説明

無線通信端末および無線通信制御方法

【課題】クロック信号の周波数を大きく変更することなく、クロック信号の高調波による受信性能への影響を低減することができる無線通信端末および無線通信制御方法を提供する。
【解決手段】高調波受信部304が、クロック信号の高調波を受信する。周波数情報記憶部305が、受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を記憶手段に記憶させる。クロック信号生成部303は、基準信号の移相とクロック信号を任意の分周比で分周した移相とを比較して、比較結果に応じた周波数のクロック信号を生成する。制御部306は、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック信号の高調波による受信性能への影響を低減する無線通信端末および無線通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末などの無線通信端末では、基本的な無線通信機能に加えて、撮影機能や地上デジタルテレビジョン放送受信機能など、各種の付加機能を実現するための付加部品が搭載されている。これら付加部品は、それぞれ個別の周波数のクロック信号が用いられて動作しているので、これらクロック信号の高調波が無線通信で用いられる受信信号の希望波周波数帯域に含まれる場合、受信感度が低下等して、受信特性が劣化する。
【0003】
このようなクロック信号の高調波による受信特性への影響を抑制する技術として、これらクロック信号の高調波が無線通信で用いられる受信信号の受信搬送波周波数に一致する場合に、その高調波の周波数が受信搬送波周波数に一致しないように、PLL回路によりクロック信号の周波数を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−179861号公報
【特許文献2】特開2006−246301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信においてデジタル変調方式を用いた場合、受信信号の周波数は、受信搬送波周波数を中心とした希望波周波数帯域に含まれている。従って、前述した関連技術を用いて、クロック信号の高調波による受信特性への影響を抑制するためには、クロック信号の高調波が受信信号の希望波周波数帯域内に含まれないようにする必要がある。
【0006】
この際、前述した関連技術によれば、PLL回路の分周比を予め設定されている固定値へ切り替えてクロック信号の周波数を変更することにより、高調波周波数を受信信号の希望波周波数帯域から除外している。このため、受信信号の希望波周波数帯域が広い場合には、分周比を余裕を持たせて設定し、クロック信号の周波数調整幅を広くする必要がある。
【0007】
しかし、クロック信号の周波数調整幅が広い場合、PLL回路の分周比を変更した後、クロック信号が所望の周波数に変化するまでに要するロック時間が長くなるため、希望波周波数帯域内からクロック信号の高調波が除外されるまでに要する時間が長くなり、その間に受信信号に対して影響が表れて、通信開始時に受信信号が不安定になる場合がある。
【0008】
また、ロック時間を短くするためには、PLL回路内で用いられるループフィルタの遮断周波数を高くする必要があり、結果としてPLL回路内で用いる位相比較周波数成分のスプリアスによる受信信号への影響が大きくなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、クロック信号の周波数を大きく変更することなく、クロック信号の高調波による受信性能への影響を低減する無線通信端末および無線通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による無線通信端末は、無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理部と、基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生部と、クロック信号を生成するクロック信号生成部と、クロック信号の高調波を検出する高調波検出部と、受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶部と、記憶手段に記憶されている周波数情報によって示される周波数にもとづいて、高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、クロック信号生成部を制御する制御部と、アンテナが受信した受信信号が高調波検出部に入力されない開状態と受信信号が高調波検出部に入力される閉状態とに遷移するアンテナスイッチとを備え、高調波検出部は、アンテナスイッチが開状態であるときにクロック信号の高調波を検出し、クロック信号生成部は、基準信号の位相と、クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成するPLL回路を含み、制御部は、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による他の態様の無線通信端末は、無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理部と、基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生部と、クロック信号を生成するクロック信号生成部と、クロック信号の高調波を検出する高調波検出部と、受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶部と、記憶手段に記憶されている周波数情報によって示される周波数にもとづいて、高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、クロック信号生成部を制御する制御部とを備え、高調波検出部には、クロック信号の高調波を検出するための検出用端部が設けられ、クロック信号生成部は、基準信号の位相と、クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成するPLL回路を含み、制御部は、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整することを特徴とする。
