説明

炊飯機

【課題】 炊き上がりに影響を及ぼしやすい設定が不用意に変わってしまうことを防止することができるようにする。
【解決手段】少なくとも水加減水の設定を行うための水加減水量の設定項目M2を有する第1設定手段50と、この第1設定手段50とは別に少なくとも炊飯量の設定を行うための設定項目M1を有する第2設定手段51とを備え、第1設定手段50で設定した水加減水と第2設定手段51で設定した炊飯量とに基づいて米を炊飯する炊飯機1において、第1設定手段50の設定項目の設定操作を不能にするロック手段60を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水加減水等の設定を行うことができる炊飯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用の炊飯機において、炊飯量、水加減水、洗い方、浸し時間、むらし時間などを液晶画面上で行って、お米の炊き上がりを細かく設定できるものがある(例えば、特許文献1)。
このような炊飯機を飲食関連の店内で用いる場合、水加減水などの炊き上がりに影響を及ぼしやすい設定(重要設定ということがある)は、厨房内のリーダや店長などの管理者が行うことが多く、炊飯量の設定など炊き上がりに比較的影響しない設定(非重要設定)は、バイトやパートなどの非管理者が行っていることが実情である。
【特許文献1】特開2003−93227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の炊飯機では、水加減水などの炊き上がりに影響を及ぼしやすい重要設定や炊飯量の設定など炊き上がりに比較的影響しない非重要設定も、同一画面上で簡単に行うことができるようになっている。
そのため、非重要設定を非管理者が行う際に、誤って重要設定のスイッチに接触してしまい、重要設定が意図せずに変わってしまったり、設定の操作が分からずに非重要設定を操作するところを誤って重要設定の操作をしてしまい予め設定していた重要設定の内容が分からなくなるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、炊き上がりに影響を及ぼしやすい設定が不用意に変えてしまうことを防止することができる炊飯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、少なくとも水加減水の設定を行うための水加減水量の設定項目を有する第1設定手段と、この第1設定手段とは別に少なくとも炊飯量の設定を行うための設定項目を有する第2設定手段とを備え、第1設定手段で設定した水加減水と第2設定手段で設定した炊飯量とに基づいて米を炊飯する炊飯機において、前記第1設定手段の設定項目の設定操作を不能にするロック手段を備えている点にある。
これによれば、炊き上がりに影響を及ぼしやすい水加減水の設定操作をできないようにすることができ、例えば、バイトやパートなどの非管理者が誤って操作して水加減水の設定が変わってしまうことを防止することができる。
【0006】
前記第1設定手段の設定項目と、前記第2設定手段の設定項目とを表示する表示装置を備え、前記ロック手段は、表示装置に表示された第1設定手段における設定項目を選択不能とすることが好ましい。
これによれば、炊き上がりに影響を及ぼしやすい水加減水の設定項目を項目選択の段階から選択できないため、その結果、炊き上がりに影響を与えない項目が何であるかが直ぐに識別でき、炊き上がりに影響を与えない項目の設定を非常に簡単に行うことができる。
前記表示装置は、前記設定項目とを表示して設定を行うためのメニューセット画面と、このメニューセット画面とは異なる補助機能画面とを切り換え操作により切り換え可能に構成されており、前記ロック手段の有効又は無効の表示がされていない補助機能画面で、当該補助機能画面を表示させた際と同じ切り換え操作を行った際に、前記ロック手段を有効又は無効に切り換え可能に構成されていることが好ましい。
【0007】
これによれば、補助機能画面を切り換えた上で、ロック手段の有効又は無効の表示の無い同じ画面上で、当該補助機能画面を切り換える同じ操作によってのみ、ロック手段を有効又は無効に切り換えることができる。その結果、メニューセット画面及び最初の補助機能画面が隠し画面となるため、ロック手段の有効状態から無効状態に簡単に切り換えられてしまうことを防止することができる。
