無線ICタグ、及び無線ICタグの製造方法
【課題】 アルミ等の金属薄膜をシール材料としたパッケージ上に構成要素の追加なしに小型な無線ICインレットを実装して、通信距離の長い無線ICタグを実現する。
【解決手段】 錠剤用PTPパッケージ1は多数の錠剤2が樹脂性のPVC3とアルミシート4とによってパッケージングされている。パッケージ下面のアルミシート4の一部に細長いスペースパターン5を形成してアンテナとなる島状領域6を設ける。島状領域6が形成された部分のアルミシート4の裏面(パッケージ上面)には、小型アンテナ7にICチップ8が搭載された小型無線ICインレット9を配置する。島状領域6によって形成されたアンテナと小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を誘電体として静電結合されるので、無線ICタグ10が構成されている。従って、無線ICタグ10に図示しないリーダライタをかざせば、錠剤用PTPパッケージ1の情報を読み取ることができる。
【解決手段】 錠剤用PTPパッケージ1は多数の錠剤2が樹脂性のPVC3とアルミシート4とによってパッケージングされている。パッケージ下面のアルミシート4の一部に細長いスペースパターン5を形成してアンテナとなる島状領域6を設ける。島状領域6が形成された部分のアルミシート4の裏面(パッケージ上面)には、小型アンテナ7にICチップ8が搭載された小型無線ICインレット9を配置する。島状領域6によって形成されたアンテナと小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を誘電体として静電結合されるので、無線ICタグ10が構成されている。従って、無線ICタグ10に図示しないリーダライタをかざせば、錠剤用PTPパッケージ1の情報を読み取ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップに記録されている情報を無線で送信する無線ICタグ等に関し、特に、金属シートの表面に取り付けられる無線ICタグと、その無線ICタグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品や構造物の情報管理、あるいは物流管理などに無線ICタグが広く利用されている。このような無線ICタグは、情報を記録した小さなICチップとICチップの情報を無線で送信する小さなアンテナとによって構成され、物品に貼付されたり構造物に埋め込まれたりして利用される。使用されるICチップは例えば幅0.4mm×奥行き0.4mm×高さ0.1mm程度の小さなものである。このような無線ICタグにリーダライタをかざせば、非接触でICチップに記録されている情報(つまり、個々の物品や構造物の属性などに関する情報)を読み取ることができる。無線ICタグの製造コストまたは取り付け易さを考えると、できるだけ小さくかつ軽量であることが望ましい。
【0003】
無線ICタグとしては、例えば、ICチップと接続された第1のアンテナ上に、誘電体で構成される第2のスペーサを介して第2のアンテナ(補助アンテナ)を設け、第2のアンテナの共振による増幅作用を利用して電波強度を強くすることにより、金属や水分の多いもので使用しても通信距離を伸ばせるようにしたものがある。また、金属板の表面にスロットアンテナを形成してスロット部分にICチップの端子を金属的に接触させて結合することにより、金属板の表面であっても良好なアンテナ特性を得るようにした技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−358494号公報(段落番号0009〜0018、及び図1〜図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、前記のような物品や構造物に無線ICタグを貼付して情報管理を行うだけではなく、錠剤やカプセルなどの薬剤の情報管理への無線ICタグの利用が望まれている。このような錠剤やカプセルなどの薬剤は、ヒートシール包装の一種であるPTP(Press Through Package)に封入されている。つまり、一面は樹脂シートのPVCなどで全面的に覆われ、樹脂の厚さは0.2〜0.25mmである。他面は、アルミニウムシートで全面が覆われている。そのため、一般的な無線ICタグを実装したのでは包装用のアルミニウムシート(以下、アルミシート)によって通信距離が低下してしまうので実用には供さない。したがって、前記のような金属対応の無線ICタグを使用する必要があるが、そのような金属対応の無線ICタグを使用すると、包装パッケージ全体が大きくなったり、あるいはコストが増大してしまうなどのため、汎用的な薬剤の包装には適さないものになってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、アルミ等の金属薄膜をシール材料としたパッケージ上に構成要素の追加なしに小型な無線ICインレットを実装して、通信距離の長い無線ICタグを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線ICタグは、前記の目的を達成するために創案されたものであり、ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグであって、インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナにICチップを搭載したインレットと、金属箔の表面に形成されたスペースパターンによって実現されるアンテナとを備え、アンテナの表面にインレットを搭載した構成を採っている。このとき、スペースパターンは金属箔の表面に他の領域とは分離された島状領域によってアンテナを形成している。そして、小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/2の長さとなっている。
【0007】
また、スペースパターンは、金属箔の表面にコの字型の溝を形成して囲まれた半島状領域によってアンテナを形成してもよい。この場合は、半島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/4の長さとする。あるいは、スペースパターンは、金属箔の表面に所定の長さと幅を有したスロットを形成してアンテナを実現してもよい。この場合、金属箔の表面に形成されたスロットの長さは、一方向偏波を行うときは電気的にλ/2またはλ/4とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、あらかじめ、インピーダンスマッチング回路が形成された小型アンテナにICチップを搭載したインレットを用意しておく。そして、包装用パッケージを構成するアルミシート上に形成した島状領域又はスロットによって実現されたアンテナにこのインレットを実装して無線ICタグを実現している。これによって、インレット単体でも小型な無線ICタグとして機能すると共に、アルミシート上に形成されたアンテナの作用によって電波の増幅作用を呈するので、金属表面に搭載された無線ICタグであっても強い電波を放射させることができる。したがって、アルミシートのパッケージに搭載された無線ICタグであっても長い通信距離を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
《発明の概要》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)に係る無線ICタグについて好適な例をあげて説明する。本発明に係る無線ICタグは、金属薄膜のシール(例えば、アルミシール)の表面に所望の形状のスペースパターンを形成し、他のアルミシール領域とは分離された島状のアンテナ領域を形成するか、または他のアルミシール領域と部分的に分離された半島状のアンテナ領域を形成する。そして、島状または半島状のアンテナ領域に小型な無線ICインレット(以下、小型無線ICインレットという)を実装し、島状または半島状のアンテナ領域と小型無線ICインレットとで構成された要素を本発明の無線ICタグとする。ここで、小型無線ICインレットは、電波の波長をλとしたとき、例えば、リーダライタとの間で2.45GHz帯のマイクロ波によって交信を行うことができる0.1λ程度の長さのアンテナを有する小型なインレットでよい。小型インレットのアンテナは幅1.5mm、長さ10mmである。なお、スペースパターンによってスロットを形成し、そのスロットを跨いで小型無線ICインレットを搭載しても本発明の無線ICタグを実現することができる。
【0010】
本実施形態では、インピーダンスマッチング回路(つまり、スリット)が形成された小型アンテナと、その小型アンテナに形成されたスリットを跨いで搭載された情報を記録したICチップとによって構成された要素を小型無線ICインレット(特許請求の範囲ではインレットという)と定義し、金属薄膜のシールに島状または半島状に形成されたアンテナ領域に小型無線ICインレットを搭載した構成要素を無線ICタグと定義することにする。
【0011】
このように構成された無線ICタグによれば、アルミシール等の金属薄膜をシール材料とした包装パッケージに対して、新たな構成要素を追加することなしに小型無線ICインレットを実装して所望の無線ICタグを形成することができる。また、本実施形態の無線ICタグは、アルミシール等の包装パッケージ上に形成されたアンテナ領域に対して、ICチップが搭載された小型無線ICインレットを配置しているが、小型無線ICインレットを配置する位置の精度に対する余裕度が大きいため、つまり、小型無線ICインレットを配置する位置は大まかな位置精度でもよいため、高精度な貼付け機を必要とせず包装パッケージの量産性に優れている。
【0012】
以下、図面を用いて、無線ICタグの実施形態の幾つかを詳細に説明するが、述べる実施の形態では、錠剤用PTPパッケージに実装される無線ICタグを例に挙げて説明を行う。
【0013】
《第1実施形態》
図1は、無線ICタグが実装された錠剤用PTPパッケージの外観図であり、(a)はパッケージ上面(PVC面)、(b)はパッケージ下面(アルミ面)である。図1に示すように、錠剤用PTPパッケージ1は、多数の錠剤2が樹脂性のPVC3とアルミシート4とによってパッケージングされている。そして、図1(b)に示すように、パッケージ下面のアルミシート4の一部(例えば、上部)には細長い囲いのスペースパターン5が形成され、アンテナ領域となる島状領域6が形成されている。また、図1(a)に示すように、島状領域6の形成された部分のアルミシート4の裏面(つまり、パッケージ上面)には、小型アンテナ7にICチップ8が搭載された小型無線ICインレット9が配置されている。つまり、小型無線ICインレット9は、図1(a)に示すように、パッケージ上面においてPVC3の表面に配置されている。
【0014】
したがって、スペースパターン5の内部の島状領域6によって形成されるアンテナ領域と小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を誘電体として静電結合され、島状領域6によるアンテナ領域と小型無線ICインレット9とによって無線ICタグ10が構成されている。小型無線インレット9は厚さ0.07mmのアクリル系粘着材により島状領域6に固定される。このように構成された錠剤用PTPパッケージ1の無線ICタグ10に図示しないリーダライタをかざせば、そのリーダライタは、無線ICタグ10から通常の強度の放射電波を受信して、錠剤用PTPパッケージ1に包装されている錠剤の情報を読み取ることができる。
【0015】
このとき、小型無線ICインレット9は、リーダライタとの間で2.45GHz帯のマイクロ波によって交信を行うことができる0.1λ程度の小さなものであっても、島状領域6で構成されるアンテナ領域のアンテナ作用によって電波強度の強い電波が放射されるので、島状領域6の外側のアルミシート4によって電波強度が弱められることはない。すなわち、本実施形態では、包装用のアルミシート4にスペースパターン5を設けることによって金属面による通信距離の低下を防止すると共に、スペースパターン5で分離された島状領域6によって包装用のアルミシート4を逆にアンテナとして利用することにより、通信距離を伸ばしている。
【0016】
図2は、プレスによってスペースパターンを形成して図1に示す錠剤用PTPパッケージを実現する過程を示す工程図である。図2(a)に示すように錠剤2がPVC3とアルミシート4によってパッケージングされた錠剤用PTPパッケージ1には、プレスによるパターニングによって図2(b)に示すようなパターン形成部が設けられる。
【0017】
図2(b)に示すパターン形成部は、同図(c)のように、金型11aと金型11bの間にPVC3とアルミシート4がラミネートされた部分を挿入し、同図(d)に示すように金型11aと金型11bによってプレスを行ってアルミシート4を押し切る。これによって、同図(e)に示すようにアルミシート4が切断されてPVC3に突起が生じる。このようにして金型による押し型を使用して図1に示すようなスペースパターン5を形成する。そして、PVC3の樹脂の凸形状をガイドとして小型無線ICインレット9を実装する。
【0018】
