説明

炊飯器

【課題】おねばの蒸気循環系への侵入を防止して過熱蒸気の鍋内への供給を確実とし、これより食味に優れた炊飯を可能としたものである。
【解決手段】鍋加熱手段7,8により加熱される鍋6内の蒸気をポンプ51を駆動することにより蒸気循環路24を介して循環流動させるとともに、その循環の途中で蒸気加熱手段27で再加熱して過熱蒸気とし、ポンプ51への吸引側は鍋内から外部へ形成された蒸気排出路46にあって、同蒸気排出路46へのおねば流動を防止するおねば検出体48よりも下流側の部位に連通させ、鍋内→蒸気排出路→ポンプ→鍋内の順で蒸気を循環するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱蒸気を用いた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種炊飯器は、炊飯器本体に対して着脱自在に装着され、上方開放部が蓋体で開閉される鍋内の蒸気をシロッコファンなどのポンプを介して循環流動させるとともに、その循環の途中で蒸気を加熱して過熱蒸気とするようになっていた。
【0003】
蒸気循環は主に炊飯動作行程の炊き上げ行程、特にむらし行程で行われるもので、これにより、米、水の加熱において不足する鍋上方からの加熱を行い、併せて乾燥をも抑止して食味を高めるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−289117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の炊飯器にあっては、炊飯中に鍋内で発生する煮汁成分、所謂おねばが蒸気循環系に侵入して詰まることがあった。そのため、過熱蒸気の鍋内への散布ができなくなり、鍋上方からの熱供給が不足して初期の食味が得られない問題があった。
【0005】
また、おねばにより蒸気循環系が汚れる課題もあり、その除去清掃に非常に手間がかかるものであった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解消したものであって、おねばの蒸気循環系への侵入を防止して過熱蒸気の鍋内への供給を確実とし、これより食味に優れた炊飯を可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、炊飯器本体に対して着脱自在に装着され、上方開放部には開閉自在な蓋体を有する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内の蒸気をポンプを介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気加熱手段と、前記鍋内から外部へ形成された蒸気排出路と、この蒸気排出路へのおねば流動を防止するおねば流動防止手段とを具備し、前記蒸気循環路の吸引側は、蒸気排出路のおねば流動防止手段よりも蒸気流動下流側の部位に連通させ、鍋内→蒸気排出路→ポンプ→鍋内の順で蒸気を循環するようにしたものである。
【0008】
これにより、蒸気循環路へのおねばの侵入を確実に防止できるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器によれば、蒸気循環路へのおねばの侵入が防止されるため、必要なときに過熱蒸気を確実に鍋上方へ供給することができ、これにより、優れた食味の炊飯ができるとともに、蒸気循環路に汚れが付きにくく、メンテナンス面で有利であり、常時衛生的に維持できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の炊飯器は、炊飯器本体に対して着脱自在に装着され、上方開放部には開閉自在な蓋体を有する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内の蒸気をポンプを介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気
とする蒸気加熱手段と、前記鍋内から外部へ形成された蒸気排出路と、この蒸気排出路へのおねば流動を防止するおねば流動防止手段とを具備し、前記蒸気循環路の吸引側は、蒸気排出路のおねば流動防止手段よりも蒸気流動下流側の部位に連通させ、鍋内→蒸気排出路→ポンプ→鍋内の順で蒸気を循環するようにしたもので、これにより、蒸気循環路へのおねばの侵入を確実に防止できるものである。
【0011】
おねば流動防止手段は、蒸気排出路へのおねば侵入を検知するおねば検知体と、このおねば検知体によるおねば検出と連係して鍋加熱手段の出力を低下させる制御手段とからなる。
【0012】
したがって、鍋加熱手段の出力を低下させることでおねばのそれ以上の上昇がなくなって、蒸気循環路への侵入が阻止されることとなる。
【0013】
より具体的には、おねば検知体を磁性材で構成するとともに、おねばによる前記おねば検知体の移動と連係してリードスイッチを作動させ、このリードスイッチの作動状態を制御手段に入力して鍋加熱手段の出力を低下させるようにした。
