説明

無線装置を用いて非常情報を通信する方法と装置

【課題】
【解決手段】移動無線装置から離れた位置に設けられたセンサの起動に応じてこの移動無線装置によって非常通報を行うための方法と装置。車両内部に設置される検出システムは一つまたは複数のセンサで非常イベントを検知し、非常イベントに関するメッセージを無線リンクを介して送信するように構成される。送信機のショートレンジ内に存在する移動無線装置がその内部に設置されたショートレンジ受信機を介してメッセージを受信し、センサの起動に関するメッセージを処理する。たとえば、移動無線装置は無線送信機および移動無線装置のいずれかまたは双方に関する位置情報を決定し、E911のような所定の非常番号を呼び出し、位置及び他の情報を含むデータを移動無線装置から非常番号に受信したメッセージに応じて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2003年1月16日に出願された米国仮出願番号60/440,969の優先権主張出願である。本発明は、事故のような車両イベントに応じて非常サービスに自動的に通報するための無線通信および位置決めシステムを用いた移動無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレマチックは、ビジネスの機能を高め公共サービスを改善するためにネットワークを介して情報を効率的に伝達する為のコンピュータ及び無線通信の使用として広く定義される。このテレマチックという言葉は一般に、路側における自動援助や遠隔診断などのための全地球位置サテライトトラッキング(GPS)や他の無線通信を組み合わせた自動システムに関する。
【0003】
以下に説明する従来のテレマチックユニットは構成が複雑なこと及びコストが高いことを含む不利な点がある。例えばコストが高いことは販売価格に反映し、車両(又は他の装置)の内部への設置、および加入者サービスに反映する。更に、車両のイベント(例えば衝突のような)に自動的に対応することができる従来のテレマチックユニットは、車両内部のセンサ又は他の検出器からの情報をテレマチックユニットに送ることができるように車両に配線で接続されている。このようにテレマチックユニットを車両に取り付けることはコストを上げ、構成を複雑にする。
【0004】
ウイリアムス(Williams)の米国公開特許出願No.2001/0014863は非常路側データサービスおよび他のオンボードサービス(例えばセントラルサービスを介した食料雑貨サービス)のようなサービスを提供するテレマチック装置を開示している。このテレマチック装置は、車両またはセルラー電話機のようなテレマチック装置、PDAまたはラップトップコンピュータに内蔵され、利用者は例えば非常サービスのようなサービスを要求することができる。ウイリアムス特許のテレマチック装置は、情報とサービスとを提供するためにサーバと通信を行う必要があり、非常呼び出し(事故に遭遇した人が負傷したり無力化されたりするために困難であろう)を起動するためにユーザーによる初期動作を必要とするという欠点がある。
【0005】
ボックマン等(Bochmann et al)の米国特許No.6,282,491には自動車用のテレマチック装置が開示され、ラジオデータシステム(RDS)モジュールを具えたカーラジオや、無線電話や、測位及びナビゲーションシステムが一つのハウジング内に設けられている。このボックマン特許では、非常呼び出しがボタンを押すことあるいはチップカードに識別番号を入力することで行われ、この情報の後で、場所、事故に遭遇した人の人数、受けた負傷の内容、危険物または他の危険な状況の情報などが送信される。このボックマン特許のテレマチック装置では車両内部の標準的な内部空間に装置を設置する必要があり、更に非常呼び出しの起動のためにユーザーの初期動作が必要であるなどの欠点がある。
【0006】
エバンス(Evans)の米国特許No.6,442,485は位置決定、衝突報知、および合成音声の通信のために車両内に搭載される自動システムを開示している。この自動車両位置衝突報知システムは車両の衝突が生じたか否かを確認し、非常設備との直接通信を可能とする。このシステムは車両衝突と位置データとをデータ/音声翻訳モジュールから発生された合成音声通信を介して通信する。このシステムはメモリを持ったコントローラと、GPS受信機と、無線通信手段とを含むが、システム全体が車両内部に搭載されるのでコストが高くなり、搭載機器を交換しない限りはシステムのグレードアップは不可能である。
【0007】
オジナック等(Odinak et al)の米国公開特許出願No.2002/0173889は車両制御と、モニタリングシステムと、位置追跡と、無線通信とが、複数のテレマチック機能の一つを実行するために交換、移送、上級化が可能なモジュールを挿入するためのモジュール保持部を有する装置として一体化されて各機能が組み合わされた車両装置システムが開示されている。そのテレマチックコントロールユニット(TCU)はプロセッサと、ビルトインGPSユニットと、セルラー装置と、車両情報コンポーネントと、ユーザーインターフェースと、モジュール装置とを含む。このオジナックの特許のTCUは、車両に種々のサービスを提供するためにこの車両との間で情報通信を行うためのサーバを必要とし、車両とTCUとの間で実際に通信を行うために車両に対してプラグを差し込まなければならない、などの欠点がある。
【0008】
したがって、高価な装置を購入することなく、装置を搭載することなく、または加入者のサービスを必要とすることなく、自動で非常サービス通報を簡単に実用化できる低コストのシステムと方法とが必要とされている。
【発明の開示】
【0009】
以下に説明する移動無線装置による非常通報を行う方法と装置は、無線通信および位置決め可能なものである。この装置は、非常イベントに関するショートレンジ無線通信を受信し、E911呼び出しを、位置、事故の内容、及び他の詳細な情報とともに、公共安全応答ポイント(PSAP)又は他の非常応答サービスへ自動的に出力する。この非常通報は移動無線装置(例えば車両内にある)から離れた位置に設置されたセンサによって開始され、センサはショートレンジ無線リンクを介して移動装置と通信を行ってこの通報プロセスを開始させる。この移動無線装置はイベント情報をショートレンジ無線リンクを介して受信するので、一つの装置が複数の位置(例えば車両やビルディングなどの)で使用可能である。すなわち、一つの移動無線装置が、既に多くの利用者によって使用されている電子装置(例えばセルラー電話)を用いた従来のテレマチック装置に付随した初期費用や維持費用を必要とすることなく、多くの場所においてテレマチックサービスを遂行するのに用いることができる。
