説明

潤滑剤供給装置、像担持体ユニット、プロセスユニット、及び画像形成装置

【課題】潤滑剤被供給部材の軸方向に渡る潤滑剤の供給量を均一にすることが可能な潤滑剤供給装置、その潤滑剤供給装置を備えた像担持体ユニット、プロセスユニット及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】潤滑剤502と、潤滑剤被供給部材8の表面に当接して回転駆動する潤滑剤削り部材704と、潤滑剤502を保持する潤滑剤保持部材703と、潤滑剤502を、潤滑剤削り部材704の方向に向かって加圧する第1加圧手段503を備え、潤滑剤削り部材704が回転駆動しながら潤滑剤502を削り取ってその潤滑剤502を潤滑剤被供給部材8へ供給する潤滑剤供給装置である。潤滑剤保持部材703を軸方向に加圧する第2加圧手段804と、潤滑剤削り部材704の軸方向と直交する方向に沿って配設されて、第2加圧手段804による加圧力を受けて、潤滑剤保持部材703の長手方向に対する傾きを補正する補正手段800とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置、その潤滑剤供給装置を備えた像担持体ユニット、プロセスユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成プロセスを利用した画像形成装置として、感光体の表面に担持されたトナー画像を紙等の記録媒体に直接転写する直接転写方式の画像形成装置と、感光体上のトナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写する間接転写方式の画像形成装置がある。トナー画像転写後の感光体や中間転写体の像担持体の表面には、未転写のトナー等が残留する。この残留するトナー等は、次の画像形成に悪影響を与えないようにするために、クリーニング手段によってクリーニングされる。クリーニング手段としては、ゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードを像担持体の表面に摺擦させて、未転写トナー等の付着物を除去するものが一般的に知られている。
【0003】
ところが、上記のようなクリーニングブレードやクリーニングブラシは、像担持体との摺擦を続けると、経時で摩耗し、欠けや変形等が起因してクリーニング性能が低下するという問題がある。また、像担持体の表面も摩耗するため、寿命が短くなる。そこで、像担持体とこれらのクリーニング部材との間に生じる接触抵抗を低減して、クリーニング部材、感光体の摩耗等の不具合を解消するために、像担持体の表面に潤滑剤を供給するなどの手法がとられている。
【0004】
像担持体の表面に潤滑剤を供給する手段としては、例えば図8に示すような潤滑剤供給装置が多く用いられている(特許文献1参照)。図8に示す潤滑剤供給装置は、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤をブロック状に形成した固形潤滑剤100と、像担持体(感光体)200の表面に当接するブラシローラ300と、固形潤滑剤100をブラシローラ300側へ加圧するバネ400と、固形潤滑剤100及びバネ400を収容するケース500等を備える。
【0005】
この潤滑剤供給装置によれば、固形潤滑剤100はケース500内でブラシローラ300に接近・離間する方向に移動可能に構成されており、バネ400が固形潤滑剤100を加圧することによって固形潤滑剤100はブラシローラ300へ圧接される。この状態で、ブラシローラ300が回転駆動することにより、固形潤滑剤100がブラシローラ300の摺擦により削られて粉体となってブラシローラ300のブラシ繊維に付着する。そして、そのブラシローラ300に付着した粉体状の潤滑剤が像担持体200の表面に供給されるようになっている。
【0006】
また、固形潤滑剤100がブラシローラ300によって削られて消費されても、バネ400によって固形潤滑剤100は常にブラシローラ300と接触した状態に維持される。しかし、固形潤滑剤100にはブラシローラ300との摩擦による回転方向の押圧力も加わるため、ブラシローラ300に対する固形潤滑剤100の姿勢が維持できず、固形潤滑剤100をブラシローラ300に対して均一な押圧力で圧接させることは困難である。固形潤滑剤100のブラシローラ300に対する圧接力が、ブラシローラ300軸方向に渡って異なると、像担持体200への潤滑剤の供給量にばらつきが生じる。その結果、クリーニング性の低下による画像不良の発生等の虞がある。
【0007】
特許文献2に示す従来の潤滑剤供給装置は、ケースに、ブラシローラの軸方向と交差する方向に延在した長穴部を配設するとともに、固形潤滑剤を保持する潤滑剤ホルダに、長穴部内にその長手方向に移動可能に挿入された凸部を配設している。これにより、凸部と長穴部との干渉によって、潤滑剤ホルダがケースの片端側へ移動するのを規制するため、潤滑剤ホルダ及び/又は潤滑剤がケースに片当たりするのを防止する。従って、潤滑剤ホルダ及び/又は潤滑剤の両端部における摺動性に差が生じるのを抑制するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のものは、図9(a)に示すように、使用初期のブラシローラ300のブラシ繊維300aは、固形潤滑剤100に対してほぼ直角に接触するように配設されている。しかし、ブラシローラと固形潤滑剤はバネによって圧接されているため、図9(b)に示すように、経時的にブラシ繊維300aの毛倒れが生じる。このように、毛倒れしたブラシローラ300によって固形潤滑剤100を削り取る際、固形潤滑剤100はブラシローラ300の軸方向と平行な方向(図9(b)の矢印の方向)への搬送力を受ける。固形潤滑剤100がブラシローラ300の軸方向と平行な図の左方向への搬送力を受けた場合、固形潤滑剤100はケース500の図の左端側に移動する。このように固形潤滑剤100に搬送力が加わると、固形潤滑剤100の長手方向の傾きが生じるおそれがある。これにより、潤滑剤補正手段において摺動抵抗の差が生じたり、潤滑剤補正手段の形状誤差等による固形潤滑剤100とブラシローラ300との当接力・接触状態の差が生じたり、ブラシローラ300の長手方向の削り力の差が生じる等によって、潤滑剤の長手方向の削れ量偏差を十分に抑えることができず、潤滑剤被供給部材の軸方向にわたって、潤滑剤の供給量にばらつきが発生する。
