説明

無線電話システム及び位置通知方法

【課題】事前に音源を用意せずに、着信側端末の現在位置に対応するリングバックトーンを出力する。
【解決手段】無線電話機を収容する交換機を備える無線電話システムであって、前記無線電話機からリングバックトーンとして再生するための音響信号を生成する再生装置と、前記無線電話機の位置を取得する測位装置と、テキストデータを読み上げて音声データに変換する変換装置と、を備え、前記再生装置は、前記交換機からリングバックトーンを要求されると、着信側の前記無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、前記測位装置は、前記測定された着信側無線電話機の位置を取得し、前記取得した位置を示すテキストデータを生成し、前記変換装置は、前記測位装置によって生成されたテキストデータを音声データに変換し、前記再生装置は、前記変換装置によって変換された音声データを、リングバックトーンとして発信側の前記無線電話機に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電話システムに関し、特に、リングバックトーンを用いて着信側携帯電話機の位置を発信側携帯電話機へ通知する無線電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS付き携帯電話の普及により、第三者からの測位要求に応じて自分の位置を要求者へ伝える位置測位サービスが普及している。一方、音声系のサービスとしては、着信者が選択した音楽をリングバックトーンとして発信者に聴かせるサービス(Music Ring Back Toneサービス)が普及している。
【0003】
また、着信側端末の現在位置に対応するリングバックトーンを出力するリングバックトーン制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−74133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、既存の第三者測位サービスは、特別な操作が必要であり、電話機の操作に慣れていない利用者が利用するのは困難であり、より簡単な操作で実現可能なサービスが求められている。
【0006】
また、特許文献1に記載されたリングバックトーン制御装置は、ユーザ毎にエリア毎にリングバックトーンで再生するための音源の対応表を用意する必要があった。すなわち、再生される音源をユーザが予め作成しておく必要があり、このサービスを受けるためのユーザの準備が煩雑であった。さらに、ユーザ毎にエリア毎音源を記憶するため、音源を格納するために必要な記憶領域の容量が大きかった。
【0007】
本発明は、事前に音源を用意することなく、着信側端末の現在位置に対応するリングバックトーンを出力することができる無線電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、無線電話機を収容する交換機を備える無線電話システムであって、前記無線電話機からリングバックトーンとして再生するための音響信号を生成する再生装置と、前記無線電話機の位置を取得する測位装置と、テキストデータを読み上げて音声データに変換する変換装置と、を備え、前記再生装置は、前記交換機からリングバックトーンを要求されると、着信側の前記無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、前記測位装置は、前記測定された着信側無線電話機の位置を取得し、前記取得した位置を示すテキストデータを生成し、前記変換装置は、前記測位装置によって生成されたテキストデータを音声データに変換し、前記再生装置は、前記変換装置によって変換された音声データを、リングバックトーンとして発信側の前記無線電話機に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態によると、特別な操作を必要とせず、電話をかけて来た相手に、自動的に自分の居場所を教えることができる。さらに、位置と再生する音声(又は、音楽)との対応表を予め作成せずに、自分の居場所を発信者に教えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の履歴データベース内の位置履歴テーブルの構成例の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機の位置を知らせる処理の変形例のシーケンス図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の加入者データベース内の位置情報通知可否フラグテーブルの構成例の説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の加入者データベースへの登録処理のシーケンス図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施の形態の携帯電話システムは、交換機(MSC)102、リングバックトーン再生装置103、位置測定装置104、及び、音声読み上げ装置105を備える。交換機102は、基地局(図示省略)を介して、発信側携帯電話機101及び着信側携帯電話機106に接続されている。