【0010】
事故や、安全でない毒性ガスレベルや、火事などの非常イベントは、車両内の一つ又はそれ以上のセンサによって感知することができる。すると、車両内のショートレンジ無線装置はセンサのトリガ動作に関するメッセージを送信する。送信機のショートレンジ内にある移動無線装置はその中に設置されたショートレンジ受信機を介してメッセージを受信する。この移動無線装置はセンサのトリガに関するメッセージを処理する。例えば、移動無線装置は無線送信機および移動装置のいずれか一方または双方の位置情報を決定し、E911のような所定の非常番号を呼び出し、受信したメッセージに応じて移動装置から非常番号に位置情報及び他の情報を含むデータを送信するようにプログラムすることができる。
【0011】
車両に設置することができる検出装置は、非常イベントを検知するように構成された一つまたはそれ以上のセンサと、このセンサに電気的に結合されセンサから受け取ったデータを処理するように構成された検出システムプロセッサと、所定レンジ内で検出システムプロセッサからのメッセージを送信するように構成されたショートレンジ無線送信機とを具備する。ここで用いられるセンサとしては、例えば加速度計と、エアバッグ展開センサと、熱センサと、炎検出器と衝撃センサを含む。
【0012】
検出システムから離れた場所に設置された移動無線装置は、ローカル無線送信機からのメッセージを受信するショートレンジ無線受信機と、前記受信機に電気的に結合されて前記送信機から受信したメッセージを処理するように構成された通報システムと、前記通報システムに電気的に結合され、この通報システムからの要求に応じて位置情報を出力する位置決めシステムと、前記通報システムに電気的に結合された双方向無線通信システムと、を具備し、前記双方向無線通信システムは前記通報システムからの要求に応じて所定非常番号を呼ぶように構成され、この呼びの間に前記位置情報及び他の情報を含むデータ送信を無線通信リンクを介して行う。
【0013】
前記ショートレンジ無線受信機は一つの実施形態においては0.1から50メートルのレンジ内での送信を受信するように構成することができる。ショートレンジ無線受信機とショートレンジ無線送信機とは両立性のある装置であり、互いに通信することができる。例えば、これらの装置は802.11b規則またはブルートース規則に適合している。
【0014】
通報システムは検出システムから受信されたメッセージを処理することができる適当なマイクロプロセッサを有する。この通報システムは通信システムを介した自動通報と非常番号からのまたは非常番号への情報の送信を行うことができるプログラミングを含む。
【0015】
通信システムは一つの実施形態ではセルラー電話を含み、この通信システムは無線通信リンクを介して非常番号との間で一方向、または双方向のデータ通信、音声通信、またはこれらを組み合わせた通信を行うことができる。
【0016】
位置決めシステムは一つの実施形態ではGPS受信機を有する。この位置決めシステムは、位置情報として移動装置の緯度、経度と、複数のGPS擬似レンジと、複数の基地局からの相対到達時間信号の一つを含む。
【0017】
ショートレンジ無線リンクと双方向無線通信リンクとは異なる通信リンクであることに注意する必要がある。移動無線装置は一つの実施形態においてはショートレンジ無線リンクと無線通信リンクの双方との間で順次通信を行うことができ、あるいは他の実施形態では両者との間で同時に通信を行うことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ショートレンジリンクと無線通信リンクとは通信に際して異なるプロトコルを用いる。例えば、ショートレンジ無線リンクはブルートースプロトコルを用い、通信リンクは符号分割多重接続(CDMA)または移動通信用グローバルシステム(GMS)等のセルラーシステムプロトコルを用いることができる。更に他の実施形態では、これらのいずれのリンクも例えば802.11スタンダードに適合した同じプロトコルを用いることができる。用いられるプロトコルにかかわらず、通信時にはリンクは互いに分離されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下この発明の実施形態を図面を参照して説明するが、同一または同様な部分は同様の参照番号を付して説明する。
【0020】
用語の意味と頭字語
以下の用語と頭字語は以下の説明において共通に使用される。
【0021】
802.11: 無線LANのためのIEEEスタンダードファミリー。
【0022】
基地局: セルラー電話網の中のセルサイトのような移動装置との通信を行う固定局。
【0023】
E911: 要求に応じて無線キャリアによりPSAPに送られるための無線電話に関 する電話番号、位置および他の情報を要するFCCによって開始されるプ ログラム。
【0024】
GPS: 全地球位置決めシステム。
【0025】
移動無線装置: セルラー電話のような携帯装置であって、通常はユーザーによって携 帯されてその位置が決定される。
【0026】
PSAP: 公共安全応答ポイント。非常応答サービスであって、911およびE91 1非常呼び出しを処理する。
【0027】
PSTN: 公共電話交換網。音声とデータの通信システムであり、交換ラインを用い た公共用である。
【0028】
車両イベント: 車両内の測定可能なあらゆる事象であって、エアバッグ展開、速度過 剰、急激な減速、炎、など。
【0029】
VIN: 車両認識番号。
【0030】
図1はこの発明が適用される全体の状況を示す。この状況では移動無線装置がセルラー及びGPSの機能を持っており、車両内に置かれている。このような無線装置は米国ではどこにでもある状況となっており、E911によって始動され、更に他の多くの国で一般化されている。
【0031】
図1の斜視図において、移動無線装置10が車両14内においてユーザー12により携行されており、この車両14には検出システム16が搭載されている。衝突により車両には損傷18が生じていることが示されている。車両イベントに関するイベントメッセージ20が検出システム16から無線リンク32を介して移動無線装置10に送信される。複数のセルラー基地局22がセルラー設備網24によって相互に接続され、このセルラー設備網24は公共電話交換網(PSTN)26に接続され、これは更に公共安全応答ポイント(PSAP)28へのアクセスに用いることができる。複数のGPS衛星30が位置決め情報を供給する。
