説明

潜熱回収型温水暖房装置及び風呂給湯装置

【課題】 ドレン排出系統に改良を加え、装置内の各部品の劣化を防止できるようにした潜熱回収型温水暖房装置を提供する。
【解決手段】 潜熱回収型温水暖房装置1のドレン排水系統70は、ドレン受け23から送られたドレンを中和する中和器71と、中和されたドレンのpHを検知するpHセンサー76と、pH検知後のドレンを暖房回路33に注入するドレン注入管路75と、暖房往き配管35から分岐するドレン排水管路37とを有する。ドレンは、中和器71、ドレン注入管路75、暖房回路33、34、一次熱交換器19、暖房往き配管35及びドレン排水管路37を通って排水される。中和器を通った後のドレンのpHを検知して、ドレンが十分に中和されていない場合は、暖房循環回路へのドレン注入を停止したり、中和不十分のドレンが流れたおそれのある暖房循環回路に上水を注水することによりドレンを希釈する、などの処置を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガスの潜熱エネルギを回収する潜熱回収型の温水暖房装置(風呂給湯器を含む)に関する。特には、燃焼排ガス中の水蒸気が復水して生じたドレンを排出するドレン排出系統に改良を加え、装置内の各部品の劣化を防止できるようにした潜熱回収型温水暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜熱回収型の温水暖房装置(床暖房装置や浴室暖房装置、風呂給湯器等)では、近年では熱効率が95%以上のものも開発されつつあり、省エネ機器として注目されている。
【0003】
このような潜熱回収型の暖房装置の給湯器本体(燃焼室)内には、一次熱交換器と二次熱交換器が備えられている。給水配管から供給された水は、通常、最初に二次熱交換器を通過し、次に一次熱交換器を通過する。一次熱交換器では、バーナで燃焼した火炎による輻射熱と燃焼ガスによって、管内を流れる水が加熱される。燃焼ガスはファンによって二次熱交換器に送られて、同ガス中に含まれる高温の水蒸気が二次熱交換器に接する。そして、管内を流れる水がこの水蒸気の潜熱を吸収して加熱される。一方、水蒸気は凝縮し、水(ドレン)に変化する。
【0004】
ドレンは、二次熱交換器の下方に設置されている受け皿に滴下し、受け皿から中和器に送られて中和される。中和されたドレンはドレン受け(ドレンタンク)に溜まる。ドレンが所定の水位まで溜まると、ドレン排水管から排水設備へ排水される。このとき、例えば、近年の集合住宅のように、片側が廊下に面するパイプシャフト内に燃焼室を設置するような場合には、燃焼室の近傍に排水設備が存在しない。このため、パイプシャフトから台所や浴室等までドレン配水管を引かなければならず、このドレン排出用の配管工事に余分な手間がかかる。
【0005】
そこで、本出願人は、ドレンを暖房回路もしくは風呂給湯系統に注入する案を提案した(特許文献1、2参照)。
特許文献1では、ドレン受けから延びた排水管が、暖房循環回路の暖房タンク下流に接続されている。そして、暖房循環回路内の、排水設備を備えた暖房装置の近傍に、ドレン排水用の端末排水管が設けられている。ドレンは暖房循環回路に注入されて、同回路を流れる水により希釈される。そして、ドレンが混入した水は、端末排水管から排水設備に排水される。
【0006】
特許文献2では、ドレン受けから延びた排水管が、風呂給湯系統の往き管路に接続している。ドレンが往き管路に注入されて、同管路内のお湯に混合されて、浴槽に送られる。ドレンを浴槽往きのお湯と混合すると、pHは6.5程度となり、浴槽水として使用しても人体に影響を与えない。
【0007】
【特許文献1】特開2003−130464
【特許文献2】特開2003−42566
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の方法では、ドレン受けの中和器が何等かの原因で故障すると、ドレンが酸性のまま暖房回路や風呂給湯系統に注入されることになる。その場合、これらの回路や給湯系統に設けられている循環ポンプや熱交換器、暖房装置端末などが酸性により腐食し、劣化することが懸念される。なお、暖房循環ポンプ等を耐酸性のものにすれば、同ポンプの耐久性が上がるが、十分な汲み上げ力を有する耐酸性のポンプは非常に高価となる。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、燃焼排ガス中の水蒸気が復水して生じたドレンを排出するドレン排出系統に改良を加え、装置内の各部品の劣化を防止できるようにした潜熱回収型温水暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の潜熱回収型温水暖房装置は、 潜熱回収型給湯器本体と、該本体と暖房装置との間で温水を循環させる暖房循環回路と、を備える潜熱回収型温水暖房装置であって、
前記暖房循環回路内で温水を循環させる暖房循環ポンプと、前記給湯器本体内に設置された潜熱回収型熱交換器(二次熱交換器)及び顕熱回収型熱交換器(一次熱交換器)と、前記二次熱交換器で生じる凝縮水(ドレン)を受けるドレン受けと、該ドレン受けに溜まったドレンを排水するドレン排水系統と、を有し、 前記ドレン排水系統が、 前記ドレン受けから送られたドレンを中和する中和器と、 中和されたドレンのpHを検知するpHセンサーと、 pH検知後の中和ドレンを前記暖房循環回路に注入するドレン注入管路と、 前記暖房循環回路から分岐するように設けられたドレン排水管路と、を有し、 ドレンが、前記中和器、前記ドレン注入管路、前記暖房循環回路及び前記ドレン排水管路を通って排水されることを特徴とする。
【0011】
ドレンは、中和器を通った後、ドレン注入管路、暖房循環回路及びドレン排水管路を通って排水される。ここで、中和器を通った後のドレンのpHを検知するため、中和器の中和性能をチェックすることができる。ドレンが十分に中和されていない場合は、暖房循環回路へのドレン注入を停止したり、中和不十分のドレンが流れたおそれのある暖房循環回路に上水を注水することによりドレンを希釈する、などの処置を行う。したがって、中和器の故障や中和能力の低下などのトラブルを検知できるだけでなく、このようなトラブルが生じた際に、速やかにドレンの混入した暖房循環回路内の水を排水でき、暖房循環回路が酸性のドレンにより劣化することを防止できる。また、中和器の中和能力をオーバースペックにしておく必要もなくなるので、中和器のサイズ・中和剤充填量を縮小でき、コスト減となる。
【0012】