【0009】
また、特許文献2のものは、凸部と長穴部との干渉によって、潤滑剤ホルダがケースの片端側へ移動するのを規制して、潤滑剤ホルダ及び/又は潤滑剤がケースに片当たりするのを防止するものである。従って、潤滑剤ホルダ及び/又は潤滑剤の両端部における摺動性に差が生じるのを抑制するが、固形潤滑剤の長手方向の傾きが生じるのを防止することはできない。このため、特許文献2のものも、潤滑剤の長手方向の削れ量偏差を十分に抑えることができず、潤滑剤被供給部材の軸方向にわたって、潤滑剤の供給量にばらつきが発生するおそれがある。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑み、潤滑剤被供給部材の軸方向に渡る潤滑剤の供給量を均一にすることが可能な潤滑剤供給装置、その潤滑剤供給装置を備えた像担持体ユニット、プロセスユニット及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の潤滑剤供給装置は、潤滑剤と、潤滑剤被供給部材の表面に当接して回転駆動する潤滑剤削り部材と、前記潤滑剤を保持する潤滑剤保持部材と、前記潤滑剤を、前記潤滑剤削り部材の方向に向かって加圧する第1加圧手段を備え、前記潤滑剤削り部材が回転駆動しながら前記潤滑剤を削り取ってその潤滑剤を前記潤滑剤被供給部材へ供給する潤滑剤供給装置であって、前記潤滑剤保持部材を軸方向に加圧する第2加圧手段と、前記潤滑剤削り部材の軸方向と直交する方向に沿って配設されて、前記第2加圧手段による加圧力を受けて、潤滑剤保持部材の長手方向に対する傾きを補正する補正手段とを設けたものである。
【0012】
本発明の潤滑剤供給装置によれば、第2加圧手段を設けて潤滑剤保持部材を軸方向に加圧するとともに、補正手段にて、第2加圧手段による加圧力を受ける。これにより、潤滑剤保持部材が、潤滑剤削り部材に対して倣うことになる。すなわち、潤滑剤保持部材及び潤滑剤が、潤滑剤削り部材に対して長手方向に傾きが生じるのを防止することができるため、潤滑剤保持部材の姿勢が安定し、潤滑剤の姿勢を摺動面に沿って矯正することができる。これにより、潤滑剤の軸方向(長手方向)の削れ量の偏差を抑えることができて、潤滑剤被供給部材の軸方向にわたる潤滑剤の供給量のばらつきを抑制することが可能となって、潤滑剤被供給部材の軸方向に渡る潤滑剤の供給量を均一にすることが可能となる。
【0013】
前記補正手段は、前記潤滑剤保持部材の長手方向に直交する所定の基準面に設けられ、前記潤滑剤削り部材の軸方向と直交する方向に沿って配設される突部と、前記突部が軸方向に押圧された際に突部を受ける受け面とで構成することができる。これにより、突部が第2加圧手段によって軸方向に押圧されると、受け面が突部を受ける。したがって、潤滑剤保持部材が、潤滑剤削り部材に対して倣うことになり、潤滑剤保持部材及び潤滑剤が、潤滑剤削り部材に対して長手方向に傾きが生じるのを防止することができる。
【0014】
前記潤滑剤被塗布部材が像担持体であり、像担持体に供給される潤滑剤は少なくとも脂肪酸金属塩を含むものとするのが好ましい。この場合、脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛とするのが好ましい。
【0015】
前記構成において、潤滑剤は少なくとも無機潤滑剤を含むものとするのが好ましい。この場合、無機潤滑剤は窒化ホウ素とするのが好ましい。
【0016】
脂肪酸金属塩及び無機潤滑剤の両方を含む潤滑剤を、前記潤滑剤被供給部材に供給するのがさらに好ましく、脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛を用いるとともに、無機潤滑剤として窒化ホウ素を用いるのが特に好ましい。
【0017】
本発明の像担持体ユニットは、前記潤滑剤被供給部材が像担持体であり、前記本発明の潤滑剤供給装置と、クリーニング手段と、前記像担持体に接触または近接して当接する帯電部材を有するものである。クリーニング手段によるクリーニング後の像担持体の表面に、潤滑剤削り部材にて潤滑剤を供給することで、転写残トナー等の異物の影響なく潤滑剤をムラなく供給することが可能となる。像担持体に接触または近接して当接する帯電部材を用いる場合では、長手方向で潤滑剤供給量の偏差があると、潤滑剤供給量の多い側では帯電部材の汚れが生じ、少ない側では像担持体の異常摩耗、異物付着、フィルミング、クリーニング不良などが生じる。本発明の潤滑剤供給手段を用いることで、長手方向の潤滑剤の削れ量の偏差を抑え、像担持体への潤滑剤供給量の偏差を抑えることができるため、過剰供給による帯電ローラの汚れ、供給不足による像担持体のクリーニング不良、異物の付着、フィルミングの発生の防止に対して極めて大きな効果を示す。
【0018】
本発明のプロセスカートリッジは、前記本発明の潤滑剤供給装置を備え、少なくとも像担持体と、少なくとも他の1つのプロセス手段とを一体に構成したものである。この場合、プロセスカートリッジを着脱可能とするのが好ましい。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記本発明の潤滑剤供給手段を有するものである。
