説明

無線通信装置、マッチング制御回路、マッチング制御方法

【課題】RSSI(受信信号強度)を用いたパワーマッチングではノイズが反映されておらず最適な受信感度を実現することができなかった。
【解決手段】本発明の無線通信装置は、アンテナで受信した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行うマッチング手段と、前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標を算出する品質指標算出手段と、前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する制御手段と、を具備する。当該構成によれば、ノイズを考慮した上でのマッチング制御を行うことができるため、受信感度の最良化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッチング制御回路及び当該回路を備える無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置の受信系回路では、アンテナで受信したRF(Radio Frequency)信号に対してRFマッチング回路でインピーダンスマッチングを行い、受信信号の最大化及びノイズの最小化を図ることにより受信感度を最良にする処理が行われる。
【0003】
通常、RFマッチング回路は受信系回路設計時に受信信号帯域における受信感度を最良にするよう予め設計される。しかしながら、PVTF(Process:製造、Voltage:電圧、Temperature:温度、Frequency:周波数)の変動によりマッチングがずれ、受信感度が悪化するという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決する技術として特許文献1に記載のRFマッチング回路がある。特許文献1では、LNA(低雑音増幅器)とMixer(周波数混合器)の間にRFマッチング回路が配置され、そのRFマッチング回路をRSSI出力で制御することによりRFマッチングの調整を行なう。RFマッチング回路の被制御素子としては電圧で容量値が変わるバリキャップダイオードを使用する。このような構成とすることでPVTFに変動が生じても受信感度を良好に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−13190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示のRFマッチング回路はRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)出力を用いてマッチング制御を行っているため、パワーマッチングの調整はできるがノイズマッチングの調整はできないという課題がある。
【0007】
パワーマッチングとノイズマッチングではRFマッチング回路の最良なマッチング定数が異なり、図14に示すように、バリキャップダイオードの制御電圧をスウィープした場合、パワーマッチングの最良点Vとノイズマッチングの最良点VにはΔVの差が存在する。RSSIは、受信信号強度の検出はできるがノイズの検出はできないため、ノイズの観点からは調整を行うことができない。受信感度Sはノイズに大きく依存するため、受信感度を改善するためにはトータルNFすなわちノイズの改善が必要であるが、特許文献1の技術ではノイズマッチングの調整ができないので、受信感度の最良化を行うことができなかった。
【0008】
また、上記特許文献1ではRFマッチング回路の前段にLNAを配置しているためインピーダンスのずれによりこの部分で反射を生じてしまい、アンテナを介して受信した受信信号を適切に後段に流すことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様である無線通信装置は、アンテナで受信した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行うマッチング手段と、前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標を算出する品質指標算出手段と、前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する制御手段と、を具備する。当該構成とすることで、ノイズを考慮した上でのマッチング制御を行うことができ、受信感度の最良化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様であるマッチング制御回路は、入力した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行うマッチング手段と、前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する制御手段と、を具備する。当該構成とすることで、ノイズを考慮した上でのマッチング制御を行うことができ、受信感度の最良化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様であるマッチング制御方法は、入力した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行い、前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標を算出し、前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記インピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する。当該構成とすることで、ノイズを考慮した上でのマッチング制御を行うことができ、受信感度の最良化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パワーマッチングのみに基づいて受信感度を改善する場合と比較して、より受信感度を改善することができ、受信感度の最良化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る無線通信装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る無線通信装置のブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る制御電圧とLQI出力との関係を示すグラフである。
