説明

灯具

【課題】点状光源の並びによって光のラインを形成する表示装置において、視認性向上と強度アップとを図る。
【解決手段】表示装置は、長尺で金属製の下ベース1と、下ベース1に取り付けられる多数本の表示ユニット2とが構成されている。表示ユニット2は金属製の外カバー15と、外カバー15の内部に嵌め込んだ透明体製の内カバー16,17とを備えており、内カバー16,17の内部に、発光ダイオード4を飛び飛びに搭載した回路基板18が配置されている。表示ユニット2は、外カバー15の上係合爪21を下係合爪12に噛み合わせることで下ベース1に取り付けられている。各発光ダイオード4から照射された光は、外カバー15の開口溝によってラインとして揃えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、屋外又は屋内に発光性ラインを施すための表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外の路面・地面や屋内の床面には、境界線表示や誘導用、或いは注意喚起のために様々のラインが表示されている。例えば、視力障害者のための点字ブロック、車道における車線の区画線、車道の中央分離帯、歩道と車道とを区画する分離線、交差点における車両停止線、横断歩道を示すライン、踏切の手前に表示した車両用停止線、駅におけるホームの危険域を示す白線や黄線、建物内の床面に設けた避難誘導用のライン、などである。
【0003】
そして、人の視認性を向上させたり、注意喚起機能をアップさせたりするため、ラインに発光性を付与することが提案され、或いは一部で実行されている。その例として、たとえば特許文献1〜3には、点字ブロックにLED方式の発光体を埋め込むことが開示されており、特許文献4には、道路の例えば中央分離帯に設置するブロックに発光体を設けることが開示されている。更に、特許文献5には、透光性チューブの内部に多数の光源を飛び飛びの状態で配置した埋め込み式発光装置が開示されている。なお、多数のLEDランプを縦横に整列して配置することで文字や図柄を表示できるようになっている電光表示器が多用されていることは周知のとおりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−257182号公報
【特許文献2】特開2004−137814号公報
【特許文献3】意匠登録第1069126号公報
【特許文献4】実開平6−46015号公報
【特許文献5】特開2002−327410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路面や床面にラインを表示しているのは、既述のとおり境界の表示や避難等における人の誘導、或いは、注意を喚起するためのものであり、その機能からしてラインはできるだけ人(歩行者や運転者)の注意を惹くようになっているのが好ましい。このような注意惹起機能(或いは視認性)をアップするという目的でラインに発光性を付与しているのであるが、特許文献1〜4(及び他の多くの先行技術文献)のように発光部が互いに分離していると、ラインの一体性・連続性に欠けるため視認性を十分にアップすることができないのみならず、施工やメンテナンスにも手間もかかるという問題がある。
【0006】
他方、特許文献5の場合は、表示装置自体がライン状の形態になっているので視認性に優れていると共に施工も行いやすいと言えるが、チューブは強度に劣るため、例えば人に踏まれたり車両が通過したりする環境下に設置すると、チューブや光源が破損する損傷事故が発生しやすくなるという問題がある。
【0007】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものであり、より改良された発光性表示装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明に係る発光性表示装置は、ライン状に並べて飛び飛びに配置された多数の点状光源と、前記点状光源の群が内蔵された中空状のケースとを備えており、前記ケースは前記点状光源の並び方向に沿って長く延びる形態であり、かつ、前記ケースは、弾性変形しない剛体構造であると共に点状光源の並び方向に沿って延びる細長い形態であり、更に、
前記ケースにその長手方向に延びる透光部を設けることによって発光ラインが表示されるようになっている。
【0009】
