炊飯器
【課題】炊飯が終了した後、直ちに炊飯器の蓋(ふた)体を開放することができるようにする。
【解決手段】炊飯器本体12と、蓋体13とを有する。そして、前記炊飯器本体12内には、釜部材が配設される。また、前記蓋体13には、前記釜部材内と炊飯器11外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。この場合、炊飯が終了した後、直ちに圧力逃し装置によって開口を強制的に開放することができ、釜部材内の圧力を低くした状態で蓋体13を開放することができる。
【解決手段】炊飯器本体12と、蓋体13とを有する。そして、前記炊飯器本体12内には、釜部材が配設される。また、前記蓋体13には、前記釜部材内と炊飯器11外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。この場合、炊飯が終了した後、直ちに圧力逃し装置によって開口を強制的に開放することができ、釜部材内の圧力を低くした状態で蓋体13を開放することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、精米する前の米である胚芽米を、発芽させた後、炊飯することができるようにした炊飯器においては、胚芽米及び水を内釜に投入し、発芽工程において、胚芽米を、15分以上3時間以内の設定された時間、所定の温度に加熱して発芽させ、続いて、炊飯工程において、発芽させた米、すなわち、発芽米を炊飯するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3484391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の炊飯器においては、炊飯工程で発芽米を所定の圧力を加えた状態で炊飯しようとする場合、炊飯が終了した後、炊飯器内の圧力を低くするのに時間がかかり、その間、炊飯器の蓋(ふた)体を開放することができない。
【0004】
本発明は、前記従来の炊飯器の問題点を解決して、炊飯が終了した後、直ちに炊飯器の蓋体を開放することができるようにした炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の炊飯器においては、炊飯器本体と、該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有する。
【0006】
そして、前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設される。また、前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炊飯器においては、炊飯器本体と、該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有する。
【0008】
そして、前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設される。また、前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。
【0009】
この場合、蓋体には、釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設されるので、例えば、炊飯が終了した後、直ちに圧力逃し装置によって開口を強制的に開放することができ、釜部材内の圧力を低くした状態で蓋体を開放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態における炊飯器の透視側面図、図2は本発明の実施の形態における炊飯器の要部を示す平面図、図3は本発明の実施の形態における炊飯器の透視正面図、図4は本発明の実施の形態における内釜の正面図、図5は本発明の実施の形態における内釜の平面図、図6は本発明の実施の形態における蓋体の底面図、図7は本発明の実施の形態におけるロック機構の動作を示す図、図8は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第1の図、図9は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第2の図、図10は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第3の図、図11は本発明の実施の形態におけるパッキンの底面図、図12は本発明の実施の形態におけるパッキンの断面図、図13は本発明の実施の形態におけるパッキンの平面図、図14は図11のX−X断面図である。なお、図6は蓋体13を裏面から見た図である。
【0012】
図において、11は炊飯器、12は該炊飯器11の本体、すなわち、炊飯器本体、13は蓋体、Cs1は前記炊飯器本体12の外筐(きょう)、Cs2は蓋体13の外筐である。
【0013】
前記炊飯器本体12内には、所定の箇所に第1の釜部材としての外釜14が配設され、該外釜14内に円形の形状を有する第2の釜部材としての内釜15が挿脱自在に配設される。前記外釜14の側壁の外周面に、周方向にわたって加熱・保温用のヒータh1が配設され、外釜14の底壁の内周面と内釜15の底壁の外周面との間に、加熱用のヒータh2が配設される。また、前記蓋体13内には、内蓋21上に加熱・保温用の図示されないヒータh3が配設される。前記ヒータh2によって第1の加熱源が、ヒータh1によって第2の加熱源が、ヒータh3によって第3の加熱源が構成される。
【0014】
また、図4及び5に示されるように、前記内釜15は、釜本体16、該釜本体16の上端において径方向外方に向けて突出させて形成されたフランジ部17、及び該フランジ部17よりわずかに下方において、周方向における2箇所に取り付けられた取手18を備える。前記フランジ部17には、周方向における複数箇所、本実施の形態においては、6箇所に、一定のピッチで張出し量の大きい第1の張出部25、及び各第1の張出部25間において張出し量が第1の張出部25より小さくされた第2の張出部26が形成される。