【図4】実施の形態1に係るRFマッチング回路の構成を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る無線通信装置のブロック図である。
【図6】実施の形態2に係る無線通信装置のブロック図である。
【図7】実施の形態2に係るBER(PER)とS/Nとの関係を示すグラフである。
【図8】実施の形態3に係る無線通信装置のブロック図である。
【図9】実施の形態4に係る無線通信装置のブロック図である。
【図10】実施の形態4に係るVTFと制御電圧値との関係を記した管理テーブルを示す図である。
【図11】実施の形態4に係る無線通信装置の変形例のブロック図である。
【図12】実施の形態4に係るVTFとピーク・サーチ範囲との関係を記した管理テーブルを示す図である。
【図13】実施の形態4に係る無線通信装置の変形例のブロック図である。
【図14】制御電圧をスウィープさせた時の受信信号強度とノイズ強度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0015】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態1に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0016】
無線通信装置100は、アンテナ101と、RFマッチング回路102と、LNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅器)103と、Mixer(周波数混合器)104と、Filter(フィルタ)105と、VGA(Variable Gain Amplifier:可変利得増幅器)106と、ADC(Analog Digital Converter:アナログ/デジタル変換器)107と、DEM(Demodulator:復調器)108と、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)算出回路109と、LQI(Link Quality Indicator:リンク品質指標)算出回路110と、制御回路111と、を備える。
【0017】
アンテナ101を介して無線受信された高周波帯域の受信信号はRFマッチング回路102に入力される。RFマッチング回路102は、制御回路111からの制御に従って、入力した受信信号にインピーダンスマッチングを行い、マッチング処理後の受信信号をLNA103に出力する。
【0018】
具体的には、RFマッチング回路102は、図2に示すようにインダクタ1021と可変容量キャパシタ1022とを組み合わせたLC回路で構成される。制御回路111は、当該可変容量キャパシタ1021に印加する制御電圧を変えて容量値を変化させることによりインピーダンスマッチング処理におけるマッチング定数を変化させる。なお、可変容量キャパシタ1021は、例えばバラクタ(PN接合ダイオード)であり、制御電圧を変化させることで静電容量を変化させることができる。
【0019】
LNA103は、RFマッチング回路102より入力したマッチング処理後の受信信号に対して低雑音を保ちつつ増幅処理を行い、増幅処理後の受信信号をミキサ104に出力する。
【0020】
ミキサ104は、LNA103より入力した増幅処理後の受信信号に対してダウンコンバートを行い、RF信号をIF信号(中間周波信号)またはBB信号(ベースバンド信号)に変換する。ミキサ104は、周波数変換後の受信信号をフィルタ105に出力する。
【0021】
フィルタ105は、ミキサ104より入力した周波数変換後の受信信号に対してフィルタリング処理を行い、所望の信号帯域の受信信号を取り出してVGA106に出力する。
【0022】
VGA106は、フィルタ105より入力したフィルタリング処理後の受信信号に対して後段のADC107における入力レベルが一定になるよう可変利得で増幅処理を行う。VGA106で増幅された受信信号はADC107とRSSI算出回路109に出力される。
【0023】
ADC107は、VGA106より入力した増幅処理後のアナログ信号である受信信号に対してAD変換処理を行い、デジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された受信信号はDEM108に出力される。
【0024】
DEM108は、ADC107より入力したAD変換処理後の受信信号に対して当該受信信号の変調方式に対応した復調処理を行う。DEM108は、更に復調処理後の受信信号に対して対応する符号化方式で復号処理を行い、最終的にデータビット列を取り出す。DEM108は、復調処理及び復号処理後のデータをバックエンドのデジタルLSIに出力すると共に、LQI算出回路110に出力する。
【0025】
RSSI算出回路109は、VGA106からの出力信号を入力し、RSSIを算出する。算出されたRSSIは、電界強度表示、送信電力制御、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)、空きチャンネル検出、スケルチ(受信信号がある値以下になったときにノイズを遮断する)などで使用される。
