説明

焦点誤差検出装置及びこれを用いたホログラフィック記録再生装置

【課題】光軸方向の位置制御為の焦点誤差を検出する装置を提供する。
【解決手段】検出装置においては、レーザ・ビームが第1及び第2のビーム成分に分離され、1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性が与えられる。この第1及び第2のビーム成分は、重畳され、対物レンズによって光情報記録媒体に向けられる。第1のレーザ・ビームは、レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有する情報記録媒体のピンホールを基準としてビーム源側に定められた第1の集光点に集束され、第2のレーザ・ビームがピンホールを基準としてビーム源側とは反対側の第2の集光点に集束される。第1及び第2のビーム成分から焦点誤差信号が発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焦点誤差を検出する焦点誤差検出装置及び焦点誤差検出装置を備えたホログラフィック記録再生装置に係り、特に、ホログラフィにより情報を記録再生する光ストレージ装置の焦点誤差検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、レーザの短波長化並びに対物レンズの高開口数化に伴い、CDからHD DVDへと大容量化を遂げている。このような従来の光ディスクでは、波長405nm帯の青紫色半導体レーザを用いるHD DVD、Blu−rayでほぼ方式限界に近付くといわれている。光ディスクにおいて、飛躍的な大容量化を実現するには、新機軸の記録再生方式の確立が必要とされている。このような状況の中、次世代高密度光ストレージとして、体積記録、多層記録、近接場記録など様々な方式が検討されている。このような様々な方式中において、ホログラフィを用いた体積記録型光ストレージが次世代高密度光ストレージの有望候補とされている。近年、高感度なホログラム媒体の開発並びに大容量化を裏付ける実験などが相次ぎ、実用化を視野に入れた研究開発が盛んに進められている。
【0003】
ホログラフィを用いた体積記録型光ストレージの原理は、情報光波と参照光波を光情報記録媒体中で干渉させることで情報を微細な干渉縞として3次元的に記録することにある。また、光情報記録媒体の同一場所、或いは、重なり合う場所に複数のデータを多重記録することが可能である。そのため、HD DVD、Blu−ray等に代表される、ピット或いは記録マークにより平面内に情報を記録する現行光ディスクに比べてホログラフィを用いた光ストレージは、格段の大容量化を実現することができる。
【0004】
ホログラフィを用いた光ストレージにおいて、記録密度を高める多重記録方法として、記録媒体とレーザ・ビームビームの相対位置を僅かに変位させて記録するシフト多重方式、相対角度をずらして記録する角度多重方式、レーザ波長を変化させて記録する波長多重方式等があり、それらの組み合わせにより様々な記録再生方法が考案されている。非特許文献1には、代表的な多重記録再生方法が記載されている。また、他の記録再生方法の一つとして、レーザ・ビームの入射面内の軸まわりの回転と、入射面と直交する軸まわりの回転と、情報記録媒体の微小変位の組み合わせにより多重記録する方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1では、この多重記録方式をperistrophic multiplexingと呼んでいる。光学構成の典型例は、特許文献1の図1に記載されている。この方法は、光情報記録媒体の駆動系以外に光学系に可動部がないため簡便なシステムに構成することができる。
【特許文献1】U.S.Patent, 5,483,365
【非特許文献1】H.J.Coufal et al, Holographic Data Storage, Springer, 2000, (ISBN3540666915)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたシステムを実用化するためには、光学系と光情報記録媒体との間の相対位置の検出、並びに位置制御が重要となるが、これまで実用化できる簡便な方法がない問題がある。なぜならば、光情報記録媒体からの反射光ビームを利用して位置検出する場合、光情報記録媒体が角θだけ回転するに伴い、反射光ビームの光路が角2θも曲がってしまう問題がある。角度多重に際して数度〜10度も回転させると、反射光路のずれが大きく、従来の光ディスクの検出方法を適用することが困難であるとされている。また、透過光ビームを利用して位置検出するにしても、光情報記録媒体の位置変化による透過光ビームの変化が殆どないため、位置情報の検出が困難となる。従って、位置検出、並びに位置制御を実現するには、新規の工夫を盛り込むことが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、光情報記録媒体の光軸方向の位置制御に必要な焦点誤差検出装置を提供するにある。
【0007】
この発明によれば、
焦点検出用レーザ・ビームを発生する焦点検出用レーザ・ビーム源と、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力する焦点検出用分離部と、
前記重畳された第1及び第2のレーザ・ビームを第1及び第2の集束点に向けて集束する対物レンズと、
ピンホールを有する光情報記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出して第1及び第2検出信号を発生する検出光学部と、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生する演算部と、
を具備し、
