説明

無線通信ネットワークにおけるアンテナ選択(AS)のための方法、ユーザ機器、および無線通信ネットワーク

【課題】本発明の実施の形態は、無線通信ネットワークにおけるアンテナ選択(AS)のための方法を説明する。
【解決手段】該ネットワークはユーザ機器(UE)を備え、該UEは、アンテナの第1のサブセットおよびアンテナの第2のサブセットを含む、アンテナの複数のサブセットを備え、一度にアンテナの1つのサブセットからサウンディング基準信号(SRS)を送信するように構成される。該方法は、アンテナの第1のサブセットから第1のSRSを送信し、アンテナの第2のサブセットから第2のSRSを送信し、第1のSRSおよび第2のSRSの該送信に応答して、アンテナの第1のサブセットおよびアンテナの第2のサブセットから、アンテナの最適なサブセットを特定する情報を受信し、該アンテナの最適なサブセットからユーザデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には無線通信ネットワークにおいてアンテナ選択信号を生成することに関し、より詳細には、RFチェーンの数がアンテナの数よりも少ない送受信機においてアンテナを選択することに関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM
第3世代(3G)無線セルラ通信規格および3GPPロングタームエボリューション(LTE)規格のような無線通信ネットワークにおいて、固定帯域幅チャネルにおける複数のユーザのための複数のサービスおよび複数のデータレートを同時にサポートすることが望まれている。1つの方式は、現在のチャネル推定値に基づく伝送の前に、シンボルを適応的に変調および符号化する。直交周波数分割多元接続(OFDMA)を使用する、LTEにおいて利用可能な別の選択肢は、異なるユーザまたはUE(ユーザ機器)に対して異なるサブキャリアまたはサブキャリアのグループを割り当てることによってマルチユーザ周波数ダイバーシティを活用することである。システム帯域幅は、たとえば1.25MHz〜20MHzで変化することができる。システム帯域幅を、多数のサブキャリア、たとえば5MHz帯域幅の場合は1024個のサブキャリアに分割することができる。
【0003】
以下の標準化文書、すなわち非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6が参照により本明細書に援用される。3GPP規格に従って基地局は強化され、「次世代ノードB(Evolved NodeB)」(eNodeB)と呼ばれる。
【0004】
MIMO
フェージングチャネル環境における無線通信システムの容量をさらに増大させるために、多入力多出力(MIMO)アンテナ技術を使用して、帯域幅を増大させることなくシステムの容量を増大させることができる。異なるアンテナのチャネルはかなり異なるため、MIMOはフェージングに対するロバスト性を増大させて、また、複数のデータストリームが同時に伝送されることを可能にする。
【0005】
MIMOシステムは良好に機能するが、送受信機におけるハードウェアおよび信号処理の複雑度、電力消費、並びに部品サイズをも増大させる可能性がある。これは部分的には、各受信アンテナが、典型的には低雑音増幅器と、周波数ダウンコンバータと、アナログ−デジタル変換器とを備える受信無線周波数(RF)チェーンを必要とすることに起因する。同様に、各送信アンテナ素子は、デジタル−アナログ変換器と、周波数アップコンバータと、電力増幅器とを備えるRFチェーンを必要とする。
【0006】
その上、空間多重化方式において、または時空間トレリス符号を用いて、受信される信号を処理することは、複雑度がアンテナの数の関数として指数関数的に増大する可能性がある受信機を必要とする。
【0007】
アンテナ選択
RFチェーンが相当により複雑で高価であるのに対して、アンテナは比較的単純で安価である。アンテナ選択は、MIMOシステムに関連付けられる複雑度の欠点を或る程度低減する。アンテナ選択は、使用されるRFチェーンの数をアンテナの数よりも少なくすることによって送信機および受信機のハードウェア複雑度を低減する。
【0008】
アンテナ選択において、利用可能なアンテナのセットのうちのサブセットがスイッチによって適応的に選択され、アンテナの選択サブセットの信号のみが、送信または受信のいずれかとすることができる、信号処理に利用可能なRFチェーンに接続される。本明細書において使用される場合、選択サブセットは、すべての事例において、アンテナのセットのうちのすべての利用可能なアンテナのうちの1つまたは複数を意味する。本発明はまた、複数のサブセットをトレーニングに使用することを可能にすることに留意されたい。たとえば、4つのアンテナと1つのRFチェーンとが存在することができるか、または8つのアンテナと2つのRFチェーンとが存在することができ、ここでアンテナは4つのサブセットを含む。
【0009】
アンテナ選択信号
パイロットトーンすなわち基準信号
アンテナの最適なサブセットを選択するために、結局はアンテナの選択される最適なサブセットのみが送信に使用されるとしても、すべての可能な送信アンテナサブセットおよび受信アンテナサブセットに対応するすべてのチャネルを推定する必要がある。
【0010】
これは、アンテナ選択信号、たとえば基準信号とも呼ばれるパイロットトーンを異なる複数のアンテナまたはアンテナサブセットから送信することによって達成することができる。異なる複数のアンテナサブセットは、同じパイロットトーンを送信するか、または異なるパイロットトーンを使用することができる。Nが送信アンテナの数を、Nが受信アンテナの数を表すものとし、R=N/LおよびR=N/Lが整数であるものとする。その結果、利用可能な送信(受信)アンテナ素子はR(R)個の互いに素な(disjoint)サブセットに分割することができる。パイロット反復手法は、L×LMIMOシステムに適切なトレーニングシーケンスをR×R回繰り返す。トレーニングシーケンスの各反復の間、送信RFチェーンはアンテナの異なる複数のサブセットに接続される。したがって、R×R回の反復の終了時に、受信機は、さまざまな送信アンテナからさまざまな受信アンテナまでの、すべてのチャネルの完全な推定値を有する。
【0011】
順方向リンク(チャネル)と逆方向リンク(チャネル)とが同一でない周波数分割二重(FDD)システムにおける送信アンテナ選択の場合、受信機は、アンテナの選択サブセットの最適なセットを送信機にフィードバックする。相互的(reciprocal)時分割二重(TDD)システムでは、送信機は独立して選択を実施することができる。
【0012】
チャネルがゆるやかに変化する屋内LAN用途に対して、アンテナ選択を媒体アクセス(MAC)層プロトコルを使用して実施することができる。非特許文献7を参照されたい。
【0013】
物理(PHY)層プリアンブルを、追加のアンテナ素子のためのさらなるトレーニングフィールド(反復)を含むように拡張する代わりに、異なる複数のアンテナサブセットによってパケットを送受信するためのコマンドを物理層に発行することによって、アンテナ選択トレーニングがMAC層によって行われる。L×LMIMOシステムの単一の標準トレーニングシーケンスであるトレーニング情報がMACヘッダフィールドに埋め込まれる。
【0014】
LTEにおけるOFDMA構造