【0012】
本発明による無線通信制御方法は、クロック信号を生成するクロック信号生成ステップと、クロック信号の高調波を検出する高調波検出ステップと、受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶ステップと、記憶手段に記憶されている周波数情報によって示される周波数にもとづいて、高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、クロック信号の生成を制御する制御ステップと、無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理ステップと、基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生ステップとを含み、高調波検出ステップで、アンテナが受信した受信信号が入力されない状態でクロック信号の高調波を検出し、クロック信号生成ステップで、基準信号の位相と、クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成し、制御ステップで、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明による他の態様の無線通信制御方法は、クロック信号を生成するクロック信号生成ステップと、クロック信号の高調波を検出する高調波検出ステップと、受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶ステップと、記憶手段に記憶されている周波数情報によって示される周波数にもとづいて、高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、クロック信号の生成を制御する制御ステップと、無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理ステップと、基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生ステップとを含み、高調波検出ステップで、クロック信号の高調波を検出するための検出用端部でクロック信号の高調波を検出し、クロック信号生成ステップで、基準信号の位相と、クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成し、制御ステップで、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分周比を所定の固定値へ切り替えることにより高調波を希望波周波数帯域から除外する場合と比較して、クロック周波数の調整幅を小さくできる。そして、クロック信号を調整するまでに要するロック時間を短縮し、通信開始時における受信ベースバンド信号への影響を抑制することができる。また、PLL回路内で用いる位相比較周波数成分のスプリアスによる受信ベースバンド信号への影響を抑制できる。
【0015】
また、クロック信号の高調波の受信レベルを実際に測定するように構成されているので、現実の実装状態および使用環境において受信ベースバンド信号に影響する高調波を特定し、受信性能への影響を低減する処理を行うことができる。
【0016】
そして、クロック信号の高調波周波数を予め記憶手段に記憶させておく場合に比べて、使用する記憶容量を削減することができる。また、実際には受信性能への影響がない高調波に対するクロック周波数の調整を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態の無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【図2】無線処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】クロック信号生成部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の無線通信端末の周波数情報記憶処理を示すフローチャートである。
【図5】受信レベル測定部が測定した受信レベルを示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の無線通信端末のクロック周波数調整処理を示すフローチャートである。
【図7】クロック周波数調整前における受信信号とクロック信号の高調波との関係を示す説明図である。
【図8】クロック周波数調整後における受信信号とクロック信号の高調波との関係を示す説明図である。
【図9】第2の実施形態の無線通信端末の無線処理部の構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の無線通信端末の周波数情報記憶処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態の無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態1.
本発明の無線通信端末の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の無線通信端末10の構成例を示すブロック図である。
【0019】
