説明

炊飯器

【課題】蓋本体の大型化を抑制して蓋の開閉操作の使い勝手を向上し、かつ、炊飯器の上方の棚板が傷むことを抑えることができる炊飯器を提供する。
【解決手段】略有底筒状の炊飯器本体と、炊飯器本体内に収納される鍋と、炊飯器本体に配置されたヒンジ軸を中心に回動して炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、外気を吸気して送風する送風装置と、送風装置から送風された外気を蓋本体の外壁に設けられた排気口に誘導する送風経路と、鍋内で発生した蒸気を送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路とを備えて、鍋内の蒸気を外気と混合した後、外部に排出する炊飯器であって、送風装置と送風経路とは、蓋本体に設置される表示部よりもヒンジ軸に近い側に配置され、排気口に流れ込む混合流体の流れを、蓋本体の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸から離れるように規制する排気方向規制部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯中に排出される蒸気の低温下を図った炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器としては、種々の構造のものが知られている。例えば、特許文献1には、炊飯中に排出される蒸気に空気(外気)を送風して蒸気の温度を下げ、当該空気を混合した蒸気を蓋本体の前側面に設けられた排気口から排出するようにした炊飯器が開示されている。また、特許文献2には、前記空気を混合した蒸気を蓋本体の上面中央部に設けられた排気口から排出するようにした炊飯器が開示されている。
【特許文献1】特許第1823119号公報
【特許文献2】特許第3560203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の構成では、排気口が蓋本体の前側面に設置され、且つ、蒸気を排出口に導く蒸気排気通路が蓋本体内を奥行方向の略全長にわたって配置されているので、蓋本体に操作部や表示部を設ける場合には、それらを蒸気排気通路の上方に設置する必要がある。このため、蓋本体の厚みを薄くすることが困難となり、蓋本体は大型化することになる。また、蓋本体が大型化した場合には、蓋本体の重心位置にもよるが、蓋本体を開いたとき(ヒンジ回転させたとき)の回転力が大きくなり、炊飯器本体が不安定になる(例えば、倒れる)恐れがある。このため、前記特許文献1の構成では、蓋の開閉操作の使い勝手が悪いという課題がある。
【0004】
また、前記特許文献2の構成では、排気口を蓋本体の上面中央部に設置しているので、炊飯器を多段の棚の最上段以外の棚板の上に配置した場合には、炊飯器の上方の棚板の下面で蒸気が結露することにより当該棚板を傷める恐れがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、蓋本体の大型化を抑制して蓋の開閉操作の使い勝手を向上し、かつ、炊飯器の上方の棚板が傷むことを抑えることができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、内部に鍋収納部が形成された略有底筒状の炊飯器本体と、
前記鍋収納部に収納される鍋と、
前記鍋を加熱する鍋加熱装置と、
前記炊飯器本体の開口部の周囲の一部に配置されたヒンジ軸を中心に回動して前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、
前記蓋本体内に配置され、外気を吸気して送風する送風装置と、
前記送風装置から送風された外気を、前記蓋本体の外壁に設けられた排気口に誘導する送風経路と、
前記鍋内で発生した蒸気を前記送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路と、
を備えて、前記鍋内の前記蒸気を前記外気と混合した後、外部に排出する炊飯器であって、
前記送風装置と前記送風経路とは、前記蓋本体に設置される表示部よりも前記ヒンジ軸に近い側に配置され、
前記排気口の近傍に、前記送風経路を通じて前記排気口に流れ込む前記蒸気と前記外気との混合流体の流れを、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制する排気方向規制部をさらに備える、炊飯器を提供する。
【0007】
本発明の第2態様によれば、前記排気口は、前記蓋本体の側壁に設けられている、第1態様に記載の炊飯器を提供する。
【0008】
本発明の第3態様によれば、前記送風経路は、前記ヒンジ軸と略平行に配置された筒状の通路であり、
前記排気口は、前記送風経路よりも前記ヒンジ軸から離れる方向にずらして配置され、
前記排気方向規制部は、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜又は湾曲して前記送風経路と前記排気口とを接続する壁部材を備えている、第2態様に記載の炊飯器を提供する。
【0009】
本発明の第4態様によれば、前記排気方向規制部は、前記混合流体の流れを、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制するとともに、前記蓋本体の厚み方向の天壁側に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制する、第2又は3態様に記載の炊飯器を提供する。
【0010】
本発明の第5態様によれば、前記排気口は、前記蓋本体の天壁に設けられている、第1態様に記載の炊飯器を提供する。
【0011】
本発明の第6態様によれば、前記排気口は、前記蓋本体の外壁を貫通する複数のスリット状の貫通穴で構成され、
前記排気方向規制部は、前記各貫通穴の間に位置し、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜する傾斜面を備えている、第1〜5態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0012】
本発明の第7態様によれば、前記排気方向規制部は、前記排気口を複数のスリット状の穴に分割するように設けられた少なくとも1つの板状部材を備え、
前記板状部材は、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜又は湾曲した状態で取り付けられている、第1〜5態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0013】
本発明の第8態様によれば、前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れを前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制するように、前記蓋本体の外壁の外側面に取り付けられたダクトを備える、第1〜7態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0014】
本発明の第9態様によれば、前記排気口の開口面積を調整する排気口面積調整部をさらに備える、第1〜8態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0015】
本発明の第10態様によれば、前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れ方向を前記蓋本体の厚み方向に対して約30°以上90°未満の角度で傾斜させるように構成されている、第4〜9態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0016】
本発明の第11態様によれば、前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れ方向を前記蓋本体の厚み方向に対して約30°以上40°未満の角度で傾斜させるように構成されている、第4〜9態様のいずれか1つに記載の炊飯器。
【0017】
本発明の第12態様によれば、前記送風装置は、前記吸気口を通じて吸気する前記外気温が予め設定された温度よりも低いとき、炊飯終了から一定時間運転を継続するようにした、第1〜11態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0018】
