説明

無線通信装置、無線通信方法、無線通信プログラム、および記録媒体

【課題】無線通信を安定に行う。
【解決手段】通信部8は、指向性を有する赤外線によってデータを通信する。動作量検出部2は、無線通信装置1の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する。動作量判定部3は、上記動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する。通信部8は、動作量判定部3によって、無線通信装置1の動作量が基準量より小さいと判定されたとき、データを通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指向性を有する無線通信を実行する無線通信装置、無線通信方法、無線通信プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機およびPDA(Personal Digital Asistant)などの無線通信装置は、多くの場合、情報を他の装置に近距離無線、特に赤外線によって通信する機能を有している。また、テレビのチャンネルなどを操作するリモートコントローラは、赤外線によって通信するものが大半である。赤外線通信の特徴として、通信速度が比較的低速であること、および、信号に指向性があって特定の方向にのみ安定な通信ができること、がある。
【0003】
ところで近年、携帯電話機は、画像などの大容量のデータを扱えるようになってきている。また、リモートコントローラも高機能化してきており、リモートコントローラから通信できるデータの容量も増加する傾向にある。
【0004】
大容量のデータを他の装置に通信するには、赤外線通信による比較的低速の通信手段では、ある程度、時間が掛かってしまう。これは現状、やむを得ないことである。一方で、ユーザは、携帯電話機、PDA、リモートコントローラなどを、通常、手に持ち空中で保持して操作する。そのため、操作時には、手ぶれなどを原因として、どうしてもある程度、装置が動いてしまう。特にボタン操作の直後では、ユーザの手がぶれることによって、無線通信装置の通信方向が変動する。このとき指向性のある赤外線通信では、安定な通信が期待できない。
【0005】
この様子を図31に示す。図31に示すように、携帯電話100が、通信相手であるテレビ170の受信部に正対しているとき、通信実行信号を正しく通信できる。一方、受信部から外れた方向を向いているとき、赤外線を通信できない。
【0006】
このような通信方向の変動を原因とした、通信の不安定さを改善すべく、種々の試みがなされている。たとえば、特許文献1には、赤外線発光ダイオードを3次元放射状に取り付けることにより、リモコンの被制御機器に対する通信の指向性をなくし、ユーザの操作時の不快感を無くす技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、順次出力するにしたがい赤外線発光素子の発光量がしだいに大きくなるようリモコン制御信号のデューティを制御したり、複数の赤外線発光素子を備えリモコン制御信号を順次出力するにしたがい赤外線発光素子の発光の指向性がしだいに広くなるよう複数の赤外線発光素子の発光を制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平4−56537号公報(1992年2月24日公開)
【特許文献2】特開平8−204983号公報(1996年8月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1および2の技術では、リモートコントローラに複数の赤外線発光回路を装備している。これにより、回路の複雑化を招くおそれがある。また、特許文献1および2の技術では、赤外線を、発射する必要のない方向にまで赤外線を発射する。さらに、特許文献2の技術では、必要の無いレベルまで発光量を増大する。いずれによっても、ため消費電力の増大を招く問題が発生する。
【0009】
また、特に特許文献1の技術では、3次元放射状に赤外線発光ダイオードを取り付けてある。このため、全ての方向に赤外線を発射するので、本来制御する機器以外に向けても赤外線を送信してしまう。これにより、目的以外の機器の誤動作を招き、あるいは、雑音処理などの余分な処理をもたらす恐れがある。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、他装置との間で安定に無線通信できる無線通信装置、無線通信方法、無線通信プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る無線通信装置は、上記の課題を解決するために、
指向性を有する無線信号によってデータを通信する通信手段を備えている無線通信装置において、
無線通信装置の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する動作量検出手段と、
上記動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する動作量判定手段とを備えており、
上記通信手段は、
上記動作量判定手段によって、上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、上記データを通信することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、動作量検出手段は、無線通信装置の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する。さらに、動作量判定手段が、動作量検出手段が検出した動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する。この基準量は、無線通信装置を静止していると判定できる量である。このとき、動作量判定手段によって、動作量が基準量より小さいと判定されたとき、通信手段は、データを通信する。したがって通信手段は、無線通信装置が静止していると判定されたとき、データを通信する。
【0013】
このように無線通信装置は、ユーザによる手ぶれなどによって、装置が振動しているときを避け、静止状態のときに、データを通信できる。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いて、他装置との間で安定に通信できる効果を奏する。
【0014】
本発明に係る無線通信方法は、上記の課題を解決するために、
指向性を有する無線信号によってデータを通信する無線通信装置が実行する無線通信方法において、
無線通信装置の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する動作量検出ステップと、
上記動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する動作量判定ステップと、
上記動作量判定ステップにおいて、上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、上記データを通信する通信ステップとを含んでいることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、本方法は、上述した無線通信装置と同様の作用効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記動作量検出手段は、上記動作量として、無線通信装置の加速度を検出することが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、動作量検出手段は、無線通信装置の加速度を、無線通信装置の動作量として検出する。したがって動作量判定手段は、無線通信装置の加速度が、所定の基準加速度よりも小さいか否かを判定する。このとき通信手段は、加速度が基準加速度よりも小さいと判定されたとき、データを通信する。
【0018】
このように無線通信装置は、ユーザによる手ぶれなどによって、装置に一定の加速度が加わっているときを避け、加速度のない、静止状態のときに、データを通信できる。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いて、他装置との間で安定に通信できる効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記動作量検出手段は、上記動作量として、無線通信装置における所定軸周りの角加速度を検出することが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、動作量検出手段は、無線通信装置の角加速度を、無線通信装置の動作量として検出する。したがって判定手段は、無線通信装置の角加速度が、所定の基準角加速度よりも小さいか否かを判定する。このとき通信手段は、角加速度が基準角加速度よりも小さいと判定されたとき、データを通信する。
【0021】
このように無線通信装置は、ユーザによる手ぶれなどによって、装置に一定の角加速度が加わり、無線通信装置が回転等しているときを避け、角加速度のない、静止状態のときに、データを通信できる。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いて、他装置との間で安定に通信できる効果を奏する。
【0022】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記動作量検出手段は、上記動作量として、通信相手から送信された無線信号のレベルを検出するものであり、
上記通信手段は、
上記動作量判定によって、上記通信相手から送信された無線信号のレベルが、所定の基準レベルより大きいと判定されたとき、上記データを通信することを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、動作量検出手段は、通信相手から送信された無線信号のレベルを、無線通信装置の動作量として検出する。このとき通信手段は、通信相手から送信された無線信号のレベルが、所定の基準レベルよりも大きいと判定されたとき、データを通信する。通信相手から送信された無線信号のレベルが基準レベルよりも大きければ、無線通信装置に手ぶれなどの振動が加わっておらず、通信相手と正しく正対していると判定できる。したがって無線通信装置は、ユーザによる手ぶれなどによって、装置が通信相手に向いた方向から外れているときを避け、安定した静止状態のときに、データを通信する。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いて、他装置との間で安定に通信できる効果を奏する。
【0024】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
ユーザによる通信開始指示の入力を受け付ける通信開始受付手段をさらに備え、
上記通信手段は、
上記通信開始受付手段が上記通信開始指示の入力を受け付けたあとにおいて、上記動作量判定手段によって上記動作量が上記基準量よりも小さいと判定されたとき、上記データの通信を開始することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、通信開始受付手段は、ユーザによる通信開始指示の入力を受け付ける。このあと、無線通信装置の動作量が基準量よりも小さいことを動作量判定手段が判定したとき、通信手段は、データの通信を開始する。
【0026】
このように無線通信装置は、ユーザが通信の開始を指示したあとにおいて、通信を安定して実行できる効果を奏する。
【0027】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記通信開始受付手段は、
無線通信装置が備えている所定のボタンの押下を受け付けることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、通信開始受付手段は、無線通信装置が備えている所定のボタンが押下を受け付ける。これにより無線通信装置は、ユーザが所定のボタンを押下したとき、通信を安定して実行できる効果を奏する。
【0029】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
無線通信装置の所定の空間的動きを検出したときに、通信開始指示の入力を受け付ける通信開始受付手段をさらに備え、
上記通信手段は、
上記通信開始受付手段が上記通信開始指示の入力を受け付けたあとにおいて、上記動作量判定手段によって上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、データの通信を開始することが好ましい。
【0030】
これにより、ユーザがボタンを押さず、たとえば、無線通信装置を振って所定の動きを与えるだけで、無線通信装置は、通信を安定して実行できる効果を奏する。
【0031】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記通信手段は、
データの通信中に、上記動作量判定手段によって、上記動作量が上記基準量より大きいと判定されたとき、通信を中断することが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、通信手段は、データの通信中に、上記動作量判定手段によって、上記動作量が上記基準量より大きいと判定されたとき、通信を中断する。これにより、無線通信装置が安定しているとみなして通信を開始したあとであっても、再び、無線通信装置が手ぶれなどによって振動していると判定されたとき、通信を中断する。これにより、不安定な状態で通信を続けることを防止できる効果を奏する。
【0033】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記動作量検出手段が検出した上記加速度に基づいて、無線通信装置の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
