説明

焼却炉の炉壁積みつけ方法および焼却炉

【課題】従来法による焼却炉の炉上部における肩部炉壁の耐火レンガの積みつけは、炉内の狭隘かつ高所での作業であり、耐火レンガが「せり」の効果で保持される構造のために、施工時や補修時における作業性、安全性に課題を有していた。
【解決手段】外郭1を有し内部が耐火物により構成され水平断面形状が円形で、炉上部の燃焼バーナー部6より下方に向けて、末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁Aと、炉中間域に耐火物を積み重ねた垂直状炉壁Bと、炉下部に燃焼排ガスの出口8につながるロート状の炉壁Cとを備え、肩部炉壁Aに被処理物12を炉内へ導入するためのノズル5が設置されている焼却炉の炉壁積みつけ方法において、焼却炉の肩部炉壁Aを、耐火レンガ3を水平に積み重ねて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害成分や化学的酸素要求量(COD)成分等を含有する廃液や廃ガス等の被処理物を、焼却処理または熱分解処理するために用いられる焼却炉において、肩部炉壁の積みつけを改善し、効率的な建設と保守・修理を容易とすることが可能な焼却炉の炉壁積みつけ方法および前記炉壁積みつけ方法による焼却炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物である固形物、廃液、廃ガス等に含まれている有害成分やCOD成分を、無害化するために焼却処理または熱分解処理が行われ、このために焼却炉が用いられている。焼却炉は、炉内において被処理物を高温で酸化分解するために、高温環境となるので、一般的に金属製外郭(鉄皮)の内側に耐火物層を設けた構造となっている。
【0003】
従来の焼却炉の構造の一例を、図面を用いて説明する。
図2は従来の焼却炉の縦断面図を示すもので、金属製外郭(鉄皮)1の内側に断熱レンガ2と炉内側に耐火レンガ3とが配設され、それらを固定すると共に隙間をなくすための目地材とにより耐火物層を構成している。さらには必要に応じてセラッミックファイバー等を用いる場合もある。焼却炉では、炉の上部に設けられた燃焼バーナー部6に燃料10と空気や酸素富化空気等の支燃性ガス11が供給され、燃焼バーナー部6を取り囲む炉壁4内のバーナー燃焼部7で高温雰囲気が形成され、炉の肩部に設置されているノズル5から被処理液12が前記の高温雰囲気中に噴射されて、焼却処理または熱分解処理が行われ、高温の燃焼排ガスは炉の下部の出口8より排出される。尚、被処理液の性状、物性、処理量等により、被処理液の一部を燃焼バーナー部6の付近から炉内へ供給する場合もある。
【0004】
焼却炉の炉壁は、大きく分けて炉上部の燃焼バーナー部6より末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁(図2のA部分)、炉中間域の垂直状炉壁(図2のB部分)および炉下部の燃焼排ガスの出口8につながるロート状の炉壁(図2のC部分)より構成されている。前記の炉中間域の垂直状炉壁および炉下部のロート状の炉壁においては、耐火レンガは図2に示したごとく上下間の合わせ面が水平になるように積み重ねられているが、炉上部の肩部炉壁における耐火レンガは図2のような直線だけでなく円錐(コニカル)状に形作られ、耐火レンガの内側が形成する直線ないしは円錐の傾き角に対し、直角方向に耐火レンガが取付けられ、いわゆる「せり」の効果で耐火レンガが保持されていることが一般的であった(以下これを直角積みと称する)。
【0005】
焼却炉の肩部炉壁(図2のA部分)では、炉上部の中央に燃焼バーナー部6とその下部にバーナー燃焼部7を設け、その重量を支えて応力を垂直状炉壁部へ均等に分散させるために、肩部炉壁の最初に断面が三角形ないしは台形状の耐火レンガを設置し、その上に上述のごとく耐火レンガの内側が形成する直線ないしは円錐の傾き角に対し、直角方向に耐火レンガを順次積みつけ、焼却炉の内面側の角度(α)として45度から60度程度となるように構築されている。
【0006】
焼却炉は水平断面形状が円形で、被処理物の処理量により変化するが、一般的には高さは7〜15m、胴部の直径が1.5〜4m程度である。新規建設に際しては、炉の下部より順次耐火レンガを積み上げてゆき、ある程度の高さになると炉内に足場を設置して作業を行うため、熟練を要するものである。特に、炉上部の肩部炉壁における耐火レンガは、内側を直線状にするために図3(a)の扁平形状や、円錐(コニカル)状にするために末広がりで外側に向かって厚くなっている図3(b)の形状のものが用いられるが、高所かつ上向きの作業のため、不安定な作業となりこの部位の作業は特に難しいものであった。