図3は、図2に示すプレスによるスペースパターンの形成状態と小型無線ICインレットの実装状態とを概念的を示す斜視図である。図3(a)に示すように、錠剤用PTPパッケージ1は、スペースパターン5に沿ってアルミシート4が切断されてPVC3が突起状になり、アルミシート4による島状領域6が形成され、この島状領域6がアンテナ領域となる。そして、図3(b)に示すように、島状領域6の部分のPVC3の表面に、ICチップ8の搭載された小型無線ICインレット9が搭載される。つまり、アンテナ領域である島状領域6と小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を介して静電結合されている。なお、図3(c)に示すように、島状領域6はスペースパターン5によって分離独立した領域となっているので独立したアンテナ領域を構成することができる。
【0019】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態では、島状領域または半島状領域を形成するスペースパターンのバリエーションについて説明する。図4は、本発明の第2実施形態において錠剤用PTPパッケージのアルミシートに形成される島状領域または半島状領域のスペースパターンのバリエーションを示す図である。図4(a)の基本形は、λ/2の波長で直線偏波(一方向偏波)を行うように島状領域を形成したスペースパターンの第1のバリエーションである。また、図4(b)の変形1は、λ/4の波長で直線偏波(一方向偏波)を行うようにコの字状に半島領域を形成したスペースパターンの第2のバリエーションである。
【0020】
例えば、図4(b)の変形1の島状パターンを形成した場合、図4(a)の基本形の場合に比べて、1/2の大きさで無線ICタグを形成することが可能となる。このため、更に小型のPTPパッケージにも無線ICタグを実装することが可能となる。よって、無線ICタグの適用範囲を拡大させることができる。
ここで、図4(a)の基本形の場合、小型無線ICインレットの配置形態として、図13(a)に示す(1)〜(4)の4パターンがある。すなわち、(1)島状領域6上に配置するパターン、(2)島状領域6の長辺側のスペースパターン5を跨ぐように配置するパターン、(3)島状領域6の短辺側のスペースパターン5を跨ぐように配置するパターン、(4)島状領域6を跨ぐように配置するパターンである(図13(a)参照)。なお、図4(c)(e)の変形2、4の場合についても、前記した4パターンを適用して小型インレットを配置することが可能である。
【0021】
他方、図4(b)の変形1の場合、小型無線ICインレット9の配置形態として、図13(b)に示す(1)〜(4)の4パターンがある。すなわち、(1)半島状領域100に配置するパターン、(2)半島状領域100の長辺側のスペースパターン6を跨ぐように配置するパターン、(3)半島状領域100の短辺側のスペースパターン6を跨ぐように配置するパターン、(4)半島状領域100を跨ぐように配置するパターンである。なお、図4(c)(e)の変形2、4の場合についても、図4(b)の4パターンを適用して小型無線ICインレット9を配置することが可能である。
このように島状領域6や半島領域100をアンテナに用いる場合、小型無線ICインレット9の配置形態には、それぞれ4パターンがある。このため、小型無線ICインレット9の取り付けの自由度が高くなる。また、図4(a)(b)では、島状領域6や半島領域100の長辺あるいは短辺の方向と平行に小型無線ICインレット9を配置することが可能となるため、無線ICタグの短辺方向の大きさを最小限に抑えることができる利点がある。つまり、小型無線ICインレット9の小型化を実現することができる。
【0022】
さらに、図4(c)の変形2は、図4(a)の変形例であって、λ/2の波長で2方向偏波(X軸,Y軸の二方向偏波)を行うように島状領域を形成したスペースパターンの第3のバリエーションを示したものである。つまり、このバリエーションの形状のアンテナではX軸,Y軸の二方向の偏波面で使用することが可能となる。この図の場合では、図の横方向の島状領域が水平偏波に寄与し、図の縦方向の島状領域が垂直偏波に寄与する。また、図4(d)の変形3は、図4(b)の変形例であって、λ/4の波長で2方向偏波(X軸,Y軸の二方向偏波)を行うように半島状領域を形成したスペースパターンの第4のバリエーションを示したものである。
変形2および変形3の場合、2方向の偏波で無線ICタグの読み取りが可能となる。このため、直線偏波(一偏波)のアンテナを実装したリーダライタと無線ICタグの各偏波面を合わせることなく、リーダライタで無線ICタグの情報を読み取ることができる。直線偏波のアンテナとしては、例えば、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、小型の誘電体アンテナなどがある。これにより、ユーザは、無線ICタグの読取方向を意識せず、読取作業を行えることとなり、作業効率が向上する。
【0023】
図4(e)の変形4は、図4(a)の変形例であって、図4(a)の島状形状の両端を折り曲げて、コの字に形成したスペースパターンの第5のバリエーションを示したものである。
変形4の場合、図4(a)の場合に比べて、無線ICタグを小さくすることが可能となる。また、図4(c)(d)の場合と同様、2方向の偏波で無線ICタグの読み取りが可能となるので、無線ICタグの情報が読み取りやすくなる。さらに、無線ICタグの実装スペースに余裕(実装裕度という)ができ、有用である。
【0024】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態では広い金属箔の領域にスロット状のスペースパターンを形成する場合の幾つかのバリエーションについて説明する。図5は、本発明の第3実施形態において広い金属箔の領域にスロットのスペースパターンを形成するバリエーションを示す図である。図5(a)は、λ/2の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線スロットのスペースパターンを形成した状態を示している。図5(b)は、図5(a)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線スロットのスペースパターンを形成した状態を示している。
【0025】
図5(c)は、図5(a)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をかぎ型スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。このような2方向偏波によって読み取りを行う場合は、読み取りを行う度にリーダライタを無線ICタグの貼付された側へ移動しなくても、リーダライタを固定したまま物品に貼付された無線ICタグの情報を読み取ることができる。図5(d)は、図5(a)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線を半円形スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(e)は、図5(c)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をコの字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。なお、コの字状のスロットのX軸,Y軸の長さを変えることによって2方向偏波の偏波方向をX方向、またはY方向に偏らせるように調整することもできる。図5(f)は、図5(d)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線を半円形スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。
【0026】
図5(g)は、図5(d)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をS字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(h)は、図5(f)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線をS字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(i)は、図5(h)の変形であって、λ/4の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線をかぎ型スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。
【0027】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態では、スペースパターンに対する小型無線ICインレットの配置方法について説明する。スペースパターンによって島状領域が形成されている場合は、図1で示したように、島状領域で形成されたアンテナ領域の長手方向に沿って小型無線ICインレットを配置する。しかし、図5に示すようにスロット状のスペースパターンが形成された場合は、スペースパターンに対して直交するように小型無線ICインレットを配置する。
【0028】
図6は、本発明の第4実施形態において、スロット状に形成されたスペースパターンに対して小型無線ICインレットを直交に配置する状態を示す概念図である。図6(a)において、スロット状に形成されたスペースパターン5のスロット長はλ/4以上とし、スロット幅は0.1mm以上とする。そして、小型無線ICインレットを配置するスペースパターン5の領域は、小型無線ICインレットの配置余裕度を持たせるためにスロット幅を広くする。すなわち、スペースパターン5への小型無線ICインレット9の実装精度を低減させるために、小型無線ICインレット9を実装する位置のスロット幅を広げる。このようにして、スペースパターン5のスロット幅を広いところにおいて、スペースパターン5と直交するように小型無線ICインレット9を配置する(図6(b)参照)。
図6では、スペースパターン5上の中央に小型無線ICインレット9が配置されているが、小型無線ICインレット9の取り付け位置を中央に限定する趣旨ではない。
【0029】
なお、小型無線ICインレット9とスペースパターン5を形成する金属部材との間に絶縁材を挿入し、小型無線ICインレット9とスペースパターン5を形成する金属部材との間隔を広くとるようによっても、図6の場合と同様、小型無線ICインレット9の実装裕度を拡大させることができる。
このような効果は、絶縁材料を0.05mm以上の厚さとすることで有効となる。例えば、小型無線ICインレット9を固定させる粘着材のついた基材の厚さを厚くし、その粘着材の厚さを0.3mmとした場合、小型無線ICインレット9の実装裕度の拡大という効果を容易に得ることが可能となる。
なお、前記した2つの方法、すなわち、図6に示したように小型無線ICインレット9を配置する方法と前記金属部材を挿入する方法を併用して適用しても、小型無線ICインレット9の実装裕度を拡大させる効果が得られることとなる。
【0030】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態では、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置について説明する。図7は、本発明の第5実施形態において、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置を示す図である。
【0031】
図7に示すように、錠剤用PTPパッケージ1のアルミシート4にスペースパターン5aを形成して細長い島状領域6を設ける。この細長い島状領域6がアンテナ領域となり、そのアンテナ領域の長手方向に沿って小型無線ICインレット9aを実装する。これによって、小型無線ICインレット9aは比較的大きな島状領域6(つまり、アンテナ領域)を有する無線ICタグとして作用するので、小型無線ICインレット9aからは電波強度の高い電波を放射することができる。このような構成のスペースパターン5aと小型無線ICインレット9aからなる無線ICタグの放射電波をリーダライタによって読み取ることにより、錠剤用PTPパッケージ1の全体管理を行うことができる。
【0032】
一方、アルミシート4には、各錠剤2の外周に沿ってλ/2長の半円形のスペースパターン5bが形成され、半円周状のスペースパターン5bに対して小型無線ICインレット9bが直交するように配置されている。これによって、例えば、錠剤2が使用されないで錠剤用PTPパッケージ1の中に存在するときは、スペースパターン5bと小型無線ICインレット9bからなる無線ICタグによって、錠剤2が使用されないで存在していることを知ることができる、また、アルミシート4を破って錠剤2を取り出すと、スペースパターン5bの存在する付近の部分のアルミシート4が破壊されるので、スペースパターン5bと小型無線ICインレット9bからなる無線ICタグは電波を放射しなくなる。これによって、錠剤用PTPパッケージ1内の1錠ごとの錠剤を飲んだか否かを確認することができる。
【0033】
《第6実施形態》
