説明

災害救護用応急仮設テントハウス

【課題】短時間で組み立てることができ、プライバシーも十分守られる災害救護用応急仮設テントハウスを提供する。
【解決手段】骨組Aの内側に、前後左右の壁シート部1,2,3,4と屋根シート部5と床シート部6とからなる可撓性プラスチックシート製の袋状ハウス本体Bを配置し、床シート部6を地面に設置させた状態で屋根シート部5側を骨組Aに吊り下げ、袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの外側から屋根カバーシートCで被うと共に、前後左右壁シート部1,2,3,4を骨組Aの外側から壁カバーシートDで被い、壁シート部1にファスナー10付き出入り口9及び防虫網8付き窓開口部7を設け、壁カバーシートDには壁シート部3,4の出入り口9と重合する箇所にファスナー47付き出入り口46を設け、壁シート部1の窓開口部7と重合する箇所に日除け43付き窓開口部42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の災害発生時に被災者の緊急救護に使用するための応急仮設テントハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の応急仮設テントハウスとして特許公報等の公知文献を具体的に挙げることはできないが、地震等の大きな災害が発生した直後に被災者を緊急救護する場所として、従来では学校の体育館や公民館等が使用されたり、また災害発生直後に道路が閉鎖された状態で、応急仮設プレハブ住宅ができる迄の間に物置等を利用して緊急に設置される簡易ハウスが使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害発生直後の被災者の応急救護場所として、体育館や公民館等を使用する場合には、一つの空間に複数の他人が共存することになるため、プライバシー保護の点で問題となっている。また、災害発生直後はライフラインも復旧していないので、仮設住宅も設置できなかった。
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑み、プライバシーも十分守られると共に、通気性及び断熱性に優れ、しかも短時間で簡単に組み立てることができる災害救護用応急仮設テントハウスを提供ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照番号を付して説明すると、請求項1に係る発明の災害救護用応急仮設テントハウスは、鋼管等によって分解可能に組み立てた骨組Aの内側に、前後左右の壁シート部1,2,3,4と屋根シート部5と床シート部6とからなる可撓性プラスチックシート製の袋状ハウス本体Bを配置して、床シート部6を地面に設置させた状態で屋根シート部5側を骨組Aに吊り下げ、この袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの外側から屋根カバーシートCで被うと共に、前後左右壁シート部1,2,3,4を骨組Aの外側から壁カバーシートDで被い、袋状ハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4には所要箇所にファスナー10付き出入り口9及び防虫網8付き窓開口部7を設け、壁カバーシートDには壁シート部1,2,3,4の出入り口9と重合する箇所にファスナー47付き出入り口46を設け、壁シート部1,2,3,4の窓開口部7と重合する箇所に日除け43付き窓開口部42を設けてなる災害救護用応急仮設テントハウス。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の災害救護用応急仮設テントハウスにおいて、袋状ハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4の所要箇所に所要間隔で両側一対の縦の切込み11,11と両切込み11,11の下端を結ぶ横の切込み12とからなるコ字状の切込みを入れ、壁カバーシートDには壁シート部1,2,3,4のコ字状切込み11,11,12と重合する箇所に切込み入45,45を入れ、壁シート部1,2,3,4のコ字状切込みで囲まれる部分1aと壁カバーシートDの切込み45,45で囲まれる部分38aとを一体的に重合して、上方へ捲くり上げ可能とし、この捲くり上げ重合シート部1a,38aの先端