説明

潤滑向上剤自動投入方法

【課題】燃料(DME)と潤滑向上剤との比が所定比率に保たれるように、する方法を、提供する。
【解決手段】エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量のDMEが供給されているときに、燃料供給ライン内に潤滑向上剤を投入することによって、DMEに潤滑向上剤を混合する、潤滑向上剤自動投入方法であって、供給目標量と前記潤滑向上剤の投入量との比が所定比率となるように、供給目標量に対応する投入量を算出し(ステップS3)、投入量の投入に費やされる向上剤投入時間を、供給目標量の供給に要する燃料供給時間よりも所定時間短く設定し(ステップS4)、投入される前記潤滑向上剤の流量を、向上剤投入時間及び投入量に基づいて算出し(ステップS5)、潤滑向上剤を前記向上剤投入時間に渡って流量で継続的に投入する(ステップS9〜S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エンジンの燃料に潤滑向上剤を自動的に投入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DME(ジメチルエーテル)は、エンジン等において使用する上で、潤滑性が不十分である。このため、DME等の燃料には、潤滑向上剤を添加する必要がある。従来、潤滑向上剤は、燃料タンクに手動で供給されていた。
【0003】
特許文献1には、潤滑向上剤を自動で供給可能な技術が開示されている。特許文献1の燃料供給装置では、潤滑向上剤は、燃料タンクと燃料ポンプとの間の燃料供給路に、燃料ポンプの作動中に継続して供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−242121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DMEエンジンは、例えば、コージェネレーションシステムにおいて用いられる。DMEコージェネレーションシステムには、DMEがDMEステーション又はDMEパイプラインから、自動的に供給される。ここで、DMEステーション又はDMEパイプライン内のDMEは、潤滑向上剤を含んでいない。このため、DMEエンジンにDMEを供給するまでに、DMEに潤滑向上剤を添加する必要がある。DMEコージェネレーションシステムは、燃料タンク内の燃料が適切に補給されている限り、24時間継続して稼働させることができる。しかし、従来のように、手動により燃料タンク内に潤滑向上剤を添加する場合、作業者は燃料タンク内の燃料の減量を24時間体制で監視する必要があり、作業効率の悪化が考えられる。したがって、DMEだけでなく潤滑向上剤も自動的に補給されることが、望ましい。
【0006】
DMEエンジンでは、過剰なDMEが燃料噴射装置に供給されており、燃料タンクと燃料噴射装置との間をDMEが循環する。特許文献1の燃料供給装置は、循環しているDMEに潤滑向上剤を添加するので、DMEが循環するたびに、DMEに潤滑向上剤が添加される。所定量のDMEと、そのDMEに添加される潤滑向上剤の量との比は、所定比率に保たれることが望ましい。しかし、特許文献1の燃料供給装置では、DMEに添加される潤滑向上剤の量が過剰になってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、燃料(DME)と潤滑向上剤との比が所定比率に保たれるように、燃料に潤滑向上剤を自動的に投入する方法を、提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量の燃料が供給されているときに、前記燃料供給ライン内に前記潤滑向上剤を投入することによって、前記燃料に前記潤滑向上剤を混合する、潤滑向上剤自動投入方法であって、前記供給目標量と前記潤滑向上剤の投入量との比が所定比率となるように、前記供給目標量に対応する前記投入量を算出し、前記投入量の投入に費やされる向上剤投入時間を、前記供給目標量の供給に要する燃料供給時間に等しく設定し、投入される前記潤滑向上剤の流量を、前記向上剤投入時間及び前記投入量に基づいて算出し、前記潤滑向上剤を前記向上剤投入時間に渡って前記流量で継続的に投入する。
【0009】
第2発明は、エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量の燃料が供給されているときに、前記燃料供給ライン内に前記潤滑向上剤を投入することによって、前記燃料に前記潤滑向上剤を混合する、潤滑向上剤自動投入方法であって、前記供給目標量と前記潤滑向上剤の投入量との比が所定比率となるように、前記供給目標量に対応する前記投入量を算出し、前記投入量の投入に費やされる向上剤投入時間を、前記供給目標量の供給に要する燃料供給時間よりも所定時間短く又は所定割合だけ小さく設定し、投入される前記潤滑向上剤の流量を、前記向上剤投入時間及び前記投入量に基づいて算出し、前記潤滑向上剤を前記向上剤投入時間に渡って前記流量で継続的に投入する。