米を貯米する貯米庫と、この貯米庫の米を洗米する洗米槽と、この洗米槽で洗米された米を炊飯する炊飯器とを備え、前記第1設定手段は、前記洗米槽内に投入する水加減水量を設定する水加減水量の設定項目と、前記洗米槽での洗米の仕方を設定する洗い方の設定項目と、前記炊飯器で浸す浸漬時間を設定する浸しの設定項目とを備え、前記第2設定手段は、前記貯米庫から洗米槽へ投入する米の量により炊飯量を設定する炊飯量の設定項目を備え、前記各設定項目に設定された内容に基づいて、炊飯開始より貯米庫から洗米槽への米の投入後、洗米槽での洗米を経て、洗米された米が水加減水と共に炊飯器に投入されて浸されるように構成されており、前記ロック手段の有効を無効にする操作は、前記炊飯開始から前記炊飯器での浸しを開始する前までは行えないように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、炊き上がりに影響を及ぼしやすい設定が不用意に変えてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の炊飯機を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、炊飯機1は、米を貯米する貯米庫2と、貯米庫2の米を洗米する洗米槽3と、洗米槽3で洗米された米を炊飯する炊飯器4と、これら炊飯器4、貯米庫2、洗米槽3を支持する装置フレーム5とを備えたものであり、貯米庫2に貯米されている米を自動的に炊飯器4に投入して炊飯するものである。
貯米庫2は、略箱型に形成されたケース6と、このケース6内に設けられた漏斗状の貯米タンク7とを有している。この貯米タンク7の下部には、モータにより横軸回りに回転駆動される計量部8が設けられており、この計量部8を所定回数回転することで貯米タンク7内の米を計量して洗米槽3へ送るように構成されている。ケース6の上部は、蓋体9により開閉自在とされていて、この蓋体9を開いて貯米タンク7内に米を補給可能となっている。ケース6の前面には、各種設定を行う表示装置10が設けられている。
【0010】
洗米槽3は、計量部8にて計量された米が投入される洗米タンク11と、この洗米タンク11内の米を攪拌する攪拌手段12とを有している。
洗米タンク11は、下方先細り状に形成されていて、当該洗米タンク11の下端には、排米弁13によって開閉自在とされた排米口が形成され、洗米後の米を炊飯器4へ投入できるようになっている。また、洗米タンク11の下部には排水ジャケット14が設けられていて、この排水ジャケット14は、開閉自在な排水弁を内蔵した排水ボックス15に接続されており、洗米タンク11で洗米したときの排水は排水ジャケット14から排水ボックス15を介して外部に排水される。
【0011】
攪拌手段12は、上下軸16芯回りに回転して米を攪拌する攪拌部材17を備え、当該攪拌部材17を軸心廻りに回転駆動させることによって、洗米タンク11内の米を洗米可能としている。
洗米タンク11の上部には、給水ノズル18が設けられており、この給水ノズル18は配水管19を介して水道水蛇口等の給水源に接続されていて、給水源からの水(水加減水)が給水ノズル18から排出されて洗米タンク11内に流入するように構成されている。配水管19には、電磁開閉バルブ20と、流量センサ21とが設けられ、電磁開閉バルブ20による開閉により水加減水の調整等を行えるようになっている。
【0012】
炊飯器4は、上端開口状の内釜22と、この内釜22が上方から挿脱自在に挿入されて収納される外釜23と、内釜22の上端開口を開閉自在に閉塞する蓋体24と、内釜22の下方に配置されていて該内釜22を加熱するガスコンロ、IHヒータ等の加熱手段等とを有している。この炊飯器4は、装置フレーム5に略水平方向一方向に設けられた載置台25に載置されていて、載置台25を介して引き出し自在とされている。
図2に示すように、表示装置10は、表示部30と、炊飯器4の各種設定や選択等を行う操作部31と、制御部32とを備えている。この表示装置10では、表示部30に表示された設定項目を操作部31で選択したり、設定項目の設定内容を操作部31により操作して内容の変更等をすることによって、炊飯器4の各種設定を行うことができるようになっている。各種設定の制御、炊飯機1の制御は、CPU等から構成された制御部32によってなされる。
【0013】
以降、表示装置10について詳しく説明する。