【0026】
LQI算出回路110は、DEM108からの出力データを入力し、フレームを受信した際の受信信号強度とノイズ強度とに基づいてLQI(リンク品質指標)を算出する。算出されたリンク品質指標は、上位層に通知されるために使用される。本発明では、この算出したLQIを制御回路111に供給する。
【0027】
制御回路111は、LQI算出回路110よりLQIを入力し、RFマッチング回路102のインピーダンスを変化させてLQI出力のピーク・サーチを行い、受信感度の最良点を検出する。制御回路111は、LQI出力のピーク位置に対応する場所にRFマッチング回路102のインピーダンスをセットする制御を行う。
【0028】
制御回路111は、具体的には、図2に示すように、制御電圧変更部1111とモニタ1112と制御電圧決定部1113とを備える。制御電圧変更部1111は、制御電圧決定部1113からの指示に従いバラクタ1022に印加する制御電圧を所定の電圧範囲でスウィープする。
【0029】
モニタ1112は、制御電圧変更部1111が印加する制御電圧に応じたマッチング定数で行われるインピーダンスマッチングを通じて得られるLQIの値をモニタリングする。モニタ1112はLQIのモニタリング結果を制御電圧決定部1113に出力する。
【0030】
制御電圧決定部1113は、制御電圧変更部1111がスウィープする制御電圧の値に応じたLQIの値を比較し、最もLQIの値の良い電圧の値を最終的な制御電圧として決定し、制御電圧変更部1111に指示する。制御電圧変更部1111は、制御電圧決定部1113から指示された値に制御電圧をセットする。
【0031】
図3にバラクタへ印加される制御電圧とLQI出力との関係を示す。図3は、制御電圧変更部1111が制御電圧をスウィープした時にモニタ部1112で観測されるLQIの値を示しており、制御電圧決定部1113はLQIの値が最も高い点を受信感度最良点として制御電圧をVgに決定する。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態1における無線通信装置によれば、復調処理後に得られるノイズが反映された品質指標を用いてマッチング制御を行う。具体的には、復調処理後に得られる信号自体の強度とノイズの強度に基づいてLQIの値を求め、当該LQIの値が最良となるように制御回路111でマッチング制御を行う。従って、パワーマッチングとノイズマッチングの両方を考慮した上でマッチング制御が行われるため受信感度を最適化することができる。
【0033】
なお、図2で示したRFマッチング回路は一例であり、例えば図4(a)〜(e)に示すように、単数又は複数のキャパシタ及び単数又は複数のインダクタを直列又は並列に組み合わせてRFマッチング回路を組んでも良い。このような構成においても、制御回路111より制御電圧V、V1、V2が各バラクタ1022に印加されることで容量を変化させ、RFマッチング回路のインピーダンスを変化させることができる。
【0034】
また、RFマッチング回路は図5に示すようにRFマッチング回路の重み付けされた複数のキャパシタC1023をスイッチ1024を用いて切り替えることで容量値をスウィープし、制御回路211にてLQI出力のピーク・サーチを行なう構成であっても良い。すなわち、制御回路211は、複数のキャパシタ1023にそれぞれ接続されたスイッチ1024を切り替える制御を行うことでRFマッチング回路のRFマッチング定数を変化させてもよい。制御回路211は、モニタリングしているLQI出力のピークを受信感度の最良点として各スイッチのON・OFFを設定することができる。
【0035】
なお、図5では、制御回路211は、重み付けされて並列に設置された複数のキャパシタを切り替える構成について説明したが、重み付けされて並列に設置された複数のインダクタを切り替える構成であっても良い。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態2における無線通信装置は、復調後に得られるビットエラーレート又はパケットエラーレートを利用してマッチングを行うことを特徴とする。以下、図面を用いて説明する。但し、実施の形態1で既に説明した部分については発明の明確化のため一部説明を省略する。
【0037】
図6は、本実施の形態2における無線通信装置200の構成を示すブロック図である。無線通信装置200は、アンテナ101と、RFマッチング回路102と、LNA103と、ミキサ104と、フィルタ105と、VGA106と、ADC107と、DEM108と、RSSI算出回路109と、エラーレート測定部210と、制御回路111と、を備える。
【0038】
エラーレート測定部210は、DEM108で復調処理及び復号処理が行われたデータを監視し、BER(Bit Error Rate:ビット誤り率)又はPER(Packet Error rate:パケット誤り率)を測定する。図7に示すように、BER及びPERはそれぞれ信号対雑音比(S/N)に依存する。従って、BER又はPERは受信信号強度及びノイズが反映された品質指標であり、当該BER又はPERを測定することでS/Nを逆算することができる。エラーレート測定部210は、測定したBER又はPERを制御回路211に出力する。
【0039】
制御回路111のモニタ部1112は、制御電圧変更部1111がスウィープする制御電圧毎にエラーレート測定部210より出力されたBER又はPERをモニタリングする。制御電圧決定部1113は、モニタ部1112におけるモニタリングの結果、スウィープした電圧範囲内で最もBER又はPERが良好であった電圧の値に制御電圧を決定する。なお、フィードバックする情報としてBERを用いるかPERを用いるかは当該無線通信装置を使用する無線通信システムによってどちらを使用しても良い。