【0015】
また、前記蓋体13内には、所定の箇所に第1の蓋部材としての外蓋20が配設され、該外蓋20内に第2の蓋部材としての内蓋21が、前記蓋体13の底面に臨ませて配設され、前記内蓋21の外周縁に沿って弾性材料から成る密閉部材としてのパッキン22が配設される。
【0016】
前記蓋体13は、前記炊飯器本体12に対してヒンジhg1によって揺動自在に支持され、閉鎖位置及び開放位置を採ることにより、炊飯器11が開閉されるようになっている。なお、蓋体13は図示されない付勢部材としてのスプリングによって開放位置を採るように付勢される。したがって、前記炊飯器本体12における蓋体13と隣接する部分に配設された押しボタン19を押すと、前記蓋体13がスプリングの付勢力によって回動させられ、自動的に開放される。
【0017】
また、操作者が前記蓋体13を閉鎖すると、内蓋21が内釜15の上方を覆い、パッキン22によって内釜15内が密閉され、さらに、必要に応じて内釜15内を加圧することができる。
【0018】
さらに、前記蓋体13はロック機構31を備え、該ロック機構31によって蓋体13を閉鎖した状態でロックすることができる。前記ロック機構31は、図2に示されるように、蓋体13の前端(図1において左端)の近傍に形成された弧状の形状を有する操作窓30内で矢印A方向に移動自在に配設され、かつ、上方に向けて突出させて形成された操作部材としての操作レバー32、図6に示されるように、前記外蓋20に対して相対的に矢印B方向に回動自在に配設され、操作レバー32を操作して移動させるのに伴って、回動させられ、蓋体13をロックするロック位置、及び蓋体13のロックを解除するロック解除位置を採る環状の係止部材33等を備える。
【0019】
該係止部材33は、図3に示されるように、内蓋21の外周縁の上面に沿って環状に延びる水平環状部34、該水平環状部34の外周縁から下方に向けて延び、前記内蓋21の外周縁の側面を包囲する垂直環状部35、及び該垂直環状部35から径方向内方に向けて環状に延びる水平環状部36を備え、該水平環状部36は、前記フランジ部17と対応させて形成される。
【0020】
そして、図6に示されるように、水平環状部36には、周方向における複数箇所、本実施の形態においては、6箇所に、一定のピッチで係止部37が形成され、各係止部37間に非係止部38が形成される。該非係止部38の周方向の幅は、第1の張出部25の周方向の幅より大きくされる。
【0021】
ところで、係止部材33がロック解除位置に置かれているときに、前記蓋体13を閉鎖すると、前述されたように、内蓋21が内釜15の上方を覆い、パッキン22によって内釜15内が密閉される。このとき、水平環状部36における係止部37は、フランジ部17における第1の張出部25間の第2の張出部26より径方向外側を抜け、フランジ部17より下方に位置させられる。また、フランジ部17における第1の張出部25は、水平環状部36における係止部37間の非係止部38より径方向内側を抜け、水平環状部36より上方に位置させられる。
【0022】
続いて、前記蓋体13を閉鎖した状態で、操作レバー32を操作して係止部材33をロック位置に置くと、各係止部37が各第1の張出部25の下方に移動し、各第1の張出部25と係止部37とが係止させられる。
【0023】
その結果、蓋体13を開放しようとしても、内釜15の移動が阻止されるので、前記蓋体13を、閉鎖した状態でロックすることができる。
【0024】
ところで、前記構成の炊飯器11においては、発芽工程で胚芽米を発芽させた後、炊飯工程で発芽米を炊飯することができるようになっている。なお、前記胚芽米、発芽米等、及び胚芽米を発芽させるための、また、発芽米を炊飯するための水によって被調理物が構成される。
【0025】
そして、前記発芽工程においては、内釜15が気密状態に置かれると、発芽に伴って発生する臭気が発芽米に付着してしまう。そこで、発芽工程において、内釜15内は、炊飯器11外と連通させられ、大気圧下に置かれる。
【0026】
一方、炊飯工程においては、内釜15内は炊飯器11外と遮断され、気密状態に置かれ、内釜15内の圧力が高くされ、発芽米は加圧された状態で炊飯される。
【0027】
そこで、内釜15内を炊飯器11外と連通させたり、炊飯器11外と遮断したりするために、第1、第2の開閉機構41、43が配設される。
【0028】
前記第1の開閉機構41は、内蓋21から内釜15内に向けて突出させて形成された通気口55、該通気口55と連通させ、上方に向けて延在させて形成された圧力逃し管56、該圧力逃し管56の先端に取り付けられた外側開口部57、及び炊飯器11外において前記外側開口部57を覆う開閉部材としての、かつ、重りとしての分銅58を備える。
【0029】
前記圧力逃し管56は、内蓋21、外蓋20及び外筐Cs2を貫通して延び、先端を外筐Cs2から突出させて形成される。また、前記外側開口部57は上端に開口が形成され、前記分銅58は所定の重力荷重で外側開口部57の開口を覆う。したがって、通常、外側開口部57の開口は分銅58によって閉鎖されるので、内釜15内の圧力を所定の値に維持することができる。そして、内釜15内の圧力が第1の閾(しきい)値、本実施の形態においては、69〔kPa〕より高くなると、分銅58の重力荷重に抗して分銅58が持ち上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くすることができる。
【0030】
また、前記外側開口部57の開口を強制的に開放するために、前記第1の開閉機構41には、圧力逃し管56と隣接させて圧力逃し装置60が配設される。該圧力逃し装置60は、前記外蓋20及び外筐Cs2を貫通して、上下方向に移動自在に配設されたロッド61、及び該ロッド61を上下方向に移動させる移動部材としてのカム63を備え、前記ロッド61の上端に、分銅58と当接自在に跳ね上げ部62が形成される。
【0031】