本発明の他の潜熱回収型温水暖房装置は、 潜熱回収型給湯器本体と、該本体から浴槽に給湯するとともに追い焚きを行う風呂給湯系統と、を備える潜熱回収型温水暖房装置であって、 前記給湯器本体が、潜熱回収型熱交換器(二次熱交換器)及び顕熱回収型熱交換器(一次熱交換器)と、前記二次熱交換器で生じる凝縮水(ドレン)を受けるドレン受けと、該ドレン受けに溜まったドレンを排水するドレン排水系統と、を有し、 さらに、前記風呂給湯系統が、前記給湯器本体と前記浴槽との間で浴槽水が循環する風呂追い焚き回路と、該回路内で浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、を有し、 前記ドレン排水系統が、 前記ドレン受けから送られたドレンを中和する中和器と、 中和されたドレンのpHを検知するpHセンサーと、 pH検知後の中和ドレンを前記風呂給湯系統に注入するドレン注入管路と、 前記風呂追い焚き回路から分岐するように設けられたドレン排水管路と、を有し、 ドレンが、前記中和器、前記ドレン注入管路、前記風呂追い焚き回路及び前記ドレン排水管路を通って排水されることを特徴とする。
【0013】
風呂給湯系統の一部(風呂追い焚き回路)を使用して、希釈したドレンを排出することもできる。
【0014】
本発明においては、 さらに、中和されたドレンを貯留するドレンタンクを有し、 前記ドレン注入管路が、該ドレンタンクから、前記暖房循環ポンプの上流の前記暖房循環回路又は前記風呂循環ポンプの上流の前記風呂追い焚き回路に接続されていることが好ましい。
【0015】
ドレンをドレンタンクに貯留することにより、ある程度に時間をかけて溜まったドレン短時間に排水することができるため、暖房運転や追焚運転の妨げとなりにくい。そして、ドレン注入管路をポンプの上流に接続させることにより、ポンプの負圧によってドレンをドレンタンクから回路内に注入させることができるので、別個のドレンポンプを設置する必要がない。
【0016】
本発明においては、 前記ドレン注入管路の先端が、前記暖房循環回路に設けられた暖房タンク(シスターン)上に開放されていることが好ましい。
【0017】
ドレンを暖房タンクに滴下させることにより、ドレンタンクが不要となり、給湯器の部品数を減らすことができ、給湯器本体の体積を少なくできる。
【0018】
本発明においては、 前記ドレン注入管路にドレン排出ポンプが設けられており、 前記ドレン注入管路が前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に接続されていることが好ましい。
【0019】
ドレン排出ポンプを設けることにより、ドレン注入管路を暖房循環回路や風呂追い焚き回路の任意の位置に接続することができる。つまり、ドレンタンクから暖房循環回路等にドレンを注入する際は、同回路側を相対的に負圧にして、ドレンタンクから同回路にドレンを送り込む必要がある。したがって、別個のドレンポンプを設けない場合は、ドレン注入管路を暖房循環ポンプ又は風呂循環ポンプの上流の回路に接続する必要がある。しかし、ドレン注入管路にドレンポンプを設けることにより、回路の任意の位置にドレン注入管路を接続しても、回路にドレンを送り込むことができる。例えば、ドレン排水管路に近い位置で合流させることにより、暖房循環回路や風呂追い焚き回路におけるドレン通過経路を短くできる。
【0020】
本発明においては、 前記ドレン注入管路に、該管路を開閉するドレン注入弁が設けられていることとすれば、ドレン注入弁を閉とすることによりドレンの注入を適宜に停止できるため、暖房循環回路や風呂追い焚き回路の洗浄やエア抜き運転時に回路内にドレンが混入することを防ぐことができる。
【0021】
本発明においては、 前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、 前記暖房装置の運転又は前記風呂の追い焚き運転ないしは注湯(風呂湯張り)運転を停止し、 前記ドレン注入弁を閉じるとともに前記ドレン排水弁を開き、注入されたドレンを前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路内の水を混入し、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路内の水を排水することが好ましい。
【0022】
暖房循環回路や風呂追い焚き回路の一部(ドレン注入管路との接続部からドレン排水管路までの部分)を利用して、ドレンを排水できる。
【0023】
本発明においては、 前記ドレン排水弁を開いた後、前記暖房循環ポンプ又は前記風呂循環ポンプの回転数を上げることとすれば、ドレン混入水の排水をできるだけ短時間で行うことができ、回路内の部品がドレンの酸性に晒されている時間をできるだけ短くできる。
【0024】
本発明においては、 前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、 前記ドレン注入弁を閉じるとともに前記ドレン排水弁を開き、さらに、一定の時間前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に上水を補水して、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路のドレン通過経路を洗浄することとすれば、ドレンが混入した回路内の水を上水でさらに希釈できる。
【0025】
本発明においては、 前記一定の時間が、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に注入されたドレンが前記ドレン排水管路から排水されたと予想される時間より長いこととすれば、上水で希釈されたドレンが排水された後も上水を補水し続けるので、ドレン通過経路を上水で洗浄できる。
【0026】
本発明においては、 前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のドレン経過通路の洗浄後、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路に補水しながら前記暖房循環ポンプ又は風呂循環ポンプを一定時間運転させて、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路のエア抜き運転を行うこととすれば、回路内に適宜な量の上水又は浴槽水を循環させることができる。
【0027】
