説明

災害表示システムおよび災害監視装置および災害表示装置

【課題】 火災等の災害の発生に際し、避難誘導路上にいる被誘導者に対して災害発生箇所との距離がどのくらいで、どれだけ緊急性があるかを視覚的に伝えることができるようにした災害表示システムおよび災害監視装置および災害表示装置を提供する。
【解決手段】 複数の災害発生検知装置400−1〜400−mと近距離無線通信手段を用いて接続される災害発生監視装置100と、この災害発生監視装置100と近距離無線通信手段を用いて接続される避難誘導路300に沿って所定間隔で設置された複数の災害発生表示装置200−1〜200−nとを設け、複数の災害発生表示装置200−1〜200−nは、災害発生監視装置100から通知される災害発生箇所情報に基づき自装置と災害発生箇所との距離をそれぞれ判別して、表示部206の矢印表示を自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で表示制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災等の災害の発生を表示する災害表示システムおよび災害監視装置および災害表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、避難誘導路に複数の誘導装置を所定間隔で配置し、この誘導装置から光、音等を順次発生することにより被誘導者に避難誘導方向を知らせることで、災害発生等に際して被誘導者を所定の避難誘導路に沿って安全かつ確実に誘導することができるようにした「避難誘導システム」が知られている。
【0003】
しかし、特許文献1に開示された「避難誘導システム」においては、被誘導者に対して誘導方向は伝えることはできても、現位置が災害発生箇所とどれだけ離れており、どれだけ緊急性があるかの情報は伝えることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−194422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、火災等の災害の発生に際し、避難誘導路上にいる被誘導者に対して災害発生箇所との距離がどのくらいで、どれだけ緊急性があるかを視覚的に伝えることができるようにした災害表示システムおよび災害監視装置および災害表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の災害表示システムは、災害発生を監視する災害監視装置と、前記災害監視装置と近距離通信手段を介して接続され、避難誘導路上に分散配置される複数の災害表示装置とを有し、前記災害監視装置は、災害発生を検知する災害発生検知手段と、前記災害発生検知手段による災害発生の検知に基づき災害発生箇所を特定する災害発生箇所特定手段と、前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報を前記複数の災害表示装置に前記近距離通信手段を介して通知する通知手段とを具備し、前記複数の災害表示装置は、前記通知手段により通知された前記災害発生箇所情報を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記災害発生箇所情報に基づき自装置と災害発生箇所との距離を判別する判別手段と、前記避難誘導路上の避難誘導方向を矢印表示する表示手段と、前記表示手段の矢印表示を前記判別手段で判別した自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で表示制御する表示制御手段とをそれぞれ具備することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記災害発生検知手段は、温度センサおよび煙センサを含む内部災害検知手段と、外部災害検知装置からの災害発生信号を受信する災害発生信号受信手段とを具備し、前記内部災害検知手段の検知出力もしくは前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知し、前記災害発生箇所特定手段は、前記災害発生検知手段が、前記内部検知手段の検知出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害監視装置の設置位置を災害発生箇所として特定し、前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害発生信号の発信元の外部災害検知装置の設置位置を災害発生箇所として特定することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記表示制御手段は、前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる色で表示することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記表示制御手段は、前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる点滅周期で点滅制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、災害発生の監視領域の壁面若しくは天井に設置され、避難誘導路上に分散配置される複数の災害表示装置と近距離通信手段を介して接続される災害監視装置であって、温度センサと、煙センサと、前記温度センサと前記煙センサの検知出力に基づき災害の発生を検知する内部災害発生検知手段