説明

炎症またはアレルギー状態の処置に有用なピラジノイルグアニジン化合物

上皮性ナトリウムチャネルの遮断が仲介する状態、特に炎症またはアレルギー状態の処置のための、式(I)の化合物
【化1】


〔式中、M、M、L、L、W、W、X、X、Y、Y、A、RおよびR5aは明細書で定義の通りである。〕
またはそれらの立体異性体、または溶媒和物、または薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、それらの製造法および医薬としての使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
一つの局面において、本発明は、式(I):
【化1】

〔式中、
M、MおよびMは独立して
【化2】

であり;
、R、R、およびRは、独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C15−員芳香族性炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択されるか、または
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、所望によりR14で置換されているC−C14−員ヘテロ環式基を形成するか、または
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、所望によりR14で置換されているC−C14−員ヘテロ環式基を形成し;
L、LおよびLは、独立して:
【化3】

から選択され;
、R、R5a、R5bおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−アルキル−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択されるか、または
は、それが結合している窒素原子と共に、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5aは、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5bは、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成し;
W、WおよびWは、独立して、C−C−アルキレンから選択され;
X、XおよびXは、独立して、C−C−アルキレン、O、S、−NR−、−NR(C=O)−、NR(C=O)NR−、−NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、O(C=O)NR−、−(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、−(SO)NR−および−(SO)NR−Z−(SO)NR−から選択され;
Y、YおよびYは、独立して、−C−C−アルキレン−であり;
ZはC−C−アルキレンであり;
【0003】
ここで、W、W、W、Y、Y、YおよびZは、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキル、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルで置換されており;
Aは、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C15−員芳香族性炭素環式基、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C15−炭素環式基、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されている4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子され、ここで、窒素は、−Y−X−W−NR5b−L−M、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C−アルキルで置換されていてよく(ただし、RおよびR5aがAを有する4から14員ヘテロ環式基を形成しないならば、X、X、YおよびYがC−C−アルキレンであるとき、Aが−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されていない限り、AはC−C15−芳香族性炭素環式基、O、C=OまたはC−C−アルキル基ではない);
、R、R11およびR12は、独立して、H、所望によりC−C10−アラルキルで置換されているC−C−アルキル、C−C−ハロアルキルおよび5から14員ヘテロ環式基;独立して、C−C−アルキル基が、5から14員ヘテロ環式基を形成するために基W、W、W、Y、Y、またはY上の炭素原子と結合できる方法で、RおよびRから選択され;
Tは、H、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択され;
ここで、各C−C15−員芳香族性炭素環式基および各4から14員ヘテロ環式基は、特記されない限り、独立して、そして所望により、OH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲン、SONR1112、所望によりヒドロキシルで置換されている、ヒドロキシC−C−アルコキシ(C−C−アルキレン)CONR1112、(C−C−アルキレン)N=C(NR1112)、−O−(C−C−アルキレン)−N=C(NR1112)、−O−(C−C−アルキレン)−CONR1112、C−C10−アラルコキシ、C−C10−アラルキル、SH、S(C−C−アルキレン)、SO(C−C−アルキレン)SO(C−C−アルキレン)、NR1112、R15、R15で置換されているC−C−アルキル、R16、R16で置換されているC−C−アルキル、O(C−C−アルキレン)−NR11C(C=O)O−(C−C−アルキレン)−R15、シアノ、オキソ、カルボキシ、ニトロ、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、アミノ−C−C−アルキル、アミノ(ヒドロキシ)C−C−アルキルおよび所望によりアミノカルボニルで置換されているC−C−アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、ここで、R15は、所望によりOH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲンおよびC−C−ハロアルキルで置換されているC−C15−員芳香族性炭素環式基であり、R16は、所望によりOH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲンおよびC−C−ハロアルキルで置換されている3から14員ヘテロ環式基であり、
そして、各アルキレン基は、特記されない限り、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、R15、R15で置換されているC−C−アルキル、R16またはR16で置換されているC−C−アルキルで置換されており;そして
14は、H、ハロゲン、C−C−アルキル、OH、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C14−アラルキル、およびO−C−C14−アラルキルから選択される。〕
の化合物またはそれらの立体異性体、または溶媒和物、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0004】
本発明の一つの局面は、
M、MおよびMが独立して
【化4】

であり;
、R、R、およびRが独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルキル−カルボキシから選択され;
L、LおよびLが独立して:
【化5】

から選択され;
、R5aおよびR5bが独立してH、およびC−C−アルキルから選択されるか、または
が、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5aが、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5bが、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成し;
がH、およびC−C−アルキルから選択され;
W、WおよびWが、C−C−アルキレンから選択され;
X、XおよびXが、C−C−アルキレン、O、S、−NR−、−NR(C=O)−、−NR(C=O)NR−、−NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、−O(C=O)NR−、(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、(SO)NR−および−(SO)NR−Z−(SO)NR−から選択され;
Y、YおよびYが、−C−C−アルキレン−であり;
Zが、C−C−アルキレンであり;
【0005】
ここで、W、W、W、Y、Y、Y、およびZが、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキル、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルで置換されており;
Aが、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子であり、ここで、窒素は、−Y−X−W−NR5b−L−M、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C−アルキルで置換されていてよい。ただし、RおよびR5aがAを含む4から14員ヘテロ環式基を形成しないならば、X、X、YおよびYがC−C−アルキレンであるとき、Aが−Y−X−W−NR5b−L−Mでない限り、AはC−C15−芳香族性炭素環式基、O、C=OまたはC−C−アルキル基ではなく;
、R、R11およびR12は、独立して、H、所望によりC−C14−アラルキルで置換されているC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、5から14員ヘテロ環式基、ならびに独立して、C−C−アルキル基が5から14員ヘテロ環式基を形成する基WまたはYの炭素原子と結合できる方法でRおよびRから選択され;そして
TがH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択される、
式(I)の化合物、またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
式(I)の化合物において、以下の意味が独立して、集合的にまたは任意の組合せで好ましい:
式(I)に従い、L、LおよびLが適当には
【化6】

である。等しく適当には、L、LおよびLが;
【化7】

であり;
【0007】
式(I)に従い、Rが好ましくはHである。
式(I)に従い、Rが好ましくはHである。
式(I)に従い、Rが好ましくはHである。
式(I)に従い、Rが好ましくはHである。
【0008】
M、M、およびMが好ましくは
【化8】

である。
式(I)に従い、好ましくは、R、R5aおよびR5bがHである。
式(I)に従い、Rが好ましくはHである。
【0009】
式(I)に従い、AがC−C15−炭素環式基であるとき、これは、適当には4から6員炭素環式基、例えば、シクロブタンおよびシクロヘキサンである。
式(I)に従い、Aが、−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換された窒素であり得る。
式(I)に従い、W、WおよびWが、独立して、メチレン、エチレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンであり、好ましくはWおよびWがメチレンである。
【0010】
式(I)に従い、X、XおよびXが、適当にはC−C−アルキレン、−NR−、−NR(C=O)−、NR(C=O)NR−、−NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、O(C=O)NR−、−(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、(SO)NR18−、−(SO)NR−Z−(SO)NR−、または独立して、C−C−アルキル基が5から14員ヘテロ環式基、例えば、
【化9】

を形成するために基WまたはWまたはYまたはYの炭素原子と結合できる方法で、RおよびRである。
【0011】
およびRが、好ましくは、独立して、HおよびC−C−アルキルである。
好ましくはX、XおよびXが、C−アルキレン、すなわち、結合である。
式(I)に従い、Zが適当には−(C−C−アルキレン)−である。好ましくはZがメチレンまたはエチレンである。
【0012】
式(I)に従い、Y、YおよびYが、適当には−(C−C−アルキレン)−である。好ましくはYおよびYがC、すなわち、結合、メチレンまたはエチレンである。
式(I)に従い、Tが、適当にはハロゲン、好ましくは塩素である。
【0013】
より好ましい態様において、本発明は、式(Ia):
【化10】