基本的なアップリンク伝送方式は、非特許文献8に記載されている。この方式は、アップリンクユーザ間直交性を達成すると共に受信機側における効率的な周波数領域均等化を可能にする、サイクリックプレフィクス(CP)を用いる単一キャリア伝送(SC−OFDMA)である。
【0015】
LTE基準信号
3GPP LTEは、2種類の基準信号を使用することを想定している。両方の基準信号は、TTIのロングブロック(LB)のうちの1つ若しくは複数、または利用可能な場合にはTTIのショートブロックにおいて送信される。
【0016】
データ変調基準信号
データ変調(DM)基準信号は、ユーザ機器に割り当てられるサブキャリア内でデータと共に送信される。これらの信号は、eNodeB(基地局)受信機がチャネルの正確な推定値を取得するのを助け、それによって、受信信号がコヒーレントに復号される。
【0017】
広帯域サウンディング基準信号(SRS)
広帯域SRSは、eNodeBが、ユーザからeNodeBへのアップリンクチャネルの周波数領域応答全体を推定するのを助けるように意図されている。広帯域SRSは、サブキャリアが、原則的に、そのサブキャリアに関する最良のアップリンクチャネル利得を有するユーザに割り当てられる周波数領域スケジューリングを助ける。したがって、広帯域SRSは、たとえば5MHzまたは10MHzのシステム帯域幅全体を占有することができる。広帯域SRSがシステム帯域幅の一部を占有し、システム帯域幅全体をカバーするために複数の伝送にわたって周波数ホッピングされる代替案も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】36.211第3世代パートナーシッププロジェクト(36.211, 3rd Generation Partnership Project)
【非特許文献2】無線アクセスネットワークの技術仕様化グループ(Technical Specification Group Radio Access Network)
【非特許文献3】物理チャネルおよび変調(Physical Channels and Modulation)((Release 8), v 1.0.0 (2007-03))
【非特許文献4】R1−01057「EUTRAアップリンクにおける無線資源割当てのための適応的アンテナスイッチング(Adaptive antenna switching for radio resource allocation in the EUTRA uplink)」(Mitsubishi Electric/Nortel/NTT DoCoMo, 3GPP RAN1#48, St. Louis, USA)
【非特許文献5】R1−071119「EUTRAアップリンクにおけるアンテナ選択のための新規のDM−RS送信方式(A new DM-RS transmission scheme for antenna selection in EUTRA uplink)」(LGE, 3GPP RAN1#48, St. Louis, USA)
【非特許文献6】「閉ループアンテナ選択と開ループ送信ダイバーシティとの比較(送信時間間隔(TTI)内でのアンテナスイッチング)(Comparison of closed-loop antenna selection with open-loop transmit diversity (antenna switching within a transmit time interval (TTI)))」(Mitsubishi Electric, 3GPP RAN1#47bis, Sorrento, Italy)
【非特許文献7】IEEE802.11n無線LAN仕様案、I.P802.11n/D1.0「無線LAN媒体アクセス制御(MAC)層および物理(PHY)層の仕様に対する修正案:より高いスループットのための強化(Draft amendment to Wireless LAN media access control (MAC) and physical layer (PHY) specifications: Enhancements for higher throughput)」(Tech. Rep., March 2006)
【非特許文献8】3GPP TR25.814,v1.2.2「次世代UTRAの物理層態様(Physical Layer Aspects for Evolved UTRA)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、新たな基準信号を導入することなくアンテナ選択(AS)のためのトレーニングを提供することである。
【0020】
従来の移動電話ネットワークでは、UE内の送信機がサウンディング基準信号(SRS)を送信し、それによって基地局が、UEから基地局へのアップリンクチャネル全体の周波数応答を推定することができる。
【0021】
UEが単一の無線周波数(RF)チェーンと複数のアンテナとを有する場合、最適なアンテナが選択されなくてはならない。アンテナは、通常、パイロットトーンを使用して選択される。このため、従来のネットワークでは、送信機は、チャネル応答を推定するためのSRSおよびアンテナを選択するためのパイロットトーンの双方を送信する必要がある。このため、アンテナ選択を可能にするために、さらなる信号が定義される必要があり、これによってネットワークの複雑度が増加し、アンテナ選択方法と従来のUEとの互換性がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の実施の形態は、SRSを再利用することによって、上述した問題に対する解決策を提供する。SRSは、アップリンクチャネルにおける周波数応答を推定するために設計され、アンテナ選択も可能にする。このため、チャネル推定およびアンテナ選択は、同じ信号によって実施することができ、ネットワークを変更する必要がない。
【0023】
本発明の実施の形態は、無線通信ネットワークにおけるアンテナ選択(AS)のための方法について説明し、該ネットワークはユーザ機器(UE)を備え、該UEは、アンテナの第1のサブセットおよびアンテナの第2のサブセットを含む、アンテナの複数のサブセットを備え、一度にアンテナの1つのサブセットからサウンディング基準信号(SRS)を送信するように構成される。該方法は、アンテナの前記第1のサブセットから第1のSRSを送信し、アンテナの前記第2のサブセットから第2のSRSを送信し、前記第1のSRSおよび前記第2のSRSの前記送信に応答して、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットから、アンテナの最適なサブセットを特定する情報を受信し、アンテナの前記最適なサブセットからユーザデータを送信する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施の形態は、MIMOネットワークにおける、ユーザ機器から基地局へのアップリンクにおけるアンテナ選択を可能にする。ここで、UE内のRFチェーンの数はアンテナの数よりも少ない。本発明はまた、適応的にアンテナを選択する手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本発明の1つの実施の形態によるベースバンド送信チェーンのブロック図である。
【図1B】本発明の1つの実施の形態による送信時間間隔のブロック図である。