【0013】
交換機102は、発信側携帯電話機101と着信側携帯電話機106とを接続する回線を設定する。
【0014】
リングバックトーン再生装置103は、プロセッサ、メモリ及びインターフェースを備えるコンピューターであり、発信側携帯電話機101が発信し、着信側携帯電話機106が着信応答するまでの間、発信側携帯電話機101から発生する音楽、音声等の音響信号を生成する。このリングバックトーン再生装置103は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによって機能する。
【0015】
位置測定装置104は、プロセッサ、メモリ及びインターフェースを備えるコンピューターであり、携帯電話機101等からの要求に基づいて携帯電話機の位置(経度、緯度)を特定し、特定された位置の情報から地名を特定する。この位置測定装置104は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによって機能する。本実施の形態の測位は、測位に必要な情報を位置測定装置104から携帯電話機101等に送信するアシスト方式を採用するが、携帯電話機が位置測定装置104の助けを受けることなく、単独で位置を測定してもよい。
【0016】
音声読み上げ装置105は、プロセッサ、メモリ及びインターフェースを備えるコンピューターであり、入力されたテキストデータを音声データに変換する。例えば、位置測定装置104から出力された地名のテキストデータを音声データに変換し、リングバックトーン再生装置103に出力する。この音声読み上げ装置105は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによって機能する。
【0017】
図2は、第1の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機106の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【0018】
まず、発信者が、発信側携帯電話機101を用いて着信側携帯電話機106へ電話をかける。すると、発信側携帯電話機101は、MSC102へ発信する(301)。発信301要求には、例えば、ISDNで使用されるNo.7共通線信号方式のユーザ部であるISUPのIAMメッセージ等を用いることができる。
【0019】
その後、MSC102は、着信側携帯電話機106に着信を通知し(303)、リングバックトーン再生装置103に再生要求を転送する(302)。再生要求302には、例えば、ISUPのIAMメッセージ等を用いることができる。
【0020】
リングバックトーン再生装置103は、再生要求302を受信すると、再生要求302に含まれる着信側携帯電話機106の電話番号に基づいて位置測定要求を生成し、生成した位置測定要求を位置測定装置104に送信する(304)。この位置測定要求304によって、着信側携帯電話機106の位置を要求する。位置測定要求304には、例えば、OMA(Open Mobile Alliance)で規定されるMLP(Mobile Location Protocol)のSLIRメッセージ等を用いることができる。
【0021】
位置測定装置104は、位置測定要求304を受信すると、着信側携帯電話機106に端末測位を要求する(305)。端末測位要求305には、例えば、OMAで規定されるSUPL(Secure User Plane Location)のSUPL INITメッセージ等を用いることができる。この測位が、基地局側がアシストするアシスト方式による場合、端末測位要求305には、観測可能なGPS衛星の識別子が含まれる。
【0022】
着信側携帯電話機106は、端末測位要求305を受信すると、その位置を測定し、位置測定結果306を位置測定装置104に送信する。具体的には、着信側携帯電話機106は、位置測定演算によって、緯度、経度及び高さを算出し、算出された値(又は、測位計算に必要な情報)を含む位置測定結果を位置測定装置104に送信する(306)。
【0023】
位置測定装置104は、位置測定結果306を受信すると、受信した緯度、経度を地名(例えば、住所、目標となる建物の名称)に変換する。
【0024】
なお、着信側携帯電話機106が、緯度、経度及び高さを算出せず、位置測定結果306の代わりに測位計算に必要な情報を位置測定装置104に送信してもよい。例えば、位置測定に必要なデータ(例えば、GPSの疑似距離情報、無線LANアクセスポイントの情報、Cell IDなどの基地局情報等)を位置測定装置104に送信することができる。
【0025】
この場合、位置測定装置104は、位置測定装置104内に設けられた測位演算部によって、受信した測位計算に必要な情報に基づいて、測位演算をする(307)。例えば、測位計算に必要な情報としてGPS衛星との疑似距離を受信した場合、GPS測位を行い、Cell IDを受信した場合、基地局の位置に基づく測位を行い、無線LANアクセスポイントの情報を受信した場合、無線LANアクセスポイントの位置に基づく測位を行う。位置測定装置104は、算出された測位結果(緯度、経度)を地名に変換する。