部に先端側支持杆53を取り付け、この支持杆53の両端に上端部を夫々つながれる両側一対のサイド支持杆54,54の夫々下端部を骨組A側に取り付けることによって、開閉式日除け兼窓口55を形成してなることを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1又は2に記載の災害救護用応急仮設テントハウスにおいて、骨組Aは、屋根杆15と両側一対の支柱14,14と各支柱14の下端部に取り付けるジャッキベース18とこれの下端部どうしをつなぐ横つなぎ材16とによってユニット枠aを分解可能に組み立て、このユニット枠aを所要間隔おきに複数並置し、対向するユニット枠a,aの支柱14,14どうし及び屋根杆15,15どうしを縦つなぎ材17で切り離し可能に連結して組み立てるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照番号を付して説明すると、請求項1に係る発明の災害救護用応急仮設テントハウスによれば、骨組Aを組み立てて、その内側に、前後左右壁シート部1,2,3,4と屋根シート部5と床シート部6とからなる可撓性プラスチックシート製の袋状ハウス本体Bを配置して、床シート部6を地面に設置させた状態で屋根シート部5側を骨組Aに吊り下げ、このハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの外側から屋根カバーシートCで被うと共に、前後左右壁シート部1,2,3,4を骨組Aの外側から壁カバーシートDで被うようにすればよいから、きわめて短時間で所要の場所に簡単に仮設することができ、地震発生直後の被災者の救護場所として最適である。
【0009】
また、このテントハウスは、ハウス本体Bと、これを被う屋根カバーシートC及び壁カバーシートDとの二重シート構造で、断熱性に優れているから、真冬時の寒さや真夏時の暑さにも十分対応でき、また袋状ハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4には所要箇所にファスナー10付き出入り口9及び防虫網8付き窓開口部7を設け、壁カバーシートDには壁シート部1,2,3,4の出入り口9と重合する箇所にファスナー47付き出入り口46を設け、壁シート部1,2,3,4の窓開口部7と重合する箇所に日除け43付き窓開口部42を設けているから、日差し、風通しも良好となり、季節を問わず友好に使用できる。
【0010】
更にこのハウス本体Bは袋状であるから、取り扱い易く、骨組Aへの取付け及び取外しが容易となり、また床シート部6を一体に有するために、従来のテントハウスと異なり、降雨時に雨水の浸入することがないし、小動物が侵入することもなく、また窓開口部7には防虫網8が付いているため虫が入り込むこともない。更にこの応急仮設テントハウスは1個の独立したハウスであるため、プライバシーも十分に守ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明のように、開閉式日除け兼窓口55を形成することにより、夏季にはテントハウス内の風通しが良好になると共に真夏等の強い日差しを避けることができ、また冬季などでは、サイド支持杆54,54を取り外すことにより、捲くり上げ重合シート部1a,38aを降ろして窓口55を閉鎖することができる。
【0012】
請求項3に係る発明のように、屋根杆15と両側一対の支柱14,14と各支柱14の下端部に取り付けるジャッキベース18とこれの下端部どうしをつなぐ横つなぎ材16とによってユニット枠aを分解可能に組み立て、このユニット枠aを所要間隔おきに複数並置し、対向するユニット枠a,aの支柱14,14どうし及び屋根杆15,15どうしを縦つなぎ材17で切り離し可能に連結して骨組A組み立てるようになっているから、骨組Aの組み立て作業及び分解作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明に係る応急仮設テントハウスの骨組の正面図、図2は同応急仮設テントハウスの側面図であり、図3の(a) は骨組の分解斜視図、(b) はジャッキベースと横つなぎ材の連結構造を示す断面図であり、図4は袋状ハウス本体を正面側から見た斜視図、図5は骨組に袋状ハウス本体を取り付けている途中の状態を示す斜視図であり、図6は骨組に袋状ハウス本体を取り付けた状態の正面図、図7の(a) は骨組に袋状ハウス本体を取り付けた状態の側面図、(b) は同状態の斜視図、図8は袋状ハウス本体とこのハウス本体に取り付けられる屋根カバーシート及び壁カバーシートを示す斜視図である。
