無線通信システムおよび無線端末装置
【課題】基地局とセンサノードとの間のみならず、センサノード間通信における輻輳を容易に回避可能な無線通信システムおよび無線端末装置を提供することにある。
【解決手段】基地局と通信するための無線送受信部と、他の無線端末と通信するための赤外線送受信部と、上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線チャネルの空き状態を検出してから、無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記赤外線送受信部によって他の無線端末に識別子情報を送信する通信制御部とを備えた無線端末装置。
【解決手段】基地局と通信するための無線送受信部と、他の無線端末と通信するための赤外線送受信部と、上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線チャネルの空き状態を検出してから、無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記赤外線送受信部によって他の無線端末に識別子情報を送信する通信制御部とを備えた無線端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、更に詳しくは、センサを備えた複数の無線端末から情報を収集するセンサネットに適した無線通信システムおよび無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、センサを搭載した小型の無線端末装置(以下、センサノードと呼ぶ)からリアルタイムに情報を収集するネットワークシステム(以下、センサネットと呼ぶ)の研究開発が進んでいる。センサネットは、複数のセンサノードで、人、物、環境の状態情報をセンシングし、これを無線ネットワークを介して、管理装置(監視センタ)にリアルタイムで伝送するようにしたネットワークシステムである。センサネットは、各センサノードに電源(電池)と無線通信機能とを装備しておくことによって、各センサノードと中継網との間の接続配線を不要にできるため、無線基地局と通信可能な範囲内にセンサノードを容易に配置し、これまで不可能であった状況監視が可能となる。
【0003】
センサネットは、中継網(イントラネット/インターネット)に接続された複数の基地局と、各基地局の周辺に位置した複数のセンサノードと、上記中継網に接続された管理装置とから構成される。管理装置には、一般的なコンピュータまたはサーバが適用される。各センサノードは、人、物体、あるいは環境の状態を適宜センシングし、センシングデータとセンサノードIDとを含むデータパケットを所定の通信フレーム形式で無線で基地局に送信する。
【0004】
基地局は、センサノードから受信したデータパケットに、例えば、タイムスタンプや基地局ID等の制御情報を附加した後、これを中継網(イントラネット/インターネット)経由で、管理装置に転送する。管理装置(監視センタ)、例えば、サーバは、各基地局から受信したセンシングデータ、センサノードID、タイムスタンプ、基地局ID等の情報を蓄積し、システムの目的に応じたデータ管理、データ分析を行う。
【0005】
センサノードは、例えば、監視エリアでのセンサノードの設置作業を容易にするため、あるいは、人がセンサノードを身につけた状態で、自由に行動できるようにするために、小型、軽量化し、メンテナンスフリーで長時間動作できることが望まれる。小型電池で長時間動作させるためには、各センサノードの消費電力をできるだけ少なくする工夫が必要となる。
【0006】
センサノードの消費電力の低減策としては、例えば、センサノードの状態を、センシングや無線通信を実行するアクティブモードと、動作休止状態となるスタンバイモードに切り替え可能にしておき、センサノードを間歇的にアクティブモードにして、スタンバイモードの期間中は、タイマ以外の電子回路(プロセッサを含む)を電源オフ状態にすることによって、消費電流を大幅に削減する方法が知られている。
【0007】
上述したセンサネットにおける情報収集は、センサによる単純なセンシングに制限されるものではない。例えば、各センサノードに、無線送受信器とは別に赤外線送受信器を搭載しておき、赤外線送信器で自分のノード識別子を定期的に送信すると共に、他のセンサノードからのノード識別子の受信状態を管理装置(監視センタ)に報告させることによって、センサノード間のインタラクションの状態を監視することが可能となる。この場合、赤外線送受信器が互いに対向した位置関係にあるセンサノード間でのみ、ノード識別子が正常に送受信できるように、各センサノードから、或る程度の指向性をもった赤外線を送信させることによって、センサノード間の位置関係やインタラクションの変化を検出することが可能となる。
【0008】
赤外線による識別子(ID)情報の送受信によって、対面状態にある対象物を検出するシステムとして、例えば、ELPAS(Electro-Optical Systems)社(イスラエル)の赤外線ロケーションシステム:EIRIS(ELPAS InfraRed Identification and Search system)がある。このシステムでは、バッジと呼ばれる送信機から、拡散赤外線方式で、送信元バッジIDを含んだ信号を4秒毎に発信しておき、これをリーダと呼ばれる受信機で受信し、制御用PCで解析することによって、バッジを身につけた人物の位置をモニタリングしている。
【0009】
このようなウェアラブルなセンサノードを利用したシステムでは、複数のノードが、同一タイミングで赤外線信号を送信した場合、送信信号の衝突あるいは重なりによって、受信側での信号の識別が困難になる。そこで、赤外線通信の標準規格であるIrDAでは、赤外線信号を正常に受信できたノード(端末)が、送信側に確認応答(ACK:Acknowledgement)信号を返信することを前提として、赤外線信号を送信してから所定時間内にACK信号を受信できなかった時、送信側が同一の信号を再送することによって、赤外線信号の衝突、競合による失敗をリカバリするようにしている。
【0010】
無線信号の競合を回避する方法として、例えば、特開2005−45330号公報(特許文献1)では、通信方式が異なる無線LANモジュールとBluetoothモジュールとを備えた無線アクセスポイントの制御部が、各通信方式における通信状態に基いて、送受信タイミング制御信号を生成し、この通信タイミング制御信号に基づいて、上記2つのモジュールを互いに異なった時間帯で動作させることを提案している。具体的には、第1の期間は、ポーリング方式による無線LAN通信に割り当て、無線アクセスポイントに、無線LANインタフェースを備えた複数のパソコンと通信させ、第2の期間は、非ポーリング方式のBluetooth通信に割り当て、無線アクセスポイントに、Bluetoothインタフェースを備えた複数のパソコンと通信させている。
【0011】
また、WO2002/091683号公報(特許文献2)は、各無線端末が、アクセスポイントとして機能する制御局を経由して、他の無線端末と通信する第1の通信システムと、アドホック・ネットワークのように、各無線端末が、制御局を経由することなく、他の無線端末と通信する第2の通信システムとを統合した場合の通信の衝突防止方法を提案している。特許文献2では、各端末が、第1の通信システム用の送受信部と、第2の無線システム用の送受信部とを備え、第2の通信システムを利用したい無線端末が、第1の通信システムの制御局から報知されたネットワーク情報に基いて、上記制御局に第2の通信システムのチャネル割当てを要求し、上記制御局から受信したチャネル割当て情報に基いて、他の無線端末に情報を送信するようにしている。
【0012】
【特許文献1】特開2005−45330号公報
【特許文献2】WO2002/091683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
センサネットでは、基地局とセンサノードとの間の通信衝突を回避する輻輳のみならず、センサノード間通信における輻輳も回避する必要がある。特に、バッジ型のようなウェアラブル性を考慮した小型センサノードにおいては、これらの輻輳を簡易な方式で回避することが望まれる。しかしながら、特許文献1、2は、何れも、アクセスポイントとなる制御局が、情報伝送形式の異なる2つの通信システムの伝送時間帯を制御しており、制御局に特殊な機能が必要となっている。
【0014】
本発明の目的は、基地局とセンサノードとの間のみならず、センサノード間通信における輻輳を容易に回避可能な無線通信システムおよび無線端末装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、消費電力の低減に有効なセンサネット用の無線端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の無線端末装置は、基地局と通信するための第1の無線送受信部と、他の無線端末と通信するための第2の無線送受信部と、上記基地局の無線チャネルの状態が、通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線チャネルの空き状態を検出してから、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備えたことを特徴とする。
ここで、輻輳制御部は、例えば、キャリアセンスによって、基地局での無線通信が衝突しない状態か否かを判定する。第2の無線送受信部は、例えば、赤外線送受信部であり、自端末の識別情報を他の無線端末に送信する。
【0016】
本発明の無線端末装置によれば、輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることを検出してから、第1の無線送受信部による基地局との無線通信が実行されるため、基地局で複数の送信フレームが競合する可能性は極めて少ない。また、第2の無線送受信部による他の無線端末への情報送信は、基地局との無線通信が終了した時に開始されるが、この時点では、他の無線端末は、待機中、無線チャネルの空き状態を検出中、基地局との無線通信を開始した直後の何れかであり、他端末との通信は開始していない。従って、第2の無線送受信部、例えば、赤外線送受信部による情報送信が、基地局との通信所要時間よりも短時間で完了する限り、他の無線端末からの情報送信と競合する可能性も極めて低い。
【0017】
更に詳述すると、本発明の無線端末装置は、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、上記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを基地局に送信することを特徴とする。但し、上記通信フレームは、無線端末装置が備えるセンサで検知されたセンシングデータを含んでもよい。
【0018】