【図1C】本発明の1つの実施の形態による送信時間間隔のブロック図である。
【図1D】本発明の1つの実施の形態による送信時間間隔のブロック図である。
【図1E】本発明の1つの実施の形態による送信時間間隔のブロック図である。
【図1F】本発明の1つの実施の形態による資源ブロックのブロック図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図4】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図5】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図6】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図7】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図8】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図9】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図11】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図12】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図13】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号のブロック図である。
【図14】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択パケットのブロック図である。
【図15】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択パケットのブロック図である。
【図16】本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択方法の流れ図である。
【図17】アンテナを選択後にスイッチングすることができる4つの方法のブロック図である。
【図18】本発明の1つの実施の形態による、異なる複数のアンテナによるサウンディング基準信号の交互の送信のブロック図である。
【図19】本発明の1つの実施の形態による、選択アンテナからの送信よりも頻度の低い、非選択アンテナからのサウンディング基準信号の送信のブロック図である。
【図20】本発明の1つの実施の形態による、選択アンテナからデータが送信されない場合であっても頻度の低い、非選択アンテナからのサウンディング基準信号の送信のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態は、無線ネットワークにおいてアンテナ選択信号を生成および送信する方法およびシステムを提供する。より具体的には、本発明は、RFチェーンの数がアンテナの数よりも少ない、たとえば2つの送信アンテナに対して1つの送信RFチェーン、または4つの送信アンテナに対して2つの送信RFチェーンである送受信機において使用することができる。それに応じて、受信アンテナもより少ない受信RFチェーンに結合することができることは理解されたい。本明細書において説明される技法は、単一のアンテナのみを有する受信機と共に機能することができることに留意されたい。本発明は、3GPP規格、4Gセルラ規格、WLAN規格、WiBro規格、WiMAX規格、およびIEEE802.20規格に従って設計されるネットワークに適用可能である。
【0027】
図1Aは、本発明の実施の形態によって使用される離散フーリエ変換(DFT)拡散OFDM送受信機のための送信RFチェーン10の一部を示す。DFT12を使用してシンボル11が符号化され、サブキャリアマッピング13および逆高速フーリエ変換(IFFT)14が続き、続いてサイクリックプレフィクス(CP)挿入14が為されて送信信号15が生成される。サブキャリアマッピング13は、送信に使用される周波数を確定する。
【0028】
図1Bは、送信サブフレームすなわち送信時間間隔(TTI)20の基本構造を示す。送信は持続時間が0.5msの複数のタイムスロットに分割される。1つのフレームは10ms長である。以降、用語TTIとサブフレームとは交換可能に使用される。TTIは1つまたは複数のタイムスロットを含む。TTI21は、CP24によって分離されるロングブロック(LB)22およびショートブロック(SB)を含む。TTIが1.0ms長である場合、フレームは12のLBおよび4つのSBを有する。
【0029】
図1Cは、3GPP LTE向けに検討される1つのタイムスロットを有するTTIを示す。TTIは、0.5msの持続時間を有する。TTIは、サイクリックプレフィクス(CP)24と、ロングブロック(LB)22と、ショートブロック(SB)23とを含む。ショートブロック内のシンボルをパイロットトーン25を送信するのに使用することができる。ロングブロックは情報シンボルまたは制御シンボル(ユーザデータ)を送信するのに使用される。したがって、TTIは6つのLBと2つのSBとを含む。
【0030】
図1Dは、3GPP LTE向けに検討される1つのタイムスロットを有する別の0.5msのTTIを示す。この場合、すべてのOFDMシンボルが同じ長さであると共にロングブロックである。このタイムスロット内のLBのうちの1つまたは複数はパイロットトーンを送信するのに使用され、一方で他のLBは情報(データ)を送信するのに使用される。実際には、このTTIは7つのLBから成る。
【0031】
図1Eは、複数のタイムスロット26を有するTTIを示す。たとえば、このTTIは1.0ms長であり、2つのタイムスロット26を有する。タイムスロットは、図1B〜図1Dにおけるように分割することができる。この場合、TTIは14のLBから成る。
【0032】
図1Fは、本発明の1つの実施の形態による、送信時間間隔(TTI)20の間の資源ブロック(RB)21の基本構造を示す。垂直軸は周波数を指示し、水平軸は、TTIの上記記載のように分割される時間を示す。したがって、RBは時間においてロングブロック(斜線なし)22とショートブロック(斜線付き)23とに、たとえば6つまたは12のロングブロックと、2つまたは4つのショートブロックとに分割される。ロングブロックは制御信号およびデータ信号に使用され、ショートブロックはデータ変調(DM)基準信号に使用される。RBの別の可能な構造は、ロングブロックのみを含んでショートブロックを含まず、たとえば、0.5msのスロット内に7つのLBを含むか、または10msの持続時間内に14のLBを含む。周波数領域において、資源ブロックはいくつかのサブキャリア、たとえば14のサブキャリアから成る。
【0033】
SBが存在する場合、SBはDM SRSおよび広帯域SRSのために使用される。RB内にLBのみが存在する場合、LBのうちの1つまたは複数がDM RSおよび広帯域SRSに使用される。複数のRBをアップリンクユーザに割り当てることができる。これらのRBは連続的であることができるが、そうである必要はない。さらに、RBを含むサブキャリアは、連続的であるか、またはシステム帯域幅またはその一部にわたって分散することができる。
【0034】