【0014】
この応急仮設テントハウスは、図1〜図7に示すように、骨組Aの内側に、前後左右の壁シート部1,2,3,4と屋根シート部5と床シート部6とからなる袋状ハウス本体Bを配置して、床シート部6を地面に設置させた状態で屋根シート部5側を骨組Aに吊り下げ、そして図8に示すようにこの袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの外側から屋根カバーシートCで被うと共に、前後左右壁シート部1,2,3,4を骨組Aの外側から壁カバーシートDで被うようにしたものである。
【0015】
上記応急仮設テントハウスの構造について詳しく説明すれば、骨組Aは、図3及び図5に示すように、山形の屋根杆15と、両側一対の支柱14,14と、各支柱14の下端部に取り付けるジャッキベース18と、このジャッキベース18の下端部どうしをつなぐ横つなぎ材16とによってユニット枠aを分解可能に組み立て、このユニット枠aを所要間隔おきに複数並置して、対向するユニット枠a,aの支柱14,14どうし及び屋根杆15,15どうしを縦つなぎ材17により切り離し可能に連結して組み立てたものであり、このテントハウスを撤去する際には、これら支柱14、屋根杆15、横つなぎ材16及び縦つなぎ材17を互いに切り離して個々に分解することができる。尚、支柱14、屋根杆15及び縦つなぎ材17は夫々鋼管(スチールパイプ)で形成され、横つなぎ材16は角形鋼で形成される。
【0016】
骨組Aを構成するジャッキベース18、支柱14、屋根杆15、横つなぎ材16及び縦つなぎ材17を図3によって更に説明すると、同図の(a) に示すように、各屋根杆15の両裾部には夫々の前後両側面部又は前後何れか一側面部に楔受け29が縦向きに取り付けられ、山頂部には楔受け29が横向きに取り付けられ、また各支柱14には下端部の前後両側面部又は前後何れか一側面部に楔受け30が取り付けられ、そして縦つなぎ材17の両端部には前記楔受け29,30に楔係合する楔片31が直角に突設されている。ジャッキベース18は、ベースプレート18aに螺軸18bを立設し、この螺軸18bに支柱受け18cを螺合したものである。ジャッキベース18のベースプレート18aには略々Z字形の取付片32が溶接により固着されていて、この取付片32を同図の(b) に示すように角形鋼からなる横つなぎ材16の端部に挿入して蝶ボルト33及びナット34で固定することにより、ジャッキベース18と横つなぎ材16とを連結することができる。
【0017】
しかして、ユニット枠aを形成するには、屋根杆15の両端差込軸部15a,15aを支柱14,14の夫々の上端部に差し込み、各支柱14の下端部をジャッキベース18の螺軸18bに嵌合して支柱受け18cに支持させると共に、支柱受け18cを適宜回転させて支柱14を高さ調整することにより、所定高さの自立したユニット枠aを形成する。こうして形成したユニット枠a,aの支柱14,14どうし及び屋根杆15,15どうしを縦つなぎ材17で連結するにあたっては、縦つなぎ材17の端部に突設された楔片31を屋根杆15側の楔受け29及び支柱14の下端部の楔受け30に叩き込んで係合すればよい。尚、屋根杆15の山頂部に取り付けられた横向きの楔受け29は縦つなぎ材17の楔片31を係合させただけでは抜けるおそれがあるため、その楔受け29に設けたピン孔29a(図3参照)から楔片31のピン孔(図示省略)に抜け止めピン(図示省略)を挿着する必要がある。また、各ユニット枠aの対向するジャッキベース18,18間に横つなぎ材16を配置して、各ジャッキベース18と横つなぎ材16とを前記取付片32を介して蝶ボルト33及びナット34で連結すればよい。
【0018】
図1、図2及び図5は、上記のようにして組み立てられた骨組Aを示したものである。尚、図1及び図5に示すように、骨組Aの正面側中央部には後述する開閉式日除け兼窓口55を形成するために、骨組Aの中央側で隣り合う二つのユニット枠a,aの正面側支柱14,14の下端部間から縦つなぎ材17を取り外している。
【0019】