本発明の無線端末装置は、上記通信制御部が、所定の周期でアクティブモードとなって、上記輻輳制御部による無線通信状態検出と、上記第1、第2の無線送受信部による無線通信を実行し、他の無線端末への情報送信の終了後に、スタンバイモードに移行することを特徴とする。
【0019】
本発明の無線通信システムは、複数の無線端末装置と、ネットワークを介して管理装置に接続された複数の無線基地局とからなり、
上記各無線端末装置が、上記何れかの基地局と通信するための第1の無線送受信部と、他の無線端末装置と通信するための第2の無線送受信部と、上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線通信が衝突しない状態であることが検出された時、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備え、
上記各無線基地局が、上記無線端末装置から受信した通信フレームの内容を上記管理装置に転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無線端末装置と基地局との間のみならず、無線端末装置間通信における競合や輻輳も効果的に回避できるため、同一フレームの再送動作が少ない無線端末装置および無線通信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるセンサネットの1例を示す。
センサネットは、複数のセンサノード10(10A−1、10A−2、10A−3、・・・、10B−1、・・・)と、中継網(イントラネット/インターネット)NWに接続された複数の基地局30(30A、30B、・・・)と、中継網NWに接続されたサーバ40とからから構成されている。サーバ40は、センサネットにおける管理装置または監視センタとして機能する。
【0022】
各センサノード10は、何れかの基地局30を介して、センシング情報をサーバ40に通知する。図示したセンサネットでは、センサノード10A−1〜10A−3は基地局30Aと交信可能な範囲内に位置し、センサノード10B−1は、基地局10Bと交信可能な範囲内に位置している。
【0023】
図2は、センサノード10のハードウェア構成の1実施例を示す。
センサノード10には、マイコン(プロセッサ部、メモリ)11と、無線送受信部(第1無線部)12と、赤外線送受信部(第2無線部)13と、タイマ部RTC(Real Time Clock)14と、電源(電池)15とからなり、マイコン11は、内部バスを介して、複数のセンサ部および入出力部に接続されている。
【0024】
ここに示したセンサノード10は、人が身につけるウェアラブルなセンサノードとなっており、センサ部として、照度センサ121と、温度センサ122と、加速度センサ123を備え、入出力部として、液晶表示画面(LCD:Liquid Crystal Display)124と、発行素子(LED:Light Emitting Diode)125と、スピーカ(またはブザー)126と、入力ボタン127と、マイク128を備えている。
【0025】
LCD124には、センサ部で検知した各種のセンシングデータや、無線状態、基地局30から受信したメッセージ等の情報がドット形式で表示される。LED125は、ノードの動作状態を視覚化するために利用され、特定イベントの発生時、例えば、メッセージの受信時に点灯する。また、スピーカ126は、例えば、サーバ40から受信した音声データの再生と、鳴音による特定イベントの通知に利用される。ボタン127は、LCD画面のスクロール操作や、LCD画面に表示された選択肢の選択など、ユーザインタフェースの操作に利用される。マイク128は、1種のセンサであり、センサノード10周辺の環境音や人の発話情報を取得する。取得された音声情報は、音声データ化され、無線パケットとしてサーバ40に送信される。
【0026】
本実施例において、マイコン11は、輻輳制御部110と通信制御部111を備え、センシングデータの蓄積用メモリ領域として、赤外線データ領域112、加速度データ領域113、音声データ領域114を備えている。RTC14は、常に動作状態にあり、例えば、第1タイマ141で無線通信時間を管理し、第2タイマ142でセンシング時間を管理する。これらのタイマから出力される割り込み信号によって、センサノード10の動作モードが、スタンバイモードからアクティブモード、逆に、アクティブモードからスタンバイモードに切替えられる。センサノード10の動作モードは、通信制御部111によって制御される。
【0027】
マイコン11は、アクティブモード期間中に、入出力部の制御、センサ部へのセンシング実行命令の出力、無線送受信部12および赤外線送受信部13によるデータの送受信など、センサノード10の全体動作を制御する。本実施例では、RTC14と赤外線送受信部13は、常に稼動状態にあり、センサノード10がスタンバイモードになった時、RTC14と赤外線送受信部13以外の電子回路(マイコン11を含む)をオフ状態にすることによって、消費電力を抑える。
【0028】
マイコン11は、アクティブモードの期間中に、各種センサ121〜123からセンシングデータをメモリ領域112〜114に取り込み、センシングデータとノード識別子を含む無線通信フレームを生成して、これを無線送受信部12を介して基地局30に送信する。また、アクティブモードの期間中に、無線送受信部12が基地局30から受信した制御データを取り込み、制御データに応じた制御動作を実行し、後で詳述するように、赤外線送受信部13を介して、センサノード自身のID情報を含むパルス信号を送信する。
ここに示したセンサノード10は、例えば、人体の正面に装着しておき、人の動きに伴って基地局の周辺を移動させることができる。この場合、センサノード10は、人と人との対面検出にも応用できる。
【0029】
基地局30は、センサノード10からの送信された無線フレームを正常に受信できた場合、送信元センサノード10にACK信号を返送する。センサノード10は、ACK信号を受信することによって、自分が送信したセンシングデータが、基地局で正しく受信されたものと判断する。
基地局30は、送信元センサノード10にACK信号を返送した後、受信データを中継網NWを介してサーバ40に転送する。但し、基地局30からのACK信号を受信したセンサノード10に、無線フレームの送信終了を示すACK信号を送信させ、このACK信号を受信した時点で、基地局30からサーバ40に受信データを転送するようにしてもよい。
【0030】
基地局30に対して、仮に複数のセンサノード10が略同時に無線フレームの送信を開始した場合、送信信号の衝突によって、無線フレームを正常受信することができないため、基地局30からのACK信号の返送はない。無線フレームの送信元となった各センサノードは、一定時間内にACK信号を受信できなければ、送信フレームを基地局で正しく受信できなかったものと判断し、それぞれランダムな待ち時間が経過した時点で、同一センシングデータの再送を試みることになる。
【0031】
本実施例では、上述した同一センシングデータの再送を回避するために、各センサノード10が、基地局30との無線通信に先立って、個別に輻輳制御を行なう。具体的に言うと、センサノード10の輻輳制御部110が、基地局30への無線フレームの送信に先立って、キャリアセンスにより、基地局の無線チャネルが空き状態か否か、換言すれば、他のセンサノードが基地局30と無線通信中か否かを判定する。
【0032】
他のセンサノードが、基地局30と無線通信中であれば、キャリアセンスを繰り返して、無線通信が衝突しない状態となるのを待つ。但し、キャリアセンスを一旦中止し、ランダムな時間が経過した後、キャリアセンスを再開するようにしてもよい。キャリアセンスの結果、基地局30と無線通信中のセンサノードが存在しないと判断できた場合、センサノード10は、直ちに無線通信状態となり、基地局30に無線通信フレームを送信する。
【0033】
センサノード10と基地局30との間の通信フレームには、センサノード10から基地局30に向かう上り通信フレームと、基地局30からセンサノード10に向かう下り通信フレームとがある。上り通信フレームは、センサノードで検出した温度、照度、加速度などのセンシングデータと、赤外線送受信部で検知した他のセンサノードの識別子とをサーバ40に送信するためのものであり、下り通信フレームは、例えば、時計用タイマへの設定時刻、センシング間隔、無線フレームの送信周期、サンプリングレート等の制御パラメータの設定値を変更するために、サーバ40からセンサノード10に制御コマンドを与えるためのものである。下り通信フレームには、基地局30からのセンサノード10に送信するACK信号フレームも含まれる。
【0034】
図3は、アクティブモード期間中に各センサノード10が実行する輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す。ここでは、同一の基地局内30Aを介してサーバ40と通信する二つのセンサノード10A−1、10A−2の動作を示している。各センサノード10は、基地局から指定された所定の通信周期T0で、スタンバイモードからアクティブモードに切替えられ、無線通信フレームを基地局30に送信する。
【0035】
アクティブモードに切替えられたセンサノード10A−1は、通信フレームの送信に先立って、キャリアセンスによる輻輳制御211−1を実行し、無線通信が衝突しない状態であることを確認した上で、基地局30と無線通信212−1を開始する。無線通信212−1では、センサノード10A−1から基地局30Aに無線通信フレームを送信し、この無線通信フレームを正常に受信した時、基地局からセンサノード10A−1にACK信号を返信する。本実施例では、基地局からACK信号を受信したセンサノード10A−1が、直ちに赤外線通信状態213−1になり、自分のノード識別子を含む通信フレームを赤外線送受信部13で他のセンサノードに送信することに特徴がある。
【0036】
尚、キャリアセンスで無線通信が衝突しない状態であることが判定された場合でも、例えば、センサノード10A−2が、センサノード10A−1のキャリアセンスでは検出できない場所に位置していた場合、センサノード10A−1と10A−2が同時に無線通信を開始し、結果的に、これら2つのノードの無線信号に衝突が発生する可能性がある。これは、隠れ端末問題として知られた現象である。そこで、本実施例では、センサノード10A−1が、基地局30AからのACK信号の受信を待って、赤外線通信213−1を開始している。基地局30Aに無線通信フレームを送信してから所定時間内にACK信号を受信できなければ、センサノード10A−1は、ランダムに決定した待ち時間が経過した時点で、前回の送信フレームと同一内容の無線通信フレームを基地局30Aに再送する。
【0037】
センサノード10A−1は、赤外線通信213−1が終了すると、スタンバイモードに移行し、タイマー141が示す所定の周期T0で、次回の通信シーケンス(輻輳制御211−2、無線通信212−2、赤外線通信213−2)を繰り返す。