と、外部災害検知装置からの災害発生信号を受信する災害発生信号受信手段と、前記内部災害検知手段の検知出力もしくは前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知する災害発生検知手段と、前記災害発生検知手段が、前記内部検知手段の検知出力に基づき災害発生を検知した場合は、自装置の設置位置を災害発生箇所として特定し、前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害発生信号の発信元の外部災害検知装置の設置位置を災害発生箇所として特定する災害発生箇所特定手段と、前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報を前記複数の災害表示装置に近距離通信手段を介して通知する通知手段と、前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報に基づき災害発生を報知する災害発生報知手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、災害発生を監視する災害監視装置と近距離通信手段を介して接続され、避難誘導路上に分散配置される災害表示装置であって、前記災害監視装置から通知された前記災害発生箇所情報を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記災害発生箇所情報に基づき自装置と災害発生箇所との距離を判別する判別手段と、前記避難誘導路上の避難誘導方向を矢印表示する表示手段と、前記判別手段で判別した自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で前記表示手段の矢印表示を表示制御する表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記表示制御手段は、前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる色で表示することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、前記表示制御手段は、前記発光手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる点滅周期で点滅制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、火災等の災害の発生に際し、避難誘導路上にいる被誘導者に対して災害発生箇所との距離がどのくらいで、どれだけ緊急性があるかを視覚的に伝えることができるので、更に安全に被誘導者を避難誘導路に沿って案内することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明に係わる災害表示システムの一例を示すシステム構成図である。
【図2】図2は、図1に示した災害監視装置の詳細の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示した災害監視装置の外観の一例を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した災害監視装置の外観の他の例を示す図である。
【図5】図5は、図2に示した災害監視装置の外観の更に他の例を示す図である。
【図6】図6は、図1に示した災害表示装置の詳細の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は、図1に示した災害表示装置の外観の一例を示す図である。
【図8】図8は、図1に示した災害監視装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、図1に示した災害表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係わる災害表示システムおよび災害監視装置および災害表示装置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、この発明に係わる災害表示システムの一例を示すシステム構成図である。
【0018】
図1において、この実施例の災害表示システム10は、この災害表示システム10が、複数の部屋が廊下で接続されて分散配置されているような一定規模の、例えば、公共施設等に適用される場合を想定しており、ここで、災害とは、例えば火災を想定している。この場合、火災発生時には、廊下等を避難誘導路として避難可能である。
【0019】
図1に示すこの実施例の災害表示システム10において、災害発生監視装置100は、この施設の中の、例えば、火災発生の可能性がある箇所の中の1箇所に配置され、複数の災害発生検知装置400−1〜400−mは、この施設の中の火災発生の可能性がある他の箇所にそれぞれ配置される。
【0020】
災害発生監視装置100は、自装置の設置箇所における災害(火災)発生を検知する機能を有し、また、災害発生検知装置400−1〜400−mは、各装置のそれぞれの設置箇所における災害(火災)発生を検知する機能を有する。
【0021】
複数の災害発生表示装置200−1〜200−nは、この施設の廊下等の避難誘導路300の側壁、床、天井等に沿って所定間隔で設置され、火災等の発生に際して、被誘導者を避難誘導路300を通って安全な場所に避難誘導するための矢印表示等を行う表示装置を有する。
【0022】