【0010】
第2発明は、好ましくは、構成(a)を採用できる。
【0011】
(a)前記向上剤投入時間が前記燃料供給時間よりも前に終了するように、前記潤滑向上剤の投入を開始する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、燃料と潤滑向上剤との比が所定比率に保たれるように、燃料に潤滑向上剤を自動的に投入することができる。特に、潤滑向上剤が継続的に燃料に投入されるので、燃料に潤滑混合剤を均一に混合できる。燃料と潤滑向上剤とが良好に混合されることによって、燃料噴射系の異常摩耗が防止される。
【0013】
本発明は、向上剤投入時間が燃料供給時間よりも前に終了するように、潤滑向上剤の投入を開始する。このため、投入された潤滑向上剤が燃料供給ライン内に残留することが確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】DMEエンジンシステム及びDME供給システムを示す概略図である。
【図2】潤滑向上剤自動投入制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、DMEエンジンシステム1及びDME供給システム100を示す概略図である。DME供給システム100は、DME供給源101からエンジン2の燃料タンク3に、DME及び潤滑向上剤を供給するシステムである。燃料タンク3には、潤滑向上剤を含むDMEが蓄えられる。DMEエンジンシステム1は、エンジン2に、潤滑向上剤を含むDMEにより、エンジン2を駆動する装置である。DME供給源101は、DMEのパイプラインシステム、又はDMEのタンクである。
【0016】
以下、潤滑向上剤を含まないDMEを単に「DME」とし、潤滑向上剤を含むDMEを「混合DME」とする。
【0017】
図1において、DMEエンジンシステム1は、エンジン2と、燃料タンク3と、高圧ポンプ4と、エンジン制御装置5と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、燃料用のラインとして、第1燃料ライン11と、第2燃料ライン12と、第3燃料ライン13と、第4燃料ライン14と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、DME蒸気をパージするためのラインとして、第1パージライン21と、第2パージライン22と、第3パージライン23と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、弁として、圧力調整弁30と、第2遮断弁32と、第3遮断弁33と、逆止弁34と、を備えている。
【0018】
第1燃料ライン11は、燃料タンク3と高圧ポンプ4とを接続している。第2燃料ライン12は、高圧ポンプ4とエンジン2とを接続している。第3燃料ライン13及び第4燃料ライン14は、圧力調整弁30を介して、エンジン2と燃料タンク3とを接続している。圧力調整弁30は、第3燃料ライン13と第4燃料ライン14との間に設けられている。逆止弁34は、燃料タンク3と第4燃料ライン14との間に設けられている。
【0019】
第2遮断弁32は、第2燃料ライン12と第2パージライン22との間に設けられている。第2遮断弁32が開放されると、第2燃料ライン12内のDME蒸気が、第2パージライン22を介して大気中に開放される。第3遮断弁33は、第3燃料ライン13と第3パージライン23との間に設けられている。第3遮断弁33が開放されると、第3燃料ライン13内のDME蒸気が、第3パージライン23を介して大気中に開放される。
【0020】
エンジン制御装置5は、DMEエンジンシステム1の各部を制御する。エンジン制御装置5は、エンジン2を作動させるときに、高圧ポンプ4を作動させる。混合DMEは、高圧ポンプ4の作動により、ライン11〜14を経由して、燃料タンク3及びエンジン2を循環する。
【0021】
図1において、DME供給システム100は、向上剤タンク102と、向上剤ポンプ103と、供給制御装置105と、を備えている。DME供給システム100は、供給ラインとして、燃料供給ライン111と、第1向上剤供給ライン121と、第2向上剤供給ライン122と、を備えている。DME供給システム100は、弁として、入口遮断弁SV−1と、DME電磁弁CV−3と、向上剤電磁弁CV−4と、パージ電磁弁RV−2と、を備えている。DME供給システム100は、センサとして、流量センサ151と、供給圧力センサPS−1と、温度センサ152と、タンク内圧力センサPS−2と、容量レベルセンサ51と、を備えている。
【0022】
燃料供給ライン111は、DME供給源101と燃料タンク3とを接続している。DMEは、DME供給源101から燃料タンク3に向けて供給される。燃料供給ライン111上には、DMEの流れ方向に沿って、入口遮断弁SV−1、流量センサ151、合流部131、供給圧力センサPS−1、温度センサ152、及びDME電磁弁CV−3が、配置されている。
