説明

無信号検出回路およびそれを用いたPLL回路

【課題】簡易な構成で迅速に水平同期信号の有無を検出する。
【解決手段】無信号検出回路は、水平同期信号の無信号状態を検出する。無信号検出回路は、期間設定部と、検出部とを備える。期間設定部は、水平同期信号がオン期間であると予測される期間を少なくとも含む検出期間を、水晶クロック信号を用いて水平同期信号の1周期毎に設定する。検出部は、検出期間において水平同期信号がオンとなっていない場合、水平同期信号が無信号状態であると検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無信号検出回路およびそれを用いたPLL回路に関し、より特定的には、映像信号の水平同期信号の有無を検出する無信号検出回路およびそれを用いたPLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル等の表示装置において、高逓倍型のPLL(phase locked loop)回路(高逓倍PLL周波数シンセサイザとも呼ばれる)が用いられることがある。高逓倍型PLL回路は、描画のためのクロック信号を水平同期信号から生成するために用いられる。高逓倍型PLL回路は、入力される水平同期信号が何らかの理由で無信号状態となった場合、クロック周波数が大幅に低下したり、発振停止したりするという性質を有する。そのため、PLL回路からクロック信号を正常に出力するためには、水平同期信号が無信号状態となることを監視しておく必要がある。なお、車載用の表示装置においてもPLL回路が用いられる場合があるが、この場合、車両の走行中において受信波が弱くなることによって映像信号の振幅が下がる結果、水平同期信号が無信号にほぼ等しい状態になってしまう等、水平同期信号が無信号状態になることが考えられる。したがって、PLL回路が車載用の表示装置において用いられる場合には特に、水平同期信号を監視しておく必要性が高いと考えられる。
【0003】
高逓倍型PLL回路において水平同期信号の有無を検出する方法としては、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1に記載の高逓倍型PLL回路は、1垂直期間の水平同期信号の数を実測し、実測された数と基準値とを比較することにより、水平同期信号が無信号になっている場合等、異常信号となっていることを検出している。また、水平同期信号の有無を検出する方法としては、その他、PLL回路の外部のCPUによって水平同期信号の有無を検出する方法もある。
【特許文献1】特開2007−281550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、1垂直期間に含まれる水平同期信号の数(クロック数)を実測するという方法であるので、1垂直期間が経過しなければ水平同期信号が無信号状態となっているか否かを判別することができない。したがって、特許文献1に記載の方法では、無信号状態となったことを迅速に検知することができない。また、外部のCPUによって水平同期信号の有無を検出する方法では、CPUとPLL回路とを接続するための構成や、CPUからの信号をPLL回路において処理するための動作が煩雑になるとともに、CPUの処理負担を増大させてしまう。
【0005】
それ故、本発明の目的は、簡易な構成で迅速に水平同期信号の有無を検出することが可能な無信号検出回路およびPLL回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、本発明は、水平同期信号の無信号状態を検出する無信号検出回路である。無信号検出回路は、期間設定部と、検出部とを備える。期間設定部は、水平同期信号がオン期間であると予測される期間を少なくとも含む検出期間を、水晶クロック信号を用いて水平同期信号の1周期毎に設定する。検出部は、検出期間において水平同期信号がオンとなっていない場合、水平同期信号が無信号状態であると検出する。
【0007】
上記によれば、水平同期信号の1周期毎に検出期間を定め、当該検出期間内における水平同期信号に基づいて無信号状態であることが検出される。これによれば、少なくとも1水平期間以内には水平同期信号の無信号状態を検出することができる。したがって、本発明によれば、1垂直期間の遅延を生じていた従来に比べて迅速に水平同期信号の有無を検出することができる。また、本発明によれば、無信号検出回路において検出を行うことが可能となり、外部のCPUによる判定を必要としないので、簡易な構成で水平同期信号の有無を検出することができる。
【0008】
また、検出部は、極性反転回路と、無信号判定回路とを含んでいてもよい。極性反転回路は、水平同期信号が、無信号状態においてローレベルとなる極性である場合と、無信号状態においてハイレベルとなる極性である場合とのうちのいずれか一方の場合において水平同期信号の極性を反転させる補正を行うことにより、無信号状態においていずれか一方のレベルとなる補正信号を出力する。無信号判定回路は、補正信号が検出期間において一方のレベルとなる場合、水平同期信号が無信号状態であることを示す信号を出力する。
【0009】
上記によれば、水平同期信号がハイアクティブである(無信号状態においてローレベルとなる)場合であっても、ローアクティブである(無信号状態においてハイレベルとなる)場合であっても、水平同期信号の有無を検出することができる。
【0010】
また、検出部は、変化点検出回路と、無信号判定回路とを含んでいてもよい。変化点検出回路は、水平同期信号のオン/オフが変化したことを検出する。無信号判定回路は、変化点検出回路によって水平同期信号のオン/オフが変化したことが検出期間において検出された場合、水平同期信号が無信号状態であることを示す信号を出力する。
【0011】
上記によれば、上記極性反転回路を用いる場合と同様、水平同期信号がハイアクティブである(無信号状態においてローレベルとなる)場合であっても、ローアクティブである(無信号状態においてハイレベルとなる)場合であっても、水平同期信号の有無を検出することができる。
【0012】
また、期間設定部は、開始タイミング設定部と、終了タイミング設定部とを含んでいてもよい。開始タイミング設定部は、検出期間の開始タイミングとして、水平同期信号がオフからオンに変化すると予測されるタイミングを設定する。終了タイミング設定部は、検出期間の終了タイミングとして、水平同期信号がオフからオンへ変化した後であると予測されるタイミングを検出する。
【0013】
上記によれば、水平同期信号のオン期間を含むように検出期間を適切に設定することができる。特に、上記極性反転回路を用いる場合には、上記のように検出期間を設定することにより、水平同期信号がハイアクティブである場合であっても、ローアクティブである場合であっても水平同期信号の有無を正確に検出することができる。
【0014】
また、終了タイミング設定部は、水平同期信号のオン期間を含み、かつ、当該オン期間よりも広いオン期間を有する検出範囲信号を入力し、当該検出範囲信号がオンからオフに変化するタイミングを終了タイミングとして設定してもよい。
【0015】
上記によれば、検出範囲信号を用いて検出期間の終了タイミングを容易に設定することができる。
【0016】
