説明

無線開閉制御システム、およびそのプログラム

【課題】正規の無線送信装置の場合のみ開閉装置の開閉制御を行うことができる無線開閉制御システムを提供する。
【解決手段】受信した信号より電文を復号化する受信部と、受信した信号の信号強度を検出する強度検出部とを備え、強度検出部があらかじめ定めた信号強度で段階的に変化したことを検出し(S11、S12)、前記受信部12で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信すると所定の動作を行う(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターなどの開閉装置の動作制御に用いる無線開閉制御システム、およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターなどの開閉装置の開閉制御をリモコン送信機を用いて無線指示できるようにしたシステムが多く提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、ガレージ用シャッターでは、利用者が車両に乗車してエンジンをかけると、車両に搭載されている無線送信装置が送信電波を放射し始め、ガレージに設けられた無線受信装置が、無線送信装置からの送信電波を捕捉すると、シャッターを開動作させ、車両がガレージから走り去ると、無線受信装置は、無線送信装置からの送信電波を捕捉できなくなり、シャッター制御部に閉動作を指示してシャッターを閉動作させる。
【0004】
また、車両がガレージに近づいてきて、ガレージに設けられた無線受信装置が、車両に搭載されている無線送信装置からの送信電波を再び捕捉するようになると、シャッター制御部に開動作を指示して、シャッターを開動作させる。
【0005】
車両がガレージ内に収まり、利用者が車両のエンジンを切ると、無線送信装置からの送信電波の放射が終了し、無線受信装置が、無線送信装置からの送信電波を捕捉できなくなり、シャッター制御部に閉動作を指示してシャッターを閉動作させるといったことが考えられている。
【特許文献1】特開2001−152749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記のようなシステム構成では、無線送信装置からの送信電波を捕捉すると、シャッターを開動作させ、無線送信装置からの送信電波を捕捉できなくなるとシャッターを閉動作させるといったように、信号の有り無しのみを確認して開閉制御を行うため、無線送信装置の信号を盗聴したり暗号を解析してコピーすることで他人にシャッターの開閉制御を行われる可能性が高いといった問題がある。
【0007】
さらに、ガレージに設置された無線受信装置が車両から放射する無線電波を受信している間はシャッターを開放状態にすることになるので、受信可能距離が長ければ車両が相当離れるまでシャッターは開放状態のままであったり、帰宅時もかなり離れた地点で既にシャッターが開くと保安上問題であるし、あまりにも受信可能距離が短すぎれば、すぐにシャッターの開閉が行われて車両の出入りに不便である。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、正規の無線送信装置の場合のみ開閉装置の開閉制御を行うことができる無線開閉制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の無線開閉制御システムは、無線開閉制御装置に、無線によって受信した信号より電文を復号化する受信部と、前記受信した信号の信号強度を検出する強度検出部とを備え、強度検出部があらかじめ定めた信号強度まで段階的に変化したことを検出し、前記受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信すると所定の動作を行うものである。これによって、無線受信した信号強度を強度検出部で検
出して、あらかじめ定めた信号強度で段階的に変化したことと、少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信することを識別することで、所定の動作(例えばシャッターの開閉操作)を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無線開閉制御システムは、無線開閉制御装置で、無線受信した信号強度を強度検出部で検出して、あらかじめ定めた信号強度まで段階的に変化したことと、少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信することを識別することで、所定の動作を行うので、無線送信装置の信号を盗聴したり暗号を解析してコピーしても他人にシャッターの開閉制御を行われる可能性が少なく、