説明

無線リモートセンサにおいてフェライト位置合わせキーを使用するためのシステム及び方法

本発明は、無線リモートセンサアセンブリにおいてフェライト位置合わせキーを使用するためのデバイス及び方法に関する。一態様では、本発明は、ピックアップコイルと、ピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーと、受入れ要素を有する無線共振センサとを含み、ピックアップコイルと無線共振センサが、フェライト位置合わせキーを受入れ要素に挿入したとき位置合わせされる、無線共振センサアセンブリを提供する。フェライト位置合わせキーはまた、ピックアップコイルを位置合わせキーの受入れ要素に挿入することにより、位置合わせキーがピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びる構成になるように、共振センサの一部であってもよい。監視システムの1つ以上のパラメータを測定する方法もまた、提供される。フェライト位置合わせキーを挿入することにより、ピックアップコイルと無線共振センサが位置合わせされ、それによってピックアップコイルによる無線共振センサの感知が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、無線共振センサとともにフェライト位置合わせキーを使用するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線共振センサは、センサ部の環境条件の変化に対応して変動する測定可能な共振特性を有することによって機能する。励起信号がセンサに作用すると、センサは、共振特性の状態を表すリターン信号を発する。測定可能な共振特性には、電磁共振周波数、無線周波数、Q値又は帯域幅が含まれる。受動型無線共振センサでは、励起信号は、センサから分離し、離れて設置される発生器によって生成され、励起信号は次いで、リモートセンサに向けられる。半受動型及び能動型無線共振センサでは、センサは、動作するためにオンボード電力の使用に依拠している。受動型、半受動型、及び能動型無線センサでは、発せられたリターン信号は、ピックアップコイルアセンブリを使用して検出される。無線共振センサで測定される環境パラメータの例には、溶液導電率、pH、温度、圧力、流量、溶存ガス、代謝生成物濃度、細胞生存率、及び汚染物質レベルが含まれる。
【0003】
ある種の用途では、センサ感度を高めるために、又は遠隔信号伝送のために、オンボード電力供給が必要とされる。これは、センサのサイズを増大させることにつながる。他の用途では、信号強度を高めるために、フェライト材料がピックアップコイルアセンブリのコイル内部に置かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0171073号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多重パラメータ測定用途のために、センサ感度の増大及びセンサ読み取りの再現性が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、ピックアップコイルと、ピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーと、受入れ要素を有する無線共振センサとを含み、ピックアップコイルと無線共振センサが、フェライト位置合わせキーを受入れ要素に挿入したとき位置合わせされる、無線共振センサアセンブリを提供する。フェライト位置合わせキーはまた、ピックアップコイルを位置合わせキーの受入れ要素に挿入することにより、位置合わせキーがピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びる構成になるように、共振センサの一部であってもよい。
【0007】
別の態様では、本発明は、例えば製造、製品供給、又は保安用途での監視システムの1つ以上のパラメータを測定するための方法を提供する。その方法は、監視システムに本発明の無線共振センサを埋め込む段階と、ピックアップコイルと無線共振センサが位置合わせされるように、ピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーを無線共振センサの受入れ要素に挿入する段階と、ピックアップコイルで無線共振センサを感知する段階と、ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスを使用して信号を読み取る段階とを含む。フェライト位置合わせキーはまた、ピックアップコイルを位置合わせキーの受入れ要素に挿入することにより、位置合わせキーがピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びる構成になるように、無線センサ中に埋め込まれ、無線センサから延びてもよい。