【0032】
検出システム16は、後で例えば図2を参照して詳細に説明するが、車両イベント(衝突などの)が発生した際は、イベントメッセージ20を決定し、アンテナ45から無線通信リンク32を介して送信する。車両イベントは車両における測定可能な種々の事象であり、例えば衝突、炎、熱、毒性ガス、エアバッグ展開、過剰速度、急激な減速、およびユーザーによる非常トリガーボタンの操作などである。
【0033】
移動無線装置10は、あとで図3を参照して詳細に説明するが、ショートレンジ無線受信機を有する。この無線受信機はある実施形態ではトランシーバであってもよく、移動無線装置がレンジ内にあるときにアンテナ47を介して検出システム16からのイベントメッセージ20を受信する。このイベントメッセージ20に応じて、移動無線装置10内の通報システムが同じく移動無線装置10内に設けられているセルラー電話を用いてE911のような所定番号を自動的にダイヤルする。セルラー電話では無線装置10からのデータがアンテナ54を介して電磁信号として送信され、無線通信リンク56を介してセルラータワー22に送信される。移動無線装置はさらにGPS受信機のような位置決めシステムを有し、多重のGPS衛星30からのダウンリンク62を介して信号を受信して処理して位置を得る。いくつかの実施形態ではアンテナ60は移動無線装置10の外箱に埋め込まれ、更に他の実施形態ではアンテナ60はアンテナ54と共通で使用される。
【0034】
複数のセルラー基地局22は移動無線装置10内に設置されたセルラー電話と接続するための通信網の一部として用いられるセルラー基地局群を有する。セルラー基地局22はPSTN26などの他の複数の通信網との通信サービスを提供するセルラー設備網24に接続される。例えば、セルラー設備網24はセルラー基地局22とPSTN26とを用いて公共安全応答ポイント(PSAP)28との通信を移動無線装置10との間で可能とする。無線通信リンク56は無線装置10内のセルラー電話とセルラー基地局22との間で音声とデータの送信を行う。
【0035】
GPS衛星30はGPS受信機による位置決めのために用いられるGPSダウンリンク62を送信する種々の衛星群を含む。各衛星はコンピュータとクロックとラジオとを内部に搭載し、その変化する位置と時刻とを継続して放送する。図3に詳細に示したGPS受信機が移動無線装置10内に設置され、あるいはこの移動無線装置10に結合され、3個又はそれ以上の衛星30からダウンリンク62を介して受信した信号を処理してそれ自体の位置を3点測位し、その結果、極めて正確に緯度、経度位置が特定される。いくつかのGPS受信機では、ダウンリンク62から受信したGPS信号を処理して得られたタイミング情報をセルラー(又は他の無線リンク)を介して遠隔の装置に送り、そこでGPS受信機の位置を計算する。このようなシステムは場合によりアシステッドGPS受信機(AGPS)と呼ばれる。ここで用いられる位置決めシステムは従来のシステムとAGPS受信機のいずれか一方または双方でも良く、さらに他の位置決め装置又は方法を用いても良い。
【0036】
この発明は種々の用途に適用することができる。たとえば車両の代わりに同様な事故が発生し得るビルディングまたは他の建造物がある空港、化学プラント、又は事務所ビルディングにも適用できる。更に移動無線装置もセルラー電話やGPS受信機やラップトップコンピュータなど種々の機器のハウジングに設置することができる。
【0037】
図2は車両に搭載された検出システム16の一実施形態を示すブロック図である。この実施形態では、検出システム16は一つ又はそれ以上のセンサ40、41と、検出システムプロセッサ42と、ショートレンジ無線送信機44と、アンテナ45とを有する。これらの構成部分は一つのハウジング内に一体に組み込むこともでき、あるいはこれらの間を単に電気的に接続して交信するようにしてもよい。更に他の実施形態として、検出システム各部を無線通信により結合するように構成してもよい。
【0038】
センサ40は車両に接続され、車両イベントを検出するために適切な構成、配置とすることができる。他の一つまたは複数のセンサ41が異なる内容の、又は異なる位置の車両イベントを検出するために用いられる。これらのセンサを例示すると、加速度計、エアバッグ展開センサ、熱センサ、炎センサ、および衝撃センサなどである。更にこの検出システムをプラントやビルディングのような他の環境に設置された場合には、この検出システムは更に他の異なるセンサ、たとえば炎報知機開放センサ、セキュリティ突破センサ、化学物質漏出センサ、および毒性ガスセンサなどを含む。
【0039】
検出システムプロセッサ42はセンサ40、41に接続され、これらのセンサ40、41からのデータを認識し、処理するとともに、この受信したデータに基づいて種々のタスクを実行するようにプログラムされた適当なプロセッサであればよい。たとえば、検出システムプロセッサ42はセンサ40、41によって検出された車両イベントを判断し、送信機44から無線リンク32を介してイベントメッセージを送信するようにできる。さらに、検出システムプロセッサ42はメモリ(図示せず)に接続して、更に他の車両情報、たとえば車両速度履歴、車両識別番号(VIN)、所有者の情報などのイベントメッセージとともに送信される情報を記憶しておくことができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、イベントメッセージは非常を表す情報を含むことができ、これにより移動無線装置に非常事態を通知し、これに応じて移動無線装置は非常応答サービスと通信することができる。たとえば非常情報には非常応答サービスが認識できる一組のスタンダードメッセージの一つや、医療従事者、警察署または消防署からの非常応援要請、および非常応答サービスへ送信されるべき非常時の優先度を示すデータなどが含まれる。
【0041】
ショートレンジ無線送信機44は検出システムプロセッサ42とアンテナ45とに接続される。この実施形態では、送信機44は検出システム42からの上述のイベントメッセージ20などのデータをアンテナ45と無線リンク32を介して送信する。このように、車両内に設置されたショートレンジ無線送信機44は所定レンジ内にある適合したショートレンジ無線受信機(たとえばモバイル装置内に設置された)に情報を通信することが出来、これによりコストが高く複雑な構成を用いることなく、またテレマチック及び同様の装置に従来必要であった他のサービスも不用である。他の実施形態ではこの送信機44はトランシーバであってもよく、メッセージの送受信が可能となる。