センサノード10A−2も、センサノード10A−1と同様、基地局30に無線フレームを送信する前に、キャリアセンスによる輻輳制御(221−1)を実行し、他のセンサノードが基地局30と無線通信中でないことを確認して、基地局30と無線通信(222−1)を開始し、無線フレームの送受信が正常終了すると、直ちに他のセンサノードとの赤外線通信を開始する(223−1)。
【0038】
上述したように、本実施例では、各センサノード10が、基地局30との無線通信が完了した時、直ちに赤外線通信を実行している。基地局との無線通信の開始時刻は、事前に行われる輻輳制御によって、センサノード毎に異なっており、無線通信の完了と赤外線通信の開始タイミングも、センサノード毎に必ず異なっている。また、キャリアセンスによる輻輳制御の所要時間も含めると、センサノード10と基地局30との間の無線通信期間は、赤外線通信期間よりも長くなっているため、各センサノードが、無線通信期間の直後に赤外線通信を開始すれば、赤外線通信期間が他のセンサノードの赤外線通信期間と重なることはない。
【0039】
従って、各センサノード10の赤外線送受信部13で、他のセンサノードから送信された赤外線信号をいつでも受信できるようしておき、赤外線信号が検知された時点で、割込み信号によってマイコン11(通信制御部110)を起動するようにしておけば、ノード識別子を含む赤外線信号の受信処理が可能となる。
【0040】
図4は、センサノード10(10A−1〜10A−3)と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第1の実施例を示す。ここでは、センサノード10A−1と10A−2、10A−2と10A−3が、互いに赤外線通信可能な位置関係(距離と角度)にあり、センサノード10A−1と10A−3は、赤外線通信不可能な位置関係にあるものと仮定している。
【0041】
センサノード10A−1は、キャリアセンスによる輻輳制御(211)を行ない、無線通信が衝突しない状態であることを確認して、基地局30Aに無線通信フレームを送信する(212T)。基地局30Aは、無線通信フレームの受信に成功すると、センサノード10A−1にACKフレームを返送し(301−1)、受信フレームの内容をデータパケットとしてサーバ40に転送する(302−1)。センサノード10A−1は、基地局30AからACK信号を受信すると(212T)、赤外線通信によって、自分のノード識別子を所定の方向に送信する(213)。センサノード10A−1から送信されたノード識別子は、センサノード10A−2によって受信される(214)。
【0042】
センサノード10A−1と同様に、センサノード10A−3も、キャリアセンスによる輻輳制御(231)を行い、無線チャネルが空き状態にあることを確認して、基地局30Aに無線通信フレームを送信する(232T)。基地局30Aは、無線通信フレームの受信に成功すると、センサノード10A−3にACKフレームを返送し(301−1)、受信フレームの内容をデータパケットとしてサーバ40に転送する(302−2)。センサノード10A−3は、基地局30AからACK信号を受信すると(232T)、赤外線通信によって、自分のノード識別子を所定の方向に送信する(233)。センサノード10A−3から送信されたノード識別子は、センサノード10A−2によって受信される(234)。
【0043】
センサノード10A−3は、赤外線通信によって検出した他のセンサノード(ここでは、センサノード10A−1と10A−3)のノード識別子を蓄積しておき、次回の無線通信タイミングで、これをセンシングデータの一部として、無線通信フレームで基地局30Aに送信する(221〜223)。センサノード10A−3と同様、センサノード10A−1、10A−3も、赤外線通信で他のセンサノードのノード識別子を受信していた場合は、これを無線通信フレームで基地局30Aに送信する。
【0044】
ここで、無線通信に続いて実行される赤外線通信(213、223、233)では、各センサノードに固有のノード識別子を送信すれば済むため、無線通信(212T〜212R、222T〜222R、232T〜232R)の所要時間よりも短時間で完了できる。
従って、本実施例のように、各センサノードが、個別の輻輳制御により、無線通信が衝突しない状態であることを確認した上で、基地局との無線通信を開始し、無線通信の終了時点で直ちに赤外線通信を開始するようにした場合、複数センサノードの赤外線通信に競合が発生するおそれはない。例えば、センサノード10A−1が赤外線通信213を実行した時、センサノード10A−3は、輻輳制御(231)を実行中か、無線通信(232T、232R)を開始した直後であり、センサノード10A−3が無線通信後に開始する赤外線通信233と、センサノード10A−1の赤外線通信213とが、時間的に重なることはない。
【0045】
図5は、赤外線通信フレームと送信信号波形の1例を示す。
赤外線で送信される通信フレームは、送信元センサノードの上位IDを示すフィールド401と、下位ID402を示すフィールドと、エラー訂正コードを示すフィールド403とからなる。各センサノードの赤外線送受信部13は、上記通信フレームを符号化した後、赤外線パルス信号400として送信する
図6は、センサノード10の外観の1例を示す。
センサノード10の表面側には、LCD124、LED125、ボタン127、スピーカ126、マイク128が搭載され、マイコン11、RTC14、電池14、加速度センサ123は、ノード筐体に内蔵されている。赤外線送受信器13は、ノードの表面側に搭載され、照度センサ121は、ノードの向きを判定できるように、表裏両面にそれぞれ搭載されている(121A、121B)。
【0046】
例えば、マイコン11で、照度センサ121Aと121Bの出力を比較し、照度センサ121Aの出力が明らかに低い場合は、赤外線送受信器13が物体または人体で覆われた状態にあるものと判断し、赤外線通信を中止する。また、加速度センサ123の出力信号から、センサノードの動きが激しいと判断された時も、赤外線の送信信号が相手ノードで正しく受信される可能性が低いため、赤外線通信を中止する。
【0047】
図7は、各種センサによる検出結果と赤外線送受信器13による検出結果とを送信するための無線通信フレームの1例を示す。
アプリケーションヘッダ(Application Header)フィールド601は、センサネットに適用されたアプリケーション種類を示す。データタイプ(Data type)フィールド602は、無線フレームのフォーマット識別情報を示す。
【0048】
温度フィールド603と照度フィールド604は、それぞれ温度センサ121と照度センサ122で検出されたセンシングデータを示す。無線通信フレームの送信周期内に複数回のセンシングが行われた場合は、最新のセンシングデータが採用される。電池電圧値フィールド605は、電源15の出力電圧の値を示す。
【0049】
RSSI(Received Signal Strength Indicator)値フィールド606は、ACK信号など、基地局から受信した無線信号の電波強度の測定値を示す。リザーブフィールド607は、未使用のフィールドであり、オールゼロの値が設定される。
【0050】
検出ノード個数フィールド608は、無線通信周期T0内に赤外線通信で検出された他のセンサノード個数、すなわち、周期T0内で受信した値の異なるセンサノード識別子の個数Nを示す。
【0051】
対面識別子k(k=1〜16)フィールド(609、611、613、・・・、639)は、検出されたN個のセンサノードのうちのk番目のセンサノードの識別子を示し、検出回数kフィールド(610、612、・・・、640)は、周期T0内でのk番目のセンサノード識別子の検出回数(受信回数)を示している。対面識別子フィ−ルドと検出回数フィールドの個数は、各基地局に収容可能なセンサノードの最大個数に応じて決定される。
【0052】
本実施例では、各センサノードは、各周期T0内に他のセンサノードから受信したセンサノード識別子と、識別子毎の検出回数とをテーブル形式で蓄積しておき、センサ部で検出したセンシングデータ603、604および電池電圧値605と共に、図7に示した無線フレームフォーマットで基地局30に送信する。
【0053】
基地局30が無線フレームの受信に失敗した場合、同一のデータを再送する必要があるため、各センサノードには、例えば、奇数周期用テーブルと偶数周期用テーブルの2面のテーブルを用意しておき、周期毎にテーブルを切替えて検出データを蓄積し、データ送信に成功した時点で、前周期で使用したテーブル内容をクリアするとよい。
【0054】
本実施例では、ノード識別子毎の受信回数をカウントしているため、周期T0内での赤外線通信回数が増加しても、データ蓄積に必要なメモリ容量は固定で済む。従って、上記無線フレームフォーマットは、多数回の赤外線通信記録の送信に適しており、センシングデータの送信周期T0が変更された場合でも、各センサノードから基地局に固定フォーマットでデータ送信できるという利点がある(以下、第1の方式とする)。
【0055】
図8は、無線通信フレームの他の例を示す。
フィールド601と608は、図7と同様である。対面識別子k(k=1〜8)フィールド(709、711、713、・・・、723)は、検出されたN個のセンサノードのうちのk番目のセンサノードの識別子を示し、タイムスタンプフィールド(710、712、・・・、724)は、k番目のセンサノード識別子の受信時刻を示している。
【0056】
本実施例では、周期T0内で受信されたセンサノード識別子毎の受信時刻(タイムスタンプ)を基地局30に通知するようにしているため、周期T0内での赤外線通信回数が増加すると、データ蓄積に必要なメモリ容量も増加する。従って、この通信フレームは、各センサノードが、データ蓄積用として十分大きいメモリ容量をもつ場合に適している(以下、第2の方式とする)。
【0057】
尚、図7、図8の通信フレームは、センシング情報とノード識別子情報の両方を含んできるが、アプリケーション次第で、何れか一方の情報のみを基地局に送信するようにしてもよい。また、無線送信周期とセンシング周期とを分割することによって、無線フレームサイズを図8の方式ほど大きくせずに、センシング周期単位での赤外線検出時刻を取得する方式も考えれれる。この方式(以下、第3の方式とする)では、センシング周期毎にタイムスタンプを附与する。図8の方式では赤外線を検出する度に、その検出時間を記録する。一方、第3の方式ではセンシング周期毎にタイムスタンプが附与されるため、第2の方式に比べて、データサイズが小さくて済む利点がある。また、第1の方式に比べ赤外線の検出時刻をより細かく取得することが可能となる。
【0058】
図9は、センサノード10(10A−1〜10A−3)と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第2の実施例を示す。
本実施例は、基地局との無線通信を終えた各センサノードが、無線通信周期T0内に、赤外線によるセンサノード識別子の送信を複数回繰り返すことを特徴としている。