本発明の第13態様によれば、前記送風装置の駆動を制御する送風制御部をさらに備え、
前記送風制御部は、前記蒸気経路を通る蒸気の量に応じて前記送風装置の風力を制御する、第1〜12態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【0019】
本発明の第14態様によれば、前記送風装置の駆動を制御する送風制御部をさらに備え、
前記送風制御部は、前記吸気口を通じて吸気する前記外気の温度に応じて前記送風装置の風力を制御する、第1〜13態様のいずれか1つに記載の炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の炊飯器によれば、前記送風装置と前記送風経路とが前記蓋本体に設置される表示部よりも前記ヒンジ軸に近い側に配置されているので、蓋本体の小型化を図ることができ、蓋の開閉操作の使い勝手を向上することができる。また、前記排気口に流れ込む混合流体の流れを、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制する排気方向規制部を備えているので、前記混合流体が炊飯器の上方の棚板に衝突して滞留することを抑えることができ、当該棚板が傷むことを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
《第1実施形態》
図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態にかかる炊飯器の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる炊飯器の断面図を示している。図2は、本発明の第1実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【0023】
図1に示すように、本第1実施形態にかかる炊飯器は、内部に鍋収納部1aが形成された略有底筒状の炊飯器本体1と、鍋収納部1aに収納される鍋2と、炊飯器本体1の開口部を開閉可能に炊飯器本体1に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋2の開口部を覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋4と、鍋2を加熱(誘導加熱)する鍋加熱装置5とを有している。
【0024】
炊飯器本体1の鍋収納部1aは、炊飯器本体1の上部開口の内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。
【0025】
コイルベース1cの外周面には、鍋加熱装置5を構成する底内加熱コイル5aと底外加熱コイル5bとが取り付けられている。底内加熱コイル5aは、コイルベース1cを介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外加熱コイル5bは、コイルベース1cを介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0026】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられている。当該開口部分には、鍋2の温度を測定するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサ6が鍋2の底部に当接可能に配置されている。
【0027】
炊飯器本体1内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯を行う制御部7が設置されている。制御部7は、蓋本体3に設けられた操作部19を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0028】
炊飯器本体1の前壁上部(図1の左側上部)には、蓋本体3のフック8に係合可能なフック1dが設けられている。フック1dと上枠1bとの間にはバネ1eが設けられている。フック1dは、バネ1eにより前方(図1の左側)に付勢されている。
【0029】
蓋本体3には、内蓋温度検知部の一例である内蓋温度センサ9と、コイルなどの内蓋加熱装置10と、ヒンジ軸Aとが設けられている。内蓋温度センサ9は、内蓋4に当接可能に設けられ、内蓋4の温度を検知可能に構成されている。内蓋熱装置10は、内蓋4を介して鍋2の上部開口部に対向するように蓋本体3内に配置された加熱コイルで構成され、制御部7の制御により内蓋4を誘導加熱する。ヒンジ軸Aは、蓋本体3の開閉軸であり、炊飯器本体1の上枠1cに両端部を回動自在に支持されている。蓋本体3は、ヒンジ軸Aの近傍に設けたねじりコイルバネなどの回動バネ(図示せず)により、炊飯器本体1の上部開口から離れるように回転する方向に付勢されている。
【0030】
内蓋4の一部は、誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されている。内蓋4には、鍋2内で発生した蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4aが設けられている。内蓋4の外周部の鍋2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるときに鍋2と密接する略環状の内蓋パッキン17が取り付けられている。内蓋パッキン17は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0031】
また、蓋本体3には、炊飯メニュー、炊飯時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部18と、炊飯メニューの選択、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示するための操作部19が設けられている。操作部19は、炊飯開始ボタンなどの複数のボタンで構成されている。使用者は、表示部18の表示内容を参照しつつ、操作部19にて炊飯開始を指示することによって、炊飯を行うことができる。炊飯開始の指示を受けた制御部7は、記憶した炊飯プログラムと鍋温度センサ6及び内蓋温度センサ9の検知温度とに基づいて、鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10の駆動を制御(動作又は停止)し、炊飯工程を実行する。
【0032】
また、蓋本体3には、蓋本体3の外壁に設けられた吸気口12を通じて外気を吸気して送風する送風装置11と、送風装置11から送風された空気(外気)を蓋本体3の外壁に設けられた排気口13に誘導する送風経路15と、鍋2内で発生した蒸気を送風経路15内に誘導する蒸気経路16とが設けられている。
【0033】
送風装置11と送風経路15とは、表示部18及び操作部19よりもヒンジ軸Aに近い側(蓋本体3の後半部分)に配置されている。吸気口12は、蓋本体3の側壁を貫通するように設けられた複数のスリット状の貫通穴で構成されている。排気口13は、吸気口12が設けられた側壁と対向する蓋本体3の側壁を貫通するように設けられた複数のスリット状の貫通穴13aで構成されている。貫通穴13aは、蓋本体3の側壁を、蓋本体3の内部から外部に(側方に)向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように予め設定された角度で傾斜する方向に開けられている。これにより、各貫通穴13aの間には、排気方向規制部の一例である傾斜面14aが形成されている。傾斜面14aは、送風経路15を通じて排気口13に流れ込む蒸気と外気との混合流体の流れを、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように(炊飯器の斜め前方向に)規制する。
【0034】
送風経路15は、ヒンジ軸Aと略平行に配置された筒状の通路である。送風経路15は、略直線状に送風装置11の吹出し側部分11bと排気口13とを連結しており、断面積もほぼ均一である。
【0035】
蒸気経路16は、鍋2内の余分な蒸気を送風経路15へと排出できるように、一端を内蓋4の蒸気口4aと連通接続され、他端を送風経路15の下部(底面)の一部と連通接続されている。蒸気経路16と送風経路15との接続部分は、排気口13と送風装置11の吹出し側部分11bとの間に位置している。
【0036】