本願発明は用途に応じて様々に展開することができる。請求項2の発明は埋設式の発光性表示装置に適用したものであり、この発明は、請求項1において、前記ケースは、長さが数十cmで上向きに開口した中空部を有する金属製の外カバーと、前記外カバーの内部に配置した透明体製の内カバーとを備えており、内カバーの内部に、前記光源としての発光ダイオードの群を実装した回路基板が配置されていると共に透明なシール材が充填されており、更に、多数のケースが直列に並べた状態に取り付けられる長尺で金属製の下ベースを備えており、ケースの外カバーと下ベースとに、ケースを下向きに押圧すると弾性に抗しての変形によって互いに嵌まり合う係合手段を設けている。
【0010】
また、請求項3の発明は、例えば防護柵のような状態に設置される街路灯や誘導灯に好適なものであり、この発明は、請求項1において、前記ケースは、不透明素材から成る長尺で中空状又は樋状のベースカバーと、透光性素材から成る長尺で筒状の透光カバーとを備えており、透光カバーとベースカバーとのうち何れか一方又は両方に、前記光源としての発光ダイオードを実装した回路基板を取り付けできる基板装填部が全長又は略全長にわたって延びるように形成されている。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記点状光源の光が透過する部分のうちの全部又は一部が、透光部の略全長にわたって延びる蓄光部になっている。なお、本願発明でいう「蓄光剤」は、光を吸収して暗闇下で発光するものだけでなく、自ら発光するものも含む概念である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の表示装置は、ケースの透光部が長く延びているため、点状光源の群から照射された光はライン状の形態を成しており、このため視認性に優れている。従って、誘導用のラインや注意を喚起するためのラインを表示するのに好適である。また、ケースが剛体構造であるため、道路や通路、広場、駅のプラットホームのように人に踏まれたり車両が通ったりする場所にも簡単に適用することができる(勿論、用途に応じてケースを構成する部材の強度は確保する必要がある。)。
【0013】
請求項2のように構成すると、長尺の下ベースが存在することにより、高い強度を得ることができると共に表示装置を真っ直ぐな状態に敷設することが簡単に行える。また、外カバーは金属製であるものの長さが数十センチ(例えば30cm前後)と短いため、ケースは下向きに押圧するだけで下ベースに簡単に取り付けることができ、このため施工が容易である。また、カバーの内部には透明なシール剤が充填されているため防水性も優れており、従って、屋外への設置にも好適である。
【0014】
ところで、屋外における道路や通路の端に防護柵のような状態で横長の街路灯状の灯具を配置することが行われている。この灯具には光源として一般に蛍光灯が使用されており、蛍光灯を筒状のカバーで覆っている。しかし、蛍光灯は消費電力が多いのみならず寿命が短いという問題がある。
【0015】
これに対して請求項3の表示装置は、消費電力が少なくて寿命が長い発光ダイオード(LED)を使用しているためランニングコストを著しく抑制でき、しかも、ケースの内部にはその全長にわたって延びる基板装填部が形成されているため、発光ダイオードを任意の位置に配置できる利点がある。
【0016】
請求項4のように構成すると、停電等によって光源からの発光が消えても、蓄光部の発
光によって光のラインが現されるため、誘導用の表示装置として特に好適である。また、蓄光剤を含ませると部材は一般に透光性が低くなるため、光源か点灯している状態においても、光が拡散してラインとしての一体性は高くなると言える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態にかかる表示装置の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態の一部破断分離斜視図である。
【図3】(A)は図1(B)の IIIA-IIIA視断面図、(B)は分離断面図である。
【図4】図1(B)のIV−IV視断面図である。
【図5】(A)は中間エンドキャップの斜視図、(B)は中間エンドキャップの取り付け手順を示す断面図である。
【図6】発光ダイオードの平断面図である。
【図7】第2実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜6では第1実施形態を示し、図7では第2実施形態を示している。まず第1実施形態を説明する。
【0019】
(1).第1実施形態の概要
第1実施形態は埋め込み式の表示装置に適用したものであり、図1で概略を表示している。図1のうち(A)は埋設した状態での一部破断斜視図、(B)は(A)の部分的な平面図、(C)は分離側面図である。なお、以下の説明では便宜的に「左右」「前後」の文言を使用するが、図1(A)に矢印Aで示すように、表示装置の長手方向を向いた状態を正面視として、これを基準に左右や前後の文言を使用している。
【0020】