【0059】
前述したように、各センサノード10は、個別に輻輳制御をして、無線通信(212、222、232、・・・)を開始しているため、無線通信の直後に実行される赤外線通信では、他のセンサノードと競合することなくノード識別子を送信できる。しかしながら、同一周期T0内で行われる2回目以降の赤外線通信では、他のセンサノードとの競合を回避できる保証は無い。
【0060】
そこで、本実施例では、図10に示すように、2回目以降の赤外線通信は、他のセンサノードの1回目の赤外線通信と重ならないように、前回の送信時刻から一定時間t±ランダム時間r(r1、r2、r3、r4、・・・)が経過した時点で実行する。ランダム時間rは、赤外線通信の所要時間より長く、tより短い時間とする。本実施例によれば、実施例1よりも、赤外線によるノード識別子検出を頻繁に行えるため、センサノードの位置的関係の変化を精密に検出できる。
【0061】
図11は、本発明が適用されるセンサネットの他の実施例を示す。
本実施例では、図11に示すように、異なる基地局に所属したセンサノード(10A−3と10B−1)間で赤外線通信が行われた場合を想定しており、サーバ40が、トポロジ管理部41と、赤外線データ管理部42と、ノードモード管理部43を備えている。
【0062】
センサネットの基地局30A、30B、・・・は、それぞれ異なった無線チャネルを使用しているため、例えば、センサノード10A−3が、基地局30Aと無線通信を実行中であっても、別の基地局30Bに所属したセンサノード10B−1が、無線通信を正常に開始し、正常に終了することができる。従って、各センサノードに、無線通信終了後に直ちに赤外線通信を開始させると、センサノード10A−3と10B−1の赤外線通信が同時に実行され、状況によっては、赤外線通信に失敗する可能性がある。
【0063】
本実施例では、サーバ40が、トポロジ管理部41によって、各センサノードが現在どの基地局に所属しているかを監視している。また、赤外線データ管理部42によって、例えば、センサノード10A−3と10B−1のように、異なる基地局に所属したセンサノード間の赤外線通信を監視し、ノードモード管理部43によって、各センサノードの動作モードを管理している。異なる基地局に所属したセンサノード間での赤外線通信の発生を検出した時、サーバ40は、該当するセンサノード(図11では10A−3と10B−1)に対して、赤外線ACK発行モードへの移行命令を送信する。
【0064】
図12は、上述した赤外線通信の競合に対応できるセンサノードの1実施例を示す。
本実施例のセンサノード10は、マイコン11にACK管理部115を設け、RTC14に、赤外線通信管理用の第3タイマ143を設けたことを特徴としている。
【0065】
赤外線ACK発行モードへの移行命令を受けたセンサノードは、ACK管理部115によって、センサノードの動作モードを赤外線ACKモードを変更する。赤外線ACKモードになったセンサノードは、赤外線で他のセンサノードからノード識別子を正常に受信した時、ACK信号を返信する。また、赤外線で自分のノード識別子と送信した時、ACK信号の受信を待ち、所定時間内にACK信号を受信できなかった場合は、ノード識別子を再送する。ノード識別子の再送は、赤外線通信管理用の第3タイマ143からの割り込み信号に従って、図9、図10で説明したランダム時間t±rが経過した時点で実行する。
【0066】
サーバ40は、赤外線ACKモードで動作中のセンサノードの状態を監視し、センサノード(10A−3と10B−1)が、同一の基地局に所属した時点で、赤外線ACKモード解除命令を発行する。赤外線ACKモード解除命令を受けたセンサノードは、ACK管理部115によって、センサノードの動作モードを通常モードに戻す。通常モードに戻ったセンサノードは、図4または図9で説明した赤外線通信モードで動作する。
【0067】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、各センサノードが、他のセンサノードと競合することなく、基地局との無線通信、センサノード間の赤外線通信を実行することが可能となる。
本発明をウエアラブルな名札型のセンサノードに応用した場合、人の対面状況を検出するアプリケーション、例えば、人と人との対面状況の把握や、コミュニケーションの活発度合に基づく組織のハブとなる人物の選出が可能となる。また、新規システムの導入や配置換えの前後での人の対面状況、コミュニケーションの活発度合の変化を分析し、組織マネジメントへの利用が可能となる。
また、本発明を据置型センサノードに適用した場合、例えば、机上に設置されたセンサノードで、名札型のセンサノードを身につけた人物の在席状況を自動的に検出することによって、メンバのプレゼンス情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明が適用されるセンサネットの1例を示す図。
【図2】センサノード10のハードウェア構成の1実施例を示す図。
【図3】アクティブモード期間中に各センサノード10が実行する輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す図。
【図4】センサノード10と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第1の実施例を示す図。
【図5】赤外線通信フレームと送信信号波形の1例を示す図。
【図6】センサノード10の外観の1例を示す図。
【図7】無線通信フレームフォーマットの1例を示す図。
【図8】無線通信フレームフォーマットの他の例を示す図。
【図9】センサノード10と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第2の実施例を示す図。
【図10】第2の実施例における輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す図。
【図11】本発明が適用されるセンサネットの他の実施例を示す図。
【図12】図11のセンサネットに適用されるセンサノードの1実施例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
10:センサノード、30:基地局、40:サーバ(監視センタ)、
11:マイコン、12:無線送受信部、13:赤外線送受信部、14:RTC、15:電源、121:照度センサ、122:温度センサ、123:加速度センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、更に詳しくは、センサを備えた複数の無線端末から情報を収集するセンサネットに適した無線通信システムおよび無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、センサを搭載した小型の無線端末装置(以下、センサノードと呼ぶ)からリアルタイムに情報を収集するネットワークシステム(以下、センサネットと呼ぶ)の研究開発が進んでいる。センサネットは、複数のセンサノードで、人、物、環境の状態情報をセンシングし、これを無線ネットワークを介して、管理装置(監視センタ)にリアルタイムで伝送するようにしたネットワークシステムである。センサネットは、各センサノードに電源(電池)と無線通信機能とを装備しておくことによって、各センサノードと中継網との間の接続配線を不要にできるため、無線基地局と通信可能な範囲内にセンサノードを容易に配置し、これまで不可能であった状況監視が可能となる。
【0003】
センサネットは、中継網(イントラネット/インターネット)に接続された複数の基地局と、各基地局の周辺に位置した複数のセンサノードと、上記中継網に接続された管理装置とから構成される。管理装置には、一般的なコンピュータまたはサーバが適用される。各センサノードは、人、物体、あるいは環境の状態を適宜センシングし、センシングデータとセンサノードIDとを含むデータパケットを所定の通信フレーム形式で無線で基地局に送信する。
【0004】
基地局は、センサノードから受信したデータパケットに、例えば、タイムスタンプや基地局ID等の制御情報を附加した後、これを中継網(イントラネット/インターネット)経由で、管理装置に転送する。管理装置(監視センタ)、例えば、サーバは、各基地局から受信したセンシングデータ、センサノードID、タイムスタンプ、基地局ID等の情報を蓄積し、システムの目的に応じたデータ管理、データ分析を行う。
【0005】
センサノードは、例えば、監視エリアでのセンサノードの設置作業を容易にするため、あるいは、人がセンサノードを身につけた状態で、自由に行動できるようにするために、小型、軽量化し、メンテナンスフリーで長時間動作できることが望まれる。小型電池で長時間動作させるためには、各センサノードの消費電力をできるだけ少なくする工夫が必要となる。
【0006】
センサノードの消費電力の低減策としては、例えば、センサノードの状態を、センシングや無線通信を実行するアクティブモードと、動作休止状態となるスタンバイモードに切り替え可能にしておき、センサノードを間歇的にアクティブモードにして、スタンバイモードの期間中は、タイマ以外の電子回路(プロセッサを含む)を電源オフ状態にすることによって、消費電流を大幅に削減する方法が知られている。
【0007】
上述したセンサネットにおける情報収集は、センサによる単純なセンシングに制限されるものではない。例えば、各センサノードに、無線送受信器とは別に赤外線送受信器を搭載しておき、赤外線送信器で自分のノード識別子を定期的に送信すると共に、他のセンサノードからのノード識別子の受信状態を管理装置(監視センタ)に報告させることによって、センサノード間のインタラクションの状態を監視することが可能となる。この場合、赤外線送受信器が互いに対向した位置関係にあるセンサノード間でのみ、ノード識別子が正常に送受信できるように、各センサノードから、或る程度の指向性をもった赤外線を送信させることによって、センサノード間の位置関係やインタラクションの変化を検出することが可能となる。
【0008】
赤外線による識別子(ID)情報の送受信によって、対面状態にある対象物を検出するシステムとして、例えば、ELPAS(Electro-Optical Systems)社(イスラエル)の赤外線ロケーションシステム:EIRIS(ELPAS InfraRed Identification and Search system)がある。このシステムでは、バッジと呼ばれる送信機から、拡散赤外線方式で、送信元バッジIDを含んだ信号を4秒毎に発信しておき、これをリーダと呼ばれる受信機で受信し、制御用PCで解析することによって、バッジを身につけた人物の位置をモニタリングしている。
【0009】