本発明の第6実施形態では、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理を行う場合のスペースパターンの別な配置方法について説明する。図8は、本発明の第6実施形態において、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの別な配置を示す図である。図8に示すように、錠剤用PTPパッケージ1のアルミシート4に、例えばλ/2長の直線状のスペースパターン(つまり、スロット)5cを形成し、このスペースパターン5cに対して直交するように小型無線ICインレット9aを実装する。すなわち、図1のようにスペースパターンによって島状領域を設けなくても、図8のように直線状のスペースパターン5cに対して小型無線ICインレット9aを直交するように配置しても本発明の無線ICタグを構成することができる。このとき、スペースパターン5cが小型無線ICインレット9aに搭載されたICチップ8とアルミシート4によって形成されるアンテナとのインピーダンスマッチングを行うので、小型無線ICインレット9aからは指向性がよく電波強度の高い電波を放射することができる。このような構成のスペースパターン5aと小型無線ICインレット9aからなる無線ICタグによって錠剤用PTPパッケージ1の全体管理を行うことができる。
【0034】
一方、アルミシート4には、各錠剤2の外周に沿ってλ/2長の半円形のスペースパターン5bが形成され、半円周状のスペースパターン5bに対して小型無線ICインレット9bが直交するように配置されている。
このように1つの錠剤2につき、1つの小型無線ICタグ9を実装することにより、次のような効果が得られる。すなわち、例えば、患者が、PTPパッケージ1内の錠剤2を利用する場合、リーダライタを用いて、その錠剤2に関する情報(例えば、製造ロットの材料、処理工程、流通ルートなど)を、当該錠剤2に対応付けられている小型無線ICタグ9から読み込んで確認することが可能となる。よって、患者は、PTPパッケージ内の錠剤(薬剤)を安心して服用することができる。
また、例えば、患者が錠剤を服用する前に、その錠剤に対応付けて取り付けられた小型無線ICタグ9のID情報(つまり、個々の小型無線ICタグを識別するためのID)を不図示のコンピュータシステムが受信してそのID情報をデータベース(不図示)上で管理するようにしてもよい。具体的には、例えば、データベース上で、前記ID情報で指定された小型無線ICタグ9が取り付けられた錠剤2を服用した患者に関する情報(例えば、患者の服用日時、服用量、錠剤名など)も併せて管理しておく。このようにすると、過去・現在の患者の服用状況を管理することが可能となる。
【0035】
なお、例えば、吸湿性の高い薬剤を使用する場合、1つのPTPパッケージ1を、PET/PE/AL/PEのような積層構造の防湿袋に入れて包装するケースがあるので、このようなケースでは、防湿袋にも小型無線ICタグを実装しておく。このようにすると、前記した場合と同様、不図示のコンピュータシステムが、PTPパッケージ1のアルミシート4に実装された小型無線ICタグ9のID情報(実装された小型無線ICタグのID)と、当該防湿袋に実装された小型無線ICタグのID情報(実装された小型無線ICタグのID)とを受信し、それらの情報を対応付けて前記データベース上で管理することが可能となる。よって、PTPパッケージ1から薬剤を取り出さなくても、あらかじめ設定されている双方の小型無線ICタグの情報の組み合わせから、当該薬剤を確定することが可能となる。このことは、複数のPTPパッケージ1を1つの防湿袋に入れて包装する場合についてもいえる。
さらに、例えば、薬剤の添付文書(取扱い書など)にも、小型無線ICタグを実装してもよい。このようにすると、例えば、不図示のコンピュータシステムが、添付文書に実装された小型無線ICタグのIC情報も受信して前記データベース上で管理することが可能となり、当該添付文書の文書管理を行うことが可能となる。
本実施形態では、PTPパッケージの場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば、袋状のストリップパッケージや輸血バックなどにも適用してもよい。
【0036】
《第7実施形態》
第7実施形態では、一袋ごとの粉薬や冷凍食品の管理をする場合の形態について説明する。図9は、本発明の第7実施形態において、アルミ箔やアルミ蒸着膜をラミネートした包装用フィルムを用いた樹脂パッケージの熱圧着部分に形成されたスペースパターンを開放端とした場合の食品のレトルトパックや薬剤のストリップパッケージなどの袋状パッケージの表面図である。図9に示すように、袋状パッケージ21は、パッケージ部22に粉薬などが封入され、熱圧着部23によって封止されている。そして、アルミシートの熱圧着部23にスペースパターン24が全幅に亘って形成されている。なお、スペースパターン24の中央部付近には直交して小型無線ICインレット25が配置されている。このようにスペースパターン24を開放端としても熱圧着部23のアルミシートはアンテナとして機能するので、パッケージ部22の内部の薬の管理を行うことができる。
アルミシートは、スペースパターン24を緩やかな蛇行形状としてもアンテナとして機能する。
【0037】
つまり、図9のように構成された袋状パッケージ21を開封する前は、スペースパターン24と小型無線ICインレット25による無線ICタグによって、その袋状パッケージ21に封入されている粉薬などの情報を知ることができる。また、指や鋏などでスペースパターン24を切断するように袋状パッケージ21を開封すると、小型無線ICインレット9から電波を送信する機能がなくなるので、例えば、患者が薬を飲んだか否かを管理することができる。
さらに、ストリップパッケージ(粉薬など入り)などの袋状パッケージ21が複数個連なったものの場合、袋状パッケージ21の使用時に、スペースパターン24に沿って袋状パッケージ21が分離され、小型無線ICタグのアンテナが破壊されることとなる。このため、アンテナの破壊により、例えば、そのアンテナとの通信が不能となった時間を、例えば患者の服用時間としてコンピュータシステムのデータベース上で管理してもよい。これにより例えば、データベース利用者は、患者が何時に袋状パッケージ内の粉薬などを服用したのかを把握することが可能となる。あるいは、データベース上において、破壊されたタグアンテナのID情報と袋状パッケージ内の中身の情報(例えば、粉薬の量など)とをあらかじめ関連付けておくことにより、データベース利用者は、患者の服用量などを把握することも可能となる。
【0038】
図10は、本発明の第7実施形態において、アルミシートのパッケージ部を封じている熱圧着部にスペースパターンを形成した場合の袋状パッケージの表面図である。図10において、アルミシートからなるパッケージ部32に粉薬などが封入され、アルミシートの熱圧着部33によって封止されている。そして、アルミシートのパッケージ部32を封じている熱圧着部33の中央部付近にスペースパターン34が形成されている。さらに、スペースパターン34の中央部分を跨いで小型無線ICインレット35が配置されている。
【0039】
小型無線ICインレット35の裏面には0.05mm乃至1.0mm厚の粘着剤が貼付されているので、小型無線ICインレット35はアルミシートから殆んど浮き上がることなく強固に接着されている。なお、小型無線ICインレット35の上面に樹脂性のシールなどを貼って小型無線ICインレット35をアルミシートに固定してもよい。さらに、小型無線ICインレット35の取り付け部の表面にエンボス加工を施すと、小型無線ICインレット35の装着余裕度を広げることができる。
【0040】
図10のように構成された袋状パッケージ31では、指先や鋏でスペースパターン34を切断するように袋状パッケージ31を開封することとなる。袋状パッケージ31を開封しない状態では、小型無線ICインレット35とスペースパターン34による無線ICタグによって袋状パッケージ31に封入された粉薬の情報(薬品名など)を読み取ることができ、袋状パッケージ31を開封すると小型無線ICインレット35とスペースパターン34が破壊されるので何の情報も読み取ることが出来なくなる。このようにしてアルミパッケージが開封されたか否かを管理することができる。
さらに、ストリップパッケージ(粉薬入りなど)などの袋状パッケージが複数個連なったものの場合、袋状パッケージが使用されるときに、スペースパターン24に沿って袋状パッケージが分離され、無線ICタグのアンテナが破壊されることとなる。このため、図9の場合と同様、データベースを用いることにより、データベース利用者は、患者が何時に薬を服用したのか、あるいは患者がどの程度の分量服用したのかなどを把握することも可能となる。
【0041】
《第8実施形態》
第8実施形態では、スペースパターンによって形成されたスロットの長さやスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置によって通信距離がどのように変化するかについて、実験データに基づいて考察する。図11は、スペースパターンによって形成されたスロットの長さに対する通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。この図は横軸にスロット長(mm)、縦軸に通信距離を示している。
【0042】
図から分かるように、スロット長が50mm(つまり、λ/2)以上のときは通信距離は180mmでほぼ一定である。また、スロット長が50mmから40mmまでの間は通信距離は180mmよりやや伸びているが、スロット長が40mmを下回ると通信距離は急激に低下し、スロット長が25mm(つまり、λ/4)になると通信距離は40mmまで低下する。このことから、本発明の無線ICタグは、スロット長(つまり、スペースパターンの長さ)がλ/2程度であることが最も望ましいが、スロット長はλ/2に対して20%程度ずれていても通信距離の変動は殆んどない。したがって、スロットの長さの余裕度は非常に大きいので、本発明による無線ICタグを通常の生産品質レベルで量産しても充分に高い歩留りを確保することができる。
【0043】
図12は、スペースパターンによって形成されたスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置と通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。この図は横軸に小型無線ICインレットの取付け位置(mm)、縦軸に通信距離を示している。なお、図10の小型無線ICインレットの取付け位置の図を参照すると、図12の横軸において、小型無線ICインレットがスロットの幅方向の中心に取り付けられた位置を0mmとし、小型無線ICインレットの取付け位置が図10のスペースパターンの右方へずれた場合は取付け位置が+に変化し、小型無線ICインレットの取付け位置が図10のスペースパターンの左方へずれた場合は取付け位置が−に変化するものとする。
【0044】
図12に示すように、小型無線ICインレットの取付け位置が0mmのときは(つまり、小型無線ICインレットがスロット幅の中心に取り付けられたときは)、通信距離はほぼ200mmである。そして、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの右方へ行くにしたがって(つまり、取付け位置が+に変化するにしたがって)、通信距離が長くなりその後は短くなって行く。一方、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの左方へ行くにしたがって(つまり、取付け位置が−に変化するにしたがって)、通信距離が長くなりその後は短くなって行く。このとき、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの右方(+)へ行く場合と左方(−)へ行く場合では、ほぼ対称的に通信距離が変化している。このとき、図12から分かるように、小型無線ICインレットの取付け位置が±20mm程度ずれていても通信距離は200mm以上を確保している。このことから、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの中心からかなりずれていても通信距離の低下は生じないので、小型無線ICインレットの取付け位置の余裕度は非常に高いといえる。
【0045】
以上の実験結果から、スロットの長さの余裕度が非常に高いと共に小型無線ICインレットの取付け位置の余裕度も非常に高いので、本発明による無線ICタグを通常の生産品質レベルで量産しても充分に高い歩留りを確保することができる。
【0046】
[島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例]
次に、島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例を図14に基づいて説明する。
図14(a)に示す島状アンテナ、および図14(b)に示す半島状アンテナでは、スペースパターンの1辺がPTPパッケージの端部になっている。このように形成すると、極めて細長い領域に無線ICタグを形成することが可能となる。例えば、図14(a)の島状領域の幅を2.0mm、スペースパターンの幅を0.5mmとした場合、PTPパッケージの上面に2.5mm(2.0mm+0.5mm)の領域が確保されれば、無線ICタグをPTPパッケージに実装することが可能となる。また、基本形の島状パターン(図4(a)参照)および半島状パターン(図4(b)参照)の場合に比べ、図14に示した放射方向dへの放射強度が大きくなる。なお、小型無線ICインレットの取り付け方法は、前記したとおりである(図13参照)。
そして、例えば図14(c)に示すように、このようなPTPパッケージを複数枚箱詰めした場合、単一面(例えば箱上面)からの読み取り特性が向上することとなる。
【0047】
《まとめ》