【0020】
現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲とすることができる。
【0021】
また、現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲とすることが好ましい。
【0022】
現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーとするのが好ましい。
【0023】
現像手段で使用されるトナーは、略球形状とするのが好ましい。
【0024】
現像手段で使用されるトナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の潤滑剤供給装置では、潤滑剤被供給部材の軸方向に渡る潤滑剤の供給量を均一にすることが可能となる。これにより、潤滑剤の軸方向の削れ量の偏差により生じる潤滑剤の過剰供給や供給不足の発生を抑えることができる。また、潤滑剤の削れ量の偏差が無くなることで、潤滑剤の供給量が安定することにより、潤滑剤被供給部材への潤滑剤供給量を少なく設定した場合にも、潤滑剤量不足になりにくい。これにより、潤滑剤搭載量を少なくすれば、装置の小型・軽量化を図ることができ、搭載量が従来と同じであれば、装置の長寿命化が可能となる。
【0026】
前記補正手段を、突部と受け面とで構成すると、簡単な構成で補正手段を構成することができる。
【0027】
潤滑剤として、脂肪酸金属塩の中でもステアリン酸亜鉛を使用すると、特に像担持体の保護、クリーニング不良の低減効果を得ることができる。
【0028】
潤滑剤として、無機潤滑剤の中でも窒化ホウ素を使用すると、特にクリーニング手段の経時劣化の低減効果、帯電ローラの経時劣化の低減効果、及びクリーニング不良の低減効果を得ることができる。
【0029】
潤滑剤として、脂肪酸金属塩の中でもステアリン酸亜鉛を使用するとともに、無機潤滑剤の中でも窒化ホウ素を使用すると、前記した両方の効果が相俟って、像担持体と像担持体周辺部品の経時劣化を併せて改善できることで、像担持体を含む周辺部品の寿命向上を図ることができる。
【0030】
本発明の像担持体ユニットは、転写残トナーが最も多くなる高画像面積の連続出力の条件においても潤滑剤被供給部材の表面に、潤滑剤を安定して供給することが可能となる。これにより、クリーニング手段の機能を損なわずにクリーニング不良による通紙方向のスジ状汚れ画像の発生を抑えることができて、クリーニングの高機能化・高信頼化を図ることができる。また、潤滑剤被供給部材にムラなく潤滑剤を塗布することで、クリーニング手段の寿命を長寿命化することができる。
【0031】
本発明のプロセスカートリッジは、潤滑剤の長手方向の削れ量の偏差を抑え、像担持体への潤滑剤供給量の偏差を抑えることができる。プロセスカートリッジを着脱可能とした場合、さらにメンテナンス性に優れたものとなる。
【0032】
本発明の画像形成装置は、長手方向の潤滑剤の削れ量の偏差を抑え、像担持体への潤滑剤供給量の偏差を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る潤滑剤供給装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る潤滑剤供給装置の断面図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の本体ケースに設けられている側面カバーを開放した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るプロセスユニットの拡大断面図である。
【図6】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図7】本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。
【図8】従来の潤滑剤供給装置の概略構成図である。
【図9】ブラシローラのブラシ繊維の固形潤滑剤に対する接触状態を説明するための図であって、(a)はブラシ繊維が毛倒れする前の状態を示す図、(b)はブラシ繊維が毛倒れした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0035】
図3は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置であるカラープリンタを概略的に示す縦断側面図である。本実施形態に係るカラープリンタ1の本体ケース2内には、プリンタエンジン3、光ビームを出射する光書込装置4、被転写体である記録媒体Pを収納する記録媒体収納部である給紙カセット5、トナー画像が転写された記録媒体Pを定着処理する定着装置6、トナー画像を転写した後に発生した廃トナーを回収する廃トナー回収容器7等が設けられている。
【0036】
プリンタエンジン3は、トナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体Pに転写する部分であり、像担持体であるイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナー画像をそれぞれ形成する4つの感光体8Y、8C、8M、8Kを備えている。さらに、プリンタエンジン3は、各感光体8Y、8C、8M、8Kの周囲に配置された帯電装置である帯電ローラ9、現像装置10Y、10C、10M、10K、クリーニング手段11、一次転写ローラ12、像担持体及び被転写体である中間転写ベルト13、転写装置である二次転写ローラ14、ベルトクリーニング手段15等を備えている。なお、ここで、本明細書及び図面の記載において、Y、C、M、Kの添え字は、各々イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの色を示しており、これらの添え字は必要に応じて割愛する。