無線通信端末10は、例えば、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの無線通信機能を有する端末装置であって、無線通信機能に加えて、撮影機能や地上デジタルテレビジョン放送受信機能などの付加機能を実現する付加部品が搭載された端末装置である。
【0020】
無線通信装置10は、アンテナ11、無線処理部12、制御部13、記憶部14、基準信号発生部15、クロック信号生成部16、および機能部17を含む。
【0021】
無線処理部12は、制御部13の制御に従って電波を送受信することにより無線通信を行う機能を有しており、特に受信処理機能として、無線通信時に受信した受信信号と受信搬送波周波数Frxの局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する機能を有している。
【0022】
図2は、無線処理部12の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、無線処理部12は、受信部121、送信部122、アンテナスイッチ123、受信レベル測定部124、判定部125、および周波数測定部126を含む。なお、高調波検出部は、受信レベル測定部124によって実現される。また、周波数情報記憶部は、判定部125および周波数測定部126によって実現される。
【0023】
受信部121は、受信処理機能を実現する。送信部122は、アンテナ11を介して電波を送信する送信処理機能を実現する。アンテナスイッチ123は、制御部13の制御にしたがって、アンテナ11が受信した電波を受信部121に入力する閉状態(図2に示されている状態)と当該電波を受信部121に入力しない開状態とに相互に遷移する。受信レベル測定部124は、開状態で入力された電波の強度(受信レベル)を測定する。判定部125は、受信レベル測定部124が測定した受信レベルが所定のレベル(例えば、−100dBm)以上であるか否かを判定する。周波数測定部126は、判定部125が所定のレベル以上であると判定した場合に当該所定のレベル以上の電波の周波数を測定し、測定した周波数を示す周波数情報を生成する。
【0024】
図2に示す受信部121では、携帯電話端末で用いられる位相変調方式(PSK:Phase−shift keying)の受信処理機能が例示されているが、本発明の無線処理部12は、位相変調方式に限定されるものではなく他の位相変調方式が用いられていてもよい。
【0025】
受信部121の動作について説明する。アンテナ11が受信した受信信号11Rは、乗算器12A,12Bに入力される。このうち乗算器12Aに入力された一方の受信信号11Rは、乗算器12Aにおいて、局部発振回路12Cから出力された受信信号11Rの搬送波周波数Frxの局部発振信号(cosωrxt)12Sと乗算されて検波されて、ローパスフィルタ(LPF)12Eを介して同相系のI成分信号12Iになる。
【0026】
また乗算器12Bに入力された他方の受信信号11Rは、乗算器12Bにおいて局部発振回路12Cの局部発振信号(cosωrxt)12Sを移相器12Dによってπ/2だけ移相された局部発振信号(−sinωrxt)と乗算されて検波され、ローパスフィルタ(LPF)12Fを介して直交系のQ成分信号12Qになる。受信信号生成部12Gは、これらI成分信号12IとQ成分信号12Qとから受信ベースバンド信号12Rを生成し、制御部13に入力する。
【0027】
受信レベル測定部124は、例えば、RSSI(Receive Signal Strength Indicator:受信信号強度測定器)である。また、周波数測定部126は、例えば、周波数カウンタと、当該周波数カウンタが測定した周波数を示す周波数情報を生成して出力するIC(Integrated Circuit)とによって実現され、生成した周波数情報を記憶部14に記憶させる。
【0028】
図1において、制御部13は、CPUとその周辺回路からなり、無線処理部12を制御することにより無線通信を行う機能と、分周比信号13Sによりクロック信号生成部16を制御して、クロック信号16Sの高周波17Sの周波数、すなわちクロック周波数Fclkの整数倍の高調波周波数が受信搬送波周波数Frxと一致するようクロック周波数Fclkを設定する機能と、アンテナスイッチ123を開状態と閉状態とに相互に遷移させる機能とを有している。
【0029】
記憶部14は、メモリ回路からなり、制御部13における処理に用いられる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。そして、記憶部14は、無線通信で使用される受信チャネルごとにその受信信号の受信搬送波周波数を示す情報と希望波周波数帯域BWを示す情報とを記憶している。
【0030】
また、記憶部14には、周波数測定部126が生成した周波数情報が記憶される。
【0031】
基準信号発生部15は、発振回路からなり、一定の基準周波数Fsで基準信号15Sを発生させる機能を有している。
【0032】
クロック信号生成部16は、PLL回路や分周回路からなり、入力された基準信号15Sにもとづいて、任意のクロック周波数Fclkのクロック信号16Sを生成する機能を有している。
【0033】
図3は、クロック信号生成部16の構成例を示すブロック図である。図3に示す例では、クロック信号生成部16は、PLL回路16Aと分周回路16Eとから構成されている。PLL回路16Aは、入力された基準信号15Sの位相と分周回路16Eによりクロック信号16Sを所定の分周比で分周して得られた位相とを位相比較器16Bで比較し、その比較結果信号をループフィルタ16Cで安定化し、得られた電圧比に応じたクロック周波数Fclkのクロック信号16Sを電圧制御発振器(VCO)16Dで生成する。分周回路16Eは、制御部13からの分周比信号13Sに応じた分周比で、クロック信号16Sを分周して位相比較器16Bへフィードバックしている。
【0034】