前記光情報記録媒体は、前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、前記第1の集光点が前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められ、前記第2の集光点が前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められている焦点誤差検出装置が提供される。
【0008】
また、この発明によれば、
記録再生用レーザ・ビームを発生する記録再生用レーザ・ビーム源と、
前記記録再生用レーザ・ビームを分離して情報レーザ・ビームと再生レーザ・ビームを生成する記録再生用分離部と、
焦点検出用レーザ・ビームを発生する焦点検出用レーザ・ビーム源と、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力する焦点検出用分離部と、
ピンホールを有するホログラム記録媒体を透過し、或いは、前記ホログラム記録媒体から反射される記録再生用レーザ・ビームを検出する光検出器と、
前記ホログラム記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出して第1及び第2検出信号を発生する検出光学部と、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生する演算部と、
を具備し、
前記ホログラム記録媒体は、前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、前記情報レーザ・ビーム及び前記再生レーザ・ビームの干渉により干渉縞が記録され記録層を有し、前記第1の集光点が前記ピンホールを基準として前記ホログラム記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められ、前記第2の集光点が前記ピンホールを基準として前記ホログラム記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められていることを特徴とする光情報記録再生装置が提供される。
【0009】
更に、この発明によれば、
焦点検出用レーザ・ビームを発生し、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力し、
前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、ピンホールを有する光情報記録媒体に向けて、前記重畳された第1及び第2のレーザ・ビームを照射して前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められた第1の集束点及びに前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められている第2の集束点に集束し、
前記光情報記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出し、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生させる焦点誤差検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
この発明を用いれば、光情報記録媒体を回転駆動させて記録再生する光情報記録再生装置において、簡便な焦点誤差検出装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、この発明の一実施の形態に係る焦点誤差を検出する焦点誤差検出装置及びこの焦点誤差検出装置を備えたホログラフィック記録再生装置について説明する。
【0012】
始めに、本発明の焦点誤差検出装置において、情報が記録される光情報記録媒体の構造を説明し、この光情報記録媒体に対する焦点誤差を検出する光学系について説明する。また、本発明に係わる焦点誤差検出方法を用いた光情報記録再生装置の構成について説明する。
【0013】
[光情報記録媒体構成]
図1は、本発明に係わる光情報記録再生装置で情報が記録される光情報記録媒体の構造を概略的に示す断面図及び図2は、この光情報記録媒体の構造を透視して示す斜視図である。図1及び図2に示されるように、光情報記録媒体20は、1個、或いは、複数個のピンホールが形成されているピンホール層203上に光学的に物理特性が変化して干渉パターンを記録することができる光情報記録媒体層202、即ち、ホログラム媒体層が設けられ、この光情報記録媒体層202及びピンホール層203の積層構造がカバー基板201、204で挟持されている。
【0014】
カバー基板201、204は、光情報記録媒体20の表面に生じる傷或いは埃の影響を低減する目的で設けられるとともに、光情報記録媒体層202(多くはゲル状)を保持する目的で使用される。カバー基板201、204の材質としては、ガラス、ポリカーボネート、PMMA等が代表的であり、使用するレーザ波長に対する光学特性、並びに、機械的強度特性、寸法安定性、成型性等が十分であればその他の材質であっても良い。また、光情報記録媒体層202は、記録用のレーザ・ビームに対して感応性を有し、焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有している。光情報記録媒体層202は、具体的には、ホログラム媒体の層であり、フォトポリマーが代表的な材料である。フォトポリマーは、重合性化合物(モノマー)の光重合を利用した感光材料であり、主成分としてモノマー、光重合開始剤、及び記録前後での体積保持の役割を担う多孔質状のマトリクスを含有するのが一般的である。また、ホログラム媒体層としての光情報記録媒体層202の膜厚は、信号再生に十分な回折効率と、角度多重の際に十分な角度分解能を得るために数100μm程度以上が望ましい。その他、光情報記録媒体層202としては、重クロム酸ゼラチン或いはフォトリフラクティブ結晶など、ホログラム記録が可能な媒体で作られた層であれば良い。