正規の無線送信装置の場合のみ開閉装置の開閉制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明の無線開閉制御装置は、無線送信装置と無線開閉制御装置で構成して開閉装置の動作制御に用いる無線開閉制御システムにおいて、前記無線開閉制御装置は、前記無線送信装置より無線によって受信した信号より電文を復号化する受信部と、受信した信号の信号強度を検出する強度検出部とを備え、強度検出部があらかじめ定めた信号強度で段階的に変化したことを検出し、前記受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信すると所定の動作を行うように構成したものである。
【0012】
これにより、無線受信した信号強度を強度検出部で検出して、あらかじめ定めた信号強度で段階的に変化したことと、少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したことを識別することで、所定の動作を行うので、開閉装置を確実にかつ早く開閉制御することができる。
【0013】
第2の発明の無線開閉制御システムは、特に、第1の発明における無線開閉制御装置に、さらに無線送信装置へ無線によって送信を行う送信部を備え、前記無線送信装置より受信部であらかじめ定めた電文を受信したときに、強度検出部はあらかじめ定めた第一の信号強度であることを検出すると、信号強度に応じてあらかじめ定めた応答電文を前記送信部により無線送信して、続けて受信した電文の信号強度があらかじめ定めた第二の信号強度まで段階的に変化したことを検出すると所定の動作を行うように構成したものである。
【0014】
これにより、無線送信した相手に対して受信できていることを通知するので、無線送信側での通信確認が容易にできる。
【0015】
第3の発明の無線開閉制御システムは、特に、第1または第2の発明における無線開閉制御装置において、無線送信装置より受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したときに、強度検出部があらかじめ定めた信号強度まで段階的に低下していることを検出すると閉動作を行うように構成したものである。
【0016】
これにより、無線受信した信号強度を前記強度検出部で検出して、あらかじめ定めた信号強度まで段階的に低下したことと、少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したことを識別することで、閉動作を行うので、開閉装置を確実にかつ早く閉制御することができる。
【0017】
第4の発明の無線開閉制御システムは、特に、第1または第2の発明における無線開閉制御装置において、無線送信装置より受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したときに、強度検出部があらかじめ定めた信号強度まで段階的に上昇していることを検出すると開動作を行うように構成したものである。
【0018】
これにより、無線受信した信号強度を前記強度検出部で検出して、あらかじめ定めた信号強度まで段階的に上昇していることと、少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したことを識別することで、開動作を行うので、開閉装置を確実にかつ早く開制御することができる。
【0019】
第5の発明の無線開閉制御システムは、前記無線送信装置は、前記無線開閉制御装置へ無線によって送信を行う車両側送信部と、前記無線開閉制御装置より無線によって受信した信号より電文を復号化する車両側受信部とを備え、前記無線開閉制御装置より前記車両側受信部によりあらかじめ定めた応答電文を受信すると、前記車両側送信部より送信する送信電文を前記応答電文に応じて変更するように構成したものである。
【0020】
これにより、無線送信装置は無線受信した相手が受信できていることを示す応答電文を受信すると送信電文を変更するので、電文の変更内容をあらかじめ無線開閉制御装置と無線送信装置との認証として規定しておくことで、認証によるセキュリティをより向上することができる。
【0021】
第6の発明の無線開閉制御システムは、特に、第5の発明における無線送信装置に、無線開閉制御装置より受信した信号の信号強度を検出する車両側強度検出部を備え、車両側受信部により受信した応答電文があらかじめ定めた応答電文であるときに、前記車両側強度検出部によって検出した信号強度があらかじめ定めた値まで段階的に変化したことを検出すると、前記車両側送信部より送信する送信電文を変更するように構成したものである。
【0022】