【0037】
感光体8Y、8C、8M、8Kは、それぞれ円筒状に形成されて、これらの感光体8Y、8C、8M、8Kの回転軸に、駆動モータ(図示せず)を連結して、駆動モータからの駆動力により矢印で示すように、中心線回りに回転する。感光体8の外周面には静電潜像が形成される感光層が設けられている。そして、帯電ローラ9は、感光体8の外周面に当接して配置され、又は、感光体8の外周面と微小な隙間をもって配置されている。この帯電ローラ9に対して電源部(図示せず)から電圧が印加されることにより、帯電ローラ9と感光体8との間でコロナ放電が発生し、感光体8Y、8C、8M、8Kの外周面が一様に帯電される。光書込装置4は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像データに応じた光ビームLY、LC、LM、LKを出射し、一様に帯電されたそれぞれの感光体8Y、8C、8M、8Kの外周面を露光する。この露光により、感光体8Y、8C、8M、8Kの外周面に上記各色の画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0038】
現像装置10Y、10C、10M、10Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナーを収容し、感光体8Y、8C、8M、8Kに形成された静電潜像に対して、それぞれの色のトナーを供給する。供給されたトナーは、感光体8Y、8C、8M、8Kの外周面に形成されているそれぞれの色の画像データに応じた静電潜像に付着し、感光体8Y、8C、8M、8Kの外周面上の静電潜像がそれぞれの色のトナー画像として顕像化される。
【0039】
中間転写ベルト13は、樹脂フィルム又はゴムを基体として形成された無端ループ状のベルトであり、駆動ローラ16と入口ローラ17とテンションローラ18との回りに巻回され、駆動モータ(図示せず)に連結された駆動ローラ16が回転駆動されることにより矢印A方向に回転移送される。入口ローラ17とテンションローラ18とは、中間転写ベルト13が矢印A方向へ回転することにより中間転写ベルト13との摩擦力によって従動回転する。
【0040】
一次転写ローラ12は、中間転写ベルト13の内周面側(ループの内側)に配置されており、これらの一次転写ローラ12に転写用電圧が印加されることによって各感光体8Y、8C、8M、8K上のトナー画像が中間転写ベルト13上に転写される。各感光体8Y、8C、8M、8K上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト13上に順次転写されて重ね合わされ、中間転写ベルト13上には4色のトナー画像が積重されてカラーのトナー画像が形成される。
【0041】
クリーニング手段11は、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後のそれぞれの感光体8の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後に感光体8の外周面上に残留しているトナーや紙粉等が感光体8の外周面から除去されて廃トナーとして回収される。
【0042】
中間転写ベルト13上に形成されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト13と二次転写ローラ14とが当接された転写位置にレジストローラ20によって記録媒体Pが送り込まれたタイミングで二次転写ローラ14に転写用電圧が印加されることにより、記録媒体Pに転写される。
【0043】
記録媒体Pは、給紙カセット5内から給紙されて搬送ローラ19やレジストローラ20により搬送され、トナー画像を転写された後に定着装置6に送り込まれる。トナー画像が転写された記録媒体Pは定着装置6内で熱と圧力とを加えられて定着処理され、この定着処理により溶融したトナー画像が記録媒体Pに定着される。定着処理が終了した記録媒体Pは本体ケース2の上面部に形成されている排紙トレイ21上に排紙される。
【0044】
ベルトクリーニング手段15は、カラーのトナー画像が記録媒体Pに転写された後の中間転写ベルト13の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像の転写後に中間転写ベルト13の外周面上に残留したトナーや紙粉等が中間転写ベルト13の外周面から除去されて廃トナーとして回収される。
【0045】
また、この実施形態に係るプリンタ1には、光書き込み装置4と給紙カセット5との間に廃トナー回収装置7がケース本体2から取り外し自在に配設されている。廃トナー回収装置7は、クリーニング手段11、15で回収された廃トナーがクリーニング手段11、15から投入され、投入された廃トナーを貯留する部分である。廃トナー回収装置7は本体ケース2に対して着脱可能に取付けられており、廃トナー回収装置7内の廃トナーが満杯状態に近付いた場合に本体ケース2から取り外され、空の廃トナー回収装置7が取付けられる。
【0046】