【0008】
本発明のこれらの及び他の特徴、態様、並びに利点は、同様の符号が図面全体にわたって同様の部分を表す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フェライト位置合わせキー14及び対応する無線共振センサ18を含有する代表的なピックアップコイルアセンブリ10を例示する図である。
【図2】ピックアップコイル26に挿入するための凹状領域24を含むフェライト位置合わせキー22の説明図である。
【図3】フェライト位置合わせキー40の遠位突出部の鍵と鍵穴式位置合わせを使用して整列するピックアップコイル42及び無線センサ38を例示する図である。
【図4】受入れ要素52の位置合わせ停止面50と一致する位置合わせ停止面48を含むフェライト位置合わせキー46を備えるピックアップコイルアセンブリ44を例示する図である。
【図5】フェライト位置合わせキーの長さの関数としてセンサ信号強度を示す図である。
【図6】フェライト位置合わせキーのないRFID圧力感知アセンブリの測定結果を示す図である。
【図7】フェライト位置合わせキーを備えるRFID圧力感知アセンブリの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、例示的なものであり、本願の発明及び本発明の使用を限定することを意図していない。さらに、本発明の先の背景技術又は以下の詳細な説明で提示されるどんな理論によっても限定するものではない。
【0011】
本発明は、励起信号に対する無線共振センサの応答を測定するためのデバイス、システム、及び方法を提供する。一般に、無線共振センサ応答は、フェライト位置合わせキーと組み合わされるピックアップコイルで測定され、その位置合わせキーは、ピックアップコイルと無線共振センサを位置合わせさせる。開示するピックアップコイルアセンブリでのピックアップコイル及びフェライト位置合わせキーの組合せは、ピックアップコイルとフェライト位置合わせキーの組合せを含まないアセンブリと比べて無線共振センサの信号を強化するための活性化デバイスを構築する。
【0012】
図1は、本発明の態様を組み込むピックアップコイルアセンブリ10の一実施形態を例示する。ピックアップコイルアセンブリは、ピックアップコイル及び無線共振センサに無線でエネルギーをもたらすためのエネルギー源を含む。ピックアップコイルアセンブリは、読み取り/書き込みデバイス(図示されず)に接続されてもよく、読み取り/書き込みデバイスは、対応する無線共振センサ及びデータ処理装置との間でデータを転送する働きをする。例示するように、ピックアップコイルアセンブリ10は、ピックアップコイル12及びピックアップコイル内に位置決めされるフェライト位置合わせキー14から成る。フェライト位置合わせキーは、遠位突出部16としてピックアップコイルから延びる。
【0013】
ピックアップコイルアセンブリは、フェライト位置合わせキーの遠位突出部を受け取るように構成される受入れ要素20を有する対応する無線共振センサ18と対を成してもよい。
【0014】
フェライト位置合わせキーは、図2で例示するように、ピックアップコイルに挿入するように構成されてもよい。図示するように、フェライト位置合わせキー22は、ピックアップコイル26の挿入を可能にするために凹状領域24を有する。この構成では、フェライト位置合わせキー22は、ピックアップコイル26中に位置決めされ、ピックアップコイル26から延びる。
【0015】
図1及び2の両方で示すように、フェライト位置合わせキーの遠位突出部は、ピックアップコイルと無線共振センサを位置合わせさせる。結果として生じる位置合わせは、再現可能であり、センサ動作中は、具体的には無線センサへのフェライト位置合わせキーの挿入中は、操作者が事前に選択された許容誤差範囲内で位置合わせを再現できるようにする。アセンブリの位置合わせキーは、位置合わせキー構成部品を含まないシステムと比べて信号応答の変動を低減する。強化された位置合わせに起因する再現性により、ユーザが、多変量複素インピーダンス検出などの正確で再現性のあるセンサ読み取りを必要とする多重パラメータ測定を行うことが可能になる。
【0016】
さらに、センサ励起は、1つのピックアップコイルで行われてもよく、信号収集は、同じ又は別のピックアップコイルで行われてもよい。少なくとも1つのピックアップコイルは、フェライト位置合わせキーを有する。
【0017】