これにより、無線送信装置は無線受信した相手が受信できていることを示す応答電文を受信して、検出した信号強度があらかじめ定めた値になると送信電文を変更するので、実際の距離と電文を利用した相互認証によって相手確認を行って通信の安全を確保することができる。
【0023】
第7の発明は、第1〜6の発明において、無線開閉制御装置または無線送信装置の制御の少なくとも一部をコンピュータで実行させるプログラムで、これによって記録媒体や通信回線でのダウンロードによって運用途中でのプログラムの変更や追加を行うことができるので、新たな仕様変更に対応できる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0026】
図1は、本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御システムを用いたガレージ用シャッター制御システムの全体構成図で、無線開閉制御装置1は、車両4に搭載された無線送信装置3からの無線信号を受信して開閉装置であるシャッター2の制御を行うもので、図2が無線開閉制御装置1のブロック構成図、図3が無線送信装置3のブロック構成図である。
【0027】
図2の無線開閉制御装置1において、アンテナ11は無線信号の受信を行い、受信部12は受信アンプや復調回路等で構成してアンテナ11で受信した無線信号より電文の復号化を行う機能を有し、強度検出部13は受信アンプやバンドパスフィルタで構成してアンテナ11で受信した信号の強度検出を行う。その構成は通常的に無線キャリア検出回路に用いる受信電波の電界強度を測定する電界強度検出回路を用いればよい。そして、開閉制
御部14は受信部12で復号化した電文と強度検出部13で検出した信号強度をもとにシャッター2の開閉の制御を行う。
【0028】
また、図3の無線送信装置3は車両4内部に搭載された装置で、車両側アンテナ31は無線信号の送受信を行い、車両側強度検出部33は受信アンプやバンドパスフィルタで構成して車両側アンテナ31で受信した信号の強度検出を行う。
【0029】
車両側電文送出部35は送信電文を符号化して生成して、車両側送信部36は変調回路や送信アンプで構成して車両側電文送出部35からの送信電文を送信信号として車両側送受切替スイッチ37を介して車両側アンテナ31より無線送信する。そして、制御部34は車両側強度検出部33で検出した信号強度をもとに車両側電文送出部35へ送信要求を通知する機能を有する。
【0030】
強度検出部13で検出する信号強度は、受信点における電界強度として求めるため、無線送信装置3から送信する送信電力は一定とする。例えば、周波数が数十MHzの微弱無線を用いるのであれば500マイクロV/m以下の電界強度を守った固定出力の送信を行えばよく、特定小電力無線を用いるのであれば1mWまたは10mW以下の技術基準を満たした固定出力の送信を行えばよく、開閉制御に適した送信電力になるように調整しておけばよい。
【0031】
次に、本実施の形態の無線開閉制御システムの動作について図1から図3の構成図、および図4から図7の無線開閉制御装置1の動作フローチャートにより説明する。
【0032】
利用者が車両4に乗車して無線送信装置3の起動を行うと、制御部34へ起動要求が通知され、制御部34は車両側送受切替スイッチ37を受信側にして車両側強度検出部33より空間上のキャリアを確認してキャリアがない(使用している周波数で他の無線電波が出ていない、例えば−110dBm以下である)ことを確認し、車両側電文送出部35へ送信要求を通知して、車両側送受切替スイッチ37を送信側に切替える。
【0033】
車両側電文送出部35では、送信要求を通知されると送信電文を生成して、車両側送信部36、車両側送受切替スイッチ37を介して車両側アンテナ31より無線開閉制御装置1に対して無線信号を送出する。
【0034】
無線送信装置3の起動は、使用者が直接、無線送信装置3の電源を入れてもよいし、車両4のエンジンをかける、運転席に座る、運転席のシートベルトを締める等の車両4を使用する状態になったときに連動して起動することとしてもよい。送信電文には少なくとも無線送信装置3から無線開閉制御装置1への送信であることを示す送信元/送信先アドレスなどの識別データが入っているものとし、無線送信装置3の起動している間は定期的(例えば3秒間隔)に送信を繰り返す。
【0035】
無線開閉制御装置1は、無線送信装置3からの無線信号をアンテナ11で受信して強度検出部13で信号強度を常に開閉制御部14へ通知している。開閉制御部14は強度検出部13より信号強度があらかじめ定めた以上の値(例えば−80dBm以上)であることを通知されると(S01)、受信部12へ受信信号の復号化を要求する(S02)。
【0036】
受信部12は、電文の復号化を行い開閉制御部14へ通知する。開閉制御部14では、受信部12より通知された電文が無線送信装置3からの信号であることを識別データによって確認し(S03)、シャッター2に対して開けるための制御を行う(S04)。