〔式中、

【化11】

から選択される。〕
の化合物、またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、遊離または薬学的に許容される塩形態の、上記態様のいずれかの式(I)の化合物の、炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用薬剤の製造のための使用を提供する。
【0015】
本発明の好ましい態様は、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、呼吸器感染症、肺癌腫、口内乾燥、および乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)から選択される炎症またはアレルギー状態の処置用薬剤の製造のための、遊離または薬学的に許容される塩形態の、上記態様のいずれかの式(I)の化合物の使用を提供する。
【0016】
本発明の何らかの態様を何らかの他の態様と組み合わせて、本発明のさらなる態様となし得ることは当然である。さらに、ある態様の何らかの要素は、何らかの態様の他の要素と組み合わせて、さらなる態様とすることもできる。当業者には、不可能である置換基の組合わせは、本発明の態様ではないことが理解される。
【0017】
定義
本明細書において使用する用語は、以下の意味を有する:
“所望により置換されている”は、言及されている基が、1箇所以上の位置を、その前に挙げられているラジカルの任意の1個または任意の組み合わせで置換されていてよいことを意味する。
ここで使用する“ハロ”または“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。
【0018】
ここで使用する“C−C−アルキル”は、1−8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。
ここで使用する“C−C−アルコキシ”は、1−8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシを意味する。
用語“アルキレン”は、直線状または分枝状飽和炭化水素鎖を意味する。
【0019】
“アミノ−C−C−アルキル”および“アミノ−C−C−アルコキシ”は、窒素原子によりC−C−アルキルに(例えば、NH−(C−C)−)、またはC−C−アルコキシに(例えば、NH−(C−C)−O−)結合したアミノを意味する。
“アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキル”は、窒素原子によりC−C−アルキルに結合したアミノおよび酸素原子により同じC−C−アルキルに結合したヒドロキシを意味する。
ここで使用する“C−C−アルキルカルボニル”および“C−C−アルコキシカルボニル”は、炭素原子によりカルボニル基に結合したC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシを各々意味する。
【0020】
ここで使用する“C−C−シクロアルキルカルボニル”は、炭素原子によりカルボニル基に結合した、上記で定義のC−C−シクロアルキルを意味する。
ここで使用する“C−C14−アラルキル”は、上記で定義のC−C10−芳香族性炭素環式基により置換された、上記で定義のアルキル、例えば、C−C−アルキルを意味する。
【0021】
ここで使用する“C−C15−炭素環式基”は、C−C−シクロアルキルのような、飽和または部分的に飽和された、3から15環炭素原子を有する炭素環式基を意味する。C−C15−炭素環式基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルまたは二環式基、例えばビシクロオクチル、インダニルおよびインデニルを含むビシクロノニル、およびビシクロデシルを含むが、これらに限定されない。
【0022】
ここで使用する“C−C15−芳香族性炭素環式基”は、6から15環炭素原子を有する芳香族基を意味する。C−C15−芳香族性炭素環式基の例は、フェニル、フェニレン、ベンゼントリイル、ナフチル、ナフチレン、ナフタレントリイルまたはアントリレンを含むが、これらに限定されない。
【0023】
“4から14員ヘテロ環式基”は、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式環を意味し、それは飽和、部分的に飽和または不飽和(芳香族性)であり得る。3から14員ヘテロ環式基の例は、フラン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、イソトリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピラジン、オキサゾール、イソキサゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリジノン、モルホリン、トリアジン、オキサジン、テトラヒドロ(hyro)フラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,4−オキサチアン、インダゾール、キノリン、インダゾール、インドールまたはチアゾールを含むが、これらに限定されない。
【0024】
明細書および添付の特許請求の範囲を通して、文脈から他の解釈が必要でない限り、用語“含む”または“含み”もしくは“含んで”のようなその変形は、記載の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を含むことを意図するが、他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を除外しないことは理解されよう。
【0025】
とりわけ好ましい具体的式(I)の化合物は、以後の実施例に記載のものである。
【0026】
式(I)により示される化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸;脂肪族ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸;ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはコハク酸;芳香族性カルボン酸、例えば安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、パラ−ビフェニル安息香酸またはトリフェニル酢酸;芳香族性ヒドロキシ酸、例えばo−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸;ケイ皮酸、例えば3−(2−ナフタレニル)プロペン酸、パラ−メトキシケイ皮酸またはパラ−メチルケイ皮酸;およびスルホン酸、例えばメタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸の塩を含む。これらの塩は、式(I)の化合物から既知の塩形成法により製造できる。
【0027】
酸性基、例えば、カルボキシル基を含み得る式(I)の化合物はまた、塩基、特に、当分野で既知のもののような薬学的に許容される塩基と塩を形成できる;適当なこのような塩は、金属塩、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩;またはアンモニアまたは薬学的に許容される有機アミンまたはヘテロ環式塩基との塩、例えばエタノールアミン、ベンジルアミンまたはピリジンを含む。これらの塩は、式(I)の化合物から既知の塩形成法により製造できる。
【0028】
立体異性体は、不斉炭素原子が存在するときの化合物である。本化合物は、個々の光学活性異性体形としてまたはそれらの混合物として、例えば、ジアステレオマー混合物として存在できる。本発明は個々の光学活性RおよびS異性体、ならびにそれらの混合物の両方を包含する。個々の異性体は、当業者に既知の方法により、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離できる。
【0029】
互変異性体は、平衡で存在し、一方の異性体形から他方へと容易に変換する2個以上の構造異性体の一つである。
【0030】
本発明の化合物は、溶媒和されていないおよび溶媒和されている形の両方で存在できる。用語“溶媒和物”は、ここでは、本発明の化合物および1個以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールを含む分子複合倍を述べるために使用する。用語“水和物”は、該溶媒が水であるときに用いる。
【0031】
合成
本発明の一つの態様は、式(I):
【化12】

〔式中、M、M、L、L、NR、NR5a、W、W、X、X、Y、Y、およびAは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩の製造方法であって:
(i) 式(IV)
【化13】

〔式中、MはMまたはMであり;
はLまたはLであり;そして
、M、L、LおよびTは上記で定義の通りである。〕
の化合物と、式(V):
【化14】

〔式中、R、R5a、W、W、X、X、Y、YおよびAは上記で定義の通りである。〕
の化合物を、所望により塩基、例えば、有機塩基の存在下;および有機溶媒、例えば、非プロトン性双極性溶媒中で反応させ;そして
(ii) 得られた式(I)の化合物を遊離または薬学的に許容される塩形態で回収する
工程を含む、方法を提供する。
【0032】
式(I)の化合物は、例えば、下記のおよび実施例に記載の反応および技術を使用して製造できる。本反応は、用いる試薬および材料に適当であり、そして行われる変換に適当である溶媒中で行い得る。有機合成の分野の当業者には、分子上に存在する官能性が、進行する変換と一致すべきであることは理解されよう。これには、望む本発明の化合物を得るために、合成工程の順序を変更するための、または一つの特定の工程スキームを他から選択するための判断を必要とすることがある。
【0033】
以下の反応スキームにおいて示す合成中間体および最終生成物上の種々の置換基は、その完全に完成された形で、当業者により理解される通り必要な場合適当な保護基と共に、または、当業者には周知の方法により後段で最終形態に完成できる前駆形態で存在し得る。置換基はまた合成連続反応を通した種々の段階で、または合成連続反応が完了後にまた付加してよい。多くの場合、一般的に使用される官能基操作を使用して、一つの中間体から他の中間体に、または一つの式(I)の化合物から他の式(I)の化合物に変換できる。このような操作の例は、エステルまたはケトンからアルコールへの変換;エステルからケトンへの変換;エステル、酸およびアミドの相互変換;アルコールおよびアミンのアルキル化、アシル化およびスルホニル化;および多くのその他の変換である。置換基はまた、アルキル化、アシル化、ハロゲン化または酸化のような一般的反応を使用しても付加できる。このような操作は当分野で既知であり、多くの参考書がこのような操作の工程および方法を要約している。多くの官能基操作についての有機合成の主要文献、ならびに有機合成の分野で一般的に使用される他の変換に関する例および参考文献を提供するいくつかの参考書は、March's Organic Chemistry, 5th Edition, Wiley and Chichester, Eds. (2001); Comprehensive Organic Transformations, Larock, Ed., VCH (1989); Comprehensive Organic Functional Group Transformations, Katritzky et al. (series editors), Pergamon (1995);およびComprehensive Organic Synthesis, Trost and Fleming (series editors), Pergamon (1991)である。この分野で何らかの合成経路を計画するときの他の大きな懸念は、本発明において記載の化合物に存在する反応性官能基の保護に使用するための保護基の賢明な選択であることも認識されよう。同じ分子内の多くの保護基を、望む結果に依存して、これらの保護基の各々が、同じ分子内の他の保護基の除去なしに除去できるように、または数個の保護基が、同じ反応工程を使用して除去できるように選択できる。訓練された実施者に多くの選択肢を記載する信頼できる記述は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley and Sons (1999)である。
【0034】
一般に、本特許出願の範囲内で記載されている化合物は、スキーム1およびスキーム2ならびに実施例に記載の経路により合成できる。
【0035】
スキーム1において、式(I)の化合物は、Cragoe et al., J Med Chem, Vol. 10, pp. 66-73(1967);および欧州特許EP0017152および米国特許3,544,571に記載の方法に従い、製造できる。例えば、中間体を中間体(ここで、Aは上記で定義の通りである)と、トリエチルアミンの存在下有機溶媒中で反応させて、化合物を遊離塩基として得ることができる。次いで、本遊離塩基を、塩形態に、適当な酸での処理により変換できる。中間体は、当業者に既知の方法により製造できるか、または市販されている。
【化15】

【0036】
式(I)の化合物はまた、スキーム2に従い、中間体1を、一保護されたジアミン(中間体2)と、トリエチルアミンの存在下、有機溶媒中反応させて、中間体3を得ることができる。通常の脱保護技術を使用したその後の中間体3の脱保護により、中間体4を得る。中間体4をM−J(ここで、Mは上記で定義の通りである)と反応させて、化合物5を得ることができる。Pは標準アミン保護基、例えば、Boc、CBz、アセテートを示し、そして、脱保護は標準方法による。Jは、アミンと反応できる基、例えば、ハロゲン、チオエーテル、カルボン酸、イソシアネート、スルホニルクロライド、アルデヒドおよびケトンである。
【化16】