また、本発明は、水平同期信号からPLLクロック信号を生成するPLL回路の形態で提供されてもよい。PLL回路は、上記無信号検出回路と、疑似水平同期信号生成回路と、水平同期信号出力回路とを備える。疑似水平同期信号生成回路は、水晶クロック信号を用いて疑似水平同期信号を生成する。水平同期信号出力回路は、検出部によって無信号状態であることが検出される場合、疑似水平同期信号を出力し、検出部によって無信号状態であることが検出されない場合、水平同期信号を出力する。PLL回路は、水平同期信号出力回路から出力される信号をリファレンス信号(基準信号)として用いる。
【0017】
上記によれば、水平同期信号が無信号状態となる場合には、水晶クロック信号から疑似水平同期信号が生成され、この疑似水平同期信号がリファレンス信号として用いられる。したがって、水平同期信号が無信号状態となっても安定的に動作することができるPLL回路を提供することができる。
【0018】
また、疑似水平同期信号生成回路は、水平同期信号とオン期間が重複しないように、水平同期信号に対して位相をずらして疑似水平同期信号を生成してもよい。
【0019】
上記によれば、水平同期信号と疑似水平同期信号との衝突を防止することができ、PLL回路を安定的に動作させることができる。
【0020】
また、PLL回路は、第1フィードバック信号生成回路と、第2フィードバック信号生成回路と、フィードバック信号出力回路とを備えていてもよい。第1フィードバック信号生成回路は、PLLクロック信号を分周することによって第1フィードバック信号を生成する。第2フィードバック信号生成回路は、第1フィードバック信号に対して位相がずれた第2フィードバック信号を生成する。フィードバック信号出力回路は、検出部によって水平同期信号が無信号状態であると判定される場合、第1フィードバック信号を出力し、検出部によって水平同期信号が無信号状態でないと判定される場合、第2フィードバック信号を出力する。PLL回路は、フィードバック信号出力回路から出力される信号と、水平同期信号出力回路から出力される信号との位相を位相比較器において比較する。
【0021】
上記によれば、第1フィードバック信号と第2フィードバック信号との衝突を防止することができ、PLL回路を安定的に動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、1水平期間毎に水平同期信号の無信号状態を検出する構成としたことにより、従来に比べて迅速に水平同期信号の有無を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る無信号検出回路およびPLL回路について説明する。図1は、本実施形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。図1に示すように、PLL回路1は、信号生成回路2、位相比較器3、ループフィルタ4、VCO(Voltage Controlled Oscillator;電圧制御発振器)5を備えている。PLL回路1は、高逓倍型のPLL回路であり、水平同期信号S1に基づき所定のクロック数のクロック信号(PLLクロック信号と呼ぶ)Pclkを出力するものである。
【0024】
[1.PLL回路1の動作概要]
まず、PLL回路1全体の動作概要について説明する。信号生成回路2は、水平同期信号S1を入力し、水平同期信号S1が無信号状態であることを検出する。そして、信号生成回路2は、水平同期信号S1が無信号状態でなければ、水平同期信号S1をそのままリファレンス信号Srとして出力し、水平同期信号S1が無信号状態であれば、疑似水平同期信号を生成して出力する。つまり、信号生成回路2から出力されるリファレンス信号Srは、水平同期信号S1または疑似水平同期信号である。なお、信号生成回路2には、水晶クロック信号Xclkおよび検出範囲信号S2が入力される。これらの水晶クロック信号Xclkおよび検出範囲信号S2は、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを判定するため等に用いられる。水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを判定する処理、および、疑似水平同期信号を生成する処理の詳細については後述する。
【0025】
また、信号生成回路2は、PLLクロック信号Pclkを入力し、PLLクロック信号Pclkを分周することにより、PLLクロック信号Pclkの周波数が1/N(Nは予め設定される整数値)となった信号(フィードバック信号と呼ぶ)Sfを出力する。なお、詳細は後述するが、信号生成回路2は、上記水平同期信号S1が無信号状態であるか否かに応じて異なる信号を出力する。
【0026】
信号生成回路2には位相比較器3が接続されており、上記リファレンス信号Srおよびフィードバック信号Sfは位相比較器3に入力される。位相比較器3は、リファレンス信号Srとフィードバック信号Sfとの位相差(誤差)に応じた信号を出力する。位相比較器3にはループフィルタ4が接続されており、位相比較器3からの出力信号はループフィルタ4に入力される。ループフィルタ4は、ローパスフィルタであり、位相比較器3からの出力信号の低周波成分を抽出して出力する。その結果、ループフィルタ4の出力信号は、上記位相差に応じた電圧の直流信号となる。ループフィルタ4にはVCO5が接続されており、上記直流信号がVCO5に入力される。VCO5は、上記直流信号の電圧値に応じた周波数のパルス信号をPLLクロック信号Pclkとして出力する。以上のように構成される位相比較器3、ループフィルタ4、およびVCO5は、周知のPLL回路と同様、位相比較器3における位相差が0となるように動作する。その結果、リファレンス信号Sfの周波数のN倍の周波数を有するPLLクロック信号Pclkが得られる。なお、位相比較器3、ループフィルタ4、およびVCO5は、PLL回路として動作するものであればどのような回路であってもよく、従来から用いられている回路であってよい。
【0027】
[2.リファレンス信号の生成・出力]
次に、信号生成回路2の詳細な構成について説明する。図2は、図1に示す信号生成回路2の内部構成を示すブロック図である。以下では、まず、リファレンス信号Srを生成・出力する構成について説明した後、フィードバック信号Sfを生成・出力する構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、信号生成回路2は、無信号検出回路10、疑似水平同期信号生成回路11、水平同期信号出力回路12、第1フィードバック信号生成回路13、第2フィードバック信号生成回路14、およびフィードバック信号出力回路15を備えている。無信号検出回路10、疑似水平同期信号生成回路11、および水平同期信号出力回路12は、リファレンス信号Srを生成・出力するための構成である。無信号検出回路10、第1フィードバック信号生成回路13、第2フィードバック信号生成回路14、およびフィードバック信号出力回路15は、フィードバック信号Sfを生成・出力するための構成である。
【0029】
[2−1.水平同期信号S1の無信号状態の検出]