【0026】
その後、位置測定装置104は、着信側携帯電話機106に測位終了を通知する(308)。測位終了通知308は、例えば、OMA(Open Mobile Alliance)で規定されているSUPL(Secure User Plane Location)のSUPL ENDメッセージ等を利用することができる。
【0027】
その後、位置測定装置104は、リングバックトーン再生装置103に測位結果を送信する(309)。この測位結果このメッセージ309は、位置測定要求304に対する応答である。測位結果309には、例えば、OMA(Open Mobile Alliance)で規定されているMLP(Mobile Location Protocol)のSLI Respメッセージ等を用いることができる。
【0028】
その後、リングバックトーン再生装置103は、音声読み上げ装置105に位置測定結果を送信する(310)。位置測定結果310は、測位によって取得した緯度、経度から求められた位置情報(例えば、住所、地名)のテキストデータを含む。
【0029】
音声読み上げ装置105は、受信した位置測定結果310(位置情報データ)の位置情報データを音声合成し、音声データを生成する(311)。音声データのデータフォーマットは、例えば、G.726 ADPCMフォーマット等によってデジタル化された音データである。音声読み上げ装置105は、生成した音声データをリングバックトーン再生装置103に送信する(312)。
【0030】
リングバックトーン再生装置103は、音声データ312を受信すると、MSC102に応答する(313)。応答313には、例えば、ISUPのACMメッセージ等を用いることができる。リングバックトーン再生装置103は、応答313を送信した後、発信側携帯電話機101に、受信した音声データ312を音源ファイルに用いて、リングバックトーンとして着信者の位置を再生する(314)。
【0031】
発信側携帯電話機101は、リングバックトーン再生装置103によって再生されたリングバックトーン314、すなわち、着信側携帯電話機106の位置の情報を音響信号として出力する。
【0032】
その後、着信側携帯電話機106が着信応答すると、MSC102に着信応答を送信する(315)。MSC102は、着信応答315を受信すると、リングバックトーン再生装置103に音声再生停止を要求する(316)。音声再生停止要求316には、例えば、ISUPのRELメッセージなどを用いることができる。
【0033】
図2では、着信側携帯電話機106が電話に応答する場合を例示したが、着信側携帯電話機106が着信応答せず、発信側携帯電話機101が電話を切る場合も基地局側の装置(MSC102、リングバックトーン再生装置103、位置測定装置104、音声読み上げ装置105)は、同様のシーケンスで動作する。具体的には、発信側携帯電話機101は、オンフックすると、MSC102に切断要求を含む応答をする。MSC102は、切断要求を受信すると、リングバックトーン再生装置103に音声再生停止要求316を送信する。
【0034】
また、図2では、位置測定装置104がリングバックトーン再生装置103に測位結果309を送信し、リングバックトーン再生装置103が音声読み上げ装置105に位置測定結果310を送信するシーケンスを例示したが、リングバックトーン再生装置103を経由することなく、位置測定装置104が音声読み上げ装置105に位置測定結果309を送信してもよい。
【0035】
また、図2では、GPSシステムを用いて測位する例を示したが、GPS、無線LAN、携帯電話基地局等の情報のうち一つ又は複数の情報を用いてもよい。例えば、GPSシステムによる測位には時間がかかることから、最初は携帯電話システムのCell IDを用いて着信側携帯電話機106の概略の位置を特定し、その後、GPSシステムを用いて着信側携帯電話機106の詳細な位置を特定する。Cell IDを用いた測位後、GPSシステムを用いた測位完了前は、着信側携帯電話機106の概略の位置がリングバックトーンとして送信される。また、GPSシステムを用いた測位が完了した後は、着信側携帯電話機106の詳細な位置がリングバックトーンとして送信される。
【0036】
また、着信側携帯電話機106は、その位置が変化する無線電話機であれば、PHS移動機、コードレス電話機、無線IP電話機でもよい。また、発信側電話機は、携帯電話機でなくても、リングバックトーンが再生できる固定電話機でもよい。
【0037】
以上説明したように、第1の実施の形態の携帯電話システムによると、着信側携帯電話機106の位置をリングバックトーンを用いて音声にて発信側携帯電話機101に伝えることができる。すなわち、電話をかけて来た相手に、自動的に自分の居場所を教えることができる。
【0038】
また、既存の第三者測位システムのように特別な操作を必要とせず、電話をかけるだけで、着信側携帯電話機の位置を特定することができる。さらに、位置と再生する音声(又は、音楽)との対応表を予め作成せずに、自分の居場所を発信者に教えることができる。
【0039】
<実施形態2>
図3は、本発明の第2の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【0040】