図1において、機能部17は、撮影機能や地上デジタルテレビジョン放送受信機能など、各種の付加機能を実現する回路部であり、機能部17を構成する各付加部品は、クロック信号生成部16が生成したクロック信号16Sにもとづいて動作する。なお、制御部13等を実現するICもクロック信号16Sにもとづいて動作するように構成されていてもよい。
【0035】
次に、図面を参照して、本発明の第1の実施形態の無線通信端末10の動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の無線通信端末10の周波数情報記憶処理を示すフローチャートである。
【0036】
制御部13は、使用者によって電源オン操作がなされると、アンテナスイッチ123を開状態に遷移させる(ステップS10)。
【0037】
受信レベル測定部124は、無線通信で使用される全受信周波数の無入力状態(つまり、アンテナスイッチ123が開状態)において受信信号を検出し、検出した受信信号(検出信号)の受信信号レベル(検出レベル)を測定する(ステップS11)。無線通信で使用される全受信周波数とは、例えば、無線通信端末によってW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の無線通信で使用される希望波周波数帯域BW(800MHz帯や1.7GHz帯、2GHz帯)内の各周波数である。
【0038】
なお、受信レベル測定部124は、記憶部14に記憶されている希望波周波数帯域BWを示す情報を読み出して、当該情報によって示される希望波周波数帯域BW内の各周波数について、受信信号レベルを測定する。
【0039】
判定部125は、受信レベル測定部124が測定した受信レベルが所定のレベル以上であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0040】
図5は、受信レベル測定部124が測定した受信レベルを示す説明図である。図5に示す例では、ある希望波周波数帯域BW内に複数の高調波(N×Fclk,(N+1)×Fclk,(N+2)×Fclk)が含まれている。そして、N×Fclkの周波数の高調波の受信レベルおよび(N+2)×Fclkの周波数の高調波の受信レベルは所定のレベル(Lvl_no)以上であり、(N+1)×Fclkの周波数の受信レベルは所定のレベル未満である。
【0041】
周波数測定部126は、判定部125が所定のレベル以上であると判定した場合に(ステップS12のY)、当該所定のレベル以上の電波の周波数を測定し(ステップS13)、当該周波数を示す周波数情報を生成して、記憶部14に記憶させる(ステップS14)。
【0042】
制御部13は、無線通信で使用される全受信周波数について受信レベル測定部124による受信信号レベルの測定が終了した場合に(ステップS15のY)、制御部13は、使アンテナスイッチ123を閉状態に遷移させ(ステップS16)、処理を終了する。未測定の周波数がある場合に(ステップS15のN)、ステップS11の処理に移行して、未測定の周波数の受信信号レベルを測定する(ステップS11)。
【0043】
なお、受信レベル測定部124は、受信性能に影響を与える周波数帯域(例えば、希望波周波数帯域BW)において受信レベルを測定する周波数を変化(スイープ)させ、受信レベルが所定のレベル以上であった場合に、そのときの測定周波数を示す周波数情報を記憶部14に記憶させるように構成されていてもよい。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態の無線通信端末のクロック周波数調整処理を示すフローチャートである。
【0045】
無線通信端末10の制御部13は、新たな無線通信を行う際に、図6に示すクロック周波数調整処理を実行する。
【0046】
制御部13は、まず、当該無線通信の受信チャネルで用いる受信搬送波周波数Frxおよび希望波周波数帯域BWを記憶部14から読み出すとともに(ステップS100)、周波数情報を記憶部14から読み出し(ステップS101)、周波数情報によって示される周波数と希望波周波数帯域BWとを比較する(ステップS102)。
【0047】
ここで、周波数情報によって示される周波数のいずれもが希望波周波数帯域BW内に存在しない場合には(ステップS103のN)、受信信号に対する周波数情報によって示される周波数(例えば、高調波周波数N×Fclk)の電波の影響がなくクロック周波数調整が不要であることから、一連のクロック周波数調整処理を終了する。なお、前述したステップS11の処理で、希望波周波数帯域BW内についてのみ受信レベルが測定されているので、ステップS102,S103の処理は実行されなくてもよい。
【0048】
周波数情報によって示される周波数のいずれか(例えば、高調波周波数N×Fclk)が希望波周波数帯域BW内に存在する場合(ステップS103のY)、制御部13は、希望波周波数帯域BW内に存在する高調波周波数N×Fclkと受信搬送波周波数Frxとを比較する(ステップS104)。
【0049】
ここで、当該高調波周波数N×Fclkが受信搬送波周波数Frxと一致する場合には(ステップS105のN)、受信ベースバンド信号に対する高調波周波数N×Fclkの影響がなくクロック周波数調整が不要であることから、一連のクロック周波数調整処理を終了する。
【0050】
一方、当該高調波周波数N×Fclkが受信搬送波周波数Frxと一致しない場合(ステップS105のY)、制御部13は、クロック信号16Sの高周波17Sの高調波周波数を、受信搬送波周波数Frxに一致させるための分周比Mを算出する(ステップS106)。この場合、Fclk=M×Fsであり、Frx=N×Fclkであるから、M=Frx/(N×Fs)で求められる。
【0051】
なお、記憶部14には、例えば、搭載される各付加部品のクロック周波数をそれぞれ示す情報が予め記憶され、それらクロック周波数を示す情報と、周波数情報によって示される周波数とにもとづいて、高調波の次数Nが特定されるように構成されている。