表示装置は、道路や床等を構成する基礎Gに埋設される下ベース1と、下ベース1に上方から取り付けた多数の表示ユニット2とを主要部材として構成されており、各表示ユニット2はその上面を除いた全部又は大部分が基礎Gに埋設されている。表示ユニット2は長さが例えば30cm程度で細長い形状であり、上面には細長い透光部3が形成されており、内部には点状光源の一例としての発光ダイオード(正確には発光ダイオードランプ)4が飛び飛びの状態で多数配置されている。また、表示ユニット2の両端はエンドキャップ5,5′で構成されている。本実施形態では、表示装置の全高は80mm程度に設定している。
【0021】
各表示ユニット2の両端の下面からは発光ダイオード4の電源供給及び制御のためのケーブル6が露出しており、ケーブル6にはコネクタ7を接続している。従って、隣り合った表示ユニット2のケーブル6はコネクタ7によって接続されている。なお、詳細は省略するが、各ユニット2に主電源線とこれから分岐した枝電源線とを配線して、発光ダイオード4には枝電源線から電力を供給するのが好ましい(一つの表示ユニット2で断線等のトラブルがあっても他の表示ユニット2には影響しない。)。
【0022】
また、電源線及び制御線を各表示ユニット2とは分離した状態に設けて、この電源線及び制御線と各表示ユニット2の内部線とをコネクタで接続する配線態様を採用することも可能である。下ベース1の長さには任意に設定することができるが、例えば10m程度の長さにしてこれを1ブロックと成し、多数のブロックを直列に配置して長大な表示装置を構成することが可能である。このように表示装置が全体として長大になる場合は、何メートルおき(或いは1ブロックごと)に中継器を設けるのが好ましい。また、表示装置は下ベース1や表示ユニット2とは分離した制御盤(図示せず)を備えている。
【0023】
基礎Gの構造は施工現場の種類によって異なる。例えば駅のホームや構内の場合は全体がコンクリートであることが多いであろうし、道路(車道)の場合は、砂利や土又はコンクリートからなる基盤にアスファルトを敷いていることが多いであろう。基盤上にアスファルトを敷いている場合は、下ベースは砂利等の基盤上に載せて、表示ユニット2はアスファルトの内部に埋め込まれた態様になることが多いと言える(従って、この場合は、表示装置の全高はアスファルト層の厚さと同じ程度の寸法に設定しておくのが好ましい)。
【0024】
歩道は、砂利又は土からなる基盤上にコンクリートを打設したり敷石(或いはタイル)を敷設した構造になっていることが殆どであるので、この場合は、表示ユニット2は基盤上に載せた状態でなることが多いと言える。歩道や広場の路面を木製タイルで構成することもあるが、この場合は、表示ユニット2は木製タイルの間に挟み込まれた状態になる。
【0025】
次に、図2以下の図面を参照して表示装置の具体的な構造を説明する。図2は一部破断分離斜視図、図3のうち(A)は図1(B)の IIIA-IIIA視断面図、(B)は分離断面図、図4は図1(B)のIV−IV視断面図、図5のうち(A)はエンドキャップ5の斜視図、(B)はエンドキャップ5の取り付け手順を示す断面図、図6は発光ダイオード4の例を示す平断面図である。
【0026】
(2).構成要素・外部構造
下ベース1はアルミ又はアルミ合金の押し出し加工品であり、水平状の下板9とこれから上向きに立ち上がった左右2枚の側板10とを備えており、側板10はその下部において補強板11で一体に連結されている。また、側板10の上端には、内側に入り込んだ状態で上向きに延びる下係合爪12が一体に形成されており、このため、側板10の上端面10aは下係合爪12に対して段違い状になっている。下係合爪12には外向き突状の鉤部12aが形成されており、鉤部12aの上下の面は傾斜している。
【0027】
左右側板10の内面には、下係合爪12との若干の間隔を空けた状態で内向きリップ14が形成されており、このため、下係合爪12と内向きリップ13との間に内向き溝14が形成されている。なお、相対向した内向きリップ13を一体に繋げることも可能であり、この場合は補強板11は無くしても良い。
【0028】
表示ユニット2は、上向きに開口した樋状の外カバー15と、外カバー15の開口部を塞ぐように配置された下向き開口樋状の第1内カバー16、第1内カバー16と外カバー15とで囲われた空間内に配置された下向き開口箱状の第2内カバー17と、第2内カバー17の内部に水平状の姿勢で配置した回路基板18とを備えており、回路基板18に発光ダイオード4の群が搭載(実装)されている。そして、本実施形態では、外カバー15と第1及び第2の内カバー16,17とで請求項に記載したケースが構成されている。
【0029】
