説明

無線通信システムおよびそれを有するエレベータシステム

【課題】無線周波数(RF)信号から少なくとも実質的に遮蔽された閉鎖環境とこの閉鎖環境の外部との間にRFリンクを構成する無線通信システムを提供する。
【解決手段】この無線通信システムは、閉鎖環境の入口ポイントに設置される少なくとも1つのゲートウェイアンテナ12を含む。ゲートウェイアンテナ12は閉鎖環境内部へは下り回線RF信号を送信し、内部からは上り回線RF信号を受信する。無線通信システムはまた、前記閉鎖環境内部に設置される、少なくとも1つの補助リピータ14、およびドナーアンテナ16とサーバーアンテナ18を含む。ドナーアンテナ16とサーバーアンテナ18は補助リピータ14にカップリングされる。補助リピータ14は、ドナーアンテナ16およびサーバーアンテナ18を使用して下り回線RF信号および上り回線RF信号をリレーする。この無線通信システムを使ったエレベータシステム2も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広くは、閉鎖環境において無線カバレージを提供する無線通信システムに関する。より特定的には、この発明は、エレベータシャフトの内部のエレベータカーに無線カバレージを提供するための無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内部において無線周波数(RF)帯の電波が減衰することは通常の現象である。この減衰は、壁、柱、パーティションなど当該建築物内部に存在する障害物によって無線電波の伝播が阻害されることが原因で発生する。この結果、建物内部のRF信号カバレージの質は開放空間に比較して低下する。屋内におけるRF信号カバレージを強化するシステムの設計は、無線設計技術者にとって長年難しい問題であった。
【0003】
屋外用ベーストランシーバーステーション(BTS)であって屋内あるいは建築物内部でのRF信号カバレージも可能なものを設計するというのは実用的でない。通常は、屋内でのRF信号カバレージは屋内用BTSを用いて実現するものである。屋内用BTSを用いると、建物各階の各場所において均一な無線信号カバレージを提供することができる。屋内においてRF信号カバレージを提供するもうひとつの方法として、1基またはそれ以上の分散アンテナシステムを採用する方法があり、これには同軸ケーブルの利用や光ファイバーケーブルの利用も含まれる。屋内用BTSも分散型アンテナシステムも建物内部におけるRF信号カバレージを強化するが、エレベータシャフト、エレベータシャフト内に設置されたエレベータカー、鉱山の地下坑道、トンネルといった閉鎖環境においてそれなりに良質なRF信号カバレージを実現するという点においては、残念ながらどちらも十分とはいえず、また費用効果も悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,603,080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえばエレベータカー内部までRF信号カバレージを拡大するための1つの解決策としては、建物各階のエレベータロビーすべてに分散型アンテナを設置する方法がある。このような解決法は、エレベータカー内部でのRF信号カバレージにある程度の効果を発揮するが、シームレスなカバーを実現できる訳ではなく、特にエレベータカーが階と階との間にある時には十分なカバーができない。また、このような設計は、エレベータロビー全部にアンテナを設置しなければならないためにコストが比較的高いものになるという制限がある。
【0006】
別の解決策としては特許文献1に開示されているものがあり、これは漏えい同軸ケーブルをトンネルの全長にわたって敷設するというものである。しかしながら、ケーブルに断線が生じた場合、ケーブルの一部が機能不全となり、その付近では深刻なフェーディングが発生することとなる。また、漏えい同軸ケーブルが長くなると、その長さに見合った増幅器やリピータ装置が必要になってくる。これらの増幅器やリピータ装置のために、コストの高い解決策となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態によれば、無線周波数(RF)信号から少なくとも実質的に遮蔽された閉鎖環境と該閉鎖環境の外部との間にRFリンクを構成する無線通信システムが提供される。この無線通信システムは、前記閉鎖環境の入口ポイントに配置されて、該閉鎖環境への下り回線RF信号の送信および該環境からの上り回線RF信号の受信を行う少なくとも1つのゲートウェイアンテナを含む。閉鎖環境の入口ポイントとは、ゲートウェイアンテナを設置して当該閉鎖環境へ下り回線RF信号を送信することのできる確実なアクセス場所を言う。入口ポイントを、閉鎖環境内部へ人間が入り込むための入口を意味するものとして解釈すべきではない。下り回線RF信号が微弱である場合には、ゲートウェイアンテナから送信する前に、下り回線RF信号を主リピータで増幅してもよい。この無線通信システムはまた、前記閉鎖環境内に固設される少なくとも1つの補助リピータ、および、該補助リピータにそれぞれカップリングされるドナーアンテナとサーバーアンテナを含む。補助リピータはドナーアンテナおよびサーバーアンテナを使用して下り回線RF信号および上り回線RF信号をリレーし、RF信号カバレージを前記閉鎖環境内へと拡大する。本発明のこのような実施形態によれば、RFフェーディングが発生するエレベータシャフト、トンネル、鉱山を含みこれらに限定されない閉鎖環境内部へ、RF信号カバレージを提供および拡大することができる。
【0008】
