説明

濁り度光散乱技法を使用した試料の妥当性の確保

HPV試験を使用する子宮頸がんスクリーニングにより、CIN3以上の子宮頸部病変の予測に対して、ほぼ99.5%の高い陰性的中値を示すことができる。しかし、試料の妥当性は、試験試料が妥当でないことが原因で検出されないことがある、危険に曝された女性の数に影響を及ぼすことがある。本発明者らは、光散乱技法を使用して既知の液体空間中の細胞数、具体的には濁度を推定することにより、陰性結果の試料の妥当性を増大させるこの挑戦に取り組んできた。これらの方法は、他の用途向けに試料の妥当性を測定するための、高速で、便利で経済的な方法として使用することもできる。HC2 HPV試験とともにこれらの方法を使用する具体例が、本明細書において提示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の開示
[0001]本出願は、「Ensuring sample adequacy using turbidity light scattering techniques」(整理番号74708.000601)と題する2009年10月9日出願の米国特許出願第12/588,305号の一部継続出願であり、「Ensuring Sample Adequacy of Clinical Cervical Specimens Using Turbidity Light Scattering Techniques」(整理番号74708.000600)と題する2009年9月15日出願の米国特許仮出願第61/242,628号、および「Ensuring Sample Adequacy of Clinical Cervical Specimens Using Turbidity Light Scattering Techniques」(整理番号74708.000300)と題する2009年6月3日出願の米国特許仮出願第61/183,857号の利益を主張し、これらは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願第12/588,305号はまた、米国特許仮出願第61/242,628号、および米国特許仮出願第61/183,857号の利益を主張し、2008年4月4日出願の米国特許出願第12/062,950号の一部継続出願であり、これは、2007年4月6日出願の米国特許仮出願第60/910,565号の利益を主張し、これらは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は一般に、光散乱技法を使用して既知の液体空間中の細胞数、詳細には濁度を推定することにより、臨床試料の妥当性を測定する方法に関する。他の態様では、本開示は、細胞数を推定することによって臨床試料の妥当性を測定する機械を提供する。これらの機械は、臨床試料の高スループット処理用に使用することができる。他の態様では、本開示は、試料の試験が有益なものになるような適切な物質を、試料が含んでいるかどうか判定する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
[0003]臨床診断、ライフサイエンス、科学捜査、および生物兵器防衛の分野では、試料の妥当性判定が確実であることにより、試料分析のプロセスにいくつかの利益をもたらすことができる。試料の妥当性についての情報量により、その試料に対する他の化学的、物理的、および/または生物学的な分析を使用する後続の試験結果についての確信と有効性を高めることができる。情報量により患者の治療が改善するというのも、不適切な試料によって健康状況が誤って伝えられている患者が見つかる可能性が高いからである。実態を反映していない健康状態の結果報告と患者の再サンプリングを回避することが、試料の妥当性判定の有益な結果と考えられる。さらに、他の試料分析を実行する前の試料の妥当性についての知識により、費用をかけて未調査の不適切な試料の試験を避けることによって時間、材料、および労力を節約することにつながることがある。したがって、非常に多数の試験結果により検体が存在しないことが確認される、大きい母集団でのスクリーニングテストにおいて試料確実性を確立することにより、この結果が、サンプリングされた元の構成要素の実態を表していることを確認できるという価値を付加することができる。
【0004】
[0004]特定の細胞タイプ、ウイルス、バクテリア、または他の病原体の存在を求めて分析されている臨床試料は、主題の試験法から恩恵を受けることができるが、それは、これらの方法により、試験結果の確度の実現が容易になり、さらには効率が改善することになるからである。試料の妥当性を確実にすることから潜在的に恩恵を受ける可能性のある1つの具体的な領域は、ヒトパピローマウイルス感染症における子宮頸部試料の試験である。たとえば、二遺伝子HC2高リスクHPV DNA試験(登録商標)(「HC2」)は、子宮頸がんのスクリーニングプログラムおよびASC−US細胞診の患者の臨床管理の構成要素として、非常に価値が高いことが証明された。現在、HC2 HPV DNA試験により、CIN3以上の子宮頸部病変の予測に対して、ほぼ99.5%の高い陰性的中値が示される。それにもかかわらず、研究室および患者は、試料の妥当性測定によってもたらされることになる、さらなる制御および確実性を望むことがある。不適切であると判定された試料の試験を差し控える可能性も望まれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]前述に鑑み、試料の妥当性を判定するための方法が必要である。これらの方法を使用することにより、特定の試験法に対して不適切だとみなされる試料の処理を除外するかどうか、オペレータによる判定が可能になる。これらの方法は試料の妥当性の知識を提供することができ、このことは、試験結果解釈および患者ケアの決定にとって有益になることがある。たとえば、試料が不適切である場合、陰性結果は、必ずしも真に陰性の結果を表すものではないと理解することができるが、ある種のタイプの試験については、やはり陽性結果が参考になると考えることができる。試料の妥当性判定により、試験に先立って適切な試料を得るために、再サンプリングする選択肢がもたらされる可能性があり、それにより、潜在的に不確実な分析を実行するための費用が節約されることになる。したがって、本発明に記載の方法により、たとえば不適切な試料を試験するかどうかの判定を可能にすることによって、より大きな意志決定の能力をユーザの手に委ねることができ、介添人および/または患者に、陰性の試験結果の意味をよりよく理解してもらうことができる。本発明の好ましい実施形態は、前述の利益のうちの1つまたは複数を提供してもよいが、それの代わりにまたはそれに加えて、他の利益を実現してもよい。
【0006】
[0006]本開示は、まとめて、様々な組合せで、または単独で使用してもよい複数の発明物を提供する。以下の概要は、こうした発明物の例を提供し、特許請求の範囲に記載の発明物を決して限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一態様では、本開示は、1つまたは複数の試料の濁度を一斉にまたは別々に測定するための1つまたは複数のチャネルを備え、各チャネルが1つまたは複数の光源および1つまたは複数の光検出器を含み、試料が1次試験に適切であるか不適切であるか判定される、試料確実性読取り装置を提供する。
【0008】
[0008]他の態様では、本開示は、不適切または確実ではないとされた試料の処理を中断することができるように、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアを介して構成可能な自動システムを提供する。
【0009】
[0009]他の態様では、本開示は、少なくとも1つの1次試験を実行するのに先立って少なくとも1つの試料の濁度を求めるための試料確実性読取り装置を使用する方法を提供し、ここで1次試験は、HPV1次または2次スクリーニング試験である。
【0010】
[0010]他の態様では、本開示は、少なくとも1つの1次試験を実行するのに先立って少なくとも1つの試料の濁度を求めるための試料確実性読取り装置を使用する方法を提供し、ここで1次試験は、ウイルス感染スクリーニング試験である。
【0011】
[0011]他の態様では、本開示は、試料確実性判定モジュールを備える、1次試験を実行するための自動システムを提供する。
【0012】
[0012]他の態様では、本開示は、照射のビーム角度を制御するためのレンズ、および放射光の経路を制御するためのレンズのうちの少なくとも1つを備える、光学測定システムで使用するための試料容器を提供する。
【0013】
[0013]他の態様では、本開示は、プロセッサを使用して、試料の濁度の測定値を含むデータを受け取るステップと、プロセッサを使用して、電子記憶装置に記憶された1つまたは複数の指定された基準と濁度の測定値を比較するステップと、プロセッサを使用して、少なくとも部分的にこの比較に基づいて試料の妥当性結果を求めるステップと、試料の妥当性結果の指標を提示するステップとを含む、試料の妥当性を判定する方法を提供する。
【0014】
[0014]他の態様では、本開示は、電子記憶装置と通信するように結合されたプロセッサであって、試料の濁度の測定値を受け取り、電子記憶装置に記憶された1つまたは複数の基準と濁度の測定値を比較し、少なくとも部分的にこの比較に基づいて試料の妥当性結果を求め、試料の妥当性結果の指標を提示するように構成されたプロセッサを備える、試料の妥当性を判定するためのシステムを提供する。
【0015】
[0015]他の態様では、本開示は、1次試験を実行するのに先立って各容器間で試料を移送するための、試料確実性判定モジュールを備える自動システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[0016]試料妥当性制御測定システム(「SAM」)の側断面図である。
【図2】[0017]SAMの側断面図である。
【図3】[0018]抽出管ユニット(「ETU」)と呼ばれるマルチウェル試料容器の等角図である。
【図4】[0019]ETU内に含まれる試料で使用するように構成された8チャネルSAMの等角図である。
【図5】[0020]使用中の擦り傷から比較的保護されたETUの一部分を各放射ビーム経路が通過する状態での、ETU内に含まれる試料で使用するように構成された8チャネルSAMの上面図である。
【図6】[0021]試料処理システム内のモジュールとして組み込むように構成された、モジュール式の8チャネルSAMの等角図である。
【図7】[0022]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と試料の濁度との相関を示す図である。
【図8】[0022]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と試料の濁度との相関を示す図である。
【図9】[0023]光学細胞計数によって決定される試料の細胞充実性とqPCRによって決定される試料の細胞充実性との相関を示す図である。
【図10】[0024]試料の濁度と光学細胞計数によって決定される試料の細胞充実性との相関を示す図である。
【図11】[0025]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と試料の濁度との相関を示す図である。
【図12】[0026]光学細胞計数によって決定される試料の細胞充実性と臨床材料の希釈系列に対する試料の濁度との相関を示す図である。