【0014】
また、蒸気加熱手段は、蓋体の鍋側に配置され、間に蒸気循環路を一部となる空間を形成する上下2枚の蓋板、および少なくとも一方の蓋板を加熱する加熱源で構成した。そして、その加熱源として電磁誘導コイルを採用する場合には、上部蓋板上に電磁誘導コイルを配置するとともに、下部蓋板を磁性材で、上部蓋板を非磁性材でそれぞれ形成する。
【0015】
これにより、磁性材製の下部蓋板が電磁誘導で発熱(加熱)されるとともに、下部蓋板程ではないが、非磁性材製の上部蓋板も電磁誘導で発熱(加熱)され、それらの間の空間を流れる蒸気を有効に加熱する。
【0016】
ポンプの駆動による蒸気循環路を介した蒸気の循環は、炊飯動作のむらし行程時に行うのが望ましい。
【0017】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、実施の形態が本発明を限定するものでないことは、いまさら言うまでもないことであろう。
【0018】
(実施の形態1)
図1〜3において、炊飯器本体1は、金属製の保護枠胴2の下部に合成樹脂などの非磁性材からなる深皿状の保護枠3を連設して構成した有底筒状の鍋収納部4を内設し、また、これら炊飯器本体1と鍋収納部4との上方隙間はリング状の枠体5で閉じられている。
【0019】
磁性材製の鍋6は前記鍋収納部4に着脱自在に収納され、鍋加熱手段7,8で加熱されるようにしてある。
【0020】
本実施の形態において、前記鍋加熱手段7は鍋6の底部、および下部周壁に対応して保護枠3に配設した電磁誘導コイルから構成されており、鍋6が電磁誘導加熱されるようにしてある。詳しくは、鍋6が電磁誘導により自身が発熱するものであるが、便宜上、この発熱も加熱として表現している。
【0021】
また、もう一つの鍋加熱手段8は鍋6の上部周壁と対応して保護枠胴2に巻装され、外周を断熱材9で覆った電気ヒータ線で構成してあり、通電により電気ヒータ線が発熱して、保護枠胴2を加熱し、これにより同保護枠胴2からは鍋6の上部周壁へ向け輻射熱が放射されるようにしてある。
【0022】
電磁誘導コイルの鍋加熱手段7から外側へ出る磁力線はフェライト10で反射され、また、遮蔽板11でさらに遮断されるようにして、磁力線の外部への漏洩を防止している。
【0023】
前記鍋6の外底面中央部に接する鍋温度センサ12からの温度信号は後述するマイコン13へ送られるようにしてある。
【0024】
そして、このマイコン13は加熱電力送出部14を介して電磁誘導コイルよりなる鍋加熱手段7へ供給する高周波電流、および鍋加熱手段8へ供給する電流を可変することで鍋6の温度を炊飯・保温時に適温になるように制御するものである。
【0025】
加熱電力送出部14はアルミやアルミダイキャストなどで形成され、かつファンモータ15の送風路に位置するヒートシンク16を有するものである。
【0026】
前記鍋6は炊飯器本体1の後方上部にヒンジ17を介して軸支された蓋体18で開閉されるようにしてある。
【0027】
図3のように、この蓋体18は合成樹脂よりなる蓋カバー19と間隔をおいて配置した上下蓋板20,21とからなる中空状の構成で、通常は炊飯器本体1の前側に設けた尾錠22でその閉じ状態が維持されるようにしてある。
【0028】
尾錠22を解錠すると、前記ヒンジ17の近傍に設けたスプリング23によって蓋体18が自動的に開くようにしてある。そして、その開蓋動作を制動するように制動手段が設けてある。
【0029】
前記蓋体18の上蓋板20はオーステナイト系ステンレスなどの非磁性金属で、下蓋板21は鉄板やフェライト系ステンレス板などの磁性材でそれぞれ形成され、それらの間の間隔は蒸気循環路24の一部をなす蒸気通路25に設定してある。
【0030】
蓋体18の内部であって、しかも上蓋板20の所定上方には合成樹脂などの非磁性材からなる隔壁26が存在し、この上面に蒸気加熱手段27が配置してある。
【0031】
本実施の形態の場合、前記蒸気加熱手段27はリング状の電磁誘導コイルで構成されており、これから放射される磁力線は上蓋板20をほとんどが透過して下蓋板21を誘導加熱(発熱)する。前記磁力線は上蓋板20を透過するが全てが透過するのではなく、やはり同上蓋板20を誘導加熱(発熱)する。
【0032】
したがって、前記蒸気通路25が高温となり、その中を流れる蒸気を加熱して100℃以上の、いわゆる、過熱蒸気とするようになっている。
【0033】
蒸気加熱手段27の一部と隔壁26とに挟まれるようにして温度ヒューズ28が設けられており、また、蒸気加熱手段27の上方には反射板29があり、電磁誘導コイルからなる蒸気加熱手段27の電磁波が外部に漏れ出すのを防止している。
【0034】
下蓋板21と鍋6のフランジ部6aとの間はパッキン30が介在され、鍋6の内部を水密にシールしており、さらに、前記上下蓋板20,21間の間隔はパッキン31で環状にシール区画されて、結果的に蒸気通路25を形成しているものである。