【0052】
制御部13は、このようにして分周比Mを求め、この分周比Mを示す分周比信号13Sをクロック信号生成部16に出力し(ステップS107)、一連のクロック周波数調整処理を終了する。
【0053】
これにより、クロック信号生成部16からは、入力された基準信号15Sを逓倍した周波数M×Fsのクロック信号16Sが出力される。このため、クロック信号16Sの高調波周波数が受信搬送波周波数Frxと一致することになる。
【0054】
したがって、無線処理部12で受信搬送波周波数Frxの信号成分が除去されると同様にして、クロック信号16Sの高調波が無線処理部12で除去されるため、クロック信号16Sの高調波による受信ベースバンド信号に対する影響を抑制することが可能になる。
【0055】
図7は、クロック周波数調整前における受信信号とクロック信号の高調波との関係を示す説明図であり、図7(a)は周波数帯域図、図7(b)は周波数スペクトル図である。
【0056】
図8は、クロック周波数調整後における受信信号とクロック信号の高調波との関係を示す説明図であり、図8(a)は周波数帯域図、図8(b)は周波数スペクトル図である。
【0057】
図7に示すように、クロック周波数調整前では、クロック信号16Sの高調波として、クロック信号の高調波SP1、SP2が現れており、このうち周波数Fsp1=N×Fclkの高調波SP1が、受信搬送周波数Frxを中心とする受信希望波周波数帯域BW内に存在し、周波数Fsp2の高調波SP2は受信希望波周波数帯域BW外に存在している。
【0058】
このような状況において、受信信号から得られた受信ベースバンド信号の周波数Fbの近くに、高調波SPqに起因したスペクトルとして、周波数Fbsp1のスペクトルSP1bが発生する。従って、このスペクトルSP1bが、受信ベースバンド信号のエラー発生の原因となる。
【0059】
これに対して図8に示すように、クロック周波数調整後においては、クロック信号の高調波SP1の周波数が受信搬送波周波数Frxと一致しているため、高調波SP1が受信搬送波成分と同様に除去され、受信ベースバンド信号の周波数Fbの近くに周波数Fbsp1のスペクトルSP1bは発生していない。従って、高調波SP1による受信ベースバンド信号への影響が抑制される。
【0060】
以上に述べたように、本実施形態によれば、制御部により、受信ベースバンド信号に影響を与えるクロック信号の高調波の周波数が、受信搬送波周波数と一致するように、PLL回路の分周比を制御してクロック周波数を調整しているので、分周比を所定の固定値へ切り替えることにより高調波を希望波周波数帯域から除外する場合と比較して、クロック周波数の調整幅を小さくできる。
【0061】
このため、クロック周波数調整用のPLL回路によりクロック信号の周波数を受信搬送波周波数に調整するまでに要するロック時間が短くて済み、通信開始時における受信ベースバンド信号への影響を抑制することができる。また、PLL回路のロック時間を短くするために、PLL回路内で用いるループフィルタの遮断周波数を高くする必要がなくなり、結果としてPLL回路内で用いる位相比較周波数成分のスプリアスによる受信ベースバンド信号への影響を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態では、制御部で、基準周波数と高調波の次数N(Nは2以上の整数)とで受信搬送波周波数を除算した値を分周比として設定するようにしたので、複雑な演算や制御を必要とすることなく、容易にクロック信号の高調波周波数を受信搬送波周波数に一致させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、電源オン操作がなされたときにクロック信号の高調波の受信レベルを実際に測定するように構成されているので、現実の実装状態および使用環境において受信ベースバンド信号に影響する高調波を特定し、受信性能への影響を低減することができる。
【0064】
また、クロック信号の高調波周波数を予め記憶部14に記憶させておく場合に比べて、使用する記憶容量を削減することができる。また、実際には受信性能への影響がない高調波に対するクロック周波数の調整を防ぐことができる。
【0065】
実施形態2.
次に、本発明の無線通信端末の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第2の実施形態の無線通信端末20は、第1の実施形態の無線通信端末10の無線処理部12に代えて無線処理部21を含む。図9は、第2の実施形態の無線通信端末20の無線処理部21の構成例を示すブロック図である。
【0066】
図9に示すように、第2の実施形態の無線通信端末20は、無線処理部21が、第1の実施形態の無線処理部12におけるアンテナスイッチ123に代えて、アンテナ11に接続されていない受信端(検出用端部)201を含む。なお、受信端201は、例えば、機能部17から発せられた高調波を受信するために設けられた信号線の端部(例えば、突起状のもの)であり、アンテナ11には接続されていない。
【0067】
そして、レベル測定部124は、アンテナ11が受信した受信信号が受信部121に入力されている状態(第1の実施形態の閉状態に相当)であっても、受信端201が受信した電波の受信レベルを測定する。
【0068】
次に、図面を参照して、本発明の第2の実施形態の無線通信端末20の動作について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態の無線通信端末20の周波数情報記憶処理を示すフローチャートである。
【0069】