【図13】[0027]光学細胞計数によって決定される試料の細胞充実性と臨床材料の希釈系列に対してqPCRによって決定される試料の細胞充実性との相関を示す図である。
【図14】[0028]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と希釈系列に対する試料の濁度との相関を示す図である。
【図15】[0029]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と1076の試料の母集団における試料の濁度との相関を示す図である。
【図16】[0030]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と、容量が4mLを超える図15に示した試料の一部についての試料の濁度との相関を示す図である(PC_NOR=PreservCyt/規定量)。
【図17】[0031]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と、容量が2mLを超え4mL未満の図15に示した試料の一部についての試料の濁度との相関を示す図である(PC_QNS=PreservCyt/不十分な量)。
【図18】[0032]qPCRによって決定される試料の細胞充実性と、容量が2mL未満の図15に示した試料の一部についての試料の濁度との相関を示す図である(PC_QNS=PreservCyt/不十分な量)。
【図19】[0033]細菌細胞数と濁度の相関を示す図である。
【図20】[0034]細菌細胞数と濁度の相関を示す図である。
【図21】[0035]合計細胞数(細菌細胞とヒト細胞の混合)と濁度の相関を示す図である。
【図22】[0036]擦り傷がなく媒体のみを含むブランクの試料管から測定される濁度の値の分布を示す図である。
【図23】[0037]所与の濁度カットオフにおいて保持されるまたは除外されるはずの試料の一部分を示す図である。
【図24】[0038]qPCRによって決定される細胞充実性の分布、および試料の量に従って部分母集団に分割された臨床試料についての濁度の値の分布を示す図である。図において、各グループ内の左端のバーは、量が4mLを超える試料に対応し(N:669)、各グループ内の中央のバーは、量が2mL〜4mLの間の試料に対応し(N:172)、各グループ内の右端のバーは、量が2mL未満の試料に対応する(N:240)。
【図25】[0038]qPCRによって決定される細胞充実性の分布、および試料の量に従って部分母集団に分割された臨床試料についての濁度の値の分布を示す図である。図において、各グループ内の左端のバーは、量が4mLを超える試料に対応し(N:669)、各グループ内の中央のバーは、量が2mL〜4mLの間の試料に対応し(N:172)、各グループ内の右端のバーは、量が2mL未満の試料に対応する(N:240)。
【図26】[0039]SurePath(「SP」)試料における、濁度分布を示す図である。
【図27】[0040]試料妥当性制御測定システム(「SAM」)のワーキングモデル用の濁度基準の信号/基準測定を示す図である。
【図28】[0041]8チャネルSAMのワーキングモデル用の較正カーブを示す図である。
【図29】[0042]8チャネルSAMのワーキングモデルの各チャネルにおける試料の量への依存性を示す図である。
【図30】[0043]時が経つにつれて試料が沈殿する様子、および濁度測定に及ぼす結果を示す図である。
【図31】[0044]5つの濁度基準についてHach Meterによって測定された濁度と相関関係のある、8チャネルSAMによる濁度測定を示す図である(R^2=.9993)。
【図32】[0045]臨床試料用のHach Meterによって測定された濁度と相関関係のある、8チャネルSAMによる濁度測定を示す図である(n=235、R^2=0.83)。
【図33】[0046]8チャネルSAMによるブランク試料の濁度測定の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0047]本明細書に記載の各方法および各装置は、多くの産業および用途における多くの試料タイプでの試験結果の質を改善するために使用することができる。これには、一例として、特定の異常細胞のタイプ、ウイルス、細菌などの存在を分析されている男性および女性の人体組織が含まれる。本開示において提供されるある具体的な例は、1つまたは複数のウイルス株による感染について組織細胞試料を評価することにより、女性の健康を改善することに関連する。女性の子宮頸がんを引き起こすことで知られている高リスク株であるHPV16、HPV18、HPV45など、複数のヒトパピローマウイルス株の分析的な検出が、これらの試料においては特に興味深い。既存の方法を使用するウイルスの検出は一般に、女性患者の子宮頸部をブラシ/綿棒でこすることによってサンプリングされた、液体媒体中に懸濁される上皮細胞を使用する。媒体の特性は一般に、膣内の細菌または汚染物の増殖を防止し、上皮細胞および遊離ウイルスに安定性をもたらし、HPVまたはHPV感染の結果を検出することを可能にする試験のための試料分割を可能にし、これらの試験には、組織学的検査、免疫分析、およびDNA分析が含まれる。
【0018】
[0048]不適切な試料の採取または汚染により、代表的な遊離のHPVウイルスDNAが存在しなくなり、または感染した細胞が存在しなくなることによって、陰性の結果が生じることがある。メリーランド州ゲーサーズバーグのQIAGENゲーサーズバーグInc.(「Qiagen」)のHybrid Capture2など、いくつかのHPVウイルススクリーニング試験は、5000個のウイルスのコピーに至るまでの低いレベルを検出することができる。いくつかの試料採取プロトコルでは、医療関係者が女性患者の子宮頸部領域から細胞をこすり取るために、子宮頸部のブラシまたは綿棒を使用することを可能にする。次いで医療関係者は、ただちに、工場においてPreservCyt(商標)(マサチューセッツ州マールボロのHologic Inc.から入手可能)やSurePath(商標)(ノースカロライナ州バーリントンのBD Diagnosticsから入手可能)などの輸送媒体で満たされた新規の試料容器内でブラシをかき混ぜる。この容器はラベルを付けて密閉され、次いでHPVスクリーニングのために検査機関に送られる。この時点で、媒体と試料が組み合わされ、同じものとみなされる。試料採取エラーまたは汚染のいくつかの形態が、処理中に生じることもある。医療関係者が、子宮頸部の内膜を適切な力または技法でこすり取らない場合、ブラシ/綿棒に代表的な数の上皮細胞を集めることができない。ブラシ/綿棒から輸送媒体への細胞の移送が上手くいかないと、結果として、代表的な上皮細胞が媒体上にほとんどまたは全く移送されないことになる。収集している間に、汚染が生じることがある。塵、細菌、微粒子、DNAアーゼ、毛髪、粘液などの汚染物質が試料容器、媒体、または試料に入り込むこともある。あるいは、患者の試料として移送媒体の未使用容器のラベルが張り間違えられ、検査機関に送られることがある。このような試料は、試験には適さない。不適切な試料が検出されない場合、陰性の結果が報告されることになるが、患者の実際の健康状況は実際には判定されておらず、したがって未知のままである。
【0019】
[0049]検査機関で受領されると、不適切な試料は、1次採取容器から移送され、分析されて、移送媒体中にHPVウイルスが存在するかどうか判定される。分析によっては、液体の均質化をあるレベルまで必要とするが、分析によっては必要としない。1次容器または後に続く容器から移送している間、この分析において、代表的ではないバージョンの試料が得られることがある。たとえば、試料が試料容器内で凝集または沈殿している場合、等分された一部分が試料の状態を正確に伝えないことがある。非破壊的に、かつ最少の試料を消費して試料確実性を確立する方法が特に有益であるが、それというのも、試料採取がしばしば患者にとって軽度の外傷の原因となり、特定の患者についてはたまにしか実施できないことがあるので、試料が貴重だとみなされるからである。本発明の好ましい実施形態は、前述の利益のうちの1つまたは複数を提供してもよいが、それの代わりにまたはそれに加えて、他の利益を実現してもよい。
【0020】
[0050]不適切な試料は、患者の実際の健康状況に関わらず、HPVの陰性結果を生じる可能性が高い。RocheおよびThirdWaveが販売している検出システムなど、qPCRベースの検出システムは、検体検出試験中のDNA増幅を可能にする内部制御を提供する。具体的には、これらの試験は、βグロビンを増幅し検出する。存在するβグロビンのレベルを定量化することにより、試料確実性が増す。βグロビンは、存在する試料媒体のミリリットル当たりの細胞の数を概算するのに使用されるが、それは、上皮細胞の直接の数ではない。ヒストンなど他のハウスキーピング遺伝子を使用してもよい。βグロビンの判定は、検体の分析と同じ試薬を使用するので、検体試験と同時に実行される。その結果、試験結果の信頼性が増すが、試料の妥当性が事後に分かるので、時間、労力、または材料を潜在的に節約することにはならない。
【0021】
[0051]本開示により、以下に述べるように、非破壊的なブランク識別制御または細胞充実性制御の形で検体を判定する前に、試料の妥当性を判定する方法が提供される。ブランク識別制御が、ブランク媒体と、この特定の場合に適切な試料と組み合わせたブランク媒体との間の物理的な特性変化が存在することを判定する一方法である場合、物理的な差は、組み合わされた試料と媒体の細胞密度または細胞充実性に起因する。
【0022】
[0052]一態様では、本開示は、試料確実性(患者の健康状況を判定するために所与の臨床検体について試験される試料の妥当性における信頼性)を確立するのに使用される装置を記述する。移送媒体に収集される子宮頚部組織の試料、または、後続の検体もしくは妥当性判定に寄与する液体媒体中で濃縮および再懸濁された子宮頚部組織の試料の試料妥当性を判定するための例示的な装置が示してある。同じ試料内でHPVウイルスの存在を検出することなど、下流の診断試験用の品質制御として、これらの方法を使用することができる。これはまた、クラミジア、淋病など、他の分子診断試験に先立つ品質検査として使用することができる。
【0023】
[0053]Qiagenが開発したNext Generation Hybrid Capture(登録商標)の高リスク分析など、DNA分析に先立って試料を分析するための例示的な実施形態を使用することができる。本明細書に記載の各システムの実施形態による試料妥当性判定と一緒に実行することができる、この分析および他の分析の例は、「METHODS AND KITS FOR ISOLATING NUCLEIC ACIDS USING AN ANION EXCHANGE MATRIX」と題する、2009年8月5日出願の米国特許仮出願第61/231,371号、および「SEQUENCE SPECIFIC LARGE VOLUME SAMPLE PREP SOLUTION UTILIZING HYBRID CAPTURE TECHNOLOGY」と題する、2009年1月28日出願の米国特許仮出願第61/147,862号に開示されており、これらは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
[0054]このような装置は、1つまたは複数の検体試験の前後とその試験中に試料の妥当性を検出してもよいが、コストを節約するために試料処理の早期の段階で試料の妥当性を検出することが有益である。試料が不適切であると判定され、下流の処理がその試料で停止するとき、コストの節約が実現される可能性が高い。しかし、試料が妥当でないにも関わらず処理を継続してもよいが、それというのも、たとえば、陰性結果の解釈に確信をもつには試料が不適切であっても、それにも関わらず陽性結果が(得られる場合)意味をもつからである。