図3に示すように、表示装置10の操作部31は、設定スイッチ35と、スタートスイッチ36と、予約スイッチ37と、取消スイッチ38と、上スイッチ39、下スイッチ40、左スイッチ41、右スイッチ42と、補助機能スイッチ43とを備えている。これらの各スイッチは、ケース6の前面に設けられていて、表示部30の周囲に配置されている。表示装置10の表示部30は、液晶パネルから構成されていてケース6の前面に設けられている。
【0014】
図4(a)〜図4(c)に示すように、表示部30は、主に、炊飯の状態を示す初期画面Aと、各種設定を行うメニューセット画面Bと、このメニューセット画面Bとは異なっていて補助機能を表示する補助機能画面Cとを表示する。
炊飯機1の電源を入れると、表示部30には、初期画面Aが表示されるようになっており、初期画面Aで設定スイッチ35を押すと、メニューセット画面Bに画面が切り替わる。また、初期画面Aで補助機能スイッチ43を押すと、補助機能画面Cに画面が切り替わる。なお、この実施形態では、補助機能スイッチ43を押してもメニューセット画面Bから補助機能画面Cには変わらないようになっている。
【0015】
図4(a)に示すように、初期画面Aでは、炊飯の工程が示されるようになっており、米を計量部8により計量中である計量工程S1、米を洗米槽3内で洗米中である洗米工程S2、洗米槽3内で洗米後に米のザル上げを行うザル上げ工程S3、洗米槽3に所定の水を計算して水加減水を給水する水加減工程S4、洗米槽3内の米及び水加減水を炊飯器4に投入する排米工程S5、炊飯器4内でお米を浸している浸し工程S6、炊飯器4にて炊飯を行っている炊飯工程S7、お米を炊飯器4内で蒸らすむらし工程S8、米の炊きあがりを示す炊きあがりS9を表示するもので、カーソル等の点滅によってどの工程であるか分かるようになっている。
【0016】
図4(b)に示すように、メニューセット画面Bでは、炊飯量M1、水加減水M2、洗い方M3、モードM4、浸しM5、むらしM6の各種項目がそれぞれ表示設定できるようになっており、メニューセット画面Bに表示された各種項目は、上スイッチ39、下スイッチ40によりカーソル44が移動してカーソル44により選択可能となっている。選択された項目は、他の項目と比べてその文字が反転し、画面の左側に表示されたカーソル44によって選択した項目が分かるようになっている。補助機能画面Cについては後述する。
【0017】
図2に示すように、制御部32は、上述した炊飯量等の各種設定の制御を行うもので、重要な項目を設定するための第1設定手段50と、第1設定手段50によって設定する項目に比べて重要性が下位である項目を設定するための第2設定手段51とを備えている。
第1設定手段50及び第2設定手段51は、メニューセット画面Bに表示された複数の設定項目のうち自己に割り当てられた項目について、その項目の内容の変更ができるように、プログラムにより構成されたもので、第1設定手段50と第2設定手段51とは互いに異なる項目が割り当てられたものとなっている。
【0018】
図5に示すように、具体的には、この第1設定手段50は、洗米槽3内に投入する水加減水量を設定するための水加減水量の設定項目M2と、洗米槽3での洗米の仕方を設定する洗い方の設定項目M3と、炊飯器4で浸す浸漬時間を設定する浸しの設定項目M5と、炊飯器4内での蒸らし時間を設定するむらしの設定項目M6とを備えている。
第1設定手段50は、水加減水量の設定項目M2にて水加減水量を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bで水加減水の設定項目M2をカーソル44により選択すると、水加減水の設定項目M2の右側に表示された水加減水量を示すレベルバー53に表示されたレベルを変更できるようになっている。
【0019】
レベルバー53のレベルは、レベルバー53上に表示されたカーソル54を、左スイッチ41又は右スイッチ42によって水加減水量の減少を示すレベル側に移動させたり、水加減水量の増加を示すレベル側に移動させたりすることで変更できるようになっており、これにより、水加減水量を段階的に変更することができる。
また、第1設定手段50は、洗い方の設定項目M3にて米の洗い方を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bで洗い方の設定項目M3をカーソル44により選択すると、洗い方の設定項目M3の右側に表示された洗い方の度合いを示すレベルバー55のレベルを変更できるようになっている。このレベルバー55のレベルは、レベルバー55上に表示されたカーソル56を、左スイッチ41又は右スイッチ42によって軽く洗うことを示すレベル側に移動させたり、念入りに洗うことを示すレベル側に移動させたりすることで変更できるようになっており、これにより、洗い方の度合いを段階的に変更することができる。