代替実施形態では、フェライト位置合わせキーは、ピックアップコイルよりはむしろ無線共振センサと関連する。無線共振センサアセンブリは、ピックアップコイルの挿入を可能にするために凹状領域を有してもよく、その結果フェライト位置合わせキーは、センサ動作中はピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びて、ピックアップコイルと無線共振センサを位置合わせさせることになる。
【0018】
フェライト位置合わせキーは、高い透磁率を有するが、外部場が除去される又は急速に変化するときにあまり磁場を保持しないように磁気的に「ソフト」であるフェライト材料から成ってもよい。アセンブリで有用なフェライト材料の限定されない例には、透磁率が20から10000ニュートン毎平方アンペアに及ぶマンガン亜鉛、ニッケル亜鉛、マンガン、及びマグネシウム亜鉛が含まれる。いくつかの実施形態では、フェライト材料は、1KHzから100MHzに及ぶ周波数での使用に耐えるべきである。
【0019】
開示するシステムで使用されてもよい代表的な無線共振センサには、アナログ又はデジタル無線周波数識別(RFID)センサ、音波センサ及びインダクタ−コンデンサ共振回路センサが制限なく含まれる。RFIDセンサは、無線周波数信号を受信し、送信するためのアンテナコイルを含有してもよい。アンテナは、環境変化の関数としてそのインピーダンスパラメータを変えることによって感知機能を果たす。例となるRFIDセンサは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願、名称「Chemical and biological sensors,systems and methods based on radio frequency identification」の第11/259710号及び名称「Chemical and biological sensors,systems and methods based on radio frequency identification」の第11/259711号で述べられている。
【0020】
無線共振センサは、データを保存するための電子タグをさらに含んでもよい。電子タグは、ピックアップコイルアセンブリと通信するためにセンサのアンテナコイルに結合されるメモリマイクロチップを含んでもよい。マイクロチップは、タグに励起信号を当てることによって読み取ることができる。電子タグがRFIDタグであるときは、励起信号は、読み取り装置/書き込み装置が送る無線周波数(RF)搬送波信号である。メモリマイクロチップは、タグのデジタルIDを保存するためのデジタル識別チップ(例えば、表面弾性波チップ又は集積回路メモリチップ)を含んでもよい。デジタル識別チップは、情報を保存し、処理することができ、無線周波数信号を変調し、復調することができる。集積回路メモリチップはまた、アナログ信号のための入力部を含有してもよい。RF場がアンテナコイルを通過すると、AC電圧が、コイルに生成される。この電圧は、RFIDタグのマイクロチップ中で整流されて、マイクロチップを動作させるためのDC電圧をもたらす。DC電圧が所定のレベルに達すると、マイクロチップは、機能するようになる。ピックアップコイルアセンブリを使用してマイクロチップから後方散乱されるRF信号を検出することによって、マイクロチップに保存される情報は、完全に識別できる。メモリマイクロチップはまた、感知のために使用されてもよい。感知のために、マイクロチップは、アナログ信号のための入力部を含有してもよく又はチップの製作中にマイクロチップに組み込まれるセンサを有してもよい。他の用途では、RFIDセンサ応答が、マイクロチップに導入されてもよく、マイクロチップは、感知動作中のセンサの状況を伝える。
【0021】
RFIDセンサは、RFIDタグのアンテナ及びメモリチップを横断して取り付けられる相補的センサをさらに含んでもよい。相補的センサをRFIDタグに取り付けることによって、取り付けたセンサの電気的応答は、複素インピーダンス応答の同時変化に変換される。複素インピーダンス応答には、複素インピーダンスの虚部の共振周波数、複素インピーダンスの虚部の反共振周波数、ゼロ−リアクタンス周波数、位相角、及びインピーダンスの大きさの変化を検出することが含まれる。
【0022】
本発明によって可能になる複素インピーダンス応答の多変量検出は、単一のセンサで多重パラメータを繰り返し測定することを可能にする。RFIDセンサの多重パラメータ測定の精度は、位置合わせがフェライト位置合わせキーにより固定される本発明の実施形態を使用することによって向上する。フェライト位置合わせキーは、キーのないピックアップコイルアセンブリ及びRFIDセンサの位置合わせ不良又は不十分な位置合わせから生じる誤差を減少させる。
【0023】