【0037】
(A)利用者が車両4を運転してガレージより遠ざかっていくと、強度検出部13で検
出する受信信号強度が徐々に低下していく場合について説明する。
【0038】
強度検出部13は信号強度が徐々に低下していることを検出して信号強度を開閉制御部14へ通知し続ける。開閉制御部14では、強度検出部13から通知される信号強度があらかじめ定めた割合で段階的に低下して、あらかじめ定めた信号強度まで低下すると(S11〜S12)、シャッターを閉める制御を行う(S13)。
【0039】
車両がある程度以上遠ざかると、アンテナ11では信号を受信できなくなり、強度検出部13でも信号強度をゼロ(実際はノイズレベル以下になればゼロとすればよい)と検出する(S14)。このとき、開閉制御部14は受信部12での復号化を停止する(S15)。
【0040】
例えば、図8(a)に示すように、信号強度が−80〜−90dBmまで低下し(S11)、さらに−90〜−100dBmまで低下すると(S12)、シャッターを閉める制御を行い(S13)、ノイズレベル以下である−110dBm以下に低下すると(S14)、受信部12では復号化を停止する(S15)。
【0041】
車両4がガレージより離れていく途中でフェージング(無線局の移動や時間経過に伴って、電波の受信レベルが変動することで、送信側から受信側までの間に、反射などによる複数の伝達経路がある場合、これらの距離の差に応じた位相差が生じ、受信レベルの強弱が生じることにより発生する)で信号強度の急激な低下が検出されても、全体的には信号強度は徐々に低下するので、急激な信号強度の低下を無視したり実際の運用によって信号強度の下がり方を学習させることで、車両4がガレージを出きらないうちに信号受信できなくなってシャッターが閉まるようなことはない。
【0042】
なお、出発後のガレージのシャッター閉制御は、徐々に低下した後にシャッターを閉める制御を行うこととしたが、あらかじめ定めた信号強度(例えば−100dBm)以下が決められた時間(たとえば10秒)以上継続するとシャッターを閉める制御を行うこととしてもよく、これも信号強度の下がり方を学習させることで、都合のよい信号強度と継続時間で閉制御するように設定できることとしてもよい。
【0043】
信号強度の下がり方の学習の方法としては、例えば、ガレージから道路を使って車両で遠ざかる場合の信号強度の下がり方は数パターン程度と考えられるので、使用する最初の数回目のみ使用者がシャッターを閉めたい場所まで離れた時点で無線送信装置3よりシャッター閉の要求を使用者が指示することで無線開閉制御装置1へ通知できるようにすればよい。
【0044】
(B)利用者が車両を運転してガレージへ近づいていくと、強度検出部13で検出する受信信号強度が徐々に上昇していく場合について説明する。
【0045】
車両がある程度以内に近づくと、アンテナ11では信号を受信しはじめ、強度検出部13でも信号強度を検出するようになる。
【0046】
強度検出部13は信号強度を開閉制御部14へ通知しており、開閉制御部14は強度検出部13より信号強度があらかじめ定めた以上の値(例えば−110dBm以上)になったことを通知されると(S21)、受信部12へ受信信号の復号化を要求する(S22)。
【0047】
受信部12は、電文の復号化を行い開閉制御部14へ通知する。開閉制御部14では、受信部12より通知された電文が無線送信装置3からの信号であることを確認し(S23
)、さらに強度検出部13から通知される信号強度が段階的に上昇して、あらかじめ定めた信号強度まで上昇すると(S24〜S25)、シャッターを開ける制御を行う(S26)。
【0048】
例えば、図8(b)に示すように、信号強度が−90〜−100dBmまで上昇し(S24)、さらに−80〜−90dBmまで上昇すると(S25)、シャッターを開ける制御を行う(S26)。
【0049】
利用者が車両4をガレージに入れて無線送信装置2の停止を行うと、無線送信装置2からの無線送信が停止する。無線送信装置3の停止は、使用者が直接無線送信装置3の電源を切ってもよいし、車両4のエンジンを切る、運転席から降りる等の車両4を使用しない状態になったときに連動して停止することとしてもよい。
【0050】
無線開閉制御装置1は、無線送信装置3からの無線信号をアンテナ11で受信できなくなり、強度検出部13でも信号強度をゼロ(実際はノイズレベル以下になればゼロとすればよい)と検出する。開閉制御部14では、強度検出部13より信号強度がゼロと検出されたことの通知を受けて(S31)、受信部12では復号化の停止を通知し(S32)、シャッター2を閉める制御を行う(S33)。
【0051】
