した者でなくとも使用することができる漏洩探知装置を提供する。
【解決手段】 圧電素子を内蔵したピックアップ6を有する振動検出装置2と、出力信号を電圧増幅する電圧増幅器31,37及び出力信号から雑音を除去する複数種類の雑音除去手段33,34,35を内蔵した探知装置本体4と、ヘッドフォン5と、から漏洩探知装置1を構成する。探知装置本体4は、探知した振動音データを所定画面に表示する表示装置15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設した水道管路、ガス管路等の流体管路内を流動する水、ガス等の流体の漏洩の有無及び漏洩位置を探知する漏洩探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設した水道管路、ガス管路等の流体管路内を流動する水、ガス等の流体の漏洩の有無及び漏洩位置を探知する装置として、図8に示すように、ピックアップ83及びコード84より成る振動検出装置82と、電圧増幅装置85と、ヘッドフォン86とから構成される音聴式漏洩探知装置81が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−325778号公報
【0004】
この漏洩探知装置81を使用して水道管路における漏水の有無及び漏洩位置を探知する場合には、図9に示すように、作業者は、電圧増幅装置85をベルトによって腰部に保持すると共に、ベルトによって首部から吊下げ、ヘッドフォン86を頭部に装着する。そして、コード84の適宜部所を片手で把持し、ピックアップ83を地表面に載置する。
【0005】
電圧増幅装置85の電源をONにすれば、水道管路の漏水点で発生し、地中を伝播してきた微小振動である漏水音は、地表面に載置したピックアップ83によって捕捉され、電気信号に変換される。そして、電圧増幅装置85によって音聴可能なレベルにまで電圧増幅され、ヘッドフォン86から音声出力される。
【0006】
作業者は、水道管路に沿って0.5〜1.0mm間隔でピックアップ83を地表面に載置し、ヘッドフォン86からの出力音を聴き取る。そして、その強弱、高低等によって漏水の有無を判断し、出力音のレベルが極大値になった時に、その直下の水道管路に漏水点が存在すると判断する。
【0007】
ここで、水道管路の漏水点で発生した漏水音は、地中を伝播して地表面に到達するまでに相当程度減衰して微小振動となる。よって、上記のような漏水探知作業は、通常、自動車、歩行者等による交通騒音、工場、建設現場等による産業騒音、店舗内機器、自動販売機等による生活騒音が極めて小さくなる夜間に実施される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、夜間であっても、実際には、自動車、歩行者等による交通騒音が一時的に発生することもあるし、深夜営業する店舗内機器、自動販売機等による生活騒音も小さいながらも定常的に発生している場合もある。このような場合、従来の漏洩探知装置81では、これらの騒音をピックアップ83が捕捉してしまい、ヘッドフォン86からの出力音に雑音として混在することになるから、漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知するのは困難であった。
【0009】
又、従来の漏洩探知装置81を使用した漏洩探知作業では、作業者がヘッドフォン86からの出力音を聴き取り、その微妙な強弱、高低等によって漏洩の有無を判断し、その微小なレベルが極大になった時を漏洩点と判断するから、現実的に、漏洩探知作業に相当熟練した者でなければ実施することができなかった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、自動車、歩行者等による交通騒音が一時的に発生し、深夜営業する店舗内機器、自動販売機等による生活騒音が定常的に発生する場合にあっても、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる漏洩探知装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、又、漏洩探知作業にそれほど熟練した者でなくとも、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる漏洩探知装置を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の漏洩探知装置は、圧電素子を内蔵したピックアップを有する振動検出装置と、出力信号を電圧増幅する電圧増幅器及び出力信号から雑音を除去する複数種類の雑音除去手段を内蔵した探知装置本体と、ヘッドフォンと、から構成したことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、漏洩探知を実施する環境下に発生している騒音を考慮した上で、最適な雑音除去手段を適宜選択することができるから、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる。