【0007】
このため、これまでにも類似の炉について、例えば、特許文献1には熱風炉などのドーム部を形成するめために、レンガに焼失性の係止板を貼り付けておくことで、レンガの滑り落ちを防止し、ドーム部の内張りを正確に施工するための提案がなされている。また、円筒状工業炉の側壁を構成する際に、炉の内側にあるレンガの上面および下面が水平面に対して傾斜させた構成としておくことで、側壁のレンガ片の脱落を抑制し、これによって工業炉の寿命を延長することが特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平9−210568号公報
【特許文献2】特開平6−82164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来法における炉上部の肩部炉壁での耐火レンガの積みつけは、炉内の狭隘にして高所での作業のために、これまでのように「せり」の効果で耐火レンガを保持する直角積みの場合には、肩部におけるある箇所で耐火レンガの損傷、亀裂、ひび割れ等により、万一脱落、落下等のトラブルが発生すると、同一円周上およびその上の部分の耐火物の脱落、落下等により大きなトラブルにつながる虞があった。
また、焼却炉において廃液や廃ガス等の被処理物を、焼却処理または熱分解処理するためには炉内が高温になると共に、被処理物に含有されている無機成分によっては耐火レンガに損傷を生ずることがあり、耐火レンガの損傷程度は部位により大きく異なることが多く、損傷箇所のみを補修することもよく行われている。
【0009】
そして、特に炉上部の肩部炉壁は、上述のように炉上部中央の燃焼バーナー部6の重量を支持するものであるとともに、この燃焼バーナー部6に近接して高温に晒されるため、構造的にも熱的にも負荷が大きく、他の部分に比べて耐火レンガの損傷が著しい。しかも、この肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズルが設置されている場合には、被処理物をノズルにより噴霧して炉内へ供給するため、ノズルの周辺部位における耐火レンガが損傷する場合が多い。
ところが、炉上部の肩部炉壁における耐火レンガの補修に際しては、直角積みの場合には損傷箇所を含めたその上部までを新たに積みつけることが必要であり、補修のための日数、手数がかかると共に多額の費用がかかっていた。
【0010】
本発明は、上述した従来法における問題点を解決する焼却炉の肩部炉壁における耐火レンガによる炉壁積みつけ方法を提案するものであり、比較的簡便な方法により、肩部炉壁の耐火レンガを容易に構築でき、焼却炉内の狭い作業空間での作業を短縮することが可能な方法である。結果として安全性の向上を図り、作業性を改善することを意図したものである。
また、本発明の別の目的としては、上記の炉壁積みつけ方法による焼却炉を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外郭を有し内部が耐火物により構成され水平断面形状が円形で、炉上部の燃焼バーナー部より下方に向けて、末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁と、炉中間域に耐火物を積み重ねた垂直状炉壁と、炉下部に燃焼排ガスの出口につながるロート状の炉壁とを備え、前記肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズルが設置されている焼却炉の炉壁積みつけ方法において、前記焼却炉の肩部炉壁を、耐火レンガを水平に積み重ねて構成したことを特徴とする焼却炉の炉壁積みつけ方法である。
【0012】
また、本発明は、外郭を有し内部が耐火物により構成され水平断面形状が円形で、炉上部の燃焼バーナー部より下方に向けて、末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁と、炉中間域に耐火物を積み重ねた垂直状炉壁と、炉下部に燃焼排ガスの出口につながるロート状の炉壁とを備え、前記肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズルが設置された焼却炉において、前記焼却炉の肩部炉壁が、耐火レンガを水平に積み重ねて構成されていることを特徴とする焼却炉である。