【0042】
この実施形態では送信機の所定のレンジとしては2メートルである。この実施形態では送信機は車両内部でのみ動作するように設定され、移動無線装置10はそれが車両内にあるときあるいはそれに極めて近接しているときのみ通信を受信できる。他の実施形態では、送信機のレンジは0.1〜50メートル、0.1〜100メートル、或いはそれ以上に設定される。
【0043】
ショートレンジ無線送信機44としては種々の無線通信システム、たとえば802.11無線ネットワーク通信システムやブルートース(商標)システムなどを用いることができる。たとえば802.11bシステムは直接スペクトル拡散(DSSS)技術を用いた非免許の2.4GHz帯で1乃至11Mbps送信速度を有する。この技術は“Wi−Fi”(無線忠実度)としても知られている。802.11システムのアド‐ホック(ad hoc)またはピール‐トウ‐ピール(peer-to-peer)モードにおいては、無線装置は独立の基本サービスセット(IBSS)として互いに直接通信でき、その通信速度は無線装置相互間のレンジに従って決まる。他の実施形態では802.11bシステムが50メートルまでのレンジで通信を行うために用いられる。更に他の実施形態では、無線システムが2〜30メートルのレンジ内で通信を行うように用いられる。この通信レンジは送信電力と信号阻害条件との関数であることに注意する必要がある。
【0044】
ショートレンジ無線送信機の他の例としてブルートース(商標)通信スタンダードを用いたものがある。ブルートース無線規格に適合する無線電話が非免許の2.4GHz無線電話周波数帯で用いられる。これらの無線電話は、1600hops/secまでの、スペクトル拡散の、周波数ホッピングの、全2重の信号を用いる。この信号は1MHzにおいて79周波の間でホップする。データ速度は1Msymbol/secであり、符号化はガウス周波数シフトキーイング(GFSK)によって行われる。ブルートースパワークラス2(2.5mW最大出力)による最大通信レンジはおよそ50メートルであるが、実際には非直視条件によりそれ以下となる。
【0045】
802.11システムおよびブルートースシステムを例に取って実施形態を説明したが、どのようなショートレンジ無線通信リンクを用いても良く、また、スモールポイント‐ツー‐ポイントリンクさえも無線送信機/受信機として機能するように用いることができる。市販されているプロキシムス・オープンエア(Proxim’s OpenAir:商標)およびホーム・アールエフ(Home RF:商標)などもショートレンジ無線通信リンクとして用いることができる。
【0046】
図3は移動無線装置10の一実施形態の構成を示すブロック図である。図において、移動無線装置10はショートレンジ無線受信機46と、通報システム50を有する制御システム48と、双方向無線通信システム52(たとえばセルラー電話)と、位置決め装置58とを有し、一つのモバイルハウジングの中に一体に設けられている。
【0047】
ショートレンジ無線受信機46は図2を参照して説明したショートレンジ無線送信機44と適合する受信機であればどのようなものでもよい。アンテナ47は送信機44から無線リンク32を介して送られたイベントメッセージを受信し、送信機及び受信機が互いに同じレンジにあるときは受信機46によって受信される。
【0048】
制御システム48は移動無線装置内のデータの処理が可能である種々のハードウエア、ソフトウエアを用いることが出来る。制御システムはショートレンジ無線受信機46と、双方向無線通信システム52と、位置決めシステム58とに接続される。制御システム48はショートレンジ無線受信機46により受信されたイベントメッセージや位置決めシステム58から受信した位置情報や通信システム52を介して送信すべきメッセージなどのデータを処理する方法を決定するためのプログラミングを含む。
【0049】
一つの実施形態において、制御システム48は通報システム50を含み、この通報システム50はショートレンジ無線受信機46により無線リンク32を介して受信されたイベントメッセージ20に応じてトリガされる。この通報システム50はどのようなマイクロプロセッサを用いて構成してもよく、自動通報が可能であり、かつ所定の非常番号との間で無線通信システム52を介してデータ通信ができる。通報システム50はたとえばE911の自動ダイヤルを可能とする出来るだけ簡単な自動ダイヤルプログラムであればよい。しかしながら、通報システムは非常サービス(例えばPSAP)との間で位置情報や他の実施形態で用いられる更に他の車両情報などのより複雑なデータを処理し、送信し、受信するように構成することもできる。更に他の実施形態では、通報システム50は車両14内に設置されたショートレンジ送信機44との間で例えば車両情報を要求するためのメッセージを処理し、送信し、受信するように構成することができる。この実施形態では、ショートレンジ無線送信機44とショートレンジ無線受信機46とは夫々メッセージを送受信するためのトランシーバ装置を有する。
【0050】
双方向無線通信システム52は制御システム48の一部である通報システム50に接続される。この実施形態において、双方向無線通信システム52はセルラー電話を有する。この実施形態では、セルラー電話はアンテナ54を有し、電磁気信号(図1)を用いた無線通信リンク56を介してセルラー基地局22との間でデータ及び音声の通信を行う。このように、セルラー電話は移動無線装置と他の電話番号、例えばE911サービスセンターなどとの間で双方向通信を行う。
【0051】
更に他の実施形態において、この双方向通信システム52は衛星システムまたは双方向ページングシステムのような公知の無線通信システムを有する。この通信システム52は通常の通信(例えば日常のセルラー電話を用いた)に用いることもでき、或いはE911のような所定番号の自動呼びに用いることもできる。例えば、一つの実施形態として、この通信システムは、通報システム50について説明しているように人を介在させずにPSAPまたは他の非常サービスとの通信に用いることができる。
【0052】