【0037】
遊離形の式(I)の化合物を、当業者により理解される通常の方法で塩形態に変換でき、そして逆もそうである。遊離または塩形態の化合物を水和物の形で、または結晶化に使用した溶媒を含む溶媒和物の形で得ることができる。式(I)の化合物を、慣用の方法で反応混合物から単離し、精製できる。立体異性体のような異性体を、慣用の豊富で、例えば、分別結晶または対応して不斉に置換された、例えば、光学活性、出発物質からの不斉合成により得ることができる。
【0038】
薬理学的活性
それらの上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の遮断を考慮して、遊離または薬学的に許容される塩形態の式(I)の化合物(以後集合的に“本発明の薬剤”と呼ぶ)は、上皮性ナトリウムチャネルに応答する状態、特に粘膜水和から利益を受ける状態の処置に有用である。
【0039】
上皮性ナトリウムチャネルの遮断が仲介する疾患は、上皮性膜を通過する流体量の制御と関連する疾患を含む。例えば、気道表面液の量は、粘膜繊毛クリアランスおよび肺健康の維持の重要なレギュレーターである。上皮性ナトリウムチャネルの遮断は、気道上皮の粘膜側への流体の蓄積を促進し、それにより粘液クリアランスを促進し、呼吸器組織(肺気道を含む)への粘液および唾液の蓄積を防止する。そのような疾患は、呼吸器疾患、例えば嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染症(急性および慢性;ウイルスおよび細菌)および肺癌腫を含む。上皮性ナトリウムチャネルの遮断が仲介する疾患はまた、恐らく表面上の保護的表面液の異常生理学が関与する、上皮を通過する異常な流体制御と関連した、呼吸器疾患以外の疾患、例えば、口内乾燥(口渇)または乾性角結膜炎(ドライ・アイ)を含む。さらに、腎臓における上皮性ナトリウムチャネルの遮断は利尿促進に使用でき、それにより血圧低下作用を誘発する。
本発明に従う処置は対症的または予防的であり得る。
【0040】
喘息は、如何なるタイプまたは原因であれ、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度喘息、中程度喘息、重度喘息、気管支喘息、運動誘発喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息を含む。喘息の処置はまた、主要な医学的関心を伴う確立された患者群であり、現在しばしば初期または初期相喘息患者として特定される、喘鳴症状を示し、“喘鳴幼児(wheezy infants)”と診断されたまたは診断可能な、例えば4歳または5歳未満の対象の処置も含むと理解される。(便宜上、この特定の喘息状態を“幼児喘鳴症候群(wheezy-infant syndrome)”と呼ぶ。)
【0041】
喘息の処置における予防的効果は、症候性発作、例えば急性喘息または気管支収縮発作の減少した頻度または重症度、改善された肺機能または改善された気道反応性亢進により証明される。さらに、他の、対症治療、すなわち症候発作が起こったときにそれを限定するか中止させるためのまたはそれを意図した治療、例えば抗炎症剤(例えばコルチコステロイド)または気管支拡張剤の必要性の減少により証明できる。喘息における予防的利益は、特に“早朝悪化(morning dipping)”の傾向のある患者で特に明白であり得る。“早朝悪化”は認識された喘息症候群であり、喘息患者のかなりの割合に共通し、例えば、概ね4から6amの間の時間の、すなわち通常何らかの前に投与した対症的喘息治療から相当離れた時間の喘息発作により特徴付けられる。
【0042】
慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法の結果として起こる気道過敏の悪化を含む。本発明はまた、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む如何なるタイプまたは原因であれ、気管支炎の処置に適用できる。
【0043】
粘膜水和により利益を受ける疾患の処置としての上皮性ナトリウムチャネルブロッカーの適性は、Bridges et al., Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol, Vol. 281, No. 1, pp. L16-L23(2001);およびDonaldson et al., J Biol Chem, Vol. 277, No. 10, pp. 8338-8345(2002)に記載の方法を使用した、適当な単離細胞またはコンフルエント上皮におけるイオンチャネル/イオン輸送機能に対するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害作用を測定することにより試験できる。
【0044】
式(I)の化合物を含む上皮性ナトリウムチャネルブロッカーは、抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または鎮咳性医薬物質のような他の薬剤との組合せで、特に嚢胞性線維症または、上記のような閉塞性または炎症性気道疾患の処置において、例えば、このような薬剤の治療活性の増強剤として、またはこのような薬剤の必要量を減らすもしくは可能性のある副作用を軽減する手段として使用するための併用剤としても有用である。
【0045】
上皮性ナトリウムチャネルブロッカーは、固定された医薬組成物として他の医薬物質と混合してよく、またはそれは他の医薬物質と別々に、前に、同時にまたは後に投与してよい。
【0046】
従って、本発明は、上皮性ナトリウムチャネルブロッカーと抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン、鎮咳剤、抗生物質またはDNase医薬物質の組合せを含み、該上皮性ナトリウムチャネルブロッカーおよび該医薬物質は同じまたは異なる医薬組成物中にある。
【0047】
適当な抗生物質は、マクロライド系抗生物質、例えば、トブラマイシン(TOBITM)を含む。
適当なDNase医薬物質は、DNAを選択的に開裂する、組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の高純度溶液であるドルナーゼアルファ(PulmozymeTM)を含む。ドルナーゼアルファは嚢胞性線維症の処置に使用される。
【0048】
上皮性ナトリウムチャネルブロッカーと抗炎症剤の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering-PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D;Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770);およびUSP6,166,037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載のCCR−5アンタゴニストとのものである。
【0049】
適当な抗炎症剤は、ステロイド、特に、グルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエート、またはWO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(とりわけthose of 実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載のステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えばDE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載のもの;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えばシロミラスト(Ariflo(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering-Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke−Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載のもの;アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えばWO02/42298に記載のもの;およびベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、およびとりわけ、フォルモテロール、カルモテロールおよびそれらの薬学的に許容される塩、および引用により本明細書に包含させるWO0075114の式(I)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけインダカテロールおよびそれらの薬学的に許容される塩に対応する式
【化17】