送風装置11としては、軸流ファン、シロッコファン、スクロールファン、ターボファンなど空気を発生する構成であればどれを用いてもよい。コストの観点からは、軸流ファンを用いることが好ましい。また、蓋本体3の大型化を最小限に抑え且つ風路圧損による風量低下を防ぐ観点からは、シロッコファンを用いることが好ましい。送風装置11の駆動は、制御部7によって制御される。制御部7は、炊飯プログラムに進行に応じて、送風装置11の駆動を制御(動作又は停止)する。
【0037】
なお、本第1実施形態では、送風手段11の吸気側部分11aと吸気口12とを、図2に示すように互いに対向するように設置しているが、本発明はこれに限定されない。送風装置11の吸気側部分11aと吸気口12との間に一定の空間を確保する構成とすればよい。この場合、例えば、送風装置11の吸気側部分11aと吸気口12とを略直角に配置したとしても、使用する送風装置11の種類によっては吸気空気量を確保することができる。
【0038】
また、本第1実施形態では、排気口13と送風装置11の吹出し側部分11bとの間で蒸気経路16を送風経路15と接続して、鍋2内で発生した蒸気を送風装置11の吹出し側に誘導するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蒸気経路16の出口が送風装置11の吸気側に位置するようにしてもよい。
【0039】
次に、図3を参照しつつ、本第1実施形態にかかる炊飯器の動作について説明する。図3は、炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置(鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10)の駆動状態を示す図である。
【0040】
まず、使用者により、鍋2内に米と水がセットされ、操作部19にて炊飯メニューが選択された後、炊飯開始が指示されると、制御部7の制御により炊飯工程が開始される。
【0041】
ここで、炊飯工程とは、前炊き工程(浸漬工程ともいう)と、昇温工程(炊き上げ工程ともいう)と、沸騰維持工程と、蒸らし工程の主として4つの工程で構成されるものである。これらの工程の間に米の糊化が進められて米が炊飯される。この炊飯工程は、鍋温度センサ6及び内蓋温度センサ9の検知温度と、炊飯メニューに応じた炊飯プログラムとに従って、制御部7が鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10の鍋加熱動作を制御することにより行われる。本第1実施形態においては、米の種類などに応じて複数の炊飯メニューが用意され、当該それぞれの炊飯メニューに応じた炊飯プログラムが制御部7に記憶されている。
【0042】
炊飯工程が開始されると、まず、前炊き工程が開始される。前炊き工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる工程である。この前炊き工程において、制御部7は、鍋2内の水の温度が米の糊化が始まる温度(約60℃)以上にならないように、鍋2の温度を鍋温度センサ6又は内蓋温度センサ9の検知温度に基づいて鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10を制御する。これにより、米の吸水が促進される。
【0043】
前炊き工程の開始から予め設定された時間経過すると、昇温工程に移行する。昇温工程は、鍋2を鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10により一気に加熱して、鍋2内の水を沸騰状態(約100℃)にする工程である。この昇温工程において、制御部7は、鍋2を急速に加熟して鍋2内の水を沸騰状態にするように、鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10の駆動を制御する。
【0044】
昇温工程の実施により、鍋温度センサ6の検知温度が約100℃になると、沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程は、米の澱粉を糊化させて、糊化度を50%〜60%程度まで引き上げる工程である。この沸騰維持工程において、制御部7は、鍋2内の水の沸騰状態を維持するように鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10を制御する。より具体的には、炊飯制御部15は、鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10の駆動、駆動停止を一定時間間隔で繰り返すデューティー制御を行い、鍋2を間欠加熱する。
【0045】
この昇温工程においては、連続的に水を沸騰させるため、約100℃の蒸気が大量に発生する。当該発生した蒸気で鍋2内が充満されると、余分な蒸気は、蒸気経路16を通じて送風経路15内に流れ込む。このとき、制御部7は、鍋2内の水が沸騰したことを鍋温度センサ6により検知し、送風装置11の駆動を開始させる。これにより、送風装置11は、吸気口12から外気を吸い込み、当該外気を排気口13に向けて(図2中の矢印Bの方向に)送風する。蒸気経路16から送風経路15に流れ込んだ前記蒸気は、この送風装置11から送風された外気と送風経路15内で混合される。この外気と蒸気との混合流体は、送風装置11の風力により、蓋本体3の排気口13から炊飯器の外部へと排出される。蒸気(約100℃)を外気(例えば約25℃)と混合することで、排出される混合流体の温度を蒸気の温度よりも低下させることができる。
【0046】
なお、本第1実施形態において、蒸気経路16は送風経路15の下部(底面)の一部に連通接続されており、蒸気は外気よりも高温であるため軽いので、蒸気経路16から排出される蒸気は自然と上方へ移動し、送風経路15内で均一に外気と混ざりやすくなっている。
【0047】
排気口13から排気される混合流体は、傾斜面14aに規制されて、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように流れる。このとき、炊飯器が前方を除く周囲を棚板で囲まれた棚C内に配置されている場合には、排気口13から排気される混合流体は、図2に示すように棚Cの側壁に沿って矢印B1の方向に流れることになる。これにより、混合流体が棚C内で滞留することを防いで、棚板が吸湿して膨潤するなどの不具合を防ぐことができる。また、炊飯器の周囲の温度上昇を防ぐことができるので、例えば、制御部7の部品の温度が上昇することにより生じる動作不安定などを抑えることができる。
【0048】
沸騰維持工程の実施により、鍋2内のほとんどの水が無くなると、鍋2内の温度が水の沸点以上に上昇する。鍋温度センサ6が鍋2内の温度が水の沸点以上(例えば約130℃)に到達したことを検知すると、蒸らし工程に移行する。蒸らし工程は、予熱を利用して余分な水分を蒸発させ、米の糊化度を100%近くまで引き上げる工程である。この蒸らし工程において、制御部7は、鍋2の温度が一定温度以下に下がる毎に、鍋2を加熱するように鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10を制御する。より具体的には、制御部7は、沸騰維持工程と同様に、鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10の駆動、駆動停止を一定時間間隔で繰り返すデューティー制御を行い、鍋2を間欠加熱する。また、この蒸らし工程においても、蒸気経路16から僅かながらも蒸気が排出されるので、制御部7は、送風装置11が駆動を継続するように制御する。
【0049】
蒸らし工程の開始から予め設定された時間経過すると、蒸らし工程を終了(すなわち全ての炊飯工程を終了)し、自動的に保温工程に移行する。
【0050】
以上、本第1実施形態によれば、送風装置11及び送風経路15を表示部18及び操作部19よりもヒンジ軸Aに近い場所に配置しているので、特許文献1に比べて蓋本体3の前半部分の薄型化が可能であり、蓋本体3全体の小型化を図ることができる。
【0051】
また、本第1実施形態によれば、送風装置11及び送風経路15を表示部18及び操作部19よりもヒンジ軸Aに近い場所に配置しているので、蓋本体3の重心位置がヒンジ軸Aに近づくことになる。これにより、蓋本体3を開いたときの回転力が特許文献1の炊飯器に比べて小さくなり、また、蓋本体3を開く際に必要な力を小さくすることができるので、蓋本体3の回動バネ(図示せず)の力を大きくする必要が無い。よって、炊飯器が倒れるなどの不具合を抑えることができ、蓋本体3の開閉操作の使い勝手を良くすることができる。なお、回動バネの力を大きくした場合には、蓋本体3が炊飯器本体1に対して略90°の角度まで開ききった場合においても回動バネの力が働いて、炊飯器本体1が浮き上がってしまうなどの不具合が生じる恐れがある。