【0035】
32は蓋センサで、センサバネ33による押圧で下蓋板21に当接してその温度を検知する。
【0036】
先のマイコン13は蓋体18に内設されており、また、蓋カバー19には、操作部34と表示部35を構成する操作基板36が基板カバー37に覆われて設置されている。
【0037】
操作基板36上の液晶38は炊飯器の設定状態や動作状態を表示する。
【0038】
また、蓋カバー19はその一部が透明な樹脂で構成されており、その表面はフィルム39で一体に覆われており、部分的にフィルム39のみの部分からなるエンボス部40を有している。
【0039】
エンボス部40は上下に撓み、キートップ41、およびタクトスイッチ42で操作スイッチを構成している。
【0040】
基板カバーパッキン43は基板カバー37の外周部と蓋カバー19に設けた基板カバーシールリブ44で挟持され、基板カバー37と蓋カバー19の間を水密にシールし、万が一、蓋体18内に蒸気が侵入しても操作基板36が結露しないようにしてある。
【0041】
ところで、前記蓋体18の一部には着脱自在な排出筒45を有する蒸気排出路46が上下に貫通して設けられている。
【0042】
排出筒45は水平に対して傾斜したガイド部47にて移動自在に保持された球状のマグネットからなるおねば検出体48が配備され、また、このマグネットからなるおねば検出体48により開閉されるリードスイッチ49が蒸気排出路46の外側で、蓋体18の内部に位置して設けてある。
【0043】
前記おねば検出体48は、ふきぼれ検知用としてだけではなく、蓋体18の開閉検知手段を構成するものである。
【0044】
蒸気排出路46はパッキン50を介して蓋体18の内部とは隔離シールされているものである。
【0045】
前記蓋体18の内部にはシロッコ型などのポンプ51が装備されている。そして、その吸引側に接続された吸引管52は蒸気排出路46と一体に形成されていて、ゴムなどのパッキン53を介して排出筒45の内部、すなわち蒸気路54に開口されている。
【0046】
前記吸引管52における蒸気路54の開口部位は、先のおねば検出体48よりも上記流動下流側に位置設定されている。
【0047】
また、ポンプ51の吐出側より導出された吐出管55は上蓋板20に形成した蒸気吐出口56にゴムなどのパッキン57を介して接続されて蒸気通路25に臨ませてある。
【0048】
下蓋板21には蒸気放出口58が形成されていている。つまり、先の蒸気循環路24は、鍋6の上層部→排出筒45の蒸気路54→吸引管52→ポンプ51→吐出管55→蒸気通路25→蒸気放出口58→鍋6の上層部の経路で構成されるものである。
【0049】
なお、排出筒45は汚れに対するメンテナンス用などのために設けたもので、場合によっては、蒸気排出路46そのものの内部を蒸気路54とし、おねば検出体48も同蒸気排出路46に直接的に配置することも考えられる。
【0050】
また、排出筒45の上方開放部は蒸気口59をもつカバー60で覆われている。
【0051】
次に上記構成において動作を説明する。
【0052】
蓋体18を開け、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋6に入れ、鍋収納部4の所定の状態に内挿する。
【0053】
蓋体18の開放状態では、おねば検出体48は重力によってリードスイッチ49から遠ざかり、その接点が開放となる。これにより蓋体18の開閉が検知可能となる。
【0054】
引き続き、操作部34の炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、マイコン13が炊飯開始スイッチよりの入力を受け、炊飯工程が実施される。
【0055】
このとき液晶38に動作状態が表示され、その透明な樹脂を透過して外部より目視可能にすることで、使用者に炊飯器の動作状態を知らせる。
【0056】
鍋温度センサ12は鍋6の底面の温度を検知し、マイコン13へと信号を送る。
【0057】
信号を受けてマイコン13は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分された炊飯工程のそれぞれにおいて、鍋6の内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間維持されるよう、加熱電力送出部14を介して通電される鍋加熱手段7,8や蒸気加熱手段27の通電量を制御する。
【0058】
誘導加熱方式は、各誘導コイルに通電した高周波電流から発生する高周波磁界が被加熱金属を通過する際に誘導加熱を引き起こし発熱する。
【0059】
ここで、加熱電力送出部14は高周波電流を各誘導コイルへ供給する際、電気抵抗ロスおよび高周波発生時のスイッチングロスで自己発熱する。
【0060】