受信レベル測定部124は、制御部13が無線通信で使用される希望波周波数帯域BWを選択すると、当該帯域内において受信端201によって受信された電波の受信レベルを測定する(ステップS20)。なお、制御部13によって選択される希望波周波数帯域BWは、W−CDMA方式の無線通信で使用される複数の周波数帯域のうち、無線通信端末20によって今回の無線通信で使用される周波数帯域である。
【0070】
判定部125は、受信レベル測定部124が測定した受信レベルが所定のレベル以上であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
周波数測定部126は、判定部125が所定のレベル以上であると判定した場合に(ステップS21のY)、当該所定のレベル以上の電波の周波数を測定し(ステップS22)、当該周波数を示す周波数情報を生成して、記憶部14に記憶させる(ステップS23)。
【0072】
制御部13は、無線通信で使用される全受信周波数について受信レベル測定部124による受信信号レベルの測定が終了した場合に(ステップS24のY)、処理を終了する。未測定の周波数がある場合に(ステップS24のN)、ステップS20の処理に移行して、未測定の周波数の受信信号レベルを測定する(ステップS20)。
【0073】
なお、受信レベル測定部124は、例えば、送信部122によって電波が送信されていないタイミングで、受信性能に影響を与える周波数帯域において受信レベルを測定する周波数を変化(スイープ)させ、受信レベルが所定のレベル以上であった場合に、そのときの測定周波数を示す周波数情報を記憶部14に記憶させるように構成されていてもよい。また、受信部121に受信端201が接続され、当該受信部121が受信レベルを測定する機能を有し、受信端201を用いて受信レベルを測定する処理と、アンテナ11を介して電波を受信する処理とを所定の時間間隔等で切り替えて実行するように構成されていてもよい。
【0074】
第2の実施形態におけるクロック周波数調整処理は、第1の実施形態で例示した図6に示すクロック周波数調整処理と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
以上に述べたように、本実施形態によれば、無線通信が行われている状態であっても高調波の周波数を測定することができるので、撮影機能等の常には動作していない機能にもとづくクロック信号の高調波を特定し、クロック周波数の調整を行うことができる。
【0076】
実施形態3.
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施形態の無線通信端末について説明する。図11は、本発明の第3の実施形態の無線通信端末30の構成を示すブロック図である。
【0077】
本実施形態では、基準信号15SにもとづいてPLL回路でクロック信号を生成する場合におけるクロック周波数調整方法について説明する。
【0078】
なお、本実施形態では、無線処理部12における局部発振信号の生成方法と、制御部13におけるクロック周波数調整方法とが異なるものの、他の構成については第1の実施形態における構成または第2の実施形態における構成と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0079】
本実施形態における無線処理部12は、前述した図2の局部発振回路12Cとして、前述の図3に示したようなPLL回路16Aと分周回路16Eとを備え、基準信号15Sを入力して図2に示した局部発振信号12Sを生成する。
【0080】
無線通信端末30の制御部13は、新たな無線通信を行う際、前述した図6に示すクロック周波数調整処理を実行する。このクロック周波数調整処理のステップS106において、クロック信号生成部16での分周比Mを算出する際、制御部13は、次のようにして分周比Mを算出する。
【0081】
無線通信で用いる受信搬送波周波数をFrxとし、基準信号15Sの基準周波数をFsとし、受信搬送波周波数Frxに等しい局部発振信号12とをPLL回路で生成する際に用いる分周比をPとした場合に、Frx=P×Fsが成立する。
【0082】
一方、希望波周波数帯域BW内に存在するクロック信号16Sの高調波の周波数をFsp=N×Fclkとし、クロック信号16SをPLL回路で生成する際に用いる分周比をQとした場合、FSP=N×Q×Fsが成立する。
【0083】
このため、高調波周波数Fspを受信搬送波周波数Frxと等しくするための分周比QとしてQ=P/Nが導出される。
【0084】
従って、制御部13は、ステップS106において、記憶部14に保存されている分周比PとステップS102で得られた整数Nとから、分周比Qを容易に求めることが可能になる。
【0085】
以上に述べたように、本実施形態によれば、制御部で、基準信号から局部発振信号を生成する際の逓倍数P(Pは2以上の整数)を、高調波の次数N(Nは2以上の整数)で除算した値をPLL回路の分周比として設定するようにしたので、無線処理部で、基準信号の基準周波数をPだけ逓倍することにより、局部発振信号を生成する場合でも、複雑な演算を必要とすることなく、容易に高調波周波数を受信搬送波周波数に一致させるための分周比Qを求めることが可能になる。
【0086】
次に、本発明の概要について説明する。図12は、本発明の概要を示すブロック図である。本発明の無線通信端末は、無線処理部301と、基準信号発生部302と、クロック信号生成部303と、高調波検出部304と、周波数情報記憶部305と、制御部306と、アンテナスイッチ307とを備える。
【0087】
無線処理部301は、無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する。
【0088】
基準信号発生部302は、基準周波数の基準信号を生成する。クロック信号生成部303は、クロック信号を生成する。高調波検出部304は、クロック信号の高調波を受信する。周波数情報記憶部305は、受信搬送波周波数帯域(例えば、希望波周波数帯域BW)内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる。