外カバー15はアルミ又はアルミ合金を素材とした押し出し加工品であり(従って不透明である)、基本的要素として、下ベース1の側板10と同一面を成す左右2枚の側板19と、両側板19をその下部において繋ぐ底板20とを備えており、底板20が下ベース1おける下係合爪12の上端に載る(重なる)ようになっている。また、両側板19の下端には、内向きの鉤部21aを有する上係合爪21が一体に形成されている。上係合爪21の鉤部21aはその上下両面が傾斜した横向き山形になっており、このため、外カバー15は、下向きの押し込みによって下ベース1にワンタッチ的に取り付けられる。
【0030】
本実施形態では、下ベース1の下係合爪12と外カバー14の上係合爪21とが請求項に記載した係合手段を構成している。また、本実施形態では、外カバー15の押し込みに際しては、主として下ベース1の側板10が撓み変形することで上下の係合爪15,21が嵌まり合う(噛み合う)ことになる。
【0031】
外カバー15の側板19の下部には、底板20と若干の間隔を空けた状態で下リブ22を内向きに突設し、底板20と下リブ22との間に略円弧状の丸溝23が形成されている一方、側板19の上端には内向きの上リブ24が形成されており、更に、側板19の上下中途高さ位置には中段リブ25が形成されている。
【0032】
(3).内部構造
第1内カバー16は透明な樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)を素材として射出成形法によって製造されており、外カバー15の上リブ24と中段リブ25との間に嵌まり込む左右2枚の側板16aと、外カバー15の上面と同一面を成す天板とを備えており、側板16aと天板との連接部は外カバー15の上リブ24が嵌まる段部16bになっている
。そして、第1内カバー16のうち外カバー15の上リブ24で挟まれた部分(開口溝の部分)が帯状の透光部3になっている。
【0033】
第2内カバー17も透明な樹脂(例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂)を素材として射出成形法によって製造されており、左右の側板17aとその上端に連接した天板、及び、左右の側板17aと天板とに一体に繋がった前後の端板17bとを有して下向きに開口した箱状になっている。第2内カバー17の側板17aの略上半部は第1内カバー16の内部に密着して下半部は外カバー15の中段リブ25と下段リブ22との間に嵌まり込んでおり、このため側板17aは違い状になっていて、第2内カバー17は全体として正面視で凸字形になっている。
【0034】
第2内カバー17の内部には、天板から下向きに延びる左右2枚の足片17dが一体に形成されている。足片17dは外側に寄った状態に形成れており、側板17aの内側段差面17cと同じ高さまで延びている。そして、回路基板18を側板17aの内側段差面17cと足片17bとで位置決めしている。
【0035】
第2内カバー17の内部には、回路基板18と発光ダイオード4を包み込む状態で透明シール剤26が充填されている。シール剤の充填方法を述べると、先ず、上向きに開口させた姿勢の第2内カバー17に内側段差面17cよりもやや浅い深さに流動性シール剤を流し込み、次いで、発光ダイオード4を下向きにした姿勢で回路基板18を第2内カバー17の内部に嵌め込み、それから、回路基板18を覆うようにして流動性シール剤の2回目の流し込みを行う。
【0036】
第2内カバー17は端板17bを有する箱状に形成されているため、流動性シール剤の流し込みを支障なく行える。なお、2回目のシール剤の流し込みは1回目に流し込んだシール剤が固まってから行っても良いし、或いは、2回の流し込みを相次いで行っても良い。また、表示装置には荷重がかかることがあるので、変形による回路基板18や発光ダイオード4の破損を防止するためには、シール剤26は硬化した後も多少の弾性を有しているのが好ましい。シール剤26として紫外線硬化性をもつものを使用することも可能であり、この場合は硬化時間を短くできる利点がある。
【0037】
図4に示すように、回路基板18の両端寄り部位からケーブル6が露出している。外カバー15における底板20の前後両端部には、ケーブル6を外部に引き出すための切欠き27が形成されている。
【0038】
表示装置は多数の表示ユニット2で構成されているので、隣り合った表示ユニット2の端面は互いに重なり合っており、表示装置の両端を構成する2つの表示ユニット2の片面は基礎Gの内部等に露出している。そして、エンドキャップは、互いに重なり合うものと、基礎Gの内部等に露出するものとの2種類が容易されている。便宜的に、前者を中間エンドキャップと呼んで符号5で表示、後者は最端エンドキャップと呼んで符号5′で表示している。
【0039】