【0025】
[0055]本開示の例示的な方法では、液体中の微粒子レベルを推定するための濁度計で使用される技術と同様の光散乱技術を使用する。たとえば、環境科学の分野では、水質の推定値としての水源の濁度レベルは、普通は単一チャネルの濁度計で判定される。濁度レベルは一般に、液体の試料に光を照射し、照射光源からの入射角度での散乱光を検出することによって判定される。基礎をなす物理的原理は、液体中の粒子物質が光を吸収、反射、屈折、および回析することである。液体試料に当たる光は、吸収されるか、照射光源の入射角度を超えて散乱されることになる。一般に、散乱された(照射軸から外れた)光の検出が多いほど、液体中の微粒子は多い。対象となる微粒子の反射を可能にする照射波長が選択される。この場合、上皮細胞または遊離ウイルスから全体的に反射される波長が対象となるが、それというのも、理論に拘泥することなく、子宮頚部の試料および他の同様の試料においては、細胞膜からの反射が、遊離ウイルスからの反射よりも検出可能な現象をもたらす可能性が高いと考えられるからである。
【0026】
[0056]照射光源の強度が、ある粒子密度(細胞充実性)の試料についての達成可能な信号対雑音比を決定する。強度が高いほど、吸収による信号低減が少なくなる。散乱の測定が試料空間全体を確実に表すように、光は、バルク液体の試料空間内に集束され、試料容器表面から離れていることが好ましい。たとえば、VWRおよびHachから入手可能な、市販の単一チャネル濁度計は、濁度を評価するための1次照射光源として、広帯域のハロゲン光(ハロゲン光電球)および近赤外発光ダイオード(NIR LED)を使用する。広帯域の光源を使用することは、光散乱を生じるが、潜在的に信号対雑音比を犠牲にし、それにより、検出の限界および装置の分解能を低下させることが確実になることへのショットガンアプローチである。さらに、広帯域光源は、液体試料中の所与の粒子濃度に対して同じ信号レベルを達成するのに、単色光源に対してエネルギーを浪費することがある。
【0027】
[0057]好ましくは、散乱の読取り値の間のばらつきを低減させるために、光強度の制御および測定が利用される。たとえば、光源の照射強度を独立して測定する閉ループシステムにおいて、照射光源(たとえばLED)への電流を直接制御することにより、一定の照射強度を生成することができる。同様にして、照射光源の強度は、よりオープンな開ループプロセスで簡単に検査して、確実に、許容可能な強度範囲内になるようにすることもできる。光源の開ループ強度に基づく最終的に検出された散乱に対する補正を、事前に較正されたシステム内に適用し、光源強度のばらつきを補正することができる。本明細書に記載の例示的な実施形態によっては、各読取り値の間のばらつきを低減させる1次手段として、後者の開ループ範囲検査、および測定された光源強度に基づく検出信号の事前較正された補正を使用する。
【0028】
[0058]例示的な光源は、単色光を生成することが好ましく、レーザ光生成と、2色性の選択的吸収フィルタ(たとえば色ガラス)、干渉フィルタ、または発光ダイオードを使用する広帯域光源フィルタリングとを含む。特に、励起されて自己蛍光を発する物質がほぼないNIRスペクトル内に単色性が存在するとき、試料容器、液体試料、および周囲の装置の構造材料における自己蛍光の量を低減させることができるので、照射光源の光の単色性が強いほど有利であると考えられる。自己蛍光を避けることが好ましいが、それというのも、自己蛍光により、背景信号が上昇し、システムの信号対雑音比が低下し、システムの検出限界および分解能が低下することもあるからである。
【0029】
[0059]光源の光のビーム角度およびコヒーレンスが、試料の散乱パターンおよび表示に影響を及ぼす。容器材料が検出器へのライトパイプとして働き、測定検出器内に直接光を反射または屈折する場合、容器表面にかなり近づいて広がる照射光源は、測定検出器内に直接光を散乱することがある。背景信号のこの潜在的な光源を回避するためには、コア、ただし試料検出器の視野内での試料の広い範囲を照射することが好ましい。通常、検出器の視野内の照射空間が大きいほど、結果として、試料全体のバルク空間をより良好に表す。
【0030】
[0060]検出限界が低く、またはカットオフ値付近で分解能が細かい光デバイスにとって、周辺光を除去することは特に関心事である。背景雑音レベルを低減または除去することが好ましい。周辺光を除去するいくつかの方式が光学設計の技術分野で知られているが、これらの方法は、光散乱法を用いる分析的試験の前に、やはり試料の妥当性を判定する特定の用途に適用しなければならないことが明らかである。周辺光を除去する一方法は、照射光源の光を偏光させ、次いで同様の偏光面を有する光のみを検出し、それにより、他の潜在的な周辺光源から無作為に偏光された光を除去することである。これにより、周辺光の検出レベルが低減する。周辺光のスペクトルが知られている場合、検出可能な光からそうした既知の波長をフィルタリングすることが、周辺光を除去する別の手段である。共通の周辺光源における強度ばらつきの周波数と異なる周波数、およびそれと区別できる周波数で照射光源の強度を変調することにより、電子的な信号除去、または、検出信号から周辺光をアルゴリズムによる後処理で信号除去することが可能になる。たとえば、アナログのバターワース帯域通過フィルタ、または離散チェビシェフフィルタリングは、周辺光源の50〜60Hzの光、およびその高調波から10Hzの照射光源の光を区別することもできる。
【0031】
[0061]周辺光を除去するもっとも基本的な方法は、試料および検出器を周辺光から物理的に隔離/遮断することである。自動システムでの隔離により、コスト、品質制御、組立ての煩雑さが増し、稼働部品および制御手段が追加で必要となることがある。したがって、実施形態によっては、よりアクセス可能な光学経路を確立しながら、他の手段を使用して光を除去する。
【0032】
[0062]検出波長は一般に、対象となる波長で利用可能な検出器感度に基づいて選択される。検出器の応答性は、試料から散乱する光の範囲で許容できることが好ましい。例示的な実施形態によっては、範囲の後半部は、照射光源の光と同じ波長である。
【0033】
[0063]試料容器内の試料が形成するメニスカスの気相液相界面からの反射が信号に悪影響を及ぼすことがあり、したがって、検出器を適切に位置決めすることにより、検出可能な照射される試料空間をメニスカスから離れるように配置することよって信号対雑音比を改善することができ、散乱信号への体積効果を制限する。
【0034】
[0064]試料容器またはその開口により、照射光と散乱光の両方を伝達することが可能になる。有利には、容器自体を使用して、対象となる光をフィルタリングし、偏光し、または単に伝達してもよい。本開示の一実施形態は、対象となる波長において照射光源の光の透過率が高い材料で作製された試料容器を選択することになる。容器の幾何形状は、照射光源の光または周辺光の測定検出器への光伝達を回避するように設計してもよい。容器の幾何形状は、照射光源のビームおよび/または検出された散乱から発する光の形状または角度を集束し、焦点をぼかし、向きを変え、または他の方法で修正するためのレンズとして働いて、測定検出器で見える、コアが照射された試料空間を縮小または拡大して試料の妥当性の判定を改善してもよい。本開示の実施形態は、照射光または検出光のビーム角度を制御する手段として試料容器を使用してもよい。さらなる実施形態は、照射光路または散乱光路中の、照射レンズまたは他の光学素子を用いた別々の光学的操作を使用する。
【0035】
[0065]試料確実性読取り装置/メータは、1つまたは複数の試料を、一斉にまたは別々に読み取るための、単一または複数のチャネルを備えてもよい。読取り装置は、読取りの前または最中に試料を混合する環状(orbital)または直線状のかくはん機/加振機など、均質化機構を備えてもよい。あるいは、このメータは、別々の環状または直線状のかくはん機/加振機が読取りの前または最中に試料を均質化することを可能にする、中央のソフトウェアまたはプログラマブルロジックシステムによって制御してもよい。このかくはん機/加振機は、試料を均質化するように試料容器を動かすロボットアームでもよい。かくはん機/加振機の機構はまた、ピペットの操作によって実現してもよく、たとえば、試料確実性を測定する容器に試料を移送するのにピペットが使用されるとき、ピペット自体の動きまたはピペットの分配操作が所望の均質化を実現してもよい。
【0036】
[0066]1つの読取り中、またはアルゴリズムによって組み合わせて試料確実性レベルの単一の判定を報告する複数の読取り中に、読取り装置または試料容器を回転/スキャンしてもしなくてもよい。試料を回転/スキャンすることの利点は、試料確実性のレベルをより良好に解釈できるようにすること、および/または、試料容器の光学的透明度(擦り傷、穴などがないこと)への依存性を低減することになる。
【0037】
[0067]試料確実性読取り装置は、この読取り装置のタイミングおよび機能を制御するための、大規模な自動システムのアーキテクチャと互換性のある通信アーキテクチャを備えてもよい。読取り装置は、検出器が生成する小さい電流または電圧を増幅する、検出器ボードを備えてもよい。検出器ボードの例示的な場合では、8つの測定検出器およびその増幅回路を含む。読取り装置は、光源の光で試料を照射する照射ボードを備えてもよい。照射ボードの例示的な場合では、8つのLEDおよびその駆動回路を含む。この読取り装置は、外部から供給された電力を取得し、それをモジュールの機能的電子装置に分配する、電力分配アーキテクチャを備えてもよい。給電し、検出し、伝送し、または、装置内で使用される電力および信号を分析するのに使用される電子装置は、実際の光学測定場所から離れた場所に設置できることも、開発の時点で考えられる。設計規定を追加して、ファラデーケージ遮蔽などの装置のための電磁適合性(EMC)を改善すること、デカップリングコンデンサを追加すること、接地ループを回避することなどが、多種多様な環境での装置の性能を改善できることも考えられる。
【0038】
[0068]実際には、プラスチックまたはガラスの全ての試料容器には、光散乱パターンを変化させることがある、一定レベルの曇りまたは擦り傷がある。例示的な実施形態は、試料容器の回転/スキャンを利用して、これらの影響をいくぶん軽減してもよい。他の例示的な実施形態では、使用時および/または製造時に、擦り傷がつく可能性の低い場所で測定検出器を利用してもよい。別法として、またはこれらの方法に加えて、自動システムにおいて試料を移送する前に、または試料容器自体の製造プロセスの初期に、擦り傷がないかどうか試料容器を品質検査することもできる。さらに、保護膜、パウチ、またはパッケージを使用して、読取りの前に試料容器に擦り傷のない性質を保護することもできる。
【0039】
[0069]同様に、収集プロセスにおいて試料が混合されることになる移送媒体または分析媒体の濁度を、製造時に制御し測定することが有益である。媒体の品質を事前にスクリーニングすることにより、背景レベルの制御をより厳格に行い、したがって信号対雑音の性能を改善することが可能になる。さらに、媒体の濁度の絶対レベルは、システムの検出限界に影響を及ぼすこともある。
【0040】
[0070]定義