まず、水平同期信号S1の無信号状態を検出するための構成および動作について説明する。本実施形態では、無信号検出回路10は、水晶クロック信号を用いて水平同期信号S1の1周期(1水平期間)毎に検出期間を検出する。ここで、検出期間とは、水平同期信号S1が(正常である場合に)オン期間であると予測される期間を少なくとも含む期間である。本実施形態では、検出期間の開始時点は、水平同期信号S1の立ち上がり時点であり、検出期間の終了時点は、検出範囲信号S2の立ち下がり時点(水平同期信号S1の立ち下がり時点よりも後の時点)である。さらに、無信号検出回路10は、検出期間の少なくとも一部において水平同期信号S1がオンとなる場合、水平同期信号S1が正常であると判定し、検出期間において水平同期信号S1が(一度も)オンとなっていない場合、水平同期信号S1が無信号状態であると判定する。これによって、無信号検出回路10は、従来に比べて迅速に水平同期信号の有無を検出することが可能である。以下、無信号検出回路10の詳細を説明する。
【0030】
図3は、図2に示す無信号検出回路10の詳細な構成を示すブロック図である。無信号検出回路10は、第1フリップフロップ20、後エッジ検出回路21、第2フリップフロップ22、極性反転回路23、変化点検出回路24、前エッジ検出回路25、切替回路26、第1カウンタ回路27、判定信号出力回路28、および無信号判定回路29を有する。なお、本実施形態においては、後エッジ検出回路21が請求項に記載の終了タイミング設定部に相当し、第1カウンタ回路27が請求項に記載の開始タイミング設定部に相当する。
【0031】
第2フリップフロップ22には、無信号検出回路10に入力される水平同期信号S1が入力されるとともに、クロック入力として水晶クロック信号Xclkが入力される。したがって、第2フリップフロップ22から出力される水平同期信号S1は水晶クロック信号Xclkに同期し、第2フリップフロップ22の出力以降における回路動作は水晶クロック信号Xclkに同期して行われる。第2フリップフロップ22から出力された水平同期信号S1は、極性反転回路23、変化点検出回路24、および前エッジ検出回路25に入力される。
【0032】
極性反転回路23および変化点検出回路24は、水平同期信号S1のハイ/ローの変化をそれぞれ異なる方法で検出する。つまり、本実施形態では、水平同期信号S1のハイ/ローの変化を2通りの方法で検出することが可能である。ただし、他の実施形態においては、無信号検出回路10は、極性反転回路23および変化点検出回路24のいずれか一方のみを有する構成であってもよい。このとき、切替回路26は不要である。
【0033】
極性反転回路23は、水平同期信号S1の極性を必要に応じて反転する補正を行い、補正信号S4として出力する回路である。ここで、水平同期信号S1としては、無信号状態になった場合にローとなる(ハイアクティブ)極性と、無信号状態になった場合にハイとなる極性という、2種類の極性がある。極性反転回路23は、水平同期信号S1をハイアクティブの信号に(必要に応じて)補正して補正信号S4として出力する。つまり、極性反転回路23は、水平同期信号S1がローアクティブの信号である場合、水平同期信号S1の極性を反転した信号を補正信号S4として出力し、水平同期信号S1がハイアクティブの信号である場合、水平同期信号S1をそのまま補正信号S4として出力する。図4は、図3に示す極性反転回路23の構成の一例を示す図である。図4においては、極性反転回路23は第1スイッチ41およびNOT回路42を有している。第1スイッチ41の第1の入力端子には水平同期信号S1がそのまま入力され、第1スイッチ41の第2の入力端子にはNOT回路42を通した水平同期信号S1が入力される。図4においては、水平同期信号S1がハイアクティブであるかローアクティブであるかを示す情報は、PLL回路1の内部または外部に設けられるレジスタに予め設定されているものとする。第1スイッチ41は、上記情報がハイアクティブを示す場合、第1の入力端子に入力された信号を出力し、上記情報がローアクティブを示す場合、第2の入力端子に入力された信号を出力する。なお、図4に示す構成は一例であり、極性反転回路23は、水平同期信号S1の極性をハイアクティブ/ローアクティブのいずれかに揃えて出力する構成であればどのような構成であってもよい。
【0034】
変化点検出回路24は、水平同期信号のハイ/ローが変化したことを検出する。具体的には、変化点検出回路24は、水平同期信号S1のハイ/ローが切り替わるタイミングでハイとなる変化点信号S5を出力する。図5は、図3に示す変化点検出回路24および前エッジ検出回路25の構成の一例を示す図である。図5においては、変化点検出回路24はXOR(排他的論理和)回路43を有する。また、前エッジ検出回路25は、第3フリップフロップ44およびAND回路45を有する。図5に示されるように、XOR回路43には、水平同期信号S1と、水平同期信号S1を第3フリップフロップ44に通した信号(1クロック分遅延させた信号)とが入力される。したがって、XOR回路43の出力信号は、水平同期信号S1の極性が変化した場合にハイとなる変化点信号S5となる。なお、図5に示す構成は一例であり、変化点検出回路24は、水平同期信号S1の変化点を検出することができる構成であればどのような構成であってもよい。
【0035】
また、前エッジ検出回路25においては、第3フリップフロップ44は、水平同期信号S1を入力し、水平同期信号S1を水晶クロック信号Xclkに同期させて出力する。これによって、第3フリップフロップ44を通した水平同期信号S1は、前エッジ検出回路25に入力された水平同期信号S1より1クロック分遅延した信号となる。AND回路45には、第3フリップフロップ44を通した水平同期信号S1が極性を反転されて入力されるとともに、第3フリップフロップ44を通していない水平同期信号S1が入力される。したがって、AND回路45は、水平同期信号S1がローからハイに変化するタイミングでハイとなる前エッジ信号S6を出力する。なお、図5に示す構成は一例であり、変化点検出回路24は、水平同期信号の変化点を検出することができる構成であればどのような構成であってもよく、前エッジ検出回路25は、水平同期信号S1のハイ/ローの切り替わりを検出する構成であればどのような構成であってもよい。
【0036】
切替回路26は、上記補正信号S4および変化点信号S5を入力し、レジスタ等に予め設定された情報に従って補正信号S4および変化点信号S5のいずれかを出力する。当該情報は、補正信号S4と変化点信号S5とのいずれを出力するかを示し、使用者等によって予め設定されている。このように、本実施形態では、水平同期信号S1が無信号となっているか否かを2通りの方法で検出可能であり、使用者は、いずれかの方法を適宜選択して使用することができる。
【0037】