【0052】
また、本第1実施形態によれば、排気口13から排出される混合流体の流れを、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制する傾斜面14aを備えているので、混合流体が棚C内で滞留することを抑えることができる。従って、棚板の劣化や制御部7の動作不安定などの不具合を抑えることができる。
【0053】
また、本第1実施形態によれば、送風装置11から送風される外気が排気口13に向けてほぼ直線的に流れる構成であるため、送風装置11の送風性能を最大限に発揮させることができる。これにより、排気口13から排出される混合流体が棚C内で滞留する恐れをさらに低くすることができる。
【0054】
また、本第1実施形態によれば、吸気口12及び排気口13を蓋本体3の側壁に設けているので、誤って蓋本体3の上方から液体などが落下した場合でも、当該液体などが吸気口12及び排気口13を通じて送風装置11に付着する恐れを低くすることができる。
【0055】
なお、本発明は前記第1実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本第1実施形態では、図2に示すように、送風装置11を蓋本体3の後部左側に配置し、排気口13を蓋本体3の後部右側に配置したが、これとは逆に、送風装置11を蓋本体3の後部右側に配置し、排気口13を蓋本体3の後部左側に配置してもよい。これら両方の構成の炊飯器を用意することで、炊飯器の設置環境に応じて適当な炊飯器を使用者が選択することができる。
【0056】
また、蒸気経路16は、おねば(粘性の有る汁)が通りやすい通路であるので、少なくとも一部が着脱自在とされることが好ましい。これにより、蒸気通路16のお手入れを容易にすることができる。なお、前記構成に代えて、蒸気経路16に蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れを行うときに当該蓋を開けることで可能となるように構成してもよい。
【0057】
また、前記第1実施形態においては、鍋2内の水が沸騰したことを鍋温度センサ6により検知して送風装置11を動作させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。送風経路15内に蒸気が流れ込むときに送風装置11が駆動するようにすればよい。例えば、鍋2内の水が沸騰したことを内蓋温度センサ9などの他のセンサによって検知して、送風装置11を駆動するようにしてもよい。また、昇温工程に移行してから一定時間経過したときに、自動的に送風装置11の駆動が開始するようにしてもよい。
【0058】
また、前記第1実施形態においては、蒸気経路16を送風経路15の下部(底面)と接続するようにしたが、本発明はこれに限定されない。蒸気と空気とを略均一に混合できる構成であればよい。例えば、蒸気経路16を送風経路15の底面近傍の側面に接続しても同様の効果を得ることができる。また、蒸気経路16の接続箇所が送風経路15の底面付近で無かったとしても、送風経路15内に適宜リブなどを付加することでも実現可能である。
【0059】
また、吸気口12は、送風装置11の種類に合わせて送風装置11の性能が十分発揮できるように、すなわち圧力損失が少なくなるように設けられていればよく、位置及び形状は特に限定されない。また、蓋本体3の内部は、通常、完全な密閉空間ではなく、蓋本体3のどこかに存在する隙間によって蓋本体3の外部と連通している。このため、送風装置11の送風に支障がなければ、吸気口12を特に設ける必要はない。すなわち、前記隙間を吸気口12としてもよい。
【0060】
また、前記では、沸騰維持工程の開始時に送風装置11の駆動を開始するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、昇温工程においても僅かながらも蒸気(湯気)は発生するので、昇温工程中に送風装置11の駆動を開始するようにしてもよい。なお、このとき発生する蒸気は、沸騰維持工程で発生する蒸気よりも温度が低く且つ量も少ないので、送風装置11を駆動させる必要はない。
【0061】
《第2実施形態》
図4を用いて、本発明の第2実施形態にかかる炊飯器について説明する。図4は、本発明の第2実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。本第2実施形態の炊飯器が、前記第1実施形態の炊飯器と異なる点は、排気口13の近傍に、遮蔽壁14bと、排気経路前方拡張壁14cとをさらに備えている点である。本第2実施形態においては、傾斜面14aと遮蔽壁14bと排気経路前方拡張壁14cとで、排気方向規制部の一例を構成している。
【0062】
図4に示すように、遮蔽壁14bは、排気口13を構成する複数のスリット状の貫通穴13aのヒンジ軸A側の一部を塞ぐように配置されている。また、排気経路前方拡張壁14cは、排気経路15のヒンジ軸Aから離れる側で且つ排気口13の近傍の壁を、ヒンジ軸Aからさらに離れるように拡張するように配置されている。この排気経路前方拡張壁14cにより拡張された領域に位置する蓋本体3の側壁に、遮蔽壁14bにより塞がれた貫通穴13aと同面積の貫通穴13aが形成されている。言い換えれば、排気口13は、送風経路15よりもヒンジ軸Aから離れる方向にずらして配置され、遮蔽壁14bと排気経路前方拡張壁14cとは、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように傾斜又は湾曲して送風経路15と排気口13とを接続している。
【0063】
本第2実施形態にかかる炊飯器において、排気経路15を通じて排気口13に流れ込む混合流体の流れは、傾斜面14aに加えて遮蔽壁14bと排気経路前方拡張壁14cによっても蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制される。従って、傾斜面14aのみで規制するよりも混合流体の流れを確実に炊飯器の前方に向けることができ、且つ、風量も確保することができる。
【0064】
本第2実施形態にかかる炊飯器を、図4に示すように棚Cの中に収納して炊飯を実行した場合には、排気口13から排出される混合流体の流れを、風量を落とすことなく、より確実に炊飯器の前方に向けることができる。従って、棚C内に蒸気(混合流体)が滞留することをさらに抑えることができ、棚板の劣化や制御部7の動作不安定などの不具合をさらに抑えることができる。また、排気経路前方拡張壁14cの設置により風量の低下を抑制しているので、蒸気の冷却性能が低下することはない。
【0065】
《第3実施形態》
図5を用いて、本発明の第3実施形態にかかる炊飯器について説明する。図5は、本発明の第3実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。本第3実施形態の炊飯器が、前記第2実施形態の炊飯器と異なる点は、排気口13の近傍に、傾斜面14aと遮蔽壁14bに代えて、排気方向誘導部材14dを備えている点である。本第3実施形態においては、排気経路前方拡張壁14cと排気方向誘導部材14dとで、排気方向規制部の一例を構成している。
【0066】
図5に示すように、排気方向誘導部材14dは、排気口13を複数のスリット状の貫通穴13aに分割するように設けられた板状部材である。この排気方向誘導部材14dは、送風装置11に近い側に位置する部分が送風経路15と平行であり、蓋本体の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように傾斜又は湾曲した状態で取り付けられている。また、排気方向誘導部材14dは、蓋本体3の厚み方向(図5では紙面に対して垂直方向)と平行に設けられている。なお、図5では、排気方向誘導部材14dを2つ設けた例を示しているが、少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0067】
