説明

無端ベルトの製造方法、及び無端ベルトの製造システム

【課題】 皮膜形成樹脂溶液の塗膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥、又は焼成時の皮膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥を効果的に防止した無端ベルトの製造方法、並びに該製造方法を用いた無端ベルトの製造システムを提供すること。
【解決手段】 芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥工程と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成工程と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型工程と、所定の幅に切断するカット工程と、を有する無端ベルトの製造方法であって、前記塗布工程前の前記芯体表面及び/又は前記焼成工程前の乾燥皮膜表面に、除電したエアを吹き付ける無端ベルトの製造方法、並びに、該製造方法を用いた無端ベルトの製造システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に複写機、プリンター等の電子写真方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる無端ベルトの製造方法、及び該製造方法を利用した無端ベルトの製造システムに関し、特に塵埃による欠陥を減少させた無端ベルトの製造方法、及び無端ベルトの製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体、帯電体、転写体、及び定着体等の小型/高性能化のために、肉厚が薄いプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。その場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目の跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。材料としては様々な材料が用いられるが、中でも特に強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が好ましい。
【0003】
ポリイミド樹脂で無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、回転しながら成膜する遠心成形法や、円筒体内面にポリイミド前駆体溶液を展開する内面塗布法が知られている。
【0004】
また、他のポリイミド樹脂無端ベルトの製造方法として、芯体の表面に浸漬塗布法によってポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、ポリイミド樹脂皮膜を芯体から剥離する方法もある。この方法では、塗布による塗膜形成工程から、加熱反応させる皮膜形成工程まで、芯体は一貫して同じものが使用され、載せ換える工数が不要という利点を有している。
【0005】
また、ポリイミド樹脂の前駆体溶液が非常に粘度が高く、膜厚が所望値より厚くなりすぎる観点から、環状体により、膜厚を制御する方法が適用されている。更に、溶液の必要量を削減すべく、環状塗布装置を用いる方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところが、芯体表面に皮膜形成樹脂溶液を塗布すると、芯体表面に塵埃が付着していた場合、塗膜にその塵埃が取り込まれて、突起等の欠陥を生じる。一般的には、塵埃の付着を防止すべく、上記塗布作業は無塵室で行われるが、芯体を何らかの拭き取り部材で拭き取って洗浄すると、微小な塵埃が付着するという問題があった。
また、乾燥後においても、皮膜表面に塵埃が付着していた場合、加熱焼成によって皮膜表面付近に該塵埃が取り込まれ、欠陥を生じる問題があった。
【特許文献1】特開2002−91027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、皮膜形成樹脂溶液の塗膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥、又は焼成時の皮膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥を効果的に防止した無端ベルトの製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、皮膜形成樹脂溶液の塗膜及び/又は焼成時の皮膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥を効果的に防止することができる無端ベルトの製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、以下の方法により達成される。
即ち、本発明の無端ベルトの製造方法は、