【0040】
このように、本実施の形態ではBER又はPERを測定し、当該BER又はPERに基づいてRFマッチング回路のマッチング定数を制御する。このような構成でも、BER又はPERはシグナル(受信信号強度)とノイズの両方が反映された品質指標であるため、制御電圧を変化させてBER又はPERをモニタリングし、BER又はPERが最適となる値で制御電圧をセットすることで受信感度を最適化することができる。
【0041】
なお、上記説明では、エラーレート測定部210は、BER又はPERを測定し、BER又はPERを制御回路211にフィードバックする構成について説明したが、これに限るものではない。例えばエラーレート測定部210は、BER又はPERを測定することでS/Nを求め、S/Nを制御回路211にフィードバックする構成であっても良い。制御回路211は、制御電圧をスウィープし、S/Nが最も良くなる値の電圧を制御電圧として設定しても良い。S/Nもシグナルとノイズの両方が反映された品質指標であるため、このような構成であっても受信感度を最適化することができる。
【0042】
なお、エラーレート測定部210におけるS/Nの求め方はBERやPERに基づいて求める方法に限られるものではなく、他の方法を用いて求めても良い。例えばエラーレート測定部210は、信号が送信されているフレームにおけるRSSIに基づいてシグナルを求め、信号が送信されていないフレームにおけるRSSIに基づいてノイズを求め、これらを組み合わせることでS/Nを求めて制御回路111にフィードバックしてもよい。
【0043】
また、エラーレート測定部210は、DEM108が行う誤り訂正処理における受信信号の誤り率等を測定し、ノイズが反映された品質指標として制御回路111にフィードバックする構成としても良い。
【0044】
(実施の形態3)
本実施の形態3における無線通信装置は、ノイズが反映されていないRSSIを用いたマッチング制御とノイズが反映された品質指標を用いたマッチング制御の2段階のマッチング制御を行うことを特徴とする。以下、図面を用いて説明する。但し、実施の形態1又は2で説明した部分については発明の明確化のため一部説明を省略する。
【0045】
図8は、本実施の形態3にかかる無線通信装置300の構成を示すブロック図である。無線通信装置300は、アンテナ101と、RFマッチング回路102と、LNA103と、ミキサ104と、フィルタ105と、VGA106と、ADC107と、DEM108と、RSSI算出回路109と、エラーレート測定部210と、制御回路311と、を備える。
【0046】
RSSI算出回路109は、VGA106より出力された増幅処理後の受信信号に基づいてRSSIを求め、RSSIを制御回路311に出力する。
【0047】
制御回路311の制御電圧変更部1111は、第1段階目のスウィープとして制御電圧決定部3113からの制御に従い、RFマッチング回路102に出力する制御電圧を大まかにスウィープする。モニタ部3112は、RSSI算出回路109より入力したRSSIの値をモニタリングし、制御電圧決定部3113にモニタリング結果を出力する。制御電圧決定部3113は、モニタ部3112から入力したモニタリング結果に基づいて制御電圧変更部1111における第2段階目のスウィープの電圧位置及びスウィープ幅を決定し、制御電圧変更部1111に指示する。制御電圧変更部1111は、第2段階目のスウィープとして制御電圧決定部3113より指示された範囲で制御電圧をスウィープする。
【0048】
モニタ部3112は、制御電圧決定部1113からの制御に従い、制御電圧変更部1111における第2段階目のスウィープ時はRSSIではなく、エラーレート測定部210より入力するBER又はPERをモニタリングする。モニタ部3112は、当該モニタリング結果を制御電圧決定部3113に出力し、制御電圧決定部3113は、モニタ部3112におけるモニタリングの結果、スウィープ範囲内で最もBER又はPERが良好である電圧の値を制御電圧として設定する。
【0049】
上記説明したように、本実施の形態3では、RSSIに基づいてRFマッチングを行う大まかな範囲を特定し、その後BER又はPERを用いて最終的な調整を行い、バラクタに印加する制御電圧、すなわち、RFマッチング回路のマッチング定数を決定する。
【0050】
BERやPERは、DEM108において復調処理及び復号処理を経たのち、エラーレート測定部210で所定のサンプル数ビット列を監視することで求まる値であるため、RSSIと比較してBER又はPERを求めるまでに長い時間を要する。特にPERを用いて最適なマッチング定数を求めるためには、一定量のパケットを取得した後にPERを求める必要があるため、かなりの時間を要することになる。従って、制御回路111内の制御電圧変更部1111で不必要に広い範囲の電圧に対してスウィープをかけてBERやPERをモニタリングし、マッチング定数を決定することは好ましくない。
【0051】
ここでRSSIに基づいて求められる最適な制御電圧の値Vrと、BER又はPERに基づいて求められる最適な制御電圧の値Vpとの間には、ズレがあるものの一定の相関がある。そこで、RSSIを用いた第1段階目のスウィープでVrを特定し、Vr周辺の所定の範囲で第2段階目の制御電圧のスウィープを行い、BER又はPERをモニタリングすることでVpを求め、最終的な制御電圧として決定する。
【0052】
すなわち、制御回路は、第1の範囲で前記マッチング定数を変化させた時の受信信号の受信信号強度に基づいてマッチング定数を変化させる第2の範囲を決定し、前記第2の範囲で前記マッチング定数を変化させた時の前記ノイズが反映された品質指標の値に基づいて前記マッチング定数を設定する制御を行う。
【0053】