フェライト位置合わせキーは、ピックアップコイル及び無線共振センサの位置合わせを固定し、リターン信号を、従って信号検出を強化する。リターン信号の強化は、(1)長時間にわたる測定の再現性を改善する、センサに対するピックアップコイルの位置の固定、及び(2)センサ応答の信号対雑音を改善する、ピックアップコイルからの電磁場をセンサの領域中に集中すること、によって実現することができる。
【0024】
信号検出の強化により、測定時間にわたる応答安定性が改善され、応答雑音が低減し、信号の大きさが増大され、信号対雑音比が増大される。本発明で得られる検出の強化はまた、位置合わせキーのない同様の設計より低い電力要件、より小さな寸法及びより大きな感知範囲を備える無線共振センサを設計することをも可能にし得る。さらに、フェライト位置合わせキーは、センサとピックアップコイルとの間の位置決め及び再位置決めの誤差を低減して、繰り返し多重パラメータ測定を可能にする。
【0025】
本発明によって可能になる信号検出の強化はまた、単一のセンサによる多変量検出を改善し得る。単一のセンサで多重パラメータを繰り返し測定することを可能にする本発明によって可能になるように、単一のセンサを使用し、複素インピーダンス応答の変化を通じて多重パラメータを繰り返し測定することができる。RFIDセンサの多重パラメータ測定の精度は、位置合わせがフェライト位置合わせキーにより固定される本発明の実施形態を使用することによって向上する。フェライト位置合わせキーは、キーのないピックアップコイルアセンブリ及びRFIDセンサの位置合わせ不良又は不十分な位置合わせから生じる誤差を減少させる。
【0026】
図3は、フェライト位置合わせキー及び無線共振センサの鍵と鍵穴型の位置合わせを使用して位置合わせされるピックアップコイルと無線センサを例示する。図3で示すように、ピックアップコイルアセンブリ34は、フェライト位置合わせキー40の構成がセンサの動作中はピックアップコイル42を無線リモートセンサ38と位置合わせさせるように、RFIDセンサ38の受入れ要素36に挿入されてもよい。鍵と鍵穴式構成は、フェライト位置合わせキーの遠位突出部を無線センサに再導入することで再現できる位置合わせをもたらす。
【0027】
図4で示すようなさらなる実施形態では、ピックアップコイルアセンブリ44は、フェライト位置合わせキー46が位置合わせ停止面48を含んで製作されるように構成される。位置合わせ停止面は、無線共振センサ54の受入れ要素52の位置合わせ停止面50と一致する。位置合わせ停止面間を接触させると、ピックアップコイル56によるセンサの信号の感知を増大させることができる。位置合わせ停止面間の接触は、誘導結合又は磁気結合から生じる非電気化学的接触(non−galvanic contact)であってもよく、金属線との直接接続を必要としない。
【0028】
ピックアップコイルアセンブリはまた、フェライト位置合わせキーの遠位突出部が例えば回転によって受入れ要素内で再位置決めされるときに、ピックアップコイルと無線リモートセンサとの間の位置合わせが行われるように構成されてもよい。別の実施形態では、励起信号を無線共振センサに作用させる又は発せられたリターン信号を検出する能力は、無線共振センサへの挿入後のフェライト位置合わせキーの再位置決めに依存することもある。ピックアップコイル及び無線リモートセンサの再位置決めする制限付き動作は、センサの読み取り/書き込みを制限することによって向上した安全性を提供できる。
【0029】
用途に応じて、無線共振センサは、監視システムに埋め込まれてもよい。監視システムには、製造、製品供給、又は保安用途が含まれるが、限定されない。無線共振センサは、遠位突出部を有するフェライト位置合わせキーを含むピックアップコイルにアクセス可能な受入れ要素を有するように構成される。
【0030】
フェライト位置合わせキーは、ピックアップコイルから延びて、遠位突出部を形成する。そのため、フェライト位置合わせキーの長さは、ピックアップコイルの長さより大きい。フェライト位置合わせキーの遠位突出部は、無線リモートセンサの受入れ要素に適合する。遠位突出部は、断面が直線状、円筒状、テーパ状、ビーム型、又は多角形などのさまざまな形状で構成されてもよい。リモートセンサの受入れ要素は、位置合わせキーの遠位突出部に合わされてもよいが、必ずしもその必要はない。ある種の実施形態では、ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーの長さは、0.1mmから200mm、より好ましくは0.5mmから150mm、最も好ましくは1mmから100mmであってもよい。
【0031】