また図3及び図5に示すように、各ユニット枠aの屋根杆15の山頂部と両裾部、及び屋根杆15の山頂部どうしをつなぐ縦つなぎ材17の中央部には、シート取付用リング24が夫々下向きに突出するように取り付けられている。各リング24は、後述するように袋状ハウス本体Bに設けてある帯状取付代25の鳩目26との間にインシュロック50を通して締め付けることにより、袋状ハウス本体Bを骨組Aに取り付けるようになっている。
【0020】
袋状ハウス本体Bの構造について説明すれば、この袋状ハウス本体Bは、図4に示すように、可撓性プラスチックシートとしての例えば半透明ポリエチレンシートによって、前後左右の壁シート部1,2,3,4と、切妻形の屋根シート部5と、床シート部6とからなる袋状に形成されており、そして袋状ハウス本体Bの各稜線に沿って帯状の取付代24が設けられ、各取付代24には所定間隔おきに鳩目25が設けてある。また、壁シート部1,2,3,4の例えば前壁シート部1には左右両側に窓開口部7が設けてあって、各窓開口部7には内側から防虫網8が張られている。また、左右各壁シート部3,4は、図4及び図7に示すように、その中央部が縦方向に切り開かれて出入り口9を形成し、その切り開き部には開閉用のスライドファスナー10が設けられている。
【0021】
また、壁シート部1,2,3,4の例えば前壁シート部1には、両側一対の縦の切込み11,11と両切込み11,11の下端を結ぶ横の切込み12とからなるコ字状の切込み11,11,12を入れ、このコ字状の切込み11,11,12によって囲まれるシート部分1aを捲り上げることができるようになっている。尚、横の切込み12は、前壁シート部1の下端縁部、即ち床シート部6との境界部に沿って切り込まれる。
【0022】
袋状ハウス本体Bを形成するには、例えば上記ポリエチレンシートを適宜に裁断して、前壁シート部1、後壁シート部2、左壁シート部3、右壁シート部4、屋根シート部5及び床シート部6を夫々形成すると共に、これらのシート部1〜6には夫々糊代部を設けておいて、これらのシート部1〜6を夫々糊代部を介して接着剤で接着することによって、図4に示すような袋状に形成し、更にこの袋状ハウス本体Bの各稜線に沿って鳩目25付きの取付代24を縫い付ける。
【0023】
袋状ハウス本体Bを骨組Aに取り付けるにあたっては、骨組Aを所定の場所に組み立てた後、図5に示すように、この骨組Aの内側に袋状ハウス本体Bを持ち込んで、このハウス本体Bの床シート部6を地面に接地させた状態で屋根シート部5を骨組Aの屋根相当箇所に吊り下げればよい。この場合、骨組Aの内側に持ち込んだ袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの屋根相当箇所に吊り下げれば、床シート部6は必然的に地面に接地するようになる。屋根シート部5を骨組Aに吊り下げるには、図11の(b) に示すように、屋根杆15に取り付けある各シート取付用リング24と、屋根シート部5の各取付代24に設けてある鳩目25とにインシュロック50を通して縛り付けるようにすればよい。
【0024】
また袋状ハウス本体Bを骨組Aに取り付ける際には、図4に示すようにハウス本体Bの四隅部(壁シート部1,2,3,4の隅角部)の稜線に沿って設けてある各取付代24の鳩目25に通したインシュロック50を、図7の(a) に示すように支柱14に巻き付けて縛り付けることで、ハウス本体Bの全体を安定良く骨組Aに取り付けることができる。
【0025】
次に、袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を被う屋根カバーシートC及び壁シート部1,2,3,4を被う壁カバーシートDについて説明する。屋根カバーシートCは、図8に概略示すように、袋状ハウス本体Bのシートよりも厚くて断熱性能の良好な可撓性プラスチックシートである厚手のポリエチレンシートによって、屋根本体部35と、屋根本体部35の前後端縁から垂下した垂下部36,36と、屋根本体部35の左右両端を塞ぐような妻部37,37とを形成したもので、ハウス本体Bの屋根シート部5及びその周辺下端部に被嵌されるようになっている。
【0026】
壁カバーシートDも屋根カバーシートCと同じ様な厚手のポリエチレンシートで形成されたもので、図8に概略示すように、ハウス本体Bの前壁シート部1を被う前カバー部38と、後壁シート部2を被う後カバー部39と、前後カバー部38,39間に介在され、ハウス本体Bの右壁シート部4を被う右カバー部40と、前カバー部38の端部に連成され、ハウス本体Bの左壁シート部3を被う左カバー部41と、前記右カバー部39に連成された接合部39oとからなり、前カバー部38には、ハウス本体Bの前壁シート部1の窓開口部7,7と重合する箇所に夫々窓開口部42が開口され、各窓開口部42には外側に日除け43(図9参照)が取り付けられるようになっている。