この発明の別の実施形態によれば、エレベータシャフト内のエレベータカーやトンネルを通過中の列車車両といった、閉鎖環境内部において移動可能な移動搬送器内にRF信号カバレージが提供される。補助リピータは移動搬送器に搭載してドナーアンテナを移動搬送器の外部に設置し、サーバーアンテナを移動搬送器の内部に設置してRF信号カバレージを移動搬送器内部へ拡大する。補助リピータは移動搬送器の内外どちらに搭載してもよい。サーバーアンテナは補助リピータと一体化してよく、特に補助リピータを移動搬送器の内部に搭載する場合には、部品点数削減の面からこれが好ましい。エレベータシャフトで使用する場合には、エレベータシャフトへのアクセス用開口部である天井部にゲートウェイアンテナを設置し、ここをRF信号の入口ポイントとすることができる。トンネルや鉱山で使用する場合には、トンネルや坑道の入口にゲートウェイアンテナを設置し、ここをRF信号の入口ポイントとすることができる。
【0009】
補助リピータを固設にするか移動搬送器に搭載して移動式にするかに関わりなく、補助リピータは、フィードバック制御によるゲイン調整によってその出力信号強度を所定の限界内に維持する双方向アンプを含むことが望ましい。補助リピータを固設にする場合、ゲートウェイアンテナから送信される信号の強度が様々に変化する状況下で双方向アンプの出力信号強度を所定の限界内に維持する上で、フィードバック制御が有効となる。補助リピータを移動搬送器に搭載する場合には、上記に代えてあるいは上記に追加して、前記移動搬送器と前記ゲートウェイアンテナとの距離に基づいて双方向アンプのゲイン調整を行っても良い。距離が小さい時にはゲインを小さくし、距離が大きくなればそれに応じてゲインを大きくする。エレベータカーのような移動搬送器の場合、エレベータシャフト内での位置によってエレベータカーからゲートウェイアンテナまでの距離を決定してよい。
【0010】
この発明のさらに別の実施形態によれば、例えば所定長よりも距離の長いトンネル内のような閉鎖環境であって、1台の補助リピータでは十分なRF信号カバレージを提供できない場合、前記無線通信システムでは、前記閉鎖環境内において複数の補助リピータを相互に離間してカスケード配置することができる。換言すれば、複数の補助リピータを、ゲートウェイアンテナから順次遠くなるように、1本またはそれ以上のチェーン状に配置するのである。ゲートウェイアンテナから発信されたRF信号は、ゲートウェイアンテナに最も近いチェーン上にある最初の補助リピータが受信する。そしてこの最初の補助リピータがRF信号を増幅して再送信する。このチェーン上で次に遠方にある二つめの補助リピータは、同様に最初の補助リピータからのRF信号の受信、増幅、再送信を行う。このようにして、複数の補助リピータによってRF信号を伝達し、広範囲にわたってRF信号カバレージを提供する。これをRF信号の多区間継送と呼んでいるが、この各区間が2台の補助リピータ間の距離となる。補助リピータのチェーン内でRF信号伝達が失われることがないようにするために、1台の補助リピータが故障した場合には、その両隣の補助リピータが継送範囲を拡大してRF信号カバレージを維持するようにしておくとよい。
【0011】
この発明のさらなる実施形態によれば、前記閉鎖環境において移動する搬送器に複数の補助リピータが必要な場合、これらの複数の補助リピータは第一および第二の補助リピータグループを含んでよい。第一グループの補助リピータは、列車状に連結されて前記閉鎖環境内を移動可能な移動搬送器のそれぞれに設置され、第二グループの補助リピータは前記閉鎖環境内で移動搬送器とは別の場所に固定して設置される。第一グループの補助リピータのうちの少なくとも先頭の補助リピータまたは最後尾の補助リピータにカップリングされるドナーアンテナは、移動搬送器の外部に設置される。第一グループの補助リピータのうちのそれ以外の補助リピータにカップリングされるドナーアンテナと、第一グループの補助リピータにカップリングされるサーバーアンテナとは、各移動搬送器内に配置される。このような構成は、例えばトンネル内を通過する列車車両の内外双方にRF信号カバレージを提供する場合に好適である。このようなマルチ補助リピータ式無線通信システムにおける各補助リピータは、RF信号が様々に変化する条件下でフィードバック制御によるゲイン調整によってその出力信号強度を所定の限界内に維持する双方向アンプを含んでよい。
【0012】
上述した実施形態のいずれについても、無線通信システムは1つ以上のゲートウェイアンテナを含んでよく、閉鎖環境の各入口ポイントのそれぞれにゲートウェイアンテナが設置される冗長システムを構成してよい。万一1つのゲートウェイアンテナが故障した場合でも、当該閉鎖環境内において別のゲートウェイアンテナの利用が可能となる。
【0013】
この発明の別のさらなる実施形態によれば、前記無線通信システムはさらに第一および第二インタフェースと、これら第一および第二インタフェースにそれぞれカップリングされた第一および第二コンバイナ/デコンバイナを含み、前記上り回線および下り回線RF信号とは周波数の異なるRF信号カバレージを提供する。この、周波数を異にするRF信号カバレージを利用して、例えばコントロールステーションと、シグナリング・駆動システムとの間の無線通信リンクを構成することができる。そしてこのシグナリング・駆動システムを利用して、前記閉鎖環境の特定のパラメータ及び/又はこのような閉鎖環境内の移動搬送器の制御及び/又は監視を行うことができる。このようなパラメータの例としては、温度、圧力、ガスのレベルを挙げることができるが、これらに制限されない。
【0014】