【0015】
図2に示すようにピンホール層203には、薄膜に1個、或いは、複数個のピンホール301が形成されている。ピンホール301は、後に述べるように、焦点誤差信号を生成するために利用される。また、このピンホール301は、後述する光情報記録再生装置において、情報の再生時に発生する不要な回折光を除去し、隣接する記録位置(領域)からのクロストークを防止する目的で設けられている。
【0016】
尚、図2には、ピンホール301は、物理的な小穴として描かれているが、このような穴に限定されず、レーザ・ビームが良好に透過する小径の高透過率部と、レーザ・ビームが殆ど透過しない低透過率部で構成される多層膜構造であっても良い。また、低透過率部は、レーザ・ビームの反射による迷光或いは光情報記録媒体層への感光を防止する目的で、吸収層を有することが望ましい。
【0017】
[焦点誤差検出光学系]
図3には、本発明の実施の形態に係わる焦点誤差を検出する検出光学系が示されている。光情報記録媒体20は、上述したように1個、或いは、複数個のピンホールが形成されたピンホール層を備えている。
【0018】
尚、図3においては、光検出器409,411からは、検出信号が発生され、この検出信号の差信号が後に説明するように差動アンプ412に与えられ、差動アンプから焦点誤差信号が発生される。
【0019】
焦点誤差検出用レーザ・ビーム源401からは、直線偏光されたレーザ・ビームが射出され、この直線偏光のレーザ・ビームは、ビーム拡大光学系(コリメート光学系)402でビーム径が拡大されて平行光束(コリメート・レーザ・ビーム)として2焦点を生成する為の2焦点生成用光学系403に向けられる。この2焦点生成用光学系403は、直線偏光されたレーザ・ビームからP偏光波成分及びS偏光波成分に分離して一方に拡散性或いは集束性を与えている。分離されたP偏光波成分及びS偏光波成分は、重畳されて単一のレーザ・ビームとして対物レンズ404に向けられる。このP偏光波及びS偏光波は、後に説明されるように対物レンズ404で集光されると、P偏光波及びS偏光波の一方に拡散性或いは集束性を与えていることから、P偏光波及びS偏光波で異なる集光点に収束させることができる。
【0020】
図4には、2焦点生成用光学系403の具体的な光学系の例が示されている。この2焦点生成用光学系403においては、入射した直線偏光のレーザ・ビームは、2分の1波長板501を通過してP偏光成分及びS偏光成分が略等しい光量を有するように変換される。このレーザ・ビームは、偏光ビーム・スプリッタ502に入射されてP偏光成分及びS偏光成分に分離される。即ち、P偏光成分及びS偏光成分の一方が偏光ビーム・スプリッタ502で反射され、他方が偏光ビーム・スプリッタ502を透過される。ここでは、説明を簡略化する為に、S偏光成分が偏光ビーム・スプリッタ502で反射され、P偏光成分が偏光ビーム・スプリッタ502を透過するものとする。偏光ビーム・スプリッタ502で反射されたS偏光成分は、反射ミラー503で反射されてレンズ機能を有する回折格子504に入射される。この回折格子504は、入射光ビームを発散性の光ビームに変換するレンズ機能(凹レンズ作用)を有する。回折格子504は、発散機能に代えて、入射光ビームを収束性のビームに変換するレンズ機能(凸レンズ作用)を有してもよい。この回折格子は、位相型のゾーンプレート(キノフォーム)により1次回折光を発散光束とすることで実現でき、且つ、よく知られているように、格子の溝深さを最適化することで1次回折光の回折効率をほぼ100%とすることが可能である。回折格子504からの発散光ビームは、反射ミラー505で反射されて偏光ビーム・スプリッタ506に向けられる。偏光ビーム・スプリッタ506には、偏光ビーム・スプリッタ502を通過した平行光束のP偏光成分も入射され、偏光ビーム・スプリッタ506の偏光面において、S偏光成分及びP偏光成分が重畳合成されて射出される。
【0021】
2焦点生成用光学系403は、図4に示すような光学系に限らず、図5に示すような光学系で構成されても良い。図5に示す光学系においては、2焦点生成用光学系403に入射された平行光束の直線偏光のレーザ・ビームは、2分の1波長板601に入射される。従って、直線偏光のレーザ・ビームは、P偏光成分及びS偏光成分の光量がほぼ等しい円偏光レーザ・ビームに変換されて射出される。この円偏光レーザ・ビームは、裏面に回折格子を付加したミラー602に入射される。この回折格子は、上述した位相型のゾーンプレート(キノフォーム)に相当し、平行光束入射レーザ・ビームを発散レーザ・ビームに変換して反射する機能を有する。また、このミラー602は、表面でS偏光成分を全反射し、P偏光成分を透過する機能を有する。従って、ミラー602に入射したS偏光成分は、全反射され、他方、ミラー602の表面を透過したP偏光成分は、裏面の回折格子により発散性のレーザ・ビームに変換されて反射される。上述した回折格子は、平行光束入射レーザ・ビームを発散性レーザ・ビームに変換しているが、平行光束入射レーザ・ビームを収束性レーザ・ビームに変換しても良い。また、ミラー602は、表面でP偏光成分を全反射し、S偏光成分を透過しても良い。
【0022】
ミラー602で反射されたS偏光成分及びP偏光成分のレーザ・ビームは、2分の1波長板603により、S偏光成分がP偏光成分に、また、P偏光成分がS偏光成分に変換されてミラー604に入射される。ミラー604は、裏面に回折格子がないことを除いてミラー602と同様であり、図5に示されたように、表面でS偏光成分が全反射され、裏面でP偏光成分が全反射される。ミラー602の表面で反射されたP偏光成分及びミラー602の裏面で発散性に変換されて反射されたS偏光成分は、ミラー604で光路が同一となるように重畳合成され出力される。
【0023】