【0014】
前記複数種類の雑音除去手段は、適宜組合せて適用でき、設定条件を変更できることが好ましい。
【0015】
前記探知装置本体は、探知した振動音データを所定画面に表示する表示装置を有することが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、振動検出レベルを音聴できるだけでなく、数値表示、グラフ表示によって視覚化されるから、漏洩探知作業にそれほど熟練した者でなくとも、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる。
【0017】
前記振動検出装置は、信号出力コードにゴム製塊状体の雑音吸収部材を装着したものであるのが好ましい。
【0018】
前記振動検出装置を保持する把持部材を設け、この把持部材に音聴スイッチを配設すれば、作業者は手元で音聴スイッチを押下することができ、操作性が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の漏洩探知装置の好適な実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の漏洩探知装置の構成を示す斜視図、図2は、振動検出装置及び把持部材の正面図、図3は、雑音吸収部材の断面図、図4は、探知装置本体の(A)は前面図、(B)は左側面図、(C)は上面図及び(D)は右側面図である。
【0020】
本発明の漏洩探知装置1は、図1に示すように、振動検出装置2、把持部材3、探知装置本体4及びヘッドフォン5から構成される。
【0021】
振動検出装置2は、図1及び図2に示すように、ピックアップ6、コード7及び雑音吸収部材8から成る。
【0022】
ピックアップ6は、図2に示すように、載置部9、本体部10、接続部11から成り、載置部9は、金属製の板材を折曲して複数の脚体を形成してある。本体部10は、金属製の振動体及びこれに固着した圧電素子を内蔵し、ゴム製のカバーで被覆してあり、接続部11は、コネクタを内蔵し、ゴム製のカバーで被覆してある。
【0023】
コード7は、図2に示すように、前記圧電素子のハーネスと接続した導体線を塩化ビニル製の保護材で被覆してあり、その下部において巻き回してループ部7aを形成し、ループ部7aにおいて重合するコード部分をゴム製の結束部材12,12で結束してある。
【0024】
雑音吸収部材8は、図2及び図3に示すように、球状を呈するゴム製塊状体であり、その内部には、コード7の外径と略同一の内径を有する略U字状のコード嵌挿路8aを形成してある。
そして、ループ部7aより下方のコード7の下端部をコード嵌挿路8aに嵌挿させ、コード7のピックアップ6近傍に装着してある。
【0025】
漏洩探知作業時には、コード7は空中で不安定な状態にあるが、振動検出装置2では、コード7の下部にループ部7aを形成し、重合するコード部分を結束部材12,12で結束したから、コード7の下部では風が当たっても水平方向に微小振動することが少なく、又、手が動いても垂直方向に微小振動することが少ない。よって、コード7において風切音、摩擦音が発生し難くなる。
【0026】
さらに、コード7のピックアップ6近傍にゴム製塊状体である雑音吸収部材8を装着したから、コード7に風切音、摩擦音が発生した場合にも、雑音吸収部材8の材質自体の作用及び慣性質量としての作用によって微小振動が吸収され、風切音、摩擦音による雑音を効果的に除去することができる。
【0027】
又、略U字状のコード嵌挿路8aにコード7を嵌挿させ、コード7を少なくとも2箇所において大きく屈曲させ、コード7の保護材を硬化させて振動吸収特性を高めたから、これら屈曲部において水平方向及び垂直方向の微小振動が吸収され、風切音、摩擦音による雑音を効果的に除去することができる。
【0028】
把持部材3は、図1及び図2に示すように、角柱状を呈し、筐体の下面先端部に下方突出させたゴム製ブッシュを介して前記コード7の一端部を接続すると共に、後面部に後方突出させたゴム製ブッシュを介してコード14を接続してある。
又、筐体の下面前側部には音聴スイッチ13を配設してあり、作業者が把持部材3を把持した状態で、人差指等によって音聴スイッチ13を押下できるようになっている。
【0029】