前記カム63は、係止部材33の所定の箇所の上面に取り付けられ、係止部材33が回動させられるのに伴って、ロッド61の下端面と摺(しゅう)動しながら移動し、ロッド61を上下方向に移動させ、下位置及び上位置に置く。そして、係止部材33がロック位置に置かれると、図8及び9に示されるように、カム63はロッド61の下端面から離れ、ロッド61は下位置に置かれる。このとき、跳ね上げ部62は分銅58の下端から離れて、分銅58は外側開口部57の開口を閉鎖する。また、係止部材33がロック解除位置に置かれると、図10に示されるように、カム63はロッド61の下端面を押し上げ、ロッド61は上位置に置かれる。このとき、跳ね上げ部62は分銅58を跳ね上げ、分銅58は外側開口部57の開口を開放する。
【0032】
したがって、蓋体13を開放しようとして、操作レバー32を操作して係止部材33をロック解除位置に置くと、分銅58が跳ね上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くした状態で蓋体13を開放することができる。しかも、炊飯が終了した後、直ちに蓋体13を開放することができる。
【0033】
また、前記第2の開閉機構43は、内蓋21から内釜15内に向けて突出させて形成された通気口71、該通気口71と連通させて形成され、内釜15内と炊飯器11外との間を選択的に連通させる開閉弁としての電磁バルブ72、該電磁バルブ72と連通させて、かつ、外筐Cs2を貫通して上方に向けて延び、先端を外筐Cs2から突出させて形成された外側開口部73、及び炊飯器11外において前記外側開口部73を覆い、多孔を備えたカバー74を有する。前記電磁バルブ72は、圧力検出部としての図示されない圧力センサ、スプールを備えたバルブ部、及び駆動部としての図示されないソレノイド部を有する。
【0034】
したがって、第2の開閉機構43を開閉装置として機能させ、操作部51を操作することによって、ソレノイド部を駆動し、スプールを移動させてバルブ部を開閉し、前記外側開口部73を開放状態に置いたり、閉鎖状態に置いたりすることができる。また、前記第2の開閉機構43を圧力開放装置として機能させ、内釜15内の圧力を開放することができる。その場合、前記圧力センサによって検出された圧力が第2の閾値、本実施の形態においては、102〔kPa〕より高くなると、ソレノイド部が駆動され、スプールが移動してバルブ部が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くすることができる。
【0035】
本実施の形態においては、圧力センサによって検出された圧力に基づいてソレノイド部が駆動され、バルブ部が開放されるようになっているが、温度検出部としての図示されない温度センサによって検出された温度に基づいてソレノイド部を駆動し、バルブ部を開放することができる。
【0036】
次に、前記構成の炊飯器11の動作について説明する。
【0037】
まず、胚芽米、並びに該胚芽米を発芽させるための水及び発芽米を炊飯するための水を内釜15に投入し、操作部51を操作することによって、発芽工程の時間、及び炊飯工程の時間を設定する。続いて、前記操作部51を操作して、スイッチを入れると、図示されない制御部の発芽処理手段は、発芽処理を行い、発芽工程を開始し、ヒータh1、h3を通電し、内釜15内の胚芽米及び水の加熱を開始する。そして、前記胚芽米及び水は、28〜34〔℃〕の温度に加熱され、胚芽米は発芽させられ、発芽米になる。なお、必要に応じて発芽工程を開始するまでの時間をタイマで設定することができる。
【0038】
また、前記制御部の圧力制御処理手段は、圧力制御処理を行い、発芽工程が行われている間、電磁バルブ72を開放する。したがって、内釜15内と炊飯器11外とが連通させられる。
【0039】
次に、前記発芽工程において、あらかじめ設定された時間だけ行われ、設定された時間が経過すると、前記発芽処理手段は、発芽工程を終了し、前記ヒータh1、h3の通電を停止させる。
【0040】
ところで、発芽工程における水の温度を28〔℃〕にして、胚芽米中にν−アミノ酪酸が含有される量を径時的に測定すると、0〜4時間で急激に多くなり、その後は徐々に多くなることが分かる。そして、6時間以上胚芽米を水に浸漬し続けると、臭気が発生することが分かる。そこで、本実施の形態においては、発芽工程の時間を、3時間以上、6時間以内とする。
【0041】
続いて、制御部の炊飯処理手段は、炊飯処理を行い、炊飯工程を開始し、ヒータh2、h3を通電し、内釜15内の発芽米及び水の加熱を開始し、炊飯を行う。また、前記圧力制御処理手段は、圧力制御処理を行い、電磁バルブ72を閉鎖する。これに伴って、内釜15内の圧力が高くなり、69〔kPa〕より高くなると、分銅58が重力荷重に抗して持ち上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の蒸気等が排出され、圧力が過剰に高くなるのが防止される。
【0042】
次に、前記炊飯工程において、あらかじめ設定された温度になるように温度制御が行われ、外釜14内の温度が設定された温度に到達すると、前記炊飯処理手段は、炊飯工程を終了し、前記ヒータh2、h3の通電を停止させる。
【0043】
さらに、前記制御部の図示されない保温処理手段は、保温処理を行い、保温工程を開始し、ヒータh1、h3の通電を開始し、炊飯された米を保温する。
【0044】
また、前記圧力制御処理手段は、保温工程が行われている間、電磁バルブ72を開放する。したがって、内釜15内と炊飯器11外とが連通させられ、内釜15内の圧力が低下させられる。
【0045】
ところで、前記炊飯工程においては、電磁バルブ72が閉鎖され、外側開口部57の開口が間欠的に開放され、内釜15内の圧力が69〔kPa〕に保持されるようになっているが、第1の開閉機構41に異常が発生すると、内釜15内の圧力が過剰に高くなることが考えられる。ところが、内釜15内の圧力が102〔kPa〕より高くなると、第2の開閉機構43において、ソレノイド部が駆動され、スプールが移動してバルブ部が開放されるので、内釜15内の蒸気等を炊飯器11外に逃がすことができる。したがって、内釜
15内の圧力が過剰に高くなるのを防止することができる。