DMサウンディング基準信号および広帯域サウンディング基準信号は、アンテナ選択トレーニングの目的に使用することもできる。DM/広帯域RSおよびAS RSは同じとすることができ、それらの用途のみが異なる。DM信号は他のロングブロック内のデータを復調するのに使用され、一方でAS RSはアンテナ選択を目的とするチャネル推定に使用される。広帯域SRSをアンテナ選択に使用することは、共同の(joint)周波数領域スケジューリングおよびアンテナ選択を容易にするという利点を有する。受信機におけるチャネル推定は既知であることに留意されたい。本発明は、TTIの間の特定の数のロングブロックおよびショートブロックには限定されないことに留意されたい。明確にするために、CPは図1Fには示さない。
【0035】
本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択信号は、直交周波数分割多重化(OFDM)を使用することができる。
【0036】
ユーザ機器(UE)から基地局(BS)へのアップリンクに関してアンテナ選択を可能にするために、UEは、利用可能な送信アンテナのサブセットからDM RSまたは広帯域SRSを送信する。BSはチャネルを推定し、送信アンテナの最適な(最良の)サブセットを選択する。FDDシステムの場合、BSはまた、アンテナの選択サブセットに関する情報をUEにフィードバックする。その結果、UEは選択送信アンテナをBSへの将来の送信に使用する。選択は周期的にまたはオンデマンドで実施することができる。後者の場合、トレーニングまたは選択が開始され得る前に、通知が必要とされる。選択は以前に使用された同じアンテナサブセットに対するものとすることができることに留意されたい。選択アンテナはユーザデータの受信に使用することもでき、これは、アップリンクチャネルおよびダウンリンクチャネルが相互的である、ゆるやかに変化するTDDシステムによく適している。
【0037】
RFチェーンがアンテナよりも少ないとすると、パイロットトーンは、図1Fに示される基本RB構造と一致して、時分割多重化(TDM)様式で周波数分割多重化(FDM)または符号分割多重化(CDM)を使用して、アンテナの異なる複数のセットによって送信される。
【0038】
下記の説明において、最初に、1つのRFチェーンと、2つの送信または受信アンテナと、FDMパイロットトーンとを有するUEを検討する。次いで、これらの方式をCDMパイロットトーンを用いる使用に拡張する。次に、FDMパイロットトーンおよびCDMパイロットトーンの両方に関して2つのRFチェーンおよび4つのアンテナを検討する。この説明に基づくさらなる拡張も可能である。次いで、アンテナの選択サブセット、すなわち、データを同時に送信しているかまたは送信したものと、他の非選択アンテナとの間で区別する方式を検討する。区別は、AS RSが、選択アンテナサブセットおよび非選択アンテナサブセットによって送信される頻度にある。
【0039】
本明細書において規定される場合、選択アンテナサブセットは、最近にユーザデータを送信しており、一方で非選択サブセットは、通常、アンテナ選択信号を送信するのみである。本発明の1つの実施の形態によって、非選択アンテナサブセットは、選択アンテナサブセットよりもAS信号を送信する頻度が低い。
【0040】
アンテナトレーニングの2つの事例、すなわち、アンテナトレーニングおよび選択が1つのTTI内で行われる事例と、アンテナトレーニングおよび選択が複数のTTI間で行われる事例とを検討する。
【0041】
これらの事例のそれぞれに関して、周期的なアンテナ選択およびオンデマンドのアンテナ選択を説明する。データ変調(DM)RS、広帯域SRS、またはハイブリッド方式のような、アンテナ選択のためのさまざまな代替的なパイロットトーンの使用を説明する。
【0042】
1つの送信RFチェーンおよび2つのアンテナ(Tx1およびTx2)を有するUEの下記の実施例において、6つのLBおよび2つのSBを有するスロット構造に関して、1つのブロック(SB1)がデータ信号、制御信号、およびDM信号の送信に使用され、一方で別のブロック(SB2)がAS信号の周期的な送信に使用されると仮定する。LBを含む(SBを含まない)1msのTTIに関して、2つのLB、たとえばLB4およびLB11がDM SRSおよび広帯域SRSの送信に使用される。BSは基準信号からチャネルを推定し、それに応じてアンテナ選択決定を行う。この説明の目的のために、選択のBS通知とUEにおける実際のスイッチングとの間に遅延が存在すると仮定する。
【0043】
アンテナ選択が1つのTTI内で行われる場合のトレーニング
DM RSの使用
図2(A)および図2(B)に示されるように、アンテナ選択およびトレーニングは、AS信号を周期的に生成することによって実施することができる。図2(A)は、2つのTTIごとのアンテナ選択を示し、図2(B)は、3つのTTIごとのアンテナ選択を示す。
【0044】
図2(A)に示されるように、最初のTTI220の間、UEは、選択アンテナ(例えばBSに知られている、使用されるアンテナTx1)を用いて、すべてのロングブロックと、SB1内のDM信号201とを含む、RB221のほとんどの送信から開始する。しかしながら、RB221のAS信号202は、SB2において非選択アンテナ(Tx2)から送信される。本明細書において使用される場合、「非選択」とは、最近のRBにおけるデータシンボルの送信に使用されたアンテナのサブセットではない、アンテナの別のサブセットを使用することを意味する。すなわち、UEは、アンテナの異なる複数のサブセットを用いて1つのTTIにおいてシンボルを送信する。
【0045】
DM信号のために使用される2つのLBを有する3つのスロットを含む1msのTTIの場合、UEは、データのためのすべてのLB(1〜3、5〜14)と、DM信号のためのLB4とを含むRBのほとんどの送信から開始する。しかしながら、RBのAS信号はLB11において非選択アンテナから送信される。
【0046】
図示されるように、AS信号202は、FDM信号トーンの場合にはより少ない、たとえば図2(A)に示すものの半分の数の基準信号キャリアを使用するか、またはCDM信号の場合にはより低い電力を使用するため、「低オーバヘッド」信号とすることができる。
【0047】
BSは、Tx1のDM信号201およびTx2のAS信号202を使用してアンテナのサブセット(アンテナが2つの場合は1つ)を選択する(210)。選択を行った後の或る時点において、BSは選択、たとえば「Tx2を使用する(205)」をUEにフィードバックする。UEは、フィードバックを受信した後、次のTTIのために選択送信アンテナTx2にスイッチングする。図2(A)および図2(B)に示されるように、このトレーニングプロセスは周期的に繰り返される。
【0048】
図2(A)および図2(B)はまた、アンテナ選択に必要な推定精度がコヒーレントな復調に必要な推定精度よりも低いため、FDM信号に関してはリターンパス転送(RPF)に関して、またCDM信号に関しては電力に関してオーバヘッドの量を低減することができることを示している。オーバヘッド量低減は、選択精度とパイロットトーンオーバヘッド低減との間のトレードオフを伴う。
【0049】
広帯域SRSの使用