図4や図5に示すように、中間エンドキャップ5は、外カバー15の端面のうち上係合爪21を除いた部分に重なるように正面視四角形の部分を有しており、更に、外カバー15の丸溝24に入り込む左右一対のボス28と、下ベース1の内部に入り込む足部5aを有している。足部5aの下端には、下ベース1の内向き溝14に嵌まり込む外向き張り出し部5bが一体に形成されている。中間エンドキャップ5は透明な樹脂製である。
【0040】
下ベース1への中間エンドキャップ5の取り付けは次の手順で行われる。すなわち、まず、図5(B)に示すように平面視で下ベース1と平行に延びる姿勢にして下ベース1に
嵌め入れ、次いで、中間エンドキャップ5を水平回転させることにより、中間エンドキャップ5の横向き張り出し部5bを下ベース1の内向き溝14に嵌め込むのである。
【0041】
最端エンドキャップ5′は外カバー15の端面の全体に重なるようになっており、かつ、横向き張り出し部5bを有する足部5aも備えている。また、最端エンドキャップ5′はビス29で外カバー15に固定される。ビス29は外カバー15の丸溝23にねじ込まれる。なお、ビス29はタッピンねじを使用するのが好ましい。
【0042】
下ベース1の両端は露出しているので、最端エンドキャップ5の横方向から下ベース1に嵌め込まれる。最端エンドキャップ5′には、外カバー15に部分的に入り込む突部5cを設けている。勿論、突部5cはなくても良いし、逆に、中間エンドキャップ5に突部5cを設けることも可能である(この場合、内カバー16,17の長さをやや短くするなどして、突部5cの入り込みを許容する必要がある。)。
【0043】
(4).組み立て・施工
例えば図3から理解できるように、表示ユニット2を組み立てるにおいては、第2内カバー17に回路基板18を装着すると共にシール剤26を充填することによって封止し、次いで、第1内カバー16と第2内カバー17とを外カバー15に端から差し込む(嵌め込む)ことで、内カバー16,17を外カバー15にセットする。外カバー15への内カバー16,17の嵌め込みは、何れか一方を先に行っても良いし、両内カバー16,17を予め嵌め合わせておいて行っても良い。
【0044】
外カバー15の加工誤差によっては、外カバー15への第1内カバー16の嵌め込みがきつ過ぎる虞がある。そこで本実施形態では、図3に示すように、第1内カバー16の外側面を上に行くほど間隔(幅)が狭くなるように僅かの角度のテーパ状に形成している。内カバー16,17を外カバー15に嵌め込むにおいて、隙間にシール剤を塗布しておくことも可能である。
【0045】
施工に際しては、まず、基礎Gに下ベース1を敷設し、次いで、表示ユニット2の群を装着していく。表示ユニット2の群の取り付け方法としては、例えば、隣り合った表示ユニット2のケーブル6を接続した状態で、1番目の表示ユニット2の外カバー15を下ベース1に上方から押し込みによって装着し、次いで、中間エンドキャップ5を下ベース1に嵌め込んでからスライドさせて1番目のエンドキャップ5における外カバー15の丸溝23に嵌め込み、次いで、2番目の表示ユニット2の外カバー15の嵌め込みと中間エンドキャップ5の装着を行う、と言うようにして表示ユニット2を端から順番に取り付ける方法を採用できる。
【0046】
表示ユニット2の外カバー15は下ベース1に装着した状態でスライドさせ得るので、多数の表示ユニット2を互いに間隔を空けた状態で下ベース1に装着し、次いで、下ベース1に装着した表示ユニット2をずらし移動させることで隣り合った表示ユニット2を互いに密着させることも可能である。隣り合った表示ユニット2の端面間にシール剤を塗布して良い。
【0047】
本実施形態のように中間エンドキャップ5の足片5aに横向き張り出し部5bを形成すると、横向き張り出し部5bが抜け止めの役割を発揮され、しかも、横向き張り出し部5bによって下ベース1の左右側板10が内側に撓み変形することが防止されて上係合爪21が下係合爪12から離脱することが抑制されるため、何らかの外力によって表示ユニット2が下ベース1からは外れたり浮き上がったりする不具合を解消できる利点がある。
【0048】
長尺の下ベース1を使用せずに、1つの表示ユニット2で一つの表示装置を構成するこ
とも可能である。この場合、エンドキャップ5は外カバー15にビスで締結される(この場合のエンドキャップ5は、外カバー15の端面の全体を覆う縦長長方形でよい。)。表示ユニット2の長さを点字ブロックの一辺の長さ(例えば30cm)と同じか略同じに設定しておき、表示ユニット2を点字ブロックに埋め込むことも可能である(透光部を点字ブロックの谷の部分に露出させる。)。一つの表示ユニット2に、これはと略同じ長さの下ベース1を取り付けておくことも可能である。