上記移動距離算出手段によって算出された、上記通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの移動距離が、所定の基準距離より短いか否かを判定する移動距離判定手段とをさらに備えており、
上記通信手段は、
上記移動距離判定手段によって、上記移動距離が上記基準距離よりも短いと判定されたとき、データの通信を継続することが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、移動距離算出手段は、検出手段が検出した無線通信装置の加速度に基づいて、無線通信装置の移動距離を算出する。具体的には、通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの移動距離を算出する。このとき、移動距離判定手段は、移動距離算出手段によって算出された無線通信装置の移動距離が、所定の基準距離より短いか否かを判定する。この基準距離は、無線通信装置の通信を安定して実行できると判定できる距離である。
【0035】
ここで、移動距離判定手段によって、無線通信装置の移動距離が基準距離よりも短いと判定されたとき、通信手段は、データの通信を継続する。したがって、通信手段は、通信を開始したあとにおいて、無線通信装置の移動距離が十分に短いときに、通信を継続する。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いた通信を安定して続けることができる効果を奏する。
【0036】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記検出手段が検出した上記角加速度に基づいて、無線通信装置の移動角度を算出する移動角度算出手段と、
上記算出手段によって算出された、上記通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの上記移動角度が、所定の基準角度より小さいか否かを判定する移動角度判定手段とをさらに備えており、
上記通信手段は、
上記移動角度判定手段によって、上記移動角度が上記基準角度よりも小さいと判定されたとき、データの通信を継続することが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、移動角度算出手段は、検出手段が検出した無線通信装置の加速度に基づいて、無線通信装置の移動角度を算出する。具体的には、通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの移動角度を算出する。このとき、移動角度判定手段が、移動角度算出手段によって算出された無線通信装置の移動角度が、所定の基準角度より小さいか否かを判定する。この基準角度は、無線通信装置の移動角度が十分に小さく、無線通信装置の通信を安定して実行できると判定できる距離である。
【0038】
ここで、移動角度判定手段によって、無線通信装置の移動角度が基準角度よりも短いと判定されたとき、通信手段は、データの通信を継続する。したがって、通信手段は、通信を開始したあとにおいて、無線通信装置の移動角度が十分に小さく、たとえば無線通信装置の回転量が少ないときに、通信を継続する。これにより無線通信装置は、指向性を有する無線信号を用いた通信を安定して続けることができる効果を奏する。
【0039】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記通信手段は、電波によって通信することが好ましい。
【0040】
上記の構成によれば、指向性を有する電波によって、通信を安定に実行する無線通信装置を実現できる効果を奏する。
【0041】
また、本発明に係る無線通信装置では、さらに、
上記通信手段は、赤外線によって通信することが好ましい。
【0042】
上記の構成によれば、指向性を有する赤外線によって、通信を安定に実行する無線通信装置を実現できる効果を奏する。
【0043】
また、本発明に係る無線通信装置は、さらに、
携帯電話機であることが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、指向性を有する無線信号によって、通信を安定に実行できる無線通信装置を提供できる効果を奏する。
【0045】
また、本発明に係る無線通信装置は、さらに、
テレビを操作するためのリモートコントローラであることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、指向性を有する無線信号によって、通信を安定に実行できるリモートコントローラを提供できる効果を奏する。
【0047】
なお、上記無線通信装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記無線通信装置をコンピュータにおいて実現する無線通信プログラム、およびその無線通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明に係る無線通信装置は、判定手段によって、無線通信装置の動作量が所定の基準量より小さいと判定されたとき、データを通信する通信手段をを備えているため、他装置との間で安定に通信できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
〔実施形態1〕
本発明に係る第1の実施形態について、以下に説明する。本発明は、テレビなどの表示装置に、写真や画像データなどの大容量のデータを、赤外線、あるいは電波であっても指向性の強いミリ波によって通信する場合に、もっとも効力を発揮する。このとき表示装置は受信した画像などのデータを画面に表示する。ユーザは、画面に表示された画像などを鑑賞する。以下では通信媒体として赤外線を例に説明するが、ミリ波など指向性の強い電波を用いる場合も効果は同様であり、本発明を適用できる通信媒体は赤外線に限るものではない。
【0050】
赤外線は、通常、強い指向性を持っている。すなわち、ある一定の範囲にしか到達しない。したがってユーザは、無線通信装置1(の赤外線送信口)を、受信機に対し、ある一定の範囲内に固定して向ける必要がある。そうしないと、赤外線の光軸が受信機側における赤外線の受光部から外れるので、通信が不安定になったり、場合によっては通信できなくなったりする。
【0051】
本実施形態では、無線通信装置1は、いわゆる携帯型の小型の装置である。すなわちユーザは、通常、無線通信装置1を手に持って操作する。このとき、ユーザが無線通信装置1のボタンを操作している最中、あるいは、その直後などにおいて、ユーザの操作によって、無線通信装置1が不要に振動することがある。これを一般に、「手ぶれ」という。
【0052】
赤外線通信は、その他の通信に比べると低速である。そのため、大容量のデータを赤外線通信によって全て送るためには、それなりに長い時間を要する。この場合ユーザは、送信が完了するまで、手にした無線通信装置1を一定の方向に向け、手ぶれを起こすことなく持ち続けなければならない。
【0053】
しかし、後述するように、本発明に係る無線通信装置1、以上の問題を解決し、通信を安定して実行できる。
【0054】
(無線通信装置1の基本構成)
まず、各実施形態の全てに共通する基本構成を備えている無線通信装置1について、図1を参照して以下に説明する。無線通信装置1は、たとえば、リモートコントローラ、PDA(Personal Digital Assistant)、およびPHS(Personal Handy Phone)などとして実現できる。また、赤外線以外にも、ミリ波による無線通信を行うこともできる。
【0055】
図1は、本発明に係る無線通信装置1の要部構成を示すブロック図である。この図に示す各構成要素以外にも、無線通信装置1は、各種の機能を実現する他の構成要素を備えている。しかし本実施形態では、本発明の本質に直接に関わる構成のみを説明する。
【0056】
図1に示すように、無線通信装置1は、動作量検出部2(動作量検出手段)、動作量判定部3(動作量判定手段)、限界値提供部4、比較操作部5、制御部6、記憶部7、通信部8(通信手段)、および通信開始受付部9(通信開始受付手段)を備えている。
【0057】
動作量検出部2は、無線通信装置1の空間的な動きを、定量的な値すなわち動作量として検出する。動作量判定部3は、動作量検出部2が検出した動作量と、無線通信装置1においてあらかじめ設定されている、所定の基準量とを比較する。この基準量は、ある範囲の量であり、無線通信装置1が空間的に静止しているとみなすことができる量である。動作量判定部3は、検出された動作量が基準量の範囲にあるとき、通信を指示する通信実行信号を制御部6に出力する。
【0058】
限界値提供部4は、上述した基準量を比較操作部5に提供する。比較操作部5は、動作量判定部3の内部において、動作量検出部2から出力された検出動作量と、限界値提供部4から提供された基準量とを比較し、比較結果を出力する。制御部6は、無線通信装置1に備えられている各部材を統括的に制御する。記憶部7は、制御部6による制御の下に、各種のデータおよびプログラムなどを記憶している。通信部8は、制御部6の制御に基づき、他の通信装置との間でデータの通信を行う。通信開始受付部9は、ユーザによる通信開始の指示を受け付ける。
【0059】
(加速度検出部11)
図2は、動作量検出部2の具体的例としての加速度検出部11を備えている無線通信装置1の構成を示すブロック図である。この図に示す無線通信装置1は、動作量検出部2として、無線通信装置1の加速度を検出する加速度検出部11を備えている。
【0060】
図3は、動作量検出部2の具体的例としての角加速度検出部12を備えている無線通信装置1の構成を示すブロック図である。この図に示す無線通信装置1は、動作量検出部2として、無線通信装置1の角加速度を検出する角加速度検出部12を備えている。
【0061】
このように、図2に示す構成と、図3に示す構成とでは、無線通信装置1の違いは、検出する量が、加速度であるのか、それとも角加速度であるのかだけにすぎない。すなわち、無線通信装置1が実行する動作の本質については、どちらも同一である。したがって、以下では、図2に示す無線通信装置1について、詳しく説明する。
【0062】
(加速度検出部11の詳細)
まず、加速度検出部11の特性を説明する。さらに、無線通信装置1に加えられた加速度が、静止している状態を基準として、どの程度の大きさであるのかを判定する、動作量判定部3について説明する。上述したように、動作量判定部3は、無線通信装置1が静止している状態とみなせるか否かを判定する。
【0063】
加速度検出部11は、図示しない加速度センサーを通じて、無線通信装置1の動いた方向と加速の大きさに応じた、無線通信装置1の加速度を検出する。このとき加速度検出部11は、互いに直行する3軸を沿った3方向の加速度を、それぞれ検出する。このとき加速度検出部11は、検出した加速度を表す電圧の値を、動作量判定部3に出力する。
【0064】
加速度センサーは、無線通信装置1に固定されている。これにより加速度検出部11は、無線通信装置1の空間的な動きを、前後方向、左右方向、上下方向など、方向別に、電圧として検出できる。本実施形態における加速度検出部11は、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸、Z軸方向の加速度を検出する。なお、加速度検出部11は、これら3軸のうちのいずれか1つの軸、または2つの軸のみの加速度を検出してもよい。
【0065】
無線通信装置1では、3軸が互いに交わる交点は、加速度センサー内にある。2軸の場合も同様である。したがって、加速度センサーの取り付け位置に応じて、無線通信装置1における3軸の交点が決まる。また、X、Y、Zの三つの軸は互いに直交していれば、その向きは任意のものでよい。そこで、無線通信装置1の通信方向、たとえば赤外線の出力方向が基本の一軸となるように、加速度センサーを無線通信装置1に取り付ければよい。
【0066】
(電圧の検出例)
手ぶれなどを原因として無線通信装置1が動いている間、加速度検出部11は、3軸方向のそれぞれについて、無線通信装置1の加速度および加速方向に比例した電圧を検出し、動作量判定部3に出力している。
【0067】
本実施形態では、加速度検出部11は、各軸方向のいずれにおいても、無線通信装置1の加速度が0G(静止)であるとき、2.50Vの電圧を出力する。また、加速度が1G増加するごとに、加速の方向に応じて、さらに0.15Vを加算して出力する。また、加速度が1G減少すれば、0.15Vを減算した電圧を出力する。たとえば、ある方向に10Gの加速があれば、加速度検出部11は、4.00V(2.50V+10G×0.15V)を出力する。一方、それとは逆方向に10Gの加速があれば、1.00V(2.50V−10G×0.15V)を出力する。
【0068】
限界値提供部4は、所定の限界値(基準量)を、限界電圧として、3軸のそれぞれを比較操作部5に出力する。この限界値は、無線通信装置1を静止していると判定できる基準値である。限界値提供部4は、この電圧を、電源の電圧を抵抗で分圧するか、あるいは、電池を用いて出力する。限界値提供部4が提供する限界電圧は、3軸の全てにおいて、同一の値であってもよいし、または、それぞれ異なっていてもよい。本実施形態では、3軸のいずれにおいても、同じ値である。
【0069】
無線通信装置1では、各軸のいずれに関しても、無線通信装置1を静止していると判定できる加速度の上限が、3.33Gであると設定されている。そこで、この上限に対応した限界電圧である3.00V(2.50V+3.33×0.15V)が、限界値として設定されている。さらに、その逆方向の上限加速度である3.33Gに対応した限界電圧である2.00V(2.50V−3.33×0.15V)も、同じく限界値として設定されている。加速度検出部11が検出する加速度の値と、無線通信装置1が静止していると判定できる範囲との関係を、ある1軸を例にして、図11に示す。図11は、加速度検出部11が検出する加速度の値と、無線通信装置1が静止していると判定できる範囲との関係を示す図である。