アップリンクチャネルに関する図3(A)および図3(B)に示されるように、アンテナトレーニングおよび選択は、広帯域サウンディングRS302を使用して実施することもできる。これらの信号は、チャネル品質指標(CQI)パイロット信号として既知である。CQI信号は、BSにおけるチャネル選択および周波数領域割当てを可能にするために送信される。CQIパイロットの帯域幅はRBの帯域幅よりも広いことに留意されたい。
【0050】
図3(A)および図3(B)に示されるように、一方のブロック(SB1)がデータ信号(ロングブロック)およびRBのほとんどのDM信号301に使用され、他方のブロック(SB2)がCQI信号302に使用される。図3(A)は、TTIごとのCQI信号302を使用しての共同のアンテナ選択および資源ブロック割当てを示している。
【0051】
図3(B)は、複数の、たとえば2つ以上のTTIごとに送信されるCQI信号を使用しての共同のアンテナ選択および資源ブロック割当てを示している。一般に、CQI信号はすべてのTTIにおいて、または複数のTTIごとに周期的に送信される。
【0052】
これによって、BSが両方のアンテナに対してチャネルの広帯域周波数応答を推定することが可能となる。トレーニングおよび選択にCQI信号を使用することは、共同の資源ブロックキャリア周波数割当ておよびアンテナ選択を可能にするという追加の利点を有し、これによって、周波数領域スケジューリングの効率が改善される。UEは送信アンテナおよびRBにおいて使用される周波数をスイッチングすることができる。
【0053】
オンデマンドの適応的アンテナトレーニングおよび選択
AS信号を周期的に送信する代わりに、図4に示すように、現在のアンテナのパフォーマンスが所望の閾値を下回った場合にのみAS信号を送信することができる。信号対干渉雑音比(SINR)推定値、ハイブリッド自動反復要求(HARQ)状態、または変調・符号化方式(MCS)プロセスの履歴を維持して、アンテナ選択が要求される時点を確定することができる。履歴はUEまたはBSのいずれかによって収集することができる。
【0054】
UEまたはBSのいずれかによって、たとえば選択トリガ信号401を使用してアンテナトレーニングおよび選択を実施する決定が行われた後、UEは、上述のようにAS信号202またはCQI信号のいずれかを使用して次のTTIの間にAS信号を送信する。その結果、BSは、両方のアンテナに関してチャネルを推定し、アンテナを選択し(210)、Tx2を使用する(205)という決定をUEに返信することができる。この場合、UEがBSにAS信号の形式に関して明示的に通知するとパフォーマンスが向上する。
【0055】
アンテナ選択が複数のTTI間で行われる場合のトレーニング
ここで、アンテナトレーニングおよび選択が、上述のように1つのTTI内ではなく複数のTTI間で行われる、対応する事例を説明する。複数のTTI間で選択することによって、アンテナの最適なセットの選択において或る程度のさらなる遅延を伴って、UEにおける実施の複雑度がさらに単純化される。
【0056】
全TTIの使用
図5および図6は、UEが複数のTTI間でアンテナをスイッチングすることしかできない場合の、送信アンテナ選択およびトレーニングを実施することができる方法を示す。UEは、RB221を、選択アンテナを使用して通常通りに送信する。RBは周期的に、非選択アンテナTx2を使用して送信される。先行するTTIからのチャネル推定値を使用することによって、BSはここで、UEに最適なアンテナを選択し(210)、その決定Tx2 205をUEにフィードバックすることができる。この仕組みは、TTIをアンテナトレーニングおよび選択、並びにユーザデータ送信に使用することができることを示している。
【0057】
図6は、CQI信号602に対する同じプロセスを示している。非選択アンテナを用いて送信されるTTI601は、データおよび広帯域サウンディングRS602、並びに存在する場合にはDMパイロットを含む。上述のように、CQI信号を有するTTIを使用することによって、共同の資源ブロック再割当ておよびアンテナ選択も可能となる。非選択アンテナの使用の周期性は上述したものから変更することができることに留意されたい。
【0058】
しかしながら、非選択アンテナTx2を用いる送信は、Tx2のチャネルがBSまたはUEのいずれかにおいて知られていない可能性があるため、保守的なより低いレートのMCSを用いて行う必要がある。非選択アンテナを用いて送信されるRBは、データとパイロットトーンとを含む。非選択アンテナを用いる最初の送信は、MCSの保守的な選択を必要とするが、現在のチャネル推定値と結合された先行するチャネル推定値を使用して、より信頼性のある、またおそらくそれほど保守的でないMCS選択を、非選択アンテナからのRBの後続の送信のために取得することができる。
【0059】
オンデマンドの適応的トレーニング
図7(A)および図7(B)は、選択トリガ401に応答してのオンデマンドの適応的アンテナ選択を示す。UEは選択アンテナ(Tx1)を使用して、上述のように測定されるそのアンテナのパフォーマンスが所定の閾値を下回るまで送信を行う。UEはトリガ信号401を送信し、次のTTIにおいて、UEは、図7(A)に示されるように非選択アンテナを用いてASパイロット信号701のみか、または図7(B)に示されるようにRB全体702のいずれかを送信することによって、トレーニングを開始する。
【0060】
本発明の1つの実施の形態において、UEは続くTTIおよび選択信号205のためにTx1に復帰する。別の実施の形態では、BSがUEにアンテナの別のサブセットにスイッチングするように指示しない限り、UEはアンテナTx2を使用し続ける。
【0061】
複数のアンテナサブセットの選択
下記の実施例において、2つのRFチェーンおよび4つの送信アンテナを有するUEにおいてアンテナ選択を実施することができる方法を説明する。2つのRFチェーンを用いて、2つのアンテナの基準信号が、上述のFDMまたはCDMの様式で同時に送信される。異なる複数のアンテナの基準信号サブキャリアが、2つの異なるパターンを使用して示される。
【0062】
FDMパイロット
上記のように、AS信号または広帯域サウンディング基準信号を使用するアンテナ選択を説明する。図8(A)は、一対の非選択アンテナ(Tx3およびTx4)による2つごとのTTIの間のAS信号801の周期的な送信を示し、一方で図8(B)は、3つごとのTTIにおけるAS信号801を示している。
【0063】
CDMパイロット
図9(A)および図9(B)は、それぞれ一対の非選択アンテナ、たとえばTx3およびTx4を使用しての、2つごとのTTIおよび3つごとのTTIでの、周期的FDM広帯域サウンディング基準信号901を用いるアンテナトレーニングおよび選択、並びにRB割当てを示している。
【0064】
図10(A)および図10(B)は、周期的CDMデータ変調信号を使用することによるアンテナセット選択を示す。この場合、同時に送信される2つのパイロット1001および1002は互いに直交する。UEが複数のTTI間でスイッチングする場合、またオンデマンドの(適応的)アンテナ選択に対して、同様の方式が可能である。
【0065】
1つのRFチェーンおよび4つの送信アンテナの場合のアンテナトレーニング
1つのRFチェーンおよび4つのアンテナの場合の1つの実施の形態が図11に示されている。UEは、常に1つの送信アンテナのみがアクティブであるように、4つのアンテナに対してトレーニング情報を送信する。3つの選択肢を説明するが、他の一般化および組合せも可能である。