【0013】
このような本発明の焼却炉の炉壁積みつけ方法および焼却炉においては、耐火レンガを水平に積み重ねて肩部炉壁を構成することにより、上部の耐火レンガが下部の耐火レンガに目地を介して水平状に設置されて支持されるため、耐火レンガの損傷、亀裂、ひび割れ等により脱落、落下等が生ずる危険性が非常に少なくなる。また、特にこうして肩部炉壁で耐火レンガを水平に積み重ねた場合において、炉中間域の垂直状炉壁でも耐火レンガを水平に積み重ねた場合には、肩部炉壁とそれより下部の炉壁とで耐火レンガの積み重ね構成が基本的に同じとなるため、作業性に優れている。
【0014】
従って、従来の直角積みの場合には、肩部炉壁の耐火レンガの補修に際し、損傷箇所を含めたその上部までを取り除き、当該部位とその上部までを新たに積みつけることが必要であって、補修のための日数、手数や費用がかかっていたものが、本発明の適用で、当該損傷部位の周辺だけを除去し、その上部の耐火レンガを必要に応じて簡単な木組み等で保持することで補修が可能であることから、補修に要する時間を短縮できる。
このように、補修に要する時間の短縮化は、焼却炉の稼動時間を長くし、安定した運転にも貢献するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、とりわけ損傷の著しい焼却炉の肩部炉壁について、従来法における問題点を解決することが可能な焼却炉の炉壁積みつけ方法および焼却炉を提供することができる。特に、本発明では、作業環境の悪い箇所における作業性を改善し、安全性の向上に寄与するものである。
このため、焼却炉の新規建設に際しては、建設費用を低減させ、炉内の耐火レンガの構築をほとんど同一仕様とすることで作業性が改善できる。炉壁の部分的な補修の場合にも、本発明により効率的な工事を図ることが可能となる。
また、本発明の適用で、補修に要する時間が短縮され、炉内の耐火レンガの損傷によるトラブル回避につながることから、焼却炉の安定した運転ができるようになり、このような観点でも貢献するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明を適用した焼却炉の一実施形態の説明図であるが、図2と共通する部分については同じ符号を用いている。
【0017】
本発明は、産業廃棄物である固形物、廃液、廃ガス等に含まれている有害成分やCOD成分を、焼却処理または熱分解処理により無害化するための焼却炉における炉壁積みつけ方法を改善し、焼却炉における肩部炉壁の耐火レンガの施工を容易にし、ひいては焼却炉の安定した運転を図るものである。
焼却炉は、無害化すべき対象物質によっても変化するが、有機物の熱分解のために800℃以上とすることが必要であり、一般的には炉内で800〜1400℃程度の高温で被処理物を処理するので、炭素鋼、耐熱鋼、ステンレス鋼等からなる金属製外郭(鉄皮)の内側に、断熱レンガ、耐火レンガ、不定形耐火物等をライニングした耐火物層を設けた構造となっている。
【0018】
図1に縦断面図を示す実施形態でも、金属製外郭(鉄皮)1の内側に断熱レンガ2と炉内側に耐火レンガ3、さらには必要に応じてセラッミックファイバー等を用い、それらを固定すると共に隙間をなくすための目地材により耐火物層を構成している。
焼却炉の内面側に露出する耐火レンガ3としては、耐熱性、熱衝撃性、耐食性に優れたアルミナ系、マグネシア系が多用されるが、炉内はバーナーの設置されている上部から下部にかけて温度勾配ができるため、各部位の温度に対応する耐火度の耐火レンガが用いられる。
また、被処理液中に含有されている無機成分により、焼却で生ずるスラグの性状、物性等によっては、塩基性レンガを使用する場合もある。
【0019】
焼却炉では、炉の上部に設けられた燃焼バーナー部6に燃料10と空気や酸素富化空気等の支燃性ガス11が供給され、燃焼バーナー部6を取り囲む炉壁4内のバーナー燃焼部7で高温雰囲気が形成され、炉の肩部に設置されているノズル5から被処理液12が前記の高温雰囲気中に噴射されて、焼却処理または熱分解処理が行われ、高温の燃焼排ガスは炉の下部の出口8より排出される。尚、被処理液の性状、物性、処理量等により、被処理液の一部を燃焼バーナー部6の付近から炉内へ供給する場合もあることは、図2と共通している。
【0020】