この実施例の災害表示システム10において、災害発生表示装置200−1〜200−nは、災害発生監視装置100または災害発生検知装置400−1〜400−mでの災害(火災)発生の検知に基づき災害発生監視装置100から通知される災害発生箇所情報に際して、この災害発生箇所情報に基づき、自装置と災害発生箇所との距離をそれぞれ判別し、上記表示装置の矢印表示を自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で表示制御する表示制御機能を有する。
【0023】
災害発生監視装置100と複数の災害発生検知装置400−1〜400−mとの間および災害発生監視装置100と複数の災害発生表示装置200−1〜200−nとの間および各災害発生表示装置200−1〜200−nの間は、ジグビー(商標)等の近距離無線通信手段を用いて接続され、災害発生監視装置100は、この近距離無線通信手段を用いて複数の災害発生検知装置400−1〜400−mと通信して、この施設全体の災害(火災)発生を監視し、災害(火災)の発生が検知されると、その災害(火災)発生箇所を特定して、その特定した災害(火災)発生箇所を示す災害発生箇所情報をこの近距離無線通信手段を用いて複数の災害発生表示装置200−1〜200−nに通知する。
【0024】
また、複数の災害発生表示装置200−1〜200−nは、この近距離無線通信手段を用いて互いに通信を行い、災害(火災)発生時には、被誘導者を安全な場所に避難誘導するために、各災害発生表示装置200−1〜200−nの上記表示装置の矢印表示を、順次点灯させる等の誘導制御を行う。
【0025】
図2は、図1に示した災害監視装置100の詳細の一例を示すブロック図である。
【0026】
図2において、災害監視装置100は、電源部101、近距離無線通信部102、記憶部103、温度センサ104、煙センサ105、災害発生検知部106、災害発生箇所特定部107、表示制御部108、音声案内部110を制御部120に接続して構成される。
【0027】
電源部101は、この災害監視装置100に電源を供給するもので、電池、商用電源、商用電源により充電される充電池等から構成される。
【0028】
近距離無線通信部102は、図1に示した複数の災害発生検知装置400−1〜400−mとの間および複数の災害発生表示装置200−1〜200−nとの間の近距離無線通信を制御するもので、複数の災害発生検知装置400−1〜400−mからの、そのれぞれの配置箇所での災害(火災)発生の検知に基づく災害発生信号の受信および複数の災害発生表示装置200−1〜200−nに対する災害発生箇所情報の通知等を行う。
【0029】
記憶部103は、複数の災害発生検知装置400−1〜400−mとの間の近距離無線通信により取得した災害発生箇所情報等を記憶する。
【0030】
温度センサ104は、この災害監視装置100の設置位置での火災発生に伴い上昇する周囲温度を検知するものであり、煙センサ105は、この災害監視装置100の設置位置での火災発生に伴い発生する煙を検知するものである。
【0031】
災害発生検知部106は、この施設全体の災害(火災)発生を検知するもので、温度センサ104の検知出力および煙センサ105の検知出力に基づきこの災害監視装置100の設置位置での火災発生を検知し、近距離無線通信部102で受信した複数の災害発生検知装置400−1〜400−mからの災害発生信号に基づき各災害発生検知装置400−1〜400−mの設置位置での火災発生を検知する。
【0032】
災害発生箇所特定部107は、災害発生検知部106での災害発生の検知に基づき、この施設内の災害(火災)発生箇所を特定する。
【0033】
表示制御部108は、災害発生検知部106での災害発生の検知に基づき、災害発生を表示部109に表示する。この表示部109における災害発生の表示は、災害発生情報を文字表示により表示部109に表示するようにしてもよいが、災害発生の表示を特定の色若しくはその点滅により行ってもよい。
【0034】
例えば、災害発生検知部106での災害発生の検知が、自装置における温度センサ104または煙センサ105の検知出力に基づき行われた場合は、災害(火災)の発生箇所が近いので、赤色の高速での点滅制御を行い、災害発生検知部106での災害発生の検知が、近距離無線通信部102で受信した災害発生信号に基づき行われ、その災害発生信号の送信元の災害発生検知装置が自装置から遠い場合は、青色の低速での点滅制御を行い、近距離無線通信部102で受信した災害発生信号の送信元の災害発生検知装置が自装置から中距離である場合は、黄色の中速での点滅制御を行うようにしてもよい。
【0035】
音声案内部110は、災害発生検知部106での災害発生の検知に基づき、スピーカ11を用いて音声での災害発生報知を行う。この音声での災害発生報知は、災害発生に際しての注意事項、非難誘導案内情報の報知を行ってもよい。
【0036】
制御部120は、電源部101からの給電により動作し、近距離無線通信部102、記憶部103、温度センサ104、煙センサ105、災害発生検知部106、災害発生箇所特定部107、表示制御部108、音声案内部110を統括制御する。
【0037】
図3は、図2に示した災害監視装置100の外観の一例を示す図である。
【0038】
図3に示す災害監視装置100は、災害発生監視箇所の側壁等に設置されるもので、その前面に表示部109、スピーカ111が設けられており、その下面に温度センサ104、煙センサ105が設けられている。
【0039】
この災害監視装置100においては、温度センサ104および煙センサ105の検知出力に基づき災害(火災)発生を検知し、表示部109の表示により火災発生の報知を行うとともに、スピーカ111により災害(火災)発生に伴う必要な音声報知を行う。