【0066】
図11に示されるように、UEは第1のTTI1101においてTx1からデータパケットを送信し、SB2を使用してTx2のためのAS信号202を送信する。その結果、BSはアンテナTx1とアンテナTx2とのいずれがより良好であるかを判断することができ、その決定、たとえばTx2を使用する(1105)ことをUEにフィードバックする。このフィードバックは第3のTTIの後にUEによって受信される。その間に、UEは第2のTTI1102においてTx1から第2のデータパケットを再送し、RBのSB2を使用してTx3のためのAS信号を送信する。その結果、送信機はBSによって先行して指示されたようにTx2にスイッチングし、TTI1103においてTx2を使用して第3のデータパケットを送信する。同じTTIにおいて、UEはSB2を使用して最後に残ったアンテナTx4のためのアンテナ選択信号を送信する。その結果、BSはたとえば、4つのすべてのアンテナのうちでTx3が最適であると判断し、UEにTx3を使用して送信を行うように指示する。その結果、UEはTx3 1103を使用してデータパケット1104を送信する。同様の仕組みを、14のLBを有し、そのうちの2つのLBが基準信号を搬送する1msのTTIに関して説明することができる。
【0067】
BSは、異なる複数のアンテナのチャネルを推定しながら、その選択決定を更新して決定をフィードバックすることに留意されたい。1つの実施の形態では、BSは、増分的に選択を更新することなくその最終決定をフィードバックするのみである。この場合、Tx2を使用するというフィードバックはなく、UEはTx1を使用して第3のTTIを送信する。
【0068】
図12は、選択プロセスを加速する別の選択肢を示す。この選択肢は、1つのTTI内での選択と複数のTTI間での選択との組合せを使用する。UEは、第1のTTI1201においてアンテナTx1を使用してデータパケットを送信し、SB2を使用してアンテナTx2からAS信号1202を送信する。次いで、UEはアンテナTx3にスイッチングして第2のTTI1203においてデータパケットを送信し、SB2においてアンテナTx4のためのAS信号1204を送信する。
【0069】
その結果、BSは4つのすべての送信アンテナからチャネル推定値を求めると共に比較し、その選択決定、たとえばTx3 1205をUEにフィードバックすることができる。UEは選択決定を待ちながらアンテナTx1からデータパケットを送信し続け、その後アンテナTx3にスイッチングする。
【0070】
代替的に図13に示すように、BSは、複数の利用可能なアンテナのチャネルのセットのみを推定することができる場合に増分的な更新を送信する。BSは第1のTTIの後にアンテナTx1とアンテナTx2とのチャネル推定値を比較し、選択決定1301をUEに返信する。たとえば、BSはTx2を選択する(1301)。この決定は第2のTTIの後にUEによって受信される。第2のTTIにおいて、UEは上記のように、アンテナTx3を使用してそのデータパケットを送信し、アンテナTx4を使用してAS信号を送信する。一方で、第3のTTIにおいて、BS選択決定を受信した後に、UEはTx2にスイッチングしてデータパケットを送信する。上記のように、BSは第2のTTIの後に4つのすべてのアンテナを比較して、その選択決定、たとえばTx3 1302をUEに返信することができる。UEは第3のTTIの後にTx3にスイッチングする。
【0071】
ASパケットの使用
独立したASパケット
上述の実施の形態に加えて、アンテナ選択プロセスは、図14に示すようなアンテナ選択(AS)パケット1400を使用することもできる。ASパケットはアンテナ選択制御(ASC)情報1401を、たとえば第1のロングブロック(LB1)内に埋め込み、DMパイロット(P)信号1402を、2つのSBを有するスロットの場合は第1のショートブロックSB1内に、または14のLBを有するTTIの場合はLB4内に埋め込む。このプロセスは、送信バーストの直前に選択を行うことができるため、複数のバーストにおけるトラフィックに非常に適している。ASC情報1401は、アンテナのいずれのサブセットがUEによって信号の送信に使用されているかを指示することができる。したがって、BSはそのチャネル推定値を特定のアンテナに直接に関連付けることができる。加えて、ASC情報は、UEによるアンテナ選択要求、および、第2のショートブロックSB2内のパイロットトーンをBSによるトレーニングに使用すべきであることを指示することもできる。
【0072】
図14に示すように、BSはアンテナを選択する前にパイロットトーンを受信する必要はない。BSはアップリンクTTIの最初の2つのOFDMシンボルを受信した直後に選択を行うことができる。これは、以下のステップおよびタイミング遅延を伴う。BSはUL TTIの第1のOFDMシンボルおよび第2のOFDMシンボルをUEから受信し、遅延Tでチャネル推定およびアンテナ選択を実施する。BSからUEへの距離が10Kmを下回る場合、往復伝播遅延Tは無視することができる。DL TTIの第1のロングブロックおよび第1のショートブロックはUEによって受信され、その結果、UEは遅延Tで選択アンテナにスイッチングする。
【0073】
ピギーバックASトレーニング
代替的に図15に示すように、UEは、LB1内にACKまたはNACKを有するパケット1501のような制御パケットをアンテナ選択に使用することができる。この種類のパケットは、UEがBSからパケットを受信した後に、UEが他にBSに送信するアップリンクパケットを有しない場合であっても、アップリンクにおいて送信される。アンテナ選択のオーバヘッドを低減するために、ACSフィールド1401は、そうでなければ選択されないアンテナにおいていくつかのパケットと共に送信することができる。したがって、この方式は、追加のパケットの送信を必要としない。AS情報は上述のように、周期的にまたは適応的にピギーバックすることができる。さらに、UEまたはBSのいずれもがこのプロセスを開始することができる。
【0074】
アンテナ選択方法
図16は、本発明の1つの実施の形態によるアンテナ選択方法を示す。信号をUEからBSに送信するために、第1のアンテナを選択し(1610)、たとえば、選択アンテナTx1は、最後に使用されたアンテナである。前回の選択はUEおよびBSに知られていると仮定する。UEは1つのTTIの間に、データパケットを、選択アンテナ(Tx1)を介してBSに送信する(1620)。データ(または制御情報)はデータパケットのロングブロック内で搬送される。
【0075】
UEはまた、非選択アンテナ、たとえばTx2を使用して上述のようにAS信号を送信する(1630)。AS信号の送信はk個のTTIごとの周期的なもの、またはオンデマンドとすることができる。AS信号は、そのパケットまたは後続のデータパケットのショートブロック内で搬送される。AS信号はFDM信号またはCDM信号とすることができる。本明細書において記載される場合、AS信号は低オーバヘッド信号とすることさえできる。信号がFDM信号である場合、低オーバヘッドとは、信号サブキャリアの数がより少ないことを意味する。CDM信号の場合、低オーバヘッド信号とは電力を低減されているものである。
【0076】