【0070】
(動作量判定部3による判定)
動作量判定部3は、無線通信装置1の静止状態が、ある一定時間持続すると判定するとき、無線通信装置1が本当に静止したと判定する。たとえば、図11に示すAとBとでは、静止範囲と判定できる時間が、基準の時間よりも短い。したがって、動作量判定部3は、仮にAやBの状態が成立したとしても、無線通信装置1を動いていると判定する。
【0071】
無線通信装置1を静止していると判定できる持続時間は、無線通信装置1の特性、通信速度、無線信号の指向性による通信範囲などを考慮して、無線通信装置1にあらかじめ設定されている。
【0072】
(比較操作部5の詳細)
比較操作部5の詳細について、図5を参照して以下に説明する。図5は、比較操作部5の詳細を示すブロック図である。図5に示すように、比較操作部5は、アナログコンパレータを3系統、備えている。各系統は、加速度検出部11から出力される、各軸の加速度値に対応している。比較操作部5は、1系統あたり、2個のアナログコンパレータ、すなわち、アナログコンパレータA51およびアナログコンパレータB52を備えている。系統が3つあるので、比較操作部5は、合計して6個のアナログコンパレータを備えている。
【0073】
上述したように、加速度検出部11は、無線通信装置1の加速方向のプラス方向と、マイナス方向とに応じて、静止時の電圧(本実施形態では2.5V)を中心に、加速度を表す電圧を上下させて出力する。一方、比較操作部5は、加速の方向別に、無線通信装置1が静止しているか否かを判定する。したがって比較操作部5は、各軸出力に対して、アナログコンパレータA51およびアナログコンパレータB52を必要とする。
【0074】
(2つのアナログコンパレータ)
アナログコンパレータA51は、マイナス方向の加速の出力電圧が、限界電圧より大きいか否かを判定する。アナログコンパレータBは、プラス方向の加速の出力電圧が、限界電圧より大きいかを否かを判定する。ここでいうプラス方向、マイナス方向とは、単に、ある方向と、その逆方向という意味でしかない。具体的には、アナログコンパレータAは、加速度検出部11からの出力電圧を、限界電圧である2.00Vと比する。このとき、加速度検出部11から出力された電圧が、限界電圧である2.00Vよりも低いとき、すなわちマイナス方向に加速度が大きいとき、HIGHレベルを出力する。逆に、加速度検出部11からの電圧が、限界電圧である2.00Vよりも高いとき、LOWレベルを出力する。
【0075】
一方、アナログコンパレータB52は、加速度検出部11からの出力電圧を、限界電圧である3.00Vと比較する。これにより、加速度検出部11からの電圧が、限界電圧である3.00Vよりも高いとき、すなわち加速度がプラス方向に大きいとき、HIGHレベルを出力する。逆に、加速度検出部11からの電圧が、限界電圧である3.00Vよりも低いとき、LOWレベルを出力する。
【0076】
比較操作部5において、アナログコンパレータA51の出力、およびアナログコンパレータB52の出力は、いずれも、NOR回路53に入力される。ここで、これら2つの出力がいずれもLOWレベルであるときのみ、NOR回路53はHIGHレベルを出力する。比較操作部5は、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれ対応する3つのNOR回路53を備えている。これら3つのNOR回路53からの出力は、全て、AND回路54に入力される。ここで、NOR回路53からの3つの出力の全てがHIGHレベルのとき、AND回路54は、所定の通信実行信号を出力する。この通信実行信号は、通信部8が通信を実行してもよいことを示す信号である。このように動作量判定部3は、無線通信装置1が互いに直行する3つの方向の全てにおいて静止していると判定するとき、通信の実行を許可する通信実行信号を出力する。
【0077】
なお、動作量判定部3は、加速度検出部11からの出力電圧が入力される増幅器を備えていてもよい。このとき、加速度検出部11からの直接の出力電圧を、増幅器が十分に大きくして、アナログコンパレータA51およびアナログコンパレータB52に出力できる。
【0078】
(処理の詳細)
無線通信装置1における通信処理の流れを、以下に説明する。無線通信装置1では、通信開始受付部9は、具体的には、所定の通信開始ボタンを通じた入力を受け付ける。ユーザは、通信開始ボタンを押下することによって、通信の開始を無線通信装置1に指示する。通信開始受付部9はこの操作を検知し、通信開始指示信号を制御部6に出力する。この信号は、通信の開始を指示することを意味するものである。
【0079】
無線通信装置1では、通信相手の装置に送信するデータが、記憶部7にあらかじめ格納されている。通信開始指示信号が入力されると、制御部6は、まず、通信部8が通信する対象のデータの量が、あらかじめ定められている所定の基準データ量より大きいか否かを判定する。この基準データ量は、無線通信装置1の動作量を判定することなく、無条件にデータを送信しても良い範囲の量である。
【0080】
データ量が少なければ、通信時間は短くて済む。したがって、データ量が基準データ量よりも小さいと判定するとき、制御部6は、無線通信装置1が静止するのを待つことなく、通信部8に、通信の開始を指示する。これにより通信部8は通信を開始する
データ量が多ければ、通信に長い時間を要する。そこで通信部8は、無線通信装置1が静止した安定な状態になってから、通信を開始する。この判定の基準となる基準データ量は、通信速度や無線信号の指向性などに基づき、最適な値が無線通信装置1の記憶部7にあらかじめ格納されている。通信速度が速く、無線信号の指向性が弱い(通信可能な角度が大きい)ほど、無線通信装置1の静止を待たずに通信できると判定できる基準データ量は、多くなる。
【0081】
通信データ量が、基準データ量よりも大きければ、通信部8は、無線通信装置1が静止したことを動作量判定部3が判定してから、通信を開始する。このとき制御部6は、動作量判定部3からの通信実行信号の出力を待つ。動作量判定部3は、加速度検出部11からの電圧入力を常時、監視している。通信実行信号を出力する条件が成立すれば、すなわち3軸方向の全てにおける加速度が、所定の基準値(本実施形態では、3.33G)よりも小さくなれば、通信実行信号を制御部6に出力する。
【0082】
(通信実行信号の持続)
ユーザが通信開始ボタンを押したあと、制御部6は、動作量判定部3からの通信実行信号が入力されたか否かを判定する。このとき制御部6は、通信実行信号が一定時間、持続して入力されるとき、無線通信装置1が間違いなく静止していると判定する。
【0083】
このように判定したとき、制御部6は、通信部8に、通信の開始を指示する。これを受けた通信部8は、赤外線を送信することによって、データ通信を開始する。
【0084】
動作量判定部3は、加速度が瞬間的に小さくなったときも、通信実行信号を制御部6に出力する。そこで制御部6は、通信実行信号が、あらかじめ設定されている一定時間、持続して入力されるまで、無線通信装置1が静止したとは判定しない。すなわち通信の開始を通信部8に指示しない。
【0085】
加速度が瞬間的に小さくなっただけでは、無線通信装置1が安定的に静止していると判定すべきではない。なぜなら、その後、無線通信装置1がすぐに動き出す可能性もあるからである。そこで制御部6は、通信実行信号の入力が一定時間、持続することを確認する。これにより、無線通信装置1の加速度が基準値より小さい状態が、一定時間、続くことを確認する。この一定時間は、無線通信装置1の使用状況などに基づき決定され、無線通信装置1の記憶部7にあらかじめ格納されている。
【0086】
(作用効果)
以上のように、無線通信装置1が手ぶれなどを原因として動いていることを、制御部6が判定したとき、通信部8は通信を開始しない。一方、無線通信装置1が静止したことを制御部6が判定したとき、通信部8は通信を開始する。これにより無線通信装置1は、振動の少ない条件下において、通信を実行する。したがって、指向性を有する無線信号が、目的の方向にむかってぶれずに送信されるため、通信を安定して実行できる。
【0087】
本実施形態では、ユーザが通信開始ボタンを押下したとき、制御部6は、通信の開始を通信部8に指示する。その代わりに、ユーザが無線通信装置1を、たとえば上下方向に3回振ったときに、通信の開始を通信部8に指示してもよい。または、ユーザが、無線通信装置1に備えられる複数の特定ボタンを、同時に押下したときでもよい。
【0088】
なお、上述した、加速度センサーの感度および出力電圧の値は、あくまで一例に過ぎない。また、無線通信装置1を静止していると判定できる限界加速度すなわち限界電圧も、一例にすぎない。加速度検出の方式、あるいは、限界値は、無線通信装置1の種類や、または、無線通信装置1の使用条件に応じて決定され、無線通信装置1においてあらかじめ設定されている。
【0089】
(処理の流れ)
無線通信装置1が実行する通信処理に関して、図12を参照して以下に説明する。図12は、無線通信装置1が実行する通信処理を説明するフローチャートである。
【0090】
この図に示すように、まずユーザが、通信開始ボタンを押下する(ステップS10)。この押下を、通信開始受付部9が判定する。ユーザによって通信開始ボタンが押されていなければ(No)、通信開始受付部9は再び、ユーザによる通信開始の指示(通信開始ボタンの押下)を待つ。
【0091】
ユーザによって通信開始ボタンが押されたことを通信開始受付部9が判定すれば(Yes)、制御部6が、記憶部7に格納されている、通信すべきデータの量が、基準データ量より多いか否かを判定する(ステップS11)。通信すべきデータの量が、基準データ量よりも少なければ(No)、制御部6は、通信の実行を通信部8に通知する(ステップS12)。このとき通信部8は、データを赤外線によって通信する(ステップS13)。これにより無線通信装置1は、余計な処理に時間を取られることがない。また、電力を浪費せずに済む。
【0092】
一方、ステップS11において、通信すべきデータの量が基準データ量よりも多ければ(Yes)、動作量判定部3が、加速度検出部11からの電圧出力を取得する(ステップS14)。これにより動作量判定部3は、加速度検出部11の出力を、あらかじめ設定されている限界値と比較する(ステップS15)。このとき、動作量判定部3は、加速度検出部11の出力の大小に基づいて、動作を切り替える。すなわち加速度検出部11の出力が、X、Y、Z軸に沿った3方向のいずれにおいても、限界電圧より小さいか否かを判定する(ステップS16)。
【0093】
ここで、加速度検出部11からの3軸の出力が、いずれも限界値より小さければ(Yes)、動作量判定部3は、通信実行信号を制御部6に出力する(ステップS19)。このとき制御部6は、通信実行信号の出力が継続して入力される時間、すなわち静止継続時間を測定する(ステップS20)。これにより制御部6は、加速度検出部11からの出力が限界値より小さい状態が、所定の基準時間、継続するか否かを判定する(ステップS22)。
【0094】
ここで、無線通信装置1の静止状態が一定時間、継続しないと判定したとき(No)、制御部6は、通信実行の指示を通信部8に出さない。このとき処理はステップS14に戻り、動作量判定部3は、加速度検出部11から、加速度の値を表す電圧を取得する。
【0095】
一方、加速度検出部11からの通信実行信号の入力が、一定時間、継続したと判定したとき(Yes)、制御部6は、無線通信装置1が一定時間、静止していると判定する。これにより制御部6は、通信の開始を通信部8に指示する。この指示を受けて、通信部8は、データの通信を開始する。
【0096】
また、ステップS16において、加速度センサーの出力が一つでも限界値より大きいときと判定するとき(No)、動作量判定部3は、通信実行信号の出力を停止する(ステップS17)。なお、このとき元々、通信実行信号を出力していないのであれば、その出力停止状態を続ける。通信実行信号の出力が停止したことを確認すれば、制御部6は、静止継続時間の測定をリセットする(ステップS18)。すなわち、無線通信装置1がいったん静止状態になったとしても、その静止状態が、ある一定の時間、持続しなければ、無線通信装置1が本当に静止とは判定できない。そこで制御部6は、無線通信装置1が静止しなくなったと判定するたびに、静止継続時間をリセットする。こうして、無線通信装置1が再び静止したと判定できるとき、あらためて静止継続時間を測定しなおす。なお、このとき動作量判定部3は、加速度検出部11から、検出された加速度の値の取得を続ける。
【0097】
〔実施形態2〕
本発明に係る第2の実施形態について、以下に説明する。図6は、動作量判定部3の他の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態の動作量判定部3は、3個のA−D変換器101を備えている。これらのA−D変換器101は、加速度検出部11からの3軸分の出力電圧を、それぞれ、デジタルデータに変換する。動作量判定部3は、さらに、加速度データ処理部13を備えている。A−D変換器101は、いずれも、生成したデジタルデータを、加速度データ処理部13に出力する。加速度データ処理部13は、無線通信装置1の静止状態を表すデジタルデータ(「00FA」)を格納している。そこで加速度データ処理部13は、A−D変換器101から入力されたデジタルの加速度データと、無線通信装置1の静止状態を表すデジタルデータとの差を算出する。
【0098】
また、無線通信装置1の静止状態を表す基準値(加速度の限界値)は、デジタルデータとして、加速度検出の軸別に、限界値提供部4が備えているROMやフラッシュメモリなどに、あらかじめ格納されている。限界値提供部4は、格納している値を、比較操作部5に出力する。限界値提供部4が格納している限界値の例を、図9に示す。図9は、限界値提供部4が内部に格納している加速度限界値の例を示す図である。