位置決めシステム58は制御システム48に接続され、一つの実施形態としては位置情報を決定するためのGPS受信機を有する。この実施形態では、GPS受信機は3個又は4個の衛星(図1に示したような)からのダウンリンク62からの信号をアンテナ60を介して受信する。これによりGPS受信機はダウンリンク62からの信号を処理してそれ自体の位置を3点測位して、経度、緯度位置を決定する。他の実施形態では、GPS受信機はその位置を3点測位で測定する代わりに、受信した信号をGPS擬似レンジとして、即ち相対到達時間を示す位置情報として記憶する。位置決めシステムとしてはさらにGPS受信機が走行中の車両内に設置されている場合には、その走行速度と方向とを計算するようにしてもよい。
【0053】
更に他の実施形態では、更に他の位置決めシステムを用いることができる。例えば位置決めシステムとして、セルラー基地局のような基地局からの信号を受信して3点測位を行うようにしてもよい。オブザーブド・タイム・ディファレンス(Observed Time-Difference:OTD)法では、移動無線装置が、同期している複数の基地局から送信された信号の相対受信時間を測定し、この情報と基地局の位置とから位置情報を決定する。
【0054】
OTD法では、最終位置の計算が移動無線装置あるいは他のネットワーク装置、例えばポジション・デターミネーション・エンティティ(Position Determination Entity:PDE)によって行われる。即ち、移動無線装置はそれ自体で位置を決定し、あるいは種々の受信信号の到達時間のような位置情報を決定してこの情報を最終位置決定のために基地局に送信する。
【0055】
更に他の位置決め方法として、場合によりGPS技術とOTD技術とを組み合わせたハイブリッド法と呼ばれる方法がある。更に他の位置決め方法として、三角測量を用いない他の地上システム(例えばTV信号)および公知の送信機又は送信機群への近接に基づく位置決定がある。例えば、位置情報は移動無線装置と通信を行うセルセクタ番号または位置である。極めて小さいセクタサイズのいわゆるマイクロセルの場合、この位置情報は正確な位置決めを可能とする。
【0056】
すなわち、位置決めシステム58は移動無線装置10に関する位置情報を決定し、このデータがPSAP28または他の非常番号に対して自動的にあるいは要求に応じて送信される。この実施形態にあっては、位置決めシステム58は移動無線装置10の外部、例えば車両内に設置することができることに注意する必要がある。この実施形態では、車両の位置を決定して無線リンク32から移動無線装置10へ送信することができる。すなわち、位置情報は車両内の位置決めシステムから、或いは移動無線装置内の位置決め装置から、あるいはその双方から発生させることができる。
【0057】
図4には例えば図2に示した検出システム16を有する車両が無線を介して移動無線装置(図3に示したような)10に車両のイベントについて無線リンク32を介してメッセージ20を通報する実施形態を説明する流れ図が示されている。このメッセージ20は移動無線装置による通報を始動させ、図5に示したようなデータ送信が非常番号に向けて行われる。
【0058】
図4のステップ80において、車両内の検出システム(図2に示した)が例えばエアバッグ展開などの車両イベントを検知する。他の車両イベントの例としては図1を参照して既に明細書中で説明したとおりである。他の実施形態においては、車両イベントとしては非車両事故型のイベント、例えば、10代の人による速度過剰時にその両親からの注意を始動させることや、あるいは自動車ジャックや誘拐などのときに車両に取り付けてある非常通報ボタンを手動で押すことなどがある。
【0059】
ステップ82において、検出システム16内のプロセッサ42はセンサ40、41からの情報を受けてイベントメッセージ20をショートレンジ無線送信機44から送信して車両イベントが発生したことを通報する。たとえば、イベントメッセージ20は車両内のエアバッグが展開したことを通知する。
【0060】
他の実施形態では、イベントメッセージ20は検出システム16内に予めプログラムされたいくつかのメッセージの一つであってよい。このメッセージは、例えば、事故の内容、車両情報、非常を示す情報などである。車両所有者の情報などの他の情報も検出システム16内にプログラムでき、移動無線装置10に向けて自動的に、もしくは要求に応じて送信される。
【0061】
ステップ84において、移動無線装置10はイベントが発生したことを示すイベントメッセージ20を検出システム16から受信する。このイベントメッセージ20に応じて、移動無線装置10内の通報システム50が起動される。
【0062】
このイベントメッセージは多くの異なるタイプの移動無線装置に対して標準化することができる。この実施形態では、移動無線装置10は検出システムからの標準化されたメッセージの一つを受信して対応する処理を行うようにプログラムすることができる。例えば、検出システムにより衝突が検出されると、大きな衝撃を伴う衝突であることを示す標準化された非常メッセージが生成され、これによりE911の自動ダイヤル操作あるいは他の非常応答サービスが移動無線装置によって行われる。更に他の実施形態では、移動無線装置10は検出システムからのメッセージに応答して非常番号などの所定番号を呼び出すようにプログラムされ、非常応答センターまたは他の機関に位置情報に関するイベントメッセージを送信する。
【0063】
移動無線装置が車両の機関室、トランク、または車両外部(近接した)のどこに設置されようと、イベントメッセージを受信するために移動無線装置が有線的に(例えばプラグを介して)接続する必要が無いことから、自動通報システムは常に機能するように構成されている。さらに、移動無線装置は車両から車両へ、あるいは建物から建物へと持ち運びが可能であることから、一つの装置を多くの場所で(車両または建物を問わず)有功に利用することができる。すなわち、従来のテレマチックにつきものであった初期費用及び維持費用を必要とせずに、しかも既に利用者に広く使われている電子装置(例えばセルラー電話のような)とともに、一つの移動無線装置を多くの場所でテレマチックサービスを行うように利用できる。
【0064】
更に、多種多様な移動無線装置を消費者が入手可能であるため、移動無線装置の大部分または全ての周波数帯およびモデルに使用可能なように標準化を行うことができる。すなわち、車両内の無線送信機から送信されるメッセージは、製造業者及びモデルに関係なく全ての移動無線装置に設けられている標準化手段を用いて受信することができる。
【0065】
更に他の実施形態では、移動無線装置10はマルチモードのものでもよい。すなわち、移動無線装置は例えば種々の周波数、または種々のメッセージを送信する多くの送信機からのメッセージを受信するように構成してもよい。