[0071]試料は、実体についての特性を判定するために試験されている、実体全体の一部またはその実体全体である。たとえば、ヒトは、HIVウイルスのDNA検体について試験することになる血液試料を提供してもよい。個人のHIVが陽性だと見つけることもでき、その血液のウイルス量を測定することもできる。この文書で記述している方法から利益を受けることもある一般的な試料タイプは、血液、血漿、尿、細胞採取、毛髪試料、気体試料、液体試料、固体試料、または微粒子試料であるが、これらは用途および産業に依存する。
【0041】
[0072]試料確実性は、試料の妥当性における信頼性として定義される。
【0042】
[0073]試料の妥当性は、特定のウイルス(HPV16もしくは他のウイルスなど)が個体内に存在するか否かなど、試験結果が、試験される実体の実際の真の状況を表しているまたは予測している試料として定義される。
【0043】
[0074]次に、具体的で非限定的な例に関して、本発明をより詳細に説明する。
【0044】
[0075]次に図1を参照すると、試料の濁度を測定することができる第1の例示的な試料妥当性制御測定システム(「SAM」)100が示してある。試料は、ハウジング120が支持する容器150に供給される。たとえば、LEDを備える光源102は、概略示した照射ビーム経路104に沿って移動する光を放射し、試料112を照射する。光は、試料112内で懸濁している粒子に反射し、またはそこから散乱し、放射ビーム経路106に沿って試料検出器108まで移動する。試料112は十分な量があり、メニスカス113は、光を反射または散乱する、試料112の一部分の上にあるので、光のうち放射ビーム経路106に沿って移動するものがある。基準検出器110は、光源102から基準ビーム経路111に沿って伝達される光を検出して、光源102から放射された光の強度を補正することができる。試料検出器108と基準検出器110で検出される光信号を比較することによって濁度が計算できるような基準として、また、光源102が適切に機能しているのか、機能不良を起こしていて置き換えなければならないのかの指標として、基準検出器110で検出される光の強度を使用して、(たとえば、光源102への電圧を変化させることにより)この光源102からの光出力を較正することができる。
【0045】
[0076]基準検出器を使用して、LEDの光出力の変動を監視することができる。標準の市販または特注の濁度較正装置(様々な粒子/細胞の密度またはサイズでの特徴づけられた粒子/細胞の懸濁液の溶液)を使用して、測定検出器と濁度レベルとの関係をマッピングすることができる。さらに、測定検出器の関数としての濁度と基準検出器の関係をマッピングすることにより、光源の合理的な変動で濁度読取り値の補正が可能になる。1つの例示的なマッピングは、カットオフ範囲近くの直線状のマッピングであり、測定検出器信号と基準検出器信号の比が、複数ポイント(たとえば、2ポイント、3ポイント、nポイント)の較正曲線に、区分的に直線状にマッピングされる。
【0046】
[0077]多くの較正ポイントが、自然な非直線性をシステムで扱う必要がないように、照射光源が動いているか、また検出器が動いているかを検出する機能をシステムに組み込んでもよい。たとえば、この装置は、試料容器が存在している状態または存在していない状態で、検出器および光源が動いていることを確認するために、既知の周波数での閃光照射光源を有してもよい。次いで、光チャネルを確認することにより、試料の妥当性を定性的に判定する際に、飽和信号を適切な試料とみなすことができるようになる。たとえば、飽和した測定検出器信号について、試料の妥当性は、単に陽性として、または代替的に>200,000個/mlの細胞として報告してもよい。この光学チャネル自己テストにより、アナログ/デジタル変換器(ADC)の分解能をより細かく設定することにより、この設計でより高い分解能を達成できるようになる。通常、増幅された信号は、検出器からの0〜12Vとは異なっていてもよい。ほぼ0〜49NTU(ネフェロメ濁度単位)の範囲を含むように、16ビットADCが0.7Vに設定される場合、カットオフ付近の分解能が改善し、試料確実性の判定においてグレーゾーンの可能性を低減させることができる。あるいは、全女性について一義的な定量結果を報告するのに必要なフルダイナミックレンジは、700FNU(ホルマジンネフェロメ単位)付近の検出を必要とすることがある。これにより、ADCを10Vの範囲に設定することが必要になり、それによりカットオフ付近での読取り装置の分解能が著しく低下することもある。試料の妥当性の定量測定が必要なとき、濁度の範囲にわたってより良好な感度を達成するために、濁度の1つの読取り値内で、または追加の読取り値を通して、利得は能動的に変化することがある。この装置により、試料の妥当性の二者択一が可能になり、したがって能動利得制御が不要となる。高感度で範囲限定の読取りと低感度で範囲拡張の読取りの両方が可能な検出回路の構成およびプログラミングが当技術分野で知られており、ここで詳細に説明する必要はない。
【0047】
[0078]読取り装置は、補正された読取り値を、通信ポートを介して自動システムに報告することができる。次いで、ソフトウェアは、この値と、その試料タイプにおける既定のカットオフ絶対値とを比較することができる。光散乱読取り値がカットオフ以上である試料は、妥当であるとみなすことができる。値がカットオフ未満である試料は、細胞充実性において不適切であるとみなすことができる。
【0048】
[0079]次に図2を参照すると、試料の濁度を測定することができる別の例示的な試料妥当性制御測定システム(「SAM」)200が示してある。この実施形態では、放射および/または検出された光が、囲まれた通路、ほぼ囲まれた通路、または遮蔽された通路として形成されたビームチャネルを通って移動する。ビームチャネルは、空気、気体、ガラス、透明プラスチックなどの光伝達媒体を含んでもよく、周辺光、および試料容器150内の欠陥から散乱された光から浮かび上がる背景光を低減させることが期待される。光源202から放射された光は、入力ビームチャネル209を通って移動し、試料212を照射する。試料212内に懸濁された粒子は、光を反射または散乱し、この光の一部は、放射ビームチャネル214を通って試料検出器208まで移動する。試料容器250の照射部分252内の擦り傷または不完全な部分から散乱される光は、放射ビームチャネル214により、検出器208まで移動することを抑制または防止され、潜在的に背景光を低減させ、試料容器250の照射部分252内の擦り傷に対する濁度測定の感度を相対的に低くする。同様に、基準検出器210は、光源202から基準ビームチャネル216に沿って伝達される光を検出する。この基準ビームチャネル216は、反射された光、散乱された光、および周辺光を遮断し、したがって、基準検出器210に達する背景信号を低減させ、この測定の信頼性を改善することができる。
【0049】
[0080]図3には、本明細書において説明するプロセスおよびシステム、または別のシステムにおける中間容器として使用してもよい、抽出管ユニット(「ETU」)1100の例示的な一実施形態が示してある。このETU1100は、図4〜6に関して説明するETUと同様のものでも同一のものでもよい。通常、ETUは、バーコードなどの識別機能、ならびに自動システムによるETUの保持および/または移動を容易にする掴み面を備えることになる。ETU内の個々の試料位置または試験管は、ETU管またはETU位置と呼んでもよい。
【0050】
[0081]例示的なETU1100は、フレーム1102および複数の試験管1104を備える。この実施形態では、8本の試験管1104が設けられている。しかし、別の実施形態では、12本の管のETU、および別の数の試験管を有するETUを使用してもよい。フレーム1102は、処理ステップ全体を通して、加わる負荷の下で実質的に変形することなく、管1102およびその中に含まれる試料を運搬するのに適切な長さを有する剛性構造を備えてもよい。材料はまた、システム内の動作温度において、安定しており、十分な強度をもたなければならない。たとえば、適切な材料には、金属、木材、またはプラスチック(たとえば、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ABSやHIPSなどのポリスチレンなど)が含まれ得る。
【0051】
[0082]管1104は、適切などんな形状を含んでもよい。図示した実施形態は丸い底部を有し、これにより渦状の混合が容易になり、ピペット操作でのデッドボリュームが最小限に抑えられる。円錐形底部の管も、これらの特性を共有する。別の実施形態では、平坦な底部の形状など、他の形状を使用してもよい。管1104の寸法および形状は、上流の処理または下流の処理を容易にするように構成してもよい。管1104は、ガラスまたはプラスチックなど、どんな適切な材料で作製してもよい。濁度試験などの光学試験を容易にするために、試験管1104は、部分的にまたは完全に、所望の試験を可能にするための十分な鮮明度および透明度を有する、透明または半透明な材料から形成されることが好ましい。試験管1104は、フレーム1102と一体に形成してもよく(これらを、フレーム1102を形成する同じ材料で形成すること、またはフレーム1102内で適位置に成型することなどにより)、または、別々に形成して、フレームに結合してもよい(圧入、接着剤、締め具、試験管1104に形成されたねじなどにより)。
【0052】
[0083]試験管1104は、フレーム1102の長手方向に沿って一列に配置されるが、フレーム1102が様々な形状を有してもよい別の実施形態では、この試験管1104は、他のどんな適切な配列またはパターンで配置してもよい。図3に示すように、フレーム1102は細長く、拡大端部1106を有して、その結果、フレーム1102の片側または両側に沿ってくぼみが形成されてよい。図示した実施形態では、このフレームの形状は、上から見ると「犬用の骨」である。拡大端部1106が設けられることにより、複数のETUを密にひとまとめにしたとき、隣接するETU間でくぼみによって空間が生まれる。これにより、グリッパが、各ETU1100に近づいて、これを個別に掴むことができるようになる。
【0053】
[0084]図4には、抽出管ユニット(「ETU」)などのマルチチャネル試料容器で使用するように構成された、試料妥当性制御測定システム(「SAM」)の例示的な一実施形態が示してある。このETUは、実施例2で説明するものと同様または同一のものでもよい。SAM400は、ETU1100を支持するハウジング420を備える。ETUの光源、検出器、および管は、実施例1で説明する構成と同様に、個別に構成される。図示した実施形態では、各ETU管1104は、それ自体の光源、試料検出器、および基準検出器を有しているが、図にはその全てを示しているのでも、またラベル付けしているのでもない。各試料管の下の光源から放射される光は、各試料を照射する。各試料内に懸濁された粒子は、光を反射または散乱し、この光の一部は、放射ビームチャネル414を通って各試料検出器408まで移動する。各基準検出器410は、各光源から各基準ビームチャネル416に沿って伝達された光を検出する。各試料検出器および基準検出器は、プリント回路板を備えてもよい支持体422に取り付けられる。他の実施形態では、複数の検出器および放射器も、単一の検出器ボードに集積化してよく、このようなボードには、図示した8管システム内の8つの測定検出器全てが含まれ得る。
【0054】