【0099】
本実施形態では、以上のデジタルデータは全て、16進数である。無線通信装置1に関する他の構成は、実施形態1と同様である。すなわち加速度検出部11の特性も、実施形態1と同様である。
【0100】
(動作量判定部3の詳細)
本実施形態の動作量判定部3について、図6を参照して以下に説明する。加速度検出部11は、検出した加速度を表す電圧を、A−D変換部10に備えられている各A−D変換器101に出力する。A−D変換器101は、入力された出力電圧を、デジタルデータに変換する。加速度検出部11が出力する、加速度を表す出力電圧と、A−D変換器101が変換するデジタルデータの値と、A−D変換部10がユーザに出力するデジタルデータの値との関係を、1つの軸に関して、図8に示す。図8は、加速度検出部11が検出する無線通信装置1の加速度と、無線通信装置1が出力する電圧と、A−D変換部10が変換するデジタルデータと、動作量判定部3が制御部6に通知する値との関係を示す図である。
【0101】
加速度検出部11は、加速度に応じた電圧を出力する。たとえば、検出した加速度が0Gであれば、加速度検出部11は、2.50Vの電圧を出力する。一方、加速度がプラス方向に10Gであれば、4.00Vを出力する。また、加速度がマイナス方向に10Gであれば、1.00Vを出力する。
【0102】
A−D変換器101は、それぞれ、電圧の値の小数点以下2桁までを100倍した値を16進数のデータに変換する。たとえば、2.50V、10V、および1.00Vを、それぞれ、「00FA」、「0190」、および「0064」の16進数デジタルデータに変換する。
【0103】
加速度データ処理部13は、入力された各軸の値と、加速度0G(静止時)を表す「00FA」との差を算出する。これにより加速度データ処理部13は、算出した3つ値を、軸ごとに個別に、比較操作部5に備えられている3つのデジタルコンパレータ55に入力する。
【0104】
(デジタルデータへの変換)
図8の例では、検出した加速度が+10Gのとき、加速度検出部11は、4.00Vの電圧を出力する。このときA−D変換器101は、この4.00Vを「0190」のデジタルデータに変換する。つぎに、加速度データ処理部13は、「0190」と「00FA」との差として、「0096」を算出し、対応するデジタルコンパレータ55に出力する。上述したように、「00FA」は、無線通信装置1の加速度が0Gである、すなわち無線通信装置1が静止している状態において、加速度検出部11が出力する2.50Vを、デジタルデータに変換した値である。
【0105】
一方、無線通信装置1の加速度が−5G(逆方向に5G)のとき、加速度検出部11は、1.75Vを出力する。このときA−D変換器101は、1.75Vを変更して「00AF」を生成する。これにより加速度データ処理部13は、「00AF」と、「00FA」との差を取り、絶対値に変換して、対応するデジタルコンパレータ55に出力する。
【0106】
図9に示す加速度限界値は、「0032」である。このデジタルデータは、3.33Gの加速度に相当する。比較操作部5に備えられている各デジタルコンパレータ55は、限界値提供部4から入力された加速度限界値「0032」よりも、加速度データ処理部13から入力された値の方が小さいとき、HIGHレベルをAND回路56に出力する。AND回路56には、各軸に対応する3つのデジタルコンパレータ55から、それぞれ値が入力される。これら3個のデジタルコンパレータ55から入力された値が、全てHIGHレベルのとき、AND回路56は、HIGHレベルとして、通信実行信号を制御部6に出力する。すなわち、全ての方向への加速度が、限界値「0032」より小さいときに限り、AND回路56は、通信実行信号を出力する。
【0107】
(加速度と判定結果との関係)
図10は、加速度検出部11が検出する無線通信装置1の加速度と、加速度検出部11が出力する電圧と、無線通信装置1の静止状態からの差と、加速度の限界値と、動作量判定部3による判定結果との関係を示す図である。
【0108】
この図に示すように、無線通信装置1の加速度が10Gであれば、加速度検出部11は加速度を表す電圧として4.00Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後、「0096」である。この値は、限界値「0032」より大きい。そこでデジタルコンパレータ55は、LOWレベルを出力する。
【0109】
一方、無線通信装置1の加速度が5Gであれば、加速度検出部11は、加速度を表す電圧として3.25Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後「004B」である。この値は、限界値「0032」より大きい。そこでデジタルコンパレータは、LOWレベルを出力する。
【0110】
また、無線通信装置1の加速度が2Gであれば、加速度検出部11は、加速度を表す電圧として2.80Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後、「0018」である。この値は、限界値「0032」より小さい。そこでデジタルコンパレータは、HIGHレベルを出力する。
【0111】
このように、全ての方向における加速度の値が、いずれも限界値より小さいとき、動作量判定部3は、全ての方向に対して無線通信装置1が静止していると判定し、通信実行信号を制御部6に出力する。通信実行信号理に基づく各種処理は、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0112】
〔実施形態3〕
本発明に係る第3の実施形態について、以下に説明する。本実施形態の無線通信装置1は、より簡略された構成の動作量判定部3を備えている。すなわち、無線通信装置1が静止しているか否かを、動作量判定部3ではなく、制御部6が判定する。
【0113】
(動作量判定部3の構成)
本実施形態の無線通信装置1の構成を、図4および図7に示す。図4は、加速度の比較をソフトウェア的に実行する無線通信装置1の構成を示すブロック図である。図7は、加速度の比較をソフトウェア的に実行する比較する動作量判定部3の構成を示すブロック図である。図7に示す動作量判定部3は、加速度検出部11からの出力電圧をデジタルデータに変換する3個のA−D変換器101を含むA−D変換部10と、加速度データ処理部13とを備えている。これらの部材は、基本的に、図6に示す各部材と同一である。しかし、無線通信装置1を静止した状態と判定できる加速度の限界値は、記憶部7において、3つの軸に対応して、個別にデジタルデータとしてあらかじめ記憶されている。データの性質は、上述したものと同一である。
【0114】
他の構成は、実施形態1および2と同様である。すなわち、加速度検出部11の特性も、実施形態1と同様である。ただし、本実施形態では、動作量判定部3は、通信実行信号を出力しない。その代わりに、加速度検出部11が検出した加速度が、所定の限界値より小さいか否かを、動作量判定部3ではなく制御部6が判定する。すなわち制御部6は、無線通信装置1が静止しているか否かを表す、動作量判定部3からの値と、記憶部7に記憶されている限界値とを比較する。この判定に基づき、動作量判定部3(加速度データ処理部13)から入力された値が、限界値より小さければ、通信部8に通信の実行を指示する。
【0115】
(動作量判定部3の詳細)
図7に示す動作量判定部3の詳細を、以下に説明する。図6の動作量判定部3と同様に、A−D変換器101は、加速度検出部11からの出力電圧をデジタルデータに変換する。加速度データ処理部13は、A−D変換器101が生成したデジタルデータと、無線通信装置1の静止時に相当する出力電圧との差分を、絶対値として算出する
制御部6は、適当な時間間隔で、動作量判定部3に、加速度データ処理部13が算出した差分の値を要求する。これにより動作量判定部3は、加速度データ処理部13が算出した現在の値を、制御部6に出力する。
【0116】
加速度検出部11は、加速度に応じた電圧を動作量判定部3に出力する。たとえば、測定した加速度が0Gであれば、通信開始受付部9は、2.50Vの電圧を出力する。一方、加速度がプラス方向に10Gであれば、4.00Vを出力する。また、加速度がマイナス方向に10Gであれば、1.00Vを出力する。
【0117】
A−D変換器101は、それぞれ、電圧の値の小数点以下2桁までを100倍した値を16進数のデータに変換する。たとえば、2.50V、10V、および1.00Vを、それぞれ、「00FA」、「0190」、および「0064」の16進数デジタルデータに変換する。
【0118】
加速度データ処理部13は、入力された各軸の値と、加速度0G(静止時)を表す「00FA」との差を算出する。これにより加速度データ処理部13は、算出した3つ値を、いずれも制御部6に出力する。
【0119】
(値の例)
図8の例では、検出した加速度が+10Gのとき、加速度検出部11は、4.00Vの電圧を出力する。このときA−D変換器101は、この4.00Vを「0190」のデジタルデータに変換する。つぎに、加速度データ処理部13は、「0190」と「00FA」との差として、「0096」を算出し、制御部6に出力する。上述したように、「00FA」は、無線通信装置1の加速度が0Gである、すなわち無線通信装置1が静止している状態において、加速度検出部11が出力する2.50Vを、デジタルデータに変換した値である。
【0120】
一方、無線通信装置1の加速度が−5G(逆方向に5G)のとき、加速度検出部11は、1.75Vを出力する。このときA−D変換器101は、1.75Vを変更して「00AF」を生成する。これにより加速度データ処理部13は、「00AF」と、「00FA」との差を取り、絶対値に変換して、制御部6に出力する。
【0121】
図9に示す加速度限界値は、「0032」である。このデジタルデータは、3.33Gの加速度に相当する。制御部6は、比較操作部5内のA−D変換部101から入力された、加速度の変換データと、加速度検出部11が加速度を検出する軸ごとに、記憶部7にあらかじめ記憶されている限界値「0032」とを比較する。これにより、どちらの値が小さいのかを判定する。もし、全ての軸のデータが、3.33Gの加速度に相当する値(「0032」)以下であれば、無線通信装置1が静止していると判定する。
【0122】
(出力の例)
無線通信装置1の加速度が10Gであれば、加速度検出部11は、加速度を表す電圧として4.00Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後、「0096」である。この値は、限界値「0032」より大きい。制御部6は、無線通信装置1が振動していると判定する。
【0123】
一方、無線通信装置1の加速度が5Gであれば、加速度検出部11は、加速度を表す電圧として3.25Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後「004B」である。この値は、限界値「0032」より大きい。そこで制御部6は、無線通信装置1が振動していると判定する。
【0124】
また、無線通信装置1の加速度が2Gであれば、加速度検出部11は、加速度を表す電圧として2.80Vを出力する。このとき、無線通信装置1の静止時からの差は、デジタルデータに変換後、「0018」である。この値は、限界値「0032」より小さい。制御部6は、無線通信装置1が静止していると判定する。
【0125】
このようにして、全ての軸方向における加速度の値が、いずれも限界値より小さいとき、制御部6は、無線通信装置1が静止していると判定する。
【0126】
(通信処理の例)
本実施形態に係る無線通信装置1の通信処理について、以下に説明する。制御部6は、適当な時間間隔でポーリング動作するなどして、動作量判定部3に対して、無線通信装置1の加速度を表すデータを要求する。無線通信装置1に備えられている通信開始ボタンをユーザが押下したことにより、通信開始の指示があれば、制御部6は、その時点で通信すべきデータの量が、所定の基準データ量より多いか否かを判定する。通信データの量が、所定の基準データ量より多ければ、制御部6は、加速度のデータを、適宜、動作量判定部3から取得する。
【0127】
制御部6は、記憶部7に格納されている限界値と、加速度データ処理部13から入力された値とを比較する。3軸方向のデータのいずれに関しても、加速度データ処理部13からの値が限界値より小さいことが、一定時間持続すれば、制御部6は、無線通信装置1が静止していると判定する。これにより制御部6は、通信部8に通信実行を指示する。
【0128】
3方向のうち、いずれかの値が、限界値より大きければ、制御部6は、無線通信装置1が未だ静止していないと判定する。このとき制御部6は、通信部8に通信実行を指示しない。
【0129】
このようにして、無線通信装置1が、手ぶれなどを原因として、基準加速度以上で動いていれば、通信部8は、データ通信を開始しない。一方、無線通信装置1が静止した時点で、通信部8は通信を開始する。これにより無線通信装置1は、通信を安定して実行できる。
【0130】
(通信処理の流れ)
本実施形態の無線通信装置1が実行する通信処理に関して、図13を参照して以下に説明する。図13は、無線通信装置1が実行する通信表を説明するフローチャートである。
【0131】
この図に示すように、まずユーザが、通信開始ボタンを押下する(ステップS110)。この押下を、通信開始受付部9が判定する。ユーザによって通信開始ボタンが押されていなければ(No)、通信開始受付部9は再び、ユーザによる通信開始の指示(通信開始ボタンの押下)を待つ。
【0132】