一方、第1カウンタ回路27は、水晶クロック信号Xclkに同期してカウントを行い、水平同期信号S1の立ち上がりタイミングを検出する。本実施形態では、水平同期信号S1の立ち上がりタイミングが上述した検出期間の開始時点となる。したがって、本実施形態においては、第1カウンタ回路27が請求項に記載の開始タイミング設定部に相当する。図6は、図3に示す第1カウンタ回路27の構成の一例を示すブロック図である。図6において、第1カウンタ回路27は、第1カウンタ50、第1比較回路51、OR回路52、条件判別回路53を含む。第1カウンタ50は、水晶クロック信号Xclkに同期してカウントを行い、カウント値C1を出力する。第1比較回路51は、予め定められた設定値Hと上記カウント値C1とを比較する。ここで、設定値Hは、水平同期信号S1の1水平期間に相当する(水晶クロック信号Xclkの)クロック数であり、レジスタ等に設定されている。第1比較回路51は、カウント値C1が設定値H以上である場合に“1(ハイ)”を出力し、カウント値C1が設定値Hよりも小さい場合に“0(ロー)”を出力する。OR回路52は、上述した前エッジ検出回路から出力される前エッジ信号S6と、上記第1比較回路51からの出力値とを入力し、前エッジ信号S6と当該出力値との論理和を出力する。上記第1カウンタ50は、OR回路52の出力値が“1”である場合にリセットされ、カウンタ値C1として“0”を出力する。つまり、第1カウンタ50は、水平同期信号S1の実際の立ち上がりタイミング(前エッジ信号S6がハイ)、あるいは、水平同期信号S1の立ち上がるべきタイミング(第1比較回路51の出力値が“1”)で、リセットされる(図14参照)。条件判別回路53は、カウンタ値C1を入力し、当該カウンタ値C1が“0”である場合に“1”を出力し、当該カウンタ値C1が“0”以外である場合に“0”を出力する。したがって、条件判別回路53から出力される立ち上がり信号S7は、水平同期信号S1が無信号でないとした場合における水平同期信号S1の立ち上がりタイミングを示す(立ち上がりタイミングでハイとなる)信号となる(図14参照)。
【0038】
判定信号出力回路28は、切替回路26から出力された補正信号S4または変化点信号S5と、立ち上がり信号S7とを入力する。そして、判定信号出力回路28は、補正信号S4または変化点信号S5と立ち上がり信号S7とから判定信号S8を生成して出力する。判定信号S8は、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かの判定に用いられる信号である。具体的には、判定信号S8は、立ち上がり信号S7がハイとなるタイミングでローにリセットされ、補正信号S4または変化点信号S5がハイになったことに応じてハイとなる(リセットされるまではハイを維持する)。つまり、判定信号S8は、水平同期信号S1が正常である(無信号でない)場合にハイとなり、水平同期信号S1が無信号状態である場合にローとなる信号である。
【0039】
図7は、図3に示す判定信号出力回路28の構成の一例を示す図である。図7においては、判定信号出力回路28は、第2スイッチ54、第3スイッチ55と、第4フリップフロップ56とを有する。第2スイッチ54は、第4フリップフロップ56の出力信号(判定信号S8)とロー信号とを入力とし、立ち上がり信号S7がハイである場合にロー信号を出力し、立ち上がり信号S7がローである場合に第4フリップフロップ56の出力信号を出力する。第3スイッチ55は、第2スイッチ54の出力信号とハイ信号とを入力し、補正信号S4または変化点信号S5がハイである場合にハイ信号を出力し、補正信号S4または変化点信号S5がローである場合に第2スイッチ54の出力信号を出力する。第4フリップフロップ56は、第3スイッチ55の出力信号を入力し、第3スイッチ55の出力信号を水晶クロック信号Xclkに同期させて出力する。なお、図7に示す構成は一例であり、判定信号出力回路28は、上記判定信号S8を出力する構成であればどのような構成であってもよい。
【0040】
無信号判定回路29は、上記判定信号S8と、後エッジ信号S3とを入力し、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを示す判定結果信号Sdを出力する。以下、無信号判定回路29の詳細を説明する。
【0041】
まず、後エッジ信号S3について説明する。後エッジ信号S3は、信号生成回路2に入力される検出範囲信号S2の後エッジ(立ち下がりエッジ)を示す。検出範囲信号S2とは、水平同期信号S1のオン期間(ハイである期間)を含み、かつ、当該オン期間よりも広いオン期間を有する信号である。本実施形態では、検出範囲信号S2は、水平同期信号S1よりも前後に所定時間だけオン期間が長い信号である(図10〜図12参照)。なお、検出範囲信号S2は、どのような方法で生成されてもよく、例えばPLL回路1の外部の回路で生成された信号を用いてもよいし、水晶クロック信号Xclkから生成してもよい。
【0042】
図3に示されるように、第1フリップフロップ20は、検出範囲信号S2を入力し、検出範囲信号S2を水晶クロック信号Xclkに同期させて出力する。後エッジ検出回路21は、第1フリップフロップ20から出力された検出範囲信号S2を入力し、検出範囲信号S2の後エッジを検出する。すなわち、後エッジ検出回路21は、検出範囲信号S2がハイからローに変化するタイミングでハイとなる後エッジ信号S3を出力する。本実施形態では、検出範囲信号S2の後エッジのタイミングが、上述した検出期間の終了時点となる。したがって、本実施形態においては、後エッジ検出回路21が請求項に記載の終了タイミング設定部に相当する。
【0043】
図8は、図3に示す後エッジ検出回路21の構成の一例を示す図である。図8においては、後エッジ検出回路21は、第5フリップフロップ60およびAND回路61を有する。第5フリップフロップ60は、検出範囲信号S2を入力し、検出範囲信号S2を水晶クロック信号Xclkに同期させて出力する。これによって、第5フリップフロップ60を通した検出範囲信号S2は、入力された検出範囲信号S2より1クロック分遅延した信号となる。AND回路61には、第5フリップフロップ60を通した検出範囲信号S2が入力されるとともに、第5フリップフロップ60を通していない検出範囲信号S2が極性を反転されて入力される。したがって、AND回路61は、検出範囲信号S2がハイからローに変化するタイミングでハイとなる後エッジ信号S3を出力する。
【0044】
無信号判定回路29は、上記判定信号S8と、上記後エッジ信号S3とを入力し、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを示す判定結果信号Sdを出力する。無信号判定回路29は、検出範囲信号S2の立ち下がりタイミングにおける判定信号S8の状態を検出して出力するものである。図9は、図3に示す無信号判定回路29の構成の一例を示す図である。図9においては、無信号判定回路29は、第4スイッチ62と第6フリップフロップ63とを有する。第4スイッチ62は、第6フリップフロップ63の出力信号(判定結果信号Sd)と判定信号S8とを入力とし、後エッジ信号S3がハイである場合に判定信号S8を出力し、後エッジ信号S3がローである場合に第6フリップフロップ63の出力信号を出力する。第6フリップフロップ63は、第4スイッチ62の出力信号を入力し、第4スイッチ62の出力信号を水晶クロック信号Xclkに同期させて出力する。なお、図9に示す構成は一例であり、無信号判定回路29は、上記判定結果信号Sdを出力する構成であればどのような構成であってもよい。
【0045】
以上に説明した無信号検出回路10によって、水平同期信号S1の無信号状態を検出することができる。以下、図10〜図12を参照して、無信号検出回路10における各信号の動作を説明する。
【0046】
図10は、ハイアクティブの水平同期信号S1を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図である。図10においては、水平同期信号S1は期間T1〜T3,T7,T8においては正常であり、期間T4〜T6において無信号状態となるものとする。また、切替回路26は補正信号S4を出力するものとする。