2焦点生成用光学系403から射出されたP偏光成分及びS偏光成分を有するレーザ・ビームは、図3に示すように、対物レンズ404により光情報記録媒体20に向けて収束されて光情報記録媒体20に照射される。光情報記録媒体20内においては、P偏光成分及びS偏光成分は、夫々異なる集束点に集束され、光情報記録媒体405外に向けて発散される。ここで、光情報記録媒体層202は、焦点誤差検出の為のレーザ・ビームに対して不感応性を有するが、後に述べるように記録用のレーザ・ビームに対しては感応性を有し、参照光波及び記録光波で形成される干渉縞が記録される。
【0024】
光情報記録媒体405を透過した発散性のレーザ・ビームは、対物レンズ406により平行光束に変換されて偏光ビーム・スプリッタ407に入射される。偏光ビーム・スプリッタ407の偏光面でレーザ・ビームは、P偏光成分及びS偏光成分の一方が反射され、他方が透過されて偏光ビーム・スプリッタ407から射出される。射出されたレーザ・ビームは、夫々集光レンズ408、410で光検出器409、411に向けて集光される。従って、光検出器409、411は、入射されたレーザ・ビームの光強度に応じた検出信号を発生する。この検出信号は、差動増幅器412に供給され、この差動増幅器から焦点誤差信号が発生される。この焦点誤差信号は、媒体20を光軸に沿って微動させる媒体駆動機構415に駆動信号を供給する駆動信号発生部414に与えられ、この駆動信号に応じて駆動機構415が動作されて媒体20が光軸に沿って移動され、媒体20の記録層202が合焦位置に位置制御される。
【0025】
図3に示される制御系では、駆動機構415が媒体20を光軸に沿って移動させているが、駆動機構415によって対物レンズ404、406が焦点誤差信号に応じて光軸上をシフトされるようにしても良い。
【0026】
図6及び図7を参照して図3に示される光学系における焦点検出について説明する。対物レンズ404で集光されたレーザ・ビームは、光情報記録媒体層20内に図6(a)及び(b)に示すように集光点701、702を形成する。即ち、2焦点生成用光学系403内でP偏光成分及びS偏光成分の一方に発散性或いは集光性が与えられていることから、P偏光成分及びS偏光成分は、夫々異なる集光点に集光される。上述した例では、2焦点生成用光学系によりS偏光成分に発散性が与えられて2焦点生成用光学系403内で発散されることから、P偏光成分が対物レンズ404によってピンホール層203を基準にして光源側の集光点701に集光される。これに対して、S偏光成分には、発散性が与えられていることから、S偏光成分は、対物レンズ404によってピンホール層203を基準にして検出器側の集光点702に集光される。P偏光成分の光軸Opがピンホール301を通過している限りにおいては、集光点701がピンホール301に近づけば近づく程、ピンホール301を通過するP偏光成分の光強度が大きく、集光点701がピンホール301から離れれば離れる程、P偏光成分がピンホール層203で蹴られてピンホール301を通過するP偏光成分の光強度が低下される。同様に、S偏光成分の光軸Opがピンホール301を通過している限りにおいては、集光点701がピンホール301に近づけば近づく程、ピンホール301を通過するP偏光成分の光強度が大きく、集光点701がピンホール301から離れれば離れる程、P偏光成分がピンホール層203で蹴られてピンホール301を通過するP偏光成分の光強度が低下される。
【0027】
ここで、図6(a)及び(b)に示すように、P偏光成分の集光点701とS偏光成分の集光点702の中間にピンホール301が配置された状態にあれば、記録再生用のレーザ・ビームが媒体層202内で焦点が合っているとすると、ピンホール301を通過したP偏光成分及びS偏光成分が検出されることによってこの焦点が合っている状態を検出することができる。即ち、P偏光成分及びS偏光成分は、図6(a)及び(b)に示すようにいずれもピンホール301によって外周の光線が蹴られる状態にあり、ピンホール301を通過したP偏光成分及びS偏光成分が図3に示す光検出器409、411で検出することによって焦点誤差信号を生成することができる。
【0028】
ピンホール301によりP偏光成分及びS偏光成分の外周部が蹴られるように配置にするために、P偏光成分及びS偏光成分の集光点701、702の距離(対物レンズ404からの距離)の差をΔz[μm]、収束照射するレンズ404の開口数をNA、光情報記録媒体20の平均屈折率をn、ピンホール径をD[μm]とすると、
【数2】

【0029】
とすることが好ましい。
【0030】
図7(a)〜(d)及び図8(a)〜(d)を参照して光情報記録媒体20に焦点ずれ(光軸方向の位置ずれ)が生じた場合における、光検出器409、411から出力される検出信号に付いて説明する。図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)において、図7(b)及び図8(b)は、夫々ピンホール301が合焦位置に位置されている場合におけるP偏光成分及びS偏光成分がピンホール301に入射されている様子を示している。このP偏光成分及びS偏光成分を検出する検出器409、411からは、検出信号Vp及びVsが出力される。図7(b)及び図8(b)では、合焦状態にあることから、検出信号Vp及びVsのレベルが略等しく、焦点誤差信号として合焦を意味する零レベルの焦点誤差信号が出力される。
【0031】
図7(b)及び図8(b)に示す合焦状態から図7(a)に示されるようにピンホール301が集束点701に近づき、図8(a)に示されるようにピンホール301が集束点702から遠のくと、負のレベルを有する焦点誤差信号が発生される。図7(a)及び(b)には、合焦位置に相当するピンホール層の基準位置が破線で示されている。即ち、図7(a)に示されるようにピンホール301で蹴られるP偏光成分が減少して増加ピンホール301を通過するP偏光成分が増加し、図7(d)に示されるように検出器409からの検出信号Vpが増加する。また、図8(a)に示されるようにピンホール301で蹴られるS偏光成分が増加してホール301を通過するS偏光成分が減少し、図8(d)に示されるように検出器409からの検出信号Vsが減少される。従って、差動増幅器412からは、負の焦点誤差信号が発生される。