本発明においては、 前記暖房循環回路又は風呂追い焚き回路のドレン経過通路の洗浄及びエア抜き運転後に前記暖房装置の運転又は前記風呂追い焚き運転を再開した後、 前記ドレンタンクの水位が高水位に達した場合に、エラーを発信して前記給湯器本体及び前記暖房装置の運転並びに前記風呂追い焚き運転を停止することとできる。
【0028】
pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下となって、つまり、中和器にトラブルが生じた後、再びドレンを排水する必要が生じた場合に、エラーとして各機器の運転を停止することにより、中和器の交換や修理を促す。
【0029】
本発明においては、 前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き系統のドレン経過通路の洗浄及びエア抜き運転後に前記暖房装置の運転又は前記風呂追い焚き運転を再開した後で、前記ドレンタンクの水位が高水位に達した場合に、 ドレンの排水、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のドレン通過経路の洗浄及び前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のエア抜き運転を繰り返し行うこともできる。
【0030】
pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下となって、つまり、中和器にトラブルが生じた後でも、ドレンの排水、ドレン通過経路の洗浄及びエア抜き運転を行うことにより、酸性のドレンによる回路の劣化の可能性を低くできる。
【0031】
本発明においては、 前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、 前記ドレンタンクの水位が低水位となるまでドレンを該ドレンタンクから排出することが好ましい。
ドレンタンクからドレンをできるだけ低水位まで排出すると、次にドレンが高水位まで(ドレン排水の必要があるまで)貯留する時間を長くできる。この時間中に、新しい中和器や部品の手配等を行うことができ、中和器を速やかに交換又は修理できる。
【0032】
本発明においては、 前記pHセンサーが、ドレン排水を指示する信号を受けたときのみ電源がオンされることとすれば、pHセンサーの消費電力の低減、及びpHセンサーの劣化防止に有効である。
【発明の効果】
【0033】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ドレンを排出するドレン排出系統に改良を加えることで、装置内の各部品の劣化を防止できるようにした潜熱回収型温水暖房装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、1つの本発明の実施の形態に係る潜熱回収型温水暖房装置の主な配管系統を模式的に示す図である。
図2は、ドレン排水系統の作用を説明するフローチャートである。
【0035】
潜熱回収型温水暖房装置1は、給湯器本体(燃焼室)10と、同本体10と往復の配管で接続された低温暖房装置端末90及び高温暖房装置端末100とから構成される。低温暖房装置端末90は、例えば、床暖房装置やパネルヒーターなどの装置を含む。また、高温暖房装置端末100は、例えば、風呂暖房装置やミストサウナ装置、台所暖房装置などを含む。
同装置1の配管系統は、本体10から低温暖房装置端末90へ往く低温暖房往き配管42及び高温暖房装置端末100へ往く高温暖房往き配管35と、各暖房装置端末90、100から本体10へ戻る暖房戻り配管31とからなる暖房循環回路を形成している。そして、後述する暖房循環ポンプ17により循環管路内を温水が循環する。
【0036】
本体10内には、暖房循環回路の上流から下流に向けて、二次(潜熱回収型)熱交換器11、暖房タンク(シスターン)13、暖房循環ポンプ17、一次(顕熱回収型)熱交換器19等が備えられている。さらに、二次熱交換器11で発生するドレンを回収するためのドレン排水系統70が備えられている(詳細後述)。
【0037】
配管系統内の温水の主な流れについて、暖房戻り配管31の部分から説明する。
各暖房装置端末からの暖房戻り配管31は、本体10内で、まず、二次熱交換器11に接続されている。二次熱交換器11を出た暖房戻り配管32は暖房タンク13に接続されており、配管内の水は同タンク13内に一時的に貯留される。暖房タンク13には、オーバーフロー検知可能な水位センサ14が備えられている。また、同タンク13には、補水配管15が接続している。
【0038】
暖房タンク13から出た配管33には、暖房循環ポンプ17が備えられている。そして、同配管33は暖房循環ポンプ17の下流で、2本の配管34、41に分岐している。
【0039】
一方の配管34は一次熱交換器19に接続され、同一次熱交換器19を通過して高温暖房往き配管35に接続されている。この高温暖房往き配管35は、本体10を出て、ドレン排水弁79に接続されている。ドレン排水弁79については後述する。同弁79を出た配管36は、高温暖房装置端末100に接続されている。
暖房循環ポンプ17の下流で分岐した他方の配管41は、同熱交換器19を通過しない低温配管であり、熱動弁(ON・OFF弁)25を介して低温暖房往き配管42に接続されている。
【0040】
以上のような構成により、暖房循環回路は、低温水が循環する低温循環回路と高温水が循環する高温循環回路を有する。低温循環回路は、暖房戻り配管31から、潜熱回収型熱交換器11、暖房戻り配管32、暖房タンク13、配管33及び低温暖房往き配管41、42を通り、低温暖房装置90へ至る回路である。一方、高温循環回路は、暖房戻り配管31から、潜熱回収型熱交換器11、暖房戻り配管32、暖房タンク13、配管33、34、一次熱交換器19及び高温暖房往き配管35、36を通り、高温暖房端末100へ至る回路である。
【0041】
また、二次熱交換器11を通過した暖房戻り配管32と、高温暖房往き配管35とはバイパス配管45でバイパスされている。バイパス配管45には、電磁開閉弁や流量調整弁などからなるバイパス弁27が備えられている。さらに、バイパス配管45のバイパス弁27の上流側と下流側が補助バイパス配管46でバイパスされている。このバイパス配管45は、暖房戻り配管32内に高温暖房往き配管35からの高温水を合流させて、暖房タンク13内の水の温度、すなわち低温暖房装置端末90に送る水の温度が適宜な温度となるように調整するためのものである。
【0042】
さらに、二次熱交換器11を通過する前の暖房戻り配管31と、高温暖房往き配管35とは風呂バイパス配管47でバイパスされている。この風呂バイパス配管47は、風呂用配管49と液−液熱交換している。