排気方向誘導部材14dの送風装置11に近い側の端部は、蒸気経路16が送風経路15と接続される部分よりも排気口13に近い側に位置している。なお、排気方向誘導部材14dの送風装置11に近い側の端部は、半円断面及び翼断面のように気流に対して抵抗を低減する形状であることが好ましい。これにより、排気方向誘導部材14dで気流を分割する際に生じる圧損を最小限にすることができる。
【0068】
本第3実施形態において、送風経路15を通じて排気口13に流れ込む混合流体の流れは、2つの排気方向誘導部材14dにより3分割されながら排気口13に向かって進み、排気方向誘導部材14dの傾斜又は湾曲面によって蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制される。従って、棚C内に蒸気(混合流体)が滞留することを抑えることができ、棚板の劣化や制御部7の動作不安定などの不具合を抑えることができる。なお、これに対して、排気方向誘導部材14dが無い場合には、排気口13の付近で混合流体の圧力分布の偏りが生じる恐れがある。この圧力分布の偏りは、送風経路15内での圧損となり、風量の低下を招くことになる。
【0069】
本第3実施形態にかかる炊飯器によれば、混合流体の流れを分割する排気方向誘導部材14dを備えているので、送風経路15内での混合流体の流れの規制時における圧力分布の偏りを抑制することができる。これにより、風量の低下を最小限に抑えることができ、風量を最大限に確保しながら、混合流体の排気方向を前方向(図5の下方向)へ規制することができる。従って、蒸気の冷却と、棚C内での蒸気(混合流体)の滞留防止とを高いレベルで両立することができる。
【0070】
なお、図6に示すように、蓋本体3の外壁の外側面にダクト14eを取り付けてもよい。これにより、排気口13から排出される混合流体の流れを、より確実に、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制することができる。また、ダクト14eは、蓋本体3の外部で混合流体の流れを規制するものであるので、排気口13から排出される混合流体の風量を低下させないようにすることができる。従って、ダクト14eの前側部分(図6の下側部分)を、排気口13に対して平行に近い角度で配置することができる。これにより、図6の矢印B2に示すように、排気口13から排出される混合流体の流れを、棚Cの壁面に接触させないように蓋本体3の側壁に沿う方向に向けることができる。よって、棚C内に蒸気(混合流体)が滞留することをさらに抑えることができる。
【0071】
《第4実施形態》
図7及び図8を用いて、本発明の第4実施形態にかかる炊飯器について説明する。図7及び図8は、本発明の第4実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。本第4実施形態の炊飯器が、前記第2実施形態の炊飯器と異なる点は、排気口13の近傍に、遮蔽壁14bに代えて排気口面積調整部20を備えている点である。本第4実施形態においては、傾斜面14aと排気経路前方拡張壁14cと排気口面積調整部20とで、排気方向規制部の一例を構成している。
【0072】
図7及び図8に示すように、排気口面積調整部20は、蓋本体3の側壁から突出するつまみ20aと、蓋本体3の側壁の内側面に沿ってスライド移動可能な遮蔽板部20bとを備えている。使用者は、つまみ20aを摘んで、遮蔽板部20bをスライド移動させることにより、排気口13の後半部分(ヒンジ軸A側)を塞いで、排気口13の開口面積を調整することができる。
【0073】
排気口面積調整部20が図7に示す位置に位置するとき、排気口13の開口面積は最大となる。この場合、排気口13から排出される混合流体は、低風速で排出されることになる。一方、排気口面積調整部20が図8に示す位置に位置するとき、排気口13の開口面積は最小となる。この場合、排気口13から排出される混合流体は、高風速で排出されることになる。
【0074】
次に、排気口13の開口面積が調整できることの作用、効果について説明する。
【0075】
例えば、前記第1実施形態にかかる炊飯器を棚C内に設置した場合、排気口13から排出される混合流体は、図2の矢印B1に示すように、棚板に沿って炊飯器の前方に排出される。この場合、混合流体と棚板とが接触するため、少なからず棚板の壁面に結露が生じる恐れがある。一方、排気口13から排出される混合流体に含まれる蒸気の量は、炊飯工程が進むに従って鍋2内の水の量が減っていくので少なくなる。具体的には、排気口13から排出される混合流体に含まれる蒸気の量は、沸騰維持工程時に比べて蒸らし工程時の方が少なくなる。このため、沸騰維持工程時において棚板の壁面に結露が生じたとしても、蒸らし工程時において蒸気の含有量が少ない混合流体で乾燥させることができる。
【0076】
しかしながら、蒸らし工程終了時において、棚板の壁面の結露を乾燥しきれない場合も有り得る。この場合、前記構成によれば、使用者が任意に排気口13の開口面積を減らすことができるので、排気口13から排出される混合流体の風速を強めて、結露の乾燥速度を速めることができる。一方、炊飯器の側方に棚板が無い場合には、使用者は、排気口13の開口面積を拡げることができるので、排気口13から排出される混合流体の風速を弱めて、排気の風を気にすることなく炊飯を実施することができる。
【0077】
なお、前記第4実施形態においては、排気口13の後半部分を塞ぐように排気口面積調整部20を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、排気口面積調整部20は、排気口13の下部を塞ぐように構成されてもよい。この場合、排気口13から排出される混合流体の流れは、蓋本体3の内部から外部に向かうに従いヒンジ軸から離れるように規制されるとともに、蓋本体3の厚み方向の天壁側に向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように規制されることなる。すなわち、排気口13から排出される混合流体の流れは、炊飯器本体1の前方に向けて斜め上方向に規制されることになる。
【0078】
このように構成した場合の作用、効果としては、以下のようなことが考えられる。例えば、炊飯器は、その側方に棚板ではなく電子レンジなどの他の電化製品が存在する場所に配置されることも考えられる。例えば電子レンジにおいては、その側壁に通気穴が設けられている。このため、排気口13から排出される混合流体が、当該通気穴を通じて電子レンジの内部に入り込んだ場合には、電子レンジの内部で結露して故障の原因となる恐れがある。前記のように構成した場合には、排気口13から排出される混合流体が、当該通気穴を通じて電子レンジの内部に入り込むことを回避することができる。
【0079】
なお、排気口13から排出される混合流体の流れを炊飯器本体1の前方に向けて斜め上方向に規制するのは、排気口面積調整部20に限定されるものではない。例えば、前記第3実施形態で説明したダクト14eを用いて前記規制を行うようにしてもよい。
【0080】
《第5実施形態》
図9を用いて、本発明の第5実施形態にかかる炊飯器について説明する。図9は、本発明の第5実施形態にかかる炊飯器の断面図である。本第5実施形態の炊飯器が、前記第1実施形態の炊飯器と異なる点は、蓋本体3の天壁の内側面にサーミスタなどの外気温検知部21を備えている点である。
【0081】
外気温検知部21は、炊飯開始時点の蓋本体3の天壁の温度を検知して、その温度情報を制御部7に入力する。炊飯開始時点の蓋本体3の天壁の温度は、炊飯器周辺の温度、すなわち外気温とほぼ同じである。制御部7は、外気温検知部21から入力された温度情報に基づいて外気温(炊飯器の周囲環境温度)を判定する。例えば、外気温が5℃〜10℃である場合、棚板の壁面への結露量が増加して、炊飯終了時点でも壁面に水滴が残留しやすくなる。このため、本第5実施形態において、制御部7は、外気温が予め設定された温度(例えば15℃)よりも低い場合、炊飯終了から一定時間、送風装置11が運転を継続するように送風装置11を制御する。
【0082】
本第5実施形態にかかる炊飯器によれば、棚C内に炊飯器を設置して炊飯するときに、外気温が予め設定された温度(例えば15℃)より低い場合、炊飯終了から一定時間(例えば10分)、送風装置11の運転を継続させることで、棚板の壁面の結露を完全に乾燥させることが可能となる。したがって、炊飯器の使用環境温度に影響されずに棚C内での炊飯時における結露防止性能を向上させることができる。
【0083】
なお、送風装置11の駆動継続時間や予め設定された温度は、送風装置11の性能等に基づいて任意に設定すればよい。また、外気温に応じて送風装置11の駆動継続時間をきめ細かく設定するようにしてもよい。