ユーザによって通信開始ボタンが押されれば(Yes)、制御部6が、記憶部7に格納されている、通信すべきデータの量が、基準データ量より多いか否かを判定する(ステップS111)。通信すべきデータの量が、基準データ量よりも少なければ(Yes)、制御部6は、通信の実行を、通信部8に通知する(ステップS112)。これにより通信部8は、データを赤外線によって通信する(ステップS113)。そのため、無線通信装置1は、余計な処理に時間を取られることがない。また、電力を浪費せずに済む。
【0133】
一方、ステップS111において、通信すべきデータの量が基準データ量よりも多ければ(Yes)、制御部6は、加速度センサーの出力データを、動作量判定部3に要求する(ステップS114)。動作量判定部3は、制御部6による要求に応答し、加速度センサーの出力をA−D変換した値と、0G(静止)に相当する値「00FA」との差を算出し、絶対値に変換して、制御部6に通知する(ステップS115)。制御部6は、動作量判定部3から取得した加速度値と、記憶部7に記憶されている限界値と比較する(ステップS116)。これにより制御部6は、無線通信装置1の加速度が、3方向のいずれにおいても、限界値より小さいか否かを判定する(ステップS117)。
【0134】
ステップS117における判定結果が「真」であるとき(Yes)、制御部6は、所定の静止継続時間を測定する(ステップS119)。これにより制御部6は、加速度検出部11からの出力が限界値より小さい状態が、所定の基準時間、継続するか否かを判定する(ステップS120)。
【0135】
ここで、動作量判定部3からの出力が限界値より小さい状態が、所定の基準時間、継続しないと判定したとき(No)、制御部6は、通信実行の指示を通信部8に出さない。このとき処理はステップS114に戻り、制御部6は、加速度値の取得を動作量判定部3に要求する。
【0136】
一方、動作量判定部3からの出力が限界値より小さい状態が、所定の基準時間、継続すると判定したとき(Yes)、制御部6は、無線通信装置1が一定時間、静止していると判定する。これにより制御部6は、通信の開始を通信部8に指示する。この指示を受けて、通信部8は、データの通信を開始する。
【0137】
また、ステップS117において、無線通信装置1の3軸方向への各加速度が、一つでも限界値より大きいときと判定したとき(No)、制御部6は、測定した静止継続時間をリセットし、値をゼロにする(ステップS118)。このとき処理はステップS114に戻り、制御部6は、加速度検出部11からのデータの取得を、動作量判定部3に要求する。
【0138】
〔実施形態4〕
本発明に係る第4の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、実施形態1から3において説明した処理によって通信を開始した無線通信装置1が、その後、通信を継続するか否かをどのようにして判定するかについて、説明する。以下の説明する処理は、実施形態1から3に記載のいずれの無線通信装置1も実行できる。
【0139】
通信部8が通信を開始したあとも、動作量判定部3は、加速度検出部11の出力を監視している。したがって、常に、あらかじめ設定されている限界値と、加速度検出部11からの出力とを比較している。
【0140】
動作量判定部3は、通信部8が通信中であるときにおいても、加速度検出部11からの出力のうち、少なくとも一つの軸に関する出力が、限界値より大きくなれば、通信実行信号の出力を停止する。一方、加速度検出部11からの出力の全てが、限界値より小さい状態が続く限り、通信実行信号を出力し続ける。
【0141】
通信部8は、いったん通信を開始すると、所定の通信継続可能時間の間は、通信実行信号の有無、つまり振動の有無に関わらず、通信を継続する。この通信継続可能時間は、無線通信装置1が、手ぶれなどを原因として動いたり振動したりしても、通信には特に影響しない時間として、無線通信装置1においてあらかじめ記憶部7に格納されている。通信継続可能時間は、また、無線通信装置1の通信速度や、赤外線の指向性の強さによって規定される通信範囲などに基づき、各無線通信装置1に対してそれぞれ決定される。通信継続可能時間が経過すると、通信部8は、いったん通信を停止する。このとき制御部6が、通信すべきデータが、記憶部7に残っているか否かを判定する。
【0142】
すなわち、無線通信装置1の特性によって決定される、ある時間ごとに、制御部6は、その都度、手ぶれなどの通信阻害要因が無線通信装置1にあるか否かを判定する。また、通信すべきデータが残っていれば、再び、通信実行信号が入力されているか否かを判定する。
【0143】
動作量判定部3から通信実行信号が出力されていれば、制御部6は、通信の続行を通信部8に指示する。これにより通信部8は、通信を続行する。一方、動作量判定部3から通信実行信号が出力されていなければ、制御部6は、通信すべき全データの通信が完了していなくても、通信を中断することを決定し、通信部8に指示する。このとき制御部6は、通信実行信号が再度入力されるまで、すなわち無線通信装置1が再度静止したとみなせるまで、通信の再開を通信部8に指示しない。無線通信装置1は、通信予定の全データを通信し終えるまで、上述した動作を繰り返す。
【0144】
以上のように、データ通信の途中で、通信実行信号を検知されなくなると、制御部6は、無線通信装置1が手ぶれしていると判定する。これにより、通信部8は、通信を中断する。この中断に応じて、無線通信装置1から送信されるデータを受信する受信装置(本実施形態ではテレビ70)は、一連のデータの受信が所定の時間、途切れたことを検出する。これによりテレビは、画面にメッセージを表示して、ユーザに、通信の中断が起きたことを通知する。これにより、ユーザが通信状況を把握して、通信が正常に行えるように、無線通信装置1を操作する対応が可能となる。したがって、無線通信装置1の利便性がより一層、高まる。
【0145】
このときテレビは、たとえば「無線通信装置1がぶれています。元の位置まで戻して静かに保持して下さい。」などのように、通信がうまくいっていない状況を、ユーザが明確に把握できるメッセージを画面に表示すればよい。
【0146】
(通信継続判定処理)
以上の処理について、図14を参照して以下に説明する。図14は、データ通信中において無線通信装置1が実行する通信継続判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0147】
この図に示すように、動作量判定部3は、加速度検出部11(加速度センサー)からの出力の取得を続行する(ステップS210)。つぎに動作量判定部3は、加速度センサーからの出力を、あらかじめ設定されている限界値と比較する(ステップS211)。このとき動作量判定部3は、加速度センサーからの出力の大小に基づいて、動作を切り替える。すなわち加速度センサーからの出力が、3方向共に限界値より小さいか否かを判定する(ステップS212)。この判定結果が「偽」であるとき(No)、動作量判定部3は、通信実行信号の出力を停止する(ステップS213)。これにより通信部8は通信を中断する(ステップS214)。
【0148】
一方、ステップS212において、加速度センサーからの出力が、3軸方向のいずれにおいても限界値より小さいと判定するとき(Yes)、動作量判定部3は、通信実行信号の出力を続行する(ステップS215)。これにより通信部8は、所定の継続可能時間の間、データの通信を実行する(ステップS216)。つぎに通信部8は、継続可能時間が経過したか否かを判定する(ステップS216)。経過しないと判定したとき(No)、通信部8は通信を続行する。一方、経過したと通信部8が判定するとき、つぎに制御部6が、通信すべきデータが記憶部7に残されているか否かを判定する(ステップS218)。
【0149】
通信すべきデータが残っていると判定したとき(Yes)、処理はステップS210に戻って、動作量判定部3が、加速度センサーからの出力を取得する。これにより、上述した処理を繰り返し、通信を続ける。一方、通信すべきデータが記憶部7に残っていないと制御部6が判定したとき(No)、処理は終了する。
【0150】
〔実施形態5〕
本発明に係る第5の実施形態について、以下に説明する。図15は、動作量検出部2としての受信信号検出部14を備えている無線通信装置1の構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態の無線通信装置1は、上述した動作量検出部2として受信信号検出部14を備えている。受信信号検出部14は、通信相手の装置から送信された無線信号を受信し、その強度を測定する。なお、受信信号検出部14は、図16に示すように、通信部8と一体化された構成であってもよい。図16は、受信信号検出部14と通信部8とが一体化されている構成の無線通信装置1を示す図である。
【0151】
図17は、無線通信装置1がテレビ70に対してどの方向に向いたとき、受信信号検出部14がビーコン信号を受信できるかを示す図である。図17の例では、無線通信装置1の通信相手であるテレビ70から、指向性を有するビーコン信号が、常時、赤外線によって出力されている。したがって、無線通信装置1がテレビ70に対して所定の範囲内で正対していれば、受信信号検出部14は、ビーコン信号を受信する。このとき受信信号検出部14は、ビーコン信号の受信強度を測定し、そのレベルに応じた振幅を有する測定信号を出力する。
【0152】
受信信号検出部14が測定するビーコン信号のレベルは、ビーコン信号の受光量に応じて変化する。したがって、無線通信装置1がテレビに対して正対していなければ、受信信号検出部14は、振幅の小さい測定信号を出力する。また、無線通信装置1のテレビ70に対する向きによっては、受信信号検出部14はビーコン信号をまったく受信できず、その結果、測定信号をまったく出力できない。
【0153】
図18は、テレビ70が出力するビーコン信号を無線通信装置1が受信するときの、各種信号の振幅を表す図である。この図に示すように、テレビ70は、連続したパルス状のビーコン信号を出力している。受信信号検出部14は、テレビ70が出力するビーコン信号を受信する。無線通信装置1がテレビ70に対してどのような角度で向いているのかに応じて、受信信号検出部14に入力されるビーコン信号の光量が変化する。
【0154】
すなわち、無線通信装置1がテレビに正対していれば、受信信号検出部14に入力されるビーコン信号の光量は多くなる。無線通信装置1のテレビ70に対する向きがずれていれば、そのずれに比例して、受信信号検出部14に入力されるビーコン信号の光量は少なくなる。向きがある限度を超えてずれていれば、受信信号検出部14にはビーコン信号が全く入らない。
【0155】
これにより受信信号検出部14は、無線通信装置1がテレビに向いている角度に応じた振幅(すなわち電圧)を有する測定信号を出力する。すなわち受信信号検出部14は、無線通信装置1がテレビに正対していれば高レベルの測定信号を出力し、向きがずれていれば低レベルの測定信号を出力し、向きが限度を超えてずれていればゼロレベルの測定信号を出力する。
【0156】
(動作量判定部3の構成)
図19は、ビーコン信号の振幅に基づき無線通信装置1が動作しているか否かを判定する動作量判定部3の構成を示すブロック図である。上述したように、本実施形態では、テレビ70は、連続したパルス状のビーコン信号を出力している。本実施形態に係る動作量判定部3は、限界値提供部4および比較操作部5を備えている。比較操作部5は、アナログコンパレータ57およびワンショットマルチバイブレータ58を備えている。ワンショットマルチバイブレータ58の発振時間は、ビーコン信号の周期より若干長い。この構成により、動作量判定部3は、ビーコン信号のパルスを単発の信号に変換して、通信実行信号として出力する。
【0157】
受信信号検出部14は、無線通信装置1のテレビに対する角度に応じたレベルのビーコン信号を、アナログコンパレータ57に出力する。このとき、限界値提供部4が、所定の限界レベルをアナログコンパレータ57に出力する。この限界レベルは、無線通信装置1がテレビに対し安定に通信できる角度で向いている状態を表すレベルであり、本実施形態では2.00Vの電圧である。すなわち、受信信号検出部14が出力する信号のレベルが、2.00Vを上回れば、無線通信装置1のテレビ70に対する向きのずれは、許容範囲内にある。
【0158】
限界値提供部4が出力する電圧は、無線通信装置1の性能に応じて決定される。また、限界値提供部4は、この電圧を、電源の電圧を抵抗で分圧するか、あるいは、電池を用いて出力する。
【0159】
アナログコンパレータ57は、受信信号検出部14から入力された信号の電圧を、限界レベルの電圧(2.00V)と比較する。このとき測定信号が2.00Vよりも大きければ、無線通信装置1のテレビ70に対する向きのずれ許容範囲内であると判定し、パルス状の信号をワンショットマルチバイブレータ58に出力する。パルス信号が入力されると、ワンショットマルチバイブレータ58はトリガされ、連続パルスを単発の信号に変換し、通信実行信号として制御部6に出力する。
【0160】
受信信号検出部14からの信号が2.00Vより低ければ、アナログコンパレータ57は、無線通信装置1のテレビ70に対する向きのずれが許容範囲外にあると判定する。これによりアナログコンパレータ57は、パルス信号を出力しない。したがってワンショットマルチバイブレータ58はトリガされないので、通信実行信号を出力しない。
【0161】
図20は、受信信号検出部14が出力するビーコン信号の振幅と、動作量判定部3が出力する通信実行信号との関係を示す図である。この図に示すように、ビーコン信号は、レベルが1.00Vまたは1.05Vであれば、限界値である2.00Vより小さい。したがって動作量判定部3は、無線通信装置1のテレビ70に対する対向角度が、基準範囲外にあると判定し、通信実行信号を出力しない。一方、ビーコン出力は、2.50Vであるとき、限界値である2.00Vより大きい。このとき動作量判定部3は、無線通信装置1にテレビ70に対する対向角度は許容範囲内にあると判定し、通信実行信号を出力する。
【0162】