【0046】
また、前記電磁バルブ72を必要に応じて開閉することができるので、発芽及び炊飯以外の調理を行う際に、内釜15内の圧力を最適な値にし、例えば、被調理物に圧力を加えないようにすることができる。
【0047】
このように、本実施の形態においては、前記第1、第2の開閉機構41、43によって内釜15内の圧力が過剰に高くなるのを防止するようにしているが、第1の開閉機構41において外側開口部57の開口が詰まったり、第2の開閉機構43において電磁バルブ72のバルブ部が詰まったりすると、内釜15内の圧力が過剰に高くなってしまう。
【0048】
そこで、前記パッキン22に圧力逃し装置の機能を持たせるようにしている。そのために、前記パッキン22は、弾性材料、本実施の形態においては、シリコーンゴムから成り、内蓋21に貼(ちょう)着するための底壁81、該底壁81の径方向内方の縁部から立ち上げて形成された内側壁82、前記底壁81の径方向外方の縁部から立ち上げて形成された外側壁83、前記内釜15の上端に接触させられ、内釜15内をシールするシール片84、及びパッキン22を内蓋21に対して位置決めを行うための突出部85を備える。
【0049】
そして、前記底壁81における内蓋21と対向する面側に、一定のピッチで、変形誘因部としての凹部86が形成される。該凹部86は、周方向において所定の長さにわたり、所定の深さで形成され、内釜15内の圧力の上昇に伴って、パッキン22の変形を誘因する。
【0050】
したがって、内釜15内の圧力が第3の閾値、本実施の形態においては、220〔kPa〕より高くなると、前記パッキン22における凹部86の周辺の部分が変形し、シール片84と内釜15との間に隙(すき)間が形成され、該隙間を介して内釜15内の蒸気等を逃がすことができる。その結果、内釜15内の圧力が過剰に高くなるのを防止することができる。
【0051】
前記第3の閾値は、パッキン22の材料を選択して硬度を変更したり、凹部86のピッチ、形状等を変更したりすることによって調整することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態における炊飯器の透視側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における炊飯器の要部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における炊飯器の透視正面図である。
【図4】本発明の実施の形態における内釜の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態における内釜の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における蓋体の底面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるロック機構の動作を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第1の図である。
【図9】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第2の図である。
【図10】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第3の図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるパッキンの底面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるパッキンの断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるパッキンの平面図である。
【図14】図11のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11 炊飯器
12 炊飯器本体
13 蓋体
14 外釜
15 内釜
22 パッキン
31 ロック機構
57 外側開口部
58 分銅
60 圧力逃し装置
72 電磁バルブ
86 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、精米する前の米である胚芽米を、発芽させた後、炊飯することができるようにした炊飯器においては、胚芽米及び水を内釜に投入し、発芽工程において、胚芽米を、15分以上3時間以内の設定された時間、所定の温度に加熱して発芽させ、続いて、炊飯工程において、発芽させた米、すなわち、発芽米を炊飯するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3484391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の炊飯器においては、炊飯工程で発芽米を所定の圧力を加えた状態で炊飯しようとする場合、炊飯が終了した後、炊飯器内の圧力を低くするのに時間がかかり、その間、炊飯器の蓋(ふた)体を開放することができない。
【0004】
本発明は、前記従来の炊飯器の問題点を解決して、炊飯が終了した後、直ちに炊飯器の蓋体を開放することができるようにした炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の炊飯器においては、炊飯器本体と、該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有する。
【0006】
そして、前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設される。また、前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炊飯器においては、炊飯器本体と、該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有する。
【0008】