【0047】
図10において、水平同期信号S1はハイアクティブであるので、極性反転回路23は極性を反転せず、水平同期信号S1をそのまま補正信号S4として出力する。したがって、補正信号S4は水平同期信号S1と同じになる。次に、判定信号出力回路28は、補正信号S4がハイになったことに応じて判定信号S8をハイとし(ハイを維持し)、立ち上がり信号S7がハイとなるタイミングで判定信号S8をローにリセットする。したがって、期間T1における水平同期信号S1(S4)の立ち上がりタイミングt1においては、判定信号S8は一旦リセットされるものの、補正信号S4がハイとなるので判定信号S8はすぐにハイになる。次に、無信号判定回路29は、検出範囲信号S2の後エッジのタイミング(後エッジ信号t3がハイになるタイミング)t2において判定信号S8がハイであるかローであるかに応じて判定結果信号Sdのハイ/ローを設定する。したがって、図10に示すように、上記タイミングt2においては、判定結果信号Sdはハイに設定され、水平同期信号S1が正常であることを表す。期間T2およびT3においても期間T1と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはハイとなる。
【0048】
一方、期間T4において水平同期信号S1が無信号状態となると、補正信号S4はローを維持する。その結果、判定信号出力回路28においては、立ち上がり信号S7がハイとなるタイミングで判定信号S8がローにリセットされ、その後も(補正信号S4はローであるので)判定信号S8はローを維持する。したがって、期間T4における検出範囲信号S2の後エッジのタイミングt4においては、(判定信号S8はローであるので)判定結果信号Sdはローとなり、水平同期信号S1が無信号状態であることを表す。期間T5およびT6においても期間T4と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはローとなる。また、期間T7において水平同期信号S1が無信号状態から復帰して正常な状態となれば、無信号検出回路10は期間T1〜T3と同様に動作するので、判定結果信号Sdはハイとなる。以上のように、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かに応じて判定結果信号が変化していることがわかる。
【0049】
図11は、ローアクティブの水平同期信号S1を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図である。図10においては、水平同期信号S1は期間T11〜T13,T17,T18においては正常であり、期間T14〜T16において無信号状態となるものとする。また、切替回路26は補正信号S4を出力するものとする。
【0050】
図11において、水平同期信号S1はローアクティブであるので、極性反転回路23は水平同期信号S1の極性を反転して補正信号S4として出力する。すなわち、補正信号S4は水平同期信号S1の極性を反転させた信号となる。判定信号出力回路28においては、立ち上がり信号S7がハイとなるタイミングt11で判定信号S8がローにリセットされ、その後、補正信号S4がハイになるタイミングt12で判定信号S8がハイとなる。さらに、無信号判定回路29においては、検出範囲信号S2の後エッジのタイミングt13における判定信号S8の状態に応じて判定結果信号Sdのハイ/ローが設定されるので、上記タイミングt13においては、判定結果信号Sdはハイとなる。期間T12およびT13においても期間T11と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはハイとなる。
【0051】
一方、期間T14において水平同期信号S1が無信号状態となると、水平同期信号S1の極性を反転した補正信号S4は、図10の場合と同様、ローを維持する。したがって、期間T14における無信号検出回路10の動作は図10の場合と同様となり、判定結果信号Sdはローとなる。期間T15およびT16においても期間T14と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはローとなる。また、期間T17において水平同期信号S1が無信号状態から復帰して正常な状態となれば、無信号検出回路10は期間T11〜T13と同様に動作するので、判定結果信号Sdはハイとなる。以上のように、図11の場合においても図10と同様、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かに応じて判定結果信号が変化していることがわかる。
【0052】
なお、補正信号S4に代えて水平同期信号S1を用いるとすれば、期間T4〜T6において水平同期信号S1はハイとなるので、水平同期信号S1の無信号状態を正確に検出することができない。これに対して、本実施形態によれば、水平同期信号S1がローアクティブである場合には極性反転回路23によって極性が反転されるので、水平同期信号S1の無信号状態を正確に検出することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、上記検出期間を、水平同期信号S1の立ち上がりタイミングから、水平同期信号S1のオン期間の終了した後の時点(検出範囲信号S2の立ち下がりタイミング)までの期間としている。このように、検出期間の終了時点を、水平同期信号S1のオン期間が終了した後の時点とすることにより、水平同期信号S1がハイアクティブである場合およびローアクティブである場合のいずれの場合にも対応することができる。すなわち、いずれの場合においても同じ方法で判定を行うことができる。
【0054】
図12は、変化点信号S5を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図である。図10においては、水平同期信号S1は期間T21〜T23,T27,T28においては正常であり、期間T24〜T26において無信号状態となるものとする。また、切替回路26は変化点信号S5を出力するものとする。
【0055】
図12において、まず変化点検出回路24は、水平同期信号S1のハイ/ローが切り替わるタイミングでハイとなる変化点信号S5を出力する。なお、図12では水平同期信号S1はハイアクティブであるとするが、ローアクティブの場合であっても変化点信号S5は図12と同じになる。次に、判定信号出力回路28は、変化点信号S5がハイになったことに応じて判定信号S8をハイとし(ハイを維持し)、立ち上がり信号S7がハイとなるタイミングで判定信号S8をローにリセットする。したがって、期間T21における水平同期信号S1の立ち上がりタイミングt21においては、判定信号S8は一旦リセットされるものの、変化点信号S5がハイとなるので、判定信号S8は、図10の場合と同様、すぐにハイになる。図12の場合においては図10の場合と同様の判定信号S8が得られるので、期間T21においては判定結果信号Sdはハイとなる。期間T22およびT23においても期間T21と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはハイとなる。
【0056】
