説明

焼酎粕濃縮液の製造方法

【課題】焼酎粕を濃縮処理する際の前処理段階である固液分離処理において、固液分離条件を適切に設定することにより、分離液を濃縮処理することにより製造される濃縮液の流動性に優れる焼酎粕濃縮液の製造方法を提供すること。
【解決手段】焼酎粕を固液分離手段を用いて固液分離した後、加熱による水分蒸発により濃縮して濃縮液を製造する方法において、焼酎粕を目幅0.5〜2.0mmのロータリースクリーン21によって固液分離した後、その固形分をスクリュープレス22によって更に固液分離し、前記ロータリースクリーン21及び前記スクリュープレス22によってそれぞれ分離された分離液を濃縮することを特徴とする焼酎粕濃縮液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼酎粕濃縮液の製造方法に関し、詳しくは濃縮液の流動性に優れた焼酎粕濃縮液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1993年に日本を含む多数の国々でロンドン条約(廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)が採択された。焼酎粕は現在同条約の除外品目として認められているが、現実問題としてはこのまま従来の海洋投棄を継続することは困難な情勢であり、全量陸上処理することを目標に焼酎業界での努力がなされてきた。
【0003】
焼酎粕には、通常、水分と固形分が含まれ、水分は90重量%以上含まれ、固形分には、多量のたんぱく質、でん粉、繊維分等が含まれている。
【0004】
かかる焼酎粕の陸上処理として焼却処理も考えられるが、焼却設備や燃料コストが高くなるため、好ましい手法とは言えない。
【0005】
このため近年、焼酎粕の成分に着目して、飼料を製造する方法が特許文献1、2に提案されている。
【0006】
特許文献1に記載の技術は、焼酎粕を液体分と固体分に分離し、該液体分の懸濁物質を100(g/l)以下に調整後、該液体分と該固体分をそれぞれ別々に乾燥させ、その後、該液体分乾燥物および該固体分乾燥物を混合することを特徴とする焼酎粕から得られる飼料の製造方法である。
【0007】
特許文献2に記載の技術は、焼酎蒸留残渣液を固液分離し、その分離液を濃縮させて水分含有率65%〜80%の濃縮液を抽出し、該濃縮液と乾草や穀類等の混合原料を所定の割合で混合させてウエットタイプ飼料を製造する方法である。
【特許文献1】特許第3495429号公報
【特許文献2】特許第2976072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2に記載のように、焼酎粕から飼料を製造する際、一般に前処理として焼酎粕を固液分離し、そのうちの固形分を乾燥設備に送って乾燥処理する一方、分離液を濃縮設備に送って濃縮処理する。濃縮処理された濃縮液は、濃縮液貯蔵タンク等に輸送され、貯蔵される。
【0009】
ここで、濃縮処理された濃縮液は固形分濃度が高められる結果、粘性を有しているため、流動性が悪い性質を有している。流動性の悪い濃縮液は、その輸送を困難にし、取り扱い性が悪いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、焼酎粕を濃縮処理する際の前処理段階である固液分離処理において、固液分離条件を適切に設定することにより、分離液を濃縮処理することにより製造される濃縮液の流動性に優れる焼酎粕濃縮液の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
(請求項1)
焼酎粕を固液分離手段を用いて固液分離した後、加熱による水分蒸発により濃縮して濃縮液を製造する方法において、
焼酎粕を目幅0.5〜2.0mmのロータリースクリーンによって固液分離した後、その固形分をスクリュープレスによって更に固液分離し、前記ロータリースクリーン及び前記スクリュープレスによってそれぞれ分離された分離液を濃縮することを特徴とする焼酎粕濃縮液の製造方法。
【0014】
(請求項2)