このようなウェアラブルなセンサノードを利用したシステムでは、複数のノードが、同一タイミングで赤外線信号を送信した場合、送信信号の衝突あるいは重なりによって、受信側での信号の識別が困難になる。そこで、赤外線通信の標準規格であるIrDAでは、赤外線信号を正常に受信できたノード(端末)が、送信側に確認応答(ACK:Acknowledgement)信号を返信することを前提として、赤外線信号を送信してから所定時間内にACK信号を受信できなかった時、送信側が同一の信号を再送することによって、赤外線信号の衝突、競合による失敗をリカバリするようにしている。
【0010】
無線信号の競合を回避する方法として、例えば、特開2005−45330号公報(特許文献1)では、通信方式が異なる無線LANモジュールとBluetoothモジュールとを備えた無線アクセスポイントの制御部が、各通信方式における通信状態に基いて、送受信タイミング制御信号を生成し、この通信タイミング制御信号に基づいて、上記2つのモジュールを互いに異なった時間帯で動作させることを提案している。具体的には、第1の期間は、ポーリング方式による無線LAN通信に割り当て、無線アクセスポイントに、無線LANインタフェースを備えた複数のパソコンと通信させ、第2の期間は、非ポーリング方式のBluetooth通信に割り当て、無線アクセスポイントに、Bluetoothインタフェースを備えた複数のパソコンと通信させている。
【0011】
また、WO2002/091683号公報(特許文献2)は、各無線端末が、アクセスポイントとして機能する制御局を経由して、他の無線端末と通信する第1の通信システムと、アドホック・ネットワークのように、各無線端末が、制御局を経由することなく、他の無線端末と通信する第2の通信システムとを統合した場合の通信の衝突防止方法を提案している。特許文献2では、各端末が、第1の通信システム用の送受信部と、第2の無線システム用の送受信部とを備え、第2の通信システムを利用したい無線端末が、第1の通信システムの制御局から報知されたネットワーク情報に基いて、上記制御局に第2の通信システムのチャネル割当てを要求し、上記制御局から受信したチャネル割当て情報に基いて、他の無線端末に情報を送信するようにしている。
【0012】
【特許文献1】特開2005−45330号公報
【特許文献2】WO2002/091683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
センサネットでは、基地局とセンサノードとの間の通信衝突を回避する輻輳のみならず、センサノード間通信における輻輳も回避する必要がある。特に、バッジ型のようなウェアラブル性を考慮した小型センサノードにおいては、これらの輻輳を簡易な方式で回避することが望まれる。しかしながら、特許文献1、2は、何れも、アクセスポイントとなる制御局が、情報伝送形式の異なる2つの通信システムの伝送時間帯を制御しており、制御局に特殊な機能が必要となっている。
【0014】
本発明の目的は、基地局とセンサノードとの間のみならず、センサノード間通信における輻輳を容易に回避可能な無線通信システムおよび無線端末装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、消費電力の低減に有効なセンサネット用の無線端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の無線端末装置は、基地局と通信するための第1の無線送受信部と、他の無線端末と通信するための第2の無線送受信部と、上記基地局の無線チャネルの状態が、通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線チャネルの空き状態を検出してから、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備えたことを特徴とする。
ここで、輻輳制御部は、例えば、キャリアセンスによって、基地局での無線通信が衝突しない状態か否かを判定する。第2の無線送受信部は、例えば、赤外線送受信部であり、自端末の識別情報を他の無線端末に送信する。
【0016】
本発明の無線端末装置によれば、輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることを検出してから、第1の無線送受信部による基地局との無線通信が実行されるため、基地局で複数の送信フレームが競合する可能性は極めて少ない。また、第2の無線送受信部による他の無線端末への情報送信は、基地局との無線通信が終了した時に開始されるが、この時点では、他の無線端末は、待機中、無線チャネルの空き状態を検出中、基地局との無線通信を開始した直後の何れかであり、他端末との通信は開始していない。従って、第2の無線送受信部、例えば、赤外線送受信部による情報送信が、基地局との通信所要時間よりも短時間で完了する限り、他の無線端末からの情報送信と競合する可能性も極めて低い。
【0017】
更に詳述すると、本発明の無線端末装置は、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、上記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを基地局に送信することを特徴とする。但し、上記通信フレームは、無線端末装置が備えるセンサで検知されたセンシングデータを含んでもよい。
【0018】
本発明の無線端末装置は、上記通信制御部が、所定の周期でアクティブモードとなって、上記輻輳制御部による無線通信状態検出と、上記第1、第2の無線送受信部による無線通信を実行し、他の無線端末への情報送信の終了後に、スタンバイモードに移行することを特徴とする。
【0019】
本発明の無線通信システムは、複数の無線端末装置と、ネットワークを介して管理装置に接続された複数の無線基地局とからなり、
上記各無線端末装置が、上記何れかの基地局と通信するための第1の無線送受信部と、他の無線端末装置と通信するための第2の無線送受信部と、上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、上記輻輳制御部によって無線通信が衝突しない状態であることが検出された時、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備え、
上記各無線基地局が、上記無線端末装置から受信した通信フレームの内容を上記管理装置に転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無線端末装置と基地局との間のみならず、無線端末装置間通信における競合や輻輳も効果的に回避できるため、同一フレームの再送動作が少ない無線端末装置および無線通信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるセンサネットの1例を示す。
センサネットは、複数のセンサノード10(10A−1、10A−2、10A−3、・・・、10B−1、・・・)と、中継網(イントラネット/インターネット)NWに接続された複数の基地局30(30A、30B、・・・)と、中継網NWに接続されたサーバ40とからから構成されている。サーバ40は、センサネットにおける管理装置または監視センタとして機能する。
【0022】
各センサノード10は、何れかの基地局30を介して、センシング情報をサーバ40に通知する。図示したセンサネットでは、センサノード10A−1〜10A−3は基地局30Aと交信可能な範囲内に位置し、センサノード10B−1は、基地局10Bと交信可能な範囲内に位置している。
【0023】
図2は、センサノード10のハードウェア構成の1実施例を示す。
センサノード10には、マイコン(プロセッサ部、メモリ)11と、無線送受信部(第1無線部)12と、赤外線送受信部(第2無線部)13と、タイマ部RTC(Real Time Clock)14と、電源(電池)15とからなり、マイコン11は、内部バスを介して、複数のセンサ部および入出力部に接続されている。
【0024】
ここに示したセンサノード10は、人が身につけるウェアラブルなセンサノードとなっており、センサ部として、照度センサ121と、温度センサ122と、加速度センサ123を備え、入出力部として、液晶表示画面(LCD:Liquid Crystal Display)124と、発行素子(LED:Light Emitting Diode)125と、スピーカ(またはブザー)126と、入力ボタン127と、マイク128を備えている。
【0025】
LCD124には、センサ部で検知した各種のセンシングデータや、無線状態、基地局30から受信したメッセージ等の情報がドット形式で表示される。LED125は、ノードの動作状態を視覚化するために利用され、特定イベントの発生時、例えば、メッセージの受信時に点灯する。また、スピーカ126は、例えば、サーバ40から受信した音声データの再生と、鳴音による特定イベントの通知に利用される。ボタン127は、LCD画面のスクロール操作や、LCD画面に表示された選択肢の選択など、ユーザインタフェースの操作に利用される。マイク128は、1種のセンサであり、センサノード10周辺の環境音や人の発話情報を取得する。取得された音声情報は、音声データ化され、無線パケットとしてサーバ40に送信される。
【0026】
本実施例において、マイコン11は、輻輳制御部110と通信制御部111を備え、センシングデータの蓄積用メモリ領域として、赤外線データ領域112、加速度データ領域113、音声データ領域114を備えている。RTC14は、常に動作状態にあり、例えば、第1タイマ141で無線通信時間を管理し、第2タイマ142でセンシング時間を管理する。これらのタイマから出力される割り込み信号によって、センサノード10の動作モードが、スタンバイモードからアクティブモード、逆に、アクティブモードからスタンバイモードに切替えられる。センサノード10の動作モードは、通信制御部111によって制御される。
【0027】
マイコン11は、アクティブモード期間中に、入出力部の制御、センサ部へのセンシング実行命令の出力、無線送受信部12および赤外線送受信部13によるデータの送受信など、センサノード10の全体動作を制御する。本実施例では、RTC14と赤外線送受信部13は、常に稼動状態にあり、センサノード10がスタンバイモードになった時、RTC14と赤外線送受信部13以外の電子回路(マイコン11を含む)をオフ状態にすることによって、消費電力を抑える。
【0028】
マイコン11は、アクティブモードの期間中に、各種センサ121〜123からセンシングデータをメモリ領域112〜114に取り込み、センシングデータとノード識別子を含む無線通信フレームを生成して、これを無線送受信部12を介して基地局30に送信する。また、アクティブモードの期間中に、無線送受信部12が基地局30から受信した制御データを取り込み、制御データに応じた制御動作を実行し、後で詳述するように、赤外線送受信部13を介して、センサノード自身のID情報を含むパルス信号を送信する。
ここに示したセンサノード10は、例えば、人体の正面に装着しておき、人の動きに伴って基地局の周辺を移動させることができる。この場合、センサノード10は、人と人との対面検出にも応用できる。