本実施形態においても焼却炉の炉壁は、肩部炉壁(図1のA部分)、炉中間域の垂直状炉壁(図1のB部分)および炉下部の燃焼排ガスの出口8につながるロート状の炉壁(図1のC部分)より構成されている。本発明では、図1に示したように炉中間域の垂直状炉壁および炉下部のロート状の炉壁において、耐火レンガ3が上下間の合わせ面が水平になるように積み重ねられているのと同様に、炉上部の肩部炉壁における耐火レンガ3も図1のように水平に積み重ねて構成したことが特徴である。以下、本発明による肩部炉壁の耐火レンガ3の積みつけ方法を、従来法の直角積みに対し水平積みと称する。
【0021】
本発明の水平積みでは、図1のA部分の肩部炉壁においてもそれより下部の炉壁と構成が基本的に同じなため、作業性に優れている。また、耐火レンガ3の損傷、亀裂、ひび割れ等により、脱落、落下等が生ずる危険性についても、水平積みの場合には、下部の耐火レンガ3に目地を介して水平状に設置されているため、その危険性が非常に少なくなる。
【0022】
尚、上記の本発明における焼却炉の炉壁積みつけ方法の趣旨に沿って、若干の変形を行うことが許容され、肩部炉壁に積みつけの際に、耐火レンガ3を炉内側が高く外郭側に低く傾斜させて配置するようにすることで、一層耐火レンガ3の状態が安定する。
ただし、この場合には、耐火レンガ3の傾斜を水平面に対して5°程度あるいはそれ以下とし、水平積みに対して若干傾斜した程度とすることが好ましい。
【0023】
また、焼却炉の垂直状炉壁においても同様に、耐火レンガ3を、炉内側を高く外郭側に低く若干傾斜して積み重ねて構成させる焼却炉の炉壁積みつけ方法を併用することで、全体的に耐火レンガ3の損傷による砕片の落下が少なくなることが期待され、炉内の耐火レンガ3の損傷によるトラブル回避につながることから望ましいものである。
特に上述のように、肩部炉壁が、耐火レンガ3を、炉内側を高く外郭側に低く傾斜して積み重ねた構成とした場合に、垂直状炉壁においても同様に、耐火レンガ3を、炉内側を高く外郭側に低く若干傾斜して積み重ねて構成すれば、両炉壁が水平積みである場合と同様に、肩部炉壁においてもそれより下部の炉壁と構成が基本的に同じとなるため、作業性を向上させることができる。
【0024】
従って、このような構成の焼却炉およびその炉壁積みつけ方法によれば、廃液や排ガス等の被処理物を焼却処理または熱分解処理する焼却炉において、燃焼バーナー部6による熱的、構造的な負荷が大きくて損傷を生じ易く、しかも被処理物を供給するノズル5が設けられることにより化学的にも腐食による損傷が生じるおそれも大きい肩部炉壁に対し、損傷が生じた部分よりも上部全体を積みつけ直したりすることなく、比較的簡便な方法で安全性および作業性を確保しつつ部分的な補修を可能とし、これにより補修のための時間や労力、コストを低減することができる。
【0025】
すなわち、焼却炉においては廃液や廃ガス等の被処理物を処理するために炉内が高温になると共に、被処理物に含有されている無機成分によっては耐火レンガ3に損傷を生ずることがあり、耐火レンガ3の損傷程度は部位により大きく異なることが多く、損傷箇所のみを補修することもよく行われている。特に、炉上部の肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズル5が設置されている場合には、被処理物をノズル5により噴霧して炉内へ供給するため、ノズル5の周辺部位における耐火レンガ3が損傷する場合が多い。このようなケースでは、耐火レンガ3の補修に際し、直角積みの場合には損傷箇所を含めたその上部までを取り除き、当該部位とその上部までを新たに積みつけることが必要であり、補修のための日数、手数や費用がかかっていたが、本発明の適用で、当該損傷部位の周辺だけを除去し、その上部の耐火レンガ3を必要に応じて簡単な木組み等で保持することで補修が可能であることから、補修に要する時間を短縮できる。
このように、補修に要する時間の短縮化は、焼却炉の稼動時間を長くし、安定した運転にも貢献するものである。
【0026】
また、本発明によれば、炉上部の肩部炉壁における損傷部位の補修にあたって、新たに開発された耐火レンガを用いることも可能であり、このようなケースでは、より高いグレードの耐火レンガを用いることで耐火レンガの使用量を少なくしたり、次回の補修期間までの時間を延長させたりする等の効果的な補修が可能になる。
【実施例1】
【0027】