このように、把持部材3の下面前側部に音聴スイッチ13を配設しておけば、漏洩探知作業時に、作業者は、把持部材3を把持した状態で音聴スイッチ13を操作することができ、一々探知装置本体4に片手を移動させ、探知装置本体4に配設した音聴スイッチ23を確認して押下する必要がなく、極めて操作性に優れる。
【0030】
探知装置本体4は、図1及び図4に示すように、上面中央部にLCDから成る表示装置15を配設し、表示装置15の周囲に、フィルター高域設定キー16、フィルター低域設定キー17、コムフィルター設定キー18、遅延処理雑音除去モード設定キー19、表示画面切替キー20、データ保存キー21、バックライトキー22を配置してある。
そして、上面右上端部には音聴スイッチ23を、上面左上端部には感度設定ダイヤル24を配置してある。
【0031】
探知装置本体4の左側面部には電源スイッチ25及び通信ポート26を、右側面部には振動検出装置接続コネクタ27及びヘッドフォンジャック28を配設してある。
又、左側面部及び右側面部の中央上端部に、探知装置本体4を吊下げるバンドの下端部を係止する係止溝部29,29を形成してあると共に、後面両側部には、探知装置本体4を保持するバンドを挿通する掛止部材30,30を固着してある。
【0032】
探知装置本体4は、図5及び図6に示すように、電圧増幅器31、A/D変換器32、
複数種類の雑音除去手段、D/A変換器36及び電圧増幅器37を内蔵してある。
本実施例では、複数種類の雑音除去手段として、バンドパスフィルター33、コムフィルター34及び遅延処理雑音除去手段35を採用してある。
【0033】
バンドパスフィルター33は、特定範囲の周波数成分のみを通過させ、それ以外の周波数成分は減衰させるものである。
バンドパスフィルター33の通過帯域は、フィルター高域設定キー16、フィルター低域設定キー17を操作することによって適宜設定することができる。
【0034】
探知装置本体4では、フィルター高域設定キー16によって400,600,800,1200,2200Hzという高域周波数を設定でき、フィルター低域設定キー17によって0,100,200,400Hzという低域周波数を設定できる。
例えば、フィルター高域設定キー16によって800Hzという高域周波数を設定し、フィルター低域設定キー17によって200Hzという低域周波数を設定すれば、通過帯域を200〜800Hzとするバンドパスフィルター33を設定できる。
【0035】
コムフィルター34は、特定周波数間隔おきの周波数成分を減衰させ、それ以外の周波数成分は通過させるものである。
コムフィルター34の減衰帯域は、コムフィルター設定キー18を操作することによって適宜設定することができる。
【0036】
探知装置本体4では、コムフィルター設定キー18によって基本周波数を50Hz又は60Hzに設定でき、各々5次高調波までの周波数成分を減衰できる。
例えば、コムフィルター設定キー18によって基本周波数を50Hzに設定すれば、50,100,150,200,250Hzという周波数成分を減衰させるコムフィルター34を設定できる。
【0037】
遅延処理雑音除去手段35は、漏洩音及び外来雑音が混在した信号を周波数成分から成る信号に変換し、サンプリング時点の異なる信号の周波数成分同士のパワーを比較し、パワーの小さい方の周波数成分を全域に亘って選択し、その周波数成分によって外来雑音を除去した信号を生成するものである。
サンプリング時点の相違、すなわち遅延時間は、遅延処理雑音除去モード設定キー19を操作することによって適宜設定することができる。
【0038】
探知装置本体4では、遅延処理雑音除去モード設定キー19によってLEVEL1(遅延時間0.2s)、LEVEL2(遅延時間1.0s)、LEVEL3(遅延時間3.0s)に設定できる。
例えば、遅延処理雑音除去モード設定キー19によってLEVEL2を選択すれば、サンプリング時点が1.0s異なる信号同士を比較し、パワーの小さい方の周波数成分を全域に亘って選択し、外来雑音を除去した信号を生成できる。
【0039】
遅延処理雑音除去手段35は、具体的には、図6に示すように、信号を周波数成分に変換する高速フーリエ変換処理部38、周波数成分とした信号を格納すると共に、遅延信号を生成する信号格納部39、サンプリング時点の異なる信号の周波数成分同士を比較してパワーの大小を判定する信号判定部40、適宜端子と接続して、適宜周波数成分とした信号を選択するスイッチング手段41、選択された周波数成分から信号を生成する高速逆フーリエ変換処理部42とから構成される。
【0040】