このような構成とすることで、BER及びPERのみに基づいて広い範囲で電圧をスウィープし、制御電圧を求める場合と比べてBER及びPERに基づくピーク・サーチ範囲を限定することができ、比較的早く最適な受信感度となるようにマッチング制御を行うことができる。
【0054】
なお、上記説明では第1段階目の電圧スウィープとしてRSSIをモニタリングする構成について説明したがこれに限るものではない。復調処理前に得られるノイズが反映されていない品質指標を用いてピーク・サーチを行い、制御電圧(RFマッチング定数)について大まかなあたりをつけ、第2段階目の電圧スウィープにおいて復調処理後に得られるBER又はPERをモニタリングし、最終的に設定する制御電圧(RFマッチング定数)を決定する構成であっても良い。
【0055】
また、上記説明では第2段階目の電圧スウィープにおいてBER又はPERをモニタリングする構成について説明したがこれに限るものではない。復調処理後に得られるノイズが反映された品質指標であれば他の形態をとることができ、例えばLQIやSNRをモニタリングする構成とすることも可能である。
【0056】
なお、第1段階目に行う電圧スウィープは第2段階目の電圧スウィープ範囲を特定するために行うものであるため、それほど精度が良くなくても問題にはならない。従って、制御電圧決定部3113は、制御電圧変更部1111に離散的な複数の電圧値で第1段階目のスウィープを行うよう指示しても良い。制御電圧決定部3113は、制御電圧変更部1111が印加する複数の制御電圧に基づいてモニタ部3112で得られるBER又はPERの値の内、最も値が良好であった時の電圧値を中心として第2段階目のスウィープ範囲を決定しても良い。但し、第1段階目の電圧スウィープ範囲は、第2段階目の電圧スウィープ範囲よりも広く取ることが好ましい。
【0057】
また、上記説明では比較的広範囲の電圧において第1段階目の電圧スウィープを行ってRSSI等をモニタリングし、第2段階目の電圧スウィープ範囲を求めた後にBER又はPERをモニタリングして最終的に制御電圧を決定する場合について説明したがこれに限るものではない。RSSIのように復調前に求められるノイズを含まない受信信号強度に関する品質指標と、BERやPERなどノイズが反映された各品質指標を求めるまでに必要とする時間は以下の式(1)の関係を有する。
(1) RSSI<LQI≦BER<PER
【0058】
従って、第1段階目の電圧スウィープを行ってBERをモニタリングし、第2段階目の電圧スウィープ範囲を求めた上で、当該範囲内で第2段階目の電圧スウィープを行ってPERをモニタリングし、最終的な制御電圧を決定しても良い。また、第1段階目の電圧スウィープでLQIをモニタリングし、第2段階目の電圧スウィープ範囲を求めた上で、当該範囲内で第2段階目の電圧スウィープを行ってBERやPERをモニタリングする構成としても良い。
【0059】
また、第1段階目の電圧スウィープでRSSIをモニタリングし、より狭い電圧範囲の第2段階目の電圧スウィープでBERをモニタリングし、更に狭い電圧範囲の第3段階目の電圧スウィープでPERをモニタリングすることで、最終的な制御電圧を決定する構成としてもよい。このような構成とすることで、より短い時間で最適な制御電圧を求めてインピーダンスマッチングを行うことができる。
【0060】
また、上記説明では第1段階目の電圧スウィープでRSSIをモニタリングし、第2段階目の電圧スウィープ範囲を求める場合について説明したがこれに限るものではない。通常時はRSSIをモニタリングし、RSSIに基づいてインピーダンスマッチングを行い、タイマー等で測定される所定の間隔ごとにLQI等のノイズを含む品質指標を用いてインピーダンスマッチングを行うよう構成しても良い。また、通常時にLQIを用いてピーク・サーチを行い、制御電圧を決定してRFマッチング回路のマッチング定数を制御し、適応変調で誤り訂正符号の符号化率が低く設定されている場合は、BERを用いてピーク・サーチを行い、制御電圧を決定してRFマッチング回路のマッチング定数を制御するよう切り替えても良い。このように、制御回路は、受信信号の受信信号強度に基づいてマッチング定数を仮設定する第1の制御を行い、前記ノイズが反映された品質指標の値に基づいて前記マッチング定数を設定する第2の制御を行う構成としても良い。
【0061】
また、移動局装置が無線基地局装置の近傍にいる場合など、受信強度が良好な場合はRSSIをモニタリングしてピーク・サーチを行い、制御電圧を求める一方、受信強度が所定の基準値を下回った場合はLQI等のノイズを含む品質指標を用いてインピーダンスマッチングを行うよう構成しても良い。受信強度が大きい場合は、RSSIを用いたインピーダンスマッチングでも規格を満たすBERを達成できるのに対し、セルエッジなど、受信強度が所定の基準値より低い場合は、ノイズまで含めた品質指標を用いてピーク・サーチを行い、制御電圧を決定してインピーダンスマッチングが行うことで全体として最適な運用を行うことができる。
【0062】
(実施の形態4)
本実施の形態における無線通信装置は、予め制御電圧の値とVTF(Voltage, temperature, Frequency)との関係を記した管理テーブルを記憶することを特徴とする。以下図面を用いて説明する。但し、実施の形態1〜3で既に説明した部分については一部説明を省略する。
【0063】
図9は、本実施の形態4にかかる無線通信装置400の構成を示すブロック図である。無線通信装置400は、アンテナ101と、RFマッチング回路102と、LNA(Low Noise Amplifier)103と、ミキサ104と、フィルタ105と、VGA(Variable Gain Amplifier)106と、ADC(Analog Digital Converter)107と、DEM(Demodulator)108と、制御回路411と、供給電圧測定部412と、温度測定部413と、使用周波数帯域決定部414と、を備える。また、制御回路411は、管理テーブル記録部4111と、制御電圧決定部4113と、を備える。