<1> 芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥工程と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成工程と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型工程と、所定の幅に切断するカット工程と、を有する無端ベルトの製造方法であって、前記塗布工程前の前記芯体表面に、除電したエアを吹き付けることを特徴とする無端ベルトの製造方法である。
【0009】
<2> 芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥工程と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成工程と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型工程と、所定の幅に切断するカット工程と、を有する無端ベルトの製造方法であって、前記焼成工程前の乾燥皮膜表面に、除電したエアを吹き付けることを特徴とする無端ベルトの製造方法である。
【0010】
また、本発明の無端ベルトの製造システムは、
<3> 芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布手段と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥手段と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成手段と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型手段と、所定の幅に切断するカット手段と、を有する無端ベルトの製造システムであって、前記塗布工程前の前記芯体及び/又は前記焼成工程前の乾燥皮膜の表面に、除電したエアを吹き付ける手段を有することを特徴とする無端ベルトの製造システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、皮膜形成樹脂溶液の塗膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥、又は焼成時の皮膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥を効果的に防止した無端ベルトの製造方法を提供することができる。
また、皮膜形成樹脂溶液の塗膜及び/又は焼成時の皮膜に塵埃が取り込まれることよって発生する欠陥を効果的に防止することができる無端ベルトの製造システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明においては、塗布工程前の芯体表面及び/又は焼成工程前の乾燥皮膜表面に、除電したエアを吹き付けることを特徴とする。芯体表面に付着した塵埃は静電作用により取り去りづらくなっていることから、除電装置から発生した除電エアを吹き付けることにより完全に塵埃を取り除くことが可能となる。また、除電エアの除電効果により、塵埃の再付着を効果的に防止することができる。
【0013】
<除電エア>
ここで、除電エアを芯体表面又は乾燥皮膜表面に吹き付ける態様について、図を用いて説明する。図1〜3は、それぞれ本発明における除電エアの吹き付け方の一実施形態を説明する概略図である。
図1は、除電装置11から発生した除電エアをエアガン10によって吹き付ける態様であり、芯体1は芯体回転装置(図示せず)に載置し回転させながら、エアガン10を芯体1から所定の距離離して上端から下端、下端から上端と平行に上下移動させて吹き付けた。この時エアの下流側には局所排気装置があり(図示せず)吹き飛ばされた塵埃はこの局所排気装置に取り込まれる。
また、図2のような環状のエアノズル12から環状にエアを吹き付けることは、むらなく均一化させるためにさらに好ましい。更に、図3のようにエアガン10を複数本配設し、エアガン10の上下移動を無くし効率よく吹き付けることも好ましい。
【0014】
除電エアを吹き付ける際の圧力は、除電エアによって吹き飛ばした塵埃を周囲に飛散させないという観点から、0.65MPa以下であることが好ましく、更に0.2〜0.3MPaであることがより好ましい。また、図1又は3に示すようなエアガンを用いた吹き付けの場合、エアガンは芯体から1〜1000mm離して用いることが好ましく、50〜500mm離して用いることがより好ましい。
上記除電エアを発生させる除電装置としては一般に用いられている装置を使用することができる。
【0015】
ここで、図2に記載の環状エアノズル12による除電エアの吹き付けについて、更に説明する。図4(a)は、環状エアノズル12の断面を示す概略図である。
図4(a)に示す環状エアノズル12は、丸型の孔13を対向する位置に二箇所設置している。尚、孔形は丸型である必要はなく、三角孔、四角孔、細長孔などいかなる形であってもよい。また、例えば丸型孔の場合、孔径は0.1mm程度から図中矢印Eで表されるリング径まで適宜選択可能である。孔を設ける角度(即ち、除電エアを吹き付ける角度)は、芯体に向かって平行上向きを0°、平行下向きを180°とした場合、0〜180°の間で適宜選択することができるが、効率的に吹き付ける観点から30〜150°であることが好ましく、更に、例えば局所排気装置を芯体下方向に設置した場合であれば、90〜150°であることが好ましい。孔の数は、例えば、丸型孔、三角孔、四角孔であれば2個以上であることが好ましい。