1つ以上の限定されない例では、無線共振センサは、製造、包装、又は監視構成部品に埋め込まれてもよい。製造構成部品には、容器、バッグ、チャンバ、管類、コネクタ、及び支柱が含まれるが、限定されない。包装構成部品には、食料、飲料、及び医薬品などの日によって変動する材料並びに耐久消費財が含まれるが、限定されない。監視構成部品には、環境、監視、及び工業装置が含まれるが、限定されない。無線リモートセンサは、インライン製造のための監視及び制御を容易にするために用いられてもよい。無線リモートセンサは、RFIDセンサ、音波センサ、又はインダクタ−コンデンサ共振回路センサであってもよい。
【0032】
ある種の実施形態では、無線リモートセンサは、監視システムに永久に取り付けられるか又は取り外し可能に取り付けられてもよい。例えば、生物薬剤プロセスの監視などでの、アセンブリの後にセンサの再較正を必要とする用途では、センサは、容器に取り外し可能に取り付けられ、取り外され、再較正され、次いで動作させるために再取り付けされてもよい。
【0033】
同様に、ピックアップコイルアセンブリは、センサの動作中は、フェライト位置合わせキーの遠位突出部が無線リモートセンサの受入れ要素に挿入された状態で、ピックアップコイルアセンブリが固定位置にあるように、システムに永久に取り付けられる又はシステムから取り外し可能であってもよい。いったんセンサの動作が完了すると、遠位突出部は、センサの受入れ要素から取り外される又は係合したままであってもよい。
【0034】
ピックアップコイルは、読み取り/書き込みデバイスに取り付けられてもよい。読み取り/書き込みデバイスは、メモリチップのメモリにデータを書き込み、読み取り、アンテナのインピーダンスを読み取るために使用されてもよい。そのデータは、表示デバイス又はコントローラに送られてもよい。
【0035】
本発明のなお別の態様によれば、ピックアップコイル中にあり、ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーを有するピックアップコイルとともに無線リモートセンサを使用して監視システムの1つ以上のパラメータを測定する方法が、提供される。その方法は、監視システムに受入れ要素を有する無線共振センサを埋め込む段階と、無線共振センサと関連して動作するピックアップコイルを提供する段階とを含む。ピックアップコイルは、ピックアップコイル中に位置決めされ、ピックアップコイルから延びて遠位突出部を形成するフェライト位置合わせキーを含む。フェライト位置合わせキーの遠位突出部は、センサの動作中は無線共振センサの受入れ要素に挿入される。ピックアップコイルは、センサの信号を拾い上げる。ある種の実施形態では、信号は、ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスを使用して読み取られてもよい。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、監視システムの1つ以上のパラメータを測定するための方法であって、監視システムに無線共振センサを埋め込む段階であり、無線共振センサが、無線共振センサ中に位置決めされ、無線共振センサから延びるフェライト位置合わせキーを含む、段階と、無線共振センサと関連して動作するピックアップコイルを提供する段階であり、ピックアップコイルが、受入れ要素を含む、段階と、無線共振センサとピックアップコイルが位置合わせされるようにフェライト位置合わせキーをピックアップコイルの受入れ要素に挿入する段階と、ピックアップコイルで無線共振センサ信号を感知する段階と、ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスを使用して信号を読み取る段階とを含む方法を提供する。
【0037】
実施例
以下の実施例では、RFIDセンサの複素インピーダンスの測定は、LabVIEWを使用するコンピュータ制御のもとでネットワーク分析器又は精密インピーダンス分析器(Agilent Technologies、Inc.Santa Clara、CA)を使用して行われた。分析器は、関心のある範囲(典型的には約10から約15MHz)にわたって周波数を走査し、RFIDセンサから複素インピーダンス応答を収集するために使用された。収集された複素インピーダンスデータは、Excel(Microsoft Inc.Seattle、WA)又はKaleidaGraph(Synergy Software、Reading、PA)及びMatlab(The Mathworks Inc.、Natick、MA)とともに動作するPLS_Toolbox(Eigenvector Research、Inc.、Manson、WA)を使用して分析された。
【0038】