【0089】
制御部306は、記憶手段に記憶されている周波数情報によって示される周波数にもとづいて、高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、クロック信号生成部303を制御する。
【0090】
アンテナスイッチ307は、アンテナが受信した受信信号が高調波検出部304に入力されない開状態と受信信号が高調波検出部304に入力される閉状態とに相互に遷移する。高調波検出部304は、アンテナスイッチ307に接続され、開状態でクロック信号の高調波を受信する。
【0091】
クロック信号生成部303は、基準信号の位相と、クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成するPLL回路308を含む。
【0092】
制御部306は、分周比を制御してクロック信号の周波数を調整する。
【0093】
そのような構成によれば、分周比を所定の固定値へ切り替えることにより高調波を希望波周波数帯域から除外する場合と比較して、クロック周波数の調整幅を小さくできる。そして、クロック信号を調整するまでに要するロック時間を短縮し、通信開始時における受信ベースバンド信号への影響を抑制することができる。また、PLL回路内で用いる位相比較周波数成分のスプリアスによる受信ベースバンド信号への影響を抑制できる。
【0094】
また、クロック信号の高調波の受信レベルを実際に測定するように構成されているので、現実の実装状態および使用環境において受信ベースバンド信号に影響する高調波を特定し、受信性能への影響を低減することができる。
【0095】
そして、クロック信号の高調波周波数を予め記憶部14に記憶させておく場合に比べて、使用する記憶容量を削減することができる。また、実際には受信性能への影響がない高調波に対するクロック周波数の調整を防ぐことができる。
【0096】
また、上記の実施形態には、図12に例示した無線通信端末の構成の一部を転換したものとして、高調波検出部304に、クロック信号の高調波を検出するための検出用端部が設けられた構成が開示されている。
【0097】
そのような構成によれば、無線通信が行われている状態であっても高調波の周波数を測定することができるので、撮影機能等の常には動作していない機能にもとづくクロック信号の高調波を特定し、クロック周波数の調整を行うことができる。
【0098】
また、上記の実施形態には、高調波検出部304が、検出信号の検出レベルを測定し、周波数情報記憶部305が、高調波検出部304が測定した検出レベルが所定のレベル以上である場合に検出信号の周波数を測定する周波数測定部を含み、当該周波数測定部が測定した周波数を示す周波数情報を記憶手段に記憶させることが開示されている。
【0099】
そのような構成によれば、所定のレベル以上の高調波(具体的には、例えば、無線通信端末の受信性能に影響を与える高調波(検出信号))の周波数を示す周波数情報を記憶手段に記憶させるので、そのような高調波が存在する場合にクロック周波数の調整が行われ、受信性能への影響を防ぐことができる。
【0100】
また、上記の実施形態には、制御部306が、基準周波数と高調波の次数N(Nは2以上の整数)とで受信搬送波周波数を除算した値を分周比として設定することが開示されている。そのような構成によれば、複雑な演算や制御を必要とすることなく、容易にクロック信号の高調波周波数を受信搬送波周波数に一致させることができる。
【0101】
また、上記の実施形態には、無線処理部301が、基準信号の基準周波数をP(Pは2以上の整数)だけ逓倍することにより局部発振信号を生成する局部発振回路を含み、制御部306が、高調波の次数N(Nは2以上の整数)でPを除算した値を分周比として設定することが開示されている。そのような構成によれば、局部発振信号を生成する場合でも、複雑な演算を必要とすることなく、容易に高調波周波数を受信搬送波周波数に一致させるための分周比を求めることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、クロック信号を用いる無線通信端末に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10、20、30 無線通信端末
11 アンテナ
12 無線処理部
12A、12B 乗算器
12C 局部発振回路
12D 移相器
12E、12F ローパスフィルタ
12G 受信信号生成部
13 制御部
14 記憶部
15 基準信号発生部
16 クロック信号生成部
16A PLL回路
16B 位相比較器
16C ループフィルタ
16D VCO
16E 分周回路
17 機能部
121 受信部
122 送信部
123 アンテナスイッチ
124 受信レベル測定部
125 判定部
126 周波数測定部
201 受信端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理部と、
基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生部と、
クロック信号を生成するクロック信号生成部と、
前記クロック信号の高調波を検出する高調波検出部と、
受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶部と、
前記記憶手段に記憶されている前記周波数情報によって示される周波数にもとづいて、前記高調波の周波数を前記受信搬送波周波数に一致させるように、前記クロック信号生成部を制御する制御部と、
前記アンテナが受信した受信信号が前記高調波検出部に入力されない開状態と前記受信信号が前記高調波検出部に入力される閉状態とに遷移するアンテナスイッチとを備え、