本発明の水平積みを取り入れて以下の手順により図1に示す焼却炉(高さ10m、胴部の内径が約2.7m)を設置した。尚、図面には図示していないが、実際にはノズル5以外に、肩部炉壁にはのぞき窓、垂直状炉壁には工事用のマンホールや炉内温度を計測する温度計等が設置されている。
1 炉本体金物の製作、据付け
2 耐火物受け金物の製作および炉本体鉄皮への取付け
3 断熱レンガの積上げ、鉄皮に沿って断熱レンガを目地材のモルタルを用いて隙間のな
いように積上げる。最初は作業性を考慮して作業者の手がけられる高さまでとする。
4 耐火レンガ(ハイアルミナ)の積上げ、断熱レンガに沿って耐火レンガを、モルタルを用いて積上げる。
5 炉内に設置された足場を高くして、上記3、4の作業を繰り返す。
6 炉内の垂直状炉壁のレンガ積みが完了した後、肩部炉壁、燃焼バーナー部についても
同様に耐火レンガの積みつけ作業を行った。
肩部炉壁(A)を従来の直角積みで構築した場合には施工に4〜5日を要していたが、本発明の水平積みでは半分程度に短縮され、効率的なことが明らかであった。
【実施例2】
【0028】
本発明の水平積みを取り入れ焼却炉において、定期点検時に肩部炉壁(A)におけるノズル5の周辺部で耐火レンガ3(ハイアルミナ)に損傷が確認されたため、当該損傷部位を補修した。補修は、焼却炉を一旦休止して冷却した後、炉内に修理用足場を構築し、損傷した部位の耐火レンガ3および断熱レンガ2を取外し、撤去した。その後取外した部位に実施例1と同様の要領で、断熱レンガ2についで耐火レンガ3を取付けた。
水平積みでは、損傷が認められた耐火レンガ3とその周辺部のみを補修することで、再稼動が可能となったが、従来の直角積みの場合には、損傷部位より上部の耐火レンガ3と断熱レンガ2を撤去してから、全周に亘り補修する必要があり、その相違が大きいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した一実施形態の焼却炉の構造を示す縦断面図である。
【図2】従来の焼却炉の構造を示す縦断面図である。
【図3】炉上部の肩部炉壁に用いる耐火レンガの斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 金属製外郭(鉄皮)
2 断熱レンガ
3 耐火レンガ
4 炉壁
5 ノズル
6 燃焼バーナー部
7 バーナー燃焼部
8 燃焼排ガスの出口
10 燃料
11 支燃性ガス
12 被処理液(被処理物)
A 肩部炉壁
B 垂直状炉壁
C ロート状の炉壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を有し内部が耐火物により構成され水平断面形状が円形で、炉上部の燃焼バーナー部より下方に向けて、末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁と、炉中間域に耐火物を積み重ねた垂直状炉壁と、炉下部に燃焼排ガスの出口につながるロート状の炉壁とを備え、前記肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズルが設置されている焼却炉の炉壁積みつけ方法において、前記焼却炉の肩部炉壁を、耐火レンガを水平に積み重ねて構成したことを特徴とする焼却炉の炉壁積みつけ方法。
【請求項2】
外郭を有し内部が耐火物により構成され水平断面形状が円形で、炉上部の燃焼バーナー部より下方に向けて、末広がり状に炉中間域の垂直状炉壁の上部に至る肩部炉壁と、炉中間域に耐火物を積み重ねた垂直状炉壁と、炉下部に燃焼排ガスの出口につながるロート状の炉壁とを備え、前記肩部炉壁に被処理物を炉内へ導入するためのノズルが設置された焼却炉において、前記焼却炉の肩部炉壁が、耐火レンガを水平に積み重ねて構成されていることを特徴とする焼却炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−128548(P2008−128548A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313247(P2006−313247)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(391018592)月島環境エンジニアリング株式会社 (27)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【Fターム(参考)】