説明

炊飯器とそのプログラム

【課題】本発明は、米の保管庫の湿度を測定し、その保管状態を加味して最適な炊飯制御を行なう炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯器10が読取手段1と、制御手段2と、報知手段3と、炊飯手段4とを具備し、米収納容器20に添付された無線ICタグ21の情報を読取手段1が読み取り、無線ICタグ21の情報から米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を取得し、米情報と、米を保管する保管庫60の湿度情報とに応じて前記制御手段2が、報知手段3から最適な水の量を報知すると共に、炊飯手段4の制御を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグの読取手段を具備した炊飯器とそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
おいしいご飯を食べたいという限りない要求を満たすための炊飯器に関する研究は昔から行なわれてきたが、昨今ではユビキタスネットワークが言われ、家庭内機器もネットワークに接続される時代を迎えつつあり、特許文献1のように、発注した米の銘柄に応じた調理シーケンスをネットワーク(通信手段)から受信して記憶し、常に最適の調理を行なう技術も考案されている。
【特許文献1】特開2001−299581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こういった方法でも、米の保管庫の湿度を測定し、その保管状態を加味して調理制御することまでは行なっていなかったので、保管中に変化していく米の状態を加味した炊飯制御は出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、前記の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器が読取手段と、制御手段と、報知手段と、炊飯手段とを具備し、米収納容器に添付された無線ICタグの情報を前記読取手段が読み取り、前記無線ICタグの情報から米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を取得し、前記米情報と、前記米収納容器を保管する保管庫の湿度情報とに応じて前記制御手段が、前記報知手段から最適な水の量を報知すると共に、前記炊飯手段の制御を行うようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明の炊飯器とそのプログラムは、銘柄に応じた炊飯を行なうだけでなく、精米後の経過時間に加え、米の保管庫の湿度を測定し、その保管状態を加味して調理制御するので、精米後どんどんと変化していく米の状態を加味した炊飯制御が可能となり、より美味しいご飯を炊くことが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1の発明は、炊飯器が読取手段と、制御手段と、報知手段と、炊飯手段とを具備し、米収納容器に添付された無線ICタグの情報を前記読取手段が読み取り、前記無線ICタグの情報から米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を取得し、前記米情報と、前記米を保管する保管庫の湿度情報とに応じて前記制御手段が、前記報知手段から最適な水の量を報知すると共に、前記炊飯手段の制御を行う。
【0007】
これにより、銘柄に応じた炊飯を行なうだけでなく、精米後の経過時間に加え、米の保管庫の湿度を測定し、その保管状態を加味して調理制御するので、精米後どんどんと変化していく米の状態を加味した炊飯制御が可能となり、より美味しいご飯を炊くことが期待できる。
【0008】
第2の発明は、特に第1の発明の炊飯器において、制御手段がメモリーを具備し、直近に取得した米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を、前記制御手段のメモリーに記憶する。
【0009】
これにより、一旦読み込んだ米の銘柄が変わるまではその米の銘柄をそのまま使用することが出来るので、炊飯のたびに無線ICタグを読み取らせる必要がなくなる。
【0010】
第3の発明は、特に第1〜2いずれかの発明の炊飯器において、米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報に応じて、最適な炊飯手段の制御方法をネットワークに接続された炊飯器情報サーバから取得する。
【0011】
これにより、炊飯器情報サーバをメーカがメンテナンスする範囲ではあるが、新しく発売された新銘柄にも対応可能となり、炊き方が変更された銘柄にも対応可能となり常に最新の制御方法が取得できるので、最良の炊飯が期待できる。
【0012】
第4の発明は、第1〜3の発明の炊飯器において、少なくともひとつの手段をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、CPU、RAM、ROM、記憶装置、I/Oなどを備えた電気情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて本発明の一部あるいは全てをプログラムとして容易に実現することができる。また記録媒体に記録あるいは、通信回線を用いてプログラム配信することにより、プログラム配布が他の手段に比べて極めて簡単に実現できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて一実施形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の炊飯器とそのネットワークの構成一例を示す図である。炊飯器10は、読取手段1、制御手段2、報知手段3、炊飯手段4を具備している。
【0015】
米収納容器(米袋)20は、最終的には湿度センサー61を具備した保管庫60で保管されることを想定しており、この湿度センサー61の湿度情報はネットワーク30を経由して炊飯器10の制御手段2にて利用される。
【0016】
米収納容器20には無線ICタグ21が添付されており、この無線ICタグ21には米収納容器20に収納されている米に関する情報が書き込まれている。この米に関する情報には、いくつかの種類が想定され、米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報であったり、また、米情報ではなくコード情報だけであることも考えられる。
【0017】
コード情報の場合には、炊飯器10が具備した制御手段2がネットワーク30を経由して米情報サーバ40にアクセスして、コード情報に対応した米情報(米の銘柄、産地、生産年、精米年月日)を取得するといった手続きが必要になる。
【0018】
なお、このように取得した米情報(米の銘柄、産地、生産年、精米年月日)は、一旦制御手段2が具備したメモリーに記憶され、新たな米情報を得るまで、この情報が炊飯制御に用いられる。これにより炊飯するたびに、読取手段1に無線ICタグ21を読み取らせていて米情報を取得するという手間を省くことが期待できる。
【0019】