【0064】
供給電圧測定部412は、バッテリーなどからシステムに供給される供給電圧を測定する。供給電圧測定部412は、測定した供給電圧の値を供給電圧情報として制御電圧決定部4113に通知する。
【0065】
温度測定部413は、自装置の温度を測定する。具体的には、温度測定部413は、半導体温度センサーなどで構成され、マッチング回路102周辺の温度を用いて測定する。なお、マッチング回路102が後段のLSI内に組み込まれている場合などには、温度測定部413は、当該LSIの温度を測定しても良い。RFマッチング回路102〜DEM108は、一つのLSIで実装され、半導体温度センサーなどの温度測定部413も当該LSI内部に合わせて実装することができる。温度測定部413は、測定した温度に関する温度情報を制御電圧決定部4113に通知する。
【0066】
使用周波数帯域決定部414は、無線通信基地局との間で行う無線通信で使用する周波数帯域、すなわちチャネルを決定する。通常、無線通信システムでは無線基地局装置がチャネルのスケジューリング管理を行っており、無線通信を行う移動局装置に対してチャネルを割り当てる。使用周波数帯域決定部414は、DEM108で復調された制御情報を入力し、無線受信に用いる周波数帯域に関する周波数帯域情報を制御電圧決定部4113に通知する。また、使用周波数帯域決定部414は、図示せぬ送信部に対して無線送信に用いる周波数帯域に関する周波数帯域情報を通知する。
【0067】
次に、制御回路411について説明する。
【0068】
管理テーブル記憶部4111は、例えば制御回路411内に設けられたROM(Read Only Memory)であり、供給される電圧に関する電圧情報と温度に関する温度情報と受信に使用される周波数帯域(チャネル)に関する周波数情報と制御電圧との対応関係が纏められた管理テーブルを記憶する。
【0069】
図10に上記管理テーブルの一例を示す。図10に示す通り、管理テーブルには、供給電圧、温度、周波数帯域をパラメータとして対応する制御電圧が記されている。
【0070】
制御電圧決定部4113は、上述した供給電圧測定部412、温度測定部413、使用周波数帯域決定部414、からそれぞれ入力した供給電圧情報と温度情報と周波数帯域情報とに基づいて、後述する管理テーブルを参照してRFマッチング回路に印加する制御電圧の値を決定する。具体的には、制御電圧決定部4113は、管理テーブル記憶部4111より管理テーブルを読み込み、入力した供給電圧情報と温度情報と周波数帯域情報の部分に対応付けされて記されている制御電圧の値をRFマッチング回路に印加する制御電圧の値として決定する。
【0071】
上記説明したように、本実施の形態において、制御回路は管理テーブルを参照し、供給電圧、温度、使用周波数が変化する場合でも適切な電圧値を求めて制御電圧をRFマッチング回路に印加してマッチング定数を制御するため、良好な受信感度を実現することができる。
【0072】
なお、上記説明では、供給電圧、温度、周波数帯域がRFマッチング回路のバラクタに印加する制御電圧の値と対応付けされて記されている場合について説明したが、これに限るものではない。供給電圧、温度、周波数帯域がRFマッチング回路のマッチング定数と対応付けされて記されていても良い。制御回路は、供給電圧測定部412、温度測定部413、使用周波数帯域決定部414、からそれぞれ入力した供給電圧情報と温度情報と周波数帯域情報とに基づいて、上記管理テーブルを参照してマッチング定数を求め、当該マッチング定数で示すインピーダンスとなるようにRFマッチング回路を制御しても良い。
【0073】
なお、図11に示すように、制御電圧決定部4113は、入力した周波数情報、温度情報、供給電圧値、に基づいてピーク・サーチを行うサーチ範囲を決定する構成としても良い。図12に示すように、当該構成において管理テーブル記憶部4111に記憶される管理テーブルは、供給電圧値と温度と使用周波数帯域とピーク・サーチ範囲がそれぞれ対応付けられて記されている。
【0074】
制御電圧決定部4113は、管理テーブル記憶部411に記憶されている管理テーブルを参照し、供給電圧測定部412と温度測定部413と使用周波数帯域決定部414とからそれぞれ入力した供給電圧値と温度情報と周波数帯域情報とに基づいて、ピーク・サーチ範囲を求める。制御電圧決定部4113は、制御電圧変更部1111に当該求めたピーク・サーチ範囲で制御電圧を変化させるよう指示する。モニタ部1112は、制御電圧変更部1111が指示された範囲で制御電圧をスウィープする間におけるLQI等の品質指標をモニタリングし、ピーク位置を制御電圧決定部5113に通知する。制御電圧決定部5113は、当該ピーク位置での電圧値を制御電圧値として決定し、制御電圧変更部1111に指示する。このような構成とすることで、ピーク・サーチを行う電圧範囲を端末の使用状態に応じて適切に選択できるため、素早く最適な受信感度を実現することができる。
【0075】
なお、当該構成においても、管理テーブルは、供給電圧、温度、周波数に対して対応するマッチング定数のスイープ範囲が記される構成であっても良い。制御電圧決定部4113は、管理テーブルを参照し、入力した供給電圧情報、温度情報、周波数情報に基づいてマッチング定数のスイープ範囲を求め、当該範囲でマッチング定数を変化させる制御を行っても良い。
【0076】
なお、言うまでもなくモニタリングする品質指標はLQIに限るものではなく、上述したノイズを含む品質指標をモニタリングする構成とすることができる。
【0077】