【0049】
(5).制御の具体例
本実施形態では、図6に模式的に示すように、発光ダイオード4は赤発光Rと青発光Bと緑発光Gの三種類(三原色)のチップを有しており、チップR,B,Gをガラス層で封止している。そして、赤Rと青Bと緑Gの色の強弱や点灯を制御して各色を重ね合わせることで任意の色(フルカラー)の光を発生させることができる。また、光の強弱や点滅も任意に制御できる。従って、例えば、昼間は赤やオレンジのような有色光を発光させて、夜は白色光を発光させる、いうように環境に応じて発光色を変えることも可能である。なお、R,B,Gに加えて白色ダイオードチップを別に配置することも可能である。
【0050】
また、例えば駅のホームに点字ブロックの列と平行に本実施形態の表示装置を設置し、通常状態は白、電車到着が近づくと黄色、電車到着時には赤、というように状況に応じて色を変えることができる。或いは、発光ダイオード4を点滅させて注意を喚起することも可能である。更に、例えば1本の下ベース1の部分を1単位として、各単位ごとに発光ダイオード4の発光色を異ならせるといったことも可能である。
【0051】
また、緊急時の避難誘導表示として使用する場合、避難順路に向かって手前から前方の順に各発光ダイオード4を点灯・消灯させることにより、表示装置に方向指示機能を持たせることも可能である。発光ダイオード4は消費電力が少ないので、バッテリーを使用して相当の時間点灯させることができ、このため、本願発明は避難誘導装置としても優れていると言える。
【0052】
第1内カバー16、第2内カバー17、シール剤26の三者のうちの何れか1つ又は2つ、又は全部を蓄光部と成すことも可能である。蓄光部の形成手段としては、例えば、内カバー16,17の場合は、成形する前の原料に蓄光剤を混練して、蓄光剤入りのものを成形する方法が挙げられる。この場合は、内カバー16,17の蓄光部になる。他の方法としては、成形した後に蓄光塗料を塗布することが挙げられる。この場合は、表面(外面又は内面若しくは両面)が蓄光部になる。シール剤26を蓄光部となす方法としては、シール剤26の原料に蓄光剤を練り込んだら良い。三者の他に蓄光機能を有する部材を設けることも可能である。
【0053】
(6).第2実施形態
図7に示す第2実施形態は、例えば歩道や通路の端に設置する露出タイプの表示装置に適用している。この実施形態では、表示装置は、全体として円筒状に形成された長尺の透光カバー31と、これが取り付いた略樋状のベースカバー32とを主要部材として構成されており、両カバーで請求項に記載したケースが構成されている。透光カバー31及びベースカバー32は長尺で、例えば5〜10mの長さに設定できる(透光カバー31は、例えば1m程度の長さとしてして継手で接続することも可能である。)。
【0054】
透光カバー31は透明な樹脂を素材とした押し出し加工によって製造されており、左右一対の足部31aが全長にわたって延びるように形成されている。また、透光カバー31の内部のうち下部には略上向き開口コ字状の補助ブラケット33が密着した状態に配置されている。補助ブラケット33も透明な樹脂を素材とした押し出し加工品であり、左右の横向き突起34と左右の下向き突起35とを設けている一方、透光カバー31の内部には
、補助ブラケット33の横向き突起34を上向き移動不能に保持する内向き突起36と、補助ブラケット33の下向き突起が左右ずれ不能に嵌まる上向き溝35とが形成れており、このため、透光カバー31の長手方向にしかずれない状態に保持されている。
【0055】
また、補助ブラケット33の上端は透光カバー31の中心よりも低い高さであり、左右内側面の上部には、回路基板18を差し込みできる上下2段の保持溝36が形成されている。保持溝36は請求項に記載した回路基板装填部の一例である。なお、補助ブラケット33の外向き突起34と下向き突起35、透光カバー31の内向き突起36と上向き溝37は、補助ブラケット33の取り付ける嵌合手段の一例である。補助ブラケット33の底部は平坦状になっている。
【0056】
ベースカバー32はアルミ等の軽合金の押し出し加工品であり、左右の側板32aと底部32bとを有しており、側板32aの内側に補助ブラケット33の足部33aが嵌まるようになっている。そして、補助ブラケット33の足部33aに上下の係合爪38を形成している一方、ベースカバー32における側板32aの内面には係合爪38が嵌合する係合溝39を形成しており、係合爪38と係合溝39とで請求項に記載した係合手段を構成している。なお、本実施形態では、補助ブラケット33の足部33aとベースカバー32の側板32aとを全体として互いに噛み合う係合爪と表現することも可能である。
【0057】