【0027】
上記日除け43は、例えば簾からなるもので、図10に示すように、通常は巻取紐44で窓開口部42の上端側にロール状に巻き取られていて、使用時に巻取紐44を解くことより、窓開口部42を塞ぐようになっている。
【0028】
また、壁カバーシートDの前カバー部38には、図8に示すように、ハウス本体Bの壁シート部1の切込み11,11と重合する箇所に切込み45,45が入れてあって、壁シート部1のコ字状切込み11,11,12で囲まれる部分1aと壁カバーシートDの切込み45,45で囲まれる部分38aとを一体的に重合して(図12参照)、上方へ捲くり上げることができるようにしている。また、左右カバー部41,42には、壁シート部1の出入り口9と重合する箇所に出入り口(切り開き部)46が形成されて、この出入り口46に開閉用のスライドファスナー47が設けられている。
【0029】
しかして、上記のような構成の屋根カバーシートC及び壁カバーシートDをハウス本体Bに装着するには、先ず、骨組Aに取り付けられているハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4に対し骨組Aの外側から帯状の壁カバーシートDを巻き付けるように当てつけ、左カバー部41に連成された接合部41oを左カバー部41の端部に重ね合わせた状態で接合部39oと左カバー部41とにわたって粘着テープ又はマジックテープ(登録商標)により接着固定する。
【0030】
こうしてハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4を壁カバーシートDにて被った後、ハウス本体Bの屋根シート部5側に屋根カバーシートCを被せる。この時、屋根カバーシートCの垂下部36及び妻部37の下端部は、壁カバーシートDの上端部を外側から被った状態となる。この後、屋根カバーシートCの垂下部36及び妻部37の下端部を壁カバーシートDの上端部に対し固定する。
【0031】
上記壁カバーシートDの固定にあたっては、図11に示すように、壁カバーシートDの上端部側には予め鳩目48を所要間隔おきに設けると共に、屋根カバーシートCの垂下部36及び妻部37下端部の夫々裏側には鳩目59付き取付用帯片58を取り付けておき、しかして同図の(b) に示すように、屋根カバーシートC側に取り付けた取付用帯片58の鳩目59と、壁カバーシートD側に設けた鳩目48とにわたってインシュロック50のアーム50aを挿通して縛りつけることにより、屋根カバーシートCの垂下部36及び妻部37の下端部を壁カバーシートDに対し固定する。
【0032】
尚、屋根カバーシートCをハウス本体Bの屋根シート部5側に取り付ける際には、骨組Aの端部側に配置されるユニット枠aの屋根杆15端部に突設してあるガイドピン51に屋根カバーシートCの四隅に設けられたガイド孔(鳩目)52を挿通させることにより、屋根カバーシートCをハウス本体Bの屋根シート部5に対し安定良く、的確に取り付けることができる。
【0033】
上記のようにしてハウス本体Bの屋根シート部5を屋根カバーシートCで被うと共に、壁シート部1,2,3,4を壁カバーシートDで被った後、ハウス本体Bの壁シート部1のコ字状切込み11,11,12で囲まれる部分1aと、壁カバーシートDの切込み45,45で囲まれる部分38aとを図12に示すように重ね合わせ、例えばマジックテープ(登録商標)で両側端縁部を止めるなどして一体的に上方へ捲くり上げ可能な状態とし、しかしてこの捲くり上げ重合シート部1a,38aの先端部には下面側から先端側支持杆53を取り付け、この支持杆53の両端に上端部を夫々つながれる両側一対のサイド支持杆54,54の夫々下端部を、骨組Aを構成するユニット枠aの支柱14の下端部にある楔受け30に突入係止することによって、開閉式日除け兼窓口55を形成する(図9、図12及び図13参照)。
【0034】