前記第一インタフェースはコントロールステーションにカップリングされ、下り回線コントロールデータを対応する下り回線コントロールRF信号に変換すると共に、シグナリング・駆動システムからの上り回線シグナリングRF信号を対応する上り回線シグナリングデータに変換する。前記第一コンバイナ/デコンバイナは、下り回線RF信号と下り回線コントロールRF信号とを結合してゲートウェイアンテナから送信させると共に、ゲートウェイアンテナで受信した上り回線シグナリングRF信号から上り回線RF信号を分離する。第二インタフェースはシグナリング・駆動システムにカップリングされ、下り回線コントロールRF信号を駆動信号またはコントロール信号に変換すると共に、例えばセンサからの信号であるシグナリング信号を上り回線シグナリングRF信号に変換する。第二コンバイナ/デコンバイナは、上り回線RF信号と上り回線シグナリングRF信号とを結合して前記補助リピータのドナーアンテナから送信させると共に、該補助リピータのドナーアンテナで受信した下り回線コントロールRF信号から下り回線RF信号を分離する。このようにして、1つの無線通信システムで、例えば2つの異種システムに対するRF信号カバレージを提供することができる。
【0015】
前記シグナリング・駆動システムを、閉鎖環境内にある1つまたはそれ以上の移動搬送器に配備してよい。前記シグナリング・駆動システムは、前記駆動信号に基づいて該移動搬送器を制御するドライバ、および該移動搬送器の状態に基づいてシグナリング信号を生成するセンサを含んでよい。このようなコントロールステーションとシグナリング・駆動システムとは、例えば、上述したエレベータシステムにおいて、エレベータカーの機能を監視しコントロールするのに使用することができる。このようなシステムはまた、例えば鉱山において、石炭輸送用無人トロッコの監視およびコントロールに使用することができる。エレベータシステムにおいては、閉鎖環境内におけるエレベータカーの位置についての情報を得るためにセンサを利用することができる。このセンサは前記補助リピータに接続されてこの補助リピータの双方向アンプのゲイン調整のためにその情報が使用されるとともに、前記第一インタフェースに接続されて、コントロールステーションによる、エレベータシャフト内のエレベータカーの位置制御にその情報が使用される。前記エレベータシステムにおいては、シグナリング・駆動システムはさらに、エレベータカーのオペレータが操作可能な信号発生器、例えばエレベータカー内のフロアボタンや緊急ボタンが押されたときに信号を発生するもの、を含んでもよい。
【0016】
前記シグナリング・駆動システムはまた、たとえば鉱山のような閉鎖環境内に固設されて、鉱山内の温度、圧力、ガスのレベルなどのパラメータの遠隔監視およびコントロールに用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
この発明は以下の図面を参照することによってより良く理解されるであろう。
【図1】この発明の一実施形態による無線通信システムを有するエレベータシステムの図解図である。
【図2】図1の無線通信システムの主リピータのブロック図である。
【図3】図1の無線通信システムの補助リピータのブロック図である。
【図4】図1のエレベータシステムの制御ステーションと、シグナリング・駆動システムとの間のメッセージ交換を説明するメッセージシーケンスチャートである。
【図5】この発明の別の実施形態による無線通信システムを、列車車両が通過するトンネルにおいて使用した場合を示す図解図である。
【図6】図5の無線通信システムを運行および保守目的で使用する場合の図解図である。
【図7】図5の無線通信システムにゲートウェイアンテナを1基追加して使用する場合の図解図である。
【図8】この発明のさらに別の実施形態による無線通信システムを、列車車両内部に多数の補助リピータを搭載して使用する場合を示す図解図である。
【図9】図8の無線通信システムにゲートウェイアンテナを1基追加して使用する場合の図解図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の好ましい実施形態を、エレベータシャフトおよび当該エレベータシャフト内を移動可能なエレベータカーに無線通信システムを使用する場合について説明する。このシステムは、無線周波数域(RF)の信号カバレージ、すなわち無線カバレージと略称されるもの、をエレベータシャフトの外部から内部へ、そしてエレベータカーの内部へ拡大するためのものである。しかしながら、この発明が、かかる閉鎖環境においての利用に限定されていると解釈すべきではなく、この発明は、例えばトンネルや鉱山の内部などのような、外部のRF信号から少なくとも実質的に遮蔽された閉鎖環境においても利用され得るものである。
【0019】
図1は、エレベータシャフト8内を移動可能なエレベータカー6における無線周波数(RF)信号カバレージを提供する、この発明の一実施形態による無線通信システム4を含む昇降機あるいはエレベータシステム2の図解図である。無線通信システム4は、主リピータ10と、主リピータ10にカップリングされたゲートウェイアンテナ12とを含む。無線通信システム4はさらに、補助リピータ14、ドナーアンテナ16およびサーバーアンテナ18を含み、両アンテナは補助リピータ14にカップリングされている。図2および図3はそれぞれ主リピータ10および補助リピータ14のブロック図である。
【0020】
主リピータ10の設置場所はエレベータシャフト8の外部でも内部でもよい。主リピータ10はエレベータシャフト8の外部にある適当な発信源、例えばBTS(図示せず)、アンプ(図示せず)またはコンバイナ20(図2)といったものから、同軸ケーブル(図示せず)を介して下り回線RF信号を受信する。ゲートウェイアンテナ12はエレベータシャフト8の入口ポイント、例えばエレベータシャフト8の天井に設置される。ゲートウェイアンテナ12の設置場所はこれに限らず、下り回線RF信号をエレベータシャフト8内部に指向化すなわち集中できるのであればエレベータシャフト8内の他の場所でもよい。エレベータシャフト8の全長にわたって漏えいケーブルを敷設する従来例とは異なり、このゲートウェイアンテナ12はエレベータシャフト8における1点に局地化して設けられる。ゲートウェイアンテナ12はパネルアンテナや八木アンテナのような指向性アンテナであるが、これらに限定されない。ドナーアンテナ16は通常は指向性アンテナであり、サーバーアンテナ18は通常は無指向性アンテナである。補助リピータ14はエレベータカー6の屋根に設置し、ドナーアンテナ16とサーバーアンテナ18はそれぞれエレベータカー6の外と内に設置する。ドナーアンテナ16は、ゲートウェイアンテナ12と同一視線上になるように配置される。あるいは補助リピータ14をエレベータカー6の天井に搭載してもよい。そのような場合は、サーバーアンテナ18を補助リピータ14に一体化してもよい。