【0066】
ステップ86において、自動通報システムはE911または他の非常番号を無線通信システム(例えばセルラー電話)を介して自動的に呼び、データが図5を参照して説明されたように送信される。例えば、事故内容、位置、及び車両情報がPSAPに送信される。
【0067】
車両14および/または移動無線装置10は製造者によりまたはユーザーにより所有者または他の情報、例えば所有者名および免許証番号をステップ82で説明したと同様に予めプログラムすることができる。このような情報はPSAPに自動的にまたは要求に応じて送信することができる。
【0068】
他の実施形態において、PSAPniha音声通信を除いて電子データのみが送信される。更に他の実施形態では、音声または合成音声通信が装置と状況が要求するのに従って電子データとともに、あるいは電子データの代わりに送信される。例えば、事故の場合、運転者および乗客のいずれか一方または双方がPSAPと通信できない場合がある。このような場合、車両と場所のデータがPSAPに電子データとして送信される。他の実施形態では、音声通信のみ受信可能であり、データは合成音声であり、音声通信がPSAPまたは他の接続に供給される。更に他の実施形態では、運転者または乗客は電子データの送信と同時に音声による通信をPSAPと行う。
【0069】
一つの実施形態の場合、非常イベントに応じて非常応答サービスに移動無線装置を用いて通報する方法は、センサにより非常イベントを検出し、センサからのセンサ情報をショートレンジ無線送信機に通信する方法を含む。この通信されたセンサ情報に応じて、ショートレンジ無線送信機からは非常イベントメッセージが移動無線装置に送信される。この非常イベントメッセージはセンサから受信した情報と非常応答サービスに送信されるべき非常の優先度を示すデータのような非常イベントを示す情報とを含む。移動無線装置の位置情報が次に決定される。非常イベントメッセージに応じて、非常データが移動無線装置から非常応答サービスに対して送信されるが、この非常データは位置情報と非常イベントを示す情報とを含む。他の実施形態では、センサは車両に設置され、また別の実施形態ではセンサは建造物内に設置される。
【0070】
図5はこの実施形態において、移動無線装置からPSAPに送信される電子データ送信90を示す。PSAPに送信される情報は検出システム16(図2)および移動無線装置10(図3)のいずれか一方または双方から得られ、移動無線装置内の双方向無線通信装置を介して送信される。
【0071】
参照符号92の位置に日付と時間とが示される。例えば、現在の日付と時間、事故の日付と時間、あるいはPSAPと最初に接続された日付と時間とが送信される。これにより、事故発生時の非常サービス員が特定され、この事故に対する応答の遅れを知ることができるので有用である。さらに、このような情報は、移動無線装置およびPSAPの応答時間を知るためにも有用である。この日付と時間情報は車両および移動無線装置のいづれか一方または双方から得ることができ、適切な種々の形式で送信することができる。
【0072】
参照符号94の位置にイベント情報が示される。例えば、イベント時に起動されるメインのセンサからの情報、イベント時に起動される他のセンサからの情報、および車両の速度履歴などの他の情報が供給される。例えば、センサ情報は、加速度計によって検出された減速率、いずれのエアバッグが展開したか、検出された毒性ガスのレベルなどを含む。これらのセンサ情報をPSAPに供給することで、非常サービス提供者は車両の損傷の程度をより正確に決定でき、適切な非常要員を急派できる。さらに、他の情報、例えば車両速度の履歴や加速度、減速度情報が事故またはイベントの内容を決定し、故障の原因究明に役立ち、車両イベントの共通原因の発見に役立つデータを提供できる。イベント情報94は検出システムから形成されるもので、移動無線装置内の検出システムプロセッサおよび制御システムのいずれかまたは双方により処理された後、標準化されたフォーマットで送信される。いくつかの実施形態では、イベントメッセージ20に関して詳細に説明した非常情報がデータ送信90中に含まれ得る。
【0073】
参照符号96で示された位置には位置情報が示される。例えば、イベント時の車両位置、イベント時の移動無線装置の位置、移動無線装置の現在の位置などが示される。この情報は急派される最も近い非常要員を決定するのに有用であり、この派遣された要員に事故の場所を知らせたり目撃者の存在を知らせたりするのに有効である。車両と移動無線装置の位置を与えることで、移動無線装置の所有者が車両内にいるかどうか、車両が事故の後で移動したかどうか、移動無線装置の所有者が事故のあとで移動したかどうか、などが分かる。更に、このようなデータは、装置の有効性や種々の「故障」警報装置の検証などのための統計を取るのにも有用である。この位置は車両内に設置された位置決めシステムと移動無線装置とから得ることができる。図3の位置決めシステム58を参照して詳細に説明したように、位置情報のフォーマットは緯度、経度、GPS疑似レンジ、またはセルセクタ番号などである。
【0074】
番号98で示した位置には車両識別情報が示される。例えば、VIN,製造メーカとモデル、車両所有者名が示される。VINと製造者情報とは車両の製造途中で車両または検出システム中にプログラムされる。所有者情報は車両の購買後に所有者によって車両または検出システムにプログラムされる。車両の詳細な情報を与えることにより、警察記録がチェックされ、車両は非常要員により正確に位置特定が行われ、その場で所有者は速やかに識別できる。
【0075】
参照番号100の位置には移動無線装置の加入者情報が示される。この実施形態では、加入者は移動無線装置の加入者を参照し、情報は加入者名、運転免許証番号、および移動無線電話番号を含む。この場合、車両の所有者と移動無線装置の加入者は同一人物でなくてもよいことを理解すべきである。更に、車両の運転者はその車両の所有者で無い場合、または移動無線装置の加入者で無い場合があるが、ここに示された情報は関係者の識別を速やかに行い適切な人物に通報を行うのに役立つ。
【0076】