水、ガス等の漏洩音は定常的に発生しているのに対して、夜間における自動車、歩行者等による交通騒音は一時的に発生するものであるから、ある時点における出力信号の特定周波数成分のパワーが大きいということは、その時点において外来雑音が発生していると考えられる。従って、遅延処理雑音除去手段35によって、特定周波数成分のパワーの小さい時点における信号を選択すれば、外来雑音の少ない出力信号を抽出できると言える。
【0041】
電源スイッチ25を押下すれば、表示装置15には初期画面が表示された後、1〜2秒後に、図7に示すように、レベル表示画面43が表示される。
そして、表示画面切替キー20を押下する毎に、図7に示すように、レベル表示画面43、ファイルリスト表示画面44、グラフ表示画面45というように、順次表示画面が切り替わるようになっている。
尚、夜間等において表示装置15の画面が見えなくなった場合には、バックライトキー22を押下すれば、表示装置15のバックライトを点灯でき、確実に画面を見ることができる。
【0042】
レベル表示画面43では、音聴時のサンプリングデータ中の最小振動検出レベル値が表示される。この最小振動検出レベル値は、「MIN999」というように、000〜999までの相対的数値として表示され。
又、音聴レベルバー46によって振動検出レベルの変動が視覚化されると共に、音聴レベルバー46の変動は、「99」というように、00〜99までの相対的数値として表示される。
【0043】
ファイルリスト表示画面44では、内部メモリ(図示しない)内の所定のファィルに保存できるファイルデータとして、ファイルNo.最小振動検出レベル値、年月日、時刻が表示される。
【0044】
グラフ表示画面45では、ファイルNo.及びその最小振動検出レベル値が数値表示されると共に、選択された10点のファィルデータにについて、ファイルNo.に対応させた最小振動検出レベル値がグラフ47によって表示される。
【0045】
レベル表示画面43において、把持部材3の音聴スイッチ13又は探知装置本体4の音聴スイッチ23を押下してONにした状態でデータ保存キー21を押下すると、画面上に保存先のファイルNo.が点灯する。
そして、音聴スイッチ13又は音聴スイッチ23を押下してOFFにした時、探知中の最小振動検出レベル値が内部メモリ内の所定のファイルに保存され、画面上から保存先のファイルNo.が消灯する。
【0046】
又、探知装置本体4の通信ポート26にパーソナルコンピュータのケーブルのコネクタを接続すれば、パーソナルコンピュータからのデータ転送命令によって、探知装置本体4の内部メモリに保存されたファイルデータが転送されるようになっている。
【0047】
ヘッドフォン5は、図1に示すように、ヘッドバンド48の両端部に左右のイヤパッド49,50を配設してあり、一方のイヤパッド49からコード51を導出してある。
【0048】
次に、本発明の漏洩探知装置1の使用方法及び作用を、地中に埋設された水道管路における漏水探知に適用した場合について説明する。
【0049】
先ず、振動検出装置2、把持部材3及びヘッドフォン5を探知装置本体4に接続し、探知装置本体4の電源スイッチ25を押下して電源をONにする。そして、フィルター高域設定キー16、フィルター低域設定キー17、コムフィルター設定キー18、遅延処理雑音除去モード設定キー19を操作して、漏洩探知を実施する環境下において最適な雑音除去手段を適宜選択し、設定する。
【0050】
次に、ヘッドフォン5を頭部に装着し、探知装置本体4をバンドによって首部から吊下げると共に、バンドによって腰部に保持する。そして、把持部材3を片手で把持して、ピックアップ6を水道管路が埋設されている地表面に載置し、把持部材3の音聴スイッチ13又は探知装置本体4の音聴スイッチ23を押下してONとして、ピックアップ6から検出信号が出力されるようにする。
【0051】
ピックアップ6によって検出された漏洩音は、探知装置本体4内の電圧増幅器31によって信号増幅され、適宜選択、設定した所定のフィルター33,34、遅延処理雑音除去手段35によって雑音を除去された後、ヘッドフォン5に振動音として出力される。
【0052】
作業者は、ヘッドフォン5から出力される振動音の強弱、高低を聴き、さらに、水道管路に沿って地上を移動し、適宜間隔で地表面にピックアップ6を載置し、出力される振動音の強弱、高低を聴く作業を継続する。
そして、出力される振動音の強弱、高低から、水道管路に漏水が発生しているか否かを判断し、漏水が発生していると判断した場合には、振動音のレベルが極大になる地点を探索して、その直下を水道管路における漏水点と判断する。
【0053】