以上述べたように、従来よりスロットアンテナと呼ばれている構造のアンテナは、スロット形成部のインピーダンスマッチングが取れる特定位置を給電点とする必要があるため、ICチップを実装するための取付け位置の余裕度が極めて低い。ところが、本発明の無線ICタグでは、ICチップを実装する小型アンテナ部にあらかじめインピーダンスマッチング部を形成してこれを小型無線ICインレットとし、この小型無線ICインレット単体でも電波の送信動作を行うように設定されている。そして、ICチップを実装した小型無線ICインレットをスペースパターンで形成された島状領域またはスロットに取り付けて無線ICタグを構成している。このように構成された無線ICタグによれば、小型無線ICインレットの取付け位置が多少ずれていても高い電波強度で良好なアンテナ指向性を実現させることができる。つまり、小型無線ICインレットのスロット取付け位置が変化しても通信距離の変動は少ないので、小型無線ICインレットのスロットに対する取付け位置の余裕度は非常に高い。
【0048】
また、本発明の無線ICタグでは、少なくとも片面の全面が金属フィルムで形成されているパッケージにおいて、この金属フィルム上の所望の位置にスペースパターンを形成している。そして、金属フィルムと貼り合わされる他面のPVC、PE、PP、PCなどの樹脂材料を介して、スペースパターンによって形成されたスロット上に、インピーダンスマッチング回路を有する小型アンテナとICチップとが実装された小型無線ICインレットを取り付けている。このとき、スペースパターンに対して直交するように小型無線ICインレットを実装している。
【0049】
また、ICチップを搭載した小型アンテナの支持体の厚さは0.02mm以上とし、支持体の厚さが0.02mm以下の場合は小型無線ICインレットの下部に厚さを補正するスペーサを介在させている。このときのスペーサ材料としては、PE、PP、PET、PVCなどの樹脂材料、及びこれらの樹脂材料の発泡体を使用している。あるいはゴム系材料及びこれらのゴム系材料の発泡体を使用するか紙などを使用してもよい。
【0050】
また、スペースパターンによって形成されたアンテナ形状は、島状や半島状であってもよいしスロットそのものであってもよい。さらに、アンテナ形状は、直線状、L字形状、S字形状、またはC字形状などのスロットによって実現することもできる。また、小型無線ICインレットを構成する小型アンテナにはインピーダンスマッチング回路(つまり、スリット)が設けられている。さらに、樹脂材の支持体を介して小型無線ICインレットを島状領域またはスロット上に実装している。このとき、小型無線ICインレットの底面に粘着剤が付いているものを使用する。なお、この粘着剤はスペーサとしての機能を果たしている。
【0051】
また、本発明における無線ICタグの製造方法は、次の2つのうちの何れかである。
(1)PTPパッケージ等では、アルミシート及びPVCを一括して金型で押圧してスペースパターンによる島状領域またはスロットを形成する。そして、その島状領域またはスロットに小型無線ICインレットを搭載する。
(2)PTPパッケージのアルミシートにあらかじめスペースパターンを形成し、これのアルミシートを使用しPTPパッケージを形成する。そして、スペースパターンによって形成された島状領域またはスロットに小型無線ICインレットを搭載する。
【0052】
本発明による無線用ICタグは種々の電気機器へ実装して情報管理を行うことができる。例えば、計測器、制御機器、WS等の機器パネル、表示器、あるいはメータパネル面などに、直線、S型、C型などのスペースパターンを形成し、このスペースパターンによって形成された島状領域やスロットに対して、あらかじめ用意された小型無線ICインレットを取り付ける。この場合、小型無線ICインレットと金属パネルとの間には、PE、PET、PPなどの樹脂、またはこれらの樹脂の発泡体を介して取り付ける。
【0053】
また、本発明による無線用ICタグはアルミシールのパッケージなどへ実装することができる。例えば、加工食品や生活用品に多用されているアルミシールパッケージへ本発明の無線用ICタグを実装することができる。このとき、パッケージ端部の熱圧着部に対してスペースパターンによって島状領域またはスロットを形成して小型無線ICインレットを実装する。または、パッケージ内のアルミシール部にあらかじめスペースパターンによって島状領域またはスロットを形成する。そして、この島状領域またはスロット上に小型無線ICインレットを取り付ける。
【0054】
また、本発明による無線用ICタグは、電気回路を形成しているPCB基板のGNDパターンにスペースパターンを形成し、このスペースパターンの部分にICチップと小型アンテナを搭載した小型無線ICインレットを粘着剤や接着材を使用し装着する。あるいは、PCB基板上に小型無線ICインレットのパターンを形成してICチップを実装する。つまり、本発明による無線用ICタグは、小型アンテナ側にインピーダンスマッチング回路を有するため、PCB基板に形成するスペースパターンの設計的な余裕度が大きくなるので、小型無線ICインレットのパターンをラフに(低い精度で)作ることができる。
【0055】
また、本発明による無線用ICタグはガスボンベに実装することができる。つまり、ボンベスリーブ部また金属板のタグ(例えば、鉄板または名版)を取り付け、この取付け部位にスリットパターンを形成して小型無線ICインレットを取り付ける。このとき、取付け強度を増すためにスペースパターンに挿入するような形状の樹脂成形のタグ形状とすることが望ましい。
【0056】
また、本発明による無線用ICタグは、半導体ホトマスクの管理などに利用することができる。すなわち、半導体製造で使用するホトマスク端部にホトマスク材料であるCr膜にスペースパターンを形成する。これにICチップを搭載した小型アンテナからなる小型無線ICインレットを粘着剤や接着材を使用して装着する。なお、スペースパターンはホトマスク製造時に半導体パターンと同時にマスク端部にエッチングによって形成する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線ICタグが実装された錠剤用PTPパッケージの外観図であり、(a)はパッケージ上面(PVC面)、(b)はパッケージ下面(アルミ面)である。
【図2】プレスによってスペースパターンを形成して図1に示す錠剤用PTPパッケージを実現する過程を示す工程図である。
【図3】図2に示すプレスによるスペースパターンの形成状態と小型無線ICインレットの実装状態とを概念的を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態において錠剤用PTPパッケージのアルミシートに形成される島状領域または半島状領域のスペースパターンのバリエーションを示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態において広い金属箔の領域にスロットのスペースパターンを形成するバリエーションを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態において、スロット状に形成されたスペースパターンに対して小型無線ICインレットを直交に配置する状態を示す概念図である。
【図7】本発明の第5実施形態において、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置を示す図である。
【図8】本発明の第6実施形態において、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの別な配置を示す図である。
【図9】本発明の第7実施形態において、樹脂パッケージのアルミシール部分に形成されたスペースパターンを開放端とした場合の袋状パッケージの表面図である。
【図10】本発明の第7実施形態において、アルミシートのパッケージ部を封じている熱圧着部にスペースパターンを形成した場合の袋状パッケージの表面図である。
【図11】スペースパターンによって形成されたスロットの長さに対する通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。
【図12】スペースパターンによって形成されたスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置と通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。
【図13】金属箔に形成したスペースパターンと小型インレットの配置関係を示す図である。
【図14】島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 錠剤用PTPパッケージ
2 錠剤
3 PVC
4 アルミシート
5、5a,5b,5c,24,34 スペースパターン
6 島状領域
7 小型アンテナ
8 ICチップ
9,9a,9b,25,35 小型無線ICインレット
10 無線ICタグ
11a,11b 金型
21,31 袋状パッケージ
22 パッケージ部(樹脂)
23,33 熱圧着部
32 パッケージ部(アルミシート)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップに記録されている情報を無線で送信する無線ICタグ等に関し、特に、金属シートの表面に取り付けられる無線ICタグと、その無線ICタグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品や構造物の情報管理、あるいは物流管理などに無線ICタグが広く利用されている。このような無線ICタグは、情報を記録した小さなICチップとICチップの情報を無線で送信する小さなアンテナとによって構成され、物品に貼付されたり構造物に埋め込まれたりして利用される。使用されるICチップは例えば幅0.4mm×奥行き0.4mm×高さ0.1mm程度の小さなものである。このような無線ICタグにリーダライタをかざせば、非接触でICチップに記録されている情報(つまり、個々の物品や構造物の属性などに関する情報)を読み取ることができる。無線ICタグの製造コストまたは取り付け易さを考えると、できるだけ小さくかつ軽量であることが望ましい。
【0003】
無線ICタグとしては、例えば、ICチップと接続された第1のアンテナ上に、誘電体で構成される第2のスペーサを介して第2のアンテナ(補助アンテナ)を設け、第2のアンテナの共振による増幅作用を利用して電波強度を強くすることにより、金属や水分の多いもので使用しても通信距離を伸ばせるようにしたものがある。また、金属板の表面にスロットアンテナを形成してスロット部分にICチップの端子を金属的に接触させて結合することにより、金属板の表面であっても良好なアンテナ特性を得るようにした技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−358494号公報(段落番号0009〜0018、及び図1〜図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、前記のような物品や構造物に無線ICタグを貼付して情報管理を行うだけではなく、錠剤やカプセルなどの薬剤の情報管理への無線ICタグの利用が望まれている。このような錠剤やカプセルなどの薬剤は、ヒートシール包装の一種であるPTP(Press Through Package)に封入されている。つまり、一面は樹脂シートのPVCなどで全面的に覆われ、樹脂の厚さは0.2〜0.25mmである。他面は、アルミニウムシートで全面が覆われている。そのため、一般的な無線ICタグを実装したのでは包装用のアルミニウムシート(以下、アルミシート)によって通信距離が低下してしまうので実用には供さない。したがって、前記のような金属対応の無線ICタグを使用する必要があるが、そのような金属対応の無線ICタグを使用すると、包装パッケージ全体が大きくなったり、あるいはコストが増大してしまうなどのため、汎用的な薬剤の包装には適さないものになってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、アルミ等の金属薄膜をシール材料としたパッケージ上に構成要素の追加なしに小型な無線ICインレットを実装して、通信距離の長い無線ICタグを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線ICタグは、前記の目的を達成するために創案されたものであり、ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグであって、インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナにICチップを搭載したインレットと、金属箔の表面に形成されたスペースパターンによって実現されるアンテナとを備え、アンテナの表面にインレットを搭載した構成を採っている。このとき、スペースパターンは金属箔の表面に他の領域とは分離された島状領域によってアンテナを形成している。そして、小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/2の長さとなっている。
【0007】