の化合物、ならびにWO04/16601の式(I)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形)、およびまたEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、USP2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618、WO04/46083、WO04/80964、WO04/108765およびWO04/108676の化合物を含む。
【0050】
適当な気管支拡張剤は、抗コリンまたは抗ムスカリン剤、特に、イプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、およびグリコピロレートだけでなく、EP424021、USP3,714,357、USP5,171,744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285に記載のものを含む。
【0051】
適当な二機能性抗炎症性および気管支拡張剤は、二重ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニスト、例えばUSP2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に記載のものを含む。
【0052】
適当な抗ヒスタミン医薬物質は、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン(loratidine)、デスロラタジン、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクティバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン(tefenadine)、ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841に記載のものを含む。
【0053】
“本発明の薬剤”と抗炎症剤の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering-PloughアンタゴニストSC−351125、SCH 55700およびSCH−D;Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770)、およびUSP6,166,037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載のCCR−5アンタゴニストとのものである。
【0054】
前記によって、本発明はまた、上皮性ナトリウムチャネルの遮断に応答する疾患、例えば、上皮性膜を通過する流体量の制御に関連する疾患、特に閉塞性気道疾患の処置方法であって、処置を必要とする対象、特にヒト対象に、遊離形または薬学的に許容される塩の形の式(I)の化合物を投与することを含む、方法も提供する。他の局面において、本発明は、上皮性ナトリウムチャネルの遮断に応答する状態、特に閉塞性気道疾患、例えば、嚢胞性線維症およびCOPDの処置用薬剤の製造において使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩の形の式(I)の化合物を提供する。
【0055】
“本発明の薬剤”は、適当な経路で、例えば経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形で;非経腸的に、例えば、静脈内に;例えば、閉塞性気道疾患の処置において吸入により;例えば、アレルギー性鼻炎の処置において鼻腔内に;皮膚に局所的に;または直腸に投与できる。さらなる局面において、本発明はまた、遊離形または薬学的に許容される塩の形の式(I)の化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物を提供する。本組成物は、併用剤、例えば上記の抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミンまたは鎮咳剤医薬物質を含み得る。このような組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤およびガレヌス分野(galenic art)で既知の技術を使用して、製造できる。故に、経口投与形態は、錠剤およびカプセルを含む。局所投与用製剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達系、例えば、パッチの形を取り得る。吸入用組成物は、エアロゾルまたは他の霧化可能(atomizable)製剤または乾燥粉末製剤を含み得る。
【0056】
組成物がエアロゾル製剤を構成するとき、それは好ましくは、例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤、例えばHFA134aまたはHFA227またはこれらの混合物を含み、当分野で既知の1種以上の共溶媒、例えばエタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエート、および/または1種以上の増量剤、例えばラクトースを含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは、好ましくは、例えば、10ミクロンまでの粒子径を有する式(I)の化合物を、所望により望む粒子サイズ分布の希釈剤または担体、例えばラクトースおよび湿度による製品性能劣化に対する保護を助ける化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウムと共に含む。組成物が噴霧可能(nebulizable)製剤であるとき、それは、好ましくは、例えば、水、共溶媒、例えばエタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤でもあり得る安定化剤を含む媒体中に溶解または懸濁された式(I)の化合物を含む。
【0057】
本発明は:
(a) 吸入可能形態、例えば、エアロゾルまたは他の霧化可能組成物または吸入可能粒子、例えば、微粒子形態の式(I)の化合物;
(b) 吸入可能形態の式(I)の化合物を含む吸入可能薬剤;
(c) 吸入可能形態の式(I)の化合物と共に吸入デバイスを含む医薬製品;および
(d) 吸入可能形態の式(I)の化合物を含む吸入デバイス
を含む。
【0058】
本発明の実施に際して用いる式(I)の化合物の量は、もちろん、例えば、処置すべき特定の状態、望む効果および投与形態に依存して変化する。一般に、吸入投与のための適当な1日量は、0.005−10mgの程度であり、一方、経口投与のために適当な1日量は0.05−100mgの程度である。
【0059】
医薬使用およびアッセイ
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩(以後代替的に“本発明の薬剤”と呼ぶ)は、医薬として有用である。特に、本化合物は、ENaCブロッカー活性を有し、以下のアッセイで試験できる。
【0060】
細胞培養
ヒト気管支上皮性細胞(HBEC)(Cambrex)を、空気−液体界面条件下に培養し、十分に分化した粘膜繊毛表現型を提供した。
【0061】
HBECを、Grayおよび同僚ら(Gray et al., 1996)により記載された方法の変法を使用して培養した。細胞をプラスチックT−162フラスコに播種し、ウシ下垂体抽出物(52μg/mL)、ヒドロコルチゾン(0.5μg/mL)、ヒト組み換え上皮細胞増殖因子(0.5ng/mL)、エピネフリン(0.5μg/mL)、トランスフェリン(10μg/mL)、インスリン(5μg/mL)、レチノイン酸(0.1μg/mL)、トリヨードサイロニン(6.5μg/mL)、ゲンタマイシン(50μg/mL)およびアンフォテリシンB(50ng/mL)を補った気管支上皮性細胞増殖培地(BEGM;Cambrex)で増殖させた。細胞が90%コンフルエントになるまで培地を48時間毎に交換した。次いで細胞を継代し、トリヨードサイロニンがなく、50nMの最終レチノイン酸濃度(全transレチノイン酸)である以外、上記と同じ添加物を有する50%DMEMのBEGM溶液を含む種々の培地の、ポリカーボネートSnapwellインサート(Costar)上に播種した(8.25×10 細胞/インサート)。細胞を培養の最初の7日間浸水させ、培養の残りの期間は頂上の空気界面に暴露させた。その時点で、培地を、培養の残り時間のために、2%v/v Ultroser G含有DMEM:F12培地に変えた。アンフォテリシンBを、Ussingチャンバーにおいて使用する前に全培地3供給から除去した。細胞を頂上−空気界面確立後7から21日の間に使用した。培養の全工程で、細胞を、空気インキュベーター中、37℃で5%COに維持した。
【0062】
短絡回路電流(ISC)測定
Snapwellインサートを垂直拡散チャンバー(Costar)にマウントし、(mMで):120 NaCl、25 NaHCO、3.3 KHPO、0.8 KHPO、1.2 CaCl、1.2 MgCl、および10 グルコースを含む、37℃に維持した連続的にガス供給しているリンゲル溶液(O中5%CO;pH7.4)に浸した。溶液モル浸透圧濃度は、使用した全生理学的塩溶液について280から300mOsmol/kg HOであった。細胞を10mV(モデルEVC4000;WPI)に電位固定した。RTを、30秒間隔で1または2mVパルスを適用することにより測定し、オーム法によりRTを計算した。データをPowerLabワークステーション(ADInstruments)を使用して記録した。
【0063】
試験化合物を、DMSO(95%)中10mM貯蔵溶液として調製した。連続3倍希釈を、適当な媒体(蒸留HOまたはリンゲル液)で新たに調製した。最初の濃度は、頂上チャンバーに5μL中1000x濃度として添加し、Ussingチャンバーの5mL容量で最終1x濃度とした。その後の化合物の添加は、1000x連続希釈貯蔵溶液の3.3μL容量中で添加した。濃度応答実験の完了時、アミロライド(10μM)を頂上チャンバーに添加し、総アミロライド感受性電流の測定を可能とした。アミロライドコントロールIC50を、各実験の開始時に確立させた。
【0064】
結果は、アミロライド感受性ISCの平均阻害%として示す。濃度応答曲線をプロットし、IC50値をGraphPad Prism 3.02を使用して作成した。セル・インサートは典型的にデュプリケートで行い、IC50は平均阻害%データを元に計算した。
【0065】
以下の実施例の化合物は、一般に、上記のデータ測定において、10μM未満のIC50値を有する。例えば、実施例2、および5の化合物は、各々0.0057および0.0002μMのIC50値を有する。
本発明を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0066】
一般条件
LCMSをAgilent 1100 LC系とWaters Xterra MS C18 4.6×100 5μMカラム上で記録し、陰イオンエレクトロスプレーイオン化と共に5−95%10mM 水性重炭酸アンモニウムのアセトニトリル溶液で2.5分溶出するか、または陽イオンエレクトロスプレーイオン化と共に5−95%水+0.1%TFAのアセトニトリル溶液で溶出する。[M+H]+および[M−H]は、モノアイソトピック分子量を意味する。
【表1】

【0067】
以下の実施例化合物は、ここに記載の方法を使用して製造している。
【化18】

【表2】

【0068】
実施例1 3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸({4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノメチル]−ピペリジン−1−イル}−イミノ−メチル)−アミド。
DMF(1mL)に溶解した1−(3,5ジアミノ−6−クロロピラジノイル)−2−メチル−2−チオプソイド(seudo)ウレア(II)(100mg、0.26mmol)の溶液に、4−アミノメチルピペリジン(14.8mg、0.13mmol)およびEtN(146μL、1.04mmol)を添加する。撹拌をRTで18時間続ける。生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(20分にわたり0−100%アセトニトリル勾配および水性および有機相両方に0.05%TFAモディファイヤー)で精製して、表題生成物をトリフルオロ酢酸塩として得る。
【0069】
実施例2−5を、適当な出発化合物を使用して、実施例1に準じて製造する。
【0070】
実施例6 N−[2−(ビス−{2−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]−エチル}−アミノ)−エチル]−N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジン
DMF(5mL)に溶解した1−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジノイル)−2−メチル−2−チオプソイド(seudo)ウレア(II)(1g、2.58mmol)の溶液に、トリス(2−アミノエチル)アミン(125.8mg、0.86mmol)およびEtN(386μL、1.04mmol)を添加する。撹拌をRTで18時間続ける。反応物を真空で濾過し、濾液を濃縮し、生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(20分にわたり0−100%アセトニトリル勾配)で精製して、表題生成物を遊離塩基として得る。
【0071】
さらに好ましい式(Ia)の化合物を、以下の表2に示す。製造方法は後記である。
【化19】

【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
実施例7 3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸1−アミノ−1−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ピペリジン−1−イル}−メト−(E)−イリデンアミドトリフルオロアセテート
工程1:
【化20】

ピペリジン−4−イルアミン(5.0mg、0.05mmol)を中間体A(0.06g、0.16mmol)のDMF(1.0mL)溶液、その後EtN(25.3mg、0.25mmol)で処理し、反応混合物をRTで一晩撹拌する。アミノメチルポリスチレンおよびマクロ多孔性イソシアネート(スカベンジャー樹脂)を添加し、混合物をRTで一晩振盪させる。混合物を濾過し、真空で蒸発させて、生成物を得る。
【0076】
工程2: 3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸1−アミノ−1−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ピペリジン−1−イル}−メト−(E)−イリデンアミドトリフルオロアセテート
実施例7、工程1(0.05mmol)を、10%TFAのDCM(0.9mL)溶液で処理し、RTで1時間静置する。溶媒を真空で除去し、粗生成物の10−100%MeCNの水溶液(0.1%TFA)で溶出する分取HPLCでの精製により、表題化合物を得る。
【0077】
実施例8−15
これらの化合物、すなわち、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノメチル]−シクロヘキシルメチル}−グアニジントリフルオロアセテート(実施例8)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−{(2R,5S)−5−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノメチル]−[1,4]ジオキサン−2−イルメチル}−グアニジントリフルオロアセテート(実施例9)、
N,N'−ビス−{2−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−エチル}−2,3−ジヒドロキシ−テレフタルアミドトリフルオロアセテート(実施例10)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−[3−(4−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−プロポキシ}−フェノキシ)−プロピル]−グアニジントリフルオロアセテート(実施例11)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−[3−(4−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−プロピル}−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−グアニジントリフルオロアセテート(実施例12)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−[5−(5−{5−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ペンチル}−ピラジン−2−イル)−ペンチル]−グアニジントリフルオロアセテート(実施例13)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−[3−(9−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−プロピル}−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5.5]ウンデク−3−イル)−プロピル]−グアニジントリフルオロアセテート(実施例14)および
N−(3−{ベンジル−[3−(ベンジル−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−プロピル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−プロピル)−N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジントリフルオロアセテート(実施例15)、
を、適当なジアミンを用いて実施例7に準じて製造する。
【0078】
実施例16−19
これらの化合物、すなわち、
3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸1−アミノ−1−{(R)−3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ピロリジン−1−イル}−メト−(E)−イリデンアミドトリフルオロアセテート(実施例16)、
3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸1−アミノ−1−{(S)−3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ピロリジン−1−イル}−メト−(E)−イリデンアミドトリフルオロアセテート(実施例17)、
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−シクロヘキシル}−グアニジントリフルオロアセテート(実施例18)および
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノメチル]−シクロヘキシル}−グアニジントリフルオロアセテート(実施例19)、
を、適当なジアミンを用いて、二塩化水銀(2当量)のDMF溶液を反応混合物に添加する以外実施例7に準じて製造する。反応副産物を、スカベンジャー樹脂、例えばアミノメチルポリスチレン、マクロ多孔性イソシアネートおよび固体支持シリカ1−プロパンチオールの添加により精製中に除去する。
【0079】
実施例20 N−[3−(ビス−{3−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−プロピル}−アミノ)−プロピル]−N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジントリフルオロアセテート
この化合物を、中間体A(3当量)から、実施例7に準じて、ピペリジン−4−イルアミンをトリス(2−アミノエチル)アミンに置き換えることにより製造する。
【0080】
実施例21 N,N'−ビス−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチル}−テレフタルアミドブロマイド
この化合物を、実施例1に準じて、1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイドを中間体Aに置き換えることにより製造する。形成されるboc保護中間体を、33%HBrの酢酸溶液を使用して脱保護する。反応副産物を、スカベンジャー樹脂、例えばアミノメチルポリスチレンおよびマクロ多孔性イソシアネートの添加により精製中に除去する。
【0081】
実施例22 N−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチル}−2−[4−({4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチルカルバモイル}−メチル)−フェニル]−アセトアミドトリフルオロアセテート
工程1: 以下の化合物の製造
【化21】