第2の実施の形態の携帯電話システムは、交換機(MSC)102、リングバックトーン再生装置103、位置測定装置104、音声読み上げ装置105、履歴データベース401、及び、加入者データベース402を備える。なお、加入者データベース402に代えて(又は、加入者データベース402と共に)、ホームロケーションレジスタ403を備えてもよい。また、前述した第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、その構成及び機能の詳細の説明は省略する。
【0041】
履歴データベース401は、位置測定装置104が取得した携帯電話機の位置を登録する。履歴データベース401の構成は、図4を用いて説明する。ホームロケーションレジスタ403は、携帯電話機101、106が位置登録をしている基地局(当該基地局が属する位置登録エリア、一斉呼出しエリア)が登録されるデータベースである。
【0042】
図4は、履歴データベース401内の位置履歴テーブルの構成例の説明図である。
【0043】
位置履歴テーブルは、電話番号71A、日時71B及び位置情報71Cを含む。
【0044】
電話番号71Aは、携帯電話機の電話番号を格納する。日時71Bは、携帯電話機が位置を測定した時刻を格納する。位置情報71Cは、位置測定の結果(例えば、緯度、経度、高さ)を格納する。なお、履歴データベース401は、日時が最も新しい位置測定の結果のみを格納してもよい。
【0045】
図5は、第2の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機106の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【0046】
第2の実施の形態では、着信側携帯電話機106が圏外又は電源が切れている場合に着信側携帯電話機106の過去の位置情報(最後に取得した位置情報)を発信側携帯電話機101に伝える。
【0047】
発信301から位置測定要求305までの一連の処理は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0048】
着信側携帯電話機106が圏外又は電源が切れている場合、着信側携帯電話機106は、位置測定要求305に対して応答306をしない。位置測定装置104は、位置測定要求305を送信してから応答306を受信するまでの時間を測定する。このため、位置測定装置104は、所定時間を超えても応答306を受信しない場合、タイムアウトと判定し(504)、着信側携帯電話機106に測位終了通知308を送信する。その後、位置測定装置104は履歴DB401に過去の位置取得を要求する(501)。この位置取得要求501には、着信側携帯電話機106の電話番号が含まれる。
【0049】
履歴DB401は要求された電話番号をキーとしてデータベースを検索し、検索結果の中から日時71Bが最も新しい位置情報71Cを該当携帯電話機の過去の位置であると判定し、位置測定装置104に応答する(502)。履歴DB401は、検索された該当携帯電話機の過去の位置を、日時71Bによってフィルタリングしてもよい。例えば、検索された過去の位置が所定の範囲外(例えば、2時間以上前)に取得された場合、この位置を無効とし、該当携帯電話機の位置は不明であると判定することができる。
【0050】
なお、着信側携帯電話機106が位置測定要求305に対して応答306をした場合の処理は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0051】
また、履歴DB401に代えて、ホームロケーションレジスタ403を用いてもよい。ホームロケーションレジスタ403には、基地局に位置登録をしていない携帯電話機について、最後に位置登録をされた基地局の情報が格納されているので、この基地局の情報から該当携帯電話機の位置を判定することができる。
【0052】
その後、測位結果の代わりに過去の位置を用いて、発信側携帯電話機101にリングバックトーン503を送信する(309〜316)。この処理は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0053】
なお、位置測定装置104は、着信側携帯電話機106から送信された測位結果306が正常であるか、異常(不正)であるかを判定してもよい(505)。この結果、測位結果が不正であると判定された場合(例えば、測位結果が所定の範囲(サービスエリア)外である、測位結果が地球上に存在しない場合等)も、位置測定装置104は、着信側携帯電話機106に測位終了通知308を送信し、履歴DB401から過去の位置を取得する(501、502)。
【0054】
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。
【0055】
図6は、第2の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機106の位置を知らせる処理の変形例のシーケンス図である。
【0056】