一方、期間T24において水平同期信号S1が無信号状態となると、変化点信号S5は、図10に示す補正信号S4と同様、ローを維持する。したがって、期間T24における無信号検出回路10の動作は図10の場合と同様となり、判定結果信号Sdはローとなる。期間T25およびT26においても期間T24と同様の結果となるので、判定結果信号Sdはローとなる。また、期間T27において水平同期信号S1が無信号状態から復帰して正常な状態となれば、無信号検出回路10は期間T21〜T23と同様に動作するので、判定結果信号Sdはハイとなる。以上のように、図12の場合においても図10と同様、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かに応じて判定結果信号が変化していることがわかる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを無信号検出回路10によって正確に判定することができる。また、本実施形態では、判定結果信号Sdは水平同期信号S1に対して1水平期間遅延するだけであるので、従来に比べて迅速に水平同期信号S1の有無を検出することが可能である。
【0058】
[2−2.疑似水平同期信号S1’の生成]
次に、疑似水平同期信号S1’を生成するための構成および動作について説明する。疑似水平同期信号生成回路11は、水晶クロック信号Xclkから疑似水平同期信号S1’を生成する。図13は、図3に示す疑似水平同期信号生成回路11の詳細な構成を示すブロック図である。また、図14は、水平同期信号S1、カウンタ値C1、および疑似水平同期信号S1’の変化を示す図である。
【0059】
図13に示すように、疑似水平同期信号生成回路11は、第1演算回路64、第2演算回路65、第2比較回路66、第3比較回路67、第2カウンタ68、ならびに第5スイッチ69を含む。第1演算回路64は、上述した設定値H(図6参照)を入力して、設定値Hを1/8にした値を出力する。第2演算回路65は、上記設定値Hを入力して、設定値Hを1/2にした値を出力する。第2比較回路66は、上述した第1カウンタ50のカウンタ値C1と、第2演算回路65の出力値(H/2)とを入力して、当該出力値H/2がカウンタ値C1と等しい場合に“1”を出力し、当該出力値H/2がカウンタ値C1と等しくない場合に“0”を出力する。第2カウンタ68は、水晶クロック信号Xclkに同期してカウントを行い、カウント値C2を出力する。また、第2カウンタ68は、第2比較回路66の出力値を入力し、当該出力値が“1”である場合にリセットされ、カウンタ値C2として“0”を出力する。つまり、第2カウンタ68は、水平同期信号S1の立ち上がりタイミングから次の立ち上がりタイミングまでの中間の時点、すなわち、カウンタ値C1が設定値Hの1/2となる時点でリセットされる。第3比較回路67は、第1演算回路64の出力値(H/8)と、第2カウンタのカウンタ位置C2とを入力して、当該出力値H/8がカウンタ値C2以上である場合に“1”を出力し、当該出力値H/8がカウンタ値C2よりも小さい場合に“0”を出力する。第5スイッチ69は、ロー信号およびハイ信号を入力し、上記第3比較回路67の出力値が“0”である場合にロー信号を出力し、上記第3比較回路67の出力値が“1”である場合にハイ信号を出力する。第5スイッチ69からの出力信号が、疑似水平同期信号S1’となる。
【0060】
図13に示した構成により、水晶クロック信号Xclkから疑似水平同期信号S1’を生成することができる。本実施形態では、図14に示すように、疑似水平同期信号S1’は、水平同期信号S1の立ち上がりタイミングと次の立ち上がりタイミングとの中間の時点(カウンタC1=H/2の時点)で立ち上がり、水平同期信号S1の1水平期間の1/8の幅を有する信号である。
【0061】
本実施形態によれば、疑似水平同期信号S1’の立ち上がりタイミング(オン期間の開始時点)をカウンタC1=H/2の時点としているので、疑似水平同期信号S1’と水平同期信号S1との衝突を防止することができる。なお、他の実施形態においては、上記立ち上がりタイミングはどのタイミングであってもよく、水平同期信号S1と非同期であってもよい。また、本実施形態では、ビット演算を簡単にするためにH/2の時点としているが、疑似水平同期信号S1’と水平同期信号S1との衝突を回避することができる他の時点を上記立ち上がりタイミングとしてもよい。なお、上記立ち上がりタイミングは、第2カウンタ68のリセットタイミング(上記第2演算回路65の演算内容)を調整することにより変更することができる。
【0062】
また、本実施形態では、ビット演算を簡単にする目的で疑似水平同期信号S1’のオン期間の長さを、1水平期間(=H)の1/8としている。なお、本実施形態では、水平同期信号S1の1水平期間を31.8[μs]とし、水平同期信号S1のオン期間を約2.3[μs]とする。このとき、疑似水平同期信号S1’のオン期間の長さは約4[μs]となるので、疑似水平同期信号S1’のオン期間の長さは、水平同期信号S1のオン期間と同程度(水平同期信号S1のオン期間の方がやや長い)である。なお、疑似水平同期信号S1’のオン期間の長さはどのくらいでもよいが、水平同期信号S1のオン期間と同程度に設定することが好ましい。なお、疑似水平同期信号S1’のオン期間の長さは、上記第1演算回路64の演算内容を調整することにより変更することができる。
【0063】
[2−3.リファレンス信号Srの出力]
次に、リファレンス信号Srを出力するための構成および動作について説明する。図2に示す水平同期信号出力回路12は例えばスイッチで構成され、水平同期信号出力回路12には、水平同期信号S1と、疑似水平同期信号S1’とが入力される。水平同期信号出力回路12は、判定結果信号Sdを制御入力として入力し、判定結果信号Sdがハイである場合に水平同期信号S1を出力し、判定結果信号Sdがローである場合に疑似水平同期信号S1’を出力する。図15は、水平同期信号S1、疑似水平同期信号S1’、およびリファレンス信号Srの変化を示す図である。図15に示されるように、本実施形態においては、無信号検出回路10において水平同期信号S1が正常であると判定される場合には、水平同期信号S1がそのままリファレンス信号Srとして出力され、水平同期信号S1が無信号状態であると判定される場合には、水平同期信号S1に代えて疑似水平同期信号S1’がリファレンス信号Srとして出力される。このように、本実施形態においては、水平同期信号S1が無信号状態であるか否かを迅速に判定し、水平同期信号S1が無信号状態である場合には疑似水平同期信号S1’をリファレンス信号Srとして出力することができる。これによって、水平同期信号S1が無信号状態となってもPLL回路を正常に動作させることができる。
【0064】
[3.フィードバック信号の生成]
次に、フィードバック信号を生成するための構成である、図2に示す第1フィードバック信号生成回路13および第2フィードバック信号生成回路14について説明する。図16は、図2に示す第1フィードバック信号生成回路13および第2フィードバック信号生成回路14の詳細な構成を示すブロック図である。
【0065】
まず、第1フィードバック信号生成回路13について説明する。第1フィードバック信号生成回路13は、PLLクロック信号Pclkを1/Nに分周した信号である第1フィードバック信号Sf1を生成する回路である。図16に示すように、第1フィードバック信号生成回路13は、第3カウンタ70、第4比較回路71、第3演算回路72、第5比較回路73、およびスイッチ74を含んでいる。