【0021】
次に、図2を参照しつつ主リピータ10について説明する。主リピータ10は、第一双方向アンプ22、第一コンバイナ/デコンバイナ24および第一インタフェース26を含む。第一双方向アンプ22は、エレベータシャフト8の外部からの移動通信下り回線RF信号およびエレベータシャフト8の内部からの移動通信上り回線RF信号の両方を増幅するものである。第一インタフェース26はコントロールステーション28とカップリングされており、コントロールステーション28からの下り回線コントロールデータを、対応する下り回線コントロールRF信号に変換し、上り回線シグナリングRF信号を、コントロールステーション28のために、対応する上り回線シグナリングデータに変換する。このようなインタフェースをコントロールステーション28に対して設けることにより、主リピータ10が提供する共通RFリンクを使って、エレベータカー6の稼動を遠隔からモニタおよびコントロールすることができるようになる。第一コンバイナ/デコンバイナ24は第一インタフェース26にカップリングされ、下り回線RF信号と下り回線コントロールRF信号とを結合してゲートウェイアンテナ12から送信できるようにするとともに、ゲートウェイアンテナ12が受信した上り回線シグナリングRF信号から上り回線RF信号を分離する。なお、移動体通信用上り回線および下り回線RF信号は1つまたはそれ以上の移動体通信システムからの信号である可能性もある。上り回線および下り回線RF信号が1以上の移動体通信システムからの信号である場合には、RF信号はコンバイナ20にて結合した後に主リピータ10に入力される。移動体通信システムの例としては、GSM900、 DCS1800、UMTSシステムを挙げることができる。
【0022】
次に、補助リピータ14について図3を参照しつつ説明するが、これは主リピータ10によく似ているものである。補助リピータ14は、第二双方向アンプ30、第二コンバイナ/デコンバイナ32および第二インタフェース34を含む。第二双方向アンプ30は、エレベータカー6の外部からの下り回線RF信号とエレベータカー6の内部からの上り回線RF信号の両方の増幅を行う。第二インタフェース34はシグナリング・駆動システム36にカップリングされており、下り回線コントロールRF信号をシグナリング・駆動システム36のためのドライバ信号に変換し、シグナリング・駆動システム36からのシグナリング信号を上り回線シグナリングRF信号に変換する。第二コンバイナ/デコンバイナ32は第二インタフェース34にカップリングされており、上り回線RF信号を上り回線シグナリングRF信号に結合してドナーアンテナ16から送信できるようにするとともに、ドナーアンテナ16が受信した下り回線コントロールRF信号から下り回線RF信号を分離する。
【0023】
シグナリング・駆動システム36はエレベータカー6内に配置され、駆動信号に基づいてエレベータカー6をコントロールするための少なくとも1台のドライバ(図示せず)と、エレベータカー6の状態に基づいてシグナリング信号を発生する少なくとも1つのセンサ(図示せず)とを含む。ゲートウェイアンテナ12からのエレベータカー6の距離を判断できるよう、センサの1つはエレベータシャフト8内におけるエレベータカー6の位置についての情報を提供するようにしてもよい。このセンサを補助リピータ14に接続して情報を取り入れ、補助リピータ14の双方向アンプ30のゲインをコントロールしてもよい。また、このセンサを第一インタフェース26に接続して、その情報をコントロールステーション28が利用し、エレベータシャフト8内のエレベータカー6の位置をコントロールしてもよい。シグナリング・駆動システム36はさらに、エレベータカー6のユーザーが操作できる信号発生器(図示せず)を含んでもよい。このような信号発生器の例としては、エレベータカー6内部のフロアボタンや非常ボタンが押された場合に信号を発生する装置を挙げることができるが、これに限定されない。
【0024】
無線通信システム4は、例えば携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯コンピュータなど、無線アクセス機能を有する移動ステーション40(図1)すべてについて、これら移動ステーション40がエレベータカー6内部にあるとき、それぞれの通信先となる、エレベータシャフト8の外部にある移動体通信システムへのアクセスを成立させるものである。無線通信システム4により、エレベータシャフト8の外部からの下り回線RF信号は、主リピータ10による増幅、ゲートウェイアンテナ12からエレベータシャフト8内部への送信、そして補助リピータ14によるエレベータカー6内部へのリレーを経て、移動ステーション40で受信することができるようになる。上り回線方向においては、移動ステーション40からの上り回線RF信号はサーバーアンテナ18によって受信され、補助リピータ14によって増幅され、ドナーアンテナ16を介してエレベータカー6からエレベータシャフト8内部へ送信される。エレベータシャフト8の上り回線RF信号はゲートウェイアンテナ12によって受信され、エレベータシャフト8の外部へと、チャネリングまたはリレーされる。このようにして、移動ステーション40は移動通信システムとの無線通信リンクを成立させることができ、外界と接続可能な状態を維持することができる。