【0040】
この構成の場合、表示部109の表示による火災発生の報知は、表示部109における文字情報等の表示若しくは、その文字情報若しくは表示部109全体の発光色若しくはその点滅制御によって行われる。
【0041】
図4は、図2に示した災害監視装置100の外観の他の例を示す図である。
【0042】
図4に示す災害監視装置100は、災害発生監視箇所の天井等に設置されるもので、円錐台状の表示部109と、その下面に設けられた温度センサ104、スピーカ111、煙センサ105を有する。
【0043】
この災害監視装置100においても、温度センサ104および煙センサ105の検知出力に基づき災害(火災)発生を検知し、表示部109の表示により火災発生の報知を行うとともに、スピーカ111により災害(火災)発生に伴う必要な音声報知を行う。
【0044】
この構成の場合、表示部109の表示による火災発生の報知は、表示部109全体の発光色若しくはその点滅制御によって行われる。
【0045】
図5は、図2に示した災害監視装置100の外観の更に他の例を示す図である。
【0046】
図5に示す災害監視装置100は、図4に示す災害監視装置100と同様に、災害発生監視箇所の天井等に設置されるものであるが、この災害監視装置100においては、表示部109が火災発生報知機能とともに、照明装置としての機能を有している。
【0047】
すなわち、この災害監視装置100は、通常、照明装置として機能する表示部109の中央部に、温度センサ104、スピーカ111、煙センサ105が設けられており、温度センサ104および煙センサ105の検知出力に基づき災害(火災)発生を検知し、表示部109全体の発光色若しくはその点滅制御により火災発生を報知し、また、スピーカ111により災害(火災)発生に伴う必要な音声報知を行う。
【0048】
図6は、図1に示した災害表示装置200の詳細の一例を示すブロック図である。
【0049】
図6において、災害表示装置200は、電源部201、近距離無線通信部202、記憶部203、距離判定部204、表示制御部205を制御部210に接続して構成される。 電源部201は、この災害表示装置200に電源を供給するもので、電池、商用電源、商用電源により充電される充電池等から構成される。
【0050】
近距離無線通信部202は、図1に示した災害監視装置100との間の近距離無線通信の制御により、災害監視装置100からの災害発生箇所情報の通知を受信するとともに、複数の災害発生表示装置200−1〜200−n相互間の近距離無線通信を制御して、
災害(火災)発生時には、被誘導者を安全な場所に避難誘導するために、各災害発生表示装置200−1〜200−nの上記表示装置の矢印表示を、順次点灯させる等の誘導制御を行う。
【0051】
記憶部103は、災害監視装置100との間の近距離無線通信により、災害監視装置100から取得した災害発生箇所情報等を記憶する。
【0052】
距離判別部204は、災害監視装置100との間の近距離無線通信により、災害監視装置100から取得した災害発生箇所情報に基づき自装置と災害(火災)発生箇所との距離の判別を行う。具体的には、自装置と災害(火災)発生箇所との間の距離を第1の距離と第1の距離より大きい第2の距離と比較して、自装置と災害(火災)発生箇所との間の距離が第1の距離より近いと、近距離と判別し、第1の距離と第2の距離との間にあると、中距離と判別し、第2の距離より遠いと、遠距離と判別する。
【0053】
表示制御部205は、災害(火災)発生時に、被誘導者を安全な場所に避難誘導するため災害(火災)発生時に、被誘導者を安全な場所に避難誘導するために、表示部206に誘導方向を示す矢印表示を行うとともに、この矢印表示を、距離判別部204の判定結果に基づき異なる色若しくは点滅周期で報知する。
【0054】
例えば、距離判別部204で、自装置と災害(火災)発生箇所との間の距離が、近距離であると判別されると、表示部206に表示される矢印表示を赤色で高速点滅するように制御し、中距離であると判別されると、表示部206に表示される矢印表示を黄色で中速点滅するように制御し、遠距離であると判別されると、表示部206に表示される矢印表示を青色で低速点滅するように制御する。
【0055】
図7は、図1に示した災害表示装置200の外観の一例を示す図である。
【0056】
図7に示す災害表示装置200は、避難誘導路300の壁面に設置されるもので、その前面に、表示部206が設けられている。この表示部206には、災害(火災)発生時に、被誘導者を安全な場所に避難誘導するための誘導方向を示す矢印表示がなされるとともに、この矢印表示が距離判別部204の判定結果に基づき異なる色若しくは点滅周期で表示制御される。
【0057】
なお、図7には、避難誘導路300の壁面に設置される災害表示装置200を示したが、この災害表示装置200は、避難誘導路300の床面若しくは天井に取り付けられるように構成してもよい。
【0058】
図8は、図1に示した災害監視装置の動作を説明するフローチャートである。
【0059】
この処理が開始されると、制御部120は、電源がONされたかを調べ(ステップ801)、電源がONされていないと(ステップ801でNO)、ステップ801に戻り、電源がONされるのを待つが、ステップ801で、電源がONされていると判断されると(ステップ801でYES)、近距離通信部102による通信を開始し(ステップ802)、災害発生検知装置400−1〜400−mから災害発生信号を受信したかを調べる(ステップ803)。