[0085]照射源は、5度以下の狭いビーム角度の赤色またはNIRのLEDでもよく、これは、PS、PETG、PP、PC、PMMA、ガラス、または他の透明な材料の試料容器(たとえば、一般に約1.5mLの試料媒体の液体を保持する、5mLの丸い底部の試験管)を照射している。メニスカスに達する前に管の壁を照射しないよう、ビーム角度は十分に狭い。さらに、ビームは、管の平坦な表面または湾曲した表面に送られるが、この管表面は入力ビームに対して本質的に垂直であり、したがって、試料容器の壁は、ライトパイプとして働く可能性が低い。というのも、この構成により、光の全内部反射および部分的な内部反射を避けることが期待されるからである。管に入力されるとき、照射ビームのスポットサイズは小さく、それによりビームが通り抜ける管表面積が低減する。したがって、この比較的小さい領域のみが、試料の妥当性検出に利用可能な光の量および方向に影響を及ぼす擦り傷または曇りの影響を受けやすい。この領域は、擦り傷のない状態に保たれることが好ましいが、擦り傷および他の不完全性に対する何らかのシステムの許容度が期待される。測定検出器の視野は、周辺光、および1次照射ではない反射からの2次散乱を除去するために、照射されるコアの液体領域部分の大半を含んでもよく、照射されないコア領域のほとんどを含まなくてもよい。
【0055】
[0086]図4に示した実施形態では、各検出器が、ビーム経路に沿ってETUの長手軸からオフセットした角度で放射された光を検出するように位置している。この構成では、放射ビーム経路は、ETUの保護面、すなわち、使用中に他の面でこすられる可能性が低く、したがって擦り傷から保護されたETUの一部分を通って移動することが好ましい。ETU1100の図示した実施形態では、もっとも擦り傷がつきやすい管表面は、管全ての外径、すなわちETU1100の長手軸に垂直な管の各部分の接線上にある外部面に沿った各管の側部にある。各管1104の残りの部分は、少なくともある程度までは隣接する管1104によって保護されるが、それというのも、対象物が隣接する管間に少なくとも部分的に到達して、管表面の保護部分に接触し、そこを傷つけ、または擦り傷を付けるからである。しかし、端部管は必ずしもこの種の保護の恩恵を受けるわけではなく、放射ビーム経路は、部分的に露出した場所を通って移動してもよい。たとえば、図4の実施形態では、もっとも右側の位置の(支持体422に取り付けられた)各検出器は、隣接する管によって保護されていないもっとも右側の管の一部分を通して濁度を検出してもよい。
【0056】
[0087]次に図5を参照すると、SAM500の代替実施形態を上から見た図が示してある。この実施形態では、左から4つの管についての検出器が、右から4つの管についての検出器とは異なるETUの側に位置している。さらに、図4の実施形態とは異なり、各検出器は全て、隣接する管によって保護された管の各部分を通して濁度を検出するように配向されている。図示した実施形態では、各ETU管は、それ自体の光源、試料検出器、および基準検出器(図1または図2に示したものなど)を有しているが、図にはその全てを示しているのでも、またラベル付けしているのでもない。各試料検出器および基準検出器は、プリント回路板を備えてもよい支持体522に取り付けられる。ETU1100の各個別管に含まれる試料は、光源によって下から照射され、各試料光中に含まれる粒子で散乱された、またはそこから反射した光の一部分は、光路514を下に移動し、試料検出器508によって検出される。基準検出器510は、光源502から基準ビームチャネル516に沿って伝達される光を検出する。光路514、516、および検出器508、510は、ETU1100の長手軸に対して傾斜した角度で配向され、その結果、光路は、管の保護された部分(すなわち、他の管または環境との接触を抑制する他の構造と隣接する管の部分)を通過する。また、この構成により、複数のSAM500を互いに隣接して近くに配置することが容易になってもよい。
【0057】
[0088]次に図6を参照すると、モジュールとして試料処理システム内に組み込まれてもよい8チャネルSAM600が示してある。ハウジング620は、上記の構成要素と同様のマルチチャネルSAMの構成要素を含み、これは自動システム内に取り付けてもよい。たとえば、自動システムは、プロセスおよびシステムにおける中間容器として、個々の容器もしくはETU、または同様の容器を使用してもよい。このようなシステムの例が、「SAMPLE PREPARATION SYSTEM AND METHOD FOR PROCESSING CERVICAL SPECIMENS」と題する、2008年4月4日出願の米国特許出願第12/062,950号、「AUTOMATED ASSAY AND SYSTEM」と題する、2009年10月9日出願の米国特許出願第12/588,304号(整理番号75820.000401)、および「Open Platform Automated Sample Processing System」と題する、2009年10月9日出願の米国特許出願第12/588,306号(整理番号74708.001001)に記載されており、それぞれ、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
[0089]図27には、試料妥当性制御測定システム(「SAM」)のワーキングモデル用の濁度基準の信号/基準測定を示す図である。濁度基準(既知の濁度値を有する試料)は、8チャネルSAMを使用して測定した。信号/基準は、試料検出器で測定される信号に対する、基準検出器で測定される信号の比を示す。
【0059】
[0090]図28には、8チャネルSAMのワーキングモデル用の較正カーブが示してある。信号/基準の値は、濁度基準の既知の濁度値に対してプロットされており、直線状の較正カーブがデータに適合している。
【0060】
[0091]図29には、8チャネルSAMのワーキングモデルの各チャネルにおける試料の量への依存性が示してある。1.2ml以下の量について、電圧は試料の量への強い依存性を示すが、試料の量1.3ml以上については、電圧は量とは比較的無関係である。まとめると、これらの結果は、現在のモデルが、1.3ml以上の容量を有する場合の濁度を正確に測定できるが、1.2ml以下の量を有する試料については、試料の量が測定値に著しい影響を及ぼすことを示している。測定確度をより確実なものにするために、より大きな最小量を選択してもよい(たとえば、以下の例では1.5mlの最小量を使用する)。図30には、時が経つにつれて試料が沈殿する様子、および濁度測定に及ぼす結果が示してある。
【0061】
[0092]実施例
【実施例1】
【0062】
[0093]
[0094]8チャネル検出システムとHach濁度計の比較
[0095]図1〜2および図4〜6に示したシステムと同様の8チャネル検出システムを使用して取得された濁度測定値は、濁度計(コロラド州ラブランド、Hach CompanyのLaboratory Turbidimeter Model 2100N(「Hachメータ」))を使用して取得された濁度測定値と比較された。5つの濁度基準が各装置で測定され、相関係数R^2=0.9993(図31)が得られる。さらに、図32に示すように、PreserveCyt媒体(Qiagenから入手可能)内の臨床材料については、Hachメータで取得される測定値と8チャネル検出システムで取得される測定値との間には強い相関(n=235、R^2=0.83)があった。さらに、これらの結果により、例示的な8チャネル検出器システムで得られる測定値の妥当性が確認される。
【0063】
[0096]本明細書において説明されるこの実施例および他の実施例では、HACH 2100NまたはHACH 2100AN濁度計を使用する濁度測定は、本質的に以下のプロトコルに従って実行された。メータがオンになると、「収集」プログラムがコンピュータ上で起動される。トップメニューから「計器(Instruments)」を選択し、次いで「開く(open)」次いで「HACH 2100AN」を選択する。データの宛先を選択すると、試料の濁度テンプレートとともにスプレッドシートが開く。トップメニューから「計器(Instruments)」を選択し、次いで「コマンド(Commands)」次いでコマンドメニューから「1秒間に30回読み取る(30 read at 1 second interval)」を選択する。試料のバーコードを走査することにより、試料のID番号が準備完了となる。1.5〜2mLの試料の量が、ポリスチレンまたはPETGの管内にピペット操作され、2秒間かくはんされ、HACHメータの試料スロット内に配置される。次いで「送る(Send)」が「コマンドメニュー(command menu)」から選択される。完了すると、トップメニューに配置された「停止(stop)」ボタンが選択される。最後に「計器(instrument)」次いで「終了(exit)」が選択される。
【0064】
[0097]本明細書において説明されるこの実施例および他の実施例では、8チャネル濁度計を使用する濁度測定は、本質的に以下のプロトコルに従って実行された。コンピュータ上では、SAC−UI(試料妥当性制御ユーザインターフェース)が開き、これにより「QIAGEN SACインターフェースシミュレータ」が開く。SAC UIは、4つのコマンドオプションを有する。第1のコマンドオプションは「操作コマンド(Operation Commands)」第2のオプションは「診断コマンド(Diagnostic Commands)」第3のオプションは「較正コマンド(Calibration Commands)」第4のオプションは「製造者コマンド(Manufactures Commands)」である。操作コマンドにより、ユーザは、ユーザモードを変更し、濁度測定値を取得することができるようになる。較正コマンドにより、ユーザは、較正データを作成またはアップロードすることができるようになる。操作コマンドから、MDセットモード(MD−Set Mode)を選択し、このモードを「M」(製造者)にセットし、このモードにより、ユーザは、較正データを作成またはアップロードすることができるようになる。次いで「較正コマンド」を選択し、次いで「CDアップロード較正(CD−Upload Calibration)」を選択して較正データをアップロードする。次に「操作コマンド」を選択し、このモードを「O」(操作者モード)にセットし、これにより、較正データへのアクセスが不能になり、ユニットの較正を偶然に変更することを防止する。これらのステップが完了すると、このシステムは、試料の濁度を読み取る準備が整う。試料は、最小量1.5mlで8チャネル試料ホルダに投入される。「操作コマンド」は、濁度値を読み取り表示するための2つの機能を提供する。「BG−読取り開始(BG−Begin Read)」は、読み取るべき濁度のための信号を送信する。「SA−試料取得」が、表示すべき濁度値のための信号を送信する。「SA−試料取得」をクリックして濁度値を見る。第1にBG−読取り開始を選択し、第2にSA−試料取得を選択する。濁度の読取りが完了すると、エラーボックスが、BG−読取り開始とSA−試料取得の欄の両方で「エラーなし」と表示することになる。次いで「結果ボックス」が、チャネル1から始まる各チャネル(chnl1、chnl、...chnl7、chnl8)について濁度値を表示する。濁度値が、小数点以下3桁で表示される。表示されている値はNTU×10である。たとえば、表示された値が「053」である場合、濁度は5.3NTUであり、表示された値が「235」である場合、濁度は23.5NTUである。
【実施例2】
【0065】
[0098]
[0099]ブランク試料の濁度測定