ベースカバー32の側板32aには、エンドキャップ(図示せず)を取り付けるための丸溝23を形成している。図示は省略しているが、エンドキャップは、透光カバー31とベースカバー32との全体に重なるようになっており、下面はベースカバー32の下面と揃うようにフラットになっている。
【0058】
ベースカバー32の下部には、回路基板18を差し込むことのできる左右一対の蟻溝40が形成されている。蟻溝40も請求項に記載した回路基板装填部の一例である。蟻溝40の下方は上向きに開口した溝になっており、この溝にケーブル類を這わせることができる。ベースカバー32の下面には、当該ベースカバー32を支持部材(図示せず)に取り付けるための下向き開口溝41が空いている。
【0059】
本実施形態ではベースカバー32は基本的には樋状であり、このため、ベースカバー32の左右側板32aは外側に倒れるように変形し易くなっている。このため、透光カバー31が長尺であっても容易に取り付けることができる。
【0060】
本実施形態では回路基板18の高さを3段階に切り替えることができる。最下段の蟻溝40に回路基板18を装着すると、発光ダイオード4がベースカバー32の内部に隠れて光は拡散した状態で透光カバー31に向けて照射されるため、発光ダイオード4の間隔を大きくしても光のラインの一体性(連続性)を確保できる。従って、さほどの照度を必要としない場合に好適である。
【0061】
他方、回路基板18を透光カバー31に設けると、発光ダイオード4が外側から容易に視認されるため、光のラインの連続性を高めるには発光ダイオード4の配置間隔を狭める必要があり、すると照度は必然的に高くなる。従って、高い照度を要する場所に設置するのに好適である。
【0062】
なお、補助ブラケットに相当する部分を透光カバー31に一体成形することも可能であるが、本実施形態のように補助ブラケット33を透光カバー31とは別体に構成すると、補助ブラケット33は寸法が小さくて高い加工精度を確保できるため、回路基板18を装着するための保持溝37を正確に加工できる利点がある。
【0063】
また、回路基板18は長さが数十cmであり、従って、保持溝37を透光カバー31に一体成形していると、回路基板18は透光カバー31の保持溝に端から順に押し込むことになるが、透光カバー31は場合によっては数m〜10mの長さの長尺であるため、回路基板18をスムースに差し込めなくなる虞があるが、本実施形態のように補助ブラケット33を透光カバー31は別体に構成すると、オープンの状態の補助ブラケット33に回路基板18の群を予め装着しておいてから、補助ブラケット33を透光カバー31に差し込み装着すれば良いため、組み立てに際して回路基板の損傷を防止できる(回路基板18を強引に押すと破損する虞があるが、補助ブラケット33を強く押しても回路基板18が損傷することはない。)。
【0064】
本実施形態の表示装置は、建物の壁や塀、或いは建物の天井などの各所に取り付けることができる。従って、透光カバー31が横向きになったり下向きになったりと、配置姿勢を必要に応じて異ならせることができる。ベースカバー32は合成樹脂製とすることも可能である。回路基板18を金属製の支持板に取り付けて、この支持板を保持溝36や蟻溝40に差し込むといったことも可能であり、この場合は、保持溝36を有する板部が透光カバー31に一体成形されていても回路基板18を損傷することなく装着できる。
【0065】
第2実施形態に蓄光部を設ける方法としては、例えば、透光カバー31を蓄光剤入りの樹脂で成形することや、透光カバー31の内面又は外面若しくは両面に蓄光塗料を塗布すること、或いは、透光カバー31の内面又は外面若しくは両面に蓄光性を持つテープを貼着すること、などが挙げられる。透光カバー31の内部に、蓄光剤を混入した樹脂で成形された部材を配置することも可能である。透光カバー31等の表面に蓄光塗料又は蓄光テープで蓄光層を設ける場合、透光カバー31等の全体に設けることに限らず、円周方向に沿った1箇所又は複数箇所に部分的に設けることも可能である。
【0066】
(7).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、ケースやベース等の構成部材の具体的な形状は必要に応じて任意に設定できる。表示ユニットの長さも例えば40cm程度や50cm程度に設定したり、或いは、長さの相違するものを揃えて用意しておくといったことも可能である。コーナー用としてL形に形成したり、交叉部用としてT型又は十字形に形成したりすることも可能である。
【0067】