【0032】
図7(b)及び図8(b)に示す合焦状態から図7(c)に示されるようにピンホール301が集束点701に近づき、図8(c)に示されるようにピンホール301が集束点702から遠のくと、正のレベルを有する焦点誤差信号が発生される。図7(c)及び(c)には、合焦位置に相当するピンホール層の基準位置が破線で示されている。即ち、図7(c)に示されるようにピンホール301で蹴られるP偏光成分が増加して増加ピンホール301を通過するP偏光成分が減少し、図7(d)に示されるように検出器409からの検出信号Vpが減少する。また、図8(c)に示されるようにピンホール301で蹴られるS偏光成分が減少してホール301を通過するS偏光成分が増加し、図8(d)に示されるように検出器409からの検出信号Vsが増加される。従って、差動増幅器412からは、正の焦点誤差信号が発生される。
【0033】
上述したように、負の焦点ずれの場合(負の焦点誤差信号が発生される場合)には、合焦時と比較して、図7(a)に示されるようにピンホールで蹴られる光線部分が減少するため、透過光量が増加する。逆に、正の焦点ずれがある場合(正の焦点誤差信号が発生される場合)には、図7(c)に示されるようにピンホールにより多くの光線がより蹴られる状態となるため、透過光量が減少する。従って、光検出器409からの出力信号Vpは、図7(d)に示したように変化される。他方、図8(a)に示すように、負の焦点ずれがある場合には、ピンホールで光線がより蹴られるため透過光量が減少し、また、図8(c)に示されるように正の焦点ずれがある場合には、ピンホールで蹴られる光線部分が減少するため、透過光量が増加する。従って、図8(d)に示したように、光検出器411からの出力信号は、P偏光のときと逆特性となる。従って、図4における光検出器409、411の出力信号の差動演算(Vs−Vp)を行うことで焦点誤差信号を生成することができる。
【0034】
また、上述した本発明の焦点誤差検出方法は、角度多重により光情報記録媒体を数度〜10度程度回転させている場合にあっても、回転による透過光量の変化が殆どないため、記録媒体の回転によるオフセットも殆どなく、安定した焦点誤差信号を得ることができる。
【0035】
[焦点誤差検出光学系の変形例]
図3〜図5に示される焦点誤差検出光学系では、P偏光成分及びS偏光成分に分離してその一方に発散性或いは集束性を与えてP偏光成分及びS偏光成分を合成した光ビームが2つの集光点701,702に集光されている。レーザ・ビーム源401が第1及び第2の波長λ1,λ2にピークを有するある波長幅のレーザ・ビームを発生する場合には、図9〜図11に示すような光学系が焦点誤差検出光学系に採用されても良い。尚、図9〜図11において、図3〜図5に示したと同様の光学素子及び部分は同一の光学素子及び同一部分を示すものとしてその説明を省略する。
【0036】
図9に示す光学系においては、レーザ・ビーム源401から第1及び第2の波長λ1,λ2にピークを有するレーザ・ビームが発生され、偏光ビーム・スプリッタ407に代えてダイクロイック・ミラー707が配置されている。
【0037】
レーザ・ビーム源401から第1及び第2の波長λ1,λ2を有するレーザ・ビームが2焦点生成用光学系703に入射され、2焦点生成用光学系703内において、第1及び第2の波長λ1,λ2にピークを有するレーザ・ビームの一方に発散性或いは集束性が与えられて2焦点生成用光学系703から合成され射出される。図6〜図8に示したと同様に第1及び第2の波長λ1,λ2を有するレーザ・ビームは、光情報記録媒体20内に集束点701、702を形成して偏光ビーム・スプリッタ407に代えたダイクロイック・ミラー707に向けられる。
【0038】
ダイクロイック・ミラー707に、波長λ1及びλ2を有するレーザ・ビームが入射されると、波長λ1有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー707で反射されて検出器411で検出され、波長λ2を有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー707を通過して検出器409で検出され、図3に示した光学系と同様にこの検出器409、411からの検出信号の差が焦点検出誤差信号として差動アンプ412から出力される。
【0039】
2焦点生成用光学系703は、図10に示すように偏光ビーム・スプリッタ502に代えてダイクロイック・ミラー712が設けられ、この偏光ビーム・スプリッタ502で波長λ1有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー712で反射され、波長λ2有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー712を透過される。波長λ1有するレーザ・ビームは、回折格子504で発散性が与えられてダイクロイック・ミラー716に向けられる。ダイクロイック・ミラー716において、波長λ1有するレーザ・ビームと波長λ2有するレーザ・ビームが合成されて2焦点生成用光学系703から射出される。
【0040】
図10に示される光学系においては、波長λ1及びλ2を有するレーザ・ビームの一方に発散性或いは集束性が与えられることから、図7及び図8に示した原理により焦点誤差を検出することができる。
【0041】
2焦点生成用光学系403は、図10に示すような光学系に限らず、図5に示す光学系の変形例に係る図11に示すような光学系で構成されて良い。図11に示す光学系においては、回折格子を付加したミラー602に代えて回折格子を付加したダイクロイック・ミラー602が用いられ、ミラー604に代えて同様にダイクロイック・ミラー602が用いられる。
【0042】