図6に示す変形例では、MSC102は、着信側携帯電話機106の状態が圏外であるか、電源未投入の状態であるかを判定し(601)、判定された着信側携帯電話機106の状態を再生要求メッセージに含めてリングバックトーン再生装置103に送信する。
【0057】
すなわち、着信側携帯電話機106の電源が投入されており、かつ、圏内であると判定された場合、着信側携帯電話機106と通信が可能なので、通常の再生要求メッセージ302をリングバックトーン再生装置103に送信する。その後の処理は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2の304〜316)と同じである。
【0058】
一方、着信側携帯電話機106が圏外である、又は、電源が投入されていないと判定された場合、圏外である旨の判定結果を含む再生要求メッセージをリングバックトーン再生装置103に送信する(602)。再生要求メッセージ602にISUPのIAMメッセージ等を用いた場合、例えば、電源未投入の状態であるか否かの情報についてはIAMのオプションパラメータを利用することができる。
【0059】
リングバックトーン再生装置103は、再生要求メッセージ602によって、着信側携帯電話機106の状態を判定し、着信側携帯電話機106の状態が圏外又は電源未投入の状態である場合、位置測定装置104に対して、過去の位置の測定を要求する(603)。
【0060】
位置測定装置104は、過去の位置測定要求(603)を受信すると、履歴DB401に過去の位置の取得を要求し(501)、着信側携帯電話機106の過去の位置を取得する(502)。
【0061】
その後、測位結果の代わりに過去の位置を用いて、発信側携帯電話機101にリングバックトーン503を送信する(309〜316)。この処理は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0062】
以上説明したように、第2の実施の形態の携帯電話システムによると、第1の実施の形態の効果に加え、着信側携帯電話機106が圏外である又は電源が切れている場合でも、着信側携帯電話機106の過去の位置情報を発信側携帯電話機101に伝えることができる。
【0063】
<実施形態3>
図7は、第3の実施の形態の携帯電話システムの構成を示すブロック図である。
【0064】
第2の実施の形態の携帯電話システムは、交換機(MSC)102、リングバックトーン再生装置103、位置測定装置104、音声読み上げ装置105、及び、加入者データベース402を備える。なお、前述した第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、その構成及び機能の詳細の説明は省略する。
【0065】
加入者データベース402は、加入者毎のリングバックトーンの設定を格納する。
【0066】
図8は、加入者データベース402内の位置情報通知可否フラグテーブルの構成例の説明図である。
【0067】
位置情報通知可否フラグテーブルは、発信側電話番号91A、着信側電話番号91B及び位置情報通知可否フラグ91Cを含む。
【0068】
発信側電話番号91Aは、発信側携帯電話機101の電話番号を格納する。着信側電話番号91Bは、着信側携帯電話機106の電話番号を格納する。位置情報通知可否フラグ91Cは、着信側電話番号91Bが発信側電話番号91Aに対して自分の位置を通知するか否かを表すフラグである。
【0069】
すなわち、加入者データベース402は、発信側携帯電話機101と着信側携帯電話機106との組み合わせにおいて、着信側携帯電話機106の位置を発信側携帯電話機101に通知するか否かの情報を格納する。
【0070】
図9は、第3の実施の形態の加入者DB402への登録処理のシーケンス図であり、図10は、第3の実施の形態の、リングバックトーンによって着信側携帯電話機106の位置を知らせる処理のシーケンス図である。
【0071】
第3の実施の形態では、着信側携帯電話機106の所有者が、発信側携帯電話機101によって、自分の位置を知らせるか又は知らせないかを設定することができる。このため、着信側携帯電話機106の所有者は、着信を受ける前に、どの発信者へ位置を通知し、どの発信者へ位置情報を通知しないかを、加入者DB402に登録する。
【0072】
まず、図9を用いて、加入者DB402への登録処理について説明する。
【0073】
着信側携帯電話機106は、リングバックトーン再生装置103に位置情報通知可否設定を要求する(801)。
【0074】
リングバックトーン再生装置103は、位置情報通知可否設定要求801を受信すると、受信した位置情報通知可否設定要求801をデータベースを操作するためのフォーマット(例えば、SQL)へ変換し、変換された情報を含む位置情報通知可否フラグ設定要求を加入者DB402に送信する(802)。
【0075】
加入者DB402は、受信した位置情報通知可否フラグ設定要求802に従って、加入者DB402へデータを登録する。その後、加入者DB402は、位置情報通知可否フラグ設定要求802に対する応答として位置情報通知可否フラグ設定応答をリングバックトーン再生装置103に送信する(803)。
【0076】
リングバックトーン再生装置103は、位置情報通知可否フラグ設定応答803を受信すると、着信側携帯電話機106に位置情報可否設定応答を送信する(804)。