【0043】
次に、一次熱交換器19と二次熱交換器11の配置及び潜熱回収作用について説明する。
一次熱交換器19の下方にはバーナ21が備えられている。そして、二次熱交換器11は、一次熱交換器19に対して、バーナ21で発生した燃焼ガスの流れる方向(上方)に設置されている。バーナ21で燃焼用ガスが燃焼すると、火炎と燃焼ガスが発生する。この火炎による輻射熱と燃焼ガスによって一次熱交換器19が加熱され、管内を流れる水が加熱される。なお、図示しないが、バーナ21の近傍にはファンが備えられており、バーナ21に燃焼用空気を供給するとともに、バーナ21の燃焼ガスを二次熱交換器11へ送っている。これにより燃焼ガスは上方に流れて、同ガス中に含まれる高温の水蒸気が二次熱交換器11に接触し、管内を流れる水が水蒸気の潜熱を吸収する。このような作用により、配管内の水が加熱される。これにより水蒸気は凝縮して水(ドレン)に変化する。この水は、二次熱交換器11の下方に設置されているドレン受け23に滴下する。
【0044】
なお、図示していないが、各配管の適宜な位置には温度センサが配置されており、管内の水の温度を検知している。そして、低温暖房往き配管42内の水の温度が約40〜60℃、高温暖房往き配管35内の水の温度が約80℃となるように、バーナ21に供給されるガスの量や、バイパス配管45のバイパス弁27の開度が調整される。これらの制御は、本体10内に設けられたコントローラ60で行われる。また、後述するように、ドレン注入弁77とドレン排水弁79もコントローラ60で制御される。
【0045】
次に、二次熱交換器11で発生したドレンを排出するドレン排水系統70について説明する。
ドレン排水系統70は、上流から下流に向けて配置された、中和器71と、ドレンタンク73と、ドレンタンク73から暖房循環回路の配管33に延びるドレン注入管路75と、高温暖房往き配管35からドレン排水弁79を介して分岐するように設けられたドレン排水管路37とから主に構成される。ドレン受け23から延びる配管85は、中和器71を経由してドレンタンク73に接続されている。ドレン受け23に溜まったドレンは配管85を通って、中和器71で中和された後、ドレンタンク73に一時的に貯留される。ドレンタンク73には水位計74が備えられている。なお、中和器71とドレンタンク73が一体に設けられたものを使用することもできる。
また、中和器71には、温水暖房装置1の別の潜熱回収型給湯器から延びるドレン配管も接続している。
【0046】
さらに、ドレンタンク73には、開閉弁83を備えた補水配管81が接続している。この補水配管81は、適宜な量の上水をドレンタンク73に補給して、ドレンタンク73内のドレンを希釈するためのものである。
【0047】
ドレン注入管路75は、ドレンタンク73から、暖房循環ポンプ17の上流の配管33に接続している。また、同管には、上流側から、管内のドレンのpHを検知するためのpHメーター76と、ドレン注入弁(開閉弁)77が設けられている。
【0048】
ドレン排水弁79は、上述のように、高温暖房往き配管35に設けられている。ドレン排水弁79は三方弁であり、第一のポート79aは高温暖房往き配管35に接続され、第二のポート79bは高温暖房装置端末100に延びる配管36に接続され、第三のポート79cは浴室ドレンパン120等に繋がるドレン排水管路37に接続されている。ドレン排水管路37の末端は空気中に開放されている。ドレン排水弁79は、通常運転時には、第一のポート79aと第二のポート79bが開で、第三のポート79cが閉となっている。
なお、ドレン排水弁79として、三方弁の代わりに2個の開閉弁を使用することもできる。
【0049】
なお、図1は、高温暖房装置端末100がミストサウナ装置である例を示している。ミストサウナ装置は風呂に設置されており、同装置で発生する排水を浴室のドレンパン120などへ排水する排水管111が敷設されている。このため、ドレン排水弁79をミストサウナ装置100の近傍に設けて、同弁79から延びるドレン排水管路37をこのドレンパン120に接続すれば、管路37の長さが短くて済み、敷設工事を簡易にできる。
【0050】
また、ドレン排水管路37を暖房装置端末100の排水管111に直接接続することもできる。この場合、その後の配管が1本で済む。
【0051】
さらに、この場合、ドレン排水弁79をミストサウナ装置100の制御部160と信号線で接続する。ドレン排水弁79はミストサウナ装置100の近傍に設けられているため、この信号線の長さも比較的短くできる。そして、ミストサウナ装置100の制御部160は、本体10の制御部60と信号線で接続されている。このため、ドレン排水弁79は、本体の制御部60から、ミストサウナ装置100の制御部160を介して制御可能となる。
また、台所のシンク下にドレン排水弁79を設ける場合は、台所リモコンから信号線を引くこともできる。
【0052】
次に、ドレン排水系統70の作用について、図1、図2を参照して説明する。
通常運転時(ドレン排出時以外)は、ドレン注入弁77は閉となっている。また、ドレン排水弁79は、第一のポート79aと第二のポート79bが開で、第三のポート79cが閉となって、高温水は、本体10から高温暖房往き配管35、36を通って高温暖房装置端末100に送られている。
【0053】
このような通常運転中、ステップ1で、ドレンタンク73内のドレンの水位を水位センサ74で検知する。ドレン水位が高水位に達すると、ステップ2でドレン注入弁77を開として、暖房循環回路にドレン水を注入する。ドレン注入管75は、暖房循環ポンプ17の上流の配管33に接続しているので、ドレンは同ポンプ17によりドレンタンク73から引かれて、ドレン注入管75を通って配管33に注入され、回路内を循環している水と混合される。そして、ステップ3で、pHメータ76でドレン注入管75内のドレン水のpHを検知する。ここで、pHが6.5以上であれば、ドレン水が十分に中和されていると判断され、ステップ4に進んで通常のドレン排水運転を行う。なお、通常のドレン排水運転は、暖房循環回路にドレンを注入し、ドレン水の合流により暖房回路内の水量が増えて暖房タンク13の水位が高くなると、ドレン排水弁79を切り換えて、同回路のドレン排水管路37から排水するという作業である。
【0054】
一方、ステップ3で、ドレンのpHが6.5より低ければ、ドレンが中和されていないことであり、中和器71の故障や中和能力の低下を示す。そこで、ステップ5に進んで中和器エラーをランプの点滅等の方法で報知する。そして、ドレンがドレンタンク73から暖房回路へ注入されて、ドレンタンク73内の水位が低水位(L)に達すると(ステップ6)、ステップ7でドレン注入弁77を閉じて、ドレンの暖房回路への注入を停止し、ステップ8で暖房機器の運転を停止する。