そして、前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設される。また、前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設される。
【0009】
この場合、蓋体には、釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設されるので、例えば、炊飯が終了した後、直ちに圧力逃し装置によって開口を強制的に開放することができ、釜部材内の圧力を低くした状態で蓋体を開放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態における炊飯器の透視側面図、図2は本発明の実施の形態における炊飯器の要部を示す平面図、図3は本発明の実施の形態における炊飯器の透視正面図、図4は本発明の実施の形態における内釜の正面図、図5は本発明の実施の形態における内釜の平面図、図6は本発明の実施の形態における蓋体の底面図、図7は本発明の実施の形態におけるロック機構の動作を示す図、図8は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第1の図、図9は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第2の図、図10は本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第3の図、図11は本発明の実施の形態におけるパッキンの底面図、図12は本発明の実施の形態におけるパッキンの断面図、図13は本発明の実施の形態におけるパッキンの平面図、図14は図11のX−X断面図である。なお、図6は蓋体13を裏面から見た図である。
【0012】
図において、11は炊飯器、12は該炊飯器11の本体、すなわち、炊飯器本体、13は蓋体、Cs1は前記炊飯器本体12の外筐(きょう)、Cs2は蓋体13の外筐である。
【0013】
前記炊飯器本体12内には、所定の箇所に第1の釜部材としての外釜14が配設され、該外釜14内に円形の形状を有する第2の釜部材としての内釜15が挿脱自在に配設される。前記外釜14の側壁の外周面に、周方向にわたって加熱・保温用のヒータh1が配設され、外釜14の底壁の内周面と内釜15の底壁の外周面との間に、加熱用のヒータh2が配設される。また、前記蓋体13内には、内蓋21上に加熱・保温用の図示されないヒータh3が配設される。前記ヒータh2によって第1の加熱源が、ヒータh1によって第2の加熱源が、ヒータh3によって第3の加熱源が構成される。
【0014】
また、図4及び5に示されるように、前記内釜15は、釜本体16、該釜本体16の上端において径方向外方に向けて突出させて形成されたフランジ部17、及び該フランジ部17よりわずかに下方において、周方向における2箇所に取り付けられた取手18を備える。前記フランジ部17には、周方向における複数箇所、本実施の形態においては、6箇所に、一定のピッチで張出し量の大きい第1の張出部25、及び各第1の張出部25間において張出し量が第1の張出部25より小さくされた第2の張出部26が形成される。
【0015】
また、前記蓋体13内には、所定の箇所に第1の蓋部材としての外蓋20が配設され、該外蓋20内に第2の蓋部材としての内蓋21が、前記蓋体13の底面に臨ませて配設され、前記内蓋21の外周縁に沿って弾性材料から成る密閉部材としてのパッキン22が配設される。
【0016】
前記蓋体13は、前記炊飯器本体12に対してヒンジhg1によって揺動自在に支持され、閉鎖位置及び開放位置を採ることにより、炊飯器11が開閉されるようになっている。なお、蓋体13は図示されない付勢部材としてのスプリングによって開放位置を採るように付勢される。したがって、前記炊飯器本体12における蓋体13と隣接する部分に配設された押しボタン19を押すと、前記蓋体13がスプリングの付勢力によって回動させられ、自動的に開放される。
【0017】
また、操作者が前記蓋体13を閉鎖すると、内蓋21が内釜15の上方を覆い、パッキン22によって内釜15内が密閉され、さらに、必要に応じて内釜15内を加圧することができる。
【0018】
さらに、前記蓋体13はロック機構31を備え、該ロック機構31によって蓋体13を閉鎖した状態でロックすることができる。前記ロック機構31は、図2に示されるように、蓋体13の前端(図1において左端)の近傍に形成された弧状の形状を有する操作窓30内で矢印A方向に移動自在に配設され、かつ、上方に向けて突出させて形成された操作部材としての操作レバー32、図6に示されるように、前記外蓋20に対して相対的に矢印B方向に回動自在に配設され、操作レバー32を操作して移動させるのに伴って、回動させられ、蓋体13をロックするロック位置、及び蓋体13のロックを解除するロック解除位置を採る環状の係止部材33等を備える。
【0019】
該係止部材33は、図3に示されるように、内蓋21の外周縁の上面に沿って環状に延びる水平環状部34、該水平環状部34の外周縁から下方に向けて延び、前記内蓋21の外周縁の側面を包囲する垂直環状部35、及び該垂直環状部35から径方向内方に向けて環状に延びる水平環状部36を備え、該水平環状部36は、前記フランジ部17と対応させて形成される。
【0020】
そして、図6に示されるように、水平環状部36には、周方向における複数箇所、本実施の形態においては、6箇所に、一定のピッチで係止部37が形成され、各係止部37間に非係止部38が形成される。該非係止部38の周方向の幅は、第1の張出部25の周方向の幅より大きくされる。
【0021】
ところで、係止部材33がロック解除位置に置かれているときに、前記蓋体13を閉鎖すると、前述されたように、内蓋21が内釜15の上方を覆い、パッキン22によって内釜15内が密閉される。このとき、水平環状部36における係止部37は、フランジ部17における第1の張出部25間の第2の張出部26より径方向外側を抜け、フランジ部17より下方に位置させられる。また、フランジ部17における第1の張出部25は、水平環状部36における係止部37間の非係止部38より径方向内側を抜け、水平環状部36より上方に位置させられる。