プリンタエンジン3の構成部材である感光体8と、各感光体8の周囲に配置された帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング手段11とはユニット化してケース22内に収納され、プロセスカートリッジ23(23Y、23C、23M、23K)が形成されている。各プロセスカートリッジ23は本体ケース2内に着脱可能に装着されている。感光体8と帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング手段11とがプロセスカートリッジ23としてユニット化されることにより、交換やメンテナンスの作業が容易になり、また、各部材間の位置精度を高精度の維持することができ、形成される画像品質の向上を図ることができる。なお、本実施の形態では、感光体8と帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング手段11とはユニット化したプロセスカートリッジ23を例に挙げて説明したが、プロセスカートリッジの構成としては様々のものがあり、例えば、帯電ローラ9、現像装置10、クリーニング手段11の少なくとも一つと感光体8とをケース内に収納してユニット化したものが挙げられる。
【0047】
図4は、図1に示すプリンタの本体ケースに設けられている側面カバーを開放した状態を示す斜視図である。側面カバー24を開放することにより、プリンタエンジン3と廃トナー回収容器7とが現われ、プリンタエンジン3のプロセスカートリッジ23や中間転写ベルト13及び廃トナー回収容器7の交換等やその他のメンテナンスを行うことができる。中間転写ベルト13とローラ16、17、18とクリーニング手段15とは、ベルトケース13a内に収納されてユニット化されている。
【0048】
プロセスカートリッジ23は、図5に示すように、像担持体である感光体8、感光体8上に付着した転写残トナー等を除去するクリーニングブレード31(クリーニング部材)、クリーニングブレード31で掻き取った転写残トナー等の飛散を防止する飛散防止シート505、転写残トナー等を搬送する粉体搬送コイル32、潤滑剤供給装置700、像担持体表面を一様に帯電する帯電ローラ9、帯電ローラを清掃する帯電クリーナローラ705、前記各部品等を直接または間接的に保持する枠体601を備えている。そして、感光体8と、クリーニング手段11と、帯電部材(帯電ローラ9)とで、像担持体ユニットを構成する。
【0049】
潤滑剤供給装置700は、全てのプロセスカートリッジ23(23Y、23C、23M、23K)に設けられている。潤滑剤供給装置700は、潤滑剤削り部材としての潤滑剤供給ローラ704、固形の潤滑剤502、潤滑剤502を保持する潤滑剤保持部材703、潤滑剤均しブレード402、潤滑剤502を潤滑剤供給ローラ704に押圧するための第1加圧手段503、潤滑剤保持部材703を軸方向に加圧する第2加圧手段804と、潤滑剤保持部材703の長手方向に対する傾きを補正する補正手段800を備えている。そして、潤滑剤供給ローラ704が回転駆動しながら潤滑剤を削り取って、潤滑剤502を潤滑剤被供給部材へ供給する。本実施形態では、潤滑剤が供給される潤滑剤被供給部材は、像担持体8である。
【0050】
図2に示すように、潤滑剤供給ローラ704は、芯軸(図示省略)と、その芯軸に基端部が固定された多数のブラシ繊維を有している。潤滑剤供給ローラ704は、例えば、ブラシ繊維を植毛した帯状の基材を芯軸に螺旋状に巻き付けて作製される(図示省略)。潤滑剤供給ローラ704は、像担持体8に対してほぼ平行に、しかもその像担持体8に沿って長く延びている。潤滑剤供給ローラ704の芯軸の長手方向各端部は、軸受706を介して、図示省略のクリーニングケースに回転可能に支持されている。画像形成動作時には、潤滑剤供給ローラ704は、そのブラシ繊維が像担持体8に当接しながら、回転駆動手段707によって回転駆動される。
【0051】
一方、潤滑剤502は、例えばステアリン酸亜鉛等を固形化したものである。固形潤滑剤502を、ステアリン酸亜鉛以外の材質によっても構成可能であるが、少なくともステアリン酸亜鉛を成分とする固形潤滑剤によって構成することにより、固形潤滑剤502の成型性が向上すると共に、潤滑剤の供給ムラ等を抑制できるメリットがある。図1及び図2に示すように、固形潤滑剤502は、潤滑剤供給ローラ704の軸方向に沿って長く延びた長手状のブロックに形成されている。また、潤滑剤502は、第1加圧手段503によって潤滑剤供給ローラ704側に加圧されることにより、潤滑剤502の潤滑剤供給ローラ704に対向する面が潤滑剤供給ローラ704のブラシ繊維に当接している。
【0052】
図1及び図2に示すように、潤滑剤保持部材703は、潤滑剤供給ローラ704の軸方向に沿って延びた長手状に形成されている。また、潤滑剤保持部材703は、潤滑剤502の潤滑剤供給ローラ704と当接する面と反対側の面に取り付けられている。
【0053】
枠体601は、図2及び図5に示すように、潤滑剤供給ローラ704の軸方向に沿って延びた長手状に形成されている。詳しくは、潤滑剤供給ローラ704側に開口部を有する長手状の箱型に形成されている。この枠体601内に潤滑剤保持部材703が収容され、潤滑剤保持部材703は枠体601内において潤滑剤供給ローラ704の軸方向と交差(又は直交)する方向に移動可能に構成されている。
【0054】
潤滑剤均しブレード402は、ゴムにて形成されており、像担持体上に塗布された潤滑剤を伸展させて薄層を形成するものである。図5のように潤滑剤均しブレード402をトレーリング方式かつエッジよりも手前の面が主に接触する腹当たり方式を用いることでブレードの接触面圧を小さくすることが可能であり、潤滑剤均しブレードの摩耗を従来よりも大きく減らすことが可能である。具体的には、同じ当接線圧20g/cmを設定した構成において、エッジ当接では感光体表面の移動距離約80kmにおいて潤滑剤均しブレードの摩耗量は60〜100μm程度の摩耗深さ(図の像担持体から離れる方向の摩耗距離)であるのに対して、同じ当接線圧で腹当たり方式を用いた場合は感光体表面の移動距離約200kmにおいて摩耗量は5μm以下の摩耗深さであり大きく改善することが可能である。また、図3のように潤滑剤均しブレードの方向(断面における像担持体による撓みがない状態でのブレードの長手方向)を概略感光体中心に向ける配置とすることで、潤滑剤均しブレードの配置面積を小さくでき、装置の省スペース化が可能となる。