【0055】
その後、以下のステップにおいて、暖房回路内に注入されたドレンを排水した後、暖房回路の洗浄を行う。
まず、ステップ9で、ドレン排水弁79を、第二のポート79bを閉、第三のポート79cを開に切り替えて、高温水循環回路内の温水をドレン排水管路37から排水し、ステップ10で、補水配管15から、暖房タンク13に上水の補給を開始する。これにより、高温水循環回路の、ドレン通過経路(ドレン注入管75との合流部からドレン排水弁79までの部分)を、暖房タンク13に補給された上水で洗浄する。次に、ステップ11で、ドレン排水弁79を切り換えてから(すなわち、高温水循環回路において、上水が補水されながらドレン排水管路37から排水が開始されてから)所定時間(一例で3分)以上経過したかどうかを判断し、所定時間以上経過すると、ステップ12でドレン排水弁79を、第二のポート79bを開、第三のポート79cを閉に切り替えて、ドレン排水管路37からの排水を停止する。
【0056】
つまり、高温水循環回路のドレン通過経路を、暖房タンク13に補水された上水を所定時間流して洗浄する。ここで、上水を流す時間は、暖房回路に注入された全てのドレンが、ドレン通過経路(配管33、34、一次熱交換器19、高温暖房往き配管35、ドレン排水弁79及びドレン排水管路37)を通って排水される時間と、暖房タンク13に補給
された上水のみが、このドレン通過経路を通って排水される時間を加えた時間である。したがって、ドレンが混入した水を完全に排水した後、上水のみを所定時間流してドレン通過経路を洗浄する。
【0057】
暖房循環回路では、ドレン排水弁79が切り換えられた後も、暖房タンク13に補水されている。そこで、ステップ13で、暖房タンク13の水位を検知し、同水位が高水位(H)に達するまで上水を補給する(エア抜き運転)と、ステップ14で補給を停止する。その後、ステップ15で、ドレン排水弁79の切り換え回数をカウントして、切り換えが3回行われたかどうかを判断する。3回以下であれば、ステップ9に戻り、再度ドレン排水弁79を同様に切り換えて、ステップ10からステップ14まで順に進み、暖房回路内の希釈洗浄を行う。
【0058】
以上の作業を、ドレン排水弁79の切り換え回数が4回目となるまで行う。つまり、暖房回路内の排水と補水とを、繰り返して3回行うことにより、同回路内に混入したドレンはほぼ完全に排水されるとともに、ドレン通過経路を洗浄できる。ステップ15でドレン排水弁79の切り換え回数が4回目となると、ステップ16に進んで、暖房機器の運転を開始する。そして、ステップ17でドレンタンク73の水位が高水位に達すると、ステップ18で暖房機器の運転を停止して、ランプの点滅や警報音を発してエラー報知する。
【0059】
なお、ステップ6において、ドレンタンク73内のドレンを低水位となるまで排出することによって、ステップ17でドレン水位が高水位に達するまでの時間をできるだけ長くとることができる(時間をかせげる)。そこで、この時間中に、新しい中和器や部品の手配等を済ませておけば、ステップ18でエラー報知されたときに、速やかに中和器の交換や修理を行うことができる。
【0060】
なお、ドレン排水系統として高温暖房往き配管35を使用することは、以下の理由よる。低温循環回路中に設置される低温暖房装置端末90は、比較的運転時間が長く、高温循環回路中に設置される高温暖房装置端末100は比較的運転時間が短い。つまり、比較的長い、高温暖房装置端末100が運転されていない時間中に、暖房往き配管35をドレン排水系統として使用する。これにより、低温暖房装置端末90は、ドレン排水中も運転され続けることができる。そして、高温暖房装置端末100は、運転されていないタイミングを見計らってドレン排水するため、強制的に運転を停止させるようなことは起こり難い。
【0061】
なお、この例では、中和器71の不具合を一度検知すると、フローチャートに示すように、ステップ18で暖房機器と給湯器の運転を停止した。しかし、中和器71が不具合となっても、上述の作業を行うことにより、ドレンの排水と、暖房回路中のドレン通過経路の洗浄を行うことができるため、ステップ17で、ドレンタンク73のドレン水位が高水位となった後、ステップ2に戻って、ドレン排水及び暖房回路の洗浄作業を繰り返して行うこともできる。
【0062】
図3は、ドレン排水機構の他の例を示すフローチャートである。
この例では、ステップ10で、暖房タンク13に補水を開始した後、ステップ101で暖房循環ポンプ17の回転数を上げる。これにより、暖房回路内に注入されたドレンをできるだけ速やかに排水し、暖房回路がドレン水に晒されている時間をできるだけ短くできる。そして、ステップ11でドレン排水弁79を所定時間以上開いた後、ステップ111で暖房循環ポンプ17の回転数を元に戻し、ステップ12でドレン排水弁79を閉じる。
【0063】
図4は、本発明の他の実施の形態に係る潜熱回収型温水暖房装置の主な配管系統を模式的に示す図である。
図5は、図4の潜熱回収型温水暖房装置のドレン排水系統の作用を説明するフローチャートである。
図4において、図1と同じ符号を付す部品は、図1の部品と同じ構成・作用を有し、説明を省略する。
【0064】
この例では、ドレン排水系統70において、ドレンタンクとして暖房タンク13を兼用し、中和器71から暖房タンク13にドレン注入管75が延びている。ドレン注入管75には、上流側からpHメーター76、ドレン注入弁77が設けられている。この装置1においては、ドレンタンクを設けていないため、図1の暖房装置と比べて部品数を減らすことができ、本体10の体積を低くできる。
【0065】
図5のフローチャートに示すドレン排水作業は、図2のフローチャートのドレン排水作業とほぼ同様であるが、以下の点で異なる。
まず、ステップ1Aで、ドレン排水信号を受信した後、ステップ2でドレン注入弁77を開く。図1の暖房装置では、ドレンタンクの水位を検知して同水位が高水位に達したときにドレン注入弁77を開としたが、この例の暖房装置は、ドレンタンクを使用していないため、例えば、中和器71に設置されたセンサーで検知することによりドレン排水信号を発して、ドレン注入弁77を開とする。これにより、ドレン受け23やドレン排水管85、75に貯留していたドレンが暖房タンク13に移されて、同タンク内の水によって希釈される。
【0066】