この開閉式日除け兼窓口55を形成するにあたっては、図12及び図13の(a) ,(b) に示すように、先端側支持杆53及びサイド支持杆54として夫々丸パイプを使用して、先端側支持杆53の両端部内に夫々ナット56を埋入固着し、サイド支持杆54の上下両端部54a,54bを夫々扁平状に形成すると共に、下端側の扁平部54bを所要角度に屈曲し、しかして先端側支持杆53の両端部に夫々サイド支持杆54の扁平状上端部54aから蝶ボルト57をナット56に螺入して固定し、各サイド支持杆54の扁平状下端部54bを、ユニット枠aの支柱14の下端部に設けてある楔受け30に突入係止し、かかる状態で先端側支持杆53を前記捲くり上げ重合シート部1a,38aの先端部下面側に固定する。
【0035】
上記のような開閉式日除け兼窓口55を形成することによって、夏季にはテントハウス内の風通しが良好になると共に、真夏等の強い日差しを避けることができるようになる。また、冬季などにおいては、蝶ボルト57を緩めて先端側支持杆53の端部から各サイド支持杆54の上端部54aを外し、その下端部54bを支柱14下端部の楔受け30から抜いて両サイド支持杆54,54を取り外すことにより、捲くり上げ重合シート部1a,38aを降ろして窓口55を閉鎖することができる。この際、ハウス本体Bの壁シート部1の切込み11,11及び壁カバーシートDの切込み45,45に夫々開閉用のスライドファスナーを取り付けておけば、窓口55を確実に閉鎖できる。
【0036】
以上説明したような災害救護用応急仮設テントハウスによれば、骨組Aを組み立てて、その内側に、前後左右の壁シート部1,2,3,4と屋根シート部5と床シート部6とからなる可撓性プラスチックシート製の袋状ハウス本体Bを配置して、床シート部6を地面に設置させた状態で屋根シート部5側を骨組Aに吊り下げ、この袋状ハウス本体Bの屋根シート部5を骨組Aの外側から屋根カバーシートCで被うと共に、前後左右壁シート部1,2,3,4を骨組Aの外側から壁カバーシートDで被うようにすればよいから、きわめて短時間で所望の場所に仮設することができ、地震発生直後の被災者の救護場所として最適である。
【0037】
特にこの応急仮設テントハウスは、袋状のハウス本体Bと、このハウス本体Bを被う屋根カバーシートC及び壁カバーシートDとの二重シート構造で、断熱性に優れているから、真冬時の寒さや真夏時の暑さにも十分対応でき、また袋状ハウス本体Bの壁シート部1,2,3,4には所要箇所にファスナー10付き出入り口9及び防虫網8付き窓開口部7を設け、壁カバーシートDには壁シート部1,2,3,4の出入り口9と重合する箇所にファスナー47付き出入り口46を設け、壁シート部1,2,3,4の窓開口部7と重合する箇所に日除け43付き窓開口部42を設けているから、日差し、風通しも良好で、快適に使用することができるし、また小動物が侵入したり、虫が入り込むことがない。
【0038】
また、ハウス本体Bは、袋状であるから、取り扱い易く、骨組Aへの取付け及び取外しが容易であり、また床シート部6を一体に有するために、従来のテントハウスと異なり、降雨時に雨水の浸入するようなことがない。また、この応急仮設テントハウスは、1個の独立したハウスであるから、プライバシーも十分に守られることになる。
【0039】
図14及び図15は応急仮設テントハウスの四隅に転倒防止用ロープ60を張設した実施形態を示す。即ち、一端部に係止用リング61を取り付け、他端部に係止用輪っか62を形成したワイヤー等からなる転倒防止用ロープ60と、ターンバックル63(図14の(c) 参照)と、スクリューアンカー64(図14の(d) 参照)とを用意しておき、そして各ロープ60の一端部の係止用リング61を、ユニット枠aの屋根杆15端部に突設してあるガイドピン51に係止し、他端部の輪っか62にターンバックル63を取り付けて、このターンバックル63を、地面の所定個所に埋入したスクリューアンカー64に取り付け、ターンバックル63を締め込んでロープ60を緊張させる。こうしておくことによって、強風時等でも応急仮設テントハウスの転倒を防止することができる。
【0040】
尚、スクリューアンカー64は、図14の(d) に示すように、スクリュー本体64aの一端部にフック64bを形成すると共に座金64cを固着してなるもので、スクリュー本体64aを回しながら座金64cが地面に着くまでねじ込むことによって、図15に示すように地中に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明に係る応急仮設テントハウスの骨組の正面図である。
【図2】同応急仮設テントハウスの側面図である。