【0055】
第1加圧手段503は、図1及び図2に示すように、潤滑剤保持部材703及び潤滑剤502を、潤滑剤供給ローラ704の方向に向かって加圧するものである。第1加圧手段503は、2つの加圧部材802a、802bと、2つの加圧部材802a、802bを引張る1つの引張バネ803を有する。各加圧部材802a、802bは、図示しない支点を中心に揺動可能に構成されており、各加圧部材802a、802bの揺動側の先端部にて潤滑剤保持部材703を潤滑剤供給ローラ704側へ加圧するように構成されている。各加圧部材802a、802bは、引張バネ803の引張力によって潤滑剤保持部材703を加圧するように構成されているが、引張バネ803の代わりに圧縮バネ等を適用することも可能である。
【0056】
第2加圧手段804は、枠体601の長手方向の一端面に設けられる圧縮ばね805と、潤滑剤保持部材703の内部に設けられて、圧縮ばね805からの押圧力を受ける図示省略の受け面とから構成されている。受け面は、図2の矢印Aに示すように、圧縮ばね803から付勢力を受ける。
【0057】
補正手段800は、枠体601に、潤滑剤供給ローラ704の軸方向と直交する方向に沿って配設されて、第2加圧手段804による加圧力を受けて、潤滑剤保持部材703の長手方向に対する傾きを補正するものである。補正手段800は、潤滑剤保持部材703の長手方向に直交する所定の基準面(本実施形態では、潤滑剤保持部材の長手方向の中央部)に設けられ、潤滑剤供給ローラ704の軸方向と直交する方向に沿って配設される2箇所の突部806と、枠体601の前記基準面に対応する面に設けられて、突部806が軸方向に押圧された際に突部806を受ける受け面801とで構成されている。受け面801は、枠体601の長手方向の中央部から、反潤滑剤保持部材側に突出する平面であり、潤滑剤供給ローラ704の軸方向と直交する方向に沿った方向に延びている。
【0058】
これにより、第2加圧手段804によって、突部806が軸方向に押圧されると、受け面801が突部を受ける。したがって、潤滑剤保持部材703が、潤滑剤供給ローラ704に対して倣うことになり、潤滑剤保持部材703及び潤滑剤502が、潤滑剤供給ローラ704に対して長手方向に傾きが生じるのを防止することができる。
【0059】
本実施形態では、固形潤滑剤を用いているが、本発明の効果は固形潤滑剤に限定されるものではない。例えば粉末の潤滑剤や、固形と粉末の潤滑剤を併用する構成においても同様の効果が得られる。潤滑剤には下記する脂肪酸金属塩(A)や無機潤滑剤(B)などを使用することで、クリーニング性の高耐久・高信頼・長寿命化を達成できる。
【0060】
脂肪酸金属塩(A)の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本発明においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に像担持体への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
【0061】
本発明における無機潤滑剤(B)とは、自身が劈開して潤滑する、或いは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク・マイカ・窒化ホウ素・二硫化モリブデン・二硫化タングステン・カオリン・スメクタイト・ハイドロタルサイト化合物・フッ化カルシウム・グラファイト・板状アルミナ・セリサイト・合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本発明においては最も好ましく用いられる。
【0062】
これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。また、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の両方を塗布又は付着させる工程を行うことでクリーニングに関してさらに大きな効果が得られる。
【0063】
次に、本発明の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0064】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図6は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0065】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0066】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0067】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0068】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0069】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0070】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0071】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0072】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0073】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