そして、ステップ6Aで、暖房タンク13にドレンが混入して水位が高水位に達すると、ステップ7でドレン注入弁77を閉じる。その後、ステップ8で暖房機器の運転を停止した後、ステップ9からステップ16までの作業を行う。ただし、この作業中に、暖房タンク13に移されたドレンが全て排水された後、暖房タンク13に補水された上水のみがドレン通過経路を通って排水されるように、各弁の開度や弁の開時間を選定する。
【0067】
そして、ステップ16で暖房機器の運転を再開し、ステップ17Aでドレン排水信号を受信すると、ステップ18でエラー報知して、暖房装置の運転を停止する。
【0068】
図6(A)は、1つの本発明の実施の形態に係る潜熱回収型風呂給湯装置の主な配管の系統を模式的に示す図であり、図6(B)は図6(A)の変形例である。
この潜熱回収型風呂給湯器201は、給湯器本体(燃焼室)210内に、給湯系統203と、風呂追い焚き系統205と、暖房系統207とを有する。
【0069】
図の左上側に示す暖房系統207は、暖房装置(図示されず)と本体210との間で温水を循環する循環回路を有する。循環回路は、暖房装置(図示されず)から本体210に戻る戻り配管231、潜熱回収型熱交換器211、暖房タンク213、暖房ポンプ217暖房ポンプ217の下流で分岐する、一次熱交換器219を通る高温暖房装置往き配管235と、同熱交換器219を通らない低温暖房装置往き配管241とから主に構成される。戻り配管231と高温暖房装置往き配管235はバイパス配管でバイパスされており、このバイパス配管に、後述する風呂追い焚き系統205と液−液熱交換する熱交換器236が設けられている。潜熱回収型熱交換器211で発生するドレンはドレン受け223に溜まり、排水管285を通って、後述するドレン排水系統270の中和器271に送られる。
【0070】
図の右側に示す給湯系統203は、給水源から上水を本体210に送る給水配管251、潜熱回収型熱交換器252、一次熱交換器253、給湯栓に繋がる給湯配管254から主に構成される。さらに、同系統203は、給水配管251と給湯配管254をバイパスするバイパス配管255を有する。バイパス配管255にはバイパス弁256が設けられている。潜熱回収型熱交換器252で発生するドレンはドレン受け287に溜まり、排水管289を通って、後述するドレン排水系統270の中和器271に送られる。
【0071】
図の左下側に示す風呂追い焚き系統205は、風呂260から本体210に戻る風呂戻り配管245、風呂循環ポンプ258、熱交換器246、本体210から風呂260に往く風呂往き配管247、248等から構成される風呂追い焚き回路を有する。熱交換器246は、前述の暖房系統207の熱交換器236と(液−液)熱交換する。
【0072】
次に、給湯系統203の潜熱回収型熱交換器252及び暖房系統207の潜熱回収型熱交換器211で発生したドレンを排出するドレン排水系統270について説明する。
ドレン排水系統270は、図1の暖房装置と同様に、中和器271と、ドレンタンク273と、ドレン注入管路275と、風呂往き配管247からドレン排水弁279を介して分岐するように設けられたドレン排水管路249とから主に構成される。ドレン注入管路275には、上流側から、管内のドレンのpHを検知するためのpHメーター276と、ドレン注入弁277が設けられている。そして、ドレン注入管路275は、風呂追い焚き系統205の風呂戻り配管245の風呂循環ポンプ258の上流に接続している。また、ドレンタンク273には、給湯系統203の給水配管251から分岐した補水配管291が接続している。補水配管291には電磁弁293が設けられている。
【0073】
ドレン排水弁279は、風呂追い焚き系統205の風呂往き配管247に設けられている。同弁279は三方弁であり、第一のポート279aは風呂往き配管247に接続され、第二のポート279bは浴槽260に延びる配管248に接続され、第三のポート279cは浴室ドレンパン261等に繋がるドレン排水管路249に接続されている。ドレン排水管路249の末端は空気中に開放されている。ドレン排水弁279は、通常運転時には、第一のポート279aと第二のポート279bが開で、第三のポート279cが閉となっている。
なお、ドレン排水弁279として、三方弁の代わりに2個の開閉弁を使用することもできる。
【0074】
給湯系統203の潜熱回収型熱交換器252で発生したドレンと、暖房系統207の潜熱回収型熱交換器211で発生したドレンは、中和器271で中和された後、ドレンタンク273に貯留される。ドレン排水時には、ドレンはドレンタンク273からドレン注入管275を通って風呂戻り配管245に送られて、同配管245内を流れるお湯と混合される。ドレンが混合したお湯は、風呂ポンプ258によって、風呂戻り配管245から、(液−液)熱交換器246、風呂往き配管247、ドレン排水弁279及びドレン排水管路249を通って、浴室ドレンパン261から排水される。
なお、浴槽260に湯がない場合には、ドレン注入管275と風呂戻り配管245の合流部から、ドレンが風呂戻り配管245内を落下して浴槽260に流れ込むおそれがある。また、この場合、風呂ポンプ258稼動初期に、両配管の合流部からドレンを汲み上げ難い。そこで、ドレンの浴槽260への流入を防ぐために、両配管の合流部のやや上流側(風呂側)に閉止弁278を設けることが好ましい。もしくは、図6(B)に示すように、閉止弁278の代わりに逆止弁278´を設けてもよい。逆止弁の方が省電力である点でより好ましい。
【0075】
このドレン排出機構270のドレン排水作業は、図2のフローチャートとほぼ同様に行うことができる。ただし、ドレン通過経路の洗浄作業やエア抜き運転は図2のフローチャートと異なる。以下、図2のフローチャートとの相違点のみを主に説明する。
図2のフローチャートにおいて、ステップ2で、ドレン注入弁277を開くと、ドレンはドレンタンク273から風呂追い焚き回路に注入されて、同回路内を流れる浴槽水によって希釈される。そして、ステップ8で風呂給湯器の追い焚き運転又は注湯運転を停止した後、ステップ9で、ドレン排水弁279を、第二のポート279bを閉、第三のポート279cを開に切り替え、風呂追い焚き回路内の温水を排水管249から排水する。
【0076】
次に、ステップ10で、ドレンタンク273に補水配管281から上水の補給を開始する。これにより、ドレンタンク273内のドレンが、補給された上水で希釈される。そして、希釈されたドレンが、風呂追い焚き回路のドレン通過経路(風呂戻り配管245のドレン注入管275との合流部から、熱交換器246、風呂往き配管247を経てドレン排水弁279までの部分)を通ってドレン排水管路249から排水される。