尚、細長孔の場合、孔のリング幅方向長さは0.1mm程度から矢印Eで表されるリング径まで適宜選択可能であり、また、孔のリング環状方向長さは0.1mm程度から360°(即ち、リング全周)まで選択可能である。
環状エアノズル12は、図4(b)に示すように芯体1に沿って上から下へ、若しくは下から上へ移動し除電エアを吹き付け、その際の環状エアノズル12と芯体1との間隙(矢印D)は1〜1000mmが好ましく、50〜500mmがより好ましい。
【0016】
<無端ベルトの製造方法>
無端ベルトを作製する場合には、ポリイミドやポリアミドイミドといった皮膜形成用樹脂溶液を用いる。以下、ポリイミド前駆体溶液を用いた例を挙げ、無端ベルトの製造方法を説明する。
【0017】
(ポリイミド樹脂無端ベルトの製造方法)
−ポリイミド前駆体溶液の調製−
ポリイミド前駆体溶液には、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)が含有され、該ポリアミド酸は、一般に極性溶媒中でテトラカルボン酸無水物とジアミンとの重合により合成される。溶媒可溶性のポリイミド前駆体が皮膜に成形加工され、その後、ポリイミド前駆体皮膜を280℃以上の高温に加熱し脱水縮合することによりポリイミド化されて、ポリイミド樹脂無端ベルトが成形される。
【0018】
上記酸無水物として用いられるテトラカルボン酸としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。これらの中でも、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸がより好ましい。
【0019】
また、前記ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンがより好ましい。
【0020】
前記極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができ、更には、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができ、これらの溶剤も、単独又は2種類以上の混合物として用いることができる。
【0021】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて導電剤を含有させてもよい。前記導電剤を含有させることにより、ポリイミド樹脂無端ベルトに半導電性を付与させることが可能となり、本発明のポリイミド樹脂無端ベルトを転写ベルト等として好適に用いることが可能となる。
前記導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属または合金、さらには酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物等の導電性金属酸化物などの1種または2種以上の微粉末が用いられる。前記金属酸化物は硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の絶縁性微粒子に被覆したものであってもよい。
また、イオン伝導性導電剤として、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤を挙げることもできる。
【0022】
更には、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニユム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、更には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤又は導電性ポリマー、又は、界面活性剤を1種又は2種以上を組み合わせ用いることによって、前記した電気抵抗を安定して得ることができる。これらの導電剤の中でも、価格、及び環境安定性の点でカーボンブラックが特に好ましい。
【0023】
前記導電剤をポリイミド前駆体溶液に分散する方法としては、前記テトラカルボン酸無水物とジアミンとを含む極性溶媒中に、あらかじめ前記導電剤を添加した状態で重合させ、ポリイミド前駆体を合成する方法、あるいは、既に重合したポリイミド前駆体溶液中に導電剤を添加し、分散機で充分に分散する方法等がある。前記ポリイミド前駆体溶液は、塗布前にフィルターを通し、二次凝集して粗大化した導電剤や異物を取り除くことが望ましい。
【0024】
前記ポリイミド前駆体溶液(導電剤を含んでいない状態)の固形分濃度は、一般に15〜50質量%の範囲が好ましく、該固形分100質量部に対して20〜30質量部の導電剤が配合されることが好ましい。この配合量は導電剤の種類により異なるが、ベルトの所望の表面抵抗率もしくは体積抵抗率に応じて適宜調整される。また、溶液の濃度及び粘度等は適宜選択される。
【0025】
−ポリイミド前駆体塗膜形成工程−
次いで、前記ポリイミド前駆体を芯体表面に塗布するのだが、前述の通り、本発明においては、塵埃除去及び再付着の防止の観点から、塗布前の芯体表面に除電エアを吹き付ける。
【0026】