【0060】
災害発生検知装置400−1〜400−mのいずれかから災害発生信号を受信すると(ステップ803でYES)、この災害発生信号の発信元の災害発生検知装置の設置位置を災害発生箇所として特定し(ステップ804)、表示制御部108を制御して、表示装置109に災害発生を表示する(ステップ805)。
【0061】
次に、近距離無線通信部102を制御して、災害発生箇所が災害発生信号の発信元の災害発生検知装置の設置位置であるとする災害発生箇所通知を災害発生表示装置200−1〜200−nに対して行う(ステップ806)。そして、音声案内装置110を制御して、スピーカ111から災害発生の音声案内報知を行う(ステップ807)。
【0062】
ステップ803で、災害発生信号を受信していないと判断されると(ステップ803でNO)、次に、自装置の温度センサ104または煙センサ105の検知出力に基づき災害発生を検知したかを調べる(ステップ808)。
【0063】
ここで、災害発生を検知したと判断されると(ステップ808でYES)、災害発生箇所を自装置の配置位置であると特定し(ステップ809)、表示制御部108を制御して、表示装置109に災害発生を表示する(ステップ810)。
【0064】
次に、近距離無線通信部102を制御して、災害発生箇所が自装置の設置位置であるとする災害発生箇所情報を災害発生表示装置200−1〜200−nに通知する(ステップ811)。そして、音声案内装置110を制御して、スピーカ111から災害発生の音声案内報知を行う(ステップ812)。
【0065】
次に、電源OFFかを調べ(ステップ813)、電源OFFであると(ステップ813でYES)、近距離無線通信部120による通信を終了し(ステップ814)、この処理を終了するが、ステップ813で、電源OFFでないと判断されると(ステップ813でNO)、ステップ803に戻る。
【0066】
図9は、図1に示した災害表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【0067】
この処理が開始されると、制御部210は、電源がONされたかを調べ(ステップ901)、電源がONされていないと(ステップ901でNO)、ステップ901に戻り、電源がONされるのを待つが、ステップ901で、電源がONされていると判断されると(ステップ901でYES)、近距離通信部202による通信を開始し(ステップ902)、災害監視装置100から災害発生箇所情報の通知を受信したかを調べる(ステップ903)。
【0068】
ステップ903で、災害監視装置100から災害発生箇所情報の通知を受信したと判断されると(ステップ903でYES)、距離判別部204による自装置と災害発生箇所との距離の判別を行う(ステップ904)。
【0069】
次に、距離判別部204で判別された自装置と災害発生箇所との距離は、近距離かの判断がなされ(ステップ905)、ここで、近距離と判断されると(ステップ905でYES)、表示制御部205を制御し、表示部206の矢印表示を赤色高速点滅表示に制御する(ステップ906)。
【0070】
ステップ905で、自装置と災害発生箇所との距離が近距離ではないと判断されると(ステップ905でNO)、次に、距離判別部204で判別された自装置と災害発生箇所との距離は、中距離かを調べる(ステップ907)。ここで、自装置と災害発生箇所との距離が中距離であると判断されると(ステップ807でYES)、表示制御部205を制御し、表示部206の矢印表示を黄色中速点滅表示に制御する(ステップ908)。
【0071】
ステップ907で、自装置と災害(火災)発生箇所との距離が中距離ではないと判断されると(ステップ907でNO)、自装置と災害(火災)発生箇所との距離は遠距離であると判断して、表示制御部205を制御し、表示部206の矢印表示を青色低速点滅表示に制御する(ステップ909)。
【0072】
次に、電源OFFかを調べ(ステップ910)、電源OFFであると(ステップ910でYES)、近距離無線通信部202による災害監視装置100との通信を終了し(ステップ911)、この処理を終了するが、ステップ910で、電源OFFでないと判断されると(ステップ910でNO)、ステップ903に戻る。
【0073】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記実施例及び図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【符号の説明】
【0074】
10 災害表示システム
100 災害監視装置
101 電源部
102 近距離無線通信部
103 記憶部
104 温度センサ
105 煙センサ
106 災害発生検知部
107 災害発生箇所特定部
108 表示制御部
109 表示部
110 音声案内部
111 スピーカ
120 制御部
200、200−1〜200−n 災害表示装置
201 電源部
202 近距離無線通信部
203 記憶部
204 距離判定部
205 表示制御部
210 制御部
300 避難誘導路
400、400−1〜400−m 災害発生検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生を監視する災害監視装置と、
前記災害監視装置と近距離通信手段を介して接続され、避難誘導路上に分散配置される複数の災害表示装置と
を有し、
前記災害監視装置は、
災害発生を検知する災害発生検知手段と、
前記災害発生検知手段による災害発生の検知に基づき災害発生箇所を特定する災害発生箇所特定手段と、