[00100]「ブランク」試料(水またはPreservCyt媒体のみを含む)の濁度が測定された。次に図33を参照すると、ブランク媒体による濁度値への寄与はほとんどなかった。具体的には、管の75%の読取り値は0.2NTU以下であったが、97.5%の読取り値は0.9NTUであった。これらより高い読取り値(>1.0)は、明らかに、管上の擦り傷、および、どのようにひとまとめにされたかが原因であった。製造時、梱包時、または取扱時に管への擦り傷を最小限に抑えるための手段を講じること、および/または、たとえば前述のように、擦り傷がつく可能性が低い管の各部分を通して試料および検出器に光を伝達することなどによって、擦り傷の影響を最小限に抑えるための手段を講じることにより、擦り傷の影響を低減させることができる。
【実施例3】
【0066】
[00101]
[00102]濁度測定、細胞数、およびDNA定量化によって判定される試料の細胞充実性の比較
[00103]この実施例では、濁度測定、血球計による直接細胞計数、およびqPCRによるDNA定量化によって判定される試料の細胞充実性を比較する研究を説明する。後者2つの方法である、血球計による直接細胞計数、およびqPCRによるDNA定量化は、細胞充実性を判定する、広く受け入れられた方法であり、血球計による直接細胞計数は一般に、もっとも正確な方法であるとみなされている。メリーランド州ローレルでの女性の無作為の母集団から収集された子宮頚部の試料を使用して、これらの実験が行われた。何百もの試料を収集し、評価して、この予備データを集めた。これらの研究によっては、利用可能な患者の試料の全数よりも少ない数を使用したものもあった。メリーランド州ローレルの子宮頚部センターからPreservCyt(PC)試料が得られた。濁度測定、細胞計数、およびDNA定量化による細胞密度の間の比較研究が行われた。Hachメータが、2mLずつの試料に等分された75mLのポリスチレン管内の濁度を測定した。
【0067】
[00104]22μLの試料の量における細胞を定量化するために、血球計が使用された(N=99)。qPCR ABIβグロビン制御(N=691、N=398)を使用してDNAを定量化するために、蛍光検出を用いるストラタジーン社製のリアルタイムサーモサイクラーが使用された。次いで、比較のために、DNA定量化が細胞密度(細胞数/mL)に変換された。試料の大半は、10NTU(FNU)を超える値を生み出す、10,000〜1,000,000個の細胞/mLを含んでいた。ブランクのPC媒体(N=100)は、Hachメータを使用して、2NTUの99.5%のCI閾値を判定した。これらのデータに対応する対数曲線が図7に示してある。メリーランド州ローレルの母集団は、qPCR値と濁度値の間の媒体相関を示しており、R^2はほぼ0.36に等しい。これらの結果が、試験中の母集団の性質と、試料妥当性についてのカットオフ付近での濁度および細胞充実性の実際の関係との両方を示している。カットオフ範囲(>40NTU)での値を見つけるために、典型的な母集団をオーバーサンプリングすると、濁度と細胞密度の間でのr2=0.52(N=398)の穏やかな相関が、βグロビンによって測定されることが分かった(図8)。
【0068】
[00105]ばらつきの原因が、特定の試料妥当性法にあるのか、実際の試料におけるばらつきにあるのか判定するために、濁度法とqPCR法の両方が、ヒト細胞の血球計(手動での細胞計数)による推定と比較された。手動での細胞計数法に対して両方法を比較すると、両方法は細胞数に対して大きな相関を有するが、濁度法がより大きな相関を有することが分かった。次に図9、図10および図11を参照すると、99の無作為に選択された細胞充実性の低い試料が、濁度、βグロビンqPCR、および血球について分析された。濁度測定値と血球の相関(R^2=.7586)は、βグロビンqPCRと血球の相関(R^2=.5722)よりも良好であり、(濁度とqPCRの相関はR^2=0.5861)濁度がqPCRよりも正確に細胞充実性を測定する方式になる可能性があることを示していた。
【0069】
[00106]この関係をさらに判定し、試料ばらつきの影響を低減させるために、細胞密度の5つの試料が連続的に希釈され、濁度またはβグロビン対細胞数について、細胞数と濁度の相関がr2>0.89と大きいことが分かった(図12、13および14)。この立証により、試験母集団の90〜100%について試料の妥当性を確実にするカットオフを定義することもできるという考えが支持される。
【0070】
[00107]次に図15を参照すると、PreservCyt媒体における1000を超える臨床材料についての濁度測定値およびqPCR値によって評価される細胞充実性は、濁度と細胞密度(細胞数/ml)の間に大きな相関(R^2=0.672)があることを明らかにした。試料の量が様々であるデータの一部も、個別に示してある。すなわち、>4mlの量(N=669、R^2=0.311)(図16)、>2mlおよび<4mlの量(N=172、R^2=0.6004)(図17)、ならびに<2mlの量(N=235、R^2=0.657)(図18)の場合である。総合的に、PreservCyt媒体における1000を超える臨床材料についての濁度値およびqPCR値の比較研究は、濁度と細胞密度(細胞数/ml)の間に大きな相関(R^2=0.7)があることを明らかにした。
【0071】
[00108]本明細書に記載のこの実施例および追加の実施例では、本質的に以下のプロトコルに従って細胞計数が実行された。機械式のミクサを使用して4000rpmで30秒間、試料が混合される。完全に混合した後、50μLの試料を1.5mLの遠心分離管にピペットで移し、5μLのCyto染色色素を試料に加えて混合する。次いで、試料と色素の混合物が、室温で30分間培養される。血球計およびカバースリップが、脱イオン水を使用し、次いで70%のアルコールを使用して洗浄され、この清潔なカバースリップは、血球計上に注意深く置かれる。次いで、11μLの試料と色素の混合物は、チャンバにピペットで移され、次いで、毛管作用により均等に分散する。試料が加えられると、カバースリップを動かさないように注意を払うが、それというのも、カバースリップを動かすと細胞の均等な分散が妨げられるからである。顕微鏡を介して血球計を見て、少なくとも5つの1mmの面積の正方形(各コーナーに4つの正方形、および中心の正方形)において細胞を数える。試料の細胞充実性が低い場合、18全ての正方形を数える。正方形内に含まれる細胞、または、正方形の上部および左側の境界とオーバラップしている細胞のみである(余分にまたは2重に数えることを防止するために、正方形の底部および右側の境界とオーバラップしている細胞は除外される)。1mm当たり50個未満の細胞または200個を超える細胞が存在する場合、希釈を調整し、試料を数え直す。細胞の濃度は以下のように計算される。第1に、正方形当たり平均の細胞を得るように数えられた正方形の数で細胞の数を分割し、次いで、正方形当たりの細胞の平均数に10^4を掛けて、数えられる試料中のmL当たりの細胞の数を得て、最後に、試料が希釈された場合に、この結果に希釈係数を掛けて、希釈されていない元の試料中のmL当たりの細胞の数を得る。
【0072】
[00109]本明細書に記載のこの実施例および他の実施例では、細胞からのDNAの抽出は、QIAamp抽出プロトコル(DNA分離のためのQIA96 MinEluteプロトコル)を使用して、本質的に以下のように実行される。キットが新規のとき、30mLのエタノールを試薬ボトル(事前に13mLに等分されている)に加えることによりバッファAW2が準備され、このバッファAW2のボトルには、EtOHが加えられたことを示すマークが付けられる。試薬は、常温において1年間は安定である。全ての試料および試薬ATL、AL、AVE、AW2は、室温に置かれる。深いウェルプレートのヒータがオンになり、56℃および70℃にまで平衡化される。十分なバッファATLがプロテイナーゼKと80:20の比率で混合されて、各試料に100μLを加える。100μLのバッファATL/PK混合物が、Sブロックの各ウェルに加えられる。次いで、各試料のうち250μLがSブロック上のウェルに加えられ、1100rpmで15秒間、プレート振動機上で混合される。次いで、このプレートは、深いウェルプレートヒータ内において30分間56℃で培養される。この培養中、以下の計算に従ってcRNAAVE(以下参照)がバッファALに加えられる。次いで、Sブロックが深いウェルプレートヒータから取り外され、cRNAとともに250μLのバッファALが、Sブロックの各ウェルに加えられ、1100rpmで15秒間、プレート振動機上で混合される。次いで、Sブロックは、深いウェルプレートヒータ内において15分間70℃で培養される。培養している間、試料Sブロック内に試料を含む位置と同じ、平衡Sブロック内のウェルに900μLの水を加えることにより、平衡Sブロックが作製される。次いで、300μLの100%エタノールが、各試料に加えられる。次いで、Sブロックはカバーされ、1000rpmで15秒間、短いポーズを5秒毎に入れて(混合中の液飛びを防止するよう注意する)混合される次いで、Sブロックが、室温で5分間培養される。Sブロックから新規のSブロック上のQIA96プレートにライセートを移送するのに、マルチチャネルピペットが使用される。QIA96プレート上の各位置で、プレートマップがラベル付けされる。次いで、QIA96プレートは、3000rpmで1分間、遠心分離される。別段の指示がなければ、廃棄物を取り込むように、SブロックがQIA96プレートの下に置かれた状態で遠心分離がそれぞれ実行され、各遠心分離の後に、Sブロックは中身を廃棄され、汚れる。平衡Sブロックの各位置から150μLが取り除かれる。バッファAW2をよく振り、750μLのバッファAW2をQIA96プレートの各ウェルに加え、Sブロック上に置く。次いで、QIA96プレートは、3000rpmで1分間遠心分離される。750μLの100%EtOHが、QIA96プレート内の各ウェルに加えられ、3000rpmで1分間遠心分離され、次いでさらに3分間遠心分離される。次いで、キムワイプ(またはハイブリッドプレート)がQIA96プレートの下に配置され、深いウェルヒータにおいて56℃で5分間培養されて、膜をさらに乾燥させる。次いで、QIA96ブロックが溶離プレート上に配置され、100μLのバッファAVEが膜に直接加えられ、次いで、35μLのTop−E液体が各ウェルに加えられ、室温で5分間培養される。135μLの水が「平衡」溶離プレートに加えられ、3000rpmで1分間遠心分離される。次いで、管内の溶出液が複数のプレートにそれぞれ10μLで等分され、−20℃(または、同じ日に使用する場合は4℃)で保管される。溶液cRNAAVE(バッファAVE内のキャリアRNAが1μg/μL)を作製するために、310μLのバッファAVEが、310μgのcRNA(凍結乾燥の場合)を含む管に加えられ、優しくただし完全に混合され、次いで、個々の管に等分されて−20℃で保管される。次いで、cRNAとともにバッファALが以下のように、試料毎に、300マイクロリットルのバッファALを1.5マイクロリットルのcRNAAVEと混合される。例として、96の試料について、28800マイクロリットルのバッファALと、144マイクロリットルのcRNAAVEとを混合する。
【0073】
[00110]本明細書に記載のこの実施例および他の実施例では、本質的に以下のプロトコルに従ってqPCRが実行された。アンプリコンがない空間では、PCR反応成分が−20℃の冷凍庫から取り出され、完全に融解させられる。試料、ゲノムDNA、および試薬は、室温で完全に溶融させられる。ゲノムDNAが連続的に希釈される(それぞれ等分する前に、試料が10秒間かくはんされる)。プレートのレイアウトが以下に示すようになされる(STD=標準、NTC=テンプレートなしの負の制御)。プレート当たり、標準用および制御用に16個の位置を占め、試料用に80個の位置を残しておく。