前記ポリイミド前駆体溶液の塗布方法としては、芯体の形状にもよるが、芯体をポリイミド前駆体溶液に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、芯体をその中心軸に対して水平方向に回転させながらその表面に溶液を吐出する流し塗り法、その際にブレードで皮膜をメタリングするブレード塗布法等、既存の公知の方法が採用できる。上記流し塗り法やブレード塗布法では、塗布部を芯体の中心軸方向に水平移動させることにより、塗膜はらせん状に形成されるが、ポリイミド前駆体溶液の溶剤は常温での乾燥が遅いために、らせん状の継ぎ目は自然に平滑化される。
【0027】
前記浸漬塗布法においては、ポリイミド前駆体溶液は粘度が非常に高く、液の付着量が多くなり過ぎるので、芯体の外径よりも大きな円形の孔を設けた環状体を、ポリイミド前駆体溶液上に自由移動可能状態で設置し、環状体の液面からの高さが一定範囲内に収まるよう、芯体の速度を調節しながら、環状体の孔を通して芯体を前記溶液から相対的に上昇させる方法をとることが好ましい。
【0028】
さらに、前記浸漬塗布法に類似の塗布方法である、環状塗布層を用いた環状塗布法について、図5及び6を用いて説明する。図5は、環状塗布装置の停止時の概略断面図であり、図6は、環状塗布装置の稼動時の概略断面図を表す。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。
なお、本発明において、「芯体上に塗布する」とは、芯体の表面、又は、該芯体の表面に層を有する場合にはその層の表面に塗布する意味である。また、「芯体を上昇」とは、芯体とポリイミド前駆体溶液の液面との相対関係であり、芯体を固定し、液面を下降させる場合を含む。
【0029】
環状塗布法は、ポリイミド前駆体溶液2を環状塗布槽6に入れ、その下部から上部へ芯体1を通過させて塗布を行う方法である。環状塗布槽6の底部には、溶液が漏れないよう、ポリエチレンやシリコーンゴム等の柔軟性板材から成る環状のシール材7が設けられる。芯体1の下には、更に芯体1B(これはベルトを作製しない中間体であってもよい)が取り付けられる。芯体1は、環状塗布槽6の下部から上部に順次つき上げられ、シール材7を挿通させることにより、表面に塗膜3が塗布される。ポリイミド前駆体溶液2の液面上には、芯体1の外径よりも大きな円形の孔5を設けた環状体4が自由移動可能状態で設置される。塗膜3の濡れ膜厚は、芯体1と孔5との間隙により定まるので、孔5の内径は、所望の膜厚を鑑みて設定される。すなわち、乾燥工程後の膜厚は、濡れ膜厚と溶液の不揮発分濃度の積であり、これから所望の濡れ膜厚が求められる。
なお、環状体4は中空構造であっても、また、沈没防止のために、環状体4の外周面または塗布槽6に、環状体4を支える足や腕を設けてもよい。自由移動可能状態で設置される方法としては、ポリイミド前駆体溶液2の液面に浮遊させる方法のほか、環状体4をロールやベアリングで支える方法、環状体4をエア圧で支える方法などがある。また、環状体4の材質は、溶液の溶剤によって侵されない金属やプラスチックから選ばれる。環状体4は円孔内径の真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、JIS−B0621(1974年)に規定する真円度は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。環状体4の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、図5に示すような直線的傾斜面のほか、階段状や曲線的でもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
【0030】
環状体4の孔5を通して芯体1を上昇させると、ポリイミド前駆体溶液2の介在により、芯体1と環状体4との間に摩擦抵抗が生じ、環状体4には上昇力が作用し、環状体4は少し持ち上げられる。この時、環状体4は芯体1との摩擦抵抗が周方向で一定になるように移動し、環状体4と芯体1との間隙が一定になるので、塗布される膜厚は周方向で均一になる。芯体1の引き上げ速度は、0.1〜1.5m/min程度が好ましい。
更に環状塗布装置には、芯体1を保持する芯体保持手段、並びに、該保持手段を上下方向に移動する第1の移動手段、及び環状塗布槽6を上下方向に移動する第2の移動手段を有してもよい。
【0031】
供給口8の数は、環状塗布槽6の内径にもよるが、2〜20個程度、等間隔の位置に取り付けるのがよい。供給口8にはチューブを適宜接続して溶液が送り込まれる。槽内に溶液を送り込む方法としては、加圧空気を利用して圧送する方法や、任意のポンプにより圧送する方法がある。但し、高粘度の溶液を一定流量で、しかも気泡の巻き込みや不純物の混入を起こさないで圧送するには、ラジアルスクリューポンプを用いることが特に好ましい。
尚、環状塗布槽6を用いる環状塗布法は、浸漬塗布法より、ポリイミド前駆体溶液2が少なくて済む利点がある。
【0032】
−ポリイミド前駆体塗膜乾燥工程−
ポリイミド前駆体塗膜乾燥工程においては、ポリイミド前駆体塗膜中に過度に残留する極性溶媒を除去する目的で、静置しても前記塗膜が変形しない程度の乾燥を行う。乾燥条件は適宜設定されるが、具体的には90〜170℃の温度で20〜60分加熱することにより行うことが好ましく、その際、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。尚、乾燥時における塗膜の垂れを防止するために、芯体をその中心軸に対して水平にして回転させながら乾燥させることが好ましく、その回転は1〜60rpmが好ましい。