また、第1実施形態は多数の表示ユニットと1本の下ベースとで一つの表示装置ブロックを構成しているが、一つの表示ユニットを単位として表示装置を構成することも可能である。この場合、下ベースを備えている場合と備えていない場合とがあり、下ベースを備えている場合は、下ベースは表示ユニット2と同じ長さになっており、外カバーの両端には最端エンドキャップがビスで取り付けられている(ビスは、エンドキャップから露出しない皿ビスを使用するのが好ましい。)。
【0068】
ケースは必ずしも外カバーと内カバーとが構成されている必要はなく、例えば、一面を開口させたケース本体とその開口部を塞ぐ蓋体とからなっている構成も採用できる。要は、必要な強度やシール性など要請される機能に基づいて構造を設計したら良い。第1実施形態の場合、下ベースと外カバーとを一体化させることも可能である。第1実施形態の下ベースと外カバー、第2実施形態の透光カバーとベースカバーは、それぞれビスで締結することも可能である。
【0069】
また、本願発明において透光性とは透明又は半透明を意味している。第2実施形態のような露出タイプの場合、光が闇に浮き上がるように表示したい場合があるが、この場合は透光カバーを半透明の素材で製造したら良い。また、発光ダイオード等の点状光源はおおむねライン状に並んでおれば良いのであり、ジグザグ状に配置されていたり複数列に並ん
でいたりしていても良い。多数の表示ユニットを多段多列の縦横に格子状に配置して、任意の表示ユニットを点灯させることで文字類を表示することも可能である。
【0070】
点状光源の光が透過する部材(例えば、第1実施形態の内カバーのいずれかや、第2実施形態の透光カバー)に光を拡散・散乱させる機能を持たせることで、ラインとしての一体性をより一層高めることも可能である。光を拡散・散乱させる機能としては、表面に細かい凹凸状(鋸歯状)の凹凸を形成することや、表面に微細なエンボス模様を形成すること、内部に微細な反射球を多数混入すること、拡散機能を有する塗料を塗布すること、などが挙げられれる。
【符号の説明】
【0071】
1 下ベース
2 表示ユニット
3 透光部
4 発光ダイオード
6 ケーブル
15 ケースを構成する外カバー
16,17 ケースを構成する内カバー
12,21 係合手段を構成する係合爪
26 透明なシール剤
31 透光カバー
32 ベースカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に並べて飛び飛びに配置された多数の点状光源と、前記点状光源の群が内蔵された中空状のケースとを備えており、前記ケースは前記点状光源の並び方向に沿って長く延びる形態であり、かつ、前記ケースは、弾性変形しない剛体構造であると共に点状光源の並び方向に沿って延びる細長い形態であり、更に、前記ケースにその長手方向に延びる透光部を設けることによって発光ラインが表示されるようになっている、
発光性表示装置。
【請求項2】
前記ケースは、長さが数十cmで上向きに開口した中空部を有する金属製の外カバーと、前記外カバーの内部に配置した透明体製の内カバーとを備えており、内カバーの内部に、前記光源としての発光ダイオードの群を実装した回路基板が配置されていると共に透明なシール材が充填されており、
更に、多数のケースが直列に並べた状態に取り付けられる長尺で金属製の下ベースを備えており、ケースの外カバーと下ベースとに、ケースを下向きに押圧すると弾性に抗しての変形によって互いに嵌まり合う係合手段を設けている、
請求項1に記載した埋設式の発光性表示装置。
【請求項3】
前記ケースは、不透明素材から成る長尺で中空状又は樋状のベースカバーと、透光性素材から成る長尺で筒状の透光カバーとを備えており、透光カバーとベースカバーとのうち何れか一方又は両方に、前記光源としての発光ダイオードを実装した回路基板を取り付けできる基板装填部が全長又は略全長にわたって延びるように形成されている、
請求項1に記載した発光性表示装置。
【請求項4】
前記点状光源の光が透過する部分のうちの全部又は一部が、透光部の略全長にわたって延びる蓄光部になっている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した発光性表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−220105(P2011−220105A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−136257(P2011−136257)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2006−317722(P2006−317722)の分割
【原出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(506391750)株式会社AYAコーポレーション (5)
【Fターム(参考)】