前記ロータリースクリーンの回転数が1〜10rpmであることを特徴とする請求項1記載の焼酎粕濃縮液の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、濃縮処理された濃縮液の流動性に優れるようになり、取り扱い性に優れた焼酎粕濃縮液の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る焼酎粕濃縮液の製造方法の一例を添付の図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る濃縮液の製造方法を含む焼酎粕の処理の一例を示すフロー図である。
【0018】
図1に示すように、焼酎粕は、例えばタンクローリーにより処理設備に搬入され、焼酎粕貯留タンク1に貯留される。焼酎粕貯留タンク1には、腐敗防止のために例えばスチームコイルを内蔵しており、タンク内の温度は焼酎粕温度を60〜80℃に保たれる。また焼酎粕貯留タンク1には固形分の沈降防止のために攪拌機(図示せず)を設けることが好ましい。
【0019】
焼酎粕貯留タンク1に搬入される焼酎粕は固形分濃度が約6〜10重量%の範囲であり、エタノール濃度が約0.3〜0.8重量%の範囲である。
【0020】
焼酎粕貯留タンク1に貯留された焼酎粕は、図示しないポンプにより固液分離設備2に送られる。
【0021】
固液分離設備2では、図2に示すように、ロータリースクリーン21及びスクリュープレス22を用いて焼酎粕を固液分離する。すなわち、まず、焼酎粕貯留タンク1から送られた焼酎粕は、ロータリースクリーン21に流入され、固形分と分離液とに分離される。これにより分離された固形分は、次いでスクリュープレス22に送られ、更に固形分と分離液とに分離される。
【0022】
ここで、固形分とは、焼酎粕中の粗大固形分及び付着液のことであり、分離液とは、粗大以下の固形分を含む液のことである。
【0023】
スクリュープレス22において分離された固形分は乾燥設備7に送られると共に、分離液はロータリースクリーン21において分離された分離液と共に、濃縮設備3に送られる。
【0024】
これらロータリースクリーン21及びスクリュープレス22の構造の一例について更に説明する。
【0025】
図3、図4はロータリースクリーン21の概略断面図である。ロータリースクリーン21は、円筒形状の網目状スクリーンからなるスクリーンドラム211が軸芯Aを中心として駆動軸212、212によって回転可能に支承されている。スクリーンドラム211の内部にはスクリーンドラム211とは別個に回転駆動される回転スクリュー213が支承されている。
【0026】
スクリーンドラム211の外周には多数の補強環211aが取り付けられ、スクリーンドラム211の両側下方に平行に配置された駆動軸212により補強環211aが支承され、駆動軸212の回転により補強環211aを介してスクリーンドラム211が回転駆動されるようになっている。
【0027】
回転スクリュー213は回転軸213aとその外周に設けられた螺旋状のスクリュー羽根213bとを有しており、回転軸213aの軸芯Bを中心に、図示しない駆動源により回転されるようになっている。回転軸213aは中空とされ、その一端には焼酎粕の注入口213cが設けられている。注入口213cは回転軸213aの途中に設けられた開口部213dと連通されており、更にその奥部には仕切板213eが設けられている。
【0028】
ここで、回転スクリュー213の軸芯Bは、スクリーンドラム1の軸芯Aに対して下側に偏芯されており、回転スクリュー213の外周面の下部(スクリュー羽根213bの外周下部)がスクリーンドラム211の内周面に略接触するように配置されると共に、回転スクリュー213の外周面とスクリーンドラム211の内周面の間の隙間は、スクリーンドラム211内を上方に向かうにつれ広くなるように軸芯Aと軸芯Bとの配置がとられている。
【0029】
214は固液分離処理された固形分を排出するための排出口である。また、図示しないが、スクリーンドラム211の下方には、スクリーンドラム211の網目を通って分離液を集めるための排水口が設けられている。
【0030】
なお、スクリーンドラム211の目詰りを洗い流すためのシャワー管をスクリーンドラム211の上方に設置することが好ましい。