また、乾燥時に、加熱することに加え、風を当てることも有効である。乾燥温度は、極性溶媒の溶存気体が気泡になることを低減させるために、時間内において、段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させることが好ましい。
【0033】
−ポリイミド前駆体皮膜加熱焼成工程−
次いで、前記ポリイミド前駆体皮膜を加熱焼成するのだが、前記乾燥工程において、乾燥装置内に塵埃が発生していることがあり、本発明においては、塵埃除去及び再付着の防止の観点から、焼成工程前のポリイミド前駆体皮膜表面に除電エアを吹き付ける。
除電エアを吹き付けたポリイミド前駆体皮膜は、その後、250〜450℃、好ましくは300〜350℃前後で、20〜60分間、ポリイミド前駆体皮膜を加熱して縮合反応させることで、ポリイミド樹脂が形成される。その際、温度を段階的に上昇させてもよい。この工程では、皮膜は固定されているので、芯体の向きはどちらでもよいし、加熱中の回転もしなくてよい。
【0034】
−ポリイミド樹脂皮膜脱型、カット工程−
冷却後、形成された皮膜を芯体から脱型し所定の幅に切断するカット工程を経て無端ベルトを得る。無端ベルトには、さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工等を施すことができる。
【0035】
このようにして得られる本発明のポリイミド樹脂無端ベルトは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置における転写ベルト又は定着ベルト等に好適に利用することができる。これらの用途に好ましい無端ベルトの膜厚は30〜150μm程度である。
【0036】
−芯体−
ここで、本発明に用いる芯体について説明する。
無端ベルトの製造方法における基体となる芯体としては、円筒状や円柱状の形状であることが好ましく、またその素材は、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属が好ましく用いられ、熱膨張率が大きいという観点から、アルミニウムであることがより好ましい。
なお、芯体がアルミニウムの場合、例えば350℃に加熱すると強度が低下して変形を起こしやすい。このようなアルミニウムの熱変形は、芯体形状への冷間加工中に歪みが蓄積していると発生しやすい。そのような歪みを取り去るには、アルミニウムを焼鈍(焼きなまし)する方法がある。焼鈍とは、アルミニウム素材を300〜400℃に加熱し、空気中で自然に冷却する方法である。但し、焼鈍によっても熱変形が起こることがあるので、芯体の所定形状への加工は、その後に施すことが好ましい。
【0037】
芯体の長さは、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。芯体の外径は、無端ベルトの直径に合わせ、肉厚は芯体としての強度が保てる厚さにする。
芯体の両端には、芯体を保持する保持板を取り付けてもよい。保持板は、ねじで固定しても良いし、芯体と溶接してもよい。保持板には、必要に応じて、円形や扇形など任意形状である通風孔や、中央に心棒を通す穴、または軸があってもよい。また、吊り下げや載置のための部品を取り付けてもよい。
【0038】
また、金属製の芯体表面にポリイミド前駆体溶液を直接塗布した場合には、形成されたポリイミド樹脂皮膜が芯体表面に接着してしまう可能性が高いため、芯体の表面には離型性が付与されていることが更に好ましい。
離型性を付与するためには、芯体表面をクロムやニッケルでメッキしたり、フッ素系樹脂やシリコーン樹脂で表面を被覆したり、あるいは表面にポリイミド樹脂が接着しないよう、表面に離型剤を塗布することが有効である。
【0039】
樹脂の種類によっては、加熱時に溶剤の揮発物や、反応時に発生する気体があり、加熱後の樹脂皮膜は、その気体のために、部分的に膨れを生じることがある。これは特に、ポリイミド樹脂皮膜において膜厚が50μmを越えるような場合に顕著である。
【0040】
上記膨れを防止するために、特開2002−160239号公報開示の如く、芯体表面は表面粗さRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、ポリイミド樹脂から生じる気体は、芯体とポリイミド樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0041】
<無端ベルトの製造システム>
次いで、本発明の無端ベルトの製造システムについて説明する。
本発明の無端ベルトの製造システムは、芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布手段と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥手段と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成手段と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型手段と、所定の幅に切断するカット手段と、を有する無端ベルトの製造システムであって、前記塗布工程前の前記芯体及び/又は前記焼成工程前の乾燥皮膜の表面に、除電したエアを吹き付ける手段を有することを特徴とする無端ベルトの製造システムであり、即ち、前述した本発明の無端ベルトの製造方法を取り入れた製造システムである。