なお、無線受信した信号強度の値としては、強度検出部13および車両側強度検出部33でRSSI(Received Signal Strength Indicatorの略で受信した信号の電界強度をレベルに置き換えたもの)の出力を行うこととすればよい。また、電界強度は時間的、場所的に変動するため、一定測定期間内にあるレベルを超えている時間率を示す値(時間率電界強度)で表しても良い。
【0052】
以上のように、開閉制御部14は強度検出部13からの信号強度の変化に応じてシャッターの開閉を制御するので、信号強度が段階的に低下した後にシャッターを閉め、信号強度が段階的に上昇した後にシャッターを開けることができ、車両の出発および帰宅時に他の信号と間違えることなく確実に早く開閉制御を行うことができる。
【0053】
なお、本実施の形態において、無線送信装置3は車両側強度検出部33によって空間上のキャリアを確認した後に無線送信を行うこととしたが、電波法を守る範囲であればキャリアを確認せずに無線送信を行ってもよく、この場合は車両側強度検出部33や車両側送受切替スイッチ37の受信にかかわる構成が不要になり回路構成を簡易にすることができる。
【0054】
なお、本実施の形態において、ガレージ内でのシャッターの開制御は、無線送信装置3からの信号を検出しただけで行うこととしたが、無線送信装置3を車両4のECU(Electronic Control Unit または Engine Control
Unitの略で、車両の各センサーからの情報を元に、エンジンの燃料噴射量や噴射時間を決定する部品)やその他電装機器の外部出力に接続してその車両固有の情報(例えばECUやオーディオ機器のシリアル番号、燃料噴射パラメータなど)を読み出して電文に付加して送信することとすれば、他の発信機では同じ電文が生成できないような電文ができるので、他人にシャッターを開けられないようにすることができる。
【0055】
また、本実施の形態において、ガレージ内では電波が急に発生するとシャッターが開くが、外部から近づいてくる時は段階的に電波強度が上昇したときのみシャッターが開き、同様に、ガレージ内では電波が急に切れるとシャッターが閉まり、外部へ遠ざかっていく時は段階的に電波強度が下降したときのみシャッターが閉まるように車両4の位置によって制御を変えているが、図8に示すような信号強度のパターンによって車両4がガレージ
内かガレージより離れているかを記憶しておくことで制御を切り替えることとすればよい。
【0056】
(実施の形態2)
次に、本発明の第二の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0057】
図9は、本発明の第二の実施の形態におけるガレージ用シャッター制御システムに用いる無線開閉制御装置1のブロック構成図で、第一の実施の形態(図2)と異なるのは、電文送出部15、送信部16、送受切替スイッチ17を設けて、無線開閉制御装置1と無線送信装置3が相互に無線送受信を行うことである。
【0058】
送信部16は、変調回路や送信アンプ等で構成して電文を変調して、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線信号を送信する。電文送出部15は、開閉制御部14より無線送信装置3からの受信電文をもとに、送信部16に送信電文を通知する。
【0059】
また、図10は無線送信装置3のブロック構成図で、第一の実施の形態(図3)と異なるのは、車両側受信部32を設けたことで、車両側受信部32は受信アンプや復調回路等で構成して車両側アンテナ31で受信した無線信号より電文の復号化を行う機能を有する。そして、制御部34は車両側受信部32で復号した電文と車両側強度検出部33で検出した信号強度をもとに車両側電文送出部35へ送信電文の指示を行う。
【0060】
次に、本実施の形態の無線開閉制御システムの動作について図11から図13の無線開閉制御装置1の動作フローチャートにより説明する。
【0061】
利用者が車両4に乗車して無線送信装置3の起動を行うと、制御部34へ起動要求が通知され、制御部34は車両側送受切替スイッチ37を受信側にして車両側強度検出部33より空間上のキャリアを確認してキャリアがない(例えば−110dBm以下である)ことを確認し、車両側電文送出部35へ送信要求を通知して、車両側送受切替スイッチ37を送信側に切替える。
【0062】
車両側電文送出部35では、送信要求を通知されると送信電文を生成して、車両側送信部36、車両側送受切替スイッチ37を介して車両側アンテナ31より無線開閉制御装置1に対して無線信号を送出する。
【0063】
送信電文には少なくとも無線送信装置3から無線開閉制御装置1への送信であることを示す識別データが入っているものとし、無線送信装置3の起動している間は定期的(例えば3秒間隔)に送信を繰り返す。
【0064】