【0020】
第1設定手段50は、浸しの設定項目M5にて浸し時間を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bで浸しの設定項目M5をカーソル44により選択すると、浸しの設定項目M5の右側に表示された時間浸し時間を変更できるようになっている。浸し時間は、浸し時間を示す数値を、上スイッチ39又は下スイッチ40によって増減させることで、1分単位で変更することができる。
第1設定手段50は、むらしの設定項目M6にてむらし時間を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bでむらしの設定項目M6をカーソル44により選択すると、むらしの設定項目M6の右側に表示された時間(むらし時間)を変更できるようになっている。むらし時間は、むらし時間を示す数値を、上スイッチ39又は下スイッチ40によって増減させることで、1分単位で変更することができる。
【0021】
一方で、第2設定手段51は、貯米庫2から洗米槽3へ投入する米の量(炊飯量)を設定する炊飯量の設定項目M1と、炊飯する回数及び炊飯後の米の状態(炊き上がりの状態)を設定するモードM4の設定項目とを備えている。
第2設定手段51は、炊飯量の設定項目M1にて炊飯量(貯米庫2から洗米槽3へ投入する米の量)を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bで炊飯量の設定項目M1をカーソル44により選択すると、炊飯量の設定項目M1の右側に表示された数値(炊飯量)を変更できるようになっている。炊飯量は、炊飯量を示す数値を、上スイッチ39又は下スイッチ40によって増減させることで、1.8L(一升単位)で変更することができる。
【0022】
第2設定手段51は、モードM4の設定項目にて炊飯回数及び炊き上がりの状態を設定できるようにしたもので、メニューセット画面Bでモードの設定項目M4をカーソル44により選択すると、モードの設定項目M4の右側に表示された炊き上がりの状態を示す項目K1と、その回数K2を変更できるようになっている。
図6に示すように、炊き上がりの状態を示す項目K1及びその回数K2は、左スイッチ41又は右スイッチ42によって、「白飯、1回」→「白飯、2回」「酢飯、1回」→「酢飯、2回」の順に切り換えることができるようになっている。
【0023】
制御部32は、第1設定手段50における設定項目の設定操作を不能にするロック手段60を備えている。即ち、この制御部32は、第1設定手段50の設定項目を選択できないようにしたり、第1設定手段50の設定項目における内容をカーソルや各スイッチ等によって変更できないようにするロック手段60を備えている。
このロック手段60は、特定の操作を行うことによって、有効又は無効とすることができる。
図4、図7に示すように、炊飯が開始されていない状態で、補助機能スイッチ43を押すと1つ目の補助機能画面C1(第1補助機能画面C1)が表示される。
【0024】
第1補助機能画面C1では、洗米槽3などに残った米を処理する際に使用する残米処理の項目M10と、洗米槽3などに給水する水加減水等の給水量を確認する際に使用する給水確認の項目M11と、トータルの炊飯量を確認する際に使用するトータル炊飯量の項目M12と、表示部30の明るさ等をセットするための表示の明るさの項目M13と、現在時刻の確認又はセットを行うための現在時刻の項目M14とを表示するものである。補助機能画面C1では、炊飯器4の補助的な設定や確認を行うもので、少なくとも表示部30の設定を行う項目M13を備えている。この第1補助機能画面C1では、ロック手段60の有効又は無効を切り換えることができる表示はされていない。
【0025】
この第1補助機能画面C1を表示した状態で、第1補助機能画面C1を表示させる操作と同じ切り換え操作(第1補助機能画面C1を表示した状態で再度、補助機能スイッチ43を押す)と、ロック手段60の有効又は無効を切り換えることができるという表示が無い状態から、ロック手段60を有効又は無効の切り換えを行うロック機能の設定項目M15が第2補助機能画面C2が表示される。