【0029】
基地局30は、センサノード10からの送信された無線フレームを正常に受信できた場合、送信元センサノード10にACK信号を返送する。センサノード10は、ACK信号を受信することによって、自分が送信したセンシングデータが、基地局で正しく受信されたものと判断する。
基地局30は、送信元センサノード10にACK信号を返送した後、受信データを中継網NWを介してサーバ40に転送する。但し、基地局30からのACK信号を受信したセンサノード10に、無線フレームの送信終了を示すACK信号を送信させ、このACK信号を受信した時点で、基地局30からサーバ40に受信データを転送するようにしてもよい。
【0030】
基地局30に対して、仮に複数のセンサノード10が略同時に無線フレームの送信を開始した場合、送信信号の衝突によって、無線フレームを正常受信することができないため、基地局30からのACK信号の返送はない。無線フレームの送信元となった各センサノードは、一定時間内にACK信号を受信できなければ、送信フレームを基地局で正しく受信できなかったものと判断し、それぞれランダムな待ち時間が経過した時点で、同一センシングデータの再送を試みることになる。
【0031】
本実施例では、上述した同一センシングデータの再送を回避するために、各センサノード10が、基地局30との無線通信に先立って、個別に輻輳制御を行なう。具体的に言うと、センサノード10の輻輳制御部110が、基地局30への無線フレームの送信に先立って、キャリアセンスにより、基地局の無線チャネルが空き状態か否か、換言すれば、他のセンサノードが基地局30と無線通信中か否かを判定する。
【0032】
他のセンサノードが、基地局30と無線通信中であれば、キャリアセンスを繰り返して、無線通信が衝突しない状態となるのを待つ。但し、キャリアセンスを一旦中止し、ランダムな時間が経過した後、キャリアセンスを再開するようにしてもよい。キャリアセンスの結果、基地局30と無線通信中のセンサノードが存在しないと判断できた場合、センサノード10は、直ちに無線通信状態となり、基地局30に無線通信フレームを送信する。
【0033】
センサノード10と基地局30との間の通信フレームには、センサノード10から基地局30に向かう上り通信フレームと、基地局30からセンサノード10に向かう下り通信フレームとがある。上り通信フレームは、センサノードで検出した温度、照度、加速度などのセンシングデータと、赤外線送受信部で検知した他のセンサノードの識別子とをサーバ40に送信するためのものであり、下り通信フレームは、例えば、時計用タイマへの設定時刻、センシング間隔、無線フレームの送信周期、サンプリングレート等の制御パラメータの設定値を変更するために、サーバ40からセンサノード10に制御コマンドを与えるためのものである。下り通信フレームには、基地局30からのセンサノード10に送信するACK信号フレームも含まれる。
【0034】
図3は、アクティブモード期間中に各センサノード10が実行する輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す。ここでは、同一の基地局内30Aを介してサーバ40と通信する二つのセンサノード10A−1、10A−2の動作を示している。各センサノード10は、基地局から指定された所定の通信周期T0で、スタンバイモードからアクティブモードに切替えられ、無線通信フレームを基地局30に送信する。
【0035】
アクティブモードに切替えられたセンサノード10A−1は、通信フレームの送信に先立って、キャリアセンスによる輻輳制御211−1を実行し、無線通信が衝突しない状態であることを確認した上で、基地局30と無線通信212−1を開始する。無線通信212−1では、センサノード10A−1から基地局30Aに無線通信フレームを送信し、この無線通信フレームを正常に受信した時、基地局からセンサノード10A−1にACK信号を返信する。本実施例では、基地局からACK信号を受信したセンサノード10A−1が、直ちに赤外線通信状態213−1になり、自分のノード識別子を含む通信フレームを赤外線送受信部13で他のセンサノードに送信することに特徴がある。
【0036】
尚、キャリアセンスで無線通信が衝突しない状態であることが判定された場合でも、例えば、センサノード10A−2が、センサノード10A−1のキャリアセンスでは検出できない場所に位置していた場合、センサノード10A−1と10A−2が同時に無線通信を開始し、結果的に、これら2つのノードの無線信号に衝突が発生する可能性がある。これは、隠れ端末問題として知られた現象である。そこで、本実施例では、センサノード10A−1が、基地局30AからのACK信号の受信を待って、赤外線通信213−1を開始している。基地局30Aに無線通信フレームを送信してから所定時間内にACK信号を受信できなければ、センサノード10A−1は、ランダムに決定した待ち時間が経過した時点で、前回の送信フレームと同一内容の無線通信フレームを基地局30Aに再送する。
【0037】
センサノード10A−1は、赤外線通信213−1が終了すると、スタンバイモードに移行し、タイマー141が示す所定の周期T0で、次回の通信シーケンス(輻輳制御211−2、無線通信212−2、赤外線通信213−2)を繰り返す。
センサノード10A−2も、センサノード10A−1と同様、基地局30に無線フレームを送信する前に、キャリアセンスによる輻輳制御(221−1)を実行し、他のセンサノードが基地局30と無線通信中でないことを確認して、基地局30と無線通信(222−1)を開始し、無線フレームの送受信が正常終了すると、直ちに他のセンサノードとの赤外線通信を開始する(223−1)。
【0038】
上述したように、本実施例では、各センサノード10が、基地局30との無線通信が完了した時、直ちに赤外線通信を実行している。基地局との無線通信の開始時刻は、事前に行われる輻輳制御によって、センサノード毎に異なっており、無線通信の完了と赤外線通信の開始タイミングも、センサノード毎に必ず異なっている。また、キャリアセンスによる輻輳制御の所要時間も含めると、センサノード10と基地局30との間の無線通信期間は、赤外線通信期間よりも長くなっているため、各センサノードが、無線通信期間の直後に赤外線通信を開始すれば、赤外線通信期間が他のセンサノードの赤外線通信期間と重なることはない。
【0039】
従って、各センサノード10の赤外線送受信部13で、他のセンサノードから送信された赤外線信号をいつでも受信できるようしておき、赤外線信号が検知された時点で、割込み信号によってマイコン11(通信制御部110)を起動するようにしておけば、ノード識別子を含む赤外線信号の受信処理が可能となる。
【0040】
図4は、センサノード10(10A−1〜10A−3)と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第1の実施例を示す。ここでは、センサノード10A−1と10A−2、10A−2と10A−3が、互いに赤外線通信可能な位置関係(距離と角度)にあり、センサノード10A−1と10A−3は、赤外線通信不可能な位置関係にあるものと仮定している。
【0041】
センサノード10A−1は、キャリアセンスによる輻輳制御(211)を行ない、無線通信が衝突しない状態であることを確認して、基地局30Aに無線通信フレームを送信する(212T)。基地局30Aは、無線通信フレームの受信に成功すると、センサノード10A−1にACKフレームを返送し(301−1)、受信フレームの内容をデータパケットとしてサーバ40に転送する(302−1)。センサノード10A−1は、基地局30AからACK信号を受信すると(212T)、赤外線通信によって、自分のノード識別子を所定の方向に送信する(213)。センサノード10A−1から送信されたノード識別子は、センサノード10A−2によって受信される(214)。
【0042】
センサノード10A−1と同様に、センサノード10A−3も、キャリアセンスによる輻輳制御(231)を行い、無線チャネルが空き状態にあることを確認して、基地局30Aに無線通信フレームを送信する(232T)。基地局30Aは、無線通信フレームの受信に成功すると、センサノード10A−3にACKフレームを返送し(301−1)、受信フレームの内容をデータパケットとしてサーバ40に転送する(302−2)。センサノード10A−3は、基地局30AからACK信号を受信すると(232T)、赤外線通信によって、自分のノード識別子を所定の方向に送信する(233)。センサノード10A−3から送信されたノード識別子は、センサノード10A−2によって受信される(234)。
【0043】
センサノード10A−3は、赤外線通信によって検出した他のセンサノード(ここでは、センサノード10A−1と10A−3)のノード識別子を蓄積しておき、次回の無線通信タイミングで、これをセンシングデータの一部として、無線通信フレームで基地局30Aに送信する(221〜223)。センサノード10A−3と同様、センサノード10A−1、10A−3も、赤外線通信で他のセンサノードのノード識別子を受信していた場合は、これを無線通信フレームで基地局30Aに送信する。
【0044】
ここで、無線通信に続いて実行される赤外線通信(213、223、233)では、各センサノードに固有のノード識別子を送信すれば済むため、無線通信(212T〜212R、222T〜222R、232T〜232R)の所要時間よりも短時間で完了できる。
従って、本実施例のように、各センサノードが、個別の輻輳制御により、無線通信が衝突しない状態であることを確認した上で、基地局との無線通信を開始し、無線通信の終了時点で直ちに赤外線通信を開始するようにした場合、複数センサノードの赤外線通信に競合が発生するおそれはない。例えば、センサノード10A−1が赤外線通信213を実行した時、センサノード10A−3は、輻輳制御(231)を実行中か、無線通信(232T、232R)を開始した直後であり、センサノード10A−3が無線通信後に開始する赤外線通信233と、センサノード10A−1の赤外線通信213とが、時間的に重なることはない。
【0045】
図5は、赤外線通信フレームと送信信号波形の1例を示す。
赤外線で送信される通信フレームは、送信元センサノードの上位IDを示すフィールド401と、下位ID402を示すフィールドと、エラー訂正コードを示すフィールド403とからなる。各センサノードの赤外線送受信部13は、上記通信フレームを符号化した後、赤外線パルス信号400として送信する
図6は、センサノード10の外観の1例を示す。
センサノード10の表面側には、LCD124、LED125、ボタン127、スピーカ126、マイク128が搭載され、マイコン11、RTC14、電池14、加速度センサ123は、ノード筐体に内蔵されている。赤外線送受信器13は、ノードの表面側に搭載され、照度センサ121は、ノードの向きを判定できるように、表裏両面にそれぞれ搭載されている(121A、121B)。
【0046】