【図3】(a) は骨組の分解斜視図、(b) はジャッキベースと横つなぎ材の連結構造を示す断面図である。
【図4】袋状ハウス本体を正面側から見た斜視図である。
【図5】骨組に袋状ハウス本体を取り付けている途中の状態を示す斜視図である。
【図6】骨組に袋状ハウス本体を取り付けた状態の正面図である。
【図7】(a) は骨組に袋状ハウス本体を取り付けた状態の側面図、(b) は同状態の斜視図である。
【図8】袋状ハウス本体とこれに取り付けられる屋根カバーシート及び壁カバーシートを示す斜視図である。
【図9】(a) はハウス本体に屋根カバーシート及び壁カバーシートを取り付けた状態の応急仮設テントハウスの斜視図、(b)は同応急仮設テントハウスの側面図である。
【図10】同応急仮設テントハウスの正面図である。
【図11】(a) は図9の(b) の矢印イで示される部分の拡大図、(b) は(a) のX−X線拡大断面図、(c) はインシュロックを示す斜視図である。
【図12】開閉式日除け兼窓口の縦断面図である。
【図13】(a) は開閉式日除け兼窓口を構成する先端側支持杆及びサイド支持杆の取付け状態を示す正面図、(b) はサイド支持杆を示す側面図である。
【図14】(a) は応急仮設テントハウスの四隅に転倒防止用ロープを張設した実施形態を示す斜視図、(b) は転倒防止用ロープの一部拡大斜視図、(c) はターンバックルの拡大正面図、(d) はスクリューアンカーの拡大正面図である。
【図15】転倒防止用ロープの設置状態を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0042】
A 骨組
1,2 前後壁シート部
3,4 左右壁シート部
5 屋根シート部
6 床シート部
7 窓開口部
9 出入り口
B 袋状ハウス本体
C 屋根カバーシート
D 壁カバーシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管等によって分解可能に組み立てた骨組の内側に、前後左右の壁シート部と屋根シート部と床シート部とからなる可撓性プラスチックシート製の袋状ハウス本体を配置して、床シート部を地面に設置させた状態で屋根シート部側を骨組に吊り下げ、この袋状ハウス本体の屋根シート部を骨組の外側から屋根カバーシートで被うと共に、前後左右壁シート部を骨組の外側から壁カバーシートで被い、袋状ハウス本体の壁シート部には所要箇所にファスナー付き出入り口及び防虫網付き窓開口部を設け、壁カバーシートには壁シート部の出入り口と重合する箇所にファスナー付き出入り口を設け、壁シート部の窓開口部と重合する箇所に日除け付き窓開口部を設けてなる災害救護用応急仮設テントハウス。
【請求項2】
袋状ハウス本体の壁シート部の所要箇所に所要間隔で両側一対の縦の切込みと両切込みの下端を結ぶ横の切込みとからなるコ字状の切込みを入れ、壁カバーシートには壁シート部のコ字状切込みと重合する箇所に切込み入れ、壁シート部のコ字状切込みで囲まれる部分と壁カバーシートの切込みで囲まれる部分とを一体的に重合して、上方へ捲くり上げ可能とし、この捲くり上げ重合シート部の先端部に先端側支持杆を取り付け、この支持杆の両端に上端部を夫々つながれる両側一対のサイド支持杆の夫々下端部を骨組側に取り付けることによって、開閉式日除け兼窓口を形成してなる請求項1に記載の災害救護用応急仮設テントハウス。
【請求項3】
骨組は、屋根杆と両側一対の支柱と各支柱の下端部に取り付けるジャッキベースとこれの下端部どうしをつなぐ横つなぎ材とによってユニット枠を分解可能に組み立て、このユニット枠を所要間隔おきに複数並置し、対向するユニット枠の支柱どうし及び屋根杆どうしを縦つなぎ材で切り離し可能に連結して組み立てるようになっている請求項1又は2に記載の災害救護用応急仮設テントハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−214962(P2008−214962A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54078(P2007−54078)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000109152)ダイワラクダ工業株式会社 (16)
【出願人】(506160455)株式会社名古屋マルヤマ (2)
【Fターム(参考)】