データパケットおよびAS信号の受信に応答して、BSはステップ1640において、チャネルを推定すると共にアンテナを選択して、この選択をUEに送信する。CDM信号の場合は、BSは、UEによって使用される資源ブロックのキャリア周波数を再割り当てすることもできる。次いで、選択、および場合によってはRB割当てを受信した(1650)後、UEは続くパケットの送信のために選択アンテナにスイッチングする。
【0077】
アンテナ選択がオンデマンドである場合、選択プロセスは、SINR、MCSまたはHARQの履歴に基づいてUEまたはBSのいずれかによって開始することができる。
【0078】
図17は、アンテナを、選択した後にスイッチング(SW)することができる4つの方法(1701〜1704)を示す。アンテナのスイッチングに必要な時間は、正確な実施態様に応じてナノ秒単位、たとえば10ナノ秒〜100ナノ秒で測定することができる。これはシンボルの長さ、たとえば10msよりも短い規模である。
【0079】
したがって、本発明の1つの実施の形態において、アンテナは実質的にシンボル間でスイッチングされる。すなわち、スイッチングは先行するシンボルのブロックの終端部において、または次のシンボルのCPの開始部において行うことができる。
【0080】
4つの方法は、完全に、信号の送信に使用されるLB/SB内でのスイッチング、並びにCP1710およびスイッチングのためのLBまたはSBデータ部の使用――1701と、パイロットトーンの送信に使用されるLB/SBのCP、および隣接するLBのCPを使用してのスイッチング――1702と、LBまたはSBデータ部を使用し、パイロットトーンの送信に使用されるLB/SBのCP、および隣接するLBのCPは使用しないスイッチング――1703と、隣接するLBのCPを使用して、パイロットトーンの送信に使用されるLB/SBのCPを使用しないスイッチング――1704とを含む。これらの4つの方法のうち、送信のためのパイロットトーンを含むLB/SBがスイッチング時間に使用される第1の方法は、データLBが影響を受けないため、もたらされるパフォーマンス損失が最小である。
【0081】
アンテナサウンディングRSオーバヘッドの低減
AS RSが送信される周波数を低減することによって、アンテナ選択のオーバヘッドを低減することも可能である。加えて、サウンディング基準信号はデータが送信されない場合であっても送信することができる。さらに、基地局は、UEが、非選択アンテナサブセットからサウンディング基準信号を送信していない時点を含む任意の時点でUEが使用すべきアンテナに関する決定を送信することができる。
【0082】
図18に示すように、広帯域サウンディングRS1801は、代替的に2つのアンテナから送信される。広帯域SRSは、UEがデータを送信しない場合であっても送信することができることに留意されたい。基地局は2つのアンテナのチャネルを推定し、資源ブロックおよびアンテナのスケジューリングを実施する。たとえば、サウンディングRSの期間が2つのTTI1802であり、UEはTT1#1から送信を開始する。次いで、TTI#1、5、9、・・・のサウンディングRSが第1のアンテナから送信され、TTI#3、7、11、・・・のサウンディングRSが第2のアンテナから送信される。
【0083】
後述される本発明の1つの実施の形態は、サウンディングRSがAS RSとして使用される場合にアンテナサウンディングオーバヘッドを低減する。
【0084】
図19に示すように、ここでもサウンディングRS1901が周期的に送信される。しかしながら、ここではeNodeBによってデータ送信のために最近に選択された、選択アンテナと、他の非選択アンテナとを区別する。ここでk個ごとのサウンディングRSのうちの1つのみが非選択アンテナから送信され、残りのRSが選択アンテナから送信される。ここでkは1よりも大きい整数、たとえば5、10、または15である。kの最適なパラメータ値は、UE速度、アップリンク無線チャネルのドップラースプレッド、eNodeBのスケジューリング制約、干渉環境等によって決まる。上記のように、eNodeBは、資源ブロック割当てを実施し、UEがいずれのアンテナをデータ送信に使用すべきかを決定する。パラメータkはeNodeBおよびUEに事前に知られている。
【0085】
この方式の利点は、eNodeBが選択アンテナのチャネルをより頻繁に推定することができることである。これは、UEがゆっくりと移動しているか、またはまったく移動していない場合に最適なアンテナであることが多い。上記の仕組みの両方において、eNodeBは非選択アンテナがサウンディングRSを送信する時点を事前に知ることができる。
【0086】
図20に示すように、サウンディングRSは、UEが送信するデータを有しない場合であっても、UEによって送信することができる。DM RSがASに使用される場合のASサウンディングオーバヘッドの低減を同様にして達成することができる。
【0087】
シミュレーション
以下において、さまざまな適応的アンテナ選択方式、並びに、異なる複数のサウンディングRS使用パラメータにわたる、周波数領域スケジューリングを伴うシステムレベルのシミュレーションの結果、および周波数領域スケジューリングを伴わないシステムレベルのシミュレーションの結果を説明する。
【0088】
シミュレーションパラメータは表1に与えられる。
【0089】
【表1】

【0090】
シミュレーション結果
2つのアンテナの交互のサウンディング
最初に、サウンディングRSが、2つのアンテナから、上述のように交互に送信される事例を検討する。サウンディングRSの送信間隔は2msまたは10msのいずれかに設定される。
【0091】
単一アンテナ選択を超える、ユーザが経験する適応的アンテナ選択の利得を表2に要約する。2つのTTIサウンディング間隔の間の、単一の送信アンテナを有するUEを超える適応的アンテナ選択能力を有するUEが経験するSNR利得。
【0092】
【表2】

【0093】
単一アンテナ選択を超える、ユーザ機器が経験する適応的アンテナ選択の利得を表3に要約する。表3において、TTIサウンディング間隔の間の、単一の送信アンテナを有するUEを超える適応的アンテナ選択能力を有するUEが経験するSNR利得。
【0094】
【表3】

【0095】
すべての事例において、そのリンクが経験するSNRに関して測定される適応的アンテナスイッチング能力を有するUEのパフォーマンスが大幅に向上することが分かる。
【0096】
アンテナサウンディングのオーバヘッドの低減
ここで、選択アンテナからのサウンディングRSが、非選択アンテナからよりも送信される頻度が低い事例を検討する。サウンディングRSの送信間隔は2msである。より頻度の低い、たとえば5つのインスタンスのうちのただ1つにおける、サウンディングRSの非選択アンテナからの送信のパフォーマンス損失はごくわずかである。10のインスタンスのうちの1つ、または15のインスタンスのうちの1つにおいてサウンディングRSが非選択アンテナから送信される、他のより極端な事例に基づく適応的アンテナ選択でさえ、なお著しいパフォーマンス利得をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおけるアンテナ選択(AS)のための方法であって、該ネットワークは、ユーザ機器(UE)を備え、該UEは、アンテナの第1のサブセットおよびアンテナの第2のサブセットを含む、アンテナの複数のサブセットを備え、一度にアンテナの1つのサブセットからサウンディング基準信号(SRS)を送信するように構成され、該方法は、