RFIDセンサのメモリマイクロチップからのデジタルID読み取りは、ハンドヘルドSkyeTek読み取り装置、及びSkyeTekコンピュータ制御(LabVIEWを使用する)読み取り装置、それぞれ(Model M−1、SkyeTek、Westminster、CO)、コンピュータ制御マルチスタンダードRFID Reader/Writer評価用モジュール(Model TRF7960 Evaluation Module、Texas Instruments)、又はWave Logic Reader(Scotts Valley、CA)を含む、いくつかのRFID読み取り装置で行われた。
【0039】
Kreger Components、Inc.(Roanoke、VA)からの3mm直径のフェライトロッドが、使用された。フェライト材料は、40ガウスの透磁率で50MHzに至るまで動作可能な高周波数NiZnフェライトであった。
【0040】
実施例1:RFIDセンサ信号強度へのフェライト位置合わせキー長さの影響
開いた中心(約5mm開口)を備えるSokymat USA(Cynthiana、KY)からのRFIDタグが、異なる長さのいくつかのフェライト位置合わせキー(すべて3mm直径のフェライトロッド)と組み合わせて使用された。
【0041】
図5Aは、RFIDセンサ及びピックアップコイルの両方に挿入された状態で異なる長さのフェライト位置合わせキーを使用して記録された測定を表す。RFIDセンサとピックアップコイルとの間の距離は、約1mmであった。ピックアップコイルの表面(RFIDセンサの反対側)とフェライト位置合わせキーの端部との間の距離は、比較的無視できるほどのD〜0mmで一定に保持された。図5Bは、異なる長さのフェライト位置合わせキーの試験でのセンサ信号強度を示す。図5Cは、センサ信号強度がフェライト位置合わせキーの長さの関数として増大することを例示する試験結果の概要を提示する。ピックアップコイルの表面(RFIDセンサの反対側)とフェライト位置合わせキーの端部との間の距離は、非常に小さかったので、RFIDセンサ信号の線形増大が、5から14mmのフェライト位置合わせキーの長さの増大につれて観察された。フェライト位置合わせキーの長さの最大長(25mm)は、信号増大の顕著な飽和を示す。
【0042】
実施例2:フェライト位置合わせキーを備える圧力感知アセンブリ
TagSys USA、Inc.、Doylestown、PAからのRFIDタグ(直径約9mm)が、直径3mm、長さ5mmのフェライト挿入ロッドと組み合わせて使用された。RFIDタグは、RFIDセンサの表面に圧力感知膜を取り付けることによって圧力センサに変換された。柔軟なメンブランのもう一方の側は、金属化された。印加圧力は、メンブランを曲げ、電磁場クエンチングの量は、印加圧力に関連付けられた。図6Aは、フェライト挿入のない測定アセンブリの対照実験配置を例示する。RFIDセンサへの印加圧力は、再現性のある信号変化を生成した。15PSIの印加圧力での最大信号変化は、15オームであった(図6B)。圧力応答の較正曲線は、図6Cで提示される。
【0043】
図7Aは、フェライト挿入のある測定アセンブリの実験配置を例示する。RFIDセンサへの印加圧力は、再現性のある信号変化を生成した。15PSIの印加圧力での最大信号変化は、37オームであった(図7B)。圧力応答の較正曲線は、図7Cで提示される。
【0044】
データは、フェライトキーを使用することによって、センサ信号ダイナミックレンジが、15PSIの印加圧力で15オームから37オームに改善されたこと(100%より大きい信号改善)を例示する。
【0045】
本発明は、本発明の精神又は本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施されてもよい。従って、先述の実施形態はあらゆる点で、本明細書で述べる本発明に対する限定ではなく例示的なものと考えるべきである。それ故に、本発明の範囲は、先述の説明によってよりはむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、従って、特許請求の範囲の等価の意味及び範囲内に入るすべての変形形態は、特許請求の範囲に包含されることを意図している。
【符号の説明】
【0046】
10 ピックアップコイルアセンブリ
12 ピックアップコイル
14 フェライト位置合わせキー
16 遠位突出部
18 無線共振センサ
20 受入れ要素
22 フェライト位置合わせキー
24 凹状領域
26 ピックアップコイル
34 ピックアップコイルアセンブリ
36 受入れ要素
38 無線リモートセンサ
40 フェライト位置合わせキー
42 ピックアップコイル
44 ピックアップコイルアセンブリ
46 フェライト位置合わせキー
48 フェライト位置合わせキーの位置合わせ停止面
50 受入れ要素の位置合わせ停止面
52 受入れ要素
54 無線共振センサ
56 ピックアップコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップコイルと、