前記高調波検出部は、前記アンテナスイッチが前記開状態であるときに前記クロック信号の高調波を検出し、
前記クロック信号生成部は、前記基準信号の位相と、前記クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成するPLL回路を含み、
前記制御部は、前記分周比を制御して前記クロック信号の周波数を調整する
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理部と、
基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生部と、
クロック信号を生成するクロック信号生成部と、
前記クロック信号の高調波を検出する高調波検出部と、
受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶部と、
前記記憶手段に記憶されている前記周波数情報によって示される周波数にもとづいて、前記高調波の周波数を前記受信搬送波周波数に一致させるように、前記クロック信号生成部を制御する制御部とを備え、
前記高調波検出部には、クロック信号の高調波を検出するための検出用端部が設けられ、
前記クロック信号生成部は、前記基準信号の位相と、前記クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成するPLL回路を含み、
前記制御部は、前記分周比を制御して前記クロック信号の周波数を調整する
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
高調波検出部は、検出信号の検出レベルを測定し、
前記周波数情報記憶部は、
前記高調波検出部が測定した検出レベルが所定のレベル以上である場合に、前記検出信号の周波数を測定する周波数測定部を含み、
前記周波数測定部が測定した周波数を示す周波数情報を記憶手段に記憶させる
請求項1または請求項2記載の無線通信端末。
【請求項4】
制御部は、基準周波数と高調波の次数N(Nは2以上の整数)とで受信搬送波周波数を除算した値を分周比として設定する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の無線通信端末。
【請求項5】
無線処理部は、基準信号の基準周波数をP(Pは2以上の整数)だけ逓倍することにより局部発振信号を生成する局部発振回路を含み、
制御部は、高調波の次数N(Nは2以上の整数)で前記Pを除算した値を分周比として設定する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の無線通信端末。
【請求項6】
クロック信号を生成するクロック信号生成ステップと、
前記クロック信号の高調波を検出する高調波検出ステップと、
受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶ステップと、
前記記憶手段に記憶されている前記周波数情報によって示される周波数にもとづいて、前記高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、前記クロック信号の生成を制御する制御ステップと、
無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理ステップと、
基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生ステップとを含み、
前記高調波検出ステップで、前記アンテナが受信した受信信号が入力されない状態で前記クロック信号の高調波を検出し、
前記クロック信号生成ステップで、前記基準信号の位相と、前記クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成し、
前記制御ステップで、前記分周比を制御して前記クロック信号の周波数を調整する
ことを特徴とする無線通信制御方法。
【請求項7】
クロック信号を生成するクロック信号生成ステップと、
前記クロック信号の高調波を検出する高調波検出ステップと、
受信搬送波周波数帯域内の高調波の周波数を示す周波数情報を生成して記憶手段に記憶させる周波数情報記憶ステップと、
前記記憶手段に記憶されている前記周波数情報によって示される周波数にもとづいて、前記高調波の周波数を受信搬送波周波数に一致させるように、前記クロック信号の生成を制御する制御ステップと、
無線通信時にアンテナが受信した受信信号と受信搬送波周波数の局部発振信号とにもとづく受信ベースバンド信号を出力する無線処理ステップと、
基準周波数の基準信号を生成する基準信号発生ステップとを含み、
前記高調波検出ステップで、前記クロック信号の高調波を検出するための検出用端部で前記クロック信号の高調波を検出し、
前記クロック信号生成ステップで、前記基準信号の位相と、前記クロック信号を任意の分周比で分周した位相とを比較し、その比較結果に応じたクロック周波数のクロック信号を生成し、
前記制御ステップで、前記分周比を制御して前記クロック信号の周波数を調整する
ことを特徴とする無線通信制御方法。
【請求項8】
高調波検出ステップで、検出信号の検出レベルを測定し、
前記周波数情報記憶ステップで、前記高調波検出ステップで測定した検出レベルが所定のレベル以上である場合に、前記検出信号の周波数を測定し、測定した周波数を示す周波数情報を記憶手段に記憶させる
請求項6または請求項7記載の無線通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−263477(P2010−263477A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113641(P2009−113641)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】