【0031】
スクリーンドラム211と回転スクリュー213とは別々の駆動源によって個別に駆動されるため、それぞれの回転速度、回転方向を任意に定めることができる。スクリーンドラム211と回転スクリュー213の回転方向は、共に同方向でもよいし、互いに反対方向であってもよい。
【0032】
このロータリースクリーン21では、焼酎粕貯留タンク1から送られた焼酎粕は、ロータリースクリーン21の回転スクリュー213に設けられた注入口213cに供給され、回転軸213aに設けられた開口部213dからスクリーンドラム211内に送り出される。スクリーンドラム211内において、焼酎粕は回転スクリュー213によって排出口214側に徐々に移送される間に、回転するスクリーンドラム211の網目状スクリーンによって篩いがかけられ、固形分と水分とに分離される。分離された分離液はスクリーンドラム211の下方に配置された図示しない排水口から排出されると共に、脱水処理された焼酎粕中の固形分は、回転スクリュー213の回転によってドラムスクリーン211内を軸方向に移送され、排出口214から排出される。スクリーンドラム211及び回転スクリュー213の組を1つのロータリースクリーン21に複数並列配置させることにより、焼酎粕を各組で並行して処理させるようにすることも好ましい。
【0033】
本発明における固液分離設備2では、ロータリースクリーン21における目幅、すなわちスクリーンドラム211の目幅が、0.5〜2.0mmに設定されることにより焼酎粕を処理する。
【0034】
目幅が0.5mmを下回ると目詰まりの問題があり、また2.0mmを上回ると、ロータリースクリーン21に負荷がかかるため好ましくない。
【0035】
更に、ロータリースクリーン21は、スクリーンドラム211の回転数を1〜10rpmに設定することが、後段の濃縮設備で得られる濃縮液の流動性を確保する上で好ましい。
【0036】
なお、図3、図4に示すロータリースクリーン21の場合、スクリーンドラム211と回転スクリュー213とは別々に駆動されるため、焼酎粕の排出口214側への移送速度を回転スクリュー213の回転速度を制御して任意に選択することができ、焼酎粕のスクリーンドラム211内の滞留時間を適宜に調整することが可能である。
【0037】
図5はスクリュープレス22の概略断面図である。スクリュープレス22は、一端の上部にロータリースクリーン21から送られる固形分を受け入れるための供給口221aが設けられた円筒形状のシリンダー221を有している。シリンダー221の内部には、同心状にスクリュー222が図示しない駆動源によって回転可能に配置されている。
【0038】
シリンダー221は打ち抜き鉄板からなり、その外周面に水分を分離して取り出すための多数の小孔又はスリットが打ち抜き形成されている。
【0039】
スクリュー222は、上記供給口221a側とは反対側のシリンダー221の端部側に形成される排出口223に向けて外径が次第に太くなる回転軸222aと、その外周に設けられた外径が均一の螺旋状のスクリュー羽根222bとを有している。これにより、スクリュー222は、供給口221a側の谷径が細く、排出口223側の谷径が太くなるように形成される。
【0040】
排出口223は、シリンダー221の内周とスクリュー222の外周との間の隙間によって形成されており、スプリングや油圧機構等によって常時閉塞方向に付勢される傘形状のリング部材224によって閉塞されている。従って、供給口221aから供給されてスクリュー222の回転によって排出口223に向けて移送される固形分は、排出口223において突き当たり、更にスクリュー222が回転することによる押圧力を受けて、固形分を圧搾することにより、水分を絞り出し、小孔又はスリットから分離液を取り出す。分離液はシリンダー221の下方に配置された受け皿225に集合されて排出される。また、スクリュー222による押圧力がリング部材224を付勢している圧力に打ち勝つと、リング部材224が後退して排出口223が開き、脱水された固形分が排出される。
【0041】