次に、米情報に応じて、制御手段2が予め記憶している炊飯制御を行なっていく。制御手段2には銘柄ごとの炊飯方法が予め登録されており、適正な水加減(水の量)、炊き方、炊く時間が登録されているが、精米年月日からの経過時間も重要な要素になってくるので、それらも加味した炊飯方法を決定していく(当然ながら、通常の保管では経過時間が長いほど、しかも乾燥した状態で保管するほど、米の水分が失われている)。
【0020】
さらにこの時に、保管庫60の湿度センサーの情報も加味した上で、さらに詳細な炊飯方法を決定していく。
【0021】
保管庫60には湿度センサー61が具備されており、炊飯器10は定期的(例えば毎日1回)にネットワーク30経由で温度センサー61から湿度情報を受け、前述のように米情報が制御手段2の具備するメモリーに記憶された時点から(すなわち、米が初めて保管庫に入れられた時期から)保管庫60の湿度に関する情報を記録しておく。湿度を例えば3段階(低湿度、適正湿度、高湿度)に分けて、保管日数を加味して、米の乾燥度合いを推定し、その度合いに応じて炊飯時の標準的な水加減に対して1%増し、2%増しといった指示をすることになる。これらのデータは炊飯器10の制御手段2が一定の法則に基づき内部処置にて算出することになる。
【0022】
例えば、低湿度で10日保管であれば、低湿度係数を0.03として、それに保管日数を掛けると0.03*10=0.3となり、0.3すなわち水を0.3%増しとする。あるいは、適正湿度で100日保管であれば、同じく係数を0.005として0.005*100=0.5となり、0.5すなわち水を0.5%増しといった具合で水加減を指示する。もちろん保管の湿度から適度な水加減を求める方法であれば、この方法以外であってもよい。
【0023】
ちなみに、高湿度になるような保管はカビの発生による悪影響などを考えて好ましいとはいえず、このような保管は避けるべきである。
【0024】
なお、炊飯制御という点では、水加減を増やした際には、沸騰させるための熱量も増えるため、炊飯時の発生熱量を増やすことが好ましいが、炊飯時間を延長するといったことでも構わない。
【0025】
さらに、米を新しく入れ替えて米情報が制御手段2の具備するメモリーに再度記憶された時点に、一旦これまでの湿度に関する情報を初期化することは、米が新しく入れ替えられた際に有効である。
【0026】
以上のように、保管状態と保管期間に応じて、炊飯に最も影響を与えると考えられる水加減を決定し、米の単位重量あたり最適な水の量の増減を炊飯器10が具備した報知手段3から報知するとともに、最適な炊飯条件で炊飯を行なうことになる。
【0027】
ここまでは、保管状態を加味して水加減を調整するように記述をしてきたが、米の経年変化も考慮して、経年数が一ヶ月増えるごとに水加減をさらに0.5%ずつ増していくということを合わせて実施しても構わない。
【0028】
さらに、米の銘柄、産地、米の生産年、精米年月日からの経過日数に応じて上記低湿度係数を変えるなど水加減を調整すればさらに炊飯条件を最適化できる。
【0029】
なお、前述の制御手段2が具備したデータベース(図示しない)を検索しても、米情報に対応する炊飯方法がなかった場合は、例えば新規に開発された米銘柄についてはデータベースに登録されていないので、制御手段2がネットワーク30を経由して炊飯器情報サーバ50にアクセスして、その米銘柄に最適な炊飯方法を取得して、その炊飯方法に従ってここまで述べてきたのと同様に保管状態を加味した上で炊飯を行なう。
【0030】
もちろん、炊飯しようとする米が既に制御手段2に登録された銘柄であっても、敢えて制御手段2がネットワーク30を経由して炊飯器情報サーバ50にアクセスして、その米銘柄に最適な炊飯方法を取得することも好ましい。その銘柄により最適な情報として更新された炊飯方法が取得できて、より適切な炊飯が可能となるかもしれないからである。
【0031】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0032】
ここまでの説明では米収納容器に添付された無線ICタグを用いて説明してきたが、無線ICタグに限定する理由はなく、1次元あるいは2次元バーコードであっても良いし、非接触でなくても良く、接触型のICカードであっても良いし、何らかの媒体であって、ここまで述べてきたような米情報(米の銘柄、産地、生産年、精米年月日)を取得することが出来るのであれば、同様の効果が期待できる。
【0033】
また、炊飯器に限定せず、保管温度がその後の処理に影響を与えるような家電機器、産業機器であっても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる炊飯器とそのプログラムは、炊飯器が読取手段と、制御手段と、報知手段と、炊飯手段とを具備し、米収納容器に添付された無線ICタグの情報を前記読取手段が読み取り、前記無線ICタグの情報から米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を取得し、前記米情報と、前記米収納容器を保管する保管庫の湿度情報とに応じて前記制御手段が、前記報知手段から最適な水の量を報知すると共に、前記炊飯手段の制御を行うようにした。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の炊飯器とそのネットワークの構成一例を示す図
【符号の説明】
【0036】
1 読取手段
2 制御手段
3 報知手段
4 炊飯手段
10 炊飯器
20 米収納容器(米袋)
21 無線ICタグ
30 ネットワーク
40 米情報サーバ
50 炊飯器情報サーバ
60 保管庫
61 湿度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器が、読取手段と、制御手段と、報知手段と、炊飯手段とを具備し、
米収納容器に添付された無線ICタグの情報を前記読取手段が読み取り、前記無線ICタグの情報から米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を取得し、前記米情報と、前記米を保管する保管庫の湿度情報とに応じて前記制御手段が、前記報知手段から最適な水の量を報知すると共に、前記炊飯手段の制御を行うことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
制御手段がメモリーを具備し、直近に取得した米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報を、前記制御手段のメモリーに記憶することを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
米の銘柄、産地、生産年、精米年月日に関する米情報に応じて、最適な炊飯手段の制御方法をネットワークに接続された炊飯器情報サーバから取得することを特徴とする請求項1〜2いずれかの炊飯器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の炊飯器において少なくともひとつの手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−255161(P2006−255161A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76824(P2005−76824)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】