このようなロック手段60を有効又は無効に切り換える制御は、制御部32のプログラム(切り換えモード)によってなされる。上述したように、ロック手段60を有効又は無効に切り換える切り換えモードにするためには、第1補助機能画面C1で表示されていない操作(画面上で案内表示されていない操作)を行う必要があり、本発明の炊飯機1では、切り換えモードが具備されていることを知っている特定の者(例えば、店長や社員)しか、切り換えモードにすることができない。
【0026】
切り換えモードにして、補助機能画面C2を表示させた状態では、”ロック機能”という表示によって、ロック機能の設定項目M15の設定が行えることが分かるようになっている。このロック機能の設定項目M15の右側に、ロック機能(ロック手段60)を無効状態(解除)にするという解除表示K3と、ロック機能(ロック手段60)を有効状態(ロック)にするというロック表示K4とが示されている。
図8に示すように、補助機能画面C2では、左スイッチ41又は右スイッチ42によって、解除表示K3(解除)、ロック表示K4(ロック)をカーソル61によって選択でき、解除をカーソル61によって選択した状態でスタートスイッチ36を押すと、”ロックを解除しましたという”というメッセージが表示されて、解除が正式に制御部32にセットされる。また、ロックをカーソル61によってロックを選択した状態でスタートスイッチ36を押すと、”メニューセットをロックをしました”というメッセージが表示されて、ロックが正式に制御部32にセットされる。
【0027】
切り換えモード(補助機能画面C2)は、補助機能スイッチ43を押すことによって常に起動するのではなく、炊飯を行う前(炊飯を開始するスタートスイッチ36が押される前)と、炊飯中において浸し工程S6以降でなければ起動しないように制御部32により制限が掛かっている。
具体的には、各種設定を行った後に、スタートスイッチ36を押すと、計量工程S1、洗米工程S2、ザル上げ工程S3、水加減工程S4、排米工程S5、浸し工程S6、炊飯工程S7、むらし工程S8、炊きあがり工程の順に進んで行くが、切り換えモード(ロック手段60の有効を無効にする操作)には、計量工程S1〜排米工程S5の間ではすることができず、浸し工程S6が開始してからでないと、切り換えモードM4にはならない。
【0028】
即ち、計量工程S1から排米工程S5の間において、第1補助機能画面C1を表示した状態で、補助機能スイッチ43を押しても、図7に示した第2補助機能画面C2への切り換えは行われず、浸し工程S6の開始後に第1補助機能画面C1を表示した状態で補助機能スイッチ43を押すと、第2補助機能画面C2に切り替わるようになっている。
制御部32にロック手段60のロックがセットされると、メニューセット画面Bでは、第2設定手段51に対応した炊飯量の設定項目M1と、モードの設定項目M4とが選択できて、第1設定手段50に対応した水加減水量の設定項目M2と、洗い方の設定項目M3と、浸しの設定項目M5、むらしの設定項目M6は全て選択できないようになっている。
【0029】
即ち、図9に示すように、ロック手段60が有効であると炊飯量の設定項目M1とモードの設定項目M4のみにしかカーソル44が移動せず、水加減水量の設定項目M2、洗い方の設定項目M3、浸しの設定項目M5、むらしの設定項目M6は、スキップして選択できない。よって、水加減水の設定項目M2のレベルバー53のレベル、洗い方の設定項目M3のレベル、浸しの設定項目M5の時間、むらしの設定項目M6の時間を変更することができない。
スタートスイッチ36を押すと、第2設定手段51の炊飯量の設定項目M1で設定した炊飯量に応じて計量ドラムが所定の回数回転をし、貯米庫2に貯米している米が洗米槽3に投入される(計量工程S1)。洗米槽3への米の投入が完了すると、洗米タンク11に水が投入され、攪拌手段12で米が洗米される(洗米工程S2)。洗米工程S2では、第1手段の洗い方の設定項目M3で設定した米の洗い方のレベルに応じて、攪拌手段12での攪拌度合い(攪拌部材の回転数や攪拌時間など)が決められて米が洗米される。
【0030】
洗米後は、ザル上げが行われ(ザル上げ工程S3)、第1設定手段50の水加減水の設定項目M2で設定した水加減水M2のレベルに応じて、水加減水量が制御部32で求められ、求められた水加減水量が洗米槽3に給水される(水加減工程S4)。