DMF(0.75mL)およびEtN(0.2mL)中の1,4−フェニレン二酢酸酸(24mg、0.125mmol)の溶液をHATU(95mg、0.25mmol)で処理し、RTで30分撹拌する。この混合物に、中間体B(0.1g、0.25mmol)を添加し、撹拌をさらに30分続ける。反応混合物を1g AL−B固相抽出カートリッジを通し、DMF(1.5mL)で溶出する。溶媒を真空で除去し、粗残渣のMeOHからの再結晶により、生成物を得る。[M+H] 959.74。
【0082】
工程2: N−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチル}−2−[4−({4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチルカルバモイル}−メチル)−フェニル]−アセトアミドトリフルオロアセテート
実施例22、工程1(20mg、0.021mmol)を、10%TFAのDCM溶液(2mL)で処理し、RTで一晩静置する。溶媒を真空で除去し、粗生成物の、10−100%MeCNの水溶液(0.1%TFA)で溶出する分取HPLCでの精製により、表題化合物を得る。
【0083】
実施例23 1−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチル}−3−[4−(3−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ブチル}−ウレイド)−ブチル]−ウレア
中間体B(0.1g、0.25mmol)のDMF(1mL)溶液を1,4−ジイソシアナートブタン(17.5mg、0.125mmol)で処理し、RTで一晩撹拌する。反応混合物を0.1gアミノメチルポリスチレンおよび(0.1g)マクロ多孔性イソシアネート(スカベンジャー樹脂)で処理し、RTで3日間撹拌する。混合物を濾過し、分取HPLCによる精製により、表題化合物を得る。[M+H] 741.34
【0084】
実施例24 N−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−N'−[5−(4−{5−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−グアニジノ]−ペンチル}−ピペラジン−1−イル)−ペンチル]−グアニジン
5−[4−(5−アミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチルアミントリフルオロアセテート(中間体P)(172mg、0.24mmol)を、撹拌している1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイド(93mg、0.48mmol)のDMF(1mL)溶液に添加する。得られた混合物を50℃で8時間加熱し、次いでRTに冷却する。反応混合物5%クエン酸溶液でクエンチし、DCMの添加がガムの形成をもたらす。ガムを単離し、MeOH(2mL)に溶解する。溶液を、MeOH中1Nアンモニアその後1:1 MeOH:アンモニア溶液で溶出する“キャプチャ−リリース”CX−2カートリッジを通し、表題化合物を得る。
【0085】
なおさらに好ましい本発明の化合物は、式(Ib)の化合物を含み、下記表3に示す通りである。製造方法は後記である。
【化22】

【表7】

【0086】
【表8】

【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
【表11】

【0090】
【表12】

【0091】
【表13】

【0092】
【表14】

【0093】
【表15】

【0094】
【表16】

【0095】
【表17】

【0096】
【表18】

【0097】
【表19】

【0098】
【表20】

【0099】
【表21】

【0100】
【表22】

【0101】
【表23】

【0102】
【表24】

【0103】
【表25】

【0104】
【表26】

【0105】
【表27】

【0106】
【表28】

【0107】
【表29】

【0108】
【表30】

【0109】
【表31】

【0110】
【表32】

【0111】
【表33】

【0112】
【表34】

【0113】
【表35】

【0114】
【表36】

【0115】
【表37】

【0116】
【表38】

【0117】
【表39】

【0118】
【表40】

【0119】
【表41】

【0120】
【表42】

【0121】
【表43】

【0122】
【表44】

【0123】
【表45】

【0124】
【表46】

【0125】
【表47】

【0126】
【表48】

【0127】
【表49】

【0128】
【表50】

【0129】
【表51】

【0130】
【表52】

【0131】
【表53】

【0132】
【表54】

【0133】
【表55】

【0134】
【表56】

【0135】
【表57】

【0136】
【表58】

【0137】
【表59】

【0138】
【表60】

【0139】
【表61】

【0140】
【表62】

【0141】
【表63】

【0142】
なおさらに好ましい本発明の化合物を下記表4に示す。製造方法は後記である。
【表64】

【0143】
【表65】

【0144】
【表66】

【0145】
なおさらに好ましい本発明の化合物は、式(Ic)の化合物を含み、下記表5に示す。製造方法は後記である。
【化23】

【表67】

【0146】
【表68】

【0147】
【表69】

【0148】
【表70】

【0149】
【表71】

【0150】
【表72】

【0151】
表3−5に示す実施例化合物は、以下のスキームに従い製造する:
【化24】

【0152】
スキームに示す中間体の製造方法は、中間体セクションに記載する。
【0153】
AYは、一保護されたジアミンおよび中間体2を使用して異なり得る。これは上記スキームで説明する。PおよびPが異なる標準アミン保護基、例えば、Boc、CBz、アセテートを示し、そして脱保護が標準葆法によるものであるとき。Jがアミンと反応可能な基、例えば、ハロゲン、カルボン酸、イソシアネート、スルホニルクロライド、アルデヒドおよびケトン、メタンスルホネートであるとき。Xがハロゲン、OH、エステルまたはカップリング剤、例えば、EDCIの使用に由来する活性化エステル種である。これらの試薬が市販されていないとき、それらは当分野で既知の一般法により合成できる。
【0154】
【化25】

AYは、モノアミンおよび中間体2の利用により異なり得る。Jはアミンとの反応が可能基、例えば、ハロゲン、カルボン酸である。
【0155】
表3−5に示す実施例は、スキーム3および4に従い、適当な中間体G、HまたはKと共に後記の表に記載の経路を使用して製造する。
【0156】
経路1
二酸クロライドまたは三酸クロライド(1当量)を、撹拌している中間体H(2当量)およびEtN(3当量)のDMF(10容量)溶液に添加する。反応完了後、溶液を水でクエンチし、生成物(中間体I)を濾過により単離する。
【0157】
経路2
EDCI(1当量)を、撹拌している二酸または三酸(1当量)のDMF(10容量)溶液に添加する。N−エチル−モルホリン(3当量)および中間体G(2当量)を添加し、反応を加熱する。完了後、反応をNaHCO溶液でクエンチし、生成物(中間体I)を濾過により単離する。
【0158】
経路3
ジ−イソシアネート(1当量)を、撹拌している中間体H(2当量)およびEtN(2.5当量)のDCM(40容量)溶液に添加する。反応物を還流で8時間加熱し、生成物(中間体I)を濾過により単離する。
【0159】
経路4
ジフェニルホスホリルアジド(1当量)を、撹拌している二酸または三酸(1当量)EtN(2当量)および中間体HのDCM(40容量)溶液に添加する。反応物を還流で8時間加熱する。生成物(中間体I)を冷却した反応混合物から濾過により単離する。
【0160】
経路5
ジアミン(1当量)を、ビス−4−ニトロフェニルカーボネート(2当量)のDMF溶液に添加する。反応物を1−2時間撹拌し続け、中間体Hを添加し、反応を加熱する。完了後、反応を水でクエンチし、粗生成物(中間体I)を濾過により単離し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0161】
経路6
中間体K(2当量)を、撹拌しているジアミン(1当量)およびトリエチルアミン(aine)(2当量)のDMF溶液に添加する。完了後、反応を水でクエンチし、生成物(中間体L)を濾過により単離するか、DCMで抽出する。
【0162】
経路7
ジ−スルホニルクロライド(1当量)を、撹拌している中間体H(2当量)のDMF溶液に添加する。完了後、反応を水でクエンチし、生成物(中間体I)を濾過により単離する。
【0163】
注:スルホニルクロライドが文献、例えば、Org Synth, coll Vol 1, p. 84(1941)において既知の方法により、スルホン酸と塩素化剤、例えば、SOCl2、PCl、POClの反応により得ることができる。
【0164】
表3−5に示す実施例化合物を得るための中間体Iおよび中間体Lの脱保護の一般法の例は、方法1および2に記載する:
【0165】
方法1
中間体Iまたは中間体L(1当量)を33%HBr/酢酸(50容量)に溶解し、50℃で8時間加熱する。冷却後生成物を濾過によりまたはTHFでのトリチュレーションにより単離する。
【0166】
方法2
中間体Iまたは中間体LをDCM(20容量)に懸濁し、TMSI(1.5当量)を添加する。反応物を0℃で2−4時間加熱し、次いでRTでMeOHでクエンチした。溶液をRTで2−3時間撹拌し続け、得られた沈殿を濾過し、真空下で乾燥させて、生成物を得た。
【0167】
経路8
あるいは、表3−5に示す化合物は、実施例1と同様にして、適当なジアミンを使用して合成できる。ジアミン(中間体O)を、中間体セクションにおいて後記の工程1a−eを介して一保護されたアミンから、文献において既知の標準法を使用して合成できる中間体Nから製造する。標準法での脱保護および同時の1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイドとの反応により、化合物Pを製造する。
【0168】
【化26】