前記ピックアップコイル中に位置決めされ、前記ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーと、
受入れ要素を有する無線共振センサとを備え、
前記ピックアップコイルと前記無線共振センサが、前記フェライト位置合わせキーを前記受入れ要素に挿入したとき位置合わせされる、無線共振センサアセンブリ。
【請求項2】
前記無線共振センサが、RFIDセンサ、音波センサ、又はインダクタ−コンデンサ共振回路センサである、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記フェライト位置合わせキーが、前記受入れ要素に挿入することにより前記無線共振センサ信号の感知が増大するように構成される、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ピックアップコイルによる前記無線共振センサ信号の前記感知の増大が、測定時間にわたる応答安定性の改善、応答雑音の低減、信号の大きさの増大、信号対雑音比の増大、及びそれらの組合せを含む、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記フェライト位置合わせキーが、前記受入れ要素の位置合わせ停止面と一致する位置合わせ停止面をさらに含み、それによって前記位置合わせ停止面間の接触により、前記ピックアップコイルによる前記無線共振センサの前記感知が増大する、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フェライト位置合わせキーが、前記位置合わせ停止面間で非電気化学的接触が生じるように前記受入れ要素内で再位置決めされるように構成される、請求項5記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスをさらに含む、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記無線共振センサアセンブリが、監視システムで使用するためのものである、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項9】
無線共振センサと、
前記無線共振センサ中に位置決めされ、前記無線共振センサから延びるフェライト位置合わせキーと、
受入れ要素を有するピックアップコイルとを備え、
前記無線共振センサと前記ピックアップコイルが、前記フェライト位置合わせキーを前記受入れ要素に挿入したとき位置合わせされる、無線共振センサアセンブリ。
【請求項10】
前記無線共振センサが、RFIDセンサ、音波センサ、又はインダクタ−コンデンサ共振回路センサである、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記フェライト位置合わせキーが、前記受入れ要素に遠位突出部要素を挿入することにより前記無線共振センサ信号の感知が増大するように構成される、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記ピックアップコイルによる前記無線共振センサ信号の前記感知の増大が、測定時間にわたる応答安定性の改善、応答雑音の低減、信号の大きさの増大、信号対雑音比の増大、及びそれらの組合せを含む、請求項11記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記フェライト位置合わせキーが、前記受入れ要素の位置合わせ停止面と一致する位置合わせ停止面をさらに含み、それによって前記位置合わせ停止面間の接触により、前記ピックアップコイルによる前記無線共振センサ信号の前記感知が増大する、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記フェライト位置合わせキーが、前記位置合わせ停止面間で非電気化学的接触が生じるように前記受入れ要素内で再位置決めされるように構成される、請求項13記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ピックアップコイルに取り付けられる読み取り/書き込みデバイスをさらに含む、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記監視システムの1つ以上のパラメータを測定するための方法であって、
監視システムに無線共振センサを埋め込む段階であり、前記無線共振センサが、受入れ要素を含む、段階と、
前記無線共振センサと関連して動作するピックアップコイルと、前記ピックアップコイル中に位置決めされ、前記ピックアップコイルから延びるフェライト位置合わせキーとを提供する段階と、