以下、上記無端ベルトの製造システムの一実施形態について、説明する。
【0042】
上記無端ベルトの製造システムにおいては、まず、芯体は芯体洗浄室(クリーン度クラス10000のクリーンルーム)にて洗浄剤(エタノール等)を用いて洗浄され、その後、前述の条件にて除電エアを吹き付けて表面に付着した塵埃を取り除く。次いで、芯体を塗布室(クリーン度クラス1000のクリーンルーム)に搬入し、図5及び6に示す環状塗布装置にて皮膜形成樹脂溶液を塗布し、芯体表面に塗膜を形成する。その後、塗膜が形成された芯体を移載機で乾燥炉(クリーン度クラス100のクリーン炉)に投入し、前記乾燥工程の条件にて乾燥を行い、乾燥皮膜を形成する。乾燥皮膜の形成された芯体は乾燥炉出口から排出され、端部の処理を行った後、前述の条件にて除電エアを吹き付けて乾燥皮膜表面の塵埃を取り除き、焼成炉に投入される。前記焼成工程の条件にて焼成が行われ、表面に樹脂皮膜が形成された芯体は焼成炉から取り出され、芯体から樹脂皮膜を剥離して所定の幅に切断し無端ベルトが得られる。
本発明の無端ベルトの製造システムによって得られた無端ベルトは、塵埃付着によって発生する欠陥がなく、良好な表面形状を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
ポリイミド前駆体溶液(商品名:UワニスA、宇部興産製、濃度18%)に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で23%混合し、次いで対向衝突型分散機により分散した。更に、シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を、濃度が500ppmになるよう添加し、塗布溶液とした。
【0044】
別途、外径366mm、肉厚10mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面を粗さRa1.0μmに粗面化した。該円筒の真円度は20μm以下であった。円筒の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布し芯体とした。
前記塗布溶液を塗布する直前、前記芯体表面に除電装置(型番:AHBA−50HZ アズワン(株)製)によって除電したエアの吹き付け処理を施した。吹き付け処理の諸条件は以下の通りである。
吹き付け方法:図1に示す吹き付け(芯体を回転させながら、エアガンを上下動さ
せて除電エアを吹き付ける)
芯体回転速度:10rpm
芯体表面とエアガンとの距離:300mm
エア圧力:0.3MPa
【0045】
次いで、図5に示す環状塗布装置を用い、前記塗布溶液の塗布を行った。具体的には、内径500mm、内高80mmの環状塗布槽6の底面に内径386mmの穴をあけ、底面の裏面には、内径362mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン製の環状シール材7を取り付けた。環状塗布槽6の側面には、下から20mmの位置に、内径9mmのフッ素樹脂チューブが取り付けられる供給口8を、60°間隔で6箇所設置した。
【0046】
環状体4として、外径420mm、円孔5の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は7°とした。上端には芯体と平行になる部分を2mm形成したが、その内径の真円度は8μmであった。
【0047】
環状塗布装置の中央に芯体1を通し、環状体4を配置した後、加圧容器(図示せず)から0.5MPaの圧力で、環状塗布槽6に前記塗布溶液2を注入した。塗布溶液2が環状塗布槽6を満たした後、塗布溶液2の高さが50mmになった時点で、注入を停止した。
【0048】
次いで、芯体1の下にもう一つの芯体1Bを配置し、約0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体4は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体1の表面には濡れ膜厚が約500μmのポリイミド前駆体塗膜3が形成された。
【0049】
塗布後、芯体の中央に20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してポリイミド前駆体塗膜を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのポリイミド前駆体皮膜を得た。
次いで、芯体を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、320℃で30分加熱反応させ、ポリイミド樹脂皮膜を形成した。
【0050】