前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報を前記複数の災害表示装置に前記近距離通信手段を介して通知する通知手段と
を具備し、
前記複数の災害表示装置は、
前記通知手段により通知された前記災害発生箇所情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記災害発生箇所情報に基づき自装置と災害発生箇所との距離を判別する判別手段と、
前記避難誘導路上の避難誘導方向を矢印表示する表示手段と、
前記表示手段の矢印表示を前記判別手段で判別した自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で表示制御する表示制御手段と
をそれぞれ具備することを特徴とする災害表示システム。
【請求項2】
前記災害発生検知手段は、
温度センサおよび煙センサを含む内部災害検知手段と、
外部災害検知装置からの災害発生信号を受信する災害発生信号受信手段と
を具備し、前記内部災害検知手段の検知出力もしくは前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知し、
前記災害発生箇所特定手段は、
前記災害発生検知手段が、前記内部検知手段の検知出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害監視装置の設置位置を災害発生箇所として特定し、前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害発生信号の発信元の外部災害検知装置の設置位置を災害発生箇所として特定することを特徴とする請求項1に記載の災害表示システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる色で表示することを特徴とする請求項1または2に記載の災害表示システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる点滅周期で点滅制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の災害表示システム。
【請求項5】
災害発生の監視領域の壁面若しくは天井に設置され、避難誘導路上に分散配置される複数の災害表示装置と近距離通信手段を介して接続される災害監視装置であって、
温度センサと、
煙センサと、
前記温度センサと前記煙センサの検知出力に基づき災害の発生を検知する内部災害発生検知手段と、
外部災害検知装置からの災害発生信号を受信する災害発生信号受信手段と、
前記内部災害検知手段の検知出力もしくは前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知する災害発生検知手段と、
前記災害発生検知手段が、前記内部検知手段の検知出力に基づき災害発生を検知した場合は、自装置の設置位置を災害発生箇所として特定し、前記災害発生信号受信手段の受信出力に基づき災害発生を検知した場合は、前記災害発生信号の発信元の外部災害検知装置の設置位置を災害発生箇所として特定する災害発生箇所特定手段と、
前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報を前記複数の災害表示装置に近距離通信手段を介して通知する通知手段と、
前記災害発生箇所特定手段で特定した災害発生箇所を示す災害発生箇所情報に基づき災害発生を報知する災害発生報知手段と
を具備することを特徴とする災害監視装置。
【請求項6】
災害発生を監視する災害監視装置と近距離通信手段を介して接続され、避難誘導路上に分散配置される災害表示装置であって、
前記災害監視装置から通知された前記災害発生箇所情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記災害発生箇所情報に基づき自装置と災害発生箇所との距離を判別する判別手段と、
前記避難誘導路上の避難誘導方向を矢印表示する表示手段と、
前記判別手段で判別した自装置と前記災害発生箇所との距離に対応した異なる態様で前記表示手段の矢印表示を表示制御する表示制御手段と
を具備することを特徴とする災害表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記表示手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる色で表示することを特徴とする請求項6に記載の災害表示装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記発光手段による前記矢印表示を、自装置と前記災害発生箇所との距離に対応して異なる点滅周期で点滅制御することを特徴とする請求項6または7に記載の災害表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73499(P2013−73499A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213304(P2011−213304)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【特許番号】特許第5000002号(P5000002)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(503158475)株式会社ティーエヌケー (14)
【Fターム(参考)】