無線開閉制御装置1は、無線送信装置3からの無線信号をアンテナ11で受信して強度検出部13で信号強度を常に開閉制御部14へ通知している。開閉制御部14は強度検出部13より信号強度があらかじめ定めた以上の値(例えば−100dBm以上)になったことを通知されると(S01)、受信部12へ受信信号の復号化を要求する(S02)。
【0065】
受信部12は、電文の復号化を行い開閉制御部14へ通知する。開閉制御部14では、受信部12より通知された電文が無線送信装置3からの信号であることを識別データによって確認し(S03)、車両側送受切替スイッチ37を送信側に切替えて、電文送出部15に応答送信を要求する。
【0066】
電文送出部15は応答電文として「ACK1」を送信部16、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線送信装置3に対して無線信号を送出する(S05)。
【0067】
その後、シャッター2に対して開けるための制御を行う(S04)。
【0068】
(A)利用者が車両4を運転してガレージより遠ざかっていくと、強度検出部13で検出する受信信号強度が徐々に低下していく場合について説明する。
【0069】
強度検出部13は信号強度が徐々に低下していることを検出して信号強度を開閉制御部14へ通知し続ける。開閉制御部14では、強度検出部13から通知される信号強度があらかじめ定めた割合で段階的に低下して、あらかじめ定めた信号強度まで低下すると(S11、S12)、随時無線送信装置3に対して応答電文を送信し(S16、S17)、シャッターを閉める制御を行う(S13)。
【0070】
車両がある程度以上遠ざかると、アンテナ11では信号を受信できなくなり、強度検出部13でも信号強度をゼロ(実際はノイズレベル以下になればゼロとすればよい)と検出する(S14)。このとき、開閉制御部14は受信部12での復号化を停止する(S15)。
【0071】
例えば、図8(a)に示すように、信号強度が第一の信号強度である−80〜−90dBmまで低下すると(S11)、電文送出部15は応答電文として「ACK2」を送信部16、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線送信装置3に対して無線信号を送出し(S16)、さらに第二の信号強度である−90〜−100dBmまで低下すると(S12)、電文送出部15は応答電文として「ACK3」を送信部16、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線送信装置3に対して無線信号を送出する(S17)。
【0072】
その後、シャッターを閉める制御を行い(S13)、ノイズレベル以下である−110dBm以下に低下すると(S14)、受信部12では復号化を停止する(S15)。
【0073】
(B)利用者が車両を運転してガレージへ近づいていくと、強度検出部13で検出する受信信号強度が徐々に上昇していく場合について説明する。
【0074】
車両がある程度以内に近づくと、アンテナ11では信号を受信しはじめ、強度検出部13でも信号強度を検出するようになる。
【0075】
強度検出部13は信号強度を開閉制御部14へ通知しており、開閉制御部14は強度検出部13より信号強度があらかじめ定めた以上の値(例えば−110dBm以上)になったことを通知されると(S21)、受信部12へ受信信号の復号化を要求する(S22)。
【0076】
受信部12は、電文の復号化を行い開閉制御部14へ通知する。開閉制御部14では、受信部12より通知された電文が無線送信装置3からの信号であることを確認し(S23)、さらに強度検出部13から通知される信号強度が段階的に上昇して、あらかじめ定めた信号強度まで上昇すると(S24〜S25)、シャッターを開ける制御を行う(S26)。
【0077】
例えば、図8(b)に示すように、信号強度が−90〜−100dBmまで上昇すると(S24)、電文送出部15は応答電文として「ACK4」を送信部16、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線送信装置3に対して無線信号を送出し(S27)、さらに−80〜−90dBmまで上昇すると(S25)、電文送出部15は応答電文として「ACK5」を送信部16、送受切替スイッチ17を介してアンテナ11より無線送
信装置3に対して無線信号を送出し(S28)、シャッターを開ける制御を行う(S26)。
【0078】
利用者が車両4をガレージに入れて無線送信装置2の停止を行う時は、第一の実施の形態と同じで、図7の動作フローチャートに従った制御を行う。
【0079】