上述のデータ送信は一方向データ送信の一実施形態であることに注意する必要がある。移動無線装置は双方向のデータ送信を行うように構成することができる。例えば、所定番号(例えばE911)がデータ送信に応じて他の情報の送信を要求するように構成することができる。この例では、移動無線装置は一つまたはそれ以上のデータ送信を伴う追加のデータ送信要求に応えるように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態では、双方向の音声通信が可能である。例えば、移動無線装置は所定番号(例えばE911)からのデジタルデータまたは合成音声通信による追加のデータ送信要求に応答するように構成することができる。さらに、移動無線装置は移動無線装置の近くにいる人と非常サービス要員との間で双方向の実音声通信を行うように構成することができる。移動無線装置と非常サービス要員との間の多重通信が更に他の役立つ情報を収集するための助けになる。
【0078】
即ち、移動無線装置10は、更に追加の装置乃至は間に他の人を介在させることなく、車両の内部叉は近接位置にある標準の電子装置/ハードウエア(例えばセルラー電話)を用いて、事故または他のイベントの際に所定の番号(E911)に自動的に通報を行うことができる。
【0079】
当業者にとってはこれらの記述から、この発明の精神または技術範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いることは容易である。この発明は以下の請求範囲に限定され、上述の明細書の記載及び図面に示された内容に則り、可能な全ての実施形態と変形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】移動無線装置とセルラーとGPSシステムとを持つユーザーが衝突した車両中に乗った状態の斜視図。
【図2】一つの実施形態中における、一つまたは複数のセンサと、プロセッサと、ショートレンジ無線送信機とを有する検出システムのブロック図。
【図3】この一つの実施形態においてモバイルハウジングの中に格納されたショートレンジ無線受信機と、通報システムを含む制御システムと、双方向無線通信システムと、位置決めシステムとを有する移動無線装置のブロック図。
【図4】車両イベントに際して非常サービスに自動的に通報する一連のステップを示す流れ図。
【図5】車両イベントに際して移動無線装置から非常サービスに向けて送信されるデータ伝送の一つの実例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショートレンジ無線送信機からのメッセージを受信するショートレンジ無線受信機と、
前記受信機に電気的に結合されて前記送信機から受信したメッセージを処理するように構成された通報システムと、
前記通報システムに電気的に結合され、この通報システムからの要求に応じて位置情報を出力する位置決めシステムと、
前記通報システムに電気的に結合された双方向無線通信システムと、を具備し、
前記双方向無線通信システムは前記通報システムからの要求に応じて所定番号を呼ぶように構成され、この呼びの間に前記位置情報を含むデータ送信を行う、移動無線装置。
【請求項2】
前記双方向無線通信システムは携帯電話を含む、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項3】
前記位置決めシステムはGPS受信機を含む、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項4】
前記ショートレンジ無線受信機は約0.1メートルから50メートルのレンジ内での通信を受信するように構成される、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項5】
前記通報システムはマイクロプロセッサを含む、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項6】
前記通報システムは前記送信機から受信された標準メッセージを処理するためのプログラミングを含む、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項7】
前記所定番号は前記データ送信に応じて追加情報の要求を送るように構成され、前記通報システムは前記追加情報の要求に応じて少なくとも一つの追加データ送信を行うように構成される、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項8】
前記位置情報は前記移動無線装置の緯度、経度と、複数のGPS擬似レンジと、複数の基地局からの相対到達時間信号の一つを含む、請求項1に記載の移動無線装置。
【請求項9】
車内部の車両イベントについて移動無線装置による自動通報を発生させる方法であって、
前記車両イベントを車内部で検知し、
前記車内に設置されたショートレンジ無線受信機を介してメッセージを送信し、
前記移動無線装置内に設置されたショートレンジ無線受信機を介して前記メッセージを受信し、
前記移動無線装置の位置情報を決定し、
前記移動無線装置を用いて前記メッセージに応じて所定の番号を自動的に呼び、
前記移動無線装置から所定番号に向けて前記位置情報を含むデータを送信する、方法。
【請求項10】
前記車両イベントの検知ステップは前記車両イベントに応じた車内部のセンサのトリガ動作を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記車両イベントはエアバッグの展開、突然の減速、毒性ガスの検知の内の一つを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記メッセージを移動無線装置に送信するステップはセンサ情報および車両情報の一つを送信するステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記データの送信ステップは電子データと、合成音声データと、実音声通話のうちの一つの送信を含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
センサのトリガ動作に応じて移動無線装置により非常通報を発生させる方法であって、
前記センサによるイベントを検知し、
前記センサに電気的に結合されたショートレンジ無線送信機を介してメッセージを送信し、
前記移動無線装置に設置されたショートレンジ無線受信機を介して前記メッセージを受信し、
前記無線送信機または移動無線装置の一方の位置情報を決定し、
前記メッセージに応じて前記移動無線装置を用いて所定の番号を呼び、
前記位置情報を含むデータを前記移動無線装置から所定の番号に向けて送信する、方法。
【請求項15】