【0077】
具体的には、リングバックトーン再生装置103は、httpプロトコルによる位置情報通知可否設定要求801を受け付けることができるように、Webサーバを備えるとよい。この場合、位置情報通知可否設定要求801には、httpプロトコルを用いることができる。これにより、着信側携帯電話機106の所有者は、リングバックトーン再生装置103から提供されるWeb画面を用いて、どの発信者へ位置情報を通知するか、通知しないかを登録することができる。
【0078】
次に、図10を用いて、着信側携帯電話機106の位置を発信側携帯電話機101に知らせる処理について説明する。
【0079】
まず、発信者が、発信側携帯電話機101を用いて着信側携帯電話機106へ電話をかける。すると、発信側携帯電話機101は、MSC102へ発信する(301)。発信301には、例えば、ISDNで使用されるNo.7共通線信号方式のユーザ部であるISUPのIAMメッセージ等を用いることができる。
【0080】
その後、MSC102は、着信側携帯電話機106に着信を通知し(303)、リングバックトーン再生装置103に再生要求を転送する(302)。再生要求302には、例えば、ISUPのIAMメッセージ等を用いることができる。
【0081】
リングバックトーン再生装置103は、再生要求302を受信すると、再生要求302に含まれている着信側携帯電話機106の電話番号及び発信側携帯電話機101の電話番号に基づいて、位置通知判定要求を生成し、生成した位置通知判定を加入者DB402に要求する(805)。
【0082】
加入者DB402は、位置通知判定要求805を受信すると、着信側携帯電話機106の電話番号及び発信側携帯電話機101の電話番号をキーとしてデータベースを検索し、検索の結果(位置情報通知可否フラグ91C)を含む位置通知可否結果を、リングバックトーン再生装置103に応答する(806)。
【0083】
リングバックトーン再生装置103は、位置通知可否結果806を受信すると、受信した位置通知可否結果806に基づいて、発信側携帯電話機101に着信側携帯電話機106の位置を通知可能か否かを判定する(808)。
【0084】
その結果、発信側携帯電話機101に位置を通知しないと判定された場合、リングバックトーン再生装置103は、MSC102に応答し(313)、位置情報の音声ではなく通常のリングバックトーンを再生する(807)。以後の処理(315〜316)は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0085】
一方、発信側携帯電話機101に位置を通知すると判定された場合、位置測定要求を位置測定装置104に送信し(304)、リングバックトーンとして着信者の位置を再生する(314)。これらの処理(304〜314)は、前述した第1の実施の形態のシーケンス(図2)と同じである。
【0086】
以上説明した第3の実施の形態は、第1の実施の形態の携帯電話システムのみならず、第2の実施の形態の携帯電話システムに適用することもできる。
【0087】
以上説明したように、第3の実施の形態の携帯電話システムによると、第1の実施の形態の効果に加え、着信側携帯電話機106が、自分の位置を伝えたくない発信側携帯電話101へ位置を伝えないように制御することができる。
【符号の説明】
【0088】
101 発信側携帯電話機
102 交換機(MSC)
103 リングバックトーン再生装置
104 位置測定装置
105 音声読み上げ装置
106 着信側携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電話機を収容する交換機を備える無線電話システムであって、
前記無線電話機からリングバックトーンとして再生するための音響信号を生成する再生装置と、
前記無線電話機の位置を取得する測位装置と、
テキストデータを読み上げて音声データに変換する変換装置と、を備え、
前記再生装置は、前記交換機からリングバックトーンを要求されると、着信側の前記無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、
前記測位装置は、前記測定された着信側無線電話機の位置を取得し、前記取得した位置を示すテキストデータを生成し、
前記変換装置は、前記生成されたテキストデータを音声データに変換し、
前記再生装置は、前記変換装置によって変換された音声データを、リングバックトーンとして発信側の前記無線電話機に送信することを特徴とする無線電話システム。
【請求項2】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記測位装置は、前記着信側無線電話機の位置を取得できない場合、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項3】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記測位装置は、前記測定された着信側無線電話機の位置が異常である場合、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項4】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記交換機は、前記着信側無線電話機が通信可能な状態であるか否かを判定し、