【0066】
第3カウンタ70は、PLLクロック信号Pclkに同期してカウントを行い、カウント値C3を出力する。第4比較回路71は、予め定められた分周値Nと上記カウント値C3とを比較する。ここで、分周値Nは、PLLクロック信号Pclkを分周する値であり、レジスタ等に設定されている。第4比較回路71は、カウント値C3が分周値N以上である場合に“1”を出力し、カウント値C3が分周値Nよりも小さい場合に“0”を出力する。上記第3カウンタ70は、第4比較回路71の出力値が“1”である場合にリセットされ、カウンタ値C3として“0”を出力する。つまり、第3カウンタ70は、カウンタ値C3が分周値Nとなる度にリセットされる。
【0067】
また、第3演算回路72は、上記分周値Nを入力して、分周値Nを1/16にした値を出力する。第5比較回路73は、上記第3カウンタ70のカウンタ値C3と、第3演算回路72の出力値(N/16)とを入力して、カウンタ値C3が当該出力値N/16以下である場合に“1”を出力し、カウンタ値C3が当該出力値N/16よりも大きい場合に“0”を出力する。スイッチ74は、ロー信号およびハイ信号を入力し、上記第5比較回路73の出力値が“0”である場合にロー信号を出力し、上記第5比較回路73の出力値が“1”である場合にハイ信号を出力する。スイッチ74からの出力信号が、第1フィードバック信号Sf1となる。なお、図16に示す第1フィードバック信号生成回路13の構成は一例であり、第1フィードバック信号生成回路13は、PLLクロック信号Pclkを分周して第1フィードバック信号Sf1を生成・出力する構成であればどのような構成であってもよい。
【0068】
次に、第2フィードバック信号生成回路14について説明する。第2フィードバック信号生成回路14は、水平同期信号S1が無信号状態である場合にフィードバック信号Sfとして用いる第2フィードバック信号Sf2を生成する回路である。図16に示すように、第2フィードバック信号生成回路14は、第4演算回路75、第5演算回路76、加算回路77、第6比較回路78、ならびに第7スイッチ79を含んでいる。
【0069】
第4演算回路75は、上記分周値Nを入力して、分周値Nを1/2にした値を出力する。第5演算回路76は、上記分周値Nを入力して、分周値Nを1/8にした値を出力する。加算回路77は、第4演算回路75の出力値(N/2)と第5演算回路76の出力値(N/8)とを加算した値(5N/8)を出力する。第6比較回路78は、上記カウンタ値C3と、第4演算回路75の出力値(N/2)と、加算回路77の出力値(5N/8)とを入力し、カウンタ値C3が、第4演算回路75の出力値(N/2)以上、かつ、加算回路77の出力値(5N/8)以下であるか否かを判定する。第6比較回路78は、判定結果が真である場合に“1”を出力し、判定結果が偽である場合に“0”を出力する。第7スイッチ79は、ロー信号およびハイ信号を入力し、第6比較回路78の出力値が“0”である場合にロー信号を出力し、第6比較回路78の出力値が“1”である場合にハイ信号を出力する。第7スイッチ79からの出力信号が、第2フィードバック信号Sf2となる。
【0070】
図17は、第1フィードバック信号Sf1、第2フィードバック信号Sf2、およびフィードバック信号Sfの変化を示す図である。図17に示すように、第1フィードバック信号生成回路13は、PLLクロック信号Pclkをクロックとして、周期Nで、オン期間の長さがN/16である第1フィードバック信号Sf1を生成する。また、第1フィードバック信号Sf1の立ち上がりタイミングは、カウンタ値C3=0となるタイミングである。一方、図17に示すように、第2フィードバック信号生成回路14は、PLLクロック信号Pclkをクロックとして、周期およびオン期間の長さが第1フィードバック信号Sf1と同じ第2フィードバック信号Sf2を生成する。また、第2フィードバック信号Sf2の立ち上がりタイミングは、カウンタ値C3=N/2となるタイミングである。
【0071】
図2に示すフィードバック信号出力回路15は例えばスイッチで構成され、フィードバック信号出力回路15には、第1フィードバック信号Sf1と、第2フィードバック信号Sf2とが入力される。フィードバック信号出力回路15は、判定結果信号Sdを制御入力として入力し、判定結果信号Sdがハイである場合に第1フィードバック信号Sf1を出力し、判定結果信号Sdがローである場合に第2フィードバック信号Sf2を出力する。したがって、図17に示されるように、無信号検出回路10において水平同期信号S1が正常であると判定される場合には、第1フィードバック信号Sf1がフィードバック信号Sfとして出力され、水平同期信号S1が無信号状態であると判定される場合には、第2フィードバック信号Sf2がフィードバック信号Sfとして出力される。
【0072】
ここで、本実施形態においては、水平同期信号S1が無信号状態であると判定される場合には、水平同期信号S1に対して1/2水平期間だけ位相がずれた疑似水平同期信号S1’が用いられる。そのため、水平同期信号S1が無信号状態であると判定される場合には、PLL回路1は、第1フィードバック信号Sf1に対して1/2水平期間だけずれた第2フィードバック信号Sf2を用いるものとする。これによって、疑似水平同期信号S1’をリファレンス信号Srとして用いる場合であっても、リファレンス信号Srとフィードバック信号Sfとの位相を合わせることができ、PLL回路1を安定的に動作させることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、疑似水平同期信号S1’の立ち上がりタイミングと水平同期信号S1の立ち上がりタイミングとをずらしている(図15参照)とともに、第1フィードバック信号Sf1の立ち上がりタイミングと第2フィードバック信号Sf2の立ち上がりタイミングとをずらしている(図17参照)。したがって、水平同期信号S1が無信号状態に移行する際や無信号状態から復帰する際に、図15に示す期間T31およびT32、あるいは、図17に示すT41およびT42のように、リファレンス信号Srおよびフィードバック信号Sfの周期性が失われる。このように、本実施形態では、リファレンス信号Srおよびフィードバック信号Sfが短期的に不安定になる状態が生じる。しかし、PLL回路1のループフィルタ4が適正に設計されていれば、この状態に起因するPLLクロックの周波数変動は少ない(最大でも数十水平期間で安定する)。したがって、画面上での違和感はほとんどなく、問題はないと考えられる。
【0074】
[4.変形例]