前記センサによるイベントの検知は車内部のイベントを検知するステップを含み、前記センサは前記車内部に設置されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサによるイベントの検知は建造物内部のイベントを検知するステップを含み、前記センサは前記建造物内部に設置されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ショートレンジ無線送信機からのメッセージを受信する受信機手段と、
前記受信機手段に電気的に結合されて前記受信機手段からのメッセージを処理する通報手段と、
前記通報手段に電気的に結合され、前記通報手段からの要求により所定番号を呼ぶための無線通信手段と、
前記移動無線装置の位置情報を決定するために前記通報システムと前記双方向無線通信システムとに電気的に結合された位置決定手段と、
を具備する移動無線装置。
【請求項18】
車内部の車両イベントに応じて双方向通信システムを用いて所定番号の自動ダイヤル動作を行うためのテレマチックシステムであって、
前記車内部に設置された検出システムと、
前記車から離れて設置された移動無線装置とを具備し、前記移動無線装置は、
ローカル無線送信機からのメッセージを受信できるショートレンジ無線受信機と、
前記受信機に電気的に結合され、前記送信機からのメッセージを処理するように構成された通報システムと、
前記通報システムに電気的に結合され、前記通報システムからの要求に応じて位置情報を発生させる位置決めシステムと、
前記通報システムに電気的に結合された双方向無線通信システムとを具備し、
前記通信システムは前記通報システムからの要求に応じて所定番号を呼び、この呼びの間に前記位置情報を含むデータ通信を行う、テレマチックシステム。
【請求項19】
前記検出システムは、
前記車両イベントを検知するように構成されたセンサと、
前記センサに電気的に結合され、前記センサから受信されたデータを処理するように構成された検出システムプロセッサと、
所定レンジ以内において、前記検出システムプロセッサからのメッセージを送信するように構成されたショートレンジ無線送信機とを具備する、請求項18に記載のテレマチックシステム。
【請求項20】
前記センサは、加速度計と、エアバッグ展開センサと、熱センサと、炎検知機と、衝撃センサのうちの一つを有する、請求項19に記載のテレマチックシステム。
【請求項21】
更に、前記検出システムプロセッサに電気的に結合された複数のセンサを有する請求項19に記載のテレマチックシステム。
【請求項22】
車内の非常イベントを検知してこのイベントに関するショートレンジメッセージを移動無線装置に送信して遠隔の非常応答サービスと通信できる検出システムであって、
車内の前記非常イベントを検知するように構成されたセンサと、
前記センサに電気的に結合され、前記センサから受信したデータを処理するように構成された検出システムプロセッサと、
移動装置へセンサから受信した情報と非常時を表す非常情報とを含む無線イベントメッセージを送信するように構成され、これにより移動無線装置に非常事態を通報するとともにこの移動無線装置から非常時応答サービスに通信を行うように構成されたショートレンジ無線送信機と、を具備した検出システム。
【請求項23】
前記センサは加速度計と、エアバッグ展開センサと、熱センサと、炎検知機と、衝撃センサのうちの一つを有する、請求項22に記載の検出システム。
【請求項24】
前記非常情報は非常応答サービスにより認識できる一組のスタンダードメッセージの中の一つのメッセージを含む、請求項22に記載の検出システム。
【請求項25】
前記非常情報は医療関係者、警察署、及び消防署の少なくとも一つからの非常時応援要請を含む、請求項22に記載の検出システム。
【請求項26】
前記非常情報は非常応答サービスへ送信されるべき非常の優先レベルを示すデータを含む、請求項22に記載の検出システム。
【請求項27】
前記送信機は802.11およびブルートーススタンダードから選択されたスタンダード送信プロトコルを用いる、請求項22に記載の検出システム。
【請求項28】
前記ショートレンジ無線送信機は0.1から100メートルの間の所定レンジを有する、請求項22に記載の検出システム。
【請求項29】
非常イベントに応じて非常応答サービスに非常を通報するための移動無線装置を使用する方法であって、
センサによって非常イベントを検知し、
前記センサからのセンサ情報をショートレンジ無線送信機に通信し、
この通信されたセンサ情報に応じて、前記センサからの情報と非常イベントを表す非常情報とを含む非常イベントメッセージを前記ショートレンジ無線送信機から移動無線装置に送信し、
前記移動無線装置の位置情報を決定し、
前記非常イベントメッセージに応じて、前記位置情報と前記非常イベントの内容を示す情報を含む非常データを前記移動無線装置から非常応答サービスに送信する、方法。
【請求項30】
前記非常イベントの検知は、建造物内に設置されたセンサにより建造物内のイベントを検知するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記非常イベントの検知は、前記車内部に設置されたセンサにより車内のイベントを検知するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記車内のイベントは少なくともエアバッグの展開、突然の減速、毒性ガスの検知のうちの一つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記非常メッセージを移動無線装置に送信するステップは車両情報の送信を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記非常メッセージの送信ステップは電気的データ、合成音声データ、実音声通話の少なくとも一つの送信を含む、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521712(P2007−521712A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501006(P2006−501006)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/001227
【国際公開番号】WO2004/066665
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】