以上のように、無線通信装置1が手ぶれしている状態では、テレビ70に対する向きが安定せず、その結果、受信信号検出部14が出力するビーコン信号の電圧が上下する。これにより通信実行信号の出力が安定しなくなるため、上述したように、通信部8は通信を実行しない。
【0163】
また、本実施形態では、無線通信装置1のテレビ70に対する対向角度がずれる場合だけでなく、無線通信装置1のテレビからの距離が離れることによっても、受信信号検出部14におけるビーコン信号の受光量が減少する。したがって、テレビ70からの距離が遠くなったために受信信号検出部14における受光量が減少し、その結果、受信信号検出部14からのビーコン信号が2.00Vより小さくなれば、動作量判定部3は、無線通信装置1とテレビ70との距離が、通信可能範囲外にあると判定する。これにより、動作量判定部3にビーコンのパルスを出力させず、通信実行信号も出力しないようにもできる。このように無線通信装置1は、テレビ70との対向角度だけでなく、テレビ70との距離に基づいても、通信を制御できる。
【0164】
〔実施形態6〕
本発明に係る第6の実施形態について、以下に説明する。
【0165】
上述した実施形態1では、通信開始受付部9は、ユーザが、無線通信装置1上のボタンを押下したとき、通信開始信号を出力した。本実施形態では、通信開始受付部9は、無線通信装置1における所定の空間的動きを検出したとき、通信開始信号を出力する。たとえば、ユーザが無線通信装置1を手にとって振ったとき、その空間的動きを検出する。
【0166】
図21は、所定の空間的動きを検出したとき通信を開始する無線通信装置1の構成を示すブロック図である。図21に示す例では、通信開始受付部9は、加速度検出部11からの出力に基づき、無線通信装置1の空間的動きを検出する。なお、通信開始受付部9は、角加速度検出部12からの出力、または、テレビ70などの通信相手の装置から出力される信号に基づいても、無線通信装置1の空間的動きを検出できる。
【0167】
図22は、振動信号を通信開始受付部9に出力する動作量判定部3の構成を示すブロック図である。図22に示すように、動作量判定部3は、通信開始受付部9に、所定の振動信号を出力する。動作量判定部3は、無線通信装置1における少なくとも一つの軸に、ある値以上の加速度が加わったと判定するとき、振動信号を通信開始受付部9に出力する。
【0168】
図22に示す動作量判定部3は、図6に示す動作量判定部3に、さらに、NOR回路61が加えられている構成である。その他の構成は、図6に示す構成と同様である。すなわち、「0032」は、3.33Gに相当するデジタルデータである。この3.33Gは、無線通信装置1を静止していると判定できる加速度である。「00FA」は、0G(静止)に相当するデジタルデータである。
【0169】
無線通信装置1における3軸方向のうち、少なくとも一つの方向における加速度が3.33Gを超えるとき、動作量判定部3は、振動信号を通信開始受付部9に出力する。具体的には、NOR回路61には、各デジタルコンパレータ59からの出力が入力される。これによりNOR回路61は、無線通信装置13つの入力のうちいずれか一つでもLOWレベルであれば、振動信号を出力する。
【0170】
無線通信装置1が、たとえばテーブルに置かれて静止しているとき、ユーザが手に取れば、無線通信装置1は、静止位置から、ある位置まで移動する。このとき生じた加速度を加速度検出部11から検出し、検出した加速度を表す信号を出力する。この信号は、上述したように、A−D変換部10、加速度データ処理部13を経て、比較操作部5に入力される。
【0171】
比較操作部5では、デジタルコンパレータ59は、加速度検出部11が検出した加速度と、加速度OGとの差を表すデジタルデータの値が、限界値である「0032」より大きければ、LOWレベルを出力する。NOR回路61は、3つデジタルコンパレータ59からの入力が、一つでもLOWレベルであれば、振動信号としてHIGHレベルを出力する。すなわち比較操作部5は、無線通信装置1における3つの軸において、一つでも限界値より大きい加速度が加わっていることを検出したときに、HIGHレベルの振動信号を出力する。
【0172】
無線通信装置1が静止している状態において振動信号が入力されると、通信開始受付部9は、ユーザが無線通信装置1を取り上げたと判定し、制御部6に対して、通信開始信号を出力する。無線通信装置1の使用条件に応じて、通信開始受付部9は、振動信号が1回でも入力されたときに通信開始信号を出力すればよい。または、振動信号が所定の複数回入力されたときに、はじめて通信開始信号を出力してもよい。
【0173】
(処理の流れ)
図23は、無線通信装置1がユーザによる通信開始の意図を判定するときにおける処理の流れを示すフローチャートである。図23の例では、無線通信装置1の振動が3回あったことを検出したとき、通信開始受付部9は、ユーザに通信開始の意図が有ると判定する。この回数3は、無線通信装置1において、事前に決められている。また、回数に特に制限はなく、任意のN回(Nは正の整数)であればよい。
【0174】
図23に示すように、通信開始受付部9は、まず、カウンタをリセットする(ステップ310)。カウンタが何を表すかについては、後述する。つぎに、無線通信装置1が静止しているか否かを判定する(ステップS311)。具体的には、動作量判定部3からの通信実行信号が一定時間、入力されているか否かによって判定する。すなわち、通信実行信号が一定時間、入力されているとき、無線通信装置1が静止していると判定する。一方、通信実行信号が一定時間、入力されていないとき、無線通信装置1は静止してないと判定する。無線通信装置1が静止していないと判定したとき(No)、通信開始受付部9は、ステップ310に戻って、カウンタをリセットする動作を継続する。
【0175】
一方、ステップS311において、無線通信装置1が静止していると判定するとき(Yes)、通信開始受付部9は、つぎに、動作量判定部3から振動信号が入力されているか否かを判定する(ステップS312)。上述したように、加速度検出部11が、無線通信装置1における3つの軸のうち、1つでも所定の加速度を検出したとき、動作量判定部3は、振動信号を通信開始受付部9に入力する。ステップS312において振動信号が入力されていないとき(No)、通信開始受付部9は、振動信号が入力されるまで待つ。
【0176】
一方、ステップS312において振動信号が入力されていると判定したとき(Yes)、通信開始受付部9は、振動信号の入力回数を表すカウンタの値を、1つ増やす(ステップS313)。つぎに、通信開始受付部9は、カウンタの値が3であるか否かを判定する(ステップS314)。カウンタの値が3であると判定したとき(Yes)、通信開始受付部9は、通信開始信号を制御部6に出力する(ステップS315)。これにより制御部6は、上述した通信実行の判定処理を行う。
【0177】
ステップS314において、カウンタの値が3ではないと判定したとき(No)、通信開始受付部9は、振動信号の入力が継続しているか否かを判定する(ステップS317)。振動信号の入力が継続していると判定したとき(Yes)、振動信号の入力が終了するのを待つ。
【0178】
一方、ステップS317において、振動信号の入力が終了したと判定したとき(No)、通信開始受付部9は、つぎの振動信号が入力されているか否かを判定する(ステップS318)。ステップS318において、つぎの振動信号が入力されていると判定したとき(Yes)、処理はステップS313に戻って、通信開始受付部9はカウンタの値を1つ増やす。これにより通信開始受付部9は、振動信号の入力がいったん終了し、すなわち無線通信装置1の振動がいったん収まってから、次の振動信号が入力されるのを待つことによって、振動信号の入力回数を正しくカウントする。また、ステップS313からS318までの処理を、カウンタ値が3になるまで繰り返す。
【0179】
ステップS318において振動信号が入力されていないと判定するとき(No)、通信開始受付部9は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS319)。このとき、所定時間が経過していなければ(No)、処理はステップS318に戻って、再び、振動信号が入力されているか否かを判定する。
【0180】
一方、ステップS319において所定時間が経過していると判定したとき(Yes)、通信開始受付部9は、カウンタをリセットする(ステップS310)。すなわち一度振動信号の入力を検出しても、3回の入力をカウントするまでに、ある一定の時間が経過したなら、通信開始受付部9は、ユーザに通信開始の意図が無いと判定する。これにより通信開始受付部9は、カウンタをリセットし、振動信号の入力を最初からやり直す。
【0181】
以上の処理によって、通信開始受付部9は、ユーザが通信開始ボタンを押下しなくても、通信の開始を指示できる。
【0182】
なお動作量判定部3は、ある特定の軸における加速度が限界値を超えたときのみ、振動信号を出力してもよい。また、動作量判定部3は、3つの軸における加速度のうち、任意の組み合わせのものが、いずれも限界値を超えるときに限り、振動信号を出力してもよい。あるいは、動作量判定部3は、1回目はX軸方向における加速度、2回目はY軸方向における加速度など、所定の加速度が、決まった軸の順番にしたがって限界値を超えるときのみ、振動信号を出力してもよい。
【0183】
〔実施形態7〕
本発明に係る第7の実施形態について、以下に説明する。
【0184】
本実施形態の無線通信装置1は、通信を開始したあとにおいて、ある位置から、仮にゆっくりであっても、大きく動いたときに、通信を中断する。上述したように、第4の実施形態に係る無線通信装置1は、通信を開始したあとにおいて、無線通信装置1の手ぶれなどの振動があったとき、通信を中断する。すなわち、通信中において、加速度が所定値以上に加わった時に通信を中断する。それに対して本実施形態では、通信中における加速度の大小ではなく、通信開始後における無線通信装置1の移動量の大小によって、通信を制御する。
【0185】
(無線通信装置1の構成)
本実施形態に係る無線通信装置1の構成について、説明する。図24は、移動距離算出部15を備えている無線通信装置1の構成を示すブロック図である。この図に示す無線通信装置1は、図2に示す構成に加えて、さらに移動距離算出部15(移動距離算出手段)を備えている。移動距離算出部15は、制御部6が指定した時点における無線通信装置1の位置から、無線通信装置1の現在位置までに、無線通信装置1が移動した距離を算出する。あるいは、通信部8が通信を開始した時点から現在の時点までにおける、無線通信装置1の移動距離を算出する。
【0186】
なお、本実施形態の無線通信装置1は、図30に示す構成であってもよい。図30に示す無線通信装置1は、図3に示す構成に加えて、さらに、移動角度算出部19を備えている。図30に示す移動角度算出部19は、制御部6の指定した時点における無線通信装置1の位置から現在位置まで、無線通信装置1が回転した角度である移動角度を算出する。あるいは、通信部8が通信を開始した時点から現在の時点までにおける、無線通信装置1の移動角度を算出する。また、移動角度算出部19は、図30に示すように、角度限界値提供部20および移動角度判定部21を備えている。
【0187】
いずれにせよ、無線通信装置1の動作の本質に変わりはない。すなわち無線通信装置1は、移動距離算出部15または移動角度算出部19が算出した値に基づき、通信を制御する。そこで以下では、図24に示す、移動距離算出部15を備えている無線通信装置1について、詳しく説明する。図25は、移動距離算出部15の構成を示すブロック図である。この図に示すように、移動距離算出部15は、積分部16、距離限界値提供部17、移動距離判定部18(移動距離判定手段)を備えている。
【0188】
(積分部16)
積分部16は、3つの各軸に個別に対応する2つの積分器161および162を備えている。これにより積分部16は、加速度検出部11からの出力を、X、Y、Zの3軸ごとに、時間について2回積分する。すなわち、加速度の値を時間について2回積分することによって、無線通信装置1の移動距離を算出する。
【0189】
(距離限界値提供部17)
距離限界値提供部17は、アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182に、無線通信装置1の移動距離の限界を表す所定の移動限界値を、ある電圧として出力する。距離限界値提供部17は、この電圧を、電源電圧を分圧することにより、あるいは、電池などを用いて得る。
【0190】
(移動距離判定部18)
移動距離判定部18は、上述した3軸に対応するように、アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182を、1軸あたりそれぞれ1つづつ、備えている。すなわち、合計で、3つのアナログコンパレータA181と、3つのアナログコンパレータB182とを備えている。
【0191】
積分器162は、算出した値(すなわち移動距離)を、各アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182に出力する。アナログコンパレータA181は、無線通信装置1の一軸におけるプラス方向の移動距離を判定する。アナログコンパレータB182は、無線通信装置1の一軸におけるマイナス方向の移動距離を判定する。
【0192】
アナログコンパレータA181の出力、およびアナログコンパレータB182の出力が、いずれもLOWレベルであるとき、移動距離判定部18は、無線通信装置1の移動距離が限界値内にある、すなわち、無線通信装置1が通信範囲内にあると判定する。
【0193】
積分部16が出力した値が、3軸の全てにおいて距離限界値よりも小さいとき、移動距離判定部18は、無線通信装置1の移動が小さく、通信相手と通信できる範囲内に存在すると判定する。これにより、通信継続信号を出力する。また一つの軸だけでも距離限界値17より大きければ、無線通信装置1が大きく移動し、通信相手と通信できる範囲内から離れていったと判定する.