電源スイッチ25を押下すれば、表示装置15の画面上に所定の画面表示がされ、音聴時のサンプリングデータ中の最小振動検出レベル値が表示され、音聴レベルバー46によって振動検出レベルの変動が視覚化される。又、ファイルデータとして、ファイルNo.最小振動検出レベル値、年月日、時間が表示され、ファイルNo.に対応させた最小振動検出レベル値がグラフ47によって表示される。
【0054】
このように、本発明の漏洩探知装置1では、振動検出レベルを音聴できるだけでなく、
数値表示、グラフ表示によって視覚化されるから、漏洩探知作業にそれほど熟練した者でなくとも、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる。又、漏洩探知作業に熟練した者にとっても、より正確かつ確実に探知することができる。
【0055】
本発明の漏洩探知装置1によれば、深夜営業する店舗内機器、自動販売機等による所定の周波数を有する定常的な生活騒音、自動車、歩行者等による一時的な交通騒音、犬の鳴き声等の不規則的な騒音が種々重なり合っている場合には、バンドパスフィルター33、コムフィルター34、遅延処理雑音除去手段35を全て適用することによって、雑音を除去しつつ漏洩音を確実に捕捉することができる。
【0056】
又、自動車、歩行者等による一時的な交通騒音、犬の鳴き声等の不規則的な騒音が重なり合っている場合には、バンドパスフィルター33、遅延処理雑音除去手段35を適用することによって、雑音を除去しつつ漏洩音を確実に捕捉することができる。
【0057】
さらに、郊外等で騒音が小さい場合には、バンドパスフィルター33のみを適用することによって、雑音を除去しつつ漏洩音を確実に捕捉することができる。
【0058】
以上のように、本発明の漏洩探知装置1によれば、漏洩探知を実施する環境下に発生している騒音の種類を考慮した上で、最適な雑音除去手段を適宜選択し、設定することができるから、埋設流体管路における漏洩の有無及び漏洩位置を正確かつ確実に探知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の漏洩探知装置の構成を示す斜視図である。
【図2】振動検出装置及び把持部材の正面図である。
【図3】雑音吸収部材の断面図である。
【図4】探知装置本体の(A)は前面図、(B)は左側面図、(C)は上面図及び(D)は右側面図である。
【図5】探知装置本体内部の概略構成図である。
【図6】遅延処理雑音除去手段の概略構成図である。
【図7】探知装置本体の表示装置に表示される画面を示す説明図である。
【図8】従来の漏洩探知装置の概略構成図である。
【図9】音聴式漏洩探知装置によって漏洩探知する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 漏洩探知装置
2 振動検出装置
3 把持部材
4 探知装置本体
5 ヘッドフォン
6 ピックアップ
7 コード
8 雑音吸収部材
13 音聴スイッチ
15 表示装置
33 バンドパスフィルター
34 コムフィルター
35 遅延処理雑音除去手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を内蔵したピックアップを有する振動検出装置と、出力信号を電圧増幅する電圧増幅器及び出力信号から雑音を除去する複数種類の雑音除去手段を内蔵した探知装置本体と、ヘッドフォンと、から構成される漏洩探知装置。
【請求項2】
前記複数種類の雑音除去手段は、適宜組合せて適用できることを特徴とする請求項1に記載の漏洩探知装置。
【請求項3】
前記複数種類の雑音除去手段は、設定条件を変更できることを特徴とする請求項1又は2に記載の漏洩探知装置。
【請求項4】
前記探知装置本体は、探知した振動音データを所定画面上に表示する表示装置を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の漏洩探知装置。
【請求項5】
前記振動検出装置は、信号出力コードにゴム製塊状体の雑音吸収部材を装着したものであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の漏洩探知装置。
【請求項6】
前記振動検出装置を保持する把持部材を設け、この把持部材に音聴スイッチを配設したことを特徴とする請求項1乃至5に記載の漏洩探知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−2873(P2009−2873A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165714(P2007−165714)
【出願日】平成19年6月23日(2007.6.23)
【出願人】(000112691)フジテコム株式会社 (9)
【Fターム(参考)】