【0023】
第1向上剤供給ライン121は、向上剤タンク102と、向上剤ポンプ103とを接続している。第2向上剤供給ライン122は、向上剤ポンプ103と燃料供給ライン111とを接続している。合流部131は、第2向上剤供給ライン122と燃料供給ライン111との接続部である。潤滑向上剤は、向上剤タンク102から向上剤ポンプ103を経由して、燃料供給ライン111上の合流部131に供給される。第2向上剤供給ライン122上には、向上剤電磁弁CV−4が配置されている。
【0024】
向上剤ポンプ103は、本実施形態では、定量ポンプである。
【0025】
入口遮断弁SV−1は、合流部131の上流側において、燃料供給ライン111を開閉できる。DME電磁弁CV−3は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111を開閉できる。向上剤電磁弁CV−4は、第2向上剤供給ライン122を開閉できる。
【0026】
供給圧力センサPS−1は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111内の圧力を検出できる。
【0027】
流量センサ151は、燃料供給ライン111内の流量を検出できる。このため、流量センサ151は、当然ながら、燃料供給ライン111内に流れが発生しているか流れが停止しているかも、検出できる。
【0028】
温度センサ152は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111内の温度を検出できる。温度センサ152は、本実施形態では、熱電対である。
【0029】
パージ電磁弁RV−2は、第1パージライン21上に設けられている。パージ電磁弁RV−2が開放されると、燃料タンク3内のDME蒸気が、第1パージライン21を介して大気中に解放される。
【0030】
タンク内圧力センサPS−2は、第1燃料ライン11の圧力を検出する。ここで、第1燃料ライン11の圧力は、燃料タンク3内の圧力に等しい。
【0031】
容量レベルセンサ51は、燃料タンク3内に蓄えられているDMEの量を検出する。
【0032】
供給制御装置105は、DME供給システム100の各部を制御する。具体的には、供給制御装置105は、パージ電磁弁RV−2、入口遮断弁SV−1、DME電磁弁CV−3、及び向上剤電磁弁CV−4の開閉を制御する。供給制御装置105は、向上剤ポンプ103の駆動を制御する。供給制御装置105は、供給圧力センサPS−1、タンク内圧力センサPS−2、容量レベルセンサ51、及び温度センサ152による検出情報を、把握できる。
【0033】
DME供給システム100において、潤滑向上剤を含まないDMEが、DME供給源101から燃料供給ライン111に供給される。燃料供給ライン111上の合流部131において、DMEに、潤滑向上剤が投入される。つまり、合流部131において、DMEと潤滑向上剤とが混合される。この結果、潤滑向上剤を含むDME(混合DME)が、燃料タンク3に供給される。
【0034】
図2は、潤滑向上剤自動投入制御のフローチャートである。供給制御装置105は、潤滑向上剤自動投入制御を実行できる。潤滑向上剤自動投入制御は、シーケンス制御である。潤滑向上剤自動投入制御において、後述の各ステップの処理が、順次実行される。
【0035】
潤滑向上剤自動投入制御において、DMEに、潤滑向上剤が自動的に投入される。ここで、DMEの量と潤滑向上剤の量とが所定比率となるように、DMEと潤滑向上剤とが混合される。特に、DMEと潤滑向上剤とが良好に混合するように、潤滑向上剤が少量ずつ継続的に、燃料供給ライン111内に投入される。以下、具体的な手順が説明される。
【0036】
潤滑向上剤自動投入制御の開始時点において、入口遮断弁SV−1は開放されており、DME電磁弁CV−3及び向上剤電磁弁CV−4は閉じられている。入口遮断弁SV−1は、メンテナンス時などを除いて通常は開放されている。
【0037】
DME供給システム100は、システムを起動するための起動スイッチを備えている。ステップS1において、供給制御装置105は、起動スイッチが押されたことを検出すると、潤滑向上剤自動投入制御を開始する。
【0038】
ステップS2において、供給制御装置105は、DME供給目標量を計算する。DME供給目標量は、今回のDME供給作業において、DME供給システム100が燃料タンク3にDMEを供給する量を意味する。本実施形態では、燃料タンク3内の空き容量が、DMEの供給目標量に設定されている。
【0039】
DME供給目標量=タンク最大量−タンク残量・・・(1)
【0040】
タンク最大量は、燃料タンク3の最大容量であり、特定されている。タンク残量は、燃料タンク3内に残っている混合DMEの量である。供給制御装置105は、容量レベルセンサ51による検出情報に基づいて、タンク残量を特定できる。このため、供給制御装置105は、式(1)に基づいて、DME供給目標量を算出できる。