【0084】
《第6実施形態》
図10及び図11を用いて、本発明の第6実施形態にかかる炊飯器について説明する。図10は、本発明の第6実施形態にかかる炊飯器を棚内に設置した状態を示す断面図である。図11は、本発明の第6実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。本第6実施形態の炊飯器が、前記第5実施形態の炊飯器と異なる点は、排気口13を蓋本体3の側壁に代えて天壁に設け、当該排気口13の近傍に排気方向誘導部の一例である排気方向誘導部材14fを備えている点である。それ以外の点については同様であるので、同様の構成については同一符号を付し、重複する説明は省略しつつ説明する。
【0085】
図10に示すように、排気方向誘導部材14fは、排気口13を複数のスリット状の貫通穴13aに分割するように設けられた板状部材である。排気方向誘導部材14fは、ヒンジ軸Aと平行に延在するように少なくとも1つ以上(ここでは2つ)設けられている。また、排気方向誘導部材14fは、蓋本体3の内部から外部に(上方に)向かうに従いヒンジ軸Aから離れるように傾斜した状態で取り付けられている。
【0086】
これにより、送風経路15を通じて排気口13に流れ込む混合流体の流れは、排気方向誘導部材14fにより分割されながら排気口13に向かって進み、排気方向誘導部材14fの傾斜面によって図10の矢印B3の方向に規制される。従って、棚C内に蒸気(混合流体)が滞留することを抑えることができ、棚板の劣化や制御部7の動作不安定などの不具合を抑えることができる。また、炊飯器の側方に例えば電子レンジが置かれた場合でも、排気口13を天壁に設けているので、排気口13から排出される混合流体が電子レンジの内部に入り込むことを回避することができる。
【0087】
なお、ヒンジ軸Aと直交する面において、排気方向誘導部材14fが蓋本体3の厚み方向(図10では上下方向)に対して傾斜する角度θは、約30°以上90°未満であることが好ましい。傾斜角度θが30°未満である場合には、炊飯器の上方の棚板に衝突した混合流体の流れの一部が炊飯器の前方ではなく、電源コード等がある後方に回り込んで棚C内で滞留する恐れがある。また、この場合、炊飯器の後方に配置された電源コードの近傍で結露して、トラッキング現象などの不具合を引き起こす恐れがある。
【0088】
また、より好ましくは、傾斜角度θは約30°以上40°以下とする。傾斜角度θを40°〜90°に設定した場合には、混合流体が蓋本体3の天壁に近い位置で流れることになるため、蓋本体3の天壁に設けられた表示部18の表示面が混合流体中の蒸気で曇るなどの不具合が発生する恐れがある。
【0089】
なお、本第6実施形態では、排気方向誘導部材14fを蓋本体3の厚み方向に対して傾斜するように設けたが、湾曲するように設けられてもよい。この場合、排気方向誘導部材14fの湾曲面は、排気口13から排出される混合流体の流れ方向が蓋本体3の厚み方向に対して傾斜(好ましくは30°以上40°以下の角度で傾斜)するように形成すればよい。
【0090】
《第7実施形態》
次に、本発明の第7実施形態にかかる炊飯器について説明する。図12は、本発明の第7実施形態にかかる炊飯器の断面図である。図13は、本発明の第7実施形態にかかる炊飯器の機能ブロック図である。本第7実施形態にかかる炊飯器が、前記第6実施形態にかかる炊飯器と異なる点は、送風制御部22をさらに備えている点である。
【0091】
従来、送風装置11は、沸騰維持工程及び蒸らし工程において、一定の風力で外気を送風し続けるように駆動(開始及び停止)を制御されている。しかしながら、この場合、送風装置11の駆動による騒音値が高い状態が、例えば炊飯時間の半分近くを占めることとなる。この騒音値が高い状態が長く続くことは、例えば、タイマー機能を利用して就寝中に炊飯器を動作させるようなときに、大きな問題となる。
【0092】
このため、本第7実施形態にかかる炊飯器は、蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力(ファンの回転数)を制御する送風制御部22を備えている。送風制御部22は、制御部7と接続され、制御部7の制御動作に応じて、送風装置11を制御可能に構成されている。以下に、送風制御部22による具体的な前記蒸気の量の判定方法と送風装置11の風力制御について説明する。
【0093】
(炊飯工程の進行に基づいて風力制御)
前記第1実施形態で説明したように鍋2内から蒸気が発生するのは、主に沸騰維持工程である。蒸気の発生量は、鍋2内の水の残存量に依存するので、沸騰維持工程の前半が最も多く、それ以後は徐々に減少する。より具体的には、沸騰維持工程の継続時間が約15分とすると、沸騰維持工程の開始から5分間の蒸気の発生量が多い。一方、蒸らし工程では、鍋2内のほとんどの水が米に吸水又は蒸発した状態であるので、蒸気の発生量は沸騰維持工程に比べると僅かである。従って、炊飯工程の進行状況によって、蒸気経路16を通る蒸気の量を判定することができる。
【0094】
このため、本第7実施形態において、送風制御部22は、炊飯工程の進行状況に基づいて蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、沸騰維持工程中に少なくとも一度は送風装置11の風力を下げる制御を行い、蒸らし工程に移行する際にさらに送風装置11の風力を下げる制御を行う。例えば、送風制御部22は、沸騰維持工程の前半(5分)での送風装置11の風力を0.3mとし、沸騰維持工程の後半(10分)での送風装置11の風力を0.25mとし、蒸らし工程での送風装置11の風力を0.15mとする。これにより、騒音値が高い状態を沸騰維持工程の前半のみとすることができ、従来よりも大幅に短縮することができる。また、送風装置11の風力を下げた分だけ、消費電力量を少なくすることができる。
【0095】
(炊飯メニューに基づいて風力制御)
また、鍋2内から発生する蒸気の量は、炊飯メニューによっても異なる。炊飯メニューとは、白米、無洗米、玄米、おかゆなどの米の種類や炊き方を示す情報である。例えば、白米と玄米とでは吸水率や吸水速度は異なる。従って、操作部19にて選択された炊飯メニューによって、蒸気経路16を通る蒸気の量を判定することが可能となる。
【0096】
このため、本第1実施形態において、送風制御部22は、操作部19にて選択された炊飯メニューに基づいて蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、炊飯メニューとして蒸気の発生量が少ないメニューが選択された場合、蒸気の発生量が多いメニューが選択された場合よりも送風装置11の風力を下げる制御を行う。これにより、炊飯メニューにより異なる蒸気の発生量も考慮して、送風装置11の風力をきめ細かに制御することができ、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0097】
(被調理物の重量に基づいて風力制御)
また、鍋2内から発生する蒸気の量は、炊飯する米の合数によっても異なる。炊飯する米の合数が多い程、鍋2内に入れる水も多く必要である。従って、鍋2内に収容される米と水の重量(被調理物の重量)を判定することで、蒸気経路16を通る蒸気の量を判定することが可能となる。
【0098】
このため、本第7実施形態において、送風制御部22は、被調理物の重量に基づいて蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、被調理物の重量が予め設定された重量よりも小さい場合、送風装置11の風力を下げる制御を行う。これにより、被調理物の重量により異なる蒸気の発生量も考慮して、送風装置11の風力をきめ細かに制御することができ、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0099】
なお、被調理物の重量の検知方法としては、例えば、図14に示すように、重量判定部の一例である重量センサ23を設けて被調理物を収容する鍋2全体の重量を測定し、当該重量から予め測定した鍋2の重量を差分することで検知する方法がある。また、被調理物の重量によって昇温工程に要する時間(被調理物を沸騰させる時間)が異なるので、昇温工程に要する時間を計測することで被調理物の重量を検知するようにしてもよい。なお、重量センサ23としては、従来から知られた様々な形態のものを使用することができる。このため、ここでは、重量センサ23の構成についての詳細な説明は省略する。