アンテナの前記第1のサブセットから第1のSRSを送信することと、
アンテナの前記第2のサブセットから第2のSRSを送信することと、
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSの前記送信に応答して、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットから、アンテナの最適なサブセットを特定する情報を受信することと、
アンテナの前記最適なサブセットからユーザデータを送信することと
を含む方法。
【請求項2】
前記情報に基づいて、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットからアンテナの前記最適なサブセットを選択すること
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSに基づいて、複数の時間周波数資源要素(リソースエレメント)にわたって、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットのためのチャネルを推定することと、
前記推定されたチャネルに基づいて、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットからアンテナの前記最適なサブセットを選択することと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SRSは、前記UEに資源ブロックを割り当てるために前記ネットワークによって使用される
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記UEは、1つのみの無線周波数(RF)チェーンを備える
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSは、時分割多重化様式で送信される
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のSRSは、第1のサブフレーム内で送信され、前記第2のSRSは、第2のサブフレーム内で送信される
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSは、直交周波数分割多重化を使用して送信される
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSの前記送信は、周期的である
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSは、前記ネットワークによって要求されるときに送信される
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SRSは、前記UEによって送信される全てのサブフレームに含まれる
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記SRSは、前記UEによって送信される複数のサブフレームごとに含まれる
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
最近に前記ユーザデータを送信したアンテナの前記サブセットが、利用可能なアンテナの前記セットのうちの選択アンテナサブセットであり、利用可能なアンテナの前記セットのうちの他のアンテナは、非選択アンテナサブセットであり、前記方法は、
前記非選択サブセットから、前記選択アンテナサブセットよりも低い頻度で前記SRSを送信すること
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
最近に前記ユーザデータを送信したアンテナの前記サブセットが、利用可能なアンテナの前記セットのうちの選択アンテナサブセットであり、利用可能なアンテナの前記セットのうちの他のアンテナは、非選択アンテナサブセットであり、前記方法は、
前記非選択サブセットから、前記選択アンテナサブセットよりも高い頻度で前記SRSを送信すること
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記情報は、前記第1のSRSおよび前記第2のSRSのみに基づく
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ユーザ機器(UE)であって、該UEは、一度にアンテナの1つのサブセットからサウンディング基準信号(SRS)を送信するように構成され、
第1のSRSを送信するように構成されるアンテナの第1のサブセットと、
第2のSRSを送信するように構成されるアンテナの第2のサブセットと、
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSの前記送信に応答して、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットから、アンテナの最適なサブセットを特定する情報を受信するように構成される受信モジュールと、
アンテナの前記最適なサブセットからユーザデータを送信するように構成される送信機と
を備えるUE。
【請求項17】
前記情報に基づいて、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットからアンテナの前記最適なサブセットを選択するように構成される選択モジュールをさらに備える
請求項16に記載のUE。
【請求項18】
アンテナの前記最適なサブセットに関連する前記情報に基づいて、アンテナの前記第1のサブセットとアンテナの前記第2のサブセットとの間で切り換える手段
をさらに備える請求項16に記載のUE。
【請求項19】
無線通信ネットワークであって、該ネットワークは、ユーザ機器(UE)を備え、該UEは、該UEがアンテナ選択(AS)に適合するように、アンテナの第1のサブセットおよびアンテナの第2のサブセットを含む、アンテナの複数のサブセットを備え、一度にアンテナの1つのサブセットからサウンディング基準信号(SRS)を送信するように構成され、該ネットワークは、
アンテナの前記第1のサブセットから第1のSRSを送信する手段と、
アンテナの前記第2のサブセットから第2のSRSを送信する手段と、
前記第1のSRSおよび前記第2のSRSの前記送信に応答して、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットから、アンテナの最適なサブセットを特定する情報を受信する手段と、
アンテナの前記最適なサブセットからユーザデータを送信する手段と
を備えるネットワーク。
【請求項20】
前記情報に基づいて、アンテナの前記第1のサブセットおよびアンテナの前記第2のサブセットからアンテナの前記最適なサブセットを選択する手段
をさらに備える請求項19に記載のネットワーク。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−15393(P2011−15393A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−121171(P2010−121171)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】