このスクリュープレス22の目幅、すなわちシリンダー221の目幅は、0.5〜2.0mmに設定されることにより、ロータリースクリーン21から送られる固形分を処理する。
【0042】
このスクリュープレス22における固液分離処理では、その前段階で焼酎粕がロータリースクリーン21によって、上記所定の駆動条件で固液分離処理されているため、後段の濃縮液濃度の流動性を確保できる。
【0043】
また、このように、スクリュープレス22による固液分離の工程を入れることで、固形分の含水率が下がり、後における乾燥等の水分負荷も下げることができる。
【0044】
このスクリュープレス22から排出された固形分は乾燥設備7に送られ、分離液は、ロータリースクリーン21から排出された分離液と共に、濃縮設備3に送られる。
【0045】
なお、かかる固液分離設備2は目詰まり防止を実施するために定期的に洗浄することが好ましく、また運転状況に応じて一定期間運転後、苛性ソーダを使用した洗浄を行う。この薬液洗浄は自動洗浄システムとなるように構成されることが好ましい。例えば目詰まり状況を分離液の減少量を検出して、その検出信号をトリガーとして苛性ソーダの供給設備を稼動させて一定時間洗浄運転した後、運転を停止するようなシーケンスプログラムを組むことにより、自動運転が可能となる。
【0046】
濃縮設備3には、固液分離設備2で分離された分離液が供給される。本発明において濃縮設備3は特に限定されないが、蒸発缶等を用いることができ、例えば3重効用缶(3重効用システム)を採用することは分離効率を向上させる上で好ましい。蒸発缶としてはスプレー式のものを好ましく用いることができる。以下に、濃縮設備3の一例について説明する。
【0047】
図6は、スプレー式蒸発缶を用いた濃縮設備3の一例を示す全体構成図、図7は、スプレー式蒸発缶のサイクロン部を示す要部断面図である。
【0048】
この濃縮設備3は、内部にスプレーノズル31を備えた蒸発缶32と、この蒸発缶32の底部32aに供給された分離液をスプレーノズル31から吐出するべく加圧するポンプ33と、このポンプ33とスプレーノズル31との間に配設され、管路内の分離液を加熱する加熱器34と、ポンプ33と加熱器34との間に設置された濃度調節計35の測定信号により濃縮液を排出する排出機構36を有している。
【0049】
蒸発缶32の内部は、図示しない真空ポンプと連通しており、この真空ポンプによって減圧されている。蒸発缶32には、細径の底部32aに固液分離設備2から供給された分離液が溜められると共に太径胴部の缶径接線方向に、スプレーボックス321が取り付けられている。スプレーボックス321は、図7に示すようにスプレーノズル31を内蔵した直管部321aと、蒸発缶32の接線方向に開口した曲管部321bとから構成されている。従って、直管部321aでスプレーノズル31によって噴霧された分離液は、蒸発した後、曲管部321bから蒸発缶32の胴内に接線方向から導入される。
【0050】
蒸発缶32の頂部は、後述するドレン処理設備5と連通しており、頂部から蒸発した水分は、ドレン処理設備5において凝縮される。
【0051】
加熱器34は、加熱源としての蒸気が供給されると共に、ポンプ33によって蒸発缶32の底部32a内の分離液が供給され、内部で熱交換が行われることにより、分離液を加熱する。例えば、加熱器34に供給する蒸気温度を80℃とすることにより、55℃の分離液を70℃まで加熱する。蒸気が分離液を加熱して凝縮した後の凝縮水は、加熱器34より外部に排出される。
【0052】
排出機構36は、ポンプ33と加熱器34との間に配設されており、濃度調節計35による検知結果が所定の濃度に達すると、コントロール弁361を開き、排出ポンプ362によって濃縮液を排出する。
【0053】
かかる濃縮設備3では、真空ポンプによって所定の真空度まで減圧された蒸発缶32の底部32aに貯留された分離液を、ポンプ33、加熱器34、スプレーノズル31、スプレーボックス321の順に強制循環すると共に、加熱器34に蒸気を供給する。
【0054】