図11に示される光学系においては、波長λ1及びλ2を有するレーザ・ビームが入射されると、波長λ1有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー902で反射されてダイクロイック・ミラー602に向けられ、波長λ2を有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー902内に導入されて回折格子で反射されて発散性が与えられる。この発散性が与えられた波長λ2を有するレーザ・ビームは、ダイクロイック・ミラー602に向けられる。ダイクロイック・ミラー602においては、波長λ2を有するレーザ・ビームが反射され、波長λ1有するレーザ・ビームがダイクロイック・ミラー602内に屈折されてその裏面で反射される。従って、ダイクロイック・ミラー602で波長λ2を有するレーザ・ビームと波長λ1を有するレーザ・ビームとが合成されて2焦点生成用光学系703から射出される。
【0043】
図11に示される光学系においては、波長λ1及びλ2を有するレーザ・ビームの一方に発散性或いは集束性が与えられることから、図7及び図8に示した原理により焦点誤差を検出することができる。
【0044】
[光情報記録再生装置の構成]
図12は、図3〜図5或いは図9〜図11を参照して説明した焦点誤差検出装置を備えた光情報記録再生装置が示されている。光情報記録再生装置は、記録再生用光学系及び図3〜図5或いは図9〜図11に示される焦点誤差用光学系から構成される。
【0045】
記録再生用光学系は、記録再生用レーザ・ビームを発生する記録再生用レーザ101を備えている。この記録再生用レーザは、ホログラム記録に適した長コヒーレンス長のシングルモードレーザである。記録再生用のレーザ波長としては、ホログラム媒体の設計自由度の観点から短波長(例えば、青紫色半導体レーザ、波長405nm帯)が好ましい。記録再生用レーザ101から出射した直線偏光のレーザ・ビームは、レンズ及びピンホールで構成されるスペイシャルフィルタ&ビーム拡大光学系102によりノイズが除去され、且つ、ビーム径が拡大される。光学系102からのレーザ・ビームは、2分の1波長板103によりP偏光成分及びS偏光成分を有するレーザ・ビームに変換され、偏光ビーム・スプリッタ104に入射される。
【0046】
偏光ビーム・スプリッタ104を透過したP偏光のレーザ・ビームは、ミラー105で反射されて空間光変調器106に入射され、光強度変調を受け情報光ビームに変換される。情報光ビームは、記録すべき情報をデジタル符号化し、エラー訂正符号を織り込んだ2値化パターンに相当し、多数の明点と暗点から構成される。このデータの塊は、ページ、或いは、ブックと呼ばれる。ここではページと呼ぶことにする。空間光変調器106としては、液晶素子が使用される。その他、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)、或いは、応答速度が数10μsと応答速度が速い強誘電性液晶を用いることも可能である。
【0047】
空間光変調器106で強度変調されたレーザ・ビームは、対物レンズ107により、上述した光情報記録媒体20に収束照射される。尚、ここでは電場の振動方向が入射面内にある、TM(Transverse Magnetic mode)の偏光状態で光情報記録媒体に入射される場合を示したが、電場の振動方向が入射面と垂直なTE(Transverse Electric mode)偏光、或いは、その他楕円偏光でも良い。
【0048】
他方、偏光ビーム・スプリッタ104で反射したS偏光は、光情報媒体20中で情報光ビームと干渉するようTM偏光とするため、2分の1波長板109でP偏光に変換される。その後、光情報記録媒体20中の情報光ビームと同程度のビーム径とするために、ビーム縮小系110によりビームが縮小され、ミラー111、112で反射された後、光情報記録媒体20に参照光として入射される。情報光ビームと参照光ビームとは、光情報記録媒体20中で2光束干渉して、1ページのデータが微細な干渉縞として記録される。
【0049】
尚、情報光と参照光の角度(図1中のα)を大きくすることが、角度分解能を高める観点から望ましい。また、空間光変調器106からCCD114間の距離は、対物レンズ107、113の焦点距離を夫々f1、f2として、図9に示すように4f光学系で構成される。また、多重記録は、図4において、Y軸まわりの角度多重、Z軸まわりの角度多重、及びX軸方向とY軸方向のシフト多重により多重記録される。これは、特許文献1に開示されている方法(peristrophic multiplexing)と同様である。
【0050】
情報の再生モード時には、情報を記録した光情報記録媒体20に参照光のみが照射され、光情報記録媒体20に書き込まれた干渉縞から回折される1次回折光(情報光)がCCD114で2次元イメージとして受光され、デジタル復号化処理後、情報が再生される。この際、光情報記録媒体20内のピンホール301は、上述した焦点誤差検出の用途に加えて、不要な回折光の除去、並びに、隣接する記録位置からのクロストークを防止する役割を果たしている。
【0051】
焦点誤差検出用光学系は、図3から図6を参照して説明した構成とほほ同様の光学系を備えている。情報記録光ビームとしての青色波長のレーザ・ビームを透過し、焦点検出用の光ビームとしての赤色波長のレーザを反射するダイクロイックプリズム118が空間光変調器106及び対物レンズに間に配置されている。図3〜図5に示される光学系が適用される場合には、ダイクロイックプリズム118が用いられ、図9〜図11に示される光学系が適用される場合には、ダイクロイックプリズム118に代えてハーフミラープリズムが用いられる。ダイクロイックプリズム或いはハーフミラープリズム118によって焦点検出用の光ビームが記録再生用光学系に導かれ、情報記録媒体20に向けられている。また、対物レンズ113を透過した後、ダイクロイックプリズム119で記録再生光学系から分離される。図3〜図5に示される光学系が適用される場合には、ダイクロイックプリズム119が用いられ、図9〜図11に示される光学系が適用される場合には、ダイクロイックプリズム119に代えてハーフミラープリズムが用いられる。