【0169】
中間体Mから製造した化合物は以下の通り製造する:
中間体O(1当量)を、撹拌している1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイド(2当量)のDMF(10容量)溶液に添加する。得られた混合物を50℃で8時間加熱し、次いでRTに冷却する。反応混合物5%クエン酸溶液でクエンチし、粗生成物(P)をDCM添加後に単離する。MeOHへの溶解およびSCX−2カートリッジを使用した“キャプチャ−リリース”での精製により、1NアンモニアのMeOH溶液での溶出により、表題化合物を得る。
【0170】
一保護されたアミンから製造した化合物は以下の通り製造する:
中間体O(1当量)を、撹拌している1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイド(2当量)のDMF(10容量)溶液に添加する。得られた混合物を50℃に加熱する。完了後、反応を水でクエンチし、生成物(P)を濾過により単離する。
【0171】
さらに好ましい本発明の化合物は、式(X)の化合物を含み、下記表6に示す。これらの化合物を、スキームXに下記の通りの反応のマルチパラレルシークエンス(multiparallel sequence)で製造する。このような化合物の製造方法は後記である。
【0172】
【化27】

【表73】

【0173】
【表74】

【0174】
【表75】

【0175】
【表76】

【0176】
【表77】

【0177】
【表78】

【0178】
【表79】

【0179】
【表80】

【0180】
【表81】

【0181】
【化28】

【0182】
工程1:
中間体HとBoc保護アミノ酸(市販されているかまたは市販されているアミノ酸から製造)の、標準ペプチドカップリング試薬を使用した反応により中間体X1を得る。
【0183】
工程2:
中間体X1のTFAでの脱保護により中間体X2を得る。
【0184】
工程3:
中間体X2と中間体Hのウレア形成試薬(例えば、CDI、ビス(p−ニトロフェニル)カーボネート)を用いた反応により、中間体X3を得る。
【0185】
工程4:
中間体X3のHBr/酢酸での脱保護により、式(X)の化合物を得る。
【0186】
さらに好ましい本発明の化合物は、式(Y)の化合物を含み、表6に示す。それらは、スキームYに下記の通りの反応のマルチパラレルシークエンスで製造する:
【0187】
【化29】

【表82】

【0188】
【表83】

【0189】
【表84】

【0190】
【表85】

【0191】
【表86】

【0192】
【表87】

【0193】
【表88】

【0194】
【表89】

【0195】
【表90】

【0196】
【表91】

【0197】
【化30】

【0198】
工程1:
中間体F2とtert−ブチルアミノアルカンカルボキシレート(市販されているか、または市販のアミノ酸から製造)の反応により、中間体Y1を得る。
【0199】
工程2:
中間体Y1のTFAでの脱保護により、中間体Y2を得る。
【0200】
工程3:
中間体Y2と中間体X2のペプチドカップリング試薬を使用した反応により、中間体Y3を得る。
【0201】
工程4:
中間体Y3のHBr/酢酸での脱保護により、最終化合物Yを得る。
【0202】
さらに好ましい本発明の化合物は、式Zの化合物を含み、下記表8に示す。これらの化合物は、スキームZに下記の通りの反応のマルチパラレルシークエンスで製造する。このような化合物の製造方法は後記である。
【0203】
【化31】

【表92】

【0204】
【表93】

【0205】
【表94】

【0206】
【表95】

【0207】
【表96】

【0208】
【表97】

【0209】
【表98】

【0210】
【表99】

【0211】
【表100】

【0212】
【表101】

【0213】
【化32】

【0214】
工程1:
中間体Hと適当なイソシアネート[JOC, Vol. 68, No. 19, p. 7274(2003)に従い製造]の反応により、中間体Z1を得る。
【0215】
工程2:
中間体Z1からのピペリジンでの保護基の除去により、中間体Z2を得る。
【0216】
工程3:
中間体Z2と中間体Hの、ウレア形成試薬(例えばCDI、ビス(p−ニトロフェニル)カーボネート)を使用した反応により、中間体Z3を得る。
【0217】
工程4:
中間体Z3のHBr/酢酸での脱保護により、最終化合物Zを得る。
【0218】
なおさらに好ましい本発明の化合物は、式(T)の化合物を含み、下記表9に示す。このような化合物の製造方法は後記である。
【0219】
【化33】

【表102】

【0220】
【表103】

【0221】
【表104】

【0222】
【表105】

【0223】
実施例857
中間体R(15mg、16μmol)を(0.75ml)水素ブロマイド(酢酸中33%w/w溶液)に溶解し、RTで一晩撹拌する。表題化合物を、逆相カラムクロマトグラフィー(IsoluteTM C18、0−30%アセトニトリルの水溶液−0.1%TFA)での精製後に得る。(MH 678.28)。
【0224】
実施例857−897
これらの実施例化合物は、以下の通り製造する:
中間体Aおよび対応する中間体Sの乾燥DMF中の懸濁液をTEAで処理し、65℃で96時間加熱する。反応混合物をRTに冷却し、生成物を逆相カラムクロマトグラフィー(IsoluteTM C18、0−100%アセトニトリルの水溶液−0.1%TFA)で精製する。生成物含有フラクションを真空で濃縮する。得られる固体を4M HCl(ジオキサン中)に溶解し、一晩撹拌する。反応混合物を真空で濃縮して、表題化合物を得る。
【0225】
なおさらに好ましい本発明の化合物を表10に示す。製造方法は上記である。
【表106】

【0226】
【表107】

【0227】
【表108】

【0228】
【表109】

【0229】
中間体の製造
中間体A
【化34】

1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイド(11.4g、29mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.87g、7mmol)、EtN(20mL)を含むTHF(400mL)の懸濁液をジ−tertブチルジカーボネート(12g、55mmol)のTHF(100mL)溶液で一度に処理する。得られた混合物をRTで一晩撹拌し、次いで真空で濃縮する。粗生成物をEtOAc(50mL)および水(50mL)に分配し、RTで10分撹拌する。懸濁液を濾過し、水(5mL)、EtOAc(20mL)で洗浄し、真空下で40℃で乾燥させて、表題化合物を得る。[M+H] 361.05
【0230】
中間体B
工程1:
【化35】

中間体A(6.55g、18.2mmol)、N−Z−1,4−ジアミノブタンヒドロクロライド(4.7g、18.2mmol)およびEtN(20mL)を含むDMF(300mL)の懸濁液をRTで一晩撹拌する。溶媒を真空で除去し、粗残渣をEtOAc(700mL)に溶解し、水(2×200mL)、塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮する。EtOAc(400mL)からの生成物の再結晶による精製により、生成物を黄色固体として得る。
【0231】
工程2:
MeOH(500mL)中の懸濁液(6.7g、12.5mmol)を40℃に温めて、濁った溶液とする。溶液をアルゴン雰囲気下に置き、10%パラジウム炭素で処理する。混合物を次いで水素雰囲気下に一晩置き、次いで濾過する。濾液を真空で濃縮し、得られる固体をEtOAc(20mL)に懸濁し、濾過して表題化合物を緑色固体として得る。[M+H] 401.34
【0232】
中間体C N,N'−ビス−(4−アミノ−ブチル)−テレフタルアミド
工程1: {4−[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチルカルバモイル)−ベンゾイルアミノ]−ブチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
テレフタロイルクロライド(5.0g、0.0246mol)iの乾燥DMF(100mL)溶液を、N−Boc−1,4−ジアミノブタン(9.418mL、0.0493mol)で処理し、RTで30分撹拌する。EtN(10.298mL、0.0739mol)を添加し、撹拌を一晩続ける。得られた混合物を脱イオン水(100mL)で希釈し、RTで30分撹拌後、混合物を濾過する。フィルターケーキを水で洗浄し、真空(40℃)で乾燥させて、表題化合物を得る。
【0233】
工程2: N,N'−ビス−(4−アミノ−ブチル)−テレフタルアミド
{4−[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチルカルバモイル)−ベンゾイルアミノ]−ブチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.49g)を非希釈(neat)TFA(5mL)で処理し、RTで一晩静置する。酸を真空で除去して、表題化合物を黄色固体として得る。あるいは、33%HBrの酢酸溶液を使用して、脱保護を行い得る。[M+H] 307.22
【0234】
中間体D−{3−[(3−アミノ−プロピル)−ベンジル−アミノ]−プロピル}−N−ベンジル−プロパン−1,3−ジアミンジヒドロクロライド
工程1: 3−(ベンジル−{3−[ベンジル−(2−シアノ−エチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−プロピオニトリル
N,N'−ジベンジル−プロパン−1,3−ジアミンジヒドロクロライド(31g、95mmol)および酢酸ナトリウム(15.6g、190mmol)を含むMeOH(315mL)の懸濁液を、酢酸(5.7mL)で処理し、その後アクリロニトリルを20分にわたり滴下する。得られた懸濁液を70℃で10時間、次いでRTで10時間撹拌する。懸濁液を濾過により除去し、少容量のMeOHで洗浄する。濾液を真空で濃縮し、粗残渣をエーテルに溶解し、炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。有機部分を乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮する。粗生成物の1:1 ヘキサン:EtOAcで溶出するシリカクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物を黄色油状物として得る。
【0235】
工程2:−{3−[(3−アミノ−プロピル)−ベンジル−アミノ]−プロピル}−N−ベンジル−プロパン−1,3−ジアミンジヒドロクロライド
3−(ベンジル−{3−[ベンジル−(2−シアノ−エチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−プロピオニトリル(26.6g、73.8mmol))のEtOH(500mL)溶液をラネイニッケル(10g)で処理し、水素雰囲気下にRTで20時間置く。反応混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮する。粗残渣をEtOH(100mL)に溶解し、1.8M エタノール性HClで処理する。得られた懸濁液を0℃に冷却し、濾過により回収する。固体を冷EtOH/エーテルで洗浄し、真空下乾燥させて、表題化合物を得る。
【0236】
中間体E N,N'−ビス−(2−アミノ−エチル)−2,3−ジヒドロキシ−テレフタルアミドジヒドロクロライド
2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸ジメチルエステル(2.26g、10mmol)のエチレンジアミン(50mL)溶液を、一晩加熱還流する。RTに冷却後、溶媒を真空で除去し、粗残渣をMeOH(50mL)に溶解する。溶液を氷浴で冷却し、HClガスを、pHがpH7に丁度合うまで溶液中を通す。得られた懸濁液を濾過し、冷MeOHで洗浄して、表題化合物を得る。
【0237】
中間体F
撹拌している1−(3,5−ジアミノ−6−クロロ−ピラジン−2−カルボニル)−2−メチル−イソチオウレアヒドロアイオダイド(50g、0.129mol)の乾燥THF(1L)の溶液に、EtN(18mL、0.129mol)、その後N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−スクシンイミド(32.1g、0.129mol)を添加する。次いで、反応混合物を6時間加熱還流(66℃)する。反応物をRTに冷却し、次いで真空で濃縮して黄色固体を得る。粗物質をEtOAc(500mL)および水(500mL)に懸濁し、30分の間激しくトリチュレートする。得られた懸濁液を濾過し、真空オーブン(40℃)でP上で乾燥させて、生成物を薄黄色固体として得る。2回目の収穫物(10g)が、EtOAc層から、それを48時間冷却(4℃)した後に得られた。(MH;394.77および396.79)
【0238】
中間体G
【化36】