【0077】
そして、ステップ11で、ドレン排水弁279を切り換えてから(すなわち、風呂追い焚き回路において、ドレンタンク273に上水が補給されながらドレン排水管路249から排水が開始されてから)所定時間(一例で5分)以上経過したかどうかを判断し、所定時間以上経過すると、ステップ12でドレン排水弁279を、第二のポート279bを開、第三のポート279cを閉に切り替えて、排水管249からの排水を停止する。
【0078】
つまり、風呂追い焚き回路のドレン通過経路を、ドレンタンク273に補給された上水を所定時間流して洗浄する。ここで、上水を流す時間は、風呂追い焚き回路に注入された全てのドレンが、ドレン通過経路を通って排水される時間と、ドレンタンク283内のドレンが全て上水に置き換わって、ドレンタンク273に補給された上水のみが、ドレン通過経路を通って排水される時間である。これにより、ドレンが混合した上水を完全に排水した後、上水のみでドレン通過経路を洗浄する。
【0079】
そして、ステップ16に進んで、風呂給湯器の運転を開始する。そして、ステップ17でドレンタンク73の水位が高水位に達すると、ステップ18で風呂給湯器の運転を停止して、ランプの点滅や警報音を発してエラー報知する。なお、ドレン処理をした場合、風呂の湯量が減ることが考えられるので、湯量に合わせて注湯運転や追い焚き運転を行う必要がある。
【0080】
図1、図6に示した例では、ドレンタンク73、273に貯留しているドレンを排水するために暖房循環回路又は風呂追い焚き回路に備えられている暖房循環ポンプ17又は風呂循環ポンプ255を使用したが、ドレン注入管75、275にドレン排水専用のポンプを設けることもできる。この場合、ドレン注入管75、275の暖房循環回路又は風呂追い焚き回路との合流位置を、暖房循環ポンプ17や風呂循環ポンプ255の上流ではなく、任意の位置にすることができる。例えば、より排水弁79、279に近い位置にすることにより、暖房循環回路や風呂追い焚き回路のドレン通過経路をより短くできる。
【0081】
また、これらの例では、pHセンサー76、276が、ドレン排水を指示する信号を受けたときのみ電源がオンされることとすれば、同センサーの消費電力の低減、及び劣化防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】1つの本発明の実施の形態に係る潜熱回収型温水暖房装置の主な配管系統を模式的に示す図である。
【図2】ドレン排水系統の作用を説明するフローチャートである。
【図3】ドレン排水機構の他の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る潜熱回収型温水暖房装置の主な配管系統を模式的に示す図である。
【図5】図4の潜熱回収型温水暖房装置のドレン排水系統の作用を説明するフローチャートである。
【図6】図6(A)は、1つの本発明の実施の形態に係る潜熱回収型風呂給湯装置の主な配管の系統を模式的に示す図であり、図6(B)は図6(A)の変形例である。
【符号の説明】
【0083】
1 潜熱回収型温水暖房装置 10 本体
17 暖房循環ポンプ 11 二次(潜熱回収型)熱交換器
13 暖房タンク(シスターン) 14 水位センサ
15 補水配管 17 暖房循環ポンプ
19 一次(顕熱回収型)熱交換器 21 バーナ
23 ドレン受け 25 熱動弁
27 バイパス弁 31、32 暖房戻り配管
33、34、 配管 35、36 高温暖房往き配管
37 ドレン排水管路 42 低温暖房往き配管
45 バイパス配管 46 補助バイパス配管
47 風呂バイパス配管 49 風呂用配管
60 コントローラ
70 ドレン排水系統 71 中和器
73 ドレンタンク 74 水位計
75 ドレン注入管路 76 pHメータ
77 ドレン注入弁 79 ドレン排水弁
81 補水配管 83 開閉弁
85 配管 90 低温暖房装置端末
100 高温暖房装置端末 111 排水管
120 浴室ドレンパン 160 制御部
201 潜熱回収型風呂給湯器 203 給湯系統
205 風呂追い焚き系統 207 風呂追い焚き系統
210 給湯器本体(燃焼室) 211 潜熱回収型熱交換器
213 暖房タンク 217 暖房ポンプ
219 一次熱交換器 231 暖房戻り配管
235 高温暖房装置往き配管 236 熱交換器
241 低温暖房装置往き配管 245 風呂戻り配管
246 熱交換器 247、248 風呂往き配管
249 ドレン排水管路 251 給水配管
252 潜熱回収型熱交換器 253 一次熱交換器
254 給湯配管 255 バイパス配管
256 電磁弁 258 風呂ポンプ
260 風呂 261 防水パン
270 ドレン排水系統 271 中和器
273 ドレンタンク 275 ドレン注入管路
276 pHメータ 277 ドレン注入弁
278 閉止弁 279 ドレン排水弁
285 排水管 287 ドレン受け
289 排水管 291 補水配管
291 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収型給湯器本体と、該本体と暖房装置との間で温水を循環させる暖房循環回路と、を備える潜熱回収型温水暖房装置であって、
前記暖房循環回路内で温水を循環させる暖房循環ポンプと、前記給湯器本体内に設置された潜熱回収型熱交換器(二次熱交換器)及び顕熱回収型熱交換器(一次熱交換器)と、前記二次熱交換器で生じる凝縮水(ドレン)を受けるドレン受けと、該ドレン受けに溜まったドレンを排水するドレン排水系統と、を有し、
前記ドレン排水系統が、
前記ドレン受けから送られたドレンを中和する中和器と、
中和されたドレンのpHを検知するpHセンサーと、
pH検知後の中和ドレンを前記暖房循環回路に注入するドレン注入管路と、
前記暖房循環回路から分岐するように設けられたドレン排水管路と、
を有し、
ドレンが、前記中和器、前記ドレン注入管路、前記暖房循環回路及び前記ドレン排水管路を通って排水されることを特徴とする潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項2】
潜熱回収型給湯器本体と、該本体から浴槽に給湯するとともに追い焚きを行う風呂給湯系統と、を備える潜熱回収型風呂給湯装置であって、
前記給湯器本体が、潜熱回収型熱交換器(二次熱交換器)及び顕熱回収型熱交換器(一次熱交換器)と、前記二次熱交換器で生じる凝縮水(ドレン)を受けるドレン受けと、該ドレン受けに溜まったドレンを排水するドレン排水系統と、を有し、