【0100】
(ふきこぼれ回数に基づいて風力制御)
また、鍋2内から発生する蒸気の量は、鍋2内からの被調理物のふきこぼれの回数によって知ることができる。すなわち、鍋2内からの被調理物のふきこぼれは、鍋2内に存在する水の量が多いために起こる。一方、沸騰維持工程において、鍋2は、上述したように鍋加熱装置5及び内蓋加熱装置10により間欠加熱される。このため、鍋2内に存在する水の量が多い間は、鍋2が加熱される度に被調理物のふきこぼれが発生することになる。すなわち、鍋2内に存在する水の量が多いほど、鍋2内からの被調理物のふきこぼれの回数が多くなる。
【0101】
このため、本第7実施形態において、送風制御部22は、鍋2内からの被調理物のふきこぼれの回数に基づいて蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、沸騰維持工程の開始から一定時間内でのふきこぼれの回数に基づいて、当該一定時間以降の送風装置11の風力を制御する。これにより、蒸気経路16を通る蒸気の量に基づいて送風装置11の風力をきめ細かに制御することができ、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0102】
なお、ふきこぼれ回数の検知方法としては、例えば、図14に示すように蒸気経路16内に設けたふきこぼれ検知部の一例であるふきこぼれセンサ24によって検知する方法がある。なお、ふきこぼれセンサ24としては、従来から知られた様々な形態のものを使用することができる。このため、ここでは、ふきこぼれセンサ24の構成についての詳細な説明は省略する。
【0103】
(鍋加熱装置の鍋加熱動作に基づいて風力制御)
また、鍋2内から蒸気が主に発生するのは、鍋加熱装置5が鍋2を加熱しているときである。より具体的には、鍋加熱装置5が鍋2を間欠加熱して鍋2内の被調理物の温度をほぼ一定に維持する沸騰維持工程及び蒸らし工程において、鍋加熱装置5が駆動しているときである。従って、鍋2内から発生する蒸気の量は、鍋加熱装置5の鍋加熱動作から知ることができる。
【0104】
このため、本第7実施形態において、送風制御部22は、鍋加熱装置5の鍋加熱動作に基づいて蒸気経路16を通る蒸気の量を判定し、当該判定結果に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、沸騰維持工程及び蒸らし工程の少なくとも一方の工程において、鍋加熱装置5の駆動開始及び駆動停止のタイミングに基づいて、送風装置11の風力を増減させる。これにより、蒸気が主に発生している時間帯以外は送風装置11の風力を減少させて、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0105】
なお、この場合、送風制御部22は、鍋加熱装置5の駆動開始と送風装置11の風力を増加させるタイミング、及び鍋加熱装置5の駆動停止と送風装置11の風力を減少させるタイミングを同期させるようにしてもよい。また、鍋加熱装置5の駆動開始のタイミングと、鍋2内の蒸気が送風経路15に流れ込むタイミングとの間には、若干のタイムラグがあるので、それを考慮して送風装置11の風力を増減させるタイミングを決定してもよい。また、送風制御部22は、鍋加熱装置5の駆動開始及び駆動停止のタイミングに基づいて、送風装置11の駆動開始及び駆動停止を制御するようにしてもよい。この場合も前記と同様に、鍋加熱装置5の駆動開始と送風装置11の駆動開始のタイミング、及び鍋加熱装置5の駆動停止と送風装置11の駆動停止のタイミングを同期させるようにしてもよいし、タイムラグを見込んでそれらのタイミングを決定してもよい。
【0106】
なお、炊飯中において、炊飯器の前方約1mの地点で騒音値を測定したところ、送風装置11の駆動時の騒音値が38dB(デシベル)であったのに対して、送風装置11の駆動停止時の騒音値は32dBであった。すなわち、蒸気が主に排出されない時間帯において、送風装置11の駆動を停止することで、騒音値を6dB下げることができる。
【0107】
なお、沸騰維持工程において、鍋加熱装置5の駆動開始及び駆動停止のタイミングと、送風装置11の駆動開始及び駆動停止のタイミングとを同期させるようにした炊飯器を用いて炊飯を行ったところ、炊飯終了時における総消費電力量は215Whであった。なお、このとき、送風装置11のファンの回転数は、鍋加熱装置5の駆動時においては3,000rpmとし、鍋加熱装置5の駆動停止時においては0rpmとした。一方、送風装置11のファンを3,000rpmの回転数で連続駆動させる従来の炊飯器を用いて炊飯を行ったところ、炊飯終了時における総消費電力量は220Whであった。すなわち、当該測定結果から、鍋加熱装置5の駆動開始及び駆動停止のタイミングと、送風装置11の駆動開始及び駆動停止のタイミングとを同期させることによって、従来よりも5Whの総消費電力量を削減することができることが分かる。
【0108】
以上、本第7実施形態にかかる炊飯器よれば、蒸気経路16を通る蒸気の量に応じて送風装置11の風力(ファンの回転数)を制御する(具体的には、蒸気経路16を通る蒸気の量が予め設定された量よりも少ないとき、送風装置11の風力を下げる)ようにしているので、前記風力を下げた時間分だけ騒音値が高い状態が継続する時間を短縮することができる。また、送風装置11の風力を下げた分だけ、総消費電力量を削減することができる。
【0109】
なお、前記蒸気の量の判定は、炊飯工程の進行、炊飯メニュー、被調理物の重量、ふきこぼれ回数、及び鍋加熱装置の鍋加熱動作のうち少なくともいずれか1つに基づいて行えばよいものであり、それらの全てに基づいて判定してもよい。この場合、前記蒸気の量をより正確に判定することができ、送風装置11の風力をよりきめ細かに制御することができ、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0110】
なお、送風装置11の駆動時間を制御する目的で、送風制御部16にタイマー部17(図13参照)を接続してもよい。これにより、予め設定された駆動時間又は駆動停止時間に応じて送風装置11を制御することが可能となる。
【0111】
《第8実施形態》
次に、本発明の第8実施形態にかかる炊飯器について説明する。本第8実施形態にかかる炊飯器が前記第7実施形態にかかる炊飯器と異なる点は、送風制御部22が、蒸気経路16を通る蒸気の量に基づいて送風装置11の風力を制御することに代えて、外気温検知センサ21の検知温度に基づいて送風装置11の風力を制御する点である。
【0112】
鍋2内から発生した蒸気は、前述したように、送風装置11が吸気した外気と混合されて外部に排出される。従って、外気温が高い場合には、外部に排出される混合流体の温度は高くなる。この場合、送風装置11の風力を強くして混合流体に占める外気の割合を高くすることで、混合流体の温度を低くすることができる。
【0113】
このため、本第8実施形態において、送風制御部22は、外気温検知センサ18の検知温度に基づいて送風装置11の風力を制御する。より好ましくは、送風制御部22は、外気温が予め設定された温度(例えば15℃)よりも低いとき、外気温が予め設定された温度以上であるときよりも送風装置11の風力を下げる。これにより、外気温を考慮して送風装置11の風力をきめ細かに制御することができ、騒音値が高い状態を従来よりも大幅に短縮することができる。
【0114】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記第6実施形態では、図10に示すように蒸気経路16は、直線状ではなく屈曲部を有するように構成して、送風装置11から送風される外気が蒸気経路16を通じて直接鍋2内に侵入することを防止するようにしている。送風装置11から送風される外気が鍋2内に侵入した場合には、次のような問題が発生する。すなわち、炊飯工程中において鍋2より蒸気が発生するのは、米に熱を加えながら水を吸収させて米の澱粉をβ状態からα状態に変化させる工程(糊化を促進させる工程)である。この工程中に鍋2に外気が流入して水温が低下した場合には、米の糊化が阻害され、出来上がったご飯の食味が低下することになる。なお、前記第6実施形態では、蒸気経路16が屈曲部を有するように構成したが、送風装置11から送風される外気が直接鍋2に侵入することを防止する構成であればよい。例えば、蒸気経路16が膨張空間部を有するように構成してもよい。