水加減水の給水が完了後に、洗米槽3内の米及び水加減水が炊飯器4に投入され(排米工程S5)、第1設定手段50の浸しの設定項目M5で設定された浸し時間に応じて、炊飯器4内での米の浸しが行われる(浸し工程S6)。その後、炊飯器4にて炊飯が行われ(炊飯工程S7)、炊飯後、第1設定手段50のむらしの設定項目M6で設定されたむらし時間に応じて、むらしが行われる(むらし工程S9)。
【0031】
そして、むらし工程S9が完了すると、第2設定手段51のモードの設定項目M4で設定した炊飯回数が所定回数となるまで、計量工程S1〜むらし工程S9が自動的に行われる。第1設定手段50の設定項目の設定操作を不能にするロック手段60を備えているため、重要な項目、即ち、 炊き上がりに影響を及ぼしやすい項目が不用意に変えてしまうことを防止することができる。例えば、飲食の店長などの管理者がロック手段60を用いて第1設定手段50の設定項目を操作不能にしておけば、アルバイトやパートなどの日常的な非管理者(作業員)によって、炊飯時に重要な項目を誤って変更してしまうことを防止することができる。
【0032】
また、第1設定手段50の設定項目と、第2設定手段51の設定項目とを表示する表示装置10を備え、ロック手段60は、表示装置10に表示された第1設定手段50における設定項目を選択不能としていることから、重要な設定項目を項目選択の段階から選択できなくなり、その結果、炊き上がりに影響を与えず、日常的に良く使用する第2設定手段51での項目(炊飯量やモード)の設定を、第1設定手段50の項目と間違えることなく、簡単に行うことができる。
表示装置10は、設定項目とを表示して設定を行うためのメニューセット画面Bと、このメニューセット画面Bとは異なる補助機能画面Cとを切り換え操作により切り換え可能に構成され、ロック手段60の有効又は無効の表示がされていない補助機能画面C1で当該補助機能画面C1を表示させた際と同じ切り換え操作を行った際に、ロック手段60を有効又は無効に切り換え可能に構成されていることから、補助機能スイッチ43を1回押して、補助機能画面C1を表示させ、さらに、補助機能スイッチ43を1回押さない限り、ロック手段60を有効したり無効したりすることができない。即ち、2回目の補助機能画面C2は、通常の案内表示によって表示することができない隠し画面となるため、ロック手段60の有効状態から無効状態に簡単に切り換えられてしまうことを防止することができる。
【0033】
第1設定手段50は、ロック手段60の有効を無効にする操作は、炊飯開始から炊飯器4での浸しを開始する前までは行えないように構成されていることから、重要な項目の設定が浸しを完了するまでは行われないことになり、誤った操作などによって水加減水量などが変わってしまうことはない。
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく適宜に設計変更が可能である。即ち、上記の実施形態では、重要な設定を行う第1設定手段50は、水加減水量の設定項目M2と、洗い方の設定項目M3と、浸しの設定項目M5との3つの設定項目を有しているが、水加減水量が最も炊き上がりに影響することから、第1設定手段50は、少なくとも水加減水M2の設定を行うための水加減水量の設定項目M2を有するものであればよい。
【0034】
上記の実施形態では、第2設定手段51は、炊飯量の設定項目M1と、モードの設定項目M4との2つの設定項目を有しているが、日常的に良く使用する設定項目を有することが好ましく、第2設定手段51は、少なくとも炊飯量M1の設定を行うための炊飯量の設定項目M1を有するものであればよい。
上記の実施形態では、ロック手段60を有効にした際に、第1設定手段50の設定項目を選択できない(第1設定手段50の設定項目をカーソル44によって選択できない)ようになっているが、ロック手段60は、第1設定手段50の設定項目の設定操作を不能にするものであれな何でも良く、第1設定手段50の設定項目をカーソル44によって選択できても、予め設定された内容が変わらないように、例えば、水加減水量のレベルを変更できない(カーソル54が動かない)ようにしたり、洗い方の度合いを変更できない(カーソル56が動かない)、浸し時間を変更できない(上スイッチ39又は下スイッチ40を押しても浸し時間が変わらない)、むらし時間を変更できない(上スイッチ39又は下スイッチ40を押してもむらし時間が変わらない)ようにしてもよい。
【0035】