加熱電力送出部14が自己発熱で許容温度以上に高温となると、破壊する場合があるので、アルミやアルミダイキャストなどでできたヒートシンク16を通じで放熱する。
【0061】
ファンモータ15でヒートシンク16は冷却され、効率的に加熱電力送出部14の冷却が行われる。
【0062】
鍋加熱手段7は鍋6を誘導加熱(発熱)させる。ここで、フェライト10は鍋加熱手段7から発生する磁界を効率よく鍋6側へ集める。
【0063】
これにより、鍋6はその周辺に高密度の磁界が発生するところから、より高効率に加熱(発熱)されることとなる。
【0064】
また、遮蔽板11は鍋加熱手段7からの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止し、周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0065】
蒸気加熱手段27は加熱電力送出部14より供給される電流で上、下蓋板20,21を同時に発熱させる。
【0066】
ここで上部蓋板20は前述のとおり非磁性金属製で、かつ0.4mm以下の薄板で構成されるため、高周波磁界を透過しつつ誘導加熱で自己発熱する。
【0067】
上蓋体20を透過した高周波磁界は磁性金属でできた下蓋板21を誘導加熱し、これにより、上下蓋板20,21間の蒸気通路25も加熱されることとなる。
【0068】
なお、上下蓋板20,21の発熱比は蒸気加熱手段27からの距離と、材料物性などにて任意に設定が可能である。また、蒸気加熱手段27の上方の反射板29が高周波磁界の外部の漏出を防止し、マイコン13や周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0069】
一方の鍋加熱手段9は加熱電力送出部14より供給される電流で自己発熱し、保護枠胴2を加熱する。保護枠胴2が熱せられることによる輻射熱、および対流熱で鍋6の側面を加熱する。
【0070】
続いて、各工程での炊飯器の動作を説明する。まず、浸水工程では米の糊化が開始しない温度まで米と水の温度が上昇するように鍋加熱手段8を通電し鍋6を発熱させる。
【0071】
そして、所定の温度で所定時間米を浸水し、米全体に十分な吸水を促す。浸水工程において、鍋6の米全体を目的の温度で均一に維持し、吸水条件を均一に保つ。
【0072】
次に、炊き上げ工程では、鍋加熱手段7で鍋6の底面を誘導加熱(発熱)するとともに、蒸気加熱手段27では上下蓋板20,21を加熱し、鍋加熱手段8では鍋6の側面を加熱して、この鍋6の全体を包み込むように加熱する。
【0073】
炊き上げ工程においては、強火の加熱で一気に炊き上げ、米の芯まで熱を伝えることが重要である。誘導加熱方式だと熱板によって鍋を加熱する方式に比べ高火力で鍋を加熱することができ、よりおいしいごはんが炊き上がる。
【0074】
そして、この時発生する煮汁であるおねばも排出筒45へと流れ込むが、大量にそのおねばが流れ込む前にマグネットからなるおねば検出体48が押し上げられ、リードスイッチ49を開く。
【0075】
これと連動して加熱電力送出部14を介して鍋加熱手段8などの火力を低下することでふきこぼれを抑制でき、水加減に応じて自動的にふきこぼれ直前まで強火での加熱を可能にし、よりおいしいごはんが炊ける。
【0076】
したがって、蒸気循環路24における吸引管52が前記おねば検出体48よりも蒸気流動下流側に連なっているため、ポンプ51を駆動していてもその吸引管52を介しておねばが侵入することがないものである。
【0077】
なお、吐出管52からのおねばの侵入が考えられる場合は、蒸気放出口58などに圧力弁を設けておけば、ポンプ51の非駆動時にも問題とはならない。
【0078】
以上より、蒸気循環路24、特に、ポンプ51がおねばで詰まり、蒸気循環を阻害するようなことを未然に防ぐことができるものである。
【0079】
鍋温度センサ12がおよそ130℃を検知すると、鍋6内の水はそのほとんどを米に吸収されるもしくは蒸発し、ごはんとして炊きあがった状態となる。
【0080】
そして、次の工程であるむらし工程へと移行する。ただし、鍋6の水分はすべて蒸発した訳でなく、鍋底の水分が減っただけであり、また鍋内には大量の水分が残っている。
【0081】
そこで、むらし工程では、鍋加熱手段7が鍋6の底面の飯が乾燥したりこげたりしない程度にその底面を加熱する。
【0082】
そして、鍋加熱手段7の通電量低下に伴い、ファンモータ15はその回転数を低下させるか停止する。
【0083】
併せて、ポンプ51を駆動することで、鍋6内の蒸気はその上層部→排出筒45→吸引管52→ポン51→吐出管55→蒸気通路25→蒸気放出口58→鍋6の上層部と循環する。
【0084】
蒸気加熱手段27により加熱されている先の蒸気通路25を蒸気が流動するとき、同蒸気はさらに加熱されて過熱蒸気化され、鍋6の内部上層部を効果的に加熱し加湿するものである。
【0085】
さらに、鍋6内の蒸気の一部は排出筒45から蒸気口59に至り、その後外部へ排出されるものである。