【0041】
ステップS3において、供給制御装置105は、潤滑向上剤の投入量を計算する。投入量は、今回のDME供給作業において、DME供給目標量に合わせて投入される潤滑向上剤の量を意味する。上述したように、供給目標量と投入量との比率は、所定比率に設定されている。このため、投入量は、供給目標量及び式(2)及び(3)に基づいて、算出される。
【0042】
投入量(ml)=DME供給目標量(L)×所定比率・・・(2)
所定比率=DME比重(g/cm)×潤滑向上剤濃度(ppm)/(潤滑向上剤比重(kg/m)×1000)・・・(3)
【0043】
式(3)は、重量比を用いている。DME比重=0.67(g/cm)であり、潤滑向上剤比重(kg)=0.9(kg/m)である。
【0044】
供給制御装置105は、式(2)及び(3)に基づいて、潤滑向上剤の投入量を算出できる。
【0045】
ステップS4において、供給制御装置105は、DME供給時間に基づいて、向上剤投入時間を設定する。DME供給時間は、供給目標量のDMEの供給に要する時間である。つまり、供給目標量のDMEは、DME供給時間の時間をかけて、燃料タンク3内に充填される。向上剤投入時間は、投入量の潤滑向上剤の投入に費やされる時間である。つまり、潤滑向上剤は、向上剤投入時間の時間をかけて、燃料供給ライン111内に継続的に投入される。
【0046】
DMEに潤滑向上剤を良好に混合させるために、DMEが供給されている間、潤滑向上剤が継続的に燃料供給ライン111内に投入することが望ましい。したがって、向上剤投入時間を、DME供給時間に等しく設定することが考えられる。本実施形態では、向上剤投入時間は、DME供給時間よりも所定時間だけ小さく設定される。所定時間が30秒である場合、DME供給時間が120秒であるときに、向上剤投入時間は90秒に設定される。向上剤投入時間をDME供給時間よりも短くすることによって、DME供給の最終段階においてDMEを流す時間が確保される。この結果、投入された潤滑向上剤が燃料供給ライン111内に残留することが確実に防止される。
【0047】
DME供給時間は、次のようにして特定される。DME供給源101がDMEを吐き出す圧力は、一定である。このため、DME電磁弁CV−3が開かれているときに、燃料供給ライン111を流れるDMEの流量も、一定値である。したがって、供給目標量は、DME供給時間×DME供給源101の吐出圧力、に等しい。DME供給源101の吐出圧力は、既知の値である。したがって、ステップS2において供給目標量が特定されれば、供給制御装置105は、供給目標量に基づいてDME供給時間を特定できる。
【0048】
ステップS5において、供給制御装置105は、向上剤投入時間及び投入量に基づいて、潤滑向上剤の流量を計算する。潤滑向上剤の流量は、燃料供給ライン111内に投入される潤滑向上剤の流量を意味する。定量ポンプである向上剤ポンプ103の吐出流量が、潤滑向上剤の流量に等しい。投入量は、向上剤投入時間×潤滑向上剤の流量、に等しい。したがって、供給制御装置105は、向上剤投入時間及び投入量に基づいて、必要な吐出流量を計算できる。
【0049】
ステップS6において、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3を開放する。この結果、DMEが燃料タンク3内へと流れ込んでいく。
【0050】
ステップS7において、供給制御装置105は、流量センサ151における燃料流れパルスの有無に基づいて、燃料供給ライン111内における流れの有無を確認する。つまり、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3の開放によって、正常にDMEが流れていることを確認する。
【0051】
ステップS8において、供給制御装置105は、向上剤電磁弁CV−4を開放する。この結果、DMEに潤滑向上剤が混入できる状態となる。
【0052】
ステップS9において、供給制御装置105は、向上剤ポンプ103を起動すると共に、起動できたか否かを確認する。ここで、供給制御装置105は、向上剤ポンプ103の目標出力を、ステップS5において計算された吐出流量に設定する。起動が確認された場合、処理がステップS11に進み、起動が確認されなかった場合、処理がステップS10に進む。
【0053】
ステップS10において、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3及び向上剤電磁弁CV−4を閉じる。供給制御装置105は、向上剤ポンプ103に不具合があるので、潤滑向上剤自動投入制御を一旦終了させる。
【0054】
ステップS11において、供給制御装置105は、向上剤ポンプ103の起動時点から向上剤投入時間が経過するのを待機する。向上剤投入時間の経過中、燃料供給ライン111内で、DMEと潤滑向上剤とが混合される。この結果、混合DMEが燃料供給ライン111を介して燃料タンク3に供給される。