また、スペースパターンは、金属箔の表面にコの字型の溝を形成して囲まれた半島状領域によってアンテナを形成してもよい。この場合は、半島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/4の長さとする。あるいは、スペースパターンは、金属箔の表面に所定の長さと幅を有したスロットを形成してアンテナを実現してもよい。この場合、金属箔の表面に形成されたスロットの長さは、一方向偏波を行うときは電気的にλ/2またはλ/4とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、あらかじめ、インピーダンスマッチング回路が形成された小型アンテナにICチップを搭載したインレットを用意しておく。そして、包装用パッケージを構成するアルミシート上に形成した島状領域又はスロットによって実現されたアンテナにこのインレットを実装して無線ICタグを実現している。これによって、インレット単体でも小型な無線ICタグとして機能すると共に、アルミシート上に形成されたアンテナの作用によって電波の増幅作用を呈するので、金属表面に搭載された無線ICタグであっても強い電波を放射させることができる。したがって、アルミシートのパッケージに搭載された無線ICタグであっても長い通信距離を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
《発明の概要》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)に係る無線ICタグについて好適な例をあげて説明する。本発明に係る無線ICタグは、金属薄膜のシール(例えば、アルミシール)の表面に所望の形状のスペースパターンを形成し、他のアルミシール領域とは分離された島状のアンテナ領域を形成するか、または他のアルミシール領域と部分的に分離された半島状のアンテナ領域を形成する。そして、島状または半島状のアンテナ領域に小型な無線ICインレット(以下、小型無線ICインレットという)を実装し、島状または半島状のアンテナ領域と小型無線ICインレットとで構成された要素を本発明の無線ICタグとする。ここで、小型無線ICインレットは、電波の波長をλとしたとき、例えば、リーダライタとの間で2.45GHz帯のマイクロ波によって交信を行うことができる0.1λ程度の長さのアンテナを有する小型なインレットでよい。小型インレットのアンテナは幅1.5mm、長さ10mmである。なお、スペースパターンによってスロットを形成し、そのスロットを跨いで小型無線ICインレットを搭載しても本発明の無線ICタグを実現することができる。
【0010】
本実施形態では、インピーダンスマッチング回路(つまり、スリット)が形成された小型アンテナと、その小型アンテナに形成されたスリットを跨いで搭載された情報を記録したICチップとによって構成された要素を小型無線ICインレット(特許請求の範囲ではインレットという)と定義し、金属薄膜のシールに島状または半島状に形成されたアンテナ領域に小型無線ICインレットを搭載した構成要素を無線ICタグと定義することにする。
【0011】
このように構成された無線ICタグによれば、アルミシール等の金属薄膜をシール材料とした包装パッケージに対して、新たな構成要素を追加することなしに小型無線ICインレットを実装して所望の無線ICタグを形成することができる。また、本実施形態の無線ICタグは、アルミシール等の包装パッケージ上に形成されたアンテナ領域に対して、ICチップが搭載された小型無線ICインレットを配置しているが、小型無線ICインレットを配置する位置の精度に対する余裕度が大きいため、つまり、小型無線ICインレットを配置する位置は大まかな位置精度でもよいため、高精度な貼付け機を必要とせず包装パッケージの量産性に優れている。
【0012】
以下、図面を用いて、無線ICタグの実施形態の幾つかを詳細に説明するが、述べる実施の形態では、錠剤用PTPパッケージに実装される無線ICタグを例に挙げて説明を行う。
【0013】
《第1実施形態》
図1は、無線ICタグが実装された錠剤用PTPパッケージの外観図であり、(a)はパッケージ上面(PVC面)、(b)はパッケージ下面(アルミ面)である。図1に示すように、錠剤用PTPパッケージ1は、多数の錠剤2が樹脂性のPVC3とアルミシート4とによってパッケージングされている。そして、図1(b)に示すように、パッケージ下面のアルミシート4の一部(例えば、上部)には細長い囲いのスペースパターン5が形成され、アンテナ領域となる島状領域6が形成されている。また、図1(a)に示すように、島状領域6の形成された部分のアルミシート4の裏面(つまり、パッケージ上面)には、小型アンテナ7にICチップ8が搭載された小型無線ICインレット9が配置されている。つまり、小型無線ICインレット9は、図1(a)に示すように、パッケージ上面においてPVC3の表面に配置されている。
【0014】
したがって、スペースパターン5の内部の島状領域6によって形成されるアンテナ領域と小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を誘電体として静電結合され、島状領域6によるアンテナ領域と小型無線ICインレット9とによって無線ICタグ10が構成されている。小型無線インレット9は厚さ0.07mmのアクリル系粘着材により島状領域6に固定される。このように構成された錠剤用PTPパッケージ1の無線ICタグ10に図示しないリーダライタをかざせば、そのリーダライタは、無線ICタグ10から通常の強度の放射電波を受信して、錠剤用PTPパッケージ1に包装されている錠剤の情報を読み取ることができる。
【0015】
このとき、小型無線ICインレット9は、リーダライタとの間で2.45GHz帯のマイクロ波によって交信を行うことができる0.1λ程度の小さなものであっても、島状領域6で構成されるアンテナ領域のアンテナ作用によって電波強度の強い電波が放射されるので、島状領域6の外側のアルミシート4によって電波強度が弱められることはない。すなわち、本実施形態では、包装用のアルミシート4にスペースパターン5を設けることによって金属面による通信距離の低下を防止すると共に、スペースパターン5で分離された島状領域6によって包装用のアルミシート4を逆にアンテナとして利用することにより、通信距離を伸ばしている。
【0016】
図2は、プレスによってスペースパターンを形成して図1に示す錠剤用PTPパッケージを実現する過程を示す工程図である。図2(a)に示すように錠剤2がPVC3とアルミシート4によってパッケージングされた錠剤用PTPパッケージ1には、プレスによるパターニングによって図2(b)に示すようなパターン形成部が設けられる。
【0017】
図2(b)に示すパターン形成部は、同図(c)のように、金型11aと金型11bの間にPVC3とアルミシート4がラミネートされた部分を挿入し、同図(d)に示すように金型11aと金型11bによってプレスを行ってアルミシート4を押し切る。これによって、同図(e)に示すようにアルミシート4が切断されてPVC3に突起が生じる。このようにして金型による押し型を使用して図1に示すようなスペースパターン5を形成する。そして、PVC3の樹脂の凸形状をガイドとして小型無線ICインレット9を実装する。
【0018】
図3は、図2に示すプレスによるスペースパターンの形成状態と小型無線ICインレットの実装状態とを概念的を示す斜視図である。図3(a)に示すように、錠剤用PTPパッケージ1は、スペースパターン5に沿ってアルミシート4が切断されてPVC3が突起状になり、アルミシート4による島状領域6が形成され、この島状領域6がアンテナ領域となる。そして、図3(b)に示すように、島状領域6の部分のPVC3の表面に、ICチップ8の搭載された小型無線ICインレット9が搭載される。つまり、アンテナ領域である島状領域6と小型無線ICインレット9は樹脂性のPVC3を介して静電結合されている。なお、図3(c)に示すように、島状領域6はスペースパターン5によって分離独立した領域となっているので独立したアンテナ領域を構成することができる。
【0019】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態では、島状領域または半島状領域を形成するスペースパターンのバリエーションについて説明する。図4は、本発明の第2実施形態において錠剤用PTPパッケージのアルミシートに形成される島状領域または半島状領域のスペースパターンのバリエーションを示す図である。図4(a)の基本形は、λ/2の波長で直線偏波(一方向偏波)を行うように島状領域を形成したスペースパターンの第1のバリエーションである。また、図4(b)の変形1は、λ/4の波長で直線偏波(一方向偏波)を行うようにコの字状に半島領域を形成したスペースパターンの第2のバリエーションである。
【0020】
例えば、図4(b)の変形1の島状パターンを形成した場合、図4(a)の基本形の場合に比べて、1/2の大きさで無線ICタグを形成することが可能となる。このため、更に小型のPTPパッケージにも無線ICタグを実装することが可能となる。よって、無線ICタグの適用範囲を拡大させることができる。
ここで、図4(a)の基本形の場合、小型無線ICインレットの配置形態として、図13(a)に示す(1)〜(4)の4パターンがある。すなわち、(1)島状領域6上に配置するパターン、(2)島状領域6の長辺側のスペースパターン5を跨ぐように配置するパターン、(3)島状領域6の短辺側のスペースパターン5を跨ぐように配置するパターン、(4)島状領域6を跨ぐように配置するパターンである(図13(a)参照)。なお、図4(c)(e)の変形2、4の場合についても、前記した4パターンを適用して小型インレットを配置することが可能である。
【0021】
他方、図4(b)の変形1の場合、小型無線ICインレット9の配置形態として、図13(b)に示す(1)〜(4)の4パターンがある。すなわち、(1)半島状領域100に配置するパターン、(2)半島状領域100の長辺側のスペースパターン6を跨ぐように配置するパターン、(3)半島状領域100の短辺側のスペースパターン6を跨ぐように配置するパターン、(4)半島状領域100を跨ぐように配置するパターンである。なお、図4(c)(e)の変形2、4の場合についても、図4(b)の4パターンを適用して小型無線ICインレット9を配置することが可能である。
このように島状領域6や半島領域100をアンテナに用いる場合、小型無線ICインレット9の配置形態には、それぞれ4パターンがある。このため、小型無線ICインレット9の取り付けの自由度が高くなる。また、図4(a)(b)では、島状領域6や半島領域100の長辺あるいは短辺の方向と平行に小型無線ICインレット9を配置することが可能となるため、無線ICタグの短辺方向の大きさを最小限に抑えることができる利点がある。つまり、小型無線ICインレット9の小型化を実現することができる。
【0022】
さらに、図4(c)の変形2は、図4(a)の変形例であって、λ/2の波長で2方向偏波(X軸,Y軸の二方向偏波)を行うように島状領域を形成したスペースパターンの第3のバリエーションを示したものである。つまり、このバリエーションの形状のアンテナではX軸,Y軸の二方向の偏波面で使用することが可能となる。この図の場合では、図の横方向の島状領域が水平偏波に寄与し、図の縦方向の島状領域が垂直偏波に寄与する。また、図4(d)の変形3は、図4(b)の変形例であって、λ/4の波長で2方向偏波(X軸,Y軸の二方向偏波)を行うように半島状領域を形成したスペースパターンの第4のバリエーションを示したものである。
変形2および変形3の場合、2方向の偏波で無線ICタグの読み取りが可能となる。このため、直線偏波(一偏波)のアンテナを実装したリーダライタと無線ICタグの各偏波面を合わせることなく、リーダライタで無線ICタグの情報を読み取ることができる。直線偏波のアンテナとしては、例えば、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、小型の誘電体アンテナなどがある。これにより、ユーザは、無線ICタグの読取方向を意識せず、読取作業を行えることとなり、作業効率が向上する。
【0023】
図4(e)の変形4は、図4(a)の変形例であって、図4(a)の島状形状の両端を折り曲げて、コの字に形成したスペースパターンの第5のバリエーションを示したものである。
変形4の場合、図4(a)の場合に比べて、無線ICタグを小さくすることが可能となる。また、図4(c)(d)の場合と同様、2方向の偏波で無線ICタグの読み取りが可能となるので、無線ICタグの情報が読み取りやすくなる。さらに、無線ICタグの実装スペースに余裕(実装裕度という)ができ、有用である。
【0024】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態では広い金属箔の領域にスロット状のスペースパターンを形成する場合の幾つかのバリエーションについて説明する。図5は、本発明の第3実施形態において広い金属箔の領域にスロットのスペースパターンを形成するバリエーションを示す図である。図5(a)は、λ/2の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線スロットのスペースパターンを形成した状態を示している。図5(b)は、図5(a)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線スロットのスペースパターンを形成した状態を示している。
【0025】