【0052】
尚、光情報記録媒体のピンホール301は、上述したように、焦点誤差検出用途と、再生光のノイズ除去・クロストーク防止用途を有するが、最適なピンホール径がそれぞれの用途で異なる場合がある。その場合は、図13に示すように、記録再生用レーザ・ビームと焦点誤差検出用レーザ・ビームを透過するピンホール901と、記録再生用レーザ・ビームを透過するリング部902と、遮光部903で構成した多層膜構造を有することが好ましい。図13に示されるようなピンホール層203にあっても、遮光部903は、反射による迷光や光情報記録媒体への感光を防止する目的で、吸収層を有することが望ましい。
【0053】
尚、記録再生光学系として透過型光学系について説明したが、これに限定されるものではなく、反射型同軸コリニア方式の記録再生光学系でも良いことは明らかであう。
【0054】
以上、本発明を実現するための最良の形態について説明した。なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、この他その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施の形態に係る光情報記録再生装置で情報が記録され、情報を再生することができる光情報記録媒体の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す光情報記録媒体の構造を概略的に示す斜視図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係る光情報記録再生装置に適用される焦点誤差検出光学系を概略的に示す説明図である。
【図4】図3に示す焦点誤差検出用光学系における2焦点生成用光学系の一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】図3に示す焦点誤差検出用光学系における2焦点生成用光学系の他の例を概略的に示す斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、図4及び図5に示す焦点誤差検出用光学系における光記憶媒体内におけるレーザ・ビームの軌跡を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は、図4及び図5に示す焦点誤差検出用光学系における光記憶媒体内におけるレーザ・ビームの軌跡を示す説明図及び(d)は、焦点誤差検出用光学系おける検出器からの出力を概略的に示すグラフである。
【図8】(a)〜(c)は、図4及び図5に示す焦点誤差検出用光学系における光記憶媒体内におけるレーザ・ビームの軌跡を示す説明図及び(d)は、焦点誤差検出用光学系おける検出器からの出力を概略的に示すグラフである。
【図9】この発明の他の実施の形態に係る光情報記録再生装置に適用される焦点誤差検出光学系を概略的に示す説明図である。
【図10】図9に示す焦点誤差検出用光学系における2焦点生成用光学系の一例を概略的に示す斜視図である。
【図11】図9に示す焦点誤差検出用光学系における2焦点生成用光学系の他の例を概略的に示す斜視図である。
【図12】図3又は図9に示す焦点誤差検出用光学系を備えた光情報記録再生装置を概略的に示す説明図である。
【図13】図1に示された光情報記録媒体のピンホール構造の他の例を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
20…光情報記録媒体、101…記録再生用レーザ、102…スペイシャルフィルタ&ビーム拡大形、103…2分の1波長板、104…偏光ビーム・スプリッタ、105…ミラー、106…空間光変調器、107…対物レンズ、109…2分の1波長板、110…ビーム縮小系、111、112…ミラー、113…対物レンズ、114…CCD、118、119…ダイクロイックプリズム、201、204…カバー基板、202…光情報記録媒体、203…ピンホール層、301…ピンホール、401…焦点誤差検出用レーザ、402…ビーム拡大系、403、703…2焦点生成用光学系、404、406…対物レンズ、407…偏光ビーム・スプリッタ、408、410…集光レンズ、409、411…光検出器、412…差動アンプ、501…2分の1波長板、502、506…偏光ビーム・スプリッタ、503、505…ミラー、504…回折格子、601…2分の1波長板、602…回折格子付きミラー、603…2分の1波長板、604…ミラー、701…P偏光ビーム集光点、702…S偏光ビーム集光点、707、712,716、902,903…ダイクロイック・ミラー
801…P偏光の焦点ずれに対する出力信号、802…S偏光の焦点ずれに対する出力信号
901…記録再生レーザと焦点誤差検出用レーザ透過部、902…記録再生用レーザ透過部、903…遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点検出用レーザ・ビームを発生する焦点検出用レーザ・ビーム源と、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力する焦点検出用分離部と、
前記重畳された第1及び第2のレーザ・ビームを第1及び第2の集束点に向けて集束する対物レンズと、
ピンホールを有する光情報記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出して第1及び第2検出信号を発生する検出光学部と、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生する演算部と、
を具備し、