上記の実施形態では、第1補助機能画面C1を表示した状態で、補助機能スイッチ43を再度押すことで、第2補助機能画面C2に切り換え、これにより、ロック手段60を有効又は無効に切り換えできるようにしているが、制御部32では、ロック手段60の有効又は無効の表示がされていない補助機能画面Cで、当該補助機能画面Cを表示させた際と同じ切り換え操作を行った際に、ロック手段60を有効又は無効に切り換える制御を行えばよく、例えば、始めに表示された第1補助機能画面C1(1回目の第1補助機能画面C1)では、ロック手段60の有効又は無効の表示はせず、この第1補助機能画面C1で、再度、補助機能スイッチ43が押されると、同じ第1補助機能画面C1に、図7で示したようなロック機能の設定項目M15を追加表示するようにしてもよい(例えば、同じ第1補助機能画面C1の右側にロック機能の設定項目M15を表示する)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】炊飯機の全体図である。
【図2】表示装置の構成図である。
【図3】表示装置の操作部の説明図である。
【図4】表示部の各種画面を示したもので、a)は初期画面を示し、b)はメニューセット画面を示し、c)は補助機能画面を示したものである。
【図5】第1設定手段及び第2設定手段の設定項目を説明する説明図である。
【図6】モードの設定項目での切り換えを示した図である。
【図7】補助機能画面の切り換えを示した図である。
【図8】ロック手段の有効及び無効の切り換えを示した図である。
【図9】ロック手段の有効の状態を示した図である。
【符号の説明】
【0037】
1 炊飯機
50 第1設定手段
51 第2設定手段
60 ロック手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水加減水の設定を行うための水加減水量の設定項目を有する第1設定手段と、この第1設定手段とは別に少なくとも炊飯量の設定を行うための設定項目を有する第2設定手段とを備え、第1設定手段で設定した水加減水と第2設定手段で設定した炊飯量とに基づいて米を炊飯する炊飯機において、
前記第1設定手段の設定項目の設定操作を不能にするロック手段を備えていることを特徴とする炊飯機。
【請求項2】
前記第1設定手段の設定項目と、前記第2設定手段の設定項目とを表示する表示装置を備え、前記ロック手段は、表示装置に表示された第1設定手段における設定項目を選択不能とすることを特徴とする請求項1に記載の炊飯機。
【請求項3】
前記表示装置は、前記設定項目を表示して設定を行うためのメニューセット画面と、このメニューセット画面とは異なる補助機能画面とを切り換え操作により切り換え可能に構成されており、
前記ロック手段の有効又は無効の表示がされていない補助機能画面で、当該補助機能画面を表示させた際と同じ切り換え操作を行った際に、前記ロック手段を有効又は無効に切り換え可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の炊飯機。
【請求項4】
米を貯米する貯米庫と、この貯米庫の米を洗米する洗米槽と、この洗米槽で洗米された米を炊飯する炊飯器とを備え、
前記第1設定手段は、前記洗米槽内に投入する水加減水量を設定する水加減水量の設定項目と、前記洗米槽での洗米の仕方を設定する洗い方の設定項目と、前記炊飯器で浸す浸漬時間を設定する浸しの設定項目とを備え、前記第2設定手段は、前記貯米庫から洗米槽へ投入する米の量により炊飯量を設定する炊飯量の設定項目を備え、前記各設定項目に設定された内容に基づいて、炊飯開始より貯米庫から洗米槽への米の投入後、洗米槽での洗米を経て、洗米された米が水加減水と共に炊飯器に投入されて浸されるように構成されており、
前記ロック手段の有効を無効にする操作は、前記炊飯開始から前記炊飯器での浸しを開始する前までは行えないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炊飯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−240503(P2009−240503A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90092(P2008−90092)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】