さらに、前記風呂給湯系統が、前記給湯器本体と前記浴槽との間で浴槽水が循環する風呂追い焚き回路と、該回路内で浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、を有し、
前記ドレン排水系統が、
前記ドレン受けから送られたドレンを中和する中和器と、
中和されたドレンのpHを検知するpHセンサーと、
pH検知後の中和ドレンを前記風呂給湯系統に注入するドレン注入管路と、
前記風呂追い焚き回路から分岐するように設けられたドレン排水管路と、
を有し、
ドレンが、前記中和器、前記ドレン注入管路、前記風呂追い焚き回路及び前記ドレン排水管路を通って排水されることを特徴とする潜熱回収型風呂給湯装置。
【請求項3】
さらに、中和されたドレンを貯留するドレンタンクを有し、
前記ドレン注入管路が、該ドレンタンクから、前記暖房循環ポンプの上流の前記暖房循環回路又は前記風呂循環ポンプの上流の前記風呂追い焚き回路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項4】
前記ドレン注入管路の先端が、前記暖房循環回路に設けられた暖房タンク(シスターン)上に開放されていることを特徴とする請求項1記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項5】
前記ドレン注入管路にドレン排出ポンプが設けられており、
前記ドレン注入管路が前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項6】
前記ドレン注入管路に、該管路を開閉するドレン注入弁が設けられていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項7】
前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、
前記暖房装置の運転又は前記風呂の追い焚き運転ないしは注湯運転(風呂湯張り)を停止し、
前記ドレン注入弁を閉じるとともに前記ドレン排水弁を開き、注入されたドレンを前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路内の水を混入し、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路内の水を排水することを特徴とする請求項6記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項8】
前記ドレン排水弁を開いた後、前記暖房循環ポンプ又は前記風呂循環ポンプの回転数を上げることを特徴とする請求項7記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項9】
前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、
前記ドレン注入弁を閉じるとともに前記ドレン排水弁を開き、さらに、一定の時間前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に上水を補水して、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路のドレン通過経路を洗浄することを特徴とする請求項7記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項10】
前記一定の時間が、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路に注入されたドレンが前記ドレン排水管路から排水されたと予想される時間より長いことを特徴とする請求項9記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項11】
前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のドレン経過通路の洗浄後、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路に補水しながら前記暖房循環ポンプ又は風呂循環ポンプを一定時間運転させて、該暖房循環回路又は該風呂追い焚き回路のエア抜き運転を行うことを特徴とする請求項9記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項12】
前記暖房循環回路又は風呂追い焚き回路のドレン経過通路の洗浄及びエア抜き運転後に前記暖房装置の運転又は前記風呂追い焚き運転を再開した後、
前記ドレンタンクの水位が高水位に達した場合に、エラーを発信して前記給湯器本体及び前記暖房装置の運転並びに前記風呂追い焚き運転を停止することを特徴とする請求項3、請求項5〜11いずれか1項記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項13】
前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き系統のドレン経過通路の洗浄及びエア抜き運転後に前記暖房装置の運転又は前記風呂追い焚き運転を再開した後で、前記ドレンタンクの水位が高水位に達した場合に、
ドレンの排水、前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のドレン通過経路の洗浄及び前記暖房循環回路又は前記風呂追い焚き回路のエア抜き運転を繰り返し行うことを特徴とする請求項3、請求項5〜11いずれか1項記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項14】
前記pHセンサーで検知されたドレンのpHが閾値以下の場合、
前記ドレンタンクの水位が低水位となるまでドレンを該ドレンタンクから排出することを特徴とする請求項3、請求項5〜13いずれか1項記載の潜熱回収型温水暖房装置。
【請求項15】
前記pHセンサーは、ドレン排水を指示する信号を受けたときのみ電源がオンされることを特徴とする請求項1〜14記載の潜熱回収型温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−162121(P2006−162121A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352389(P2004−352389)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】