【0074】
【表1】

【0075】
[00111]クリーンルームでは、PCR Master Mixが作製される。総量は、必要とされる反応の数に量を掛けたものである。ピペット操作を繰り返すことにより、プレートレイアウトによって示すように、主混合物のうちの45μlが各ウェルに加えられる。標準物が10秒間かくはんされ、指定されたウェルに5μlが加えられる。臨床サンプルから分離されたDNAは10秒間かくはんされ、指定されたウェルに5μlが加えられる(PreservCyt試料)。5μlのMBG(分子生物学グレード)の水が、負の制御(NTC)に指定されたウェルに加えられる。
【0076】
[00112]次いで、試料は、ストラタジーン社のqPCRマシン内で試験される。熱サイクルは、以下のようにプログラムされる。
【0077】
[00113]サイクル1
[00114]95℃で5分間
[00115]サイクル2(45X)
[00116]95℃で15秒間
[00117]52℃で30秒間
[00118]72℃で30秒間
[00119]試験の後に、結果が保存される。結果は、以下の受入れ基準を満たせば受け入れられる。すなわち、標準曲線の傾きは−2.5〜−3.8の範囲にあり、標準曲線のRは0.90以上であり、プレート内の負の制御についてのCは40サイクルを超える。
【実施例4】
【0078】
[00120]
[00121]細菌およびヒト細胞を含む試料の濁度
[00122]光の散乱は、試料中の反射粒子物質の数およびサイズの関数なので、濁度法により、ヒト細胞より綿棒で採取した元の試料から、細菌を区別することができるかどうか試験された。次に図19、20および21を参照すると、Hach濁度計を使用すると、細菌およびヒト細胞を別々に数えた場合に、以下のデータより、細菌のサイズ(ほぼ、上皮細胞の10分の1のサイズ)は濁度の読取り値を決定づけないことが明らかである。むしろ、ヒト細胞の濁度読取り値が、境界を作り出すラインの右下を決定づける。さらに、細菌細胞の数と濁度との相関は、ヒト細胞の数と濁度との相関よりも弱い。これらの結果は、濁度測定における支配的要因が、上皮細胞の数であることを示唆している。
【実施例5】
【0079】
[00123]
[00124]子宮頚部試料の濁度の分布
[00125]図22には、メリーランド州ローレルでの母集団からの試料中の濁度の分布が示してある(上記の実施例4でさらに説明する)。図23には、メリーランド州ローレルでの母集団の一部分が示してあるが、これは、所与の試料妥当性のカットオフ決定についての濁度に基づいて不適切であるとみなされることになる。たとえば、カットオフ9が選択された場合、研究中の母集団の2.5%が不適切な細胞充実性を有するものとみなされることになる。メータの閾値が十分であり、したがって母集団全体を検出できることを留意されたい。HC2 HPV試験について、予想されるカットオフは2〜20FNUの間である。追加の母集団がこれらの方法によって分析されて、試料の代表的な性質、および試料が適切かどうか判定するためのカットオフ値の臨床的有意性を判定する。
【実施例6】
【0080】
[00126]
[00127]子宮頚部試料についてqPCRによって判定される濁度および細胞充実性の分布
[00128]図24および25には、濁度および細胞充実性の分布、ならびに、それぞれβグロビンqPCRにより、またHach濁度計を用いて分析された試料の百分率変換された細胞数の分布が示してある。各図において、各グループ内のもっとも左のバーは、量が4mLを超える試料に対応し(N:669)、各グループ内の中央のバーは、量が2mL〜4mLの間の試料に対応し(N:172)、各グループ内のもっとも右のバーは、量が2mL未満の試料に対応する(N:240)。図26には、SurePath(「SP」)プロトコルに従って取得された、試料についての濁度の分布が示してある。
【実施例7】
【0081】
[00129]
[00130]試料妥当性についての濁度カットオフ値の判定
[00131]PreservCyt媒体での臨床サンプルの濁度についての1パーセンタイル最小値は、上記の実施例3で説明したシステムと同様の8チャネル検出システムを使用して7.4NTUと判定された。99.7%信頼区間は、2〜11.6NTUであった。800のPreservCyt試料の濁度の分析から、2、7.5、および11.6のカットオフ値は、結果として、それぞれ母集団の0.125%、1%、または1.75%の試料妥当性になる。説明したように追加の臨床サンプルを分析することができ、それにより、より高い統計的検出力で濁度分布を測定し、所与の濁度カットオフによって除外されることになる母集団の部分をより正確に判定する。
【実施例8】
【0082】
[00132]
[00133]QIAGEN HR HPV DNA Test(登録商標)についての十分性の閾値の判定
[00134]前述の通り、試料中の細胞の数が、ヒトパピローマウイルス感染症(HPV DNAなど)の特徴を検出可能にするには不十分であるとき、試料は不適切とすることができる。採用される特定の分析は、陽性検出に必要となる試料の量を示し、したがって、分析感度が改善するにつれて、試料妥当性に必要となる試料は少なくて済む。したがって、特定の分析に対して十分性の閾値を確立することができる。さらに、患者固有および試料固有の特性(濁度に影響する汚染物や望ましくない材料など)ならびにばらつきの元になる他の要因が、検出用の細胞の十分な数を変化させる一因となることが予想される。したがって、妥当性の「閾値」は、試料の量と真の陽性を検出するのに試料が十分である確率との間の、確率論的な関係として表すことができる。
【0083】
[00135]以下の実施例では、QIAGEN HR HPV DNA Test(登録商標)(HC2分析とも呼ばれる)用の、十分性の閾値を判定するのに使用してもよい方法を説明する。HPV感染した個体からの細胞試料が得られる。ゲノムDNAの定量化および/または濁度測定(上記実施例において全て説明した)により、試料の細胞含有物が細胞計数によって判定される。次いで、連続的に希釈された既知の数の細胞が個別に試験されて、真のHPV陽性の臨床サンプルが偽の陰性結果を生じる試料の濃度を判定する。複数の個体から独立して収集された試料がこのように十分な数で試験されて、試料濃度と真の陽性HPV感染の検出確率との間の統計的に有効とされた相関を判定する。濁度測定とHPV試験結果の相関に基づいて、次いで濁度閾値が確立され、そこで、閾値濁度を超える試料が真の陽性HPV感染を検出するのに適切である確率である90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.95%、99.99%など、定義された感度が得られる。
【実施例9】
【0084】
[00136]
[00137]判定された試料妥当性を使用して、試薬を保存しまたは試料確実性を提供する方法
[00138]本明細書に記載の方法および機械を使用して、所与の試験について判定された閾値を超える感度を実現するのに適切とみなすべき十分な細胞材料または他の材料を、試料が含むかどうか判定してもよい。前述の通り、試験によっては、試料が陰性結果での信頼性を得るには不適切であっても、陽性結果が得られて有意になることもある。不適切な試料が試験されない場合、試薬を節約し、潜在的にコストを低減させることができる。何らかの妥当性の閾値レベルを超える試料だけが試験されるように、あらかじめデフォルトの判定をおこなってもよい。別法として、または事前設定されたデフォルトの基準に加えて、不適切な試料を試験すべきかどうか判定するための選択肢が提供される意志決定者に、指標を表示してもよい(潜在的にデフォルトの基準に優先する)。
【0085】
[00139]さらに、試料妥当性の指標は、試験結果と一緒に提示してもよい。試料妥当性は、2つ以上の離散値(たとえば、「はい」、「不明確」、または「いいえ」)として示してもよい。たとえば、試料妥当性の判定レベルが与えられている場合に、陽性結果が得られたはずの統計的な確率を反映する信頼性の測定値として、試料の妥当性を提示してもよい。
【0086】
[00140]さらに、試料を収集する責任を有する個々人、または監督者、管理者、トレーナーなどを含む関係する他の人々に、(たとえば、個々の値として、または要約もしくは集合形式で)試料の妥当性を報告してもよい。適切な是正措置が必要であることを明らかにできるこれらの個々人に、試料の妥当性の情報を潜在的にフィードバックすることができる。
【0087】
[00141]本発明は、一例としてまた好ましい実施形態として説明してきたが、本明細書において使用されてきた用語は、限定するための用語ではなく、説明するための用語であることが理解される。添付の特許請求の範囲に記載の範囲内で、より広い態様において本発明の範囲および精神から逸脱することなく、変更を加えてもよい。本明細書において、特定の手段、材料、および実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示された特定のものに限定されないことが理解される。本発明は、添付の特許請求の範囲に記載に範囲内の全ての均等構造物、手段、および使用法にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の試料の濁度を一斉にまたは別々に測定するための1つまたは複数のチャネルを備え、各チャネルが1つまたは複数の光源および1つまたは複数の光検出器を含み、試料が1次試験に適切であるか不適切であるか判定される、試料確実性読取り装置。
【請求項2】
均質化機構をさらに備える、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項3】
前記均質化機構が、環状のかくはん機/加振機、直線状のかくはん機/加振機、へらを備えるミクサ、前記試料、およびピペットの吸引または分配の操作を均質化するように試料容器を移動させるロボットアームから構成される群より選択される、請求項2に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項4】
前記均質化機構が、読取りの前または読取り中に前記試料を混合する、請求項2に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項5】
前記読取り装置が中央ソフトウェアで制御され、またはプログラマブルロジックシステムにより、読取りの前または読取り中に、前記均質化機構が前記試料を均質化できるようにする、請求項2に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項6】
前記試料濁度が、単一の濁度読取り値を生成するようにアルゴリズムによって組み合わせられた複数の検出器角度で測定される、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項7】
前記1つもしくは複数の光源、および/または1つもしくは複数の光検出器が、使用時および/または製造中に擦り傷がつく可能性の低い前記試料容器上のある位置全体に、光を送出または受光するように位置している、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項8】
前記試料容器が、測定の前に、擦り傷について品質検査される、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項9】
前記試料容器が、保護膜、パウチ、および/またはパッケージのうちの1つまたは複数によって保護され、測定前に前記試料容器上の擦り傷が防止される、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項10】