図5(c)は、図5(a)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をかぎ型スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。このような2方向偏波によって読み取りを行う場合は、読み取りを行う度にリーダライタを無線ICタグの貼付された側へ移動しなくても、リーダライタを固定したまま物品に貼付された無線ICタグの情報を読み取ることができる。図5(d)は、図5(a)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線を半円形スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(e)は、図5(c)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をコの字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。なお、コの字状のスロットのX軸,Y軸の長さを変えることによって2方向偏波の偏波方向をX方向、またはY方向に偏らせるように調整することもできる。図5(f)は、図5(d)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線を半円形スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。
【0026】
図5(g)は、図5(d)の変形であって、λ/2の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/2の直線をS字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(h)は、図5(f)の変形であって、λ/4の波長で直線偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線をS字状スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。図5(i)は、図5(h)の変形であって、λ/4の波長で2方向偏波を行わせるために、金属箔の領域に長さλ/4の直線をかぎ型スロットにしたスペースパターンを形成した状態を示している。
【0027】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態では、スペースパターンに対する小型無線ICインレットの配置方法について説明する。スペースパターンによって島状領域が形成されている場合は、図1で示したように、島状領域で形成されたアンテナ領域の長手方向に沿って小型無線ICインレットを配置する。しかし、図5に示すようにスロット状のスペースパターンが形成された場合は、スペースパターンに対して直交するように小型無線ICインレットを配置する。
【0028】
図6は、本発明の第4実施形態において、スロット状に形成されたスペースパターンに対して小型無線ICインレットを直交に配置する状態を示す概念図である。図6(a)において、スロット状に形成されたスペースパターン5のスロット長はλ/4以上とし、スロット幅は0.1mm以上とする。そして、小型無線ICインレットを配置するスペースパターン5の領域は、小型無線ICインレットの配置余裕度を持たせるためにスロット幅を広くする。すなわち、スペースパターン5への小型無線ICインレット9の実装精度を低減させるために、小型無線ICインレット9を実装する位置のスロット幅を広げる。このようにして、スペースパターン5のスロット幅を広いところにおいて、スペースパターン5と直交するように小型無線ICインレット9を配置する(図6(b)参照)。
図6では、スペースパターン5上の中央に小型無線ICインレット9が配置されているが、小型無線ICインレット9の取り付け位置を中央に限定する趣旨ではない。
【0029】
なお、小型無線ICインレット9とスペースパターン5を形成する金属部材との間に絶縁材を挿入し、小型無線ICインレット9とスペースパターン5を形成する金属部材との間隔を広くとるようによっても、図6の場合と同様、小型無線ICインレット9の実装裕度を拡大させることができる。
このような効果は、絶縁材料を0.05mm以上の厚さとすることで有効となる。例えば、小型無線ICインレット9を固定させる粘着材のついた基材の厚さを厚くし、その粘着材の厚さを0.3mmとした場合、小型無線ICインレット9の実装裕度の拡大という効果を容易に得ることが可能となる。
なお、前記した2つの方法、すなわち、図6に示したように小型無線ICインレット9を配置する方法と前記金属部材を挿入する方法を併用して適用しても、小型無線ICインレット9の実装裕度を拡大させる効果が得られることとなる。
【0030】
《第5実施形態》
本発明の第5実施形態では、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置について説明する。図7は、本発明の第5実施形態において、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置を示す図である。
【0031】
図7に示すように、錠剤用PTPパッケージ1のアルミシート4にスペースパターン5aを形成して細長い島状領域6を設ける。この細長い島状領域6がアンテナ領域となり、そのアンテナ領域の長手方向に沿って小型無線ICインレット9aを実装する。これによって、小型無線ICインレット9aは比較的大きな島状領域6(つまり、アンテナ領域)を有する無線ICタグとして作用するので、小型無線ICインレット9aからは電波強度の高い電波を放射することができる。このような構成のスペースパターン5aと小型無線ICインレット9aからなる無線ICタグの放射電波をリーダライタによって読み取ることにより、錠剤用PTPパッケージ1の全体管理を行うことができる。
【0032】
一方、アルミシート4には、各錠剤2の外周に沿ってλ/2長の半円形のスペースパターン5bが形成され、半円周状のスペースパターン5bに対して小型無線ICインレット9bが直交するように配置されている。これによって、例えば、錠剤2が使用されないで錠剤用PTPパッケージ1の中に存在するときは、スペースパターン5bと小型無線ICインレット9bからなる無線ICタグによって、錠剤2が使用されないで存在していることを知ることができる、また、アルミシート4を破って錠剤2を取り出すと、スペースパターン5bの存在する付近の部分のアルミシート4が破壊されるので、スペースパターン5bと小型無線ICインレット9bからなる無線ICタグは電波を放射しなくなる。これによって、錠剤用PTPパッケージ1内の1錠ごとの錠剤を飲んだか否かを確認することができる。
【0033】
《第6実施形態》
本発明の第6実施形態では、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理を行う場合のスペースパターンの別な配置方法について説明する。図8は、本発明の第6実施形態において、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの別な配置を示す図である。図8に示すように、錠剤用PTPパッケージ1のアルミシート4に、例えばλ/2長の直線状のスペースパターン(つまり、スロット)5cを形成し、このスペースパターン5cに対して直交するように小型無線ICインレット9aを実装する。すなわち、図1のようにスペースパターンによって島状領域を設けなくても、図8のように直線状のスペースパターン5cに対して小型無線ICインレット9aを直交するように配置しても本発明の無線ICタグを構成することができる。このとき、スペースパターン5cが小型無線ICインレット9aに搭載されたICチップ8とアルミシート4によって形成されるアンテナとのインピーダンスマッチングを行うので、小型無線ICインレット9aからは指向性がよく電波強度の高い電波を放射することができる。このような構成のスペースパターン5aと小型無線ICインレット9aからなる無線ICタグによって錠剤用PTPパッケージ1の全体管理を行うことができる。
【0034】
一方、アルミシート4には、各錠剤2の外周に沿ってλ/2長の半円形のスペースパターン5bが形成され、半円周状のスペースパターン5bに対して小型無線ICインレット9bが直交するように配置されている。
このように1つの錠剤2につき、1つの小型無線ICタグ9を実装することにより、次のような効果が得られる。すなわち、例えば、患者が、PTPパッケージ1内の錠剤2を利用する場合、リーダライタを用いて、その錠剤2に関する情報(例えば、製造ロットの材料、処理工程、流通ルートなど)を、当該錠剤2に対応付けられている小型無線ICタグ9から読み込んで確認することが可能となる。よって、患者は、PTPパッケージ内の錠剤(薬剤)を安心して服用することができる。
また、例えば、患者が錠剤を服用する前に、その錠剤に対応付けて取り付けられた小型無線ICタグ9のID情報(つまり、個々の小型無線ICタグを識別するためのID)を不図示のコンピュータシステムが受信してそのID情報をデータベース(不図示)上で管理するようにしてもよい。具体的には、例えば、データベース上で、前記ID情報で指定された小型無線ICタグ9が取り付けられた錠剤2を服用した患者に関する情報(例えば、患者の服用日時、服用量、錠剤名など)も併せて管理しておく。このようにすると、過去・現在の患者の服用状況を管理することが可能となる。
【0035】
なお、例えば、吸湿性の高い薬剤を使用する場合、1つのPTPパッケージ1を、PET/PE/AL/PEのような積層構造の防湿袋に入れて包装するケースがあるので、このようなケースでは、防湿袋にも小型無線ICタグを実装しておく。このようにすると、前記した場合と同様、不図示のコンピュータシステムが、PTPパッケージ1のアルミシート4に実装された小型無線ICタグ9のID情報(実装された小型無線ICタグのID)と、当該防湿袋に実装された小型無線ICタグのID情報(実装された小型無線ICタグのID)とを受信し、それらの情報を対応付けて前記データベース上で管理することが可能となる。よって、PTPパッケージ1から薬剤を取り出さなくても、あらかじめ設定されている双方の小型無線ICタグの情報の組み合わせから、当該薬剤を確定することが可能となる。このことは、複数のPTPパッケージ1を1つの防湿袋に入れて包装する場合についてもいえる。
さらに、例えば、薬剤の添付文書(取扱い書など)にも、小型無線ICタグを実装してもよい。このようにすると、例えば、不図示のコンピュータシステムが、添付文書に実装された小型無線ICタグのIC情報も受信して前記データベース上で管理することが可能となり、当該添付文書の文書管理を行うことが可能となる。
本実施形態では、PTPパッケージの場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば、袋状のストリップパッケージや輸血バックなどにも適用してもよい。
【0036】
《第7実施形態》
第7実施形態では、一袋ごとの粉薬や冷凍食品の管理をする場合の形態について説明する。図9は、本発明の第7実施形態において、アルミ箔やアルミ蒸着膜をラミネートした包装用フィルムを用いた樹脂パッケージの熱圧着部分に形成されたスペースパターンを開放端とした場合の食品のレトルトパックや薬剤のストリップパッケージなどの袋状パッケージの表面図である。図9に示すように、袋状パッケージ21は、パッケージ部22に粉薬などが封入され、熱圧着部23によって封止されている。そして、アルミシートの熱圧着部23にスペースパターン24が全幅に亘って形成されている。なお、スペースパターン24の中央部付近には直交して小型無線ICインレット25が配置されている。このようにスペースパターン24を開放端としても熱圧着部23のアルミシートはアンテナとして機能するので、パッケージ部22の内部の薬の管理を行うことができる。
アルミシートは、スペースパターン24を緩やかな蛇行形状としてもアンテナとして機能する。
【0037】
つまり、図9のように構成された袋状パッケージ21を開封する前は、スペースパターン24と小型無線ICインレット25による無線ICタグによって、その袋状パッケージ21に封入されている粉薬などの情報を知ることができる。また、指や鋏などでスペースパターン24を切断するように袋状パッケージ21を開封すると、小型無線ICインレット9から電波を送信する機能がなくなるので、例えば、患者が薬を飲んだか否かを管理することができる。
さらに、ストリップパッケージ(粉薬など入り)などの袋状パッケージ21が複数個連なったものの場合、袋状パッケージ21の使用時に、スペースパターン24に沿って袋状パッケージ21が分離され、小型無線ICタグのアンテナが破壊されることとなる。このため、アンテナの破壊により、例えば、そのアンテナとの通信が不能となった時間を、例えば患者の服用時間としてコンピュータシステムのデータベース上で管理してもよい。これにより例えば、データベース利用者は、患者が何時に袋状パッケージ内の粉薬などを服用したのかを把握することが可能となる。あるいは、データベース上において、破壊されたタグアンテナのID情報と袋状パッケージ内の中身の情報(例えば、粉薬の量など)とをあらかじめ関連付けておくことにより、データベース利用者は、患者の服用量などを把握することも可能となる。
【0038】
図10は、本発明の第7実施形態において、アルミシートのパッケージ部を封じている熱圧着部にスペースパターンを形成した場合の袋状パッケージの表面図である。図10において、アルミシートからなるパッケージ部32に粉薬などが封入され、アルミシートの熱圧着部33によって封止されている。そして、アルミシートのパッケージ部32を封じている熱圧着部33の中央部付近にスペースパターン34が形成されている。さらに、スペースパターン34の中央部分を跨いで小型無線ICインレット35が配置されている。
【0039】