【0055】
ステップS12において、供給制御装置105は、向上剤ポンプ103の駆動を停止させる。
【0056】
ステップS13において、供給制御装置105は、向上剤電磁弁CV−4を閉じる。この結果、DMEに潤滑向上剤が混入できない状態となる。
【0057】
ステップS14において、供給制御装置105は、供給目標量の混合DMEが燃料タンク3内に充填されるのを待機する。供給制御装置105は、容量レベルセンサ51の検出情報、又はDME電磁弁CV−3の開放時点からのDME供給時間の計測に基づいて、供給目標量が充填されたことを、把握できる。
【0058】
ここで、向上剤ポンプ103の起動時点から向上剤投入時間までの間は、混合DMEが燃料タンク3に供給されている。一方、向上剤投入時間の経過後は、潤滑向上剤を含まないDMEが燃料タンク3に供給されている。
【0059】
ステップS15において、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3を閉じる。この結果、DMEの供給が停止される。
【0060】
ステップS16において、供給制御装置105は、潤滑向上剤自動投入制御を終了させる。
【0061】
本実施形態は、次の効果を有している。本実施形態は、DMEと潤滑向上剤との比が所定比率に保たれるように、DMEに潤滑向上剤を自動的に投入することができる。特に、定量ポンプ(向上剤ポンプ103)により、潤滑向上剤が継続的に燃料に投入されるので、DMEに潤滑混合剤を均一に混合できる。DMEと潤滑向上剤とが良好に混合されることによって、燃料噴射系の異常摩耗が防止される。
【0062】
また、本実施形態は、向上剤投入時間がDME供給時間よりも前に終了するように、潤滑向上剤の投入を開始する。このため、投入された潤滑向上剤が燃料供給ライン111内に残留することが確実に防止される。
【0063】
本実施形態では、向上剤投入時間は、DME供給時間よりも所定時間だけ小さく設定されている。向上剤投入時間は、DME供給時間よりも所定割合だけ小さく設定されてもよい。また、向上剤投入時間は、DME供給時間に等しく設定されてもよい。
【0064】
本実施形態では、DMEの流れの有無を検出する手段は、流量センサ151である。流量を検出できる流量センサ151に代えて、流れの有無のみを検出できる手段を、用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
2 エンジン
3 燃料タンク
100 DME供給システム
111 燃料供給ライン
121 第1向上剤供給ライン
122 第2向上剤供給ライン
131 合流部
CV−3 DME電磁弁
CV−4 向上剤電磁弁
151 流量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量の燃料が供給されているときに、前記燃料供給ライン内に前記潤滑向上剤を投入することによって、前記燃料に前記潤滑向上剤を混合する、潤滑向上剤自動投入方法であって、
前記供給目標量と前記潤滑向上剤の投入量との比が所定比率となるように、前記供給目標量に対応する前記投入量を算出し、
前記投入量の投入に費やされる向上剤投入時間を、前記供給目標量の供給に要する燃料供給時間に等しく設定し、
投入される前記潤滑向上剤の流量を、前記向上剤投入時間及び前記投入量に基づいて算出し、
前記潤滑向上剤を前記向上剤投入時間に渡って前記流量で継続的に投入する、
潤滑向上剤自動投入方法。
【請求項2】
エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量の燃料が供給されているときに、前記燃料供給ライン内に前記潤滑向上剤を投入することによって、前記燃料に前記潤滑向上剤を混合する、潤滑向上剤自動投入方法であって、
前記供給目標量と前記潤滑向上剤の投入量との比が所定比率となるように、前記供給目標量に対応する前記投入量を算出し、
前記投入量の投入に費やされる向上剤投入時間を、前記供給目標量の供給に要する燃料供給時間よりも所定時間短く又は所定割合だけ小さく設定し、
投入される前記潤滑向上剤の流量を、前記向上剤投入時間及び前記投入量に基づいて算出し、
前記潤滑向上剤を前記向上剤投入時間に渡って前記流量で継続的に投入する、
潤滑向上剤自動投入方法。
【請求項3】
前記向上剤投入時間が前記燃料供給時間よりも前に終了するように、前記潤滑向上剤の投入を開始する、
請求項2に記載の、潤滑向上剤自動投入方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−12560(P2011−12560A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155197(P2009−155197)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】