【0115】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明にかかる炊飯器は、蓋本体の大型化を抑制して蓋操作を使い勝手が良く、且つ炊飯器を棚内に配置した状態で棚板を傷めること無く炊飯が可能であるので、炊飯器全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる炊飯器の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図3】炊飯工程における鍋の温度変化と加熱装置の駆動状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図6】図5の炊飯器の変形例にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図8】図7の炊飯器において、排気口面積調整部を移動させた状態を示す一部切欠き上面図である。
【図9】本発明の第5実施形態にかかる炊飯器の断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態にかかる炊飯器を棚内に設置した状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態にかかる炊飯器の一部切欠き上面図である。
【図12】本発明の第7実施形態にかかる炊飯器の断面図である。
【図13】本発明の第7実施形態にかかる炊飯器の機能ブロック図である。
【図14】本発明の第7実施形態にかかる炊飯器に重量センサ及びふきこぼれセンサを設けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0118】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
3 蓋本体
4 内蓋
5 鍋加熱装置
6 鍋温度センサ
7 制御部
8 フック
9 内蓋温度センサ
10 内蓋加熱装置
11 送風装置
12 吸気口
13 排気口
14a 傾斜面
14b 遮蔽壁
14c 排気経路前方拡張壁
14d 排気方向誘導部材
14e ダクト
14f 排気方向誘導部材
15 送風経路
16 蒸気経路
20 排気口面積調整部
21 外気温検知部
22 送風制御部
23 重量センサ
24 ふきこぼれセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に鍋収納部が形成された略有底筒状の炊飯器本体と、
前記鍋収納部に収納される鍋と、
前記鍋を加熱する鍋加熱装置と、
前記炊飯器本体の開口部の周囲の一部に配置されたヒンジ軸を中心に回動して前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、
前記蓋本体内に配置され、外気を吸気して送風する送風装置と、
前記送風装置から送風された外気を、前記蓋本体の外壁に設けられた排気口に誘導する送風経路と、
前記鍋内で発生した蒸気を前記送風装置の吸気側又は吹出し側に誘導する蒸気経路と、
を備えて、前記鍋内の前記蒸気を前記外気と混合した後、外部に排出する炊飯器であって、
前記送風装置と前記送風経路とは、前記蓋本体に設置される表示部よりも前記ヒンジ軸に近い側に配置され、
前記排気口の近傍に、前記送風経路を通じて前記排気口に流れ込む前記蒸気と前記外気との混合流体の流れを前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制する排気方向規制部をさらに備える、炊飯器。
【請求項2】
前記排気口は、前記蓋本体の側壁に設けられている、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記送風経路は、前記ヒンジ軸と略平行に配置された筒状の通路であり、
前記排気口は、前記送風経路よりも前記ヒンジ軸から離れる方向にずらして配置され、
前記排気方向規制部は、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜又は湾曲して前記送風経路と前記排気口とを接続する壁部材を備えている、請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記排気方向規制部は、前記混合流体の流れを、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制するとともに、前記蓋本体の厚み方向の天壁側に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制する、請求項2又は3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記排気口は、前記蓋本体の天壁に設けられている、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記排気口は、前記蓋本体の外壁を貫通する複数のスリット状の貫通穴で構成され、
前記排気方向規制部は、前記各貫通穴の間に位置し、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜する傾斜面を備えている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項7】
前記排気方向規制部は、前記排気口を複数のスリット状の穴に分割するように設けられた少なくとも1つの板状部材を備え、
前記板状部材は、前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように傾斜又は湾曲した状態で取り付けられている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項8】
前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れを前記蓋本体の内部から外部に向かうに従い前記ヒンジ軸から離れるように規制するように、前記蓋本体の外壁の外側面に取り付けられたダクトを備える、請求項1〜7のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項9】
前記排気口の開口面積を調整する排気口面積調整部をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項10】
前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れ方向を前記蓋本体の厚み方向に対して約30°以上90°未満の角度で傾斜させるように構成されている、請求項4〜9のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項11】
前記排気方向規制部は、前記排気口から排出される前記混合流体の流れ方向を前記蓋本体の厚み方向に対して約30°以上40°以下の角度で傾斜させるように構成されている、請求項4〜9のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項12】
前記送風装置は、前記吸気口を通じて吸気する前記外気の温度が予め設定された温度よりも低いとき、炊飯終了から一定時間運転を継続するようにした、請求項1〜11のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項13】
前記送風装置の駆動を制御する送風制御部をさらに備え、
前記送風制御部は、前記蒸気経路を通る蒸気の量に応じて前記送風装置の風力を制御する、請求項1〜12のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項14】
前記送風装置の駆動を制御する送風制御部をさらに備え、
前記送風制御部は、前記吸気口を通じて吸気する前記外気の温度に応じて前記送風装置の風力を制御する、請求項1〜13のいずれか1つに記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−5362(P2010−5362A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235128(P2008−235128)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】