例えば、マイコン11で、照度センサ121Aと121Bの出力を比較し、照度センサ121Aの出力が明らかに低い場合は、赤外線送受信器13が物体または人体で覆われた状態にあるものと判断し、赤外線通信を中止する。また、加速度センサ123の出力信号から、センサノードの動きが激しいと判断された時も、赤外線の送信信号が相手ノードで正しく受信される可能性が低いため、赤外線通信を中止する。
【0047】
図7は、各種センサによる検出結果と赤外線送受信器13による検出結果とを送信するための無線通信フレームの1例を示す。
アプリケーションヘッダ(Application Header)フィールド601は、センサネットに適用されたアプリケーション種類を示す。データタイプ(Data type)フィールド602は、無線フレームのフォーマット識別情報を示す。
【0048】
温度フィールド603と照度フィールド604は、それぞれ温度センサ121と照度センサ122で検出されたセンシングデータを示す。無線通信フレームの送信周期内に複数回のセンシングが行われた場合は、最新のセンシングデータが採用される。電池電圧値フィールド605は、電源15の出力電圧の値を示す。
【0049】
RSSI(Received Signal Strength Indicator)値フィールド606は、ACK信号など、基地局から受信した無線信号の電波強度の測定値を示す。リザーブフィールド607は、未使用のフィールドであり、オールゼロの値が設定される。
【0050】
検出ノード個数フィールド608は、無線通信周期T0内に赤外線通信で検出された他のセンサノード個数、すなわち、周期T0内で受信した値の異なるセンサノード識別子の個数Nを示す。
【0051】
対面識別子k(k=1〜16)フィールド(609、611、613、・・・、639)は、検出されたN個のセンサノードのうちのk番目のセンサノードの識別子を示し、検出回数kフィールド(610、612、・・・、640)は、周期T0内でのk番目のセンサノード識別子の検出回数(受信回数)を示している。対面識別子フィ−ルドと検出回数フィールドの個数は、各基地局に収容可能なセンサノードの最大個数に応じて決定される。
【0052】
本実施例では、各センサノードは、各周期T0内に他のセンサノードから受信したセンサノード識別子と、識別子毎の検出回数とをテーブル形式で蓄積しておき、センサ部で検出したセンシングデータ603、604および電池電圧値605と共に、図7に示した無線フレームフォーマットで基地局30に送信する。
【0053】
基地局30が無線フレームの受信に失敗した場合、同一のデータを再送する必要があるため、各センサノードには、例えば、奇数周期用テーブルと偶数周期用テーブルの2面のテーブルを用意しておき、周期毎にテーブルを切替えて検出データを蓄積し、データ送信に成功した時点で、前周期で使用したテーブル内容をクリアするとよい。
【0054】
本実施例では、ノード識別子毎の受信回数をカウントしているため、周期T0内での赤外線通信回数が増加しても、データ蓄積に必要なメモリ容量は固定で済む。従って、上記無線フレームフォーマットは、多数回の赤外線通信記録の送信に適しており、センシングデータの送信周期T0が変更された場合でも、各センサノードから基地局に固定フォーマットでデータ送信できるという利点がある(以下、第1の方式とする)。
【0055】
図8は、無線通信フレームの他の例を示す。
フィールド601と608は、図7と同様である。対面識別子k(k=1〜8)フィールド(709、711、713、・・・、723)は、検出されたN個のセンサノードのうちのk番目のセンサノードの識別子を示し、タイムスタンプフィールド(710、712、・・・、724)は、k番目のセンサノード識別子の受信時刻を示している。
【0056】
本実施例では、周期T0内で受信されたセンサノード識別子毎の受信時刻(タイムスタンプ)を基地局30に通知するようにしているため、周期T0内での赤外線通信回数が増加すると、データ蓄積に必要なメモリ容量も増加する。従って、この通信フレームは、各センサノードが、データ蓄積用として十分大きいメモリ容量をもつ場合に適している(以下、第2の方式とする)。
【0057】
尚、図7、図8の通信フレームは、センシング情報とノード識別子情報の両方を含んできるが、アプリケーション次第で、何れか一方の情報のみを基地局に送信するようにしてもよい。また、無線送信周期とセンシング周期とを分割することによって、無線フレームサイズを図8の方式ほど大きくせずに、センシング周期単位での赤外線検出時刻を取得する方式も考えれれる。この方式(以下、第3の方式とする)では、センシング周期毎にタイムスタンプを附与する。図8の方式では赤外線を検出する度に、その検出時間を記録する。一方、第3の方式ではセンシング周期毎にタイムスタンプが附与されるため、第2の方式に比べて、データサイズが小さくて済む利点がある。また、第1の方式に比べ赤外線の検出時刻をより細かく取得することが可能となる。
【0058】
図9は、センサノード10(10A−1〜10A−3)と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第2の実施例を示す。
本実施例は、基地局との無線通信を終えた各センサノードが、無線通信周期T0内に、赤外線によるセンサノード識別子の送信を複数回繰り返すことを特徴としている。
【0059】
前述したように、各センサノード10は、個別に輻輳制御をして、無線通信(212、222、232、・・・)を開始しているため、無線通信の直後に実行される赤外線通信では、他のセンサノードと競合することなくノード識別子を送信できる。しかしながら、同一周期T0内で行われる2回目以降の赤外線通信では、他のセンサノードとの競合を回避できる保証は無い。
【0060】
そこで、本実施例では、図10に示すように、2回目以降の赤外線通信は、他のセンサノードの1回目の赤外線通信と重ならないように、前回の送信時刻から一定時間t±ランダム時間r(r1、r2、r3、r4、・・・)が経過した時点で実行する。ランダム時間rは、赤外線通信の所要時間より長く、tより短い時間とする。本実施例によれば、実施例1よりも、赤外線によるノード識別子検出を頻繁に行えるため、センサノードの位置的関係の変化を精密に検出できる。
【0061】
図11は、本発明が適用されるセンサネットの他の実施例を示す。
本実施例では、図11に示すように、異なる基地局に所属したセンサノード(10A−3と10B−1)間で赤外線通信が行われた場合を想定しており、サーバ40が、トポロジ管理部41と、赤外線データ管理部42と、ノードモード管理部43を備えている。
【0062】
センサネットの基地局30A、30B、・・・は、それぞれ異なった無線チャネルを使用しているため、例えば、センサノード10A−3が、基地局30Aと無線通信を実行中であっても、別の基地局30Bに所属したセンサノード10B−1が、無線通信を正常に開始し、正常に終了することができる。従って、各センサノードに、無線通信終了後に直ちに赤外線通信を開始させると、センサノード10A−3と10B−1の赤外線通信が同時に実行され、状況によっては、赤外線通信に失敗する可能性がある。
【0063】
本実施例では、サーバ40が、トポロジ管理部41によって、各センサノードが現在どの基地局に所属しているかを監視している。また、赤外線データ管理部42によって、例えば、センサノード10A−3と10B−1のように、異なる基地局に所属したセンサノード間の赤外線通信を監視し、ノードモード管理部43によって、各センサノードの動作モードを管理している。異なる基地局に所属したセンサノード間での赤外線通信の発生を検出した時、サーバ40は、該当するセンサノード(図11では10A−3と10B−1)に対して、赤外線ACK発行モードへの移行命令を送信する。
【0064】
図12は、上述した赤外線通信の競合に対応できるセンサノードの1実施例を示す。
本実施例のセンサノード10は、マイコン11にACK管理部115を設け、RTC14に、赤外線通信管理用の第3タイマ143を設けたことを特徴としている。
【0065】
赤外線ACK発行モードへの移行命令を受けたセンサノードは、ACK管理部115によって、センサノードの動作モードを赤外線ACKモードを変更する。赤外線ACKモードになったセンサノードは、赤外線で他のセンサノードからノード識別子を正常に受信した時、ACK信号を返信する。また、赤外線で自分のノード識別子と送信した時、ACK信号の受信を待ち、所定時間内にACK信号を受信できなかった場合は、ノード識別子を再送する。ノード識別子の再送は、赤外線通信管理用の第3タイマ143からの割り込み信号に従って、図9、図10で説明したランダム時間t±rが経過した時点で実行する。
【0066】
サーバ40は、赤外線ACKモードで動作中のセンサノードの状態を監視し、センサノード(10A−3と10B−1)が、同一の基地局に所属した時点で、赤外線ACKモード解除命令を発行する。赤外線ACKモード解除命令を受けたセンサノードは、ACK管理部115によって、センサノードの動作モードを通常モードに戻す。通常モードに戻ったセンサノードは、図4または図9で説明した赤外線通信モードで動作する。
【0067】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、各センサノードが、他のセンサノードと競合することなく、基地局との無線通信、センサノード間の赤外線通信を実行することが可能となる。
本発明をウエアラブルな名札型のセンサノードに応用した場合、人の対面状況を検出するアプリケーション、例えば、人と人との対面状況の把握や、コミュニケーションの活発度合に基づく組織のハブとなる人物の選出が可能となる。また、新規システムの導入や配置換えの前後での人の対面状況、コミュニケーションの活発度合の変化を分析し、組織マネジメントへの利用が可能となる。
また、本発明を据置型センサノードに適用した場合、例えば、机上に設置されたセンサノードで、名札型のセンサノードを身につけた人物の在席状況を自動的に検出することによって、メンバのプレゼンス情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明が適用されるセンサネットの1例を示す図。
【図2】センサノード10のハードウェア構成の1実施例を示す図。
【図3】アクティブモード期間中に各センサノード10が実行する輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す図。
【図4】センサノード10と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第1の実施例を示す図。
【図5】赤外線通信フレームと送信信号波形の1例を示す図。
【図6】センサノード10の外観の1例を示す図。
【図7】無線通信フレームフォーマットの1例を示す図。
【図8】無線通信フレームフォーマットの他の例を示す図。