【0022】
続いて、前記蓋体13を閉鎖した状態で、操作レバー32を操作して係止部材33をロック位置に置くと、各係止部37が各第1の張出部25の下方に移動し、各第1の張出部25と係止部37とが係止させられる。
【0023】
その結果、蓋体13を開放しようとしても、内釜15の移動が阻止されるので、前記蓋体13を、閉鎖した状態でロックすることができる。
【0024】
ところで、前記構成の炊飯器11においては、発芽工程で胚芽米を発芽させた後、炊飯工程で発芽米を炊飯することができるようになっている。なお、前記胚芽米、発芽米等、及び胚芽米を発芽させるための、また、発芽米を炊飯するための水によって被調理物が構成される。
【0025】
そして、前記発芽工程においては、内釜15が気密状態に置かれると、発芽に伴って発生する臭気が発芽米に付着してしまう。そこで、発芽工程において、内釜15内は、炊飯器11外と連通させられ、大気圧下に置かれる。
【0026】
一方、炊飯工程においては、内釜15内は炊飯器11外と遮断され、気密状態に置かれ、内釜15内の圧力が高くされ、発芽米は加圧された状態で炊飯される。
【0027】
そこで、内釜15内を炊飯器11外と連通させたり、炊飯器11外と遮断したりするために、第1、第2の開閉機構41、43が配設される。
【0028】
前記第1の開閉機構41は、内蓋21から内釜15内に向けて突出させて形成された通気口55、該通気口55と連通させ、上方に向けて延在させて形成された圧力逃し管56、該圧力逃し管56の先端に取り付けられた外側開口部57、及び炊飯器11外において前記外側開口部57を覆う開閉部材としての、かつ、重りとしての分銅58を備える。
【0029】
前記圧力逃し管56は、内蓋21、外蓋20及び外筐Cs2を貫通して延び、先端を外筐Cs2から突出させて形成される。また、前記外側開口部57は上端に開口が形成され、前記分銅58は所定の重力荷重で外側開口部57の開口を覆う。したがって、通常、外側開口部57の開口は分銅58によって閉鎖されるので、内釜15内の圧力を所定の値に維持することができる。そして、内釜15内の圧力が第1の閾(しきい)値、本実施の形態においては、69〔kPa〕より高くなると、分銅58の重力荷重に抗して分銅58が持ち上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くすることができる。
【0030】
また、前記外側開口部57の開口を強制的に開放するために、前記第1の開閉機構41には、圧力逃し管56と隣接させて圧力逃し装置60が配設される。該圧力逃し装置60は、前記外蓋20及び外筐Cs2を貫通して、上下方向に移動自在に配設されたロッド61、及び該ロッド61を上下方向に移動させる移動部材としてのカム63を備え、前記ロッド61の上端に、分銅58と当接自在に跳ね上げ部62が形成される。
【0031】
前記カム63は、係止部材33の所定の箇所の上面に取り付けられ、係止部材33が回動させられるのに伴って、ロッド61の下端面と摺(しゅう)動しながら移動し、ロッド61を上下方向に移動させ、下位置及び上位置に置く。そして、係止部材33がロック位置に置かれると、図8及び9に示されるように、カム63はロッド61の下端面から離れ、ロッド61は下位置に置かれる。このとき、跳ね上げ部62は分銅58の下端から離れて、分銅58は外側開口部57の開口を閉鎖する。また、係止部材33がロック解除位置に置かれると、図10に示されるように、カム63はロッド61の下端面を押し上げ、ロッド61は上位置に置かれる。このとき、跳ね上げ部62は分銅58を跳ね上げ、分銅58は外側開口部57の開口を開放する。
【0032】
したがって、蓋体13を開放しようとして、操作レバー32を操作して係止部材33をロック解除位置に置くと、分銅58が跳ね上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くした状態で蓋体13を開放することができる。しかも、炊飯が終了した後、直ちに蓋体13を開放することができる。
【0033】
また、前記第2の開閉機構43は、内蓋21から内釜15内に向けて突出させて形成された通気口71、該通気口71と連通させて形成され、内釜15内と炊飯器11外との間を選択的に連通させる開閉弁としての電磁バルブ72、該電磁バルブ72と連通させて、かつ、外筐Cs2を貫通して上方に向けて延び、先端を外筐Cs2から突出させて形成された外側開口部73、及び炊飯器11外において前記外側開口部73を覆い、多孔を備えたカバー74を有する。前記電磁バルブ72は、圧力検出部としての図示されない圧力センサ、スプールを備えたバルブ部、及び駆動部としての図示されないソレノイド部を有する。
【0034】
したがって、第2の開閉機構43を開閉装置として機能させ、操作部51を操作することによって、ソレノイド部を駆動し、スプールを移動させてバルブ部を開閉し、前記外側開口部73を開放状態に置いたり、閉鎖状態に置いたりすることができる。また、前記第2の開閉機構43を圧力開放装置として機能させ、内釜15内の圧力を開放することができる。その場合、前記圧力センサによって検出された圧力が第2の閾値、本実施の形態においては、102〔kPa〕より高くなると、ソレノイド部が駆動され、スプールが移動してバルブ部が開放される。その結果、内釜15内の圧力を低くすることができる。
【0035】
本実施の形態においては、圧力センサによって検出された圧力に基づいてソレノイド部が駆動され、バルブ部が開放されるようになっているが、温度検出部としての図示されない温度センサによって検出された温度に基づいてソレノイド部を駆動し、バルブ部を開放することができる。
【0036】
次に、前記構成の炊飯器11の動作について説明する。
【0037】