以上のように、無線開閉制御装置1は、受信信号強度の変化によって応答電文を変えて無線送信装置3に対して送信して、受信信号強度と受信電文によってシャッターの開閉制御を行うので、無線送信装置3側で無線開閉制御装置1の動作状況を確実に確認することができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、無線送信装置3では無線開閉制御装置1からの応答電文を受信するのみとしたが、例えば、無線送信装置3で、無線開閉制御装置1からの「ACK3」電文を受信すると、制御部34によって音声通知することとすれば、シャッターが閉まったことが確認できるといったように、応答電文の内容をLED、ブザー、音声等で使用者に通知することとすれば、より開閉状況が確認できるので安心することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、無線開閉制御装置1で受信信号強度の変化によって応答電文を変えて送信していることのみを示しているが、無線送信装置3において、車両側受信部32によりあらかじめ定めた応答電文を受信すると、車両側送信部36より送信する送信電文を変更することとすれば、電文の変更内容をあらかじめ無線開閉制御装置1と無線送信装置3との認証として規定しておくことで、認証によるセキュリティをより向上することができる。
【0082】
さらに、無線送信装置3において、車両側受信部32により受信した応答電文があらかじめ定めた応答電文であるときに、車両側強度検出部33によって検出した信号強度があらかじめ定めた値になると、車両側送信部36より送信する送信電文を変更することとすれば、送受信している無線開閉制御装置1と無線送信装置3との電文がそれぞれの受信信号強度によって変更されていくので実際の通信距離の変化を用いた相互認証として用いることができる。
【0083】
また、以上の実施の形態では、無線送信装置3より送信する電文を無線開閉制御装置1で復調・復号化することとしているが、無線送信装置3より電文を暗号生成手段によって暗号化して送信して、無線開閉制御装置1で復調・復号化および暗号解析することとすれば、他のシステムによる盗聴、妨害があっても問題なく動作させることができる。
【0084】
また、以上の実施の形態では、車両4を運転中は無線送信装置3からの送信を行い続けることとしているが、車両4に搭載したカーナビゲーション等に接続されているGPS情報を利用して、ガレージ位置の経緯度から直線距離であらかじめ定めた距離内のみ無線送信を行う(例えば、2km以上離れると無線送信を中止し、2km未満に接近すると再度送信を開始する)こととすると、不要な無線送信を行うことがなく、電波放出の面でも電力消費の面でも環境負荷を減らすことができる。
【0085】
また、以上の実施の形態では、車両4より無線送信を行ってガレージ内の無線開閉制御装置1でガレージのシャッターを制御したが、無線送信装置3を搭載する車両4は原動機の付いた自動車であれば同様の動作フローチャートを用いることができる。
【0086】
さらに、原動機のない自転車等や人間が持ち歩くような場合でも無線送信装置3の電源を独自で用意して、受信信号強度と制御のタイミングを移動速度に合わせて適切な距離で動作するように設計することで、同様の動作フローチャートを用いることができる。
【0087】
さらに、無線開閉制御装置1の制御はガレージのシャッターだけでなく、ドア、窓、門扉、駐車場等のゲートなどの開閉する構造物に対して行うこととしても、同様の効果が得られる。
【0088】
また、本発明は上記各実施の形態を各機器に実現させるプログラムであっても、そのプログラムを記録した記録媒体(ROM内蔵カセットなど)であってもよい。プログラムを用いることで、そのプログラムを記録した記録媒体を交換して用いたり、ネットワークを介して書き換えたりすることで制御を変更することが容易にできる。
【0089】
なお、図4〜12の信号強度は一例であり、この数値以外で実施可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明にかかる無線開閉制御システムおよびそのプログラムは、受信信号強度が段階的に変化したことを検出し確実にかつ早く開閉制御することが可能なので、ガレージ用シャッターの開閉制御だけでなく、ドア、窓、門扉、駐車場等のゲートなどの開閉制御はもとより電気機器、電子機器のオンオフなどの動作制御に適用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態におけるガレージ用シャッター開閉システムの全体構成図
【図2】本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御装置のブロック構成図
【図3】本発明の第一の実施の形態における無線送信装置のブロック構成図