【0086】
むらし工程では飯が芯までの糊化するように飯が乾燥したりこげたりしない温度で鍋6全体を高温の状態に保つことが大切であるが、本実施の形態のように100℃以上の高温蒸気を飯に供給することにより、第1に、蒸気が供給されるがゆえに飯の乾燥を伴わない、しかも、第2に100℃以下の蒸気供給では飯粒表面に水が付着するに留まるが、100℃以上の蒸気であるので、米澱粉の糊化を進行させるのに必要なエネルギーをもち、糊化を促進し、炊飯性能を向上させることができる。
【0087】
さらには、上、下蓋板20,21で蒸気を挟み込むように加熱することで、蒸気の温度を瞬時に、かつ効率よく高温蒸気とすることができるので、よりおいしいごはんを炊くことができる。
【0088】
また、下蓋板21は100℃以上の高温となっているため、炊飯後に加熱板に露付き等が発生することもない。
【0089】
(実施の形態2)
図4は実施の形態2を示し、先の実施の形態1と異なるところは、蒸気循環路24に気密型のポンプ61を介在させた点である。
【0090】
なお、図3と同作用を行う構成部分には同一符号を付し、具体的説明は実施の形態1のものを援用する。
【0091】
上述のような構成の炊飯器において、ポンプ61が気密型であってその停止時は蒸気循環路24が閉空間となる。
【0092】
したがって、吐出側に圧力弁などの逆止弁を設けなくても、おねばがポンプ61に流入するようなことはなくものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように本発明の炊飯器は、蒸気循環路へのおねばの侵入が防止されるため、必要なときに過熱蒸気を確実に鍋上方へ供給することができ、これにより、優れた食味の炊飯ができるとともに、蒸気循環路に汚れが付きにくく、メンテナンス面で有利であり、常時衛生的に維持でき、一般家庭用はもとより業務用炊飯装置への利用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1を示す炊飯器の全体断面図
【図2】同炊飯器の過熱蒸気発生部の断面図
【図3】蒸気循環系の断面図
【図4】本発明の実施の形態2を示す炊飯器の気循環系の断面図
【符号の説明】
【0095】
1 炊飯器本体
6 鍋
7,8 鍋加熱手段
18 蓋体
20,21 蓋板
24 蒸気循環路
27 蒸気加熱手段
46 蒸気排出路
48 おねば検出体
49 リードスイッチ
51,61 ポンプ
52 吸引管
55 吐出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体に対して着脱自在に装着され、上方開放部には開閉自在な蓋体を有する鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋内の蒸気をポンプを介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気加熱手段と、前記鍋内から外部へ形成された蒸気排出路と、この蒸気排出路へのおねば流動を防止するおねば流動防止手段とを具備し、前記蒸気循環路の吸引側は、蒸気排出路のおねば流動防止手段よりも蒸気流動下流側の部位に連通させ、鍋内→蒸気排出路→ポンプ→鍋内の順で蒸気を循環するようにした炊飯器。
【請求項2】
おねば流動防止手段は、蒸気排出路へのおねば侵入を検知するおねば検知体と、このおねば検知体によるおねば検出と連係して鍋加熱手段の出力を低下させる制御手段とからなる請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
おねば検知体を磁性材で構成するとともに、おねばによる前記おねば検知体の移動と連係してリードスイッチを作動させ、このリードスイッチの作動状態を制御手段に入力して鍋加熱手段の出力を低下させるようにした請求項1または2記載の炊飯器。
【請求項4】
蓋体の鍋側に配置され、間に蒸気循環路を一部となる空間を形成する上下2枚の蓋板、および少なくとも一方の蓋板を加熱する加熱源で蒸気加熱手段を構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
上部蓋板上に加熱源となる電磁誘導コイルを配置するとともに、下部蓋板を磁性材で、上部蓋板を非磁性材でそれぞれ形成した請求項4記載の炊飯器。
【請求項6】
炊飯動作のむらし行程時にポンプを駆動して蒸気循環路を介して鍋内の蒸気を循環させるようにした請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104488(P2010−104488A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277959(P2008−277959)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】