【0025】
エレベータカー6内の移動ステーション40に対して無線通信アクセスを提供することに加えて、無線通信システム4によれば、エレベータカー6の状態や機能を、離れた場所にあるコントロールステーション28からそれぞれ監視、コントロールすることも可能となる。コントロールステーション28はシグナリング・駆動システム36との間で無線通信リンクを成立させ、両者間でデータを交換することができる。この、コントロールステーション28とシグナリング・駆動システム36との間で交換されるデータについて簡単に説明する。
【0026】
補助リピータ14の構成機器30、32、34についてまず詳細に説明する。双方向アンプ30は下り回線用パワーアンプ40および上り回線用パワーアンプ42を含む。下り回線用パワーアンプ30の入力は、第一トランシーバフィルタ44を介してドナーアンテナ16に送られる。上り回線用パワーアンプ42の出力は第一トランシーバフィルタ44を介してドナーアンテナ16へ送られる。下り回線用パワーアンプ40の出力は第二コンバイナ/デコンバイナ32のコントロールフィルタ46に送られる。コントロールフィルタ46は、ドナーアンテナ16によって受信された信号から下り回線コントロールRF信号を抽出するバンドパスフィルタである。コントロールフィルタ46は第二トランシーバフィルタ48に接続されており、ここに下り回線RF信号が入る。コントロールフィルタ46はまた、第二インタフェース34の第一ミキサー50に接続されており、下り回線コントロールRF信号がここに入る。第二トランシーバフィルタ48はサーバーアンテナ18にカップリングされている。第二トランシーバフィルタ48はまた、第二コンバイナ/デコンバイナ32のコンバイナ52に接続されており、サーバーアンテナ18によって受信された上り回線RF信号がここに入る。コンバイナ52はまた、第二インタフェース34の第二ミキサー54に接続されており、ここから上り回線シグナリングRF信号を受け取る。コンバイナ52は上り回線RF信号と上り回線シグナリングRF信号とを結合し、結合信号を上り回線用パワーアンプ42の入力に送る。
【0027】
補助リピータ14はまた、パワーアンプ40、42からの出力信号と、エレベータシャフト8内のエレベータカー6の位置に関するセンサからの情報を受け取る自動パワーコントロール回路56を含む。自動パワーコントロール回路56は、これらの信号および位置情報を処理してそれぞれのフィードバックコントロール信号を生成し、下り回線および上り回線用パワーアンプ40、42のゲインを制御してこれらアンプの出力信号の強度を所定限度内に維持する。
【0028】
第一ミキサー50は、下り回線コントロールRF信号を受け取るほかに、電圧制御発振器(VCO)58からのキャリア信号を受け取る。第一ミキサー50は、下り回線コントロールRF信号とこのキャリア信号を混合して下り回線コントロールベースバンド信号とし、これを第二インタフェース34のモデム60に送る。モデム60は、下り回線コントロールベースバンド信号を復調して、これをシグナリング・駆動サブシステム36の駆動信号とする。
【0029】
モデム60はまた、シグナリング信号を上り回線シグナリングベースバンド信号に変調する。第二ミキサー54は上り回線シグナリングベースバンド信号とVCO58からのキャリア信号を受け取り、上り回線シグナリングRF信号を生成する。シグナリング信号のエラー保護のために、モデム60がシグナリング信号にヘッダを付与するようにしてもよい。同様に、シグナリング・駆動システム36に駆動信号を与える前に、モデム60が駆動信号から同様のヘッダを除去するようにしてもよい。
【0030】
次に、双方向アンプ30と第二コンバイナ/デコンバイナ32の動作について簡単に説明する。ドナーアンテナ16からのRF信号は、結合状態の下り回線コントロールRF信号と下り回線RF信号を含んでおり、第一トランシーバフィルタ44から下り回線用パワーアンプ40に送られ、ここで増幅される。増幅後、信号はコントロールフィルタ46に送られ、そこで下り回線RF信号から下り回線コントロールRF信号が分離される。下り回線RF信号は第二トランシーバフィルタ48を介してサーバーアンテナ18へ送られ、サーバーアンテナ18から送信される。サーバーアンテナ18からの上り回線RF信号は、第二トランシーバフィルタ48からコンバイナ52へ送られ、そこで上り回線シグナリングRF信号と結合される。結合された信号は上り回線用パワーアンプ42で増幅され、第一トランシーバフィルタ44を介してドナーアンテナ16へ送られ、ドナーアンテナ16から送信される。主リピータ10の構成機器22、24、26は、補助リピータ14の構成機器と略同様のものであり、それらの機能も略同様なので、ここでは重複する説明は省略する。概略として、主リピータ10では、下り回線RF信号と下り回線コントロールRF信号とは第一コンバイナ/デコンバイナ24のコンバイナ52が結合されてゲートウェイアンテナ12から送信され、ゲートウェイアンテナ12からの上り回線RF信号と上り回線シグナリングRF信号とは第一コンバイナ/デコンバイナ24のコントロールフィルタ46によって分離される。
【0031】