ポンプ33によって循環される分離液は、加熱器34において加熱された後、スプレーノズル31から減圧状態にある蒸発缶32の胴内に接線方向から導入されて噴霧される。噴霧された分離液は、サイクロン効果によって気液分離が促進され、蒸気が蒸発缶32の頂部から排出されると共に、濃縮された液体が蒸発缶32の底部32aに貯留され、所定の濃度になるまで、以上の動作が繰り返される。
【0055】
蒸発缶32内の液濃度が所定の濃度に達すると、濃度調節計35が信号を発し、コントロール弁361が開となり、濃縮液が外部に排出される。
【0056】
濃縮設備3内の蒸発缶32内にスケーリングなどが発生すると濃縮効率が低下するので、毎日温水で洗浄を行うことが好ましい。この洗浄運転は濃縮工程の一部として予めプログラミングされており、完全自動運転で行われることが好ましい。洗浄排液は焼酎粕貯留タンク1に返送され、また運転状況に応じて一定期間運転後、苛性ソーダを使用した洗浄を行う。
【0057】
濃縮設備3によって濃縮された濃縮液は、濃縮液貯蔵タンク4に貯蔵された後、タンクローリーなどにより外部に搬出され、具体的には液体の飼料原料として飼料製造会社に販売される。
【0058】
ここで、濃縮設備3に供給された分離液は、固液分離設備2によって上記所定の駆動条件で固液分離処理されていることにより、この分離液を濃縮することにより得られた濃縮液は、非常に流動性に優れており、取り扱い性に優れた濃縮液となる。
【0059】
本発明では、固形分(TS)濃度約30重量%以上の高濃度の濃縮液を製造する場合でも、流動性に優れた性質を維持することができる。
【0060】
一般に、単に目幅0.5mm〜2.0mmのスクリュープレス22で圧縮ろ過した後の分離液を濃縮しても、濃縮液の粘性が高いため、高濃度の濃縮はできない。しかし、ロータリースクリーン21によるろ過は、圧縮ろ過しないので、得られるろ液中の粗大固形分濃度が低い。ロータリースクリーン21によってろ過された分離液量とスクリュープレス22によって圧縮ろ過された分離液量とでは、ロータリースクリーン21からの分離液量の方が圧倒的に多いため、本発明では、ロータリースクリーン21からの分離液に、スクリュープレス22からの少量の分離液を混合しても、混合液中の粗大固形分濃度は低いため、TS濃度約30重量%以上の高濃度の濃縮が可能となるのである。
【0061】
濃縮設備3で発生する蒸発蒸気は、ドレン処理設備5により凝縮され、濃縮ドレンとなる。ドレン処理設備5はコンデンサであり、ドレン処理塔を備えている。蒸発蒸気を冷却するための冷媒は例えば冷却水が用いられ、蒸気と冷却水の間で熱交換され、蒸気を凝縮させる。冷却水との熱的な接触は、ドレン処理塔に至る過程で行われることが凝縮を効率的に行う上で好ましい。
【0062】
得られた濃縮ドレンは、BOD濃度が高いので、ドレン処理塔でBODの主要因であるアルコール(エタノール)を蒸留、回収する。
【0063】
ドレン処理塔の塔頂からは約70重量%のエタノール溶液が回収され、ボイラ設備の燃料として使用でき、燃料使用量を低減することができる。
【0064】
ドレン処理塔の塔底からは、エタノール濃度約150〜300mg/lの排液が発生し、この排液は排水処理設備6に送られ、処理される。
【0065】
ドレン処理設備5からの缶出液、脱臭排水及び各洗浄排水等を河川放流可能な水質へ微生物処理する。膜分離活性汚泥方式の採用により省スペースの実現、良好な処理水を得ることができる。
【0066】
設備近くに公共下水道がある場合には、ドレン処理設備のみで直接放流可能な水質にすることが可能であり、排水処理設備を省略することができる。
【0067】
なお、他の好ましい態様として、上記の濃縮液を更に乾燥して、乾燥品として飼料販売会社に販売することも可能である。かかる乾燥品を製造するには、濃縮液を乾燥設備7に送って乾燥する。
【0068】
乾燥設備7は、特に限定されるわけではないが、例えば旋回式気流乾燥装置を用いることが好ましい。
【0069】
乾燥設備7には、固液分離設備2からの脱水ケーキ及び濃縮設備3からの濃縮液が供給され、これらを混合し、その混合物を高温空気の流れの中に分散投入して、効率良く、水分濃度12重量%以下まで乾燥する。
【0070】
空気加熱源は、蒸気を使用することが好ましい。
【0071】