0074】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0075】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0076】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0077】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0078】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0079】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0080】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子
の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0081】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0082】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0083】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0084】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0085】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0086】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0087】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0088】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0089】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0090】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0091】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0092】
本発明に係るトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図7は、本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。図7において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図7(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図7(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、例えば以下の方法により測定することができる。即ち、トナーを平滑な測定面上に均一に分散付着させ、該トナーの粒子100個について、カラーレーザー顕微鏡「VK−8500」(キーエンス社製)により500倍に拡大して、該100個のトナー粒子の長軸r1(μm)、短軸r2(μm)、厚さr3(μm)を測定し、それらの算術平均値から求めることができる。
【0093】
本発明の潤滑剤供給装置では、像担持体の軸方向に渡る潤滑剤の供給量を均一にすることが可能となる。これにより、潤滑剤の軸方向の削れ量の偏差により生じる潤滑剤の過剰供給や供給不足の発生を抑えることができる。また、潤滑剤の削れ量の偏差が無くなることで、潤滑剤の供給量が安定することにより、像担持体への潤滑剤供給量を少なく設定した場合にも、潤滑剤量不足になりにくい。これにより、潤滑剤搭載量を少なくすれば、装置の小型・軽量化を図ることができ、搭載量が従来と同じであれば、装置の長寿命化が可能となる。
【0094】
前記補正手段を、突部と受け面とで構成すると、簡単な構成で補正手段を構成することができる。
【0095】
潤滑剤として、脂肪酸金属塩の中でもステアリン酸亜鉛を使用すると、特に像担持体の保護、クリーニング不良の低減効果を得ることができる。
【0096】
潤滑剤として、無機潤滑剤の中でも窒化ホウ素を使用すると、特にクリーニング手段の経時劣化の低減効果、帯電ローラの経時劣化の低減効果、及びクリーニング不良の低減効果を得ることができる。
【0097】
潤滑剤として、脂肪酸金属塩の中でもステアリン酸亜鉛を使用するとともに、無機潤滑剤の中でも窒化ホウ素を使用すると、前記した両方の効果が相俟って、像担持体と像担持体周辺部品の経時劣化を併せて改善できることで、像担持体を含む周辺部品の寿命向上を図ることができる。
【0098】
本発明の像担持体ユニットは、転写残トナーが最も多くなる高画像面積の連続出力の条件においても潤滑剤被供給部材の表面に、潤滑剤を安定して供給することが可能となる。これにより、クリーニングブレードの機能を損なわずにクリーニング不良による通紙方向のスジ状汚れ画像の発生を抑えることができて、クリーニングの高機能化・高信頼化を図ることができる。また、潤滑剤被供給部材にムラなく潤滑剤を塗布することで、クリーニングブレードの寿命を長寿命化することができる。
【0099】
本発明のプロセスカートリッジは、潤滑剤の長手方向の削れ量の偏差を抑え、像担持体への潤滑剤供給量の偏差を抑えることができる。プロセスカートリッジを着脱可能とした場合、さらにメンテナンス性に優れたものとなる。
【0100】