次に、図4のメッセージシーケンスチャートを参照しつつ、コントロールステーション28とシグナリング・駆動システム36との間のデータ交換について説明する。データ交換は、コントロールステーション28が始発になる場合と、シグナリング・駆動システム36が始発になる場合とがある。コントロールステーション28からデータ交換を開始する例としては、エレベータシステム2内のセンサの状態の問い合わせを行う場合とか、エレベータシステム2の特定の機能を制御するためのデータ交換を行う場合を挙げることができる。センサの状態を問い合わせる場合には、コントロールステーション28からシグナリング・駆動システム36に対して、上述の無線通信リンクを介して“remote_initiate”メッセージ(下り回線コントロールデータ)を送る。この“remote_initiate”メッセージは、例えば主リピータ10、より特定的にはそのモデム60によって処理され、上述のようにヘッダが付加される。この処理を受けたメッセージは、“remote_initiate_req”メッセージ(駆動信号)となって、シグナリング・駆動システム36に送られる。ドライバ/センサシステム36は、“remote_initiate”すなわち“remote_initiate_req”メッセージを受け取ると、センサ状態を取得する処理を実行し、センサの状態を知らせる“remote_enabled”メッセージ(シグナリング信号)をコントロールステーション28に送ることにより応答を行う。エレベータシャフト8内でのエレベータカー6の位置に関する情報についても、このような動作でコントロールステーション28に送信されてよい。
【0032】
エレベータシステム2の機能、例えばエレベータカー6を指示されたステップ数で微昇降させるというような機能をコントロールするために、コントロールステーション28からシグナリング・駆動システム36に対して“control_initiate”メッセージ(下り回線コントロールデータ)が送信される。この“control_initiate”メッセージに対して、主リピータ10でヘッダを付加し、“control_initiate_req”メッセージ(駆動信号)としてシグナリング・駆動システム36に送る。ドライバ/センサシステム36では、この“control_initiate_req”メッセージを受信すると、このメッセージ中で指示されたドライバを、当該メッセージの中で指示される1つまたはそれ以上のパラメータに従って制御する処理を行う。この後、ドライバ/センサシステム36は、制御動作が成功裏に行われたかどうかを“control_enabled”メッセージ(シグナリング信号)を通してコントロールステーション28に知らせることにより、コマンドに対して応答する。
【0033】
ドライバ/センサシステム36にインターコム機能を持たせても良い。インターコム機能を設ければ、エレベータカー6のユーザーが信号発生器を作動させてコントロールステーション28と通信することができる。このような特長は、例えばエレベータシステム2が故障した場合、すなわちエレベータカーが上下できなくなったとか、エレベータカーのドアが開かなくなったといった場合に非常に有用である。インターコムを使ってコントロールステーション28と通信するときには、シグナリング・駆動システム36からコントロールステーション28へ“emergency_req”メッセージ(シグナリング信号)が送られる。この“emergency_req”メッセージに対する受信確認として、コントロールシステム28からは“emergencycall_connected”メッセージ (下り回線 コントロールデータ)がシグナリング・駆動システム36に送られる。この一対のメッセージによって、インターコム通話を行えるようになる。緊急通話は、所定の電話番号を呼び出す通常の電話であってもよいし、ショートメッセージサービス(SMS)を介して所定の移動体通信機器の番号に短いテキストメッセージを送信する方法でもよいし、ポケットベルやEメールによる通報であってもよい。また、不具合が発生した場合に、このメッセージ対を利用してコントロールステーション28へ通報を行う自動故障探知機能を、シグナリング・駆動システム36に含めることもできる。その場合には、たとえばコントロールステーション28から上述のコントロール動作を使って遠隔方式による不具合の修正が可能になる。
【0034】
この発明の上述の実施形態によれば、無線通信システム4によりこの発明以前には実質的にRF信号不透過領域であったエレベータカー内部に、RF信号カバレージを拡大するという効果を享受できる。このようなシステムにより、エレベータカー内部の移動通信ステーションからその移動通信システムへのアクセスが可能となる。移動ステーションを利用した通話がエレベータカーの外部で行われていてその移動ステーションがエレベータカー内へ移動したときに、そのエレベータカー内部にアクセス可能なRF信号を持つ別のベーストランシーバーステーション(BTS)へと、シームレスに通信を中継することができる。RFリンクによって移動体通信を可能にすることに加え、前記無線通信システムでは、同じRFリンクを使ってエレベータシステムの遠隔操作や保守を行うことができる。換言すれば、前記無線通信システムは、本質的に異なる2つのシステムが1つのRFアクセスポイントを利用するものである。それゆえ、このような無線通信システムは、本質的に異なる2つのシステムを2つの別々の無線通信システムでサポートする場合と比較してコストが低いものとなる。
【0035】