乾燥品は乾燥品ストックタンク(図示せず)に貯留され場外搬出され、例えば乾燥品として飼料販売会社に販売される。
【0072】
乾燥設備7で発生する排気は臭気成分を含む場合には必要に設けられる脱臭設備(図示せず)へ送られ脱臭される。
【0073】
乾燥設備からの排気は、アセトアルデヒドを多く含むため、脱臭スクラバーにて臭気除去後大気へ放出される。
【0074】
前述の排水処理設備6では、ドレン処理設備5からの缶出液、脱臭排水及び各洗浄排水等を混合して、河川放流可能な水質となるように微生物処理する。また膜分離活性汚泥方式の採用により、省スペースの実現、良好な処理水を得ることができる。
【0075】
上記のようにして得られた濃縮液は、穀類、ミネラル、ビタミン等の栄養源となる成分と配合され、通常の混合手段を用いて家畜等の飼料を製造することできる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により、本発明の効果を例証する。
【0077】
(実施例1)
九州の麦焼酎製造会社で発生した焼酎粕を、目幅1.0mmのロータリースクリーン(富国工業社製「RST−W型」)を用い、回転数を5rpmに設定して固液分離処理し、次いで、目幅0.5mm〜2.0mmのスクリュープレス(富国工業社製「HX型(無加温型)」)を用いて固液分離処理した。
【0078】
次いで、図6に示す濃縮設備で濃縮して、TS濃度35重量%の濃縮液を製造した。
【0079】
得られた濃縮液の粘度は6,500cp(at49℃)であった。
【0080】
(比較例1)
実施例1において、ロータリースクリーンの目幅を3.0mmに代えた以外は同様にしてTS濃度35重量%の濃縮液を製造した。その濃縮液の粘度は8,600cp(at40〜50℃)であった。
【0081】
(比較例2)
実施例1において、ロータリースクリーンの目幅を0.4mmに代えた以外は同様にしてTS濃度35重量%の濃縮液を製造した。その濃縮液の粘度は5,270cp(at40〜50℃)であった。
【0082】
(比較例3)
実施例1において、ロータリースクリーンを用いず、スクリュープレスのみを用いて焼酎粕を圧縮ろ過し、得られたろ液を濃縮設備で濃縮したが、ろ液の粘性が高すぎて高濃縮不可(粘度測定不可)であった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る濃縮液の製造方法を含む焼酎粕の処理の一例を示すフロー図
【図2】本発明に係る固液分離設備を示すフロー図
【図3】ロータリースクリーンを軸方向に沿って示す断面図
【図4】ロータリースクリーンを軸方向と直交する方向に沿って示す断面図
【図5】スクリュープレスを示す断面図
【図6】濃縮設備を示すフロー図
【図7】蒸発缶を示す断面図
【符号の説明】
【0084】
1:焼酎粕貯留タンク
2:固液分離設備
21:ロータリースクリーン
22:スクリュープレス
3:濃縮設備
4:濃縮液貯蔵タンク
5:ドレン処理設備
6:排水処理設備
7:乾燥設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎粕を固液分離手段を用いて固液分離した後、加熱による水分蒸発により濃縮して濃縮液を製造する方法において、
焼酎粕を目幅0.5〜2.0mmのロータリースクリーンによって固液分離した後、その固形分をスクリュープレスによって更に固液分離し、前記ロータリースクリーン及び前記スクリュープレスによってそれぞれ分離された分離液を濃縮することを特徴とする焼酎粕濃縮液の製造方法。
【請求項2】
前記ロータリースクリーンの回転数が1〜10rpmであることを特徴とする請求項1記載の焼酎粕濃縮液の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−267702(P2007−267702A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99731(P2006−99731)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(000177508)三和酒類株式会社 (11)
【Fターム(参考)】