距離限界値は、各軸方向にどれだけ移動したとき、無線通信装置1が通信範囲から外れるかに基づき、決定される。なお距離限界値は、軸ごとに異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。本実施形態では、各軸のいずれにおいても、同じ値である。すなわち、各軸の全てに関して、無線通信装置1の移動距離が距離限界値より小さいとき、移動距離判定部18は通信継続信号を出力する。
【0194】
(移動距離算出部15の動作)
移動距離算出部15の動作について、以下に詳細に説明する。上述したように、無線通信装置1の加速度が0G(静止)であるとき、加速度検出部11は2.50Vを出力する。加速度検出部11は、この値に、1Gあたり0.15Vを、加速方向に応じて、加算または減算して出力する。以下では、ある軸方向に無線通信装置1が移動するときにおける、移動距離算出部15の動作を説明する。他の2軸の場合も同様である。
【0195】
上述したように、積分部16は、加速度検出部11の出力を、時間について2回積分することによって、無線通信装置1の移動距離を算出する。具体的には、加速度検出部11の出力を、積分器161が1回、積分する。これにより積分器161は、無線通信装置1の速度に相当する電圧を出力する。積分器161は、0Vを中心にして、無線通信装置1の加速方向に応じてプラス電圧、あるいは、マイナス電圧を出力する。積分器161を、電圧を積分器162に出力する。これにより積分器162は、速度に相当する電圧を積分することによって、無線通信装置1の移動距離を算出する。積分器162は、電圧をアナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182に出力する。
【0196】
アナログコンパレータA181は、無線通信装置1のプラス方向の距離を、プラス方向の移動限界値(0.20V)と比較する。一方アナログコンパレータB182は、無線通信装置1のマイナス方向の距離を、マイナス方向の移動限界値(−0.20V)と比較する。
【0197】
図26は、加速度検出部11が検出した加速度と、積分部16が算出した移動距離と、移動距離に相当する電圧との関係を示す図である。図26に示すように、積分器162が出力する電圧が0.20V以下であるとき、アナログコンパレータA181はLOWレベルを出力する。一方、積分器162が出力する電圧が−0.20V以上であるとき、アナログコンパレータB182はLOWレベルを出力する。すなわち、各積分器162の出力が、いずれも+0.20V以下でかつ、−0.20V以上であるときのみ、アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182の出力が、同時にLOWとなる。
【0198】
アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182の出力は、いずれも、対応するNOR回路183に入力される。このときNOR回路は、HIGHレベルをAND回路184に出力する。
【0199】
この±0.20Vは、本実施形態における、無線通信装置1の移動距離に関する限界値である。これらの電圧は、積分部16の特性に基づいて、いずれも20cmの移動距離に相当する。積分部16における電圧と距離値と関係は、任意のものでよい。本実施形態では、積分部16は、無線通信装置1の移動距離が98cmであるとき、1Vを出力する。
【0200】
図27は、加速度検出部11が検出した無線通信装置1の加速度と、積分部16が算出した無線通信装置1の移動距離と、この距離に相当する電圧との関係を示す図である。この図に示すように、無線通信装置1の加速度が0.1Gであれば、加速度検出部11は、2.50V(静止時)±0.015Vを移動距離算出部15に出力する。同様に、0.2Gの加速度であれば、2.50V(静止時)±0.030Vを出力し、0.3Gの加速度であれば、2.50V(静止時)±0.045Vを出力する。ここで、±の符号は、無線通信装置1の加速度方向によって決まる。
【0201】
本実施形態に係る無線通信装置1に関する物理的事実によれば、たとえば、0.1Gの加速度が加われば、無線通信装置1は、0.5秒間加速し、約12.25cm、移動する。一方、0.3Gでれば、0.1秒間加速し、約1.47cm移動する。このような関係は、加速度検出部11の出力電圧に基づき、事前に決定でき、無線通信装置1において、あらかじめ設定されている。
【0202】
(加速度と電圧との関係)
図28は、無線通信装置1が検出した無線通信装置1の加速度と、この加速度に相当する電圧と、積分器161が算出した無線通信装置1の移動速度に相当する電圧と、積分器162が算出した無線通信装置1の移動距離に相当する電圧との関係を示す図である。この図の例では、無線通信装置1は、0.1G、0.2G、または0.3Gの一定加速度で、それぞれ0.5秒間ごとに、図28における「加速度」の欄に示す順序と方向とによって加速されている。無線通信装置1に加わる加速度は、各0.5秒の時間内では一定である。したがって、加速度検出部11の出力は、0.5秒間、一定の電圧となる。
【0203】
たとえば、無線通信装置1の加速度が、ある軸におけるプラス方向に0.1Gであるとき、加速度検出部11は、無線通信装置1の静止時を表す2.50Vに0.015Vを加算し、2.515Vとして出力する。
【0204】
積分器161は、加速度検出部11の出力電圧を時間について積分し、無線通信装置1の移動速度に相当する電圧に変換する。本実施形態では、加速度は、各0.5秒間は一定であるため、積分器161の出力電圧は三角波となる。
【0205】
積分器161は、無線通信装置1が0.1Gで1秒間加速されたとき、無線通信装置1の移動速度に相当する電圧を1Vとして出力する。このとき速度相当電圧を、図28に示す通りに変換する。積分器161の出力すなわち速度相当電圧を、積分器162が時間について積分すると、図28に示すように2次曲線となる。これが積分器162の出力であり、無線通信装置1の移動距離に相当する電圧である。
【0206】
図28の例では、積分器162の出力が0Vであるとき、無線通信装置1の移動距離はゼロである。本実施形態では、無線通信装置1が一定の加速度0.1Gで1秒間加速されたとき、すなわち無線通信装置1の移動距離が49cmのとき、積分器162は、0.5Vの電圧を出力する。積分器162による出力電圧1Vは、98cmに相当する。また、無線通信装置1が移動を開始して5秒経過した時点では、積分器162の出力は0.25Vである。これはすなわち、無線通信装置1が元の位置から24.5cm移動したことを示している。
【0207】
積分器161および積分器162の特性は、上述したものに限定されない。すなわち、無線通信装置1の使用条件に応じて、適宜決定されていればよい。
【0208】
以上のように、積分器162の出力電圧は、無線通信装置1の移動距離に相当する。積分器162の出力電圧を、移動距離判定部18が、距離限界値に相当する電圧と比較する.距離限界値は、無線通信装置1が通信開始時からいくら動いたら、通信範囲を外れたと判定するかに基づいて、無線通信装置1においてあらかじめ設定されている。
【0209】
本実施形態では、無線通信装置1が20cm移動したとき、通信できる範囲から外れたとしている。図28に示すように、無線通信装置1が20cmの距離を移動するには、加速度0.1Gが連続して加わるときは約0.638秒、0.2Gでは約0.452秒、そして0.3Gでは約0.369秒の時間を要する
距離相当電圧の絶対値が0.20V以下であれば、加速度に関わらず、無線通信装置1の移動距離は20cm以下である。移動距離判定部18のアナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182は、2つの電圧を比較する。移動距離判定部18は、全ての軸の距離相当電圧が0.20V以下であれば、通信開始後に無線通信装置1が移動したとしても、通信の継続に支障がない範囲に位置していると判定する。このとき移動距離判定部18は、通信継続信号を制御部6に出力する。このとき制御部6は、通信の継続を通信部8に指示する。したがって通信部8は、通信を続行する。
【0210】
(処理の例)
移動距離算出部15を備えている無線通信装置1における通信処理について、以下に説明する。ユーザが通信開始ボタンを操作したあと、無線通信装置1は、手ぶれが収まってから通信を開始する。本実施形態では、さらに次の制御を行う。まず通信を行う前に、距離計測を実行する各部を初期化する。具体的には、積分器161および162の設定を初期値に戻し、出力を0Vにする。
【0211】
積分部16の積分器161は、加速度検出部11の出力を時間について積分し、無線通信装置1の移動速度を算出する。さらに積分器161の出力である速度を積分器162が時間について積分し、通信開始後における無線通信装置1の移動距離を、電圧として出力する。
【0212】
移動距離判定部18では、アナログコンパレータA181およびアナログコンパレータB182は、積分器162の出力電圧を、距離限界値提供部17から提供される移動限界値と比較する。これにより、無線通信装置1の移動距離が所定の範囲内にあるか否かを判定する。無線通信装置1の移動距離が限界値以下であれば(積分器162の出力電圧が限界値の電圧よりも小さければ)、移動距離が所定の範囲内にある。そこで移動距離判定部18は、通信を継続してもよいことを示す通信継続信号を制御部6に出力する。これにより制御部6が通信の継続を通信部8に指示するため、通信部8は通信を続行する。
【0213】
無線通信装置1の移動距離が限界値を超えていれば、移動距離判定部18は、通信部8が通信が出来ないと判定する。このとき無線通信装置1は、一定の時間内に、無線通信装置1の移動距離の測定、および測定した移動距離と移動限界値との比較を繰り返す。移動距離の計測が初期化されてから、一定の時間内に、無線通信装置1の移動距離が限界値以下にならないと判定したとき、移動距離判定部18は、無線通信装置1の位置が元に戻っていないと判定する。このとき移動距離判定部18は、通信継続信号を制御部6に出力しない。制御部6は、通信継続信号が入力されており、かつ、無線通信装置1の加速度が所定値以下であるとき、通信部8に通信の継続を指示する。これにより通信部8は、通信を継続する。
【0214】
(処理の流れ)
以上の処理について、図29を参照して以下に説明する。図29は、無線通信装置1における処理の流れを説明するフローチャートである。
【0215】
ユーザが通信開始ボタンを押した後、手ぶれがなければ、無線通信装置1は、移動距離計測を実行する各部を初期化する(ステップS410)。具体的には、積分器161および162をリセットし、これらの出力を0Vにする。つぎに加速度検出部11は、加速度センサーの出力を取得して、移動距離算出部15に出力する(ステップS411)。移動距離算出部15における積分部16は、加速度検出部11からの出力電圧を時間について2回積分して、無線通信装置1の移動距離に相当する電圧を移動距離判定部18に出力する(ステップS412)。
【0216】
移動距離判定部18は、積分部16が出力した移動距離相当電圧を、距離限界値提供部17が提供した移動限界値と比較する(ステップS413)。このとき移動距離判定部18は、無線通信装置1の移動距離が、3軸のいずれの方向に対しても移動限界値より小さいか否かを判定する(ステップS414)。
【0217】
ステップS414において、無線通信装置1の移動距離が移動限界値よりも大きいと判定するとき(No)、制御部6は、距離計測を実行する各部が初期化されてからの経過時間を測定する(ステップS415)。つぎに、制御部6は、測定した経過時間が所定の制限時間を超えているか否かを判定する(ステップS416)。
【0218】
ステップS416において、測定した経過時間が所定の制限時間を超えていると判定したとき(Yes)、制御部6は、無線通信装置1が、通信を開始してから、その位置を大きく変えているため通信が不可能であると判定して処理を終了する。一方、ステップS416において、測定した経過時間が制限時間を超えていなければ、処理は再びステップS411に戻る。すなわち、無線通信装置1の移動距離が所定範囲内になると判定できるまで、移動距離算出部15において、積分部16が移動距離を計測し、つぎに移動距離判定部18が移動距離と移動限界値とを比較することを、繰り返す。
【0219】
無線通信装置1の移動距離がある瞬間に大きくても、ユーザが無線通信装置1の位置を元に戻せば、積分部16が出力する移動距離相当電圧は、移動限界値よりも小さくなる。このとき、ステップS414において、移動距離判定部18は、無線通信装置1の移動距離が3軸の方向のいずれにおいても移動限界値より小さいと判定する(Yes)。したがって移動距離判定部18は、通信継続信号を制御部6に出力する(ステップS417)。
【0220】
ステップS418〜S420、ステップS421、ステップS423、およびステップS423の処理は、実施形態4における処理と同じであるので説明を省略する。
【0221】
最後に、制御部6は、通信すべきデータが記憶部7に残っているか否かを判定する(ステップS425)。残っていれば、処理はステップS411に戻る。また、通信途中において、手ぶれなどで加速度が大きくなり、通信部8が通信を中断したステップS421の後も、処理はステップS411に戻る。これらのとき、通信部8は、通信を完了できていない。また、通信部8が通信を開始してからの、無線通信装置1の移動距離はリセットされず、記憶部7において累積する。
【0222】
加速度の瞬間的な大きさだけを判定しても、移動距離判定部18は、無線通信装置1の位置がずれたことを検出できない。すなわち加速度が小さくても、加速時間が長く継続すれば、無線通信装置1の移動距離は大きくなり、通信当初の位置からずれてしまう。そこで移動距離判定部18がこのような移動を検知するので、制御部6は通信の制御を適切に行える。
【0223】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0224】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、無線通信装置1に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、無線通信装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、この制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記制御プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Randam Access Memory)、および、上記制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
の記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアである無線通信装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。無線通信装置1に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしての無線通信装置1(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
プログラムコードを無線通信装置1に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわち、この記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
また、無線通信装置1を、通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して無線通信装置1に供給する。この通信ネットワークは、無線通信装置1にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Assymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0225】
(その他の構成)
なお、本発明は、以下に示すよう構成としても実現できる。
【0226】
(第1の構成)
他の装置との間でデータを通信する通信装置において、自装置の空間的な動きを定量的情報として検出する動作量測定手段と動作量測定手段で検出した定量的情報と基準となる情報との比較結果に基づいた所定の信号を出力する比較手段と前記比較手段からの信号に基づいて他の装置との間でデータの通信を行う通信手段とを備えることを特徴とする通信装置。
【0227】
(第2の構成)
前記動作量測定手段は自装置の加速度を検出する加速度検出手段であり、前記比較手段は、検出された自装置の加速度と予め定められた加速度とを比較し、自装置の加速度が前記定められた加速度以下になると通信の実行を指示する通信実行信号を出力することを特徴とする第1の構成に記載の通信装置。
【0228】
(第3の構成)