【図4】本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御装置のガレージ(車庫)内でのシャッター開制御の動作フローチャート
【図5】本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御装置の出発時のシャッター閉制御の動作フローチャート
【図6】本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御装置の帰宅時のシャッター開制御の動作フローチャート
【図7】本発明の第一の実施の形態における無線開閉制御装置のガレージ内でのシャッター閉制御の動作フローチャート
【図8】本発明の実施の形態における無線開閉制御装置の無線受信信号強度の時間変化と制御を示す図
【図9】本発明の第二の実施の形態における無線開閉制御装置のブロック構成図
【図10】本発明の第二の実施の形態における無線送信装置のブロック構成図
【図11】本発明の第二の実施の形態における無線開閉制御装置のガレージ(車庫)内でのシャッター開制御の動作フローチャート
【図12】本発明の第二の実施の形態における無線開閉制御装置の出発時のシャッター閉制御の動作フローチャート
【図13】本発明の第二の実施の形態における無線開閉制御装置の帰宅時のシャッター開制御の動作フローチャート
【符号の説明】
【0092】
1 無線開閉制御装置
3 無線送信装置
12 受信部
13 強度検出部
16 送信部
32 車両側受信部
33 車両側強度検出部
36 車両側送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信装置と無線開閉制御装置とで構成して開閉装置の動作制御に用いる無線開閉制御システムにおいて、
前記無線開閉制御装置は、前記無線送信装置より無線によって受信した信号より電文を復号化する受信部と、前記受信した信号の信号強度を検出する強度検出部とを備え、前記受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したときに、前記強度検出部があらかじめ定めた信号強度まで段階的に変化したことを検出すると所定の動作を行う無線開閉制御システム。
【請求項2】
前記無線送信装置へ無線によって送信を行う送信部を備え、前記無線送信装置より前記受信部であらかじめ定めた電文を受信したときに、前記強度検出部はあらかじめ定めた第一の信号強度であることを検出すると、信号強度に応じてあらかじめ定めた応答電文を前記送信部により無線送信して、続けて受信した電文の信号強度があらかじめ定めた第二の信号強度まで段階的に変化したことを検出すると所定の動作を行う請求項1記載の無線開閉制御システム。
【請求項3】
前記無線送信装置より前記受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したときに、前記強度検出部はあらかじめ定めた信号強度まで段階的に低下していることを検出すると閉動作を行う請求項1または2記載の無線開閉制御システム。
【請求項4】
前記無線送信装置より前記受信部で少なくとも1つ以上のあらかじめ定めた電文を受信したときに、前記強度検出部はあらかじめ定めた信号強度まで段階的に上昇していることを検出すると開動作を行う請求項1または2記載の無線開閉制御システム。
【請求項5】
前記無線送信装置は、前記無線開閉制御装置へ無線によって送信を行う車両側送信部と、前記無線開閉制御装置より無線によって受信した信号より電文を復号化する車両側受信部とを備え、前記無線開閉制御装置より前記車両側受信部によりあらかじめ定めた応答電文を受信すると、前記車両側送信部より送信する送信電文を前記応答電文に応じて変更する無線開閉制御システム。
【請求項6】
前記無線送信装置は、前記無線開閉制御装置より受信した信号の信号強度を検出する車両側強度検出部を備え、前記車両側受信部により受信した応答電文があらかじめ定めた応答電文であるときに、前記車両側強度検出部によって検出した信号強度があらかじめ定めた値まで段階的に変化したことを検出すると、前記車両側送信部より送信する送信電文を変更する請求項5記載の無線開閉制御システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の無線開閉制御システムの少なくとも一部をコンピュータで実現するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−60196(P2007−60196A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242102(P2005−242102)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】