前記再生装置は、前記交換機によって前記着信側無線電話機が通信可能であると判定された場合、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項5】
前記無線電話システムは、前記無線電話機の位置を通知するか否かの情報を記録する加入者データ格納部を、さらに備え、
前記再生装置は、
前記交換機からリングバックトーンを要求されると、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知するか否かを示す通知可否情報を、前記加入者データ格納部から取得し、
前記通知可否情報が、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知することを示す場合、前記着信側の無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、
前記通知可否情報が、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知しないことを示す場合、前記着信側の無線電話機の位置を含まない音響データを、リングバックトーンとして前記発信側の無線電話機に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項6】
無線電話機を収容する交換機と、前記無線電話機からリングバックトーンとして再生するための音響信号を生成する再生装置と、前記無線電話機の位置を取得する測位装置と、テキストデータを読み上げて音声データに変換する変換装置と、を備える無線電話システムにおける位置通知方法であって、
前記再生装置は、前記交換機からリングバックトーンを要求されると、着信側の前記無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、
前記測位装置は、前記測定された着信側無線電話機の位置を取得し、前記取得した位置を示すテキストデータを生成し、
前記変換装置は、前記生成されたテキストデータを音声データに変換し、
前記再生装置は、前記変換装置によって変換された音声データを、リングバックトーンとして発信側の前記無線電話機に送信することを特徴とする位置通知方法。
【請求項7】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記方法は、前記着信側無線電話機の位置を取得できない場合、前記測位装置が、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項6に記載の位置通知方法。
【請求項8】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記方法は、前記測定された着信側無線電話機の位置が異常である場合、前記測位装置が、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項6に記載の位置通知方法。
【請求項9】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の過去の位置を記録する履歴格納部を備え、
前記方法は、
前記交換機は、前記着信側無線電話機が通信可能な状態であるか否かを判定し、
前記交換機によって前記着信側無線電話機が通信可能であると判定された場合、前記再生装置が、前記着信側無線電話機の過去の位置を前記履歴格納部から取得し、前記取得した過去の位置を示すテキストデータを生成することを特徴とする請求項6に記載の位置通知方法。
【請求項10】
前記無線電話システムは、さらに、前記無線電話機の位置を通知するか否かの情報を記録する加入者データ格納部を備え、
前記方法は、
前記再生装置が、前記交換機からリングバックトーンを要求されると、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知するか否かを示す通知可否情報を、前記加入者データ格納部から取得し、
前記通知可否情報が、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知することを示す場合、前記再生装置は、前記着信側の無線電話機の位置を前記測位装置に要求し、
前記通知可否情報が、前記着信側の無線電話機の位置を前記発信側の無線電話機に通知しないことを示す場合、前記再生装置は、前記着信側の無線電話機の位置を含まない音響データを、リングバックトーンとして前記発信側の無線電話機に送信することを特徴とする請求項6に記載の位置通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−244299(P2011−244299A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116057(P2010−116057)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】