上記実施形態においては、検出期間を、水平同期信号S1の立ち上がり時点から、検出範囲信号S2の立ち下がり時点までの期間としたが、他の実施形態においては、検出期間は、水平同期信号S1のオン期間を少なくとも含み、1水平期間以下の長さであればよい。なお、上記実施形態のように、水平同期信号S1の2種類の極性に対応すべく極性反転回路23を用いる場合には、いずれの極性であっても単一の方法で判定を行うことができるように、検出期間の終了時点を水平同期信号S1の立ち上がり時点よりも後の時点とすることが好ましい。一方、例えば上記極性反転回路23を用いずに変化点検出回路24のみを用いる場合には、検出期間は、水平同期信号S1の立ち上がり時点を含めばよく、それ以外の時点を含まなくてもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、無信号検出回路10がPLL回路1に用いられる場合を例として説明したが、無信号検出回路10は、水平同期信号を用いる他の種類の回路において用いられてもよい。また、PLL回路1は、液晶表示装置の他、各種の表示装置に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明は、簡易な構成で迅速に水平同期信号の有無を検出すること等を目的として、例えば表示装置に用いられる無信号検出回路やPLL回路等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図
【図2】図1に示す信号生成回路2の内部構成を示すブロック図
【図3】図2に示す無信号検出回路10の詳細な構成を示すブロック図
【図4】図3に示す極性反転回路23の構成の一例を示す図
【図5】図3に示す変化点検出回路24および前エッジ検出回路25の構成の一例を示す図
【図6】図3に示す第1カウンタ回路27の構成の一例を示すブロック図
【図7】図3に示す判定信号出力回路28の構成の一例を示す図
【図8】図3に示す後エッジ検出回路21の構成の一例を示す図
【図9】図3に示す無信号判定回路29の構成の一例を示す図
【図10】ハイアクティブの水平同期信号S1を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図
【図11】ローアクティブの水平同期信号S1を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図
【図12】変化点信号S5を用いる場合における、無信号検出回路10における各信号の変化を示す図
【図13】図3に示す疑似水平同期信号生成回路11の詳細な構成を示すブロック図
【図14】水平同期信号S1、カウンタ値C1、および疑似水平同期信号S1’の変化を示す図
【図15】水平同期信号S1、疑似水平同期信号S1’、およびリファレンス信号Srの変化を示す図
【図16】図2に示す第1フィードバック信号生成回路13および第2フィードバック信号生成回路14の詳細な構成を示すブロック図
【図17】第1フィードバック信号Sf1、第2フィードバック信号Sf2、およびフィードバック信号Sfの変化を示す図
【符号の説明】
【0078】
1 PLL回路
2 信号生成回路
3 位相比較器
4 ループフィルタ
5 VCO
10 無信号検出回路
11 疑似水平同期信号生成回路
12 水平同期信号出力回路
13 第1フィードバック信号生成回路
14 第2フィードバック信号生成回路
15 フィードバック信号出力回路
21 後エッジ検出回路
23 極性反転回路
24 変化点検出回路
25 前エッジ検出回路
26 切替回路
27 第1カウンタ回路
28 判定信号出力回路
29 無信号判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平同期信号の無信号状態を検出する無信号検出回路であって、
前記水平同期信号がオン期間であると予測される期間を少なくとも含む検出期間を、水晶クロック信号を用いて前記水平同期信号の1周期毎に設定する期間設定部と、
前記検出期間において前記水平同期信号がオンとなっていない場合、前記水平同期信号が無信号状態であることを検出する検出部とを備える、無信号検出回路。
【請求項2】
前記検出部は、
前記水平同期信号が、無信号状態においてローレベルとなる極性である場合と、無信号状態においてハイレベルとなる極性である場合とのうちのいずれか一方の場合において前記水平同期信号の極性を反転させる補正を行うことにより、無信号状態においていずれか一方のレベルとなる補正信号を出力する極性反転回路と、
前記補正信号が前記検出期間において前記一方のレベルとなる場合、前記水平同期信号が無信号状態であることを示す信号を出力する無信号判定回路とを含む、請求項1に記載の無信号検出回路。
【請求項3】
前記検出部は、
前記水平同期信号のオン/オフが変化したことを検出する変化点検出回路と、
前記変化点検出回路によって前記水平同期信号のオン/オフが変化したことが前記検出期間において検出された場合、前記水平同期信号が無信号状態であることを示す信号を出力する無信号判定回路とを含む、請求項1に記載の無信号検出回路。
【請求項4】
前記期間設定部は、
前記検出期間の開始タイミングとして、前記水平同期信号がオフからオンに変化すると予測されるタイミングを設定する開始タイミング設定部と、
前記検出期間の終了タイミングとして、前記水平同期信号がオフからオンへ変化した後であると予測されるタイミングを設定する終了タイミング設定部とを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無信号検出回路。
【請求項5】
前記終了タイミング設定部は、前記水平同期信号のオン期間を含み、かつ、当該オン期間よりも広いオン期間を有する検出範囲信号を入力し、当該検出範囲信号がオンからオフに変化するタイミングを前記終了タイミングとして設定する、請求項4に記載の無信号検出回路。
【請求項6】
水平同期信号からPLLクロック信号を生成するPLL回路であって、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無信号検出回路と、
前記水晶クロック信号を用いて疑似水平同期信号を生成する疑似水平同期信号生成回路と、
前記検出部によって無信号状態であることが検出される場合、前記疑似水平同期信号を出力し、前記検出部によって無信号状態であることが検出されない場合、前記水平同期信号を出力する水平同期信号出力回路とを備え、
前記水平同期信号出力回路から出力される信号をリファレンス信号として用いる、PLL回路。
【請求項7】
前記疑似水平同期信号生成回路は、前記水平同期信号とオン期間が重複しないように、前記水平同期信号に対して位相をずらして疑似水平同期信号を生成する、請求項6に記載のPLL回路。
【請求項8】
前記PLLクロック信号を分周することによって第1フィードバック信号を生成する第1フィードバック信号生成回路と、
前記第1フィードバック信号に対して位相がずれた第2フィードバック信号を生成する第2フィードバック信号生成回路と、
前記検出部によって前記水平同期信号が無信号状態であると判定される場合、前記第1フィードバック信号を出力し、前記検出部によって前記水平同期信号が無信号状態でないと判定される場合、前記第2フィードバック信号を出力するフィードバック信号出力回路とを備え、
前記フィードバック信号出力回路から出力される信号と、前記水平同期信号出力回路から出力される信号との位相を位相比較器において比較する、請求項7に記載のPLL回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−68463(P2010−68463A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235482(P2008−235482)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】