また、図10及び図12においてそれぞれ供給電圧、温度、使用周波数帯域の3つをパラメータとして対応する制御電圧値又はピーク・サーチ範囲が記されている場合について説明したがこれに限るものではない。供給電圧、温度、使用周波数帯域の少なくとも1つが対応付けされており、制御電圧決定部は当該管理テーブルに記されたパラメータに関する情報を入力し、管理テーブルを参照して制御電圧値又はピーク・サーチ範囲を求める構成であっても良い。
【0078】
以上各実施の形態で説明したように本発明は、無線通信装置の受信系回路において、PVTF(Process, Voltage, Temperature, Frequency)の変動でRFマッチングがずれ、受信感度が悪化するという課題に対してパワーマッチング及びノイズマッチングの両方を行う。従って、本発明は、RSSIを用いてマッチング処理を行う場合と比較して受信信号とノイズの両方が考慮された最良の受信感度を得ることができる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図13に示すように、新たにVTF変動監視部520を設ける構成としても良い。VTF変動監視部520は、供給電圧値と温度情報と周波数帯域情報とを入力し、これらの値を監視する。VTF変動監視部520は、監視の結果、現在の制御電圧設定時における供給電圧値、温度、周波数帯域、と比較して所定の基準値以上の変動がある場合は、制御電圧決定部1113に制御電圧の再設定を行うよう指示しても良い。このような構成とすることで不必要にピーク・サーチを行い、制御電圧を決定する処理が発生することを減らすことができる。制御電圧決定部1113は、VTF変動監視部520から制御電圧の再設定指示を入力すると、再度ピーク・サーチを行い、制御電圧の値を再設定しても良い。
【0080】
なお、この場合においてVTF変動監視部520は、図12に示す管理テーブルを参照してピーク・サーチ範囲を求め、制御電圧の再設定指示と合わせてピーク・サーチ範囲を制御電圧決定部1113に通知する構成としても良い。
【0081】
また、VTF変動監視部520は、供給電圧値、温度情報、周波数帯域情報、のいずれか1つが所定の基準値以上変動した場合に制御電圧の再設定指示を行っても良いし、これら3つの値の変動の総和が所定の基準値以上変動した場合に制御電圧の再設定指示を行っても良い。
【0082】
すなわち、VTF変動監視部520は、供給電圧の値又は自装置の所定の位置の温度又は受信に使用される使用周波数帯域の少なくとも一つを監視し、前記供給電圧の値又は前記自装置の温度又は前記受信に使用される使用周波数帯域のいずれかの項目又は複数の項目に所定の基準値以上の変動が生じたことを検出した場合に、制御回路511に前記変動が生じたことを通知する。制御回路511は、前記通知を受けて、前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数の再設定を行う。このような構成することで、受信感度のずれが想定される場合に適切に再調整を行い、良好な受信感度を維持することができる。
【0083】
また、図10又は図12の管理テーブルは、供給される電圧に関する電圧情報(供給電圧値)、温度に関する温度情報、受信に使用される周波数帯域に関する周波数帯域情報と対応する制御電圧値が纏められている場合について説明したがこれに限るものではない。上記管理テーブルは、電圧情報、温度情報、周波数帯域情報の少なくともいずれかと対応するマッチング定数が纏められていても良い。制御回路は、上記管理テーブルを参照して入力した電圧情報、温度情報、周波数帯域情報、のいずれかに基づいて対応するマッチング定数を取得し、当該マッチング定数となるようにRFマッチング回路を制御しても良い。
【0084】
なお、各実施の形態で説明した無線通信装置のブロック図は、受信系回路のみを取り上げて説明したが、言うまでもなく各無線通信装置は送信系回路を備える。当該送信系回路には、変調器、DA変換器、ミキサ、フィルタ、増幅器等が備えられている。
【0085】
また、上記説明では、無線送受信機能を備える無線通信装置について説明したが、これに限るものではなく、当然のことながら上記各実施の形態で説明した無線受信機能を備える無線受信装置についても適用することができる。
【0086】
また、上述したRFマッチング回路と各種制御回路を1チップに組み込み、マッチング制御回路として製造することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 無線通信装置 101 アンテナ
102 RFマッチング回路 103 LNA(低雑音増幅器)
104 ミキサ 105 フィルタ
106 VGA(可変利得増幅器) 108 DEM(復調器)
109 RSSI算出回路 110 LQI算出回路
111 制御回路 200 無線通信装置
210 エラーレート測定部 211 制御回路
300 無線通信装置 311 制御回路
400 無線通信装置 411 制御回路
412 供給電圧測定部 413 温度測定部
414 使用周波数帯域決定部 511 制御回路
520 VTF変動監視部 1021 インダクタ
1022 可変容量キャパシタ 1023 キャパシタ
1024 スイッチ 1111 制御電圧変更部
1112 モニタ部 1113 制御電圧決定部
3112 モニタ部 3113 制御電圧決定部
4111 管理テーブル記憶部 4113 制御電圧決定部
5113 制御電圧決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナで受信した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行うマッチング手段と、
前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標を算出する品質指標算出手段と、
前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する制御手段と、