前記ピックアップコイルと前記無線共振センサが位置合わせされるように前記フェライト位置合わせキーを前記無線共振センサの前記受入れ要素に挿入する段階と、
前記ピックアップコイルで前記無線共振センサ信号を感知する段階と、
前記ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスを使用して前記信号を読み取る段階とを含む方法。
【請求項17】
前記1つ以上のパラメータが、識別、物理的、化学的、及び生物学的特性の少なくとも1つを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記無線共振センサが、RFIDセンサ、音波センサ、又はインダクタ−コンデンサ共振回路センサである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記挿入する段階が、前記無線共振センサの前記感知を増大させる、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記無線共振センサの前記感知の増大が、測定時間にわたる応答安定性の改善、応答雑音の低減、信号の大きさの増大、信号対雑音比の増大、及びそれらの組合せを含む、請求項20記載の方法。
【請求項21】
前記挿入する段階が、前記フェライト位置合わせキーの位置合わせ停止面を前記受入れ要素の対応する位置合わせ停止面と接触させる段階をさらに含み、それによって前記接触させる段階が、前記無線共振センサの前記感知を増大させる、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記フェライト位置合わせキーが、前記位置合わせ停止面間で非電気化学的接触が生じるように前記受入れ要素内で再位置決めされるように構成される、請求項22記載の方法。
【請求項23】
前記監視システムの1つ以上のパラメータを測定するための方法であって、
監視システムに無線共振センサを埋め込む段階であり、前記無線共振センサが、前記無線共振センサ中に位置決めされ、前記無線共振センサから延びるフェライト位置合わせキーを含む、段階と、
前記無線共振センサと関連して動作するピックアップコイルを提供する段階であり、前記ピックアップコイルが、受入れ要素を含む、段階と、
前記無線共振センサと前記ピックアップコイルが位置合わせされるように前記フェライト位置合わせキーを前記ピックアップコイルの前記受入れ要素に挿入する段階と、
前記ピックアップコイルで前記無線共振センサ信号を感知する段階と、
前記ピックアップコイルに結合される読み取り/書き込みデバイスを使用して前記信号を読み取る段階とを含む方法。
【請求項24】
前記1つ以上のパラメータが、識別、物理的、化学的及び生物学的特性の少なくとも1つを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記無線共振センサが、RFIDセンサ、音波センサ、又はインダクタ−コンデンサ共振回路センサである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記挿入する段階が、前記無線共振センサの前記感知を増大させる、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記無線共振センサの前記感知の増大が、測定時間にわたる応答安定性の改善、応答雑音の低減、信号の大きさの増大、信号対雑音比の増大、及びそれらの組合せを含む、請求項27記載の方法。
【請求項28】
前記挿入する段階が、前記フェライト位置合わせキーの位置合わせ停止面を前記受入れ要素の対応する位置合わせ停止面と接触させる段階をさらに含み、それによって前記接触させる段階が、前記ピックアップコイルによる前記無線共振センサ信号の前記感知を増大させる、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記フェライト位置合わせキーが、前記位置合わせ停止面間で非電気化学的接触が生じるように前記受入れ要素内で再位置決めされるように構成される、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−511696(P2012−511696A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539478(P2011−539478)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051360
【国際公開番号】WO2010/068162
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】