小型無線ICインレット35の裏面には0.05mm乃至1.0mm厚の粘着剤が貼付されているので、小型無線ICインレット35はアルミシートから殆んど浮き上がることなく強固に接着されている。なお、小型無線ICインレット35の上面に樹脂性のシールなどを貼って小型無線ICインレット35をアルミシートに固定してもよい。さらに、小型無線ICインレット35の取り付け部の表面にエンボス加工を施すと、小型無線ICインレット35の装着余裕度を広げることができる。
【0040】
図10のように構成された袋状パッケージ31では、指先や鋏でスペースパターン34を切断するように袋状パッケージ31を開封することとなる。袋状パッケージ31を開封しない状態では、小型無線ICインレット35とスペースパターン34による無線ICタグによって袋状パッケージ31に封入された粉薬の情報(薬品名など)を読み取ることができ、袋状パッケージ31を開封すると小型無線ICインレット35とスペースパターン34が破壊されるので何の情報も読み取ることが出来なくなる。このようにしてアルミパッケージが開封されたか否かを管理することができる。
さらに、ストリップパッケージ(粉薬入りなど)などの袋状パッケージが複数個連なったものの場合、袋状パッケージが使用されるときに、スペースパターン24に沿って袋状パッケージが分離され、無線ICタグのアンテナが破壊されることとなる。このため、図9の場合と同様、データベースを用いることにより、データベース利用者は、患者が何時に薬を服用したのか、あるいは患者がどの程度の分量服用したのかなどを把握することも可能となる。
【0041】
《第8実施形態》
第8実施形態では、スペースパターンによって形成されたスロットの長さやスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置によって通信距離がどのように変化するかについて、実験データに基づいて考察する。図11は、スペースパターンによって形成されたスロットの長さに対する通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。この図は横軸にスロット長(mm)、縦軸に通信距離を示している。
【0042】
図から分かるように、スロット長が50mm(つまり、λ/2)以上のときは通信距離は180mmでほぼ一定である。また、スロット長が50mmから40mmまでの間は通信距離は180mmよりやや伸びているが、スロット長が40mmを下回ると通信距離は急激に低下し、スロット長が25mm(つまり、λ/4)になると通信距離は40mmまで低下する。このことから、本発明の無線ICタグは、スロット長(つまり、スペースパターンの長さ)がλ/2程度であることが最も望ましいが、スロット長はλ/2に対して20%程度ずれていても通信距離の変動は殆んどない。したがって、スロットの長さの余裕度は非常に大きいので、本発明による無線ICタグを通常の生産品質レベルで量産しても充分に高い歩留りを確保することができる。
【0043】
図12は、スペースパターンによって形成されたスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置と通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。この図は横軸に小型無線ICインレットの取付け位置(mm)、縦軸に通信距離を示している。なお、図10の小型無線ICインレットの取付け位置の図を参照すると、図12の横軸において、小型無線ICインレットがスロットの幅方向の中心に取り付けられた位置を0mmとし、小型無線ICインレットの取付け位置が図10のスペースパターンの右方へずれた場合は取付け位置が+に変化し、小型無線ICインレットの取付け位置が図10のスペースパターンの左方へずれた場合は取付け位置が−に変化するものとする。
【0044】
図12に示すように、小型無線ICインレットの取付け位置が0mmのときは(つまり、小型無線ICインレットがスロット幅の中心に取り付けられたときは)、通信距離はほぼ200mmである。そして、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの右方へ行くにしたがって(つまり、取付け位置が+に変化するにしたがって)、通信距離が長くなりその後は短くなって行く。一方、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの左方へ行くにしたがって(つまり、取付け位置が−に変化するにしたがって)、通信距離が長くなりその後は短くなって行く。このとき、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの右方(+)へ行く場合と左方(−)へ行く場合では、ほぼ対称的に通信距離が変化している。このとき、図12から分かるように、小型無線ICインレットの取付け位置が±20mm程度ずれていても通信距離は200mm以上を確保している。このことから、小型無線ICインレットの取付け位置がスロットの中心からかなりずれていても通信距離の低下は生じないので、小型無線ICインレットの取付け位置の余裕度は非常に高いといえる。
【0045】
以上の実験結果から、スロットの長さの余裕度が非常に高いと共に小型無線ICインレットの取付け位置の余裕度も非常に高いので、本発明による無線ICタグを通常の生産品質レベルで量産しても充分に高い歩留りを確保することができる。
【0046】
[島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例]
次に、島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例を図14に基づいて説明する。
図14(a)に示す島状アンテナ、および図14(b)に示す半島状アンテナでは、スペースパターンの1辺がPTPパッケージの端部になっている。このように形成すると、極めて細長い領域に無線ICタグを形成することが可能となる。例えば、図14(a)の島状領域の幅を2.0mm、スペースパターンの幅を0.5mmとした場合、PTPパッケージの上面に2.5mm(2.0mm+0.5mm)の領域が確保されれば、無線ICタグをPTPパッケージに実装することが可能となる。また、基本形の島状パターン(図4(a)参照)および半島状パターン(図4(b)参照)の場合に比べ、図14に示した放射方向dへの放射強度が大きくなる。なお、小型無線ICインレットの取り付け方法は、前記したとおりである(図13参照)。
そして、例えば図14(c)に示すように、このようなPTPパッケージを複数枚箱詰めした場合、単一面(例えば箱上面)からの読み取り特性が向上することとなる。
【0047】
《まとめ》
以上述べたように、従来よりスロットアンテナと呼ばれている構造のアンテナは、スロット形成部のインピーダンスマッチングが取れる特定位置を給電点とする必要があるため、ICチップを実装するための取付け位置の余裕度が極めて低い。ところが、本発明の無線ICタグでは、ICチップを実装する小型アンテナ部にあらかじめインピーダンスマッチング部を形成してこれを小型無線ICインレットとし、この小型無線ICインレット単体でも電波の送信動作を行うように設定されている。そして、ICチップを実装した小型無線ICインレットをスペースパターンで形成された島状領域またはスロットに取り付けて無線ICタグを構成している。このように構成された無線ICタグによれば、小型無線ICインレットの取付け位置が多少ずれていても高い電波強度で良好なアンテナ指向性を実現させることができる。つまり、小型無線ICインレットのスロット取付け位置が変化しても通信距離の変動は少ないので、小型無線ICインレットのスロットに対する取付け位置の余裕度は非常に高い。
【0048】
また、本発明の無線ICタグでは、少なくとも片面の全面が金属フィルムで形成されているパッケージにおいて、この金属フィルム上の所望の位置にスペースパターンを形成している。そして、金属フィルムと貼り合わされる他面のPVC、PE、PP、PCなどの樹脂材料を介して、スペースパターンによって形成されたスロット上に、インピーダンスマッチング回路を有する小型アンテナとICチップとが実装された小型無線ICインレットを取り付けている。このとき、スペースパターンに対して直交するように小型無線ICインレットを実装している。
【0049】
また、ICチップを搭載した小型アンテナの支持体の厚さは0.02mm以上とし、支持体の厚さが0.02mm以下の場合は小型無線ICインレットの下部に厚さを補正するスペーサを介在させている。このときのスペーサ材料としては、PE、PP、PET、PVCなどの樹脂材料、及びこれらの樹脂材料の発泡体を使用している。あるいはゴム系材料及びこれらのゴム系材料の発泡体を使用するか紙などを使用してもよい。
【0050】
また、スペースパターンによって形成されたアンテナ形状は、島状や半島状であってもよいしスロットそのものであってもよい。さらに、アンテナ形状は、直線状、L字形状、S字形状、またはC字形状などのスロットによって実現することもできる。また、小型無線ICインレットを構成する小型アンテナにはインピーダンスマッチング回路(つまり、スリット)が設けられている。さらに、樹脂材の支持体を介して小型無線ICインレットを島状領域またはスロット上に実装している。このとき、小型無線ICインレットの底面に粘着剤が付いているものを使用する。なお、この粘着剤はスペーサとしての機能を果たしている。
【0051】
また、本発明における無線ICタグの製造方法は、次の2つのうちの何れかである。
(1)PTPパッケージ等では、アルミシート及びPVCを一括して金型で押圧してスペースパターンによる島状領域またはスロットを形成する。そして、その島状領域またはスロットに小型無線ICインレットを搭載する。
(2)PTPパッケージのアルミシートにあらかじめスペースパターンを形成し、これのアルミシートを使用しPTPパッケージを形成する。そして、スペースパターンによって形成された島状領域またはスロットに小型無線ICインレットを搭載する。
【0052】
本発明による無線用ICタグは種々の電気機器へ実装して情報管理を行うことができる。例えば、計測器、制御機器、WS等の機器パネル、表示器、あるいはメータパネル面などに、直線、S型、C型などのスペースパターンを形成し、このスペースパターンによって形成された島状領域やスロットに対して、あらかじめ用意された小型無線ICインレットを取り付ける。この場合、小型無線ICインレットと金属パネルとの間には、PE、PET、PPなどの樹脂、またはこれらの樹脂の発泡体を介して取り付ける。
【0053】
また、本発明による無線用ICタグはアルミシールのパッケージなどへ実装することができる。例えば、加工食品や生活用品に多用されているアルミシールパッケージへ本発明の無線用ICタグを実装することができる。このとき、パッケージ端部の熱圧着部に対してスペースパターンによって島状領域またはスロットを形成して小型無線ICインレットを実装する。または、パッケージ内のアルミシール部にあらかじめスペースパターンによって島状領域またはスロットを形成する。そして、この島状領域またはスロット上に小型無線ICインレットを取り付ける。
【0054】
また、本発明による無線用ICタグは、電気回路を形成しているPCB基板のGNDパターンにスペースパターンを形成し、このスペースパターンの部分にICチップと小型アンテナを搭載した小型無線ICインレットを粘着剤や接着材を使用し装着する。あるいは、PCB基板上に小型無線ICインレットのパターンを形成してICチップを実装する。つまり、本発明による無線用ICタグは、小型アンテナ側にインピーダンスマッチング回路を有するため、PCB基板に形成するスペースパターンの設計的な余裕度が大きくなるので、小型無線ICインレットのパターンをラフに(低い精度で)作ることができる。
【0055】
また、本発明による無線用ICタグはガスボンベに実装することができる。つまり、ボンベスリーブ部また金属板のタグ(例えば、鉄板または名版)を取り付け、この取付け部位にスリットパターンを形成して小型無線ICインレットを取り付ける。このとき、取付け強度を増すためにスペースパターンに挿入するような形状の樹脂成形のタグ形状とすることが望ましい。
【0056】
また、本発明による無線用ICタグは、半導体ホトマスクの管理などに利用することができる。すなわち、半導体製造で使用するホトマスク端部にホトマスク材料であるCr膜にスペースパターンを形成する。これにICチップを搭載した小型アンテナからなる小型無線ICインレットを粘着剤や接着材を使用して装着する。なお、スペースパターンはホトマスク製造時に半導体パターンと同時にマスク端部にエッチングによって形成する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線ICタグが実装された錠剤用PTPパッケージの外観図であり、(a)はパッケージ上面(PVC面)、(b)はパッケージ下面(アルミ面)である。
【図2】プレスによってスペースパターンを形成して図1に示す錠剤用PTPパッケージを実現する過程を示す工程図である。
【図3】図2に示すプレスによるスペースパターンの形成状態と小型無線ICインレットの実装状態とを概念的を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態において錠剤用PTPパッケージのアルミシートに形成される島状領域または半島状領域のスペースパターンのバリエーションを示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態において広い金属箔の領域にスロットのスペースパターンを形成するバリエーションを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態において、スロット状に形成されたスペースパターンに対して小型無線ICインレットを直交に配置する状態を示す概念図である。