室温に冷えた後、芯体と皮膜の間にエアを吹き込みながら、芯体からポリイミド樹脂皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は75μmで均一であった。該無端ベルトは両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1×1010Ωcmの半導電性を有していた。また塵埃による表面異物の欠陥は、数は極少数、大きさ極小、であり問題なく電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0051】
(実施例2)
実施例1において、乾燥後のポリイミド前駆体皮膜に、除電装置(型番:AHBA−50HZ アズワン(株)製)によって除電したエアの吹き付け処理を施した他は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。吹き付け処理の諸条件は以下の通りである。
吹き付け方法:図1に示す吹き付け
芯体回転速度:10rpm
芯体表面とエアガンとの距離:300mm
エア圧力:0.2MPa
【0052】
得られた無端ベルト表面の塵埃による表面異物の欠陥は数、大きさとも皆無であり電子写真用転写ベルトとして問題なく使用することができた。
【0053】
(比較例1)
実施例1において、芯体表面に除電したエアの吹き付け処理を行わなかった他は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。得られた無端ベルト表面の塵埃による表面異物の欠陥は、数は多く、大きさも大きく欠陥だらけとなり電子写真用転写ベルトとして使用することは不可能であった。
【0054】
(比較例2)
実施例1において、芯体表面に除電したエアの吹き付け処理を施した代わりに、除電しないエアを吹き付けた他は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。得られた無端ベルト表面の塵埃による表面異物の欠陥は、数は少なく、大きさも小さくなったが電子写真用転写ベルトとして使用することは不可能であった。
実施例1〜2、及び比較例1〜2をまとめると表1のようになる。
【0055】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明における除電エアをエアガンによって吹き付ける方法を示す概略図である。
【図2】本発明における除電エアを環状エアノズルによって吹き付ける方法を示す概略図である。
【図3】本発明における除電エアを複数本のエアガンによって吹き付ける方法を示す概略図である。
【図4】(a)は環状エアノズルの構造を示す概略断面図である。(b)は環状エアノズルを芯体周辺に配置した概略図である。
【図5】本発明における環状塗布装置の概略断面図である。
【図6】本発明における塗布最中の環状塗布装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1、1B 芯体
2 塗布溶液
3 塗膜
4 環状体
5 円孔
6 環状塗布槽
7 環状シール材
8 供給口
9 腕
10 エアノズル(エアガン)
11 除電装置
12 環状エアノズル
13 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥工程と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成工程と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型工程と、所定の幅に切断するカット工程と、を有する無端ベルトの製造方法であって、
前記塗布工程前の前記芯体表面に、除電したエアを吹き付けることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項2】
芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥工程と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成工程と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型工程と、所定の幅に切断するカット工程と、を有する無端ベルトの製造方法であって、
前記焼成工程前の乾燥皮膜表面に、除電したエアを吹き付けることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項3】
芯体上に皮膜形成樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する塗布手段と、該塗膜を乾燥し乾燥皮膜を形成する乾燥手段と、該乾燥皮膜をさらに加熱して樹脂皮膜を形成する焼成手段と、該樹脂皮膜を芯体から抜き取る脱型手段と、所定の幅に切断するカット手段と、を有する無端ベルトの製造システムであって、
前記塗布工程前の前記芯体及び/又は前記焼成工程前の乾燥皮膜の表面に、除電したエアを吹き付ける手段を有することを特徴とする無端ベルトの製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−264186(P2006−264186A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87290(P2005−87290)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】