この発明をエレベータシステムに適用するという場合を取り上げて説明してきたが、これを限定と解釈すべきではない。例えば、別の実施形態として、図5に示すように、列車車両72のような移動搬送器が通るトンネル70内へとRF信号カバレージを拡大する利用を挙げることができる。このような場合、ゲートウェイアンテナ12はトンネル70の入口に設け、ゲートウェイアンテナ12からのRF信号がトンネル70内部に向けて放射されるようにする。このような利用の場合であって、特にトンネルが長い場合には、トンネル70内部に、相互に間隔を置いて複数の補助リピータ14をカスケード配置してもよい。このようにして、衰弱したRF信号を補助リピータ14で受信し再発信することができる。換言すれば、複数の補助リピータ14でトンネル70の全長にわたってRF信号をブーストしてトンネル70全体をカバーする。これにより、トンネル70内部全体について実質的に均一なRF信号カバレージが実現される。補助リピータ14は、トンネル70内の移動ステーション40あるいはトンネル70を通過中の列車車両72からRF通信を受信することができる。図6に示すように、エレベータカーおよびエレベータシャフトにおける実施形態と同様の、補助リピータ14を利用したコントロールデータの送信およびシグナリングデータの受信を、トンネル70内の運行および保守(OAM=Operations and Maintenance)システム74との間で行ってもよい。OAMシステム74は、例えば鉱山において温度、圧力、ガスレベルの遠隔監視およびコントロール用としても用いることができる。また、鉱山の外部にコントロールステーションを設置し、こういったOAMシステム74を利用して、坑内で稼動する石炭搬送用無人トロッコのような移動搬送器の遠隔制御を実現することもできる。
【0036】
上述の実施形態のいずれについても、第二ゲートウェイアンテナ12は別の入口ポイント、たとえばトンネル70の第二の入口、に設置し、第一ゲートウェイアンテナが故障した場合の第一ゲートウェイアンテナ12のバックアップ用としてよい。図7はこのような冗長性を持たせた構成を示すものである。あるいは、第二ゲートウェイアンテナ12から、第一ゲートウェイアンテナ12とは別系統の移動体通信システムのRF信号を、トンネル70に向けて発信させてもよい。このようにすれば、トンネル70内部において2つまたはそれ以上の移動体通信システム用RF信号カバレージを実現することができる。
【0037】
複数の補助リピータを、移動搬送器とともに用いる実施形態では、図8に示すように、補助リピータ14を移動搬送器内、たとえば列車車両72内に搭載して列車車両72内部のRF信号強度を高めるようにしてもよい。最初の補助リピータ14にカップリングされたドナーアンテナ16は最初の列車車両72の外部に搭載する。他の補助リピータ14にカップリングされたドナーアンテナ16と、各補助リピータ14にカップリングされたサーバーアンテナ18は、それぞれの列車車両72の内部に取り付ける。最初の補助リピータ14が主リピータあるいはゲートウェイリピータとなり、これにカップリングされたサーバーアンテナ16がゲートウェイアンテナとなる。最後の補助リピータ14も主リピータとして機能するが、この補助リピータも同様に列車の最終車両72に図9のように搭載して、冗長システムを構成するか上述のように別系統のRF信号カバレージを提供するようにしてもよい。このほかに、補助リピータ14を列車車両72以外、すなわちトンネル70内部に設置して列車車両の内外ともに強いRF信号を利用できるようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)信号から少なくとも実質的に遮蔽された閉鎖環境と前記閉鎖環境の外部との間にRFリンクを構成する無線通信システムであって、
前記閉鎖環境の入口ポイントに設置され、前記閉鎖環境への下り回線RF信号の送信および前記閉鎖環境からの上り回線RF信号の受信を行う少なくとも1つのゲートウェイアンテナ、
前記閉鎖環境内に設置される少なくとも1つの補助リピータ、
前記補助リピータにカップリングされるドナーアンテナ、および
前記補助リピータにカップリングされるサーバーアンテナを備え、
前記補助リピータは前記ドナーアンテナおよび前記サーバーアンテナを使用して前記下り回線RF信号および前記上り回線RF信号をリレーする、無線通信システム。
【請求項2】
前記補助リピータは前記閉鎖環境内を移動可能な移動搬送器に搭載され、前記ドナーアンテナは前記移動搬送器の外部に設置され、前記サーバーアンテナは前記移動搬送器の内部に設置される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記閉鎖環境はエレベータシャフト内であり、前記移動搬送器はエレベータカーであり、前記ゲートウェイアンテナは前記エレベータシャフトの天井に設置される、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記補助リピータは、前記移動搬送器と前記ゲートウェイアンテナとの距離に基づいてゲイン調整の可能な双方向アンプを含む、請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記閉鎖環境内において複数の補助リピータが相互に離間してカスケード配置される、請求項1から4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記複数の補助リピータは第一および第二の補助リピータグループを含み、前記第一グループの補助リピータは、列車状に連結されて前記閉鎖環境内を移動可能な移動搬送器のそれぞれに設置され、かつ、前記第一グループの補助リピータのうちの少なくとも先頭の補助リピータまたは最後尾の補助リピータにカップリングされるドナーアンテナは当該移動搬送器の外部に設置され、前記第一グループの補助リピータのうち上記以外の補助リピータにカップリングされるドナーアンテナおよび前記第一グループの各補助リピータにカップリングされるサーバーアンテナは各移動搬送器内に設置され、前記第二グループの補助リピータは前記閉鎖環境内で前記移動搬送器とは別の場所に固定して設置される、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記閉鎖環境はトンネル内である、請求項5または6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記閉鎖環境の各入口ポイントのそれぞれにゲートウェイアンテナが設置される、請求項5から7のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