を具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記品質指標算出手段は、前記受信信号の受信信号強度とノイズ強度とに基づいてリンク品質指標(LQI)を前記ノイズが反映された品質指標として算出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記品質指標算出手段は、前記受信信号の受信信号強度とノイズ強度とに基づいて信号雑音比(SNR)を前記ノイズが反映された品質指標として算出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号を復調する復調手段を更に備え、
前記品質指標算出手段は、前記復調された受信信号に基づいてビット誤り率(BER)又はパケット誤り率(PER)を前記ノイズが反映された品質指標として算出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記マッチング定数を変化させた範囲内で前記ノイズが反映された品質指標の値が最も良好であった値に前記マッチング定数を設定する制御を行う、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記マッチング手段は、インダクタと容量を変更可能なキャパシタとを含み、
前記制御手段は、前記ノイズが反映された品質指標の値に応じた制御電圧を前記キャパシタに印加して前記キャパシタの容量を変更することにより前記マッチング定数の制御を行う、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御手段は、第1の範囲で前記マッチング定数を変化させた時の前記受信信号の受信信号強度に基づいてマッチング定数を変化させる第2の範囲を決定し、前記第2の範囲で前記マッチング定数を変化させた時の前記ノイズが反映された品質指標の値に基づいて前記マッチング定数を設定する制御を行う、
請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
供給される電圧に関する電圧情報、温度に関する温度情報、受信に使用される周波数帯域に関する周波数帯域情報、の少なくとも1つの情報と制御電圧値が関連付けられた管理テーブルを記憶する記憶手段を更に具備し、
前記制御手段は、供給される電圧に関する電圧情報、温度に関する温度情報、受信に使用される周波数帯域に関する周波数帯域情報、の少なくとも1つの情報を入力し、前記管理テーブルを参照して前記キャパシタに印加する制御電圧の値を決定する、
請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項9】
供給される電圧に関する電圧情報、温度に関する温度情報、受信に使用される周波数帯域に関する周波数帯域情報、の少なくとも1つの情報と前記キャパシタに印加する制御電圧のスウィープ範囲とが関連付けられた管理テーブルを記憶する記憶手段を更に具備し、
前記制御手段は、供給される電圧に関する電圧情報、温度に関する温度情報、受信に使用される周波数帯域に関する周波数帯域情報、の少なくとも1つの情報を入力し、前記管理テーブルを参照して求めた範囲で前記キャパシタに印加する制御電圧の値を変化させた時の前記ノイズが反映された品質指標の値に基づいて前記マッチング定数を設定する制御を行う、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記受信信号の受信信号強度に基づいて前記マッチング定数を仮設定する第1の制御を行い、前記ノイズが反映された品質指標の値に基づいて前記マッチング定数を設定する第2の制御を行う、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
供給電圧の値又は自装置の所定の位置の温度又は受信に使用される使用周波数帯域の少なくとも一つを監視する監視手段を更に備え、
前記監視手段は、前記供給電圧の値又は前記自装置の温度又は前記受信に使用される使用周波数帯域のいずれかの項目又は複数の項目に所定の基準値以上の変動が生じたことを検出した場合に前記制御手段に、前記変動が生じたことを通知し、
前記制御手段は、前記通知を受けて、前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数の再設定を行う、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項12】
入力した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行うマッチング手段と、
前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標に基づいて前記マッチング手段が行うインピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する制御手段と、
を具備するマッチング制御回路。
【請求項13】
入力した受信信号に対してインピーダンスマッチングを行い、
前記インピーダンスマッチングが行われた受信信号のノイズが反映された品質指標を算出し、
前記ノイズが反映された品質指標に基づいて前記インピーダンスマッチングのマッチング定数を制御する、
マッチング制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−70143(P2013−70143A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205858(P2011−205858)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】