中間体F(1当量)を撹拌している適当なモノ−Boc保護アミン(例えば、プロパンジアミン、ブタンジアミンまたはペンタンジアミン)(1当量)のTHF(20容量)溶液に添加する。反応物を60℃で8時間加熱する。粗生成物を冷却した反応混合物から濾過により単離し、(9:1 DCM:MeOH)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0239】
中間体H
【化37】

中間体Gを、TFAおよびDCM 1:1溶液(20容量)を使用して脱保護する。NaHCO溶液での中和およびDCMでの抽出により、濃縮後望む生成物が得られる。
【0240】
中間体J
アミノプロパノールまたはアミノブタノールまたはアミノペンタノール(1当量)を、撹拌している中間体F(1当量)のTHF(10容量)溶液に添加する。完了後、反応混合物をEtOAcで希釈し、5%クエン酸溶液、塩水および水で洗浄する。有機相を真空で濃縮し、得られた物質を粗製のままで、またはフラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製する。
【0241】
中間体K
メタンスルホニルクロライド(1当量)を、撹拌している中間体J(1当量)およびEtN(3当量)のDCM溶液に添加する。完了後、反応をNaHCO溶液でクエンチする。DCM層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮して、粗残渣を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0242】
中間体M
メタンスルホニルクロライド(1当量)を、撹拌しているN−Boc−プロパン−1−オール、N−Boc−ブタン−1−オールまたはN−Boc−ペンタン−1−オール(1当量)およびEtN(3当量)のDCM溶液に添加した。完了後、反応をNaHCO溶液でクエンチした。DCM層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮して粗残渣を得て、それを粗製のままで使用するか、またはフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0243】
中間体N
工程1a
二酸クロライドまたは三酸クロライド(1当量)を、撹拌しているN−Boc−プロピルジアミン、N−Boc−ブチルジアミンまたはN−Boc−ペンチルジアミン(2当量)およびEtN(3当量)のDMF(10容量)溶液に添加した。反応完了後、溶液を水性NaHCOでクエンチし、生成物(中間体Na)をDCMで抽出し、真空で濃縮した。
【0244】
工程1b
EDCI(1当量)を、撹拌している二酸または三酸(1当量)のDMF(10容量)溶液に添加した。N−エチル−モルホリン(3当量)およびN−Boc−プロピルジアミン、N−Boc−ブチルジアミンまたはN−Boc−ペンチルジアミン(2当量)を添加し、反応を加熱した。完了後、反応をNaHCO溶液でクエンチし、生成物(中間体Nb)をDCMで抽出し、真空で濃縮した。
【0245】
工程1c
ジ−イソシアネート(1当量)を、撹拌しているN−Boc−プロピルジアミン、N−Boc−ブチルジアミンまたはN−Boc−ペンチルジアミン(1当量)およびEtN(2.5当量)のDCM(40容量)溶液に添加した。反応を8時間加熱還流し、生成物(中間体Nc)を濾過により単離した。
【0246】
工程1d
ジフェニルホスホリルアジド(1当量)を、撹拌している二酸または三酸(1当量)、EtN(2当量)およびN−Boc−プロピルジアミン、N−Boc−ブチルジアミンまたはN−Boc−ペンチルジアミンのDCM(40容量)溶液に添加した。反応を8時間加熱還流した。生成物(中間体Nd)を冷却した反応混合物から濾過により単離するか、またはフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0247】
工程1e
ジアミン(1当量)を、ビス−4−ニトロフェニルカーボネート(2当量)のDMF溶液に添加する。反応物を1−2時間撹拌し続け、N−Boc−プロピルジアミン、N−Boc−ブチルジアミンまたはN−Boc−ペンチルジアミンを添加し、反応を加熱する。完了後、反応を水でクエンチし、粗生成物(中間体Ne)を濾過により単離し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0248】
工程1f
N−Boc−プロピルアミンメタンスルホネート、N−Boc−ブチルアミンメタンスルホネートまたはN−Boc−ペンチルアミンメタンスルホネート(2当量)を、撹拌しているジアミン(1当量)およびトリエチルアミン(aine)(2当量)のDMF溶液に添加する。完了後、反応を水でクエンチし、生成物(中間体Ng)を濾過またはDCMでの抽出により、またはフラッシュカラムクロマトグラフィーにより単離する。
【0249】
中間体N(中間体Mから製造)
ジ−スルホニルクロライド(1当量)を、撹拌している中間体M(2当量)のDMF溶液に添加する。完了後、反応を水でクエンチし、生成物(中間体N)を濾過により、またはフラッシュカラムクロマトグラフィーより単離した。
【0250】
中間体O
中間体NをDCM(5容量)に溶解し、TFA(2−5容量)を添加する。完了後、生成物(中間体O)を濃縮およびトルエン共沸により単離する。
【0251】
中間体P 5−[4−(5−アミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチルアミン
工程1: (5−メタンスルホニルアミノ−ペンチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
メタンスルホニルクロライド(0.4mL、5.3mmol)を、撹拌しているBoc−アミノペンタノール(1.0g、4.9mmol)およびEtN(1.68mL、15mmol)のDCM(10mL)溶液に添加する。反応をRTで1時間撹拌し続け、次いで、炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、有機相を5%クエン酸溶液で洗浄する。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮して、表題化合物を粘性黄色油状物として得る。
【0252】
工程2: {5−[4−(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
(5−メタンスルホニルアミノ−ペンチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(500mg、1.7mmolをDMF(10mL)に溶解し、EtN(0.286mL、2.6mmol)およびピペラジン(73mg、0.85mmol)を添加する。反応を100℃で4時間加熱し、次いで冷却しながら水でクエンチした。反応混合物をDCMで抽出し、有機部分を真空で濃縮し、真空下で濃縮して、表題化合物を固体として得る。
【0253】
工程3: 5−[4−(5−アミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチルアミントリフルオロアセテート。
{5−[4−(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(329mg、0.72mmol)のDCM(10mL)溶液を、トリフルオロ酢酸(1mL)で処理する。反応物をRTで4日間撹拌し続け、次いで溶媒を真空で除去する。物質を粗製のまま使用し、変換は5−[4−(5−アミノ−ペンチル)−ピペラジン−1−イル]−ペンチルアミンの製造に定量的であると仮定した。
【0254】
中間体Q
【化38】

2,4−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(15.5mg、010mmol)をN−メチル−2−ピロリドン(2mL)に溶解し、0℃に冷却する。中間体H(90mg、0.21mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(1mL)溶液を反応混合物に添加し、一晩、RTで撹拌する。反応混合物を逆相カラムクロマトグラフィー(IsoluteTM C18、0−100%アセトニトリルの水溶液−0.1%TFA)で精製する。次いで、アセトニトリルを透明フラクションから真空で除去し、得られた水性溶液をジクロロメタンおよびNaHCO3(水性)に分配する。2層間に形成した固体を濾取し、真空で乾燥させて、表題化合物を得る。(MH 946.4)
【0255】
中間体R
【化39】