前記動作量測定手段は自装置の角加速度を検出する角加速度検出手段であり、前記比較手段は、検出された自装置の角加速度と予め定められた角加速度とを比較し、自装置の角加速度が前記定められた角加速度以下になると通信の実行を指示する通信実行信号を出力することを特徴とする第1の構成に記載の通信装置。
【0229】
(第4の構成)
前記動作量測定手段は通信相手からの信号の受信レベルを検出する
受信信号検出手段であり、前記比較手段は、検出された受信信号の受信レベルと予め定められたレベルとを比較し、受信信号の受信レベルが前記予め定められたレベル以上になると通信の実行を指示する通信実行信号を出力することを特徴とする第1の構成に記載の通信装置。
【0230】
(第5の構成)
前記通信手段は比較手段から前記通信実行信号が出力されると、データの通信を開始することを特徴とする第2から第4の構成に記載の通信装置。
【0231】
(第6の構成)
使用者の操作を受け付けて通信開始信号を通信装置に通知する通信開始受付手段をさらに備え、前記通信開始信号と前記通信実行信号とが揃うと、データの通信を開始することを特徴とする第2から第5の構成に記載の通信装置。
【0232】
(第7の構成)
前記通信開始受付手段は、通信装置上のボタン操作に基づいて通信開始信号を出力することを特徴とする第6の構成に記載の通信装置。
【0233】
(第8の構成)
前記通信開始受付手段は、自装置の所定の空間的動きに基づいて通信開始信号を出力することを特徴とする第6の構成に記載の通信装置。
【0234】
(第9の構成)
前記通信装置は通信中に、前記通信実行信号の有無に応じて通信の中断、あるいは通信の続行を行うことを特徴とする第2〜第8の構成に記載の通信装置。
【0235】
(第10の構成)
前記通信装置はさらに、前記加速度検出手段の出力に基づいて自装置の移動距離を算出する移動距離算出手段を備え、移動距離算出手段で算出された通信開始時の位置からの移動距離が基準となる値より小さい時に通信の継続を指示する通信継続信号を出力することを特徴とする第2の構成に記載の通信装置
(第11の構成)
前記通信装置はさらに、前記角加速度検出手段の出力に基づいて自装置の移動角度を算出する移動角度算出手段を備え、移動角度算出手段で算出された通信開始時の位置からの移動角度が基準となる値より小さい時に通信の継続を指示する通信継続信号を出力することを特徴とする第3の構成に記載の通信装置
(第12の構成)
前記通信装置は通信中に、前記通信実行信号と前記通信継続信号の有無に応じて通信の中断、あるいは通信の続行を行うことを特徴とする第10または第11の構成に記載の通信装置
(第13の構成)
前記通信手段は電波によって通信を行なうことを特徴とする第1〜第12の構成に記載の通信装置
(第14の構成)
前記通信手段は赤外線で通信を行うことを特徴とする第1〜第12の構成に記載の通信装置。
【0236】
(第15の構成)
前記通信装置は携帯電話であることを特徴とする第1から第14の構成に記載の通信装置。
【0237】
(第16の構成)
前記通信装置はテレビのリモコンであることを特徴とする第1から第14の構成に記載の通信装置。
【0238】
(第17の構成)
自装置の加速度を検出する加速度検出手段を有する通信装置の制御プログラムであり、前記加速度検出手段で検出された加速度を随時取得するステップと、取得した加速度を基準値と比較するステップと、前記加速度が基準値より大きいか否かを判断するステップと、前記加速度が基準値より小さいときにのみ通信実行の指示を行うステップと、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【0239】
(第18の構成)
自装置の加速度を検出する加速度検出手段を有する通信装置の制御プログラムであり、前記加速度検出手段で検出された加速度を随時取得するステップと、取得した加速度から移動距離を算出するステップと、算出した移動距離を基準値と比較するステップと、前記移動距離が基準値より大きいか否かを判断するステップと、前記移動距離が基準値より小さいときにのみ通信実行の指示を行うステップと、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【0240】
(第19の構成)
自装置の角加速度を検出する角加速度検出手段を有する通信装置の制御プログラムであり、前記角加速度検出手段で検出された角加速度を随時取得するステップと、取得した角加速度を基準値と比較するステップと、前記角加速度が基準値より大きいか否かを判断するステップと、前記角加速度が基準値より小さいときにのみ通信実行の指示を行うステップと、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【0241】
(第20の構成)
自装置の角加速度を検出する角加速度検出手段を有する通信装置の制御プログラムであり、前記角加速度検出手段で検出された角加速度を随時取得するステップと、取得した角加速度から移動した移動角度を算出するステップと算出した移動角度を基準値と比較するステップと、前記移動角度が基準値より大きいか否かを判断するステップと、前記移動角度が基準値より小さいときにのみ通信実行の指示を行うステップと、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0242】
本発明は、赤外線を送信する機能を有する各種の装置として利用できる。したがって、リモートコントローラ、携帯電話機、および携帯端末装置など、赤外線を送信することによって何らかのタスクを実行する装置であれば、どのような装置としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】本発明に係る無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】動作量検出部の具体的例としての加速度検出部を備えている無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】動作量検出部の具体的例としての角加速度検出部を備えている無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】加速度の比較をソフトウェア的に実行する無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】動作量判定部の詳細を示すブロック図である。
【図6】動作量判定部の他の構成を示すブロック図である。
【図7】加速度の比較をソフトウェア的に実行する比較する構成の動作量判定部を示すブロック図である。
【図8】加速度検出部が検出する無線通信装置の加速度と、無線通信装置が出力する電圧と、A−D変換部が変換するデジタルデータと、動作量判定部が制御部に通知する値との関係を示す図である。
【図9】限界値提供部が内部に格納している加速度限界値の例を示す図である。
【図10】加速度検出部が検出する無線通信装置の加速度と、加速度検出部が出力する電圧と、無線通信装置の静止状態からの差と、加速度の限界値と、動作量判定部による判定結果との関係を示す図である。
【図11】加速度検出部が検出する加速度の値と、無線通信装置が静止していると判定できる範囲との関係を示す図である。
【図12】無線通信装置が実行する通信処理の流れを説明するフローチャートである。
【図13】無線通信装置が実行する通信処理の流れを説明するフローチャートである。
【図14】データ通信中において無線通信装置が実行する通信継続判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】動作量検出部として受信信号検出部を備えている無線通信装置の構成を示す図である。
【図16】受信信号検出部と通信部とが一体化されている構成の無線通信装置を示す図である。
【図17】無線通信装置がテレビに対してどの方向に向いたとき、受信信号検出部がビーコン信号を受信できるかを示す図である。
【図18】テレビが出力するビーコン信号を無線通信装置が受信するときの、各種信号の振幅を表す図である。
【図19】ビーコン信号の振幅に基づき無線通信装置が動作しているか否かを判定する動作量判定部の構成を示すブロック図である。
【図20】受信信号検出部が出力するビーコン信号の振幅と、動作量判定部が出力する通信実行信号との関係を示す図である。
【図21】所定の空間的動きを検出したとき通信を開始する無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図22】振動信号を通信開始通知部に出力する動作量判定部の構成を示すブロック図である。
【図23】ユーザによる通信開始の意図を、無線通信装置が判定するときにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】移動距離算出部を備えている無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図25】移動距離算出部の構成を示すブロック図である。
【図26】加速度検出部が検出した加速度と、積分部が算出した移動距離と、移動距離に相当する電圧との関係を示す図である。
【図27】加速度検出部が検出した無線通信装置の加速度と、積分部が算出した無線通信装置の移動距離と、この距離に相当する電圧との関係を示す図である。
【図28】加速度検出部が検出した無線通信装置の加速度と、この加速度に相当する電圧と、積分器が算出した無線通信装置の移動速度に相当する電圧と、積分器が算出した無線通信装置の移動距離に相当する電圧との関係を示す図である。
【図29】無線通信装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【図30】移動角度算出部を備えている無線通信装置の構成を示す図である。
【図31】従来技術の無線通信装置における、手ぶれの問題を説明する図である。
【符号の説明】
【0244】
1 無線通信装置
2 動作量検出部(動作量検出手段)
3 動作量判定部(動作量判定手段)
4 限界値提供部
5 比較操作部
6 制御部
7 記憶部
8 通信部
9 通信開始受付部(通信開始受付手段)
10 A−D変換部
11 加速度検出部
12 角加速度検出部
13 加速度データ処理部
14 受信信号検出部
16 積分部
15 移動距離算出部(移動距離算出手段)
17 距離限界値提供部
18 移動距離判定部(移動距離判定手段)
19 移動角度算出部(移動角度算出手段)
20 角度限界値提供部
21 移動角度判定部(移動角度判定手段)
51 アナログコンパレータA
52 アナログコンパレータB
53 NOR回路
54 AND回路
55 デジタルコンパレータ
56 AND回路
59 デジタルコンパレータ
60 AND回路
61 NOR回路
161 積分器
162 積分器
101 A−D変換器
181 アナログコンパレータA
182 アナログコンパレータB
183 NOR回路
184 AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を有する無線信号によってデータを通信する通信手段を備えている無線通信装置において、
無線通信装置の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する動作量検出手段と、
上記動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する動作量判定手段とを備えており、
上記通信手段は、
上記動作量判定手段によって、上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、上記データを通信することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
上記動作量検出手段は、上記動作量として、無線通信装置の加速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
上記動作量検出手段は、上記動作量として、無線通信装置における所定軸周りの角加速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
上記動作量検出手段は、上記動作量として、通信相手から送信された無線信号のレベルを検出するものであり、
上記通信手段は、
上記動作量判定手段によって、上記通信相手から送信された無線信号のレベルが、所定の基準レベルより大きいと判定されたとき、上記データを通信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
ユーザによる通信開始指示の入力を受け付ける通信開始受付手段をさらに備え、
上記通信手段は、
上記通信開始受付手段が上記通信開始指示の入力を受け付けたあとにおいて、上記動作量判定手段によって上記動作量が上記基準量よりも小さいと判定されたとき、上記データの通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
上記通信開始受付手段は、
無線通信装置が備えている所定のボタンの押下を受け付けることを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
無線通信装置の所定の空間的動きを検出したときに、通信開始指示の入力を受け付ける通信開始受付手段をさらに備え、
上記通信手段は、
上記通信開始受付手段が上記通信開始指示の入力を受け付けたあとにおいて、上記動作量判定手段によって上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、データの通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
上記通信手段は、
データの通信中に、上記動作量判定手段によって、上記動作量が上記基準量より大きいと判定されたとき、通信を中断することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
上記動作量検出手段が検出した上記加速度に基づいて、無線通信装置の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
上記移動距離算出手段によって算出された、上記通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの移動距離が、所定の基準距離より短いか否かを判定する移動距離判定手段とをさらに備えており、
上記通信手段は、
上記移動距離判定手段によって、上記移動距離が上記基準距離よりも短いと判定されたとき、データの通信を継続することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項10】
上記検出手段が検出した上記角加速度に基づいて、無線通信装置の移動角度を算出する移動角度算出手段と、
上記算出手段によって算出された、上記通信手段が通信を開始した時点から現在の時点までの移動角度が、所定の基準角度より小さいか否かを判定する移動角度判定手段とをさらに備えており、
上記通信手段は、
上記移動角度判定手段によって、上記移動角度が上記基準角度よりも小さいと判定されたとき、データの通信を継続することを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項11】
上記通信手段は、赤外線によって通信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項12】
上記通信手段は、電波によって通信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項13】
携帯電話機であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項14】
テレビを操作するためのリモートコントローラであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項15】
指向性を有する無線信号によってデータを通信する無線通信装置が実行する無線通信方法において、
無線通信装置の空間的な動きを表す所定の動作量を検出する動作量検出ステップと、
上記動作量が、所定の基準量より小さいか否かを判定する動作量判定ステップと、
上記動作量判定ステップにおいて、上記動作量が上記基準量より小さいと判定されたとき、上記データを通信する通信ステップとを含んでいることを特徴とする無線通信方法。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項に記載の無線通信装置を動作させる無線通信プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための無線通信プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の無線通信プログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−124577(P2007−124577A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317558(P2005−317558)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】