タンパク質、核酸、細胞またはウイルスが存在する、または存在しないことを定量的または定性的に検出する手段として、それらを推定上含む試料の濁度を検出するように構成される、請求項1に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項11】
前記濁度の判定が、前記試料中のタンパク質、核酸、細胞またはウイルスの数と相関関係のある、請求項10に記載の試料確実性読取り装置。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれかの試料確実性読取り装置を使用して、少なくとも1つの試料の濁度を検出する方法。
【請求項13】
前記濁度結果に基づいて、前記濁度が適切であると判定される場合、さらに1次試験を実行し、または、前記少なくとも1つの試料の前記濁度が不適切であると判定される場合には、1次試験を実行しない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料確実性読取り装置を使用して、試料中の細胞またはウイルスの存在または数を判定する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
試験試薬または労力を節約する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が、ヒトの子宮頚部組織の試料である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜11のうちのいずれかの試料確実性読取り装置を使用して、少なくとも1つの試料に1次試験を実行する前に、または実行しないうちに、前記少なくとも1つの試料の濁度を検出する方法。
【請求項18】
1次試験を実施するのに使用される技法とは異なる技法を使用する、請求項1〜11のうちのいずれかの試料確実性読取り装置を使用する方法。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれかに記載の試料確実性読取り装置を使用して、1次試験を実行するかどうか決定する方法であって、前記1次試験が、ウイルス感染または細菌感染の状態を判定する、方法。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれかに記載の試料確実性読取り装置を使用して、ウイルス感染または細菌感染を定性的または定量的に評価する方法。
【請求項21】
前記ウイルス感染がヒトパピローマウイルスによる感染である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ヒトパピローマウイルスが、がんに関連する血清型である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜11のうちのいずれかの試料確実性読取り装置を使用して、少なくとも1つの試料に少なくとも1つの1次試験を実行する前に、前記少なくとも1つの試料の妥当性を検出する方法であって、前記試料が適切であると判定された場合、前記1次試験における陰性の試験結果が報告されるのみである方法。
【請求項24】
不適切または確実ではないとされた試料の処理を中断することができるように、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアを介して構成可能な自動システム。
【請求項25】
請求項1〜11のいずれかに記載の試料確実性読取り装置を使用して、少なくとも1つの1次試験を実行するのに先立って少なくとも1つの試料の濁度を求める方法であって、前記1次試験が、HPV1次または2次スクリーニング試験である方法。
【請求項26】
前記1次試験が、ウイルスタンパク質、DNA、RNA、または感染細胞全体を検出する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜11のいずれかに記載の試料確実性読取り装置を使用して、少なくとも1つの1次試験を実行するのに先立って少なくとも1つの試料の濁度を求める方法であって、前記1次試験が、ウイルス感染スクリーニング試験である方法。
【請求項28】
前記1次試験が、ウイルスタンパク質、DNA、RNA、または感染細胞全体を検出する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
試料確実性判定モジュールを備える、1次試験を実行するための自動システム。
【請求項30】
前記試料が、1次容器内で均質化され、前記1次容器から2次容器に分割される、請求項29に記載の自動システム。
【請求項31】
前記2次容器は8つまでの試料を収容することができる、請求項30に記載の自動システム。
【請求項32】
前記2次容器が次いで、8チャネル光散乱(濁度)計において、同時にまたは連続的に読み取られる、請求項30に記載の自動システム。
【請求項33】
試料妥当性の読取りまたは再読取りを実行する前、または実行している間、移送された試料のロボットによる振り混ぜまたは前記濁度計による直接の振り混ぜが実行され、それにより、試料の沈殿が低減される、請求項30に記載の自動システム。
【請求項34】
ソフトウェア構成可能な選択肢が、不適切と判定される試料に分析試薬をさらに加えることを止めるかどうか判定する、請求項29に記載の自動システム。
【請求項35】
前記ソフトウェア構成可能な選択肢が、製造時またはユーザによって構成可能である、請求項34に記載の自動システム。
【請求項36】
ソフトウェア構成可能な選択肢により、試料妥当性の判定をオフにすることができる、請求項29に記載の自動システム。
【請求項37】
ソフトウェア構成可能な選択肢が、不適切な試料を保持するか廃棄処理するか決定する、請求項29に記載の自動システム。
【請求項38】
保持されている不適切な試料が、その元の容器に移送して戻される、請求項37に記載の自動システム。
【請求項39】
分析試験からの情報量と前記試料確実性の測定値との組合せに基づいて、前記1次試験の結果が報告される、請求項29に記載の自動システム。
【請求項40】
前記試料確実性の判定が、定性的または定量的である、請求項29に記載の自動システム。
【請求項41】
前記試料確実性の判定カットオフ値が、試料のタイプおよび臨床/治療の有意性のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項29に記載の自動システム。
【請求項42】
照射のビーム角度を制御するためのレンズ、および放射光の経路を制御するためのレンズのうちの少なくとも1つを備える、光学測定システムで使用するための試料容器。
【請求項43】
前記照射源の前記ビーム角度を制御するための前記レンズが、測定検出器で見える、コアが照射された試料空間を縮小または拡大する、請求項42に記載の試料容器。
【請求項44】
放射光の前記経路を制御するための前記レンズが、測定検出器で検出可能な散乱光の量を変化させる、請求項42に記載の試料容器。
【請求項45】
試料の妥当性を判定する方法であって、
プロセッサを使用して、試料の濁度の測定値を含むデータを受け取るステップと、
プロセッサを使用して、電子記憶装置に記憶された1つまたは複数の指定された基準と濁度の前記測定値を比較するステップと、
プロセッサを使用して、少なくとも部分的に前記比較に基づいて試料の妥当性結果を求めるステップと、
前記試料の妥当性結果の指標を提示するステップとを含む方法。
【請求項46】
前記指標が、ユーザへの報告として提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記指標が、電子表示装置に表示される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記指標が、自動化された試料取扱いに関連する装置に、電子通信情報として提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記電子記憶装置が、揮発性のコンピュータデータ記憶装置、不揮発性コンピュータデータ記憶装置、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記1つまたは複数の指定された基準のうちの少なくとも1つが、前記試料の細胞充実性レベルに関連する濁度の最小レベルに少なくとも部分的に基づく、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記試料の妥当性結果を電子記憶装置に記憶するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
1つまたは複数の電子的に記憶された試料の妥当性結果を分析して、試料収集エラー、試料取扱いエラー、試料処理エラー、試料妥当性測定エラー、試料妥当性測定較正要件、およびそれらの組合せのうちの、少なくとも1つを識別するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
光散乱試料濁度測定装置から、濁度の測定値が電子的に受け取られる、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記濁度の測定値が、ユーザによって入力される、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
請求項44に記載の方法を実行するために、コンピュータプロセスを実行するよう少なくとも1つのプロセッサに命令するように、前記少なくとも1つのプロセッサによって読取り可能なように構成された命令のコンピュータプログラムを記憶するための、少なくとも1つのプロセッサ読取り可能な記憶媒体。
【請求項56】
電子記憶装置と通信するように結合されたプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記試料の濁度の測定値を受け取り、
電子記憶装置に記憶された1つまたは複数の指定された基準と前記濁度の測定値を比較し、
少なくとも部分的に前記比較に基づいて試料の妥当性結果を求め、
前記試料の妥当性結果の指標を提供するように構成されている、試料の妥当性を判定するためのシステム。
【請求項57】
前記プロセッサは、検出された光散乱に少なくとも部分的に基づいて、濁度の測定値を求めるようにさらに構成される、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
試料容器の一部分を照射するための光源と、照射された前記試料容器の前記一部分からの光散乱を検出するための光検出器とをさらに備える、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
試料確実性判定モジュールを含む1次試験を実行するのに先立って、容器間で試料を移送するための自動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2012−529048(P2012−529048A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513920(P2012−513920)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064268
【国際公開番号】WO2010/141040
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511293515)
【Fターム(参考)】