コントロールステーションにカップリングされ、下り回線コントロールデータを対応する下り回線コントロールRF信号に変換すると共に、上り回線シグナリングRF信号を対応する上り回線シグナリングデータに変換する第一インタフェース、
前記第一インタフェースにカップリングされ、前記下り回線RF信号と前記下り回線コントロールRF信号とを結合して前記ゲートウェイアンテナから送信させると共に、前記ゲートウェイアンテナで受信した前記上り回線シグナリングRF信号から上り回線RF信号を分離する第一コンバイナ/デコンバイナ、
シグナリング・駆動システムにカップリングされ、前記下り回線コントロールRF信号を駆動信号に変換すると共に、シグナリング信号を前記上り回線シグナリングRF信号に変換する第二インタフェース、および
前記第二インタフェースにカップリングされ、前記上り回線RF信号と前記上り回線シグナリングRF信号とを結合して前記補助リピータの前記ドナーアンテナから送信させると共に、前記補助リピータの前記ドナーアンテナで受信した前記下り回線コントロールRF信号から前記下り回線RF信号を分離する第二コンバイナ/デコンバイナをさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記シグナリング・駆動システムは前記移動搬送器に設置され、前記駆動信号に基づいて前記移動搬送器を制御するドライバ、および前記移動搬送器の状態に基づいて前記シグナリング信号を生成するセンサを含む、請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記シグナリング・駆動システムはさらに、前記移動搬送器のオペレータが操作可能な信号発生器を含む、請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項12】
エレベータシャフト、
前記エレベータシャフト内を移動可能なエレベータカー、
前記エレベータシャフトの天井に設置され前記エレベータシャフト内への下り回線RF信号の送信と前記エレベータシャフト内からの上り回線RF信号の受信とを行う少なくとも1つのゲートウェイアンテナ、
前記エレベータカーに搭載される補助リピータ、
前記補助リピータにカップリングされ前記エレベータカーの外部に設置されるドナーアンテナ、および
前記補助リピータにカップリングされ前記エレベータカーの内部に設置されるサーバーアンテナを備え、
前記補助リピータは前記ドナーアンテナおよび前記サーバーアンテナを使用して前記エレベータカーの内外間の前記上り回線RF信号および前記下り回線RF信号のリレーを行う、エレベータシステム。
【請求項13】
コントロールステーションにカップリングされ、下り回線コントロールデータを対応する下り回線コントロールRF信号に変換すると共に、上り回線シグナリングRF信号を対応する上り回線シグナリングデータに変換する第一インタフェース、
前記第一インタフェースにカップリングされ、前記下り回線RF信号と前記下り回線コントロールRF信号とを結合して前記ゲートウェイアンテナから送信させると共に、前記ゲートウェイアンテナで受信した前記上り回線シグナリングRF信号から上り回線RF信号を分離する第一コンバイナ/デコンバイナ、
シグナリング・駆動システムにカップリングされ、前記下り回線コントロールRF信号を駆動信号に変換すると共に、シグナリング信号を前記上り回線シグナリングRF信号に変換する第二インタフェース、および
前記第二インタフェースにカップリングされ、前記上り回線RF信号と前記上り回線シグナリングRF信号とを結合して前記補助リピータの前記ドナーアンテナから送信させると共に、前記補助リピータの前記ドナーアンテナで受信した前記下り回線コントロールRF信号から前記下り回線RF信号を分離する第二コンバイナ/デコンバイナをさらに含む、請求項12に記載のエレベータシステム。
【請求項14】
前記シグナリング・駆動システムは前記エレベータカーに設置され、前記駆動信号に基づいて前記エレベータカーを制御するドライバ、および前記エレベータカーの状態に基づいて前記シグナリング信号を生成するセンサを含む、請求項13に記載のエレベータシステム。
【請求項15】
前記シグナリング・駆動システムはさらに、前記エレベータカーのオペレータが操作可能な信号発生器を含む、請求項14に記載のエレベータシステム。
【請求項16】
前記センサは前記エレベータシャフト内における前記エレベータカーの位置に関する情報を提供するものであり、前記センサは前記補助リピータに接続されて前記補助リピータのアンプのゲイン調整のためにその情報が使用されるとともに、前記第一インタフェースに接続されて、前記コントロールステーションによる、前記エレベータシャフト内の前記エレベータカーの位置制御にその情報が使用される、請求項15に記載のエレベータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−30232(P2011−30232A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181105(P2010−181105)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【分割の表示】特願2005−510940(P2005−510940)の分割
【原出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(506177637)コンシステル プライベート リミテッド (2)
【Fターム(参考)】