【図7】本発明の第5実施形態において、図1に示す錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの配置を示す図である。
【図8】本発明の第6実施形態において、錠剤用PTPパッケージの全体管理と個々の錠剤ごとの個別管理とを行う場合のスペースパターンの別な配置を示す図である。
【図9】本発明の第7実施形態において、樹脂パッケージのアルミシール部分に形成されたスペースパターンを開放端とした場合の袋状パッケージの表面図である。
【図10】本発明の第7実施形態において、アルミシートのパッケージ部を封じている熱圧着部にスペースパターンを形成した場合の袋状パッケージの表面図である。
【図11】スペースパターンによって形成されたスロットの長さに対する通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。
【図12】スペースパターンによって形成されたスロットへの小型無線ICインレットの取付け位置と通信距離の関係を示す本発明の実験結果に基づく特性図である。
【図13】金属箔に形成したスペースパターンと小型インレットの配置関係を示す図である。
【図14】島状アンテナおよび半島状アンテナの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 錠剤用PTPパッケージ
2 錠剤
3 PVC
4 アルミシート
5、5a,5b,5c,24,34 スペースパターン
6 島状領域
7 小型アンテナ
8 ICチップ
9,9a,9b,25,35 小型無線ICインレット
10 無線ICタグ
11a,11b 金型
21,31 袋状パッケージ
22 パッケージ部(樹脂)
23,33 熱圧着部
32 パッケージ部(アルミシート)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグであって、
インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナに前記ICチップを搭載したインレットと、
金属箔の表面に形成されたスペースパターンによって実現されるアンテナとを備え、
前記アンテナの表面に前記インレットを搭載し、前記小型アンテナと前記アンテナとを静電結合させたことを特徴とする無線ICタグ。
【請求項2】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面に他の領域とは分離された島状領域によって前記アンテナを形成していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項3】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/2の長さを有していることを特徴とする請求項2に記載の無線ICタグ。
【請求項4】
前記島状領域がX軸方向に形成されているときは、前記アンテナは一方向偏波による通信を行い、前記島状領域がX軸、Y軸方向に形成されているときは、前記アンテナが二方向偏波による通信を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項5】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面にコの字型の溝を形成し、前記コの字型の溝によって囲まれた半島状領域によって前記アンテナを形成していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項6】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記半島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/4の長さを有していることを特徴とする請求項5に記載の無線ICタグ。
【請求項7】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面に所定の長さと幅を有したスロットを形成して前記アンテナを実現していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項8】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記金属箔の表面に形成されたスロットの長さは電気的にλ/2またはλ/4であることを特徴とする請求項7に記載の無線ICタグ。
【請求項9】
前記スロットの長さは、前記アンテナが一方向偏波を行うときは電気的にλ/2であり、前記アンテナが二方向偏波を行うときは電気的にλ/4であることを特徴とする請求項8に記載の無線ICタグ。
【請求項10】
前記スロットの形状は、直線形状、L字形状、S字形状、または半円形状のいずれかであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項11】
前記ICチップは、前記スロットの長さ方向の中央部付近において、そのスロットの幅を跨いで搭載されていることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項12】
前記金属箔は物品を包装するパッケージとして使用されるアルミシートであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項13】
前記パッケージは前記アルミシートと樹脂シートとを貼り合わせて構成され、前記インレットは、前記樹脂シートを介して前記島状領域、前記半島状領域または前記スロットの上部に搭載されていることを特徴とする請求項12に記載の無線ICタグ。
【請求項14】
前記インレットは、接着剤または粘着材によって前記樹脂シートの表面に固着されていることを特徴とする請求項13に記載の無線ICタグ。
【請求項15】
前記インレットを構成する基材が所定の厚さより薄いときは、そのインレットの裏面に樹脂性の基板を介在させることを特徴とする請求項14に記載の無線ICタグ。
【請求項16】
前記樹脂性の基板は、PVC、PET、PP、PEのいずれかの材料、またはこれらの発泡体の材料によって形成されていることを特徴とする請求項15に記載の無線ICタグ。
【請求項17】
前記インレットを構成する基材と前記樹脂性の基板とを合わせた厚さは0.05mm〜0.20mmであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の無線ICタグ。
【請求項18】
前記小型アンテナは、その幅が1.5mmで長さが10mm以下で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項19】
少なくとも一面がアルミシートで構成されたパッケージに対して、ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグを実装する無線ICタグの製造方法であって、
インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナに前記ICチップを搭載して小型インレットを製造する工程と、
前記アルミシートの表面にスペースパターンを形成し、そのアルミシートにアンテナを設ける工程と、
前記アンテナの表面に前記インレットを搭載する工程と、
を含むことを特徴とする無線ICタグの製造方法。
【請求項1】
ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグであって、
インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナに前記ICチップを搭載したインレットと、
金属箔の表面に形成されたスペースパターンによって実現されるアンテナとを備え、
前記アンテナの表面に前記インレットを搭載し、前記小型アンテナと前記アンテナとを静電結合させたことを特徴とする無線ICタグ。
【請求項2】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面に他の領域とは分離された島状領域によって前記アンテナを形成していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項3】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/2の長さを有していることを特徴とする請求項2に記載の無線ICタグ。
【請求項4】
前記島状領域がX軸方向に形成されているときは、前記アンテナは一方向偏波による通信を行い、前記島状領域がX軸、Y軸方向に形成されているときは、前記アンテナが二方向偏波による通信を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項5】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面にコの字型の溝を形成し、前記コの字型の溝によって囲まれた半島状領域によって前記アンテナを形成していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項6】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記半島状領域によって形成されたアンテナは電気的にλ/4の長さを有していることを特徴とする請求項5に記載の無線ICタグ。
【請求項7】
前記スペースパターンは、前記金属箔の表面に所定の長さと幅を有したスロットを形成して前記アンテナを実現していることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
【請求項8】
前記小型アンテナから放射される電波の波長をλとしたとき、前記金属箔の表面に形成されたスロットの長さは電気的にλ/2またはλ/4であることを特徴とする請求項7に記載の無線ICタグ。
【請求項9】
前記スロットの長さは、前記アンテナが一方向偏波を行うときは電気的にλ/2であり、前記アンテナが二方向偏波を行うときは電気的にλ/4であることを特徴とする請求項8に記載の無線ICタグ。
【請求項10】
前記スロットの形状は、直線形状、L字形状、S字形状、または半円形状のいずれかであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項11】
前記ICチップは、前記スロットの長さ方向の中央部付近において、そのスロットの幅を跨いで搭載されていることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項12】
前記金属箔は物品を包装するパッケージとして使用されるアルミシートであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項13】
前記パッケージは前記アルミシートと樹脂シートとを貼り合わせて構成され、前記インレットは、前記樹脂シートを介して前記島状領域、前記半島状領域または前記スロットの上部に搭載されていることを特徴とする請求項12に記載の無線ICタグ。
【請求項14】
前記インレットは、接着剤または粘着材によって前記樹脂シートの表面に固着されていることを特徴とする請求項13に記載の無線ICタグ。
【請求項15】
前記インレットを構成する基材が所定の厚さより薄いときは、そのインレットの裏面に樹脂性の基板を介在させることを特徴とする請求項14に記載の無線ICタグ。
【請求項16】
前記樹脂性の基板は、PVC、PET、PP、PEのいずれかの材料、またはこれらの発泡体の材料によって形成されていることを特徴とする請求項15に記載の無線ICタグ。
【請求項17】
前記インレットを構成する基材と前記樹脂性の基板とを合わせた厚さは0.05mm〜0.20mmであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の無線ICタグ。
【請求項18】
前記小型アンテナは、その幅が1.5mmで長さが10mm以下で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の無線ICタグ。
【請求項19】
少なくとも一面がアルミシートで構成されたパッケージに対して、ICチップに記録された情報を無線で送信する無線ICタグを実装する無線ICタグの製造方法であって、
インピーダンスマッチング用のスリットを形成した小型アンテナに前記ICチップを搭載して小型インレットを製造する工程と、
前記アルミシートの表面にスペースパターンを形成し、そのアルミシートにアンテナを設ける工程と、
前記アンテナの表面に前記インレットを搭載する工程と、
を含むことを特徴とする無線ICタグの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−60407(P2007−60407A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244613(P2005−244613)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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