【図9】センサノード10と基地局30Aとの間の通信シーケンスの第2の実施例を示す図。
【図10】第2の実施例における輻輳制御期間、無線通信期間、赤外線通信期間の関係を示す図。
【図11】本発明が適用されるセンサネットの他の実施例を示す図。
【図12】図11のセンサネットに適用されるセンサノードの1実施例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
10:センサノード、30:基地局、40:サーバ(監視センタ)、
11:マイコン、12:無線送受信部、13:赤外線送受信部、14:RTC、15:電源、121:照度センサ、122:温度センサ、123:加速度センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と通信するための第1の無線送受信部と、
他の無線端末と通信するための第2の無線送受信部と、
上記基地局の無線送受信部が他の無線端末と無線通信状態か否かを検出する輻輳制御部と、
上記輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることを確認してから、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の無線送受信部による情報送信の所要時間が、前記第1の無線送受信部による通信期間よりも短いことを特徴とする無線端末装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記通信制御部が、所定の周期でアクティブモードとなって、前記輻輳制御部による無線通信状態の検出と、前記第1、第2の無線送受信部による無線通信を実行し、他の無線端末への情報送信の終了後に、スタンバイモードに移行することを特徴とする無線端末装置。
【請求項4】
請求項3において、
少なくとも1つのセンサを備え、
前記通信制御部が、上記センサで検出されたセンシングデータを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、
前記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記通信制御部が、前記第2の無線送受信部によって自端末の識別情報を他の無線端末に送信し、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記通信制御部が、前記第1の無線送受信部による基地局との通信が終了した後、所定期間内に、前記第2の無線送受信部による情報送信をランダムな間隔で複数回繰り返すことを特徴とする無線端末装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2の送受信部の向きを検出するための状態センサを備え、
前記通信制御部が、上記状態センサの出力に応じて、前記第2の送受信部による情報送信の実行要否を判断することを特徴とする無線端末装置。
【請求項9】
複数の無線端末装置と、ネットワークを介して管理装置に接続された複数の無線基地局とからなる無線通信システムにおいて、
上記各無線端末装置が、
上記何れかの基地局と通信するための第1の無線送受信部と、
他の無線端末装置と通信するための第2の無線送受信部と、
上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、
上記輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることが検出された時、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備え、
上記各無線基地局が、上記無線端末装置から受信した通信フレームの内容を上記管理装置に転送することを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記各無線端末装置が、少なくとも1つのセンサを備え、前記通信制御部が、上記センサで検出されたセンシングデータを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記各無線端末装置が、第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、前記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記各無線端末装置が、前記第2の無線送受信部によって自端末の識別情報を他の無線端末に送信し、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
請求項12において、
前記各無線端末装置が、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報と回数情報とを含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
請求項11において、
前記各無線端末装置が、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報と受信時刻情報とを含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
請求項14において、
少なくとも1つのセンサを備え、前記各無線端末装置が、前記通信フレームに上記センサで検出されたセンシングデータを含めて、前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
基地局と通信するための第1の無線送受信部と、
他の無線端末と通信するための第2の無線送受信部と、
上記基地局の無線送受信部が他の無線端末と無線通信状態か否かを検出する輻輳制御部と、
上記輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることを確認してから、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の無線送受信部による情報送信の所要時間が、前記第1の無線送受信部による通信期間よりも短いことを特徴とする無線端末装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記通信制御部が、所定の周期でアクティブモードとなって、前記輻輳制御部による無線通信状態の検出と、前記第1、第2の無線送受信部による無線通信を実行し、他の無線端末への情報送信の終了後に、スタンバイモードに移行することを特徴とする無線端末装置。
【請求項4】
請求項3において、
少なくとも1つのセンサを備え、
前記通信制御部が、上記センサで検出されたセンシングデータを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、
前記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記通信制御部が、前記第2の無線送受信部によって自端末の識別情報を他の無線端末に送信し、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線端末装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記通信制御部が、前記第1の無線送受信部による基地局との通信が終了した後、所定期間内に、前記第2の無線送受信部による情報送信をランダムな間隔で複数回繰り返すことを特徴とする無線端末装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2の送受信部の向きを検出するための状態センサを備え、
前記通信制御部が、上記状態センサの出力に応じて、前記第2の送受信部による情報送信の実行要否を判断することを特徴とする無線端末装置。
【請求項9】
複数の無線端末装置と、ネットワークを介して管理装置に接続された複数の無線基地局とからなる無線通信システムにおいて、
上記各無線端末装置が、
上記何れかの基地局と通信するための第1の無線送受信部と、
他の無線端末装置と通信するための第2の無線送受信部と、
上記基地局の無線通信が衝突しない状態であるか否かを検出する輻輳制御部と、
上記輻輳制御部によって、無線通信が衝突しない状態であることが検出された時、上記第1の無線送受信部によって上記基地局と無線通信し、基地局との無線通信が終了した時、上記第2の無線送受信部によって他の無線端末に情報を送信する通信制御部とを備え、
上記各無線基地局が、上記無線端末装置から受信した通信フレームの内容を上記管理装置に転送することを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記各無線端末装置が、少なくとも1つのセンサを備え、前記通信制御部が、上記センサで検出されたセンシングデータを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記各無線端末装置が、第2の無線送受信部によって他の無線端末から受信した情報を蓄積するためのメモリを備え、前記通信制御部が、上記メモリに蓄積された他の無線端末からの受信情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記各無線端末装置が、前記第2の無線送受信部によって自端末の識別情報を他の無線端末に送信し、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報を含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
請求項12において、
前記各無線端末装置が、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報と回数情報とを含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
請求項11において、
前記各無線端末装置が、他の無線端末から所定期間内に受信した識別情報と受信時刻情報とを含む通信フレームを前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項15】
請求項14において、
少なくとも1つのセンサを備え、前記各無線端末装置が、前記通信フレームに上記センサで検出されたセンシングデータを含めて、前記基地局に送信することを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−153783(P2008−153783A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337461(P2006−337461)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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