中間体Rは、Rankovic, Zoran;Cai, Jiaqiang;Cumming, Iainの製造法を使用して製造する。骨粗鬆症およびアテローム性動脈硬化症の処置のための2−シアノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジアミン誘導体の製造。(WO2005/011703A1、6頁)。
【0256】
中間体S
【化40】

これらの中間体を、中間体Rと2当量の(4アミノ−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを60℃で1時間、N−メチル−2−ピロリドン中で反応させ、その後4M HCl(ジオキサン中)を添加し、一晩撹拌することにより製造する。慣用法での精製により、必要なトリアジンジアミン生成物を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、M、MおよびMは独立して
【化2】

であり;
、R、R、およびRは、独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C15−員芳香族性炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択されるか、または
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、所望によりR14で置換されているC−C14−員ヘテロ環式基を形成するか、または
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、所望によりR14で置換されているC−C14−員ヘテロ環式基を形成し;
L、LおよびLは、独立して:
【化3】

から選択され;
、R、R5a、R5bおよびRは、独立してH、C−Cアルキル、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−アルキル−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択されるか、または
は、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5aは、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5bは、XがC−C−アルキレン、O、−NR−またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成し;
W、WおよびWは、独立して、C−C−アルキレンから選択され;
X、XおよびXは、独立して、C−C−アルキレン、O、S、−NR−、−NR(C=O)−、NR(C=O)NR−、−NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、O(C=O)NR−、−(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、−(SO)NR−および−(SO)NR−Z−(SO)NR−から選択され;
Y、YおよびYは、独立して、−C−C−アルキレン−であり;
ZはC−C−アルキレンであり;
ここで、W、W、W、Y、Y、YおよびZは、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキル、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルで置換されており;
Aは、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C15−員芳香族性炭素環式基、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C15−炭素環式基、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されている4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子から選択され、ここで、窒素は、−Y−X−W−NR5b−L−M、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C−アルキルで置換されていてよく(ただし、RおよびR5aがAを有する4から14員ヘテロ環式基を形成しないならば、X、X、YおよびYがC−C−アルキレンであるとき、Aが−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されていない限り、AはC−C15−芳香族性炭素環式基、O、C=OまたはC−C−アルキル基ではなく);
、R、R11およびR12は、独立して、H、所望によりC−C10−アラルキルで置換されているC−C−アルキル、C−C−ハロアルキルおよび5から14員ヘテロ環式基;独立して、C−C−アルキル基が、5から14員ヘテロ環式基を形成するために基W、W、W、Y、Y、またはY上の炭素原子と結合できる方法で、RおよびRから選択され;
Tは、H、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択され;
ここで、各C−C15−員芳香族性炭素環式基および各4から14員ヘテロ環式基は、特記されない限り、独立して、そして所望により、OH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲン、SONR1112、所望によりヒドロキシルで置換されている、ヒドロキシC−C−アルコキシ、(C−C−アルキレン)CONR1112、(C−C−アルキレン)N=C(NR1112)、−O−(C−C−アルキレン)−N=C(NR1112)、−O−(C−C−アルキレン)−CONR1112、C−C10−アラルコキシ、C−C10−アラルキル、SH、S(C−C−アルキレン)、SO(C−C−アルキレン)SO(C−C−アルキレン)、NR1112、R15、R15で置換されているC−C−アルキル、R16、R16で置換されているC−C−アルキル、O(C−C−アルキレン)−NR11C(C=O)O−(C−C−アルキレン)−R15、シアノ、オキソ、カルボキシ、ニトロ、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、アミノ−C−C−アルキル、アミノ(ヒドロキシ)C−C−アルキルおよび所望によりアミノカルボニルで置換されているC−C−アルコキシから選択される1個以上の基で置換されており、ここで、R15は、所望によりOH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲンおよびC−C−ハロアルキルで置換されているC−C15−員芳香族性炭素環式基であり、R16は、所望によりOH、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ハロゲンおよびC−C−ハロアルキルで置換されている3から14員ヘテロ環式基であり、
そして、各アルキレン基は、特記されない限り、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、R15、R15で置換されているC−C−アルキル、R16またはR16で置換されているC−C−アルキルで置換されており;そして
14はH、ハロゲン、C−C−アルキル、OH、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C14−アラルキル、およびO−C−C14−アラルキルから選択される。〕
の化合物またはそれらの立体異性体、または溶媒和物、または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
M、MおよびMが独立して
【化4】

であり;
、R、R、およびRが独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルキル−カルボキシから選択され;
L、LおよびLが独立して:
【化5】

から選択され;
、R5aおよびR5bが独立してH、およびC−C−アルキルから選択されるか、または
が、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5aが、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成するか、または
5bが、XがC−C−アルキレン、O、−NR−、またはSであるとき、それが結合している窒素原子と共に、Aと一緒になって、4から14員ヘテロ環式基を形成し;
がH、およびC−C−アルキルから選択され;
W、WおよびWが、C−C−アルキレンから選択され;
X、XおよびXが、C−C−アルキレン、O、S、−NR−、−NR(C=O)−、−NR(C=O)NR−、−NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、−O(C=O)NR−、(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、(SO)NR−および−(SO)NR−Z−(SO)NR−から選択され;
Y、YおよびYが、−C−C−アルキレン−であり;
Zが、C−C−アルキレンであり;
ここで、W、W、W、Y、Y、Y、およびZが、所望により、C−C−アルキル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルキル−カルボキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキル、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む4から14員ヘテロ環式基で置換されているC−C−アルキル、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルで置換されており;
Aが、C−C15−員芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、4から14員ヘテロ環式基、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子であり、ここで、窒素は、−Y−X−W−NR5b−L−M、所望により−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されているC−C−アルキルで置換されていてよい。ただし、RおよびR5aがAを含む4から14員ヘテロ環式基を形成しないならば、X、X、YおよびYがC−C−アルキレンであるとき、Aが−Y−X−W−NR5b−L−Mでない限り、AはC−C15−芳香族性炭素環式基、O、C=OまたはC−C−アルキル基ではなく;
、R、R11およびR12は、独立して、H、所望によりC−C14−アラルキルで置換されているC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、5から14員ヘテロ環式基、ならびに独立して、C−C−アルキル基が5から14員ヘテロ環式基を形成する基WまたはYの炭素原子と結合できる方法でRおよびRから選択され;そして
TがH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C15−炭素環式基、ニトロ、シアノ、C−C15−員芳香族性炭素環式基、およびC−C15−員芳香族性炭素環式基で置換されているC−C−アルキルから選択される、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩。
【請求項3】
M、MおよびM
【化6】

であり;
、R、R、R、R、R5a、R5bおよびRがHであり;
L、LおよびLが独立して:
【化7】

から選択され;
AがC−C15−炭素環式基またであるか、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子であり、ここで該窒素は−Y−X−W−NR5b−L−Mで置換されており;
W、WおよびWが、独立してC−C−アルキレンから選択され;
X、XおよびXが、独立してC−C−アルキレン、−NR−、−NR(C=O)−、−NR(C=O)NR−、NRSO−、−NR(SO)NR−、−NR(C=O)O−、−O(C=O)−、−O(C=O)O−、−O(C=O)NR−、(C=S)NR−、−(C=NR)NR−、−(C=O)NR−、−(C=O)O−、−(SO)(C−C−アルキレン)−、(SO)NR18−、−(SO)NR−Z−(SO)NR−であるか、または、独立して、C−C−アルキル基が5から14員ヘテロ環式基を形成するために基WまたはYの炭素原子と結合できる方法でRおよびRであり;
およびRが、独立して、H、およびC−C−アルキルから選択され;
Y、YおよびYが、独立して、−(C−C−アルキレン)−から選択され;
ZがC−C−アルキレンであり;そして
Tがハロゲンである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩。
【請求項4】
化合物が、式(Ia):
【化8】

〔式中、

【化9】

から選択される。〕
の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはそれらの互変異性体、または立体異性体、または薬学的に許容される塩。
【請求項5】
実施例のいずれか一つを参照して、実質的にここに記載の、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
請求項1−5のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項8】
上皮性ナトリウムチャネルの遮断が仲介する疾患の処置用薬剤の製造における、請求項1−5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用薬剤の製造における、請求項1−4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、呼吸器感染症、肺癌腫、口内乾燥、および乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)から選択される炎症またはアレルギー状態の処置用薬剤の製造における、請求項1−4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1−4のいずれかに記載の化合物と抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または鎮咳性医薬物質との組合せ。
【請求項12】
式(I):
【化10】

〔式中、M、M、L、L、NR、NR5a、W、W、X、X、Y、YおよびAは上記で定義の通りである。〕
の化合物の製造方法であって:
(i) 式(IV):
【化11】

〔式中、MはMまたはMであり;
はLまたはLであり;そして
、M、L、LおよびTは上記で定義の通りである。〕
の化合物と、式(V):
【化12】

〔式中、R、R5a、W、W、X、X、Y、YおよびAは上記で定義の通りである。〕
の化合物を、所望により塩基、例えば、有機塩基の存在下;および有機溶媒、例えば、非プロトン性双極性溶媒中で反応させ;そして
(ii) 得られた式(I)の化合物を遊離または薬学的に許容される塩形態で回収する
工程を含む、方法。

【公表番号】特表2009−520728(P2009−520728A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546249(P2008−546249)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012314
【国際公開番号】WO2007/071396
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】