まず、胚芽米、並びに該胚芽米を発芽させるための水及び発芽米を炊飯するための水を内釜15に投入し、操作部51を操作することによって、発芽工程の時間、及び炊飯工程の時間を設定する。続いて、前記操作部51を操作して、スイッチを入れると、図示されない制御部の発芽処理手段は、発芽処理を行い、発芽工程を開始し、ヒータh1、h3を通電し、内釜15内の胚芽米及び水の加熱を開始する。そして、前記胚芽米及び水は、28〜34〔℃〕の温度に加熱され、胚芽米は発芽させられ、発芽米になる。なお、必要に応じて発芽工程を開始するまでの時間をタイマで設定することができる。
【0038】
また、前記制御部の圧力制御処理手段は、圧力制御処理を行い、発芽工程が行われている間、電磁バルブ72を開放する。したがって、内釜15内と炊飯器11外とが連通させられる。
【0039】
次に、前記発芽工程において、あらかじめ設定された時間だけ行われ、設定された時間が経過すると、前記発芽処理手段は、発芽工程を終了し、前記ヒータh1、h3の通電を停止させる。
【0040】
ところで、発芽工程における水の温度を28〔℃〕にして、胚芽米中にν−アミノ酪酸が含有される量を径時的に測定すると、0〜4時間で急激に多くなり、その後は徐々に多くなることが分かる。そして、6時間以上胚芽米を水に浸漬し続けると、臭気が発生することが分かる。そこで、本実施の形態においては、発芽工程の時間を、3時間以上、6時間以内とする。
【0041】
続いて、制御部の炊飯処理手段は、炊飯処理を行い、炊飯工程を開始し、ヒータh2、h3を通電し、内釜15内の発芽米及び水の加熱を開始し、炊飯を行う。また、前記圧力制御処理手段は、圧力制御処理を行い、電磁バルブ72を閉鎖する。これに伴って、内釜15内の圧力が高くなり、69〔kPa〕より高くなると、分銅58が重力荷重に抗して持ち上げられ、外側開口部57の開口が開放される。その結果、内釜15内の蒸気等が排出され、圧力が過剰に高くなるのが防止される。
【0042】
次に、前記炊飯工程において、あらかじめ設定された温度になるように温度制御が行われ、外釜14内の温度が設定された温度に到達すると、前記炊飯処理手段は、炊飯工程を終了し、前記ヒータh2、h3の通電を停止させる。
【0043】
さらに、前記制御部の図示されない保温処理手段は、保温処理を行い、保温工程を開始し、ヒータh1、h3の通電を開始し、炊飯された米を保温する。
【0044】
また、前記圧力制御処理手段は、保温工程が行われている間、電磁バルブ72を開放する。したがって、内釜15内と炊飯器11外とが連通させられ、内釜15内の圧力が低下させられる。
【0045】
ところで、前記炊飯工程においては、電磁バルブ72が閉鎖され、外側開口部57の開口が間欠的に開放され、内釜15内の圧力が69〔kPa〕に保持されるようになっているが、第1の開閉機構41に異常が発生すると、内釜15内の圧力が過剰に高くなることが考えられる。ところが、内釜15内の圧力が102〔kPa〕より高くなると、第2の開閉機構43において、ソレノイド部が駆動され、スプールが移動してバルブ部が開放されるので、内釜15内の蒸気等を炊飯器11外に逃がすことができる。したがって、内釜
15内の圧力が過剰に高くなるのを防止することができる。
【0046】
また、前記電磁バルブ72を必要に応じて開閉することができるので、発芽及び炊飯以外の調理を行う際に、内釜15内の圧力を最適な値にし、例えば、被調理物に圧力を加えないようにすることができる。
【0047】
このように、本実施の形態においては、前記第1、第2の開閉機構41、43によって内釜15内の圧力が過剰に高くなるのを防止するようにしているが、第1の開閉機構41において外側開口部57の開口が詰まったり、第2の開閉機構43において電磁バルブ72のバルブ部が詰まったりすると、内釜15内の圧力が過剰に高くなってしまう。
【0048】
そこで、前記パッキン22に圧力逃し装置の機能を持たせるようにしている。そのために、前記パッキン22は、弾性材料、本実施の形態においては、シリコーンゴムから成り、内蓋21に貼(ちょう)着するための底壁81、該底壁81の径方向内方の縁部から立ち上げて形成された内側壁82、前記底壁81の径方向外方の縁部から立ち上げて形成された外側壁83、前記内釜15の上端に接触させられ、内釜15内をシールするシール片84、及びパッキン22を内蓋21に対して位置決めを行うための突出部85を備える。
【0049】
そして、前記底壁81における内蓋21と対向する面側に、一定のピッチで、変形誘因部としての凹部86が形成される。該凹部86は、周方向において所定の長さにわたり、所定の深さで形成され、内釜15内の圧力の上昇に伴って、パッキン22の変形を誘因する。
【0050】
したがって、内釜15内の圧力が第3の閾値、本実施の形態においては、220〔kPa〕より高くなると、前記パッキン22における凹部86の周辺の部分が変形し、シール片84と内釜15との間に隙(すき)間が形成され、該隙間を介して内釜15内の蒸気等を逃がすことができる。その結果、内釜15内の圧力が過剰に高くなるのを防止することができる。
【0051】
前記第3の閾値は、パッキン22の材料を選択して硬度を変更したり、凹部86のピッチ、形状等を変更したりすることによって調整することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態における炊飯器の透視側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における炊飯器の要部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における炊飯器の透視正面図である。
【図4】本発明の実施の形態における内釜の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態における内釜の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における蓋体の底面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるロック機構の動作を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第1の図である。