前記光情報記録媒体は、前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、前記第1の集光点が前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められ、前記第2の集光点が前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められている焦点誤差検出装置。
【請求項2】
前記分離光学部は、第1の偏光ビーム・スプリッタを含み、前記第1のビーム成分に相当するP偏光成分及び前記第2のビーム成分に相当するS偏光成分に分離し、前記P偏光成分及び前記S偏光成分を重畳して単一レーザ・ビームとして出力し、前記検出光学部は、第2の偏光ビーム・スプリッタ及び第1及び第2の検出器を含み、前記第2の偏光ビーム・スプリッタが前記第1のビーム成分に相当するP偏光成分及び前記第2のビーム成分に相当するS偏光成分に分離し、前記第1及び第2の検出器が夫々前記P偏光成分及び前記S偏光成分を検出する請求項1の焦点誤差検出装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の集光点の距離をΔz[μm]、前記対物レンズの開口数をNA、前記光情報記録媒体の平均屈折率をn、前記ピンホール径をD[μm]としたとき、
【数1】

を充足することを特徴とする請求項1の焦点誤差検出装置。
【請求項4】
前記分離光学部は、第1のダイクロイック・ミラーを含み、前記第1のビーム成分に相当する第1波長成分及び前記第2のビーム成分に相当する第2波長成分に分離し、前記第1及び第2波長成分を重畳して単一レーザ・ビームとして出力し、前記検出光学部は、第2のダイクロイック・ミラー及び第1及び第2の検出器を含み、前記第2のダイクロイック・ミラーが前記第1のビーム成分に相当する第1波長成分及び前記第2のビーム成分に相当する第2波長成分に分離し、前記第1及び第2の検出器が夫々前記第1及び第2波長成分を検出する請求項1の焦点誤差検出装置。
【請求項5】
記録再生用レーザ・ビームを発生する記録再生用レーザ・ビーム源と、
前記記録再生用レーザ・ビームを分離して情報レーザ・ビームと再生レーザ・ビームを生成する記録再生用分離部と、
焦点検出用レーザ・ビームを発生する焦点検出用レーザ・ビーム源と、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力する焦点検出用分離部と、
ピンホールを有するホログラム記録媒体を透過し、或いは、前記ホログラム記録媒体から反射される記録再生用レーザ・ビームを検出する光検出器と、
前記ホログラム記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出して第1及び第2検出信号を発生する検出光学部と、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生する演算部と、
を具備し、
前記ホログラム記録媒体は、前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、前記情報レーザ・ビーム及び前記再生レーザ・ビームの干渉により干渉縞が記録され記録層を有し、前記第1の集光点が前記ピンホールを基準として前記ホログラム記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められ、前記第2の集光点が前記ピンホールを基準として前記ホログラム記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められていることを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
焦点検出用レーザ・ビームを発生し、
この焦点検出用レーザ・ビームを第1及び第2のビーム成分に分離し、当該第1及び第2のビーム成分の一方に発散性或いは集束性を与え、当該第1及び第2のビーム成分を重畳して出力し、
前記焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、ピンホールを有する光情報記録媒体に向けて、前記重畳された第1及び第2のレーザ・ビームを照射して前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側に定められた第1の集束点及びに前記ピンホールを基準として前記情報記録媒体の内の前記焦点検出用レーザ・ビーム源側とは反対側に定められている第2の集束点に集束し、
前記光情報記録媒体を透過した前記第1及び第2のビーム成分を分離して第1及び第2のビーム成分を検出し、
前記第1及び第2の検出信号を処理して焦点誤差信号を発生させる焦点誤差検出方法。
【請求項7】
前記第1及び第2のビーム成分に分離では、前記第1のビーム成分がP偏光成分に相当し及び前記第2のビーム成分がS偏光成分に相当し、前記P偏光成分及び前記S偏光成分を重畳して単一レーザ・ビームとして出力し、
前記第1及び第2のビーム成分の検出では、前記単一レーザ・ビームが前記第1のビーム成分に相当するP偏光成分及び前記第2のビーム成分に相当するS偏光成分に分離され、前記P偏光成分及び前記S偏光成分が検出される請求項6の焦点誤差検出方法。
【請求項8】
情報記録再生装置から出射された焦点検出用レーザ・ビームに対して実質的に非感応性を有し、情報記録再生装置から出射された情報レーザ・ビーム及び再生レーザ・ビームの干渉により干渉縞が記録され記録層と、ピンホールを有るホログラム記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−243333(P2008−243333A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86013(P2007−86013)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】