本発明の画像形成装置は、長手方向の潤滑剤の削れ量の偏差を抑え、像担持体への潤滑剤供給量の偏差を抑えることができる。
【0101】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。また、図の例では、クリーニングブレードの下流側に潤滑剤供給ローラを配置しているが、本発明の効果はこの配置に限定されるものではない。例えば従来から感光体のクリーニングに使用されているクリーニングブレードの上流側に潤滑剤供給手段を配置し、潤滑剤均しブレードが無い構成であっても、本発明の潤滑剤供給手段を用いることで、過剰供給による帯電ローラの汚れ、供給不足による感光体のクリーニング不良、異物の付着、フィルミングの発生の防止に対して極めて大きな効果を示す。また、削れ量の偏差が無くなることで、潤滑剤供給量の安定化が可能となり、像担持体への潤滑剤供給量を少なく設定した場合にも、潤滑剤量不足になりにくい。これにより、潤滑剤搭載量の低減による装置の小型・軽量化が、搭載量を同じとした場合には装置の長寿命化が可能となる。また、潤滑剤均しブレードの当接条件も本発明の効果には影響を与えず、例えばカウンタ方式の当接であっても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0102】
8 像担持体
9 帯電部材
11 クリーニング手段
23 プロセスカートリッジ
502 潤滑剤
503 第1加圧手段
703 潤滑剤保持部材
704 潤滑剤供給ローラ
800 補正手段
801 受け面
804 第2加圧手段
806 突部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2007−140391号公報
【特許文献2】特開2010−72564号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤と、潤滑剤被供給部材の表面に当接して回転駆動する潤滑剤削り部材と、前記潤滑剤を保持する潤滑剤保持部材と、前記潤滑剤を、前記潤滑剤削り部材の方向に向かって加圧する第1加圧手段を備え、前記潤滑剤削り部材が回転駆動しながら前記潤滑剤を削り取ってその潤滑剤を前記潤滑剤被供給部材へ供給する潤滑剤供給装置であって、
前記潤滑剤保持部材を軸方向に加圧する第2加圧手段と、前記潤滑剤削り部材の軸方向と直交する方向に沿って配設されて、前記第2加圧手段による加圧力を受けて、潤滑剤保持部材の長手方向に対する傾きを補正する補正手段とを設けたことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記潤滑剤保持部材の長手方向に直交する所定の基準面に設けられ、前記潤滑剤削り部材の軸方向と直交する方向に沿って配設される突部と、前記突部が軸方向に押圧された際に突部を受ける受け面とで構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2の潤滑剤供給装置。
【請求項3】
前記潤滑剤被塗布部材が像担持体であり、像担持体に供給される潤滑剤は少なくとも脂肪酸金属塩を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2の潤滑剤供給装置。
【請求項4】
前記脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項3の潤滑剤供給装置。
【請求項5】
潤滑剤は少なくとも無機潤滑剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の潤滑剤供給装置。
【請求項6】
前記無機潤滑剤は窒化ホウ素であることを特徴とする請求項5の潤滑剤供給装置。
【請求項7】
脂肪酸金属塩及び無機潤滑剤の両方を含む潤滑剤を、前記潤滑剤被供給部材に供給することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項の潤滑剤供給装置。
【請求項8】
前記脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛を用いるとともに、前記無機潤滑剤として窒化ホウ素を用いることを特徴とする請求項7の潤滑剤供給装置。
【請求項9】
前記潤滑剤被供給部材が像担持体であり、前記請求項1〜8のいずれか1項の潤滑剤供給装置と、クリーニング手段と、前記像担持体に接触または近接して当接する帯電部材を有することを特徴とする像担持体ユニット。
【請求項10】
前記請求項1〜9のいずれか1項の潤滑剤供給装置を備え、少なくとも像担持体と、少なくとも他の1つのプロセス手段とを一体に構成したことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記請求項10のプロセスカートリッジを着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記請求項1〜8の潤滑剤供給手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項16】
現像手段で使用されるトナーは、略球形状であることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項17】
現像手段で使用されるトナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−173478(P2012−173478A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34742(P2011−34742)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】