【図9】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第2の図である。
【図10】本発明の実施の形態における圧力開放機構の動作を示す第3の図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるパッキンの底面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるパッキンの断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるパッキンの平面図である。
【図14】図11のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11 炊飯器
12 炊飯器本体
13 蓋体
14 外釜
15 内釜
22 パッキン
31 ロック機構
57 外側開口部
58 分銅
60 圧力逃し装置
72 電磁バルブ
86 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有するとともに、
(c)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(d)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設されることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
(a)前記蓋体は、蓋体を閉鎖した状態でロックするためのロック機構を備え、
(b)前記圧力逃し装置は、蓋体のロックを解除するのに伴って前記開口を強制的に開放する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体と、
(c)制御部とを有するとともに、
(d)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(e)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを選択的に連通させる開閉弁が配設され、
(f)前記制御部の圧力制御処理手段は、被調理物に対応させて前記開閉弁を開閉することを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
前記圧力制御処理手段は、発芽工程において前記開閉弁を開放し、炊飯工程において前記開閉弁を閉鎖する請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有するとともに、
(c)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(d)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを密閉する密閉部材が配設され、
(e)該密閉部材に、釜部材内の圧力の上昇に伴って変形を誘因する変形誘因部が形成されることを特徴とする炊飯器。
【請求項1】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有するとともに、
(c)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(d)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを連通する開口を、重力荷重及び釜部材内の圧力に基づいて開閉する開閉部材、並びに前記開口を強制的に開放するための圧力逃し装置が配設されることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
(a)前記蓋体は、蓋体を閉鎖した状態でロックするためのロック機構を備え、
(b)前記圧力逃し装置は、蓋体のロックを解除するのに伴って前記開口を強制的に開放する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体と、
(c)制御部とを有するとともに、
(d)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(e)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを選択的に連通させる開閉弁が配設され、
(f)前記制御部の圧力制御処理手段は、被調理物に対応させて前記開閉弁を開閉することを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
前記圧力制御処理手段は、発芽工程において前記開閉弁を開放し、炊飯工程において前記開閉弁を閉鎖する請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
(a)炊飯器本体と、
(b)該炊飯器本体に対して揺動自在に配設され、開閉させられる蓋体とを有するとともに、
(c)前記炊飯器本体内には、被調理物を収容するための釜部材が配設され、
(d)前記蓋体には、前記釜部材内と炊飯器外とを密閉する密閉部材が配設され、
(e)該密閉部材に、釜部材内の圧力の上昇に伴って変形を誘因する変形誘因部が形成されることを特徴とする炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−68709(P2007−68709A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258001(P2005